戦う司書でエロパロ
0001名無しさん@ピンキー2009/12/07(月) 07:43:25ID:O+i/F4LG
どんどん書いていっちゃいましょう。
0009名無しさん@ピンキー2009/12/09(水) 23:21:45ID:4hLwcQES
エンリケ×ノロティーが一番好き!
0012名無しさん@ピンキー2009/12/10(木) 21:07:55ID:LoUM4CkN
マットは未来予知のせいでエッチの時も興奮しなさそうだな
0017名無しさん@ピンキー2009/12/12(土) 22:45:20ID:1AWMeM0I
知名度が低い
0019名無しさん@ピンキー2009/12/13(日) 09:04:51ID:mxb0B6se
別にいいんじゃね?
まだスレが出来たばかりだし、今は内容よりも作品が投下される事のほうが重要かと
0020エンリケ×ノロティ12009/12/13(日) 15:30:17ID:WZCDTcU1
「あら、エンリケさん」
病室から出てきたイレイアはエンリケと鉢合わせになった。
「ノロティさんのお見舞いにきたの?」
「ああ」
数日前の武装司書モッカニアの反乱でノロティは足に怪我を負った。
治る傷だが、治療には時間がかかる。
現在は療養中だ。
「ノロティの様子はどうだ?」
「ええ、怪我のほうは大丈夫なのだけれど、神溺教団を迷宮へ入れてしまったことには
少し落ち込んでるみたい。」
「そうか」
「でもきっとエンリケさんに会えば元気になるわね」
「そうだと、いいが」
「それじゃ、2人でごゆっくり」
イレイアはふふっと笑って去っていった。

病室のドアをノックする。
「ノロティ、入るぞ」
ドアを開けるとベッドの上にノロティの姿があった。
「エンリケさん!来てくれたんですね」
笑顔で出迎えたノロティは元気そうに見えたが、足元を見ると痛々しい包帯が目に入る。
エンリケは視線をノロティの顔に戻した。
「そうだ、エンリケさんが私を助けてくれたんですよね。
お礼、まだ言ってませんでした。ありがとうございます」
ノロティは頭を下げた。
「そんなことは、いい。それより、まだ足は痛むのか?」
エンリケはベッドに座った。
「もう平気です。普段から鍛えてますから」
そう言ってノロティは立ち上がり、体を動かして見せる。
「あっ」
まだ傷が完治していないのだろう、バランスを崩してノロティがよろけた。
あわててエンリケが抱きとめる。
「無理をするな。今はゆっくり休めばいい」
「すみません……」
ノロティが顔を上げると、エンリケと目が合った。
2人は束の間、見つめあっていた。顔と顔は吐息がかかるほど近い。
ノロティを抱きとめているエンリケの腕に自然と力が入る。

2に続く
0021エンリケ×ノロティ22009/12/13(日) 15:31:19ID:WZCDTcU1
>>20

そのとき。
ノックの音とほぼ同時に病室のドアが開いた。
「ノロティ、お見舞いに来たよー!」
勢いよくドアを開けたキャサリロはその場で硬直した。
3人のあいだに気まずい空気が流れる。
最初に口を開いたのはノロティだった。
「キャ、キャサリロさん、あの、これは、違うんです、えっと……」
ノロティは顔を真っ赤にして必死に弁解している。
エンリケも珍しくあわてた様子だ。
「……あたし、邪魔しちゃったみたいだねぇ」
「待ってください!キャサリロさ……」
ノロティの言葉をキャサリロがさえぎる。
「いやいや!あたし口は堅いし……
邪魔者は消えるからさ……気にせず、どうぞ、どうぞ」
そう言うとキャサリロは病室の外へと出て行った。

同じ頃、館長代行執務室――――
「あら、タイミング悪いわねぇ」
ハミュッツがつぶやいた。
「代行、何ですか?」
報告中のミレポックが訊ねる。
「ん、こっちの話よう。報告続けて」
「?はい……」

