「ジュブナイルポルノの女王」による2017年6月刊行「文章を仕事にするなら、まずはポルノ小説を書きなさい」の続編でもあり、全面加筆修正した「ポルノ小説執筆指南本」。
前作を読んでなくても一応分かる内容にはなっているが、前作を読んで置いたうえで今作を読んでおくのは決して悪くはない。
前作「文章を〜」が女性、特に主婦が家事やパートの合間に乙女系を執筆することを想定した構成だとしたら(それでも男性にもウケた内容だというが)、
今作はサラリーマン男性が仕事の合間を縫って男性向けを執筆することを想定しているが、両者とも著者は乙女系・男性向け各ジャンルを混ぜこぜにしてしまってるきらいが散見される。
今作も前作と同じようにポルノ小説に関わる素人の「Q&A」に一応は的確に答えてはいるものの、ポルノ小説の執筆ノウハウや執筆から刊行までの流れは前作よりも少なくなってしまっており、
むしろポルノ小説のNG表現やキャラ設定の説明をより強めてしまっているのは、読者に対し「自主規制」の名の下委縮させる可能性もなくはない(「NGの中にこそ、成功の鍵がある」とも述べているが)。

今作では前作になかった文筆業における確定申告書の書き方・プロ作家に転身した後の福利厚生にも言及があり(税務に関しては著者の顧問税理士が監修)、
サラリーマン兼業作家が会社にバレずに本業と文筆業を両立させる前提で書かれているのだが、著者は専業作家なので、
どうしても兼業作家と専業作家をごちゃ混ぜにしてしまってるのが、やや分かりにくい(それでも、サラリーマン作家がデビューしても「会社は辞めないでください」「会社を優先してください」と一応はことわっている)。
他にも編集プロダクション「大航海」および現役ジュブナイルポルノポルノ作家黒名ユウ氏へのインタビューページもあり、日本のポルノ小説の現況や現役プロ作家のデビューから生活まで色んな「ネタ」が纏められている。
一方で、今作も前作に引き続き、ベースとしてあるのは著者自身の体験(→成功体験)に完全に依拠しているということだ。
著者は「ジュブナイルポルノの女王」として、フランス書院美少女文庫で歴代一位の売り上げを記録した「成功者」でもある。従って構成上著者の「成功体験」に基づくのは致し方無い。