(ドキドキしながらずっと待ち焦がれたチャイムが鳴ると)
いらっしゃーい。
(部屋の奥から慌てて向かうも拍子に乗って転んでしまい)
ちょっと待っててね。すぐ開ける…開いてるからそのまま入って来ちゃっていいよ。
(床に強く打った膝頭を手で押さえながら立ち上がるとゆっくり玄関に歩きながら)
あー、ようこそいらっしゃいました。
大丈夫?道迷わなかった?
(ドアが静かに少しずつ空くと隙間から見えた紗友の顔に満面の笑みを浮かべて)
おー、ありがとう。こんなのこっちでも用意するから手ぶらでよかったのに。
それともこういうのは自分が用意するから、紗友にはもっと大人のお土産を用意しとけって意味?
それなら安心して。そういうのもたくさん用意しといたから。
(急いで紗友の側まで行くと袋を受け取り、スリッパを並べて)
さあ、中へどうぞ。
ところでホテルより恥ずかしいってどういうこと?
ホテルにあるのよりももっとすごいの用意してあると思った?
ごめん。あんなにたくさんいろんな種類は用意してないけど、一晩楽しむには充分な量はあると思うからそれで許して。
(部屋の中に先に戻るとソファーの前のテーブルに袋の中身を並べてから)
うわー、ちょうどコーヒー飲みたかったんだ。
甘いのは程々でいいから、俺はミニシューとエスプレッソもらうね。紗友は何にする?
(中へ入ってきた紗友の手を取って一緒にソファーに並んで座る)