バントーラ図書館中にエンリケとノロティの噂が広まるまで、そう時間はかからなかった。

おわり
0022名無しさん@ピンキー2009/12/13(日) 15:53:50ID:w0mxtJ2S
GJ!! 素晴らしい物をありがとう!
0023名無しさん@ピンキー2009/12/13(日) 16:51:31ID:WZCDTcU1
>>20-21を書いた者です。
改めて見返すと文章的な誤りとか結構ありますねorz
お粗末さまです。
>>22
読んでいただいてありがとうございます。嬉しいです。
0027名無しさん@ピンキー2009/12/16(水) 16:26:52ID:NBg0JT3A
マットさんが「強くなるにはたんぱく質(精液)を摂ると良い」とかなんとか言って
女性武装司書を美味しくいただいちゃう電波を受信した
0028名無しさん@ピンキー2009/12/16(水) 17:40:33ID:i790kxrk
イレイアも女性武装司書なワケだが…
0029名無しさん@ピンキー2009/12/16(水) 22:38:27ID:VTD7yZOT
聞いたことがある、霊光波動拳を極めたものは一時的とはいえ若い頃の肉体に・・・ 時間を操るイレイアさんならっ!
0030名無しさん@ピンキー2009/12/16(水) 23:13:11ID:NBg0JT3A
>>28
イレイアおばちゃんはこれ以上強くなる必要がないのでおk
>>29
体型が変わらないならノーサンキューです
0031名無しさん@ピンキー2009/12/17(木) 17:53:40ID:Fnx3PWsN
『となりのトトロ』の替え歌で『キャサリロ=トトナ』
♪キャサリロ トトナ トト〜ナ トトナ トト〜ナ
(本の)森の中に昔(何年か前)から住んでる〜♪
0034名無しさん@ピンキー2009/12/18(金) 07:42:48ID:dV3eqKAl
>>31
電車の中で見てたら吹きそうになったわw
キャサリロいいなーキャサリロ
女性キャラの中で一番好きかも
0040名無しさん@ピンキー2009/12/21(月) 07:00:32ID:/Xp88hB7
戦う司書のエロパロスレ出来てたのかー!!
エンリケ×ノロティとマット×ハミに期待
0042名無しさん@ピンキー2009/12/22(火) 17:43:14ID:FNO63lSx
朝、ハミュッツ・メセタはいつものとおり暇そうに館長代行室でウサギのアップリケをシャツに縫いこんでいた。
いつもどおりの朝という光景だったが、その静けさを破って館長代行室のドアが乱暴に開かれた。
普段の洒落た格好のマットアラストが部屋に入ってきた。

「あ〜ら。マットォ〜。おはよう♪」
ハミュッツが笑顔でマットアラストに声をかける。マットアラストはいきなりハミュッツの胸倉を掴む。

「ハミ。朝食に何か仕込んだのか?」
「もうバレちゃったぁ〜?早いわねぇ〜」
マットアラストはハミュッツに顔を近づける。
「だから何を仕込んだ?」

「もう!離してよぉ〜」
マットアラストから逃れたハミは机の引き出しから白い粉の入った小瓶を取り出した。
「それはなんだ?」
「精力剤みたいね」
ハミュッツがにっこりと答える。
「なんで、そんなのを俺に盛るんだ」
「エンリケに盛った後、ノロティと二人きりにしてあげたのに何も無かったのよねぇ〜」

「・・・それで俺か?」
「そうそう。効き目無いのかな?と思ってマットに試してみただけよ。でもねぇ〜。マットも悪いのよぉ〜」
「俺がハミに何かしたか?」

「昨日は死ぬほどシテくれるって言ってたのにねぇ〜。マットが先に果てちゃったからよ〜。その仕返し♪」
0043名無しさん@ピンキー2009/12/22(火) 18:35:56ID:Web4W7/h
>>42乙。どんどん活性化してほしいな。
代行に愛されて胸の中で死にたいが、足蹴にされて終わる一生も悪くない。代行愛してる
0046名無しさん@ピンキー2009/12/27(日) 14:54:00ID:1aVisA7p
イレイアさんがヴォルケンをげふんげふんするSSはないのか
0048名無しさん@ピンキー2009/12/27(日) 20:26:53ID:bLIMuYbR
ノロティ回、代行せっくる回、ミレポシャワー回ときた
そろそろキャサリロの手コキ回くらい来たっていいのにさ
0049名無しさん@ピンキー2009/12/27(日) 23:16:53ID:4RUT+BHL
>>46
代行にしといてくれw
0051名無しさん@ピンキー2009/12/28(月) 20:18:47ID:VWwpZ/qt
エンリケ、ノロティーに騎上位でぶん殴られながら逆レイプされてたな。

