「ローゼ様とルシアン王子の行方がわからないってどういう事なの?」
血相を変えて戻って来たエストは師団の部屋の入口に居たサマンサに訊ねた。
サマンサ「まだ何もわからないの情報が全くなくて…」
エストは西の反政府ゲリラの討伐に出ていたがローゼ失踪の一報を聞き一部の他の団員と共に師団本部に帰還した。
エスト「どういう事?毎年、年に一度だけルシアン王子の幼い頃のご学友に会いに第6支部にに行く、ご恒例の事なのに。」
サマンサ「ええ、護衛の6人も誰一人連絡がつかないらしくて」
エスト「今年の護衛は、一番隊ライア隊長に、三番隊リンファ隊長、六番隊エルミナ隊長の3人に、パオラ、ナタリー、エリスの3人でしょ?」
サマンサ「そうなの、あの6人全員の戦闘力は、13000を超えているのよ。」
エスト「普通の成人男性の平均戦闘力100を考えると130人分なのに」
アイシャ「第6支部に連絡してもローゼ様もルシアン王子も支部にはお寄りになってないらしい」
奥から来たアイシャが答える
エスト「アイシャ隊長・・」
サマンサ「毎年恒例の行事なのに、今年だけ支部に立ち寄らないのも変ですよね。毎年必ず第6支部に立ち寄ってからでしたのに…」
エスト「第6が何か隠してるんじゃ・・・だって、今年からあそこの支部長は・・」
アイシャ「ああ、常にキナ臭い噂がある男だ。あのガルマという男」
サマンサ「そのガルマという人が支部長になってから、若い女性の失踪も増えてます。」
エスト「アイシャ隊長、第6支部を監察に行きましょう!」
セレス「でも何も証拠がないのよ」
エスト「団長!」
戻ってきたセレスは3人の会話に加わった。
アイシャ「お疲れ様ですセレス団長。」
セレス「確かにガルマ中将は信用できない人物よ。しかし何一つ証拠は無いわ」
エスト「証拠なんて無くても、我々はローゼ様直属の特殊部隊、監察でも何でも理由はいくらでも・・・」
セレス「あのガルマという男は、我々軍だけではなく政府とのパイプも強い、法務大臣のレイドール卿、政府のトップであるアスベル卿、その他の大臣とも繋がっている。」