…………。
(出迎えた男……というより少年を訝しむ女教師。)
(見覚えはない。)
(少なくとも自分が教科やクラブ活動で関わっている生徒ではないと思われた。)
(それどころかひびきの高校の生徒かどうかもはっきりしない。)
…………。
(少年とは思えないふてぶてしい言葉、通されたリビングで立ち尽くす女教師の前で悠然とソファーに座るその態度に
戸惑いを隠せない。)
(相手の素性や意図の見えない不気味さ、そして何より大切な教え子が囚われの身となっているかもしれない恐ろしさに
彼女の緊張感は高まる一方だった。)
こ、これ……。
(足下に放り出されたのは自身が教鞭を取るひびきの高校の女生徒用の制服であった。)
(少年の含んだ物言いに女教師・麻生華澄の背筋が俄かに凍りつく。)
ど、どういうこと!?
あなたは一体誰なの?
一体何の目的でこんなことを……光ちゃんは……光ちゃんは無事なの!!?
(ピリピリとした緊迫感にとても耐えきれず、華澄は矢継ぎ早に少年に質問を浴びせた。)