あいつ絶対に射精してたぜ!
0052名無しさん@ピンキー2009/12/28(月) 21:19:45ID:xcC3TKqb
ノロティの前にミンスに騎上位でぶん殴られてなかったか?
0053名無しさん@ピンキー2009/12/28(月) 23:02:00ID:VWwpZ/qt
ノロティー「ほら!ちゃんと勃たせろよ!殴られてチンポ硬くしてるんのかよ?この変態野郎!」

ボコられるエンリケのチンポはますます硬くなり絶頂に向かう。

ノロティー「ナニ?イクの?殴られながらイクの?この変態野郎!イケよ!アタシのオマンコにたっぷり出すんだよ!」

ボコられながら射精するエンリケ。
腰を振りながら最後の一滴までザーメンを搾り取るノロティー。
快感と打撃で失神するエンリケ。
股間からザーメンを滴らせながらエンリケを見下ろすノロティー。

ノロティー「ふぅ〜、この根性無しの変態野郎!コッチはまだ満足してねぇんだよ!ほら!起きて勃たせろ!変態野郎!」

ノロティーの股間からザーメンまじりの黄金水がエンリケの顔にほとばしる。

うわごとをいいながら股間が膨らみ始めるエンリケ・・・・

ノロティー「お楽しみはこれからよ・・・」
0055名無しさん@ピンキー2009/12/31(木) 20:26:07ID:dSeIAGao
>>53
ちゃんとノロティの口調で頼む
というか敬語で責められるほうが熱くなる
0057名無しさん@ピンキー2010/01/01(金) 00:49:26ID:hvfxgqAV
ラノベすれでいいのではと思いいつつ、
若い頃のイレイアさんは美少女とだけ言っておく。
0062名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 00:02:36ID:F80/3LQ5
アニメ・漫画全くチェックしてないので原作のネタだけで考える事はあるが
どこまでこのスレに書いていいのか悩む



美味しそうな女武装司書片っぱしから誘惑して3Pを堪能した後に
アーガックスで記憶消して証拠隠滅するハミとマットとか
幼女ラスコールが死に際モブ男に気まぐれでいい目見させたりとか
ワイザフ&用意された男娼に身をまかせつつもコリオが忘れられないシロンとか
キャサリロがヤンクゥ相手に一夜の火遊びとか
ユーリとユキゾナの兄妹お医者さんプレイとか
チャコリーがルルタ凌辱のifネタとか
ニーニウが拷問で苦しんだ挙句輪姦されまくって後惨殺とか
オリビアとシャーロットの一方通行の純愛とか
ウインケニーとアルメの物は試し的なやつとか
シガルがアルメに緊縛だの道具だの使って自分は一切手を触れなかったりとか
記憶が戻りかけて苦しんでるレナスとヴォルケンとか
ノロティの本を読んで遅すぎた恋愛に苦しむエンリケとか
オリビアとシャーロットの一方通行な純愛とか
誰得と言わざるを得ないものしか思いつかん

0063名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 12:40:13ID:LENtjtgS
一方通行の純愛が好きなんですねわかります
一冊の本にしてくれたら間違いなく買う
0064名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 12:55:11ID:gq3FNGbj
>>62
ものすごい勢いで俺も特をする。
小説、既刊を読み切ってないから自分で書くのはつらい……
0065名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 18:40:26ID:uRWnypqi
>>63
指摘されてオリビアとシャーロットがダブってるのに気がついたw
モッカニアが幼児退行してレナスに甘えたりとか
雷の愚者ザトー戦でノロティが負けたらのifとか
幼ハミュッツと幼チャコリーの百合を差し置いてなんで気付かないんだ

ザトーって実際レイーポ向きの能力持ちだよな…布で半脱ぎ緊縛+雷で麻痺とか有用すぎるだろjk
0066名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 22:42:35ID:gXxlB4pZ
ノロティ「ザトーさんって童貞だったんですか!?」
ハミュッツ「えーっ! うっそー! きっもーい! 童貞が許されるのは肉までだよねー!」
0067名無しさん@ピンキー2010/01/09(土) 23:14:56ID:P8hGEraD
ハミとチャコの百合とか考えたこと無かったけどいいな
研究所潰す前に所員のおっさん拘束して弄ぶ姉妹とか

ザトウは童貞じゃなさそうだけど
中身のエンリケ君は童貞だろうなあ
0068名無しさん@ピンキー2010/01/10(日) 01:17:46ID:FIiTC22H
62の出すネタが全て自分好みな件について

あとはヤンクゥがノロティをネタにして自慰とか
0072名無しさん@ピンキー2010/01/16(土) 23:47:11ID:/smiN7fa
>>62
亀レスだが

そのネタは誰得どころか皆得だと思うぞ!!1!

