(両側の壁は破れたポスターや落書きだらけの、人一人がやっと通れるような狭い階段を上る)
(春の夜風が吹き抜ける路地裏に出てくると、大きく一つ息をついて)
はー…。
ちょっと…飲みすぎたかも。
(ひとけのない路地裏の出口へ向かう足取りはどこかおぼつかなげで)
…♪
(なにやら低い声で機嫌よく鼻歌を歌いながら、ぽつりぽつりと飛び飛びの街灯の灯りを拾って歩いていく)
もうすぐ夜も明けるのに、また一人寝だよ…わたしってバカだなぁ…;
(路地裏を出た辺りで左右を見回して、向こうに見えたタクシーに手をあげながら一人自嘲して)
(目の前に停まったタクシーのドアが開くと、ちらっと路地裏を振り返ってからシートに身体を滑り込ませ、行き先を告げる)
【以下、いつもの路地裏】