(ガラス越しに岩風呂が見えるドアを開けると、まだひんやりとし風が身体を少し震わせて)
そうでしょ。目の前に広がる深緑の山とその下を流れる川のせせらぎ。これぞ、露天風呂の醍醐味だよね。
(隣の紗友を見ると、タオル一枚で朝陽に照らされている身体が眩しくて)
うん…。いつととは違ってすごく素敵…。
(ぽーっと目尻を下げて見とれていると)
あっ、そう。そうだね。
(紗友の言葉にハッと我に帰って、後ろを向くと)
あっ、さっきのはそういう意味じゃないから。
紗友と一緒だから、布団に行きたいんであって…。
(ゆっくり流れ落ちていく水の音が想像をかきたてられ、胸をドキドキさせながら)
そうだ。ゆっくり入りたかったらそこにベンチがあったから、気にせず入ってていいよ。
俺はそこで紗友の入浴姿座って見てれば一緒に居られるでしょ?
(紗友の言葉にようやく振り返って、湯けむりの奥に見える紗友の姿はさっきまでとは違い、とても色っぽくて)
ここ、夜は暗くて山は見えないけど、星空が見えてすごく綺麗なんだって。
夜も予約してあるから、無理に長風呂しなくてもいいけど。
(急いでかけ湯を済ませると、中に入って熱めのお湯の中を歩きながら)
うん。やっぱり朝からの温泉はすごく気持ちいいね。
(紗友の隣に腰を下ろすと、肩に手を回して、目の前に広がる景色をうっとりと眺める)