ということで職人さんお願いしますor2
0076名無しさん@ピンキー2010/01/24(日) 13:42:16ID:YWcxX/Bg
初夜ってやっぱりマット先生の性教育の授業に実習が含まれてたのか
0077名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 01:32:23ID:QZdHxykM
原作最終巻読了

子ネタが浮かんだが、文章にできない。

若い頃のイレイアさんと歴代の代行で。
イレイアさんが動きが甘いといって代行の腰の動きを早くするとか・・・。
0078名無しさん@ピンキー2010/01/30(土) 23:25:46ID:tPrxxLhf
>>62
ウインケニーとアルメは俺得よな
アルメが死ぬほど観察してきそう
肉の裸なら(身体検査的意味で)見慣れてるから処女のくせにハッとか鼻で笑ったりして
ウインケニーはウインケニーでこういった行為には情緒が必要とか常識では思うけど
アルメ相手に情緒もへったくれもないという全く嬉しくない初体験
0079名無しさん@ピンキー2010/02/06(土) 17:17:16ID:QNmbtB8u
モッカニアハァハァ
ノロティハァハァ
ハミュッツハァハァ
0083名無しさん@ピンキー2010/02/07(日) 16:45:30ID:0cfTkRXx
オリキャラ(名無し)×ハミュッツって駄目かな?
プレイも触手責めとか拡張とかアブノーマルなのばかりになるかもしれないけど
0085名無しさん@ピンキー2010/02/08(月) 10:48:54ID:T0Wt6jlr
触手を産み落としながらピーピー泣き叫ぶハミたんハァハァ(*´д`*)
0089sage2010/02/14(日) 01:17:58ID:uHgDaAsN
マット「ご注文は?」
おばちゃん「あなたの精液でも、頂きましょうかね!」
0090名無しさん@ピンキー2010/02/17(水) 22:53:52ID:V/Yy3ole
見習いの頃、ハミは二重人格だった。
なんでも、強い相手を見ると「代行」という魔族の人格が現れるそうで、
真っ暗な夜道で唐突に通行人をボコっては、
「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑」
などと乱暴な口調で叫んだりしていた。
ある日、夕食の時に「代行」が出たことがある。
突然おかずの春巻きを手掴みでムシャムシャと食べ始めて、「久々の飯だぜ(笑」と言った。
食べ物関係のジョークを一切許さないマットが、
代行の頭にゲンコツ振り落とすと代行は涙目になっておとなしくなった。
それ以来、食事時に代行が出たことは無い。
そして別人格とやらは、ハミが武装司書になった辺りでパタリと出なくなった。
最近になって、最強になったハミにその頃のことを尋ねたら、
うさぎ柄の枕に顔を埋めて、手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。
0095名無しさん@ピンキー2010/02/21(日) 15:09:15ID:P/3Qe/c6
>>94
ユキゾナはハミの見習いの頃は知らなさそうだから
書いたのはガモとか?
0103名無しさん@ピンキー2010/03/05(金) 00:46:27ID:Sq655kln
ハミチチ
0108名無しさん@ピンキー2010/03/11(木) 18:31:14ID:EvuPruxq
1.ノロティがアーキットの命令なんでもきくというので、エロ仕様で。
2.ハミュッツをボコボコしてエロ奴隷に。

