(仮に菱川先生が坂本と付き合っていたところで肯定するわけがない、つまり必ず嘘をつく、耕司の頭の中ではストーリーが出来上がっていた。菱川先生がいくら否定しようと、それはズルい大人の言い訳だと。)
(少し悲しげな表情を浮かべながら、腰を上げて倉庫の冷たいコンクリート床を一歩一歩、踏みしめて壁に向かって足を進め、振り返ると今度は先生の方へゆっくりと距離を詰め、目の前で立ち止まって軽蔑の視線を向ける)
菱川先生…、どうせなら嘘をついては欲しくなかったな
坂本のこと、好きなんだろ?付き合ってるんだろ?
はっきり言えよ!
(両手でスーツの肩を掴み、悲しげな表情は崩れ、目には涙を浮かべながら、怒りと涙にかすれた声で先生を責め立てる)
今まで…菱川先生がこの学校に赴任した日から…、俺は菱川先生に一目惚れして…、ずっと気になって声もかけられなくて…、先生を見ることもできなくて…、だけど卒業したら、先生に告白して…、って…、そんなことずっと考えてたのに……、何なんだよ……
辛くて仕方な……
(えづきながら必死に訴え、学ランの手首で涙を拭うと狂気に満ちた表情で先生を睨み)
だからさ…俺が幸せになれないなら…、菱川先生も一緒に不幸になってもらわないと
悪いのは…先生だからな
恨むなよ
(マットに先生を背中から突き飛ばすと、口を手で塞いで上に覆い被さり、嫌がる手をかわしながら胸のボタンを上からひとつひとつ外していく)