この辺りの山地は、近年は高速道路が整備され、直線的なルートとなった。
道路料金をケチった彼は、旧道へと車を進めた。
しかし道はどんどん険しくなり、本来のルートとは距離が開く一方だった。
道を間違えたか?
引き返そうにも切り返す場所もない。

どれ程走っただろうか。
目の前に谷間が広がり、谷間には田圃と、百件程度の山里がある。
運悪くガス欠も寸前。
すると最も目先にあるボロい商店から、人影が出てくるのが見えた。