では、よろしく!
0109名無しさん@ピンキー2010/03/11(木) 21:25:07ID:4uB707VN
2番は俺が引き受けよう
ただしあまり期待しすぎないように
0111名無しさん@ピンキー2010/03/12(金) 16:37:24ID:r4sE66or
若かりし頃の代行をめちゃくちゃにしたい
トラウマになるくらい残酷な事をしてやりたい
涙目になって震えて怯える代行ハァハァ
01121092010/03/13(土) 06:21:35ID:gTWdUzpj
>>108
詳しい事が書かれていないんだが、
とりあえず最終的に代行が奴隷化すればどんなシチュでもok?
0114名無しさん@ピンキー2010/03/15(月) 10:13:26ID:3CETu7a9
代行のあの何でも知ってるみたいな態度がムカツク。
精神的な恥辱も与えてやってください。
0115名無しさん@ピンキー2010/03/15(月) 17:27:53ID:uUoeNBh4
人が少ないな…
やはり司書でのエロパロは難題なのか?
猟奇スレで代行SS投下した人、こっちにも来てくれないかな…
0116名無しさん@ピンキー2010/03/15(月) 22:31:51ID:azhkQNQz
>>114
だってぇ〜なんでも知ってるんだも〜ん
しょうがないでしょー。ね?チャコリー
0119名無しさん@ピンキー2010/03/16(火) 18:35:48ID:4ftLy9E6
拘束されて前戲無しで巨根突っ込まれて大量に射精されたら
いくら代行でも悲鳴上げたり泣き叫んだりするよね?
0120名無しさん@ピンキー2010/03/16(火) 23:48:59ID:WJNWYKrS
代行を凌辱しまくって最終的に反撃され、最後足蹴にされて本になれれば本望です
0121名無しさん@ピンキー2010/03/17(水) 13:53:11ID:KgIK2ye4
代行もイイが、キャサリロもなかなか可愛いぞ
ああいう活発系がしおらしくなる瞬間を想像すると萌える
0124名無しさん@ピンキー2010/03/17(水) 17:43:30ID:SEVz5q/K
ラティさんとミンスでどなたか…
バーニィとの百合を過去話として交えつつ
0126名無しさん@ピンキー2010/03/18(木) 10:18:20ID:02LUEYwD
ノロティがアーキットの手下になった時、チンコが反応

アーキット「手下じゃねえ、奴隷にするんだ」でスイッチオン
0130名無しさん@ピンキー2010/03/24(水) 12:06:39ID:LW6eTcGw
犯して滅茶苦茶にして屈服させたい司書キャラランキング
1.ハミュッツ
2.キャサリロ
3.オリビア
4.ラスコール(ただし幼女バージョンに限る)
5.コリオ
6.モッカニア
7.シロン
8.ヴォルケン
9.ユーリ
10.ノロティ
0132名無しさん@ピンキー2010/03/24(水) 13:24:56ID:LW6eTcGw
いやぁ、>>130の「司書キャラ」というのは、
「武装司書のキャラ」という意味ではなくて、「戦う司書に登場するキャラ」という意味だったんだ
よく考えたら「司書」は書かなくても良かったな…
0133名無しさん@ピンキー2010/03/24(水) 13:33:25ID:LW6eTcGw
↑書き忘れ
ところでこのスレへのSS投下はまだかね?
俺も書いてはいるんだが未だ投下できそうにない(´・ω・`)
0135名無しさん@ピンキー2010/03/25(木) 17:33:56ID:qb7FDOOi
エンリケ×ノロティ考えてるけど、あの天然熱血少女と、肉時代から艶事には無縁そうな童貞(多分)をどうしようか悩み中…
0137名無しさん@ピンキー2010/03/26(金) 18:30:41ID:4rMMjUPi
代行凌辱難しいな…
どうしてもあの強さが妄想の邪魔になってしまうわ。やっぱ弱点は台風の日限定なのか?
下っ端司書見習い(実は刺客)みたいなキャラとのシチュ考えてるが…文才が欲しいです
0138名無しさん@ピンキー2010/03/26(金) 22:23:37ID:/AJmIoB8
代行の弱みと言ったら…マットが人質になってるとかで、なんとかならんかな…

けど代行だったら人質そっちのけで殺しに来そうだなw
0139名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 05:16:19ID:XAVlftyq
つーかマットさんも充分強いんで、どうにもこうにも…って気がするけどね
この作品以外でも言えることだけど死角のないキャラを屈服させる良い方法ってないんかね
0140名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 05:31:27ID:/oMzgK44
じゃあアーガックスでハミュッツである事を忘れてしまう代行
…飲ませる以前に触覚糸でバレそうだなぁ…ホント死角無さ過ぎるわ
0141名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 06:40:03ID:uT89Mn1h
苦痛や死が快楽の代行を凌辱しても喜ぶだけだぞw
ここはマット氏の寒くなるようなデロ甘テクで
恥辱に身もだえさせるしか…堕とした感が薄いかもしれんが。
0142名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 09:31:09ID:fsZ9UWvQ
代行とマットの初夜が見たい…
きっとはじめての時はめちゃくちゃかわいいだろうなぁ
むしろ原作で書いて欲しかったたw
0143名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 11:24:54ID:R8NG1cDP
戦闘中にどうにかして気絶させる

