た、楽しいわけ…ないでしょ…
(そう反抗してから、高梨に言われた言葉に愕然とする。そうだ、高梨はコンドームを着けなかった。今も自分の中に出たり入ったりしているこの熱い肉の棒から、先走りが垂れているかもしれない。そう思うと怖くて、自然と身体が捩れる)

やだ、いや、お願い…抜いて……いやっ、いやだよお……っ!
もうやめてっ、やめて…やめ……
(高梨が滔々と何か喋り続けているが、そんなことはお構いなしに拒絶の言葉を口にして嫌がって、再び涙で顔がぐしゃぐしゃになっていく)

(ただ犯したい、その言葉通り、その腰はこちらの反応など関係なく腟奥を打ちつけるように)
(自身の欲や快感のみを貪るその動き、ペニスの茎が壁の上側に擦れたとき、身体がびくっと強張る)
あっ…ん……っ
(涙があふれ出てきた。弱い場所に当たってしまい、感じてしまったのだ)
(声まで出てしまい、じんわりと腟内から愛液が漏れてしまう。心なしか彼の挿入の動きがスムーズになった気がした)

(頭でも心でも嫌なのに、身体だけが乖離して自分のことがとても穢らわしく思えた。こうやって心を殺されていくのか…と、頭の片隅でそんなことを思う)
(すると、外から男性の声が聞こえてくるとともに、高梨の動きが止まった)

あ…え、坂本先生……?
(はっとして高梨を見ると、もう狂ってはいなくて、観念したような表情になっていた。それから、深い後悔の色も伺える)
…高梨くん……

(これまでとまったく違う、優しい抱擁に戸惑う。それからそれは言葉とは裏腹に強い力でしがみついてきて)
……許すわけないでしょ、こんなことしといて
なにがこれ以上無理なの?
(俯く高梨の頬を押さえると、自分へと向けてしっかりと顔を見て)
(自分でこれから取ろうとしている行動が正しいわけがない。教師としてあるまじきこと。そんなことは分かっている)
(ただ、目の前の寂しそうで儚い、今にも消えてしまいそうな声で縋り付く彼に、先ほどまでとは違う感情を抱いていた)

…静かにして
坂本先生がどっか行くまで、こっちでじっとしてて
(一息置いて覚悟を決めると、高梨を引っ張って用具の陰に二人で隠れる)
(本当にこれでいいのか、わたしは人生最大の決断をしようとしていた)