拘束し、素早く扱いて先端だけ入れて射精

目を覚ましたら奥まで一気に突っ込み、子宮口を貫いて射精

知らない男に犯され、矯声を上げながらアヘっている姿を堪能しながら顔射

うーん、やっぱ無理かな?
気絶させる方法も思い付かないし
それ以前に近づく事すらできなさそうだし
0144名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 11:56:25ID:H+QV3l6o
アニメ版のifストーリーなら陵辱も可能かも?
26話見てないとイミフだと思うが…こんな感じ↓

仮想臓腑内、ラスボス化したニーニウの愛の説法wでフニャフニャになった代行を超次元的力で拘束

愛に目覚めて苦痛や死を恐れるようになってるから終章の獣で獣姦
ルルタから引き継いだ魔法権利の元のモブ男どもに輪姦させる
とりあえずやりたい放題

愛に目覚めてるから精神破壊→しそうになるが自力で思い直して復活→代行無双(グッドエンド?

精神崩壊して仮想臓腑内で精神の死も迎える(バッドエンド
or
ニーニウの玩具になって永遠の陵辱地獄(陵辱好きのトゥルーエンドww
0145名無しさん@ピンキー2010/03/27(土) 18:43:22ID:ggNP+BEu
>>143近づくのは余裕でいけると思うんだ
寧ろ「で、君はどうやって楽しませてくれるのよう?」とか言って自由にさせてくれる気がする
その余裕をいかに掻き消すかなんだよきっと。
0147名無しさん@ピンキー2010/03/28(日) 14:00:35ID:S2XJDX/A
泣く事はありえないかと…
むしろ笑って喜ぶんじゃないかw
0148名無しさん@ピンキー2010/03/29(月) 10:30:58ID:mRyFMu6f
代行の人気に嫉妬

触手や獣を召還して自由に操る魔法権利があればなぁ…
キャサリロを触手責めしたいよ…
0149名無しさん@ピンキー2010/03/29(月) 12:57:31ID:GYuYes4W
マザコンみたいに蟻使う奴もいるから、植物使いで触手とかもありなんじゃね?
アニメのルル太はエンリケとマット触手責めしてたしw
0150名無しさん@ピンキー2010/03/30(火) 11:28:22ID:UL21weof
いくら代行でも鼻の穴に指入れて持ち上げられたりしたら怒るよね?
そういう方向で頼むw
0151名無しさん@ピンキー2010/03/30(火) 19:03:40ID:NGw8b5fR
気配と姿を消す魔法権利を会得し、代行に近づき、
後ろから抱きついて豊満な胸を揉みまくりたい
突然の刺激に悲鳴と喘ぎが混ざった間抜けな声を出し、辺りを必死に見回す代行を視姦する
うろたえている代行を素早く脱がし、ヴォルケンも真っ青の勢いでレイプする
訳も分からず悲鳴を上げて暴れる代行を押さえつけ、豊満な胸の味を堪能する
そしてねっとりと濃厚なディープキスをしながら最奥まで突き入れ種付けしてフィニッシュ

ここまで妄想して勃起した
0153名無しさん@ピンキー2010/04/03(土) 17:44:28ID:IRLzUugW
エロパロまとめの連絡用スレでこのスレの収蔵依頼が出されてるが…
0154名無しさん@ピンキー2010/04/03(土) 19:03:11ID:wLjwqyMK
アニメ終わったし、このまま忘れ去られてしまうのかなぁ…
0155名無しさん@ピンキー2010/04/03(土) 23:55:23ID:xmPgBLdJ
まだだ、まだ終わらんよ
代行とマットさんの初夜SSを読むまでは…

ヴォの字とミレポでも可
0156名無しさん@ピンキー2010/04/04(日) 00:33:17ID:n+HIcSWB
ルルタの本にはニーニウとのセクロスの思い出あんのに公開プレイかよ
0157名無しさん@ピンキー2010/04/05(月) 04:36:40ID:ee3athsV
ビザクさんとイレイアさんって若いとき何かあったのかな?
0158名無しさん@ピンキー2010/04/09(金) 01:43:03ID:J+uzj7cj
ミレポにヴォルケンの記憶について話しちゃったキャサリロに代行が愛のお仕置き
0159名無しさん@ピンキー2010/04/09(金) 12:34:26ID:f5Aojv1G
朝起きたら華奢な女性になっていたマットやエンリケを代行が陵辱
0163名無しさん@ピンキー2010/04/12(月) 07:13:37ID:AaaNwkMr
ラスコールって地面に潜り込んで姿消すけど
首輪とかでどこかに繋がれてたら不可能なのかな
0167名無しさん@ピンキー2010/04/13(火) 19:20:18ID:P9WncyYY
ttp://ccfa.info/cgi-bin/up/src/up3687.jpg
おさげの幼女ならうさぎパンツでも許す
0168名無しさん@ピンキー2010/04/13(火) 23:42:50ID:TwL9k46M
幼女の頃ならいざ知らず
今はどんなパンツ履いてんのか見たかったなぁ

ところでユーリが着ていたスケスケのって水着だったの?
セクシーランジェリーかと思ってた ユキゾナがびっくりしてたし
0169名無しさん@ピンキー2010/04/14(水) 22:40:54ID:N9Vx6y9c
ウィンケニーさんが代行に「見たいなら何でも見せてあげるわよう」って言われた時に「じゃパンツ」と一言言ってくれてたら…
0171名無しさん@ピンキー2010/04/16(金) 09:58:06ID:XRp3Ph2H
見るだけでは飽き足らず、脱ぎたてを奪取し頭に被って恍惚としてるウィンケニーさん
0172名無しさん@ピンキー2010/04/16(金) 22:36:28ID:ec8l0kNn
画集キタコレ

エンリケがちゃんと後ろ向いてたとは言え、遮る物のない同じ部屋の中で
ノロティがズボン脱いでパンツ一丁になってるんだから
YOUそのまま襲っちゃえばよかったのにと思わずにいられない
後イレイアとビザクどうしてそうなったwww
0173名無しさん@ピンキー2010/04/18(日) 11:22:24ID:6Od9f2Db
どの巻だか忘れたが、ユックユックは本来相手の魔法権利を奪い取る為の物ってあった気が
それを改良して複数人の魔法権利を束ねる道具にしたとか

改良前のを上手く使えば代行だろうとイレイアさんだろうと無力化出来んじゃね?
0174名無しさん@ピンキー2010/04/20(火) 11:36:25ID:ggD33WGe
ただの女性になった代行を輪姦
後日妊婦になった代行の元を訪れて母乳を絞るプレイ開始
0175名無しさん@ピンキー2010/04/21(水) 13:32:12ID:u8s+HXFc
妊娠すると乳でかくなるって言うよね
代行って母乳いっぱい出そう
0176名無しさん@ピンキー2010/04/21(水) 16:46:24ID:YoUYHEPO
高校時代に聞いた話だが
巨乳の人より貧乳の人の方が胸が大きくなっていい母乳が出るらしい
0178名無しさん@ピンキー2010/04/22(木) 10:34:01ID:+yJs0Q6e
代行の甘くて濃厚な母乳を乳首くわえ込んで飲みまくりたい
0181名無しさん@ピンキー2010/04/25(日) 21:34:41ID:vDgFNqT8
ここまで書いた、あとよろ


シガルとの戦闘後、手傷を負い、竜骸咳に苛まれたハミュッツは意識朦朧の状態で隔離室に担ぎ込まれた。
竜骸咳感染者には既にシロンの特効薬が投与されていたが、感染拡大を防ぐために隔離室への出入りは固く禁じられ、食事の受け渡しも扉に設えられた小窓から行うこととなった。
唯一の例外は、最も症状が重く、自力では立ち上がることすらできないハミュッツである。
この状況の中、ある男が彼女の看病を買って出た。
彼の持つ免疫系強化の魔術権利は多くの者にこの申し出を納得させたが、彼をよく知る者達は皆一様に首を傾げた。
数日前の演習でハミュッツに手酷くやり込められてからというもの、彼はその名を耳にするだけで酷く不機嫌になっていたからだ。

「へへっ…ざまぁねぇな」
ハミュッツの両手は投石器で戒められ、ベッドに繋がれている。
男が無遠慮にその顔を覗き込んでも、ハミュッツは瞳を固く閉ざし、熱に浮かされ荒い息を吐くだけだった。
白く清潔な病人服と相俟って、最強と謳われる武装司書がいかにも脆弱な存在に見える。
いい気味だ、と男は思った。
皆の前で自分を笑い物にした報いを受けさせてやるのだ。
館長代行とはいえ所詮は女だ。
女を屈服させ、哀願させ、貶める方法などいくらでも存在する。
0188名無しさん@ピンキー2010/05/06(木) 11:42:36ID:mf/ZzpFP
何故か男の体になって戸惑う代行のチンコを踏みつけたい
女に戻ったら同じ事して復讐してきてほしい
0191名無しさん@ピンキー2010/05/13(木) 11:47:41ID:Y5N0ecoQ
戦う司書でエロ同人誌は無いの? エロCG集は…?
ここで人の妄想見るのも悪くはないけど、やっぱ現物のエロい絵が見たい…
0194名無しさん@ピンキー2010/05/15(土) 11:49:34ID:JX7Kk+g4
バントーラ過去神島の館下街、深夜遅く人気のない裏路地をオリビア=リットレットは歩いていた。
「……どうにも気が重いね」
古びた酒場の裏手にある狭い階段を、オリビアはゆっくりと降りて行く。重い樫の扉を開けると部屋の中には二人の男。
「ご苦労様です」
「オリビアさん、今日は、本当に……」
そう声をかけてくるのは、顔なじみの武装司書だ。名前はガモとルイークと云ったか…。
「あんたらのせいじゃないよ。仕方のないことさ」
小さくため息をつき、二人の横を通り過ぎる。奥の扉を開け、細い階段を降り続ける。そして、突き当たりの重い扉をゆっくりと開けると−−。

「あっ、ああーっ」
「いやっ、見ないでっ、お兄さまっ」
薄暗い部屋の中に、女の悲鳴とこもった熱気が充満している。
両手首を括られ、天井から吊るされているのは、三級武装司書のミレポック=ファインデルだ。右膝もロープで吊られ、いわゆる片膝吊りの格好で自由を奪われている。身に着けているのは下着のみ。
「ほっ、ほっ。三年前よりだいぶ成長したようじゃの」
背後から皺くれだった手が伸び、乱暴に双乳を揉みしだいている。ブラを引き降ろし、乳首を指腹で揉み潰す。あふれるミレポックの悲鳴。
「こっちもぴっちりと締め付けるわい」
「な、止めてください、そこは…!」
下着の上から媚肉を弄び、濡れ溝を擦り上げる。パンティの底をずらし、あらわになった秘裂に勃起した男根を押し付ける。
「駄目っ、駄目です」
だが男は容赦なく、処女のようにきつい彼女の肉孔に無理やり男根を捻じ込んでいく。
「ひいっ! 痛っ、止めてぇ!」
滴る鮮血がポタポタと床を濡らし、肉と肉の絡まる音がかすかに響く。
「おう、おおぅ…、今日はたっぷり可愛がってやるからの…」
0195名無しさん@ピンキー2010/05/15(土) 11:51:10ID:JX7Kk+g4
ミレポックの絶叫がこだまするその対面では。
「…んぶ、んみゅ、はふ、んんっ」
ソファに腰掛けた男のモノを、キャサリロ=トトナが咥えさせられている。
「…はっ、ふごっ、んんんーっ!」
小柄で華奢なキャサリロの身体を、男は逆さにして抱えこみ、強引に肉棒をしゃぶらせているのだ。自身の体重で無理やりに口腔を犯され、苦悶に表情を歪めるキャサリロ。今も咽喉奥を亀頭で突かれ、苦しさとみじめさで涙するのだ。
「どうした。教えた通りに舌も使え」
規則的なリズムでキャサリロの身体を上下させ、彼女の口舌奉仕を堪能しつつ。
ペチャペチャ、ペロリ、ペチャペチャ。
男は眼前の秘裂に舌を這わせている。片手で彼女をがっちりと抱え込み、もう一方の手で尻肉やアヌスを弄びながら、男は執拗に媚肉を舐めじゃぶる。

その隣では。
ユーリ=ハムローが背面座位で犯されていた。
「お願い…許して…。お兄さまの前で、こんなこと…!」
細身の美しい裸体はシネマ女優さながらだ。長い黒髪に白絹の肌、そんな女性が実兄の目の前で凌辱されているのだ。
「い、痛っ…! 駄目っ、動かさないで…!」
つい先刻まで処女だった秘肉を、武骨な肉棒が蹂躙する。あまりに乱暴な動きに破瓜の鮮血が男の股を濡らし、ソファを赤く染めていく。
両膝の裏に手をあて、ユーリの裸身を持ち上げては落とし、落としては引き上げる。その度に繊細な牝芯をえぐられ、耐え切れずに悲鳴を上げ続ける。
「まったく、今日の日を待ち焦がれたわい」
肉棒を一旦引き抜き、ユーリにこちらを向かせると、男はその薔薇の唇を強引に奪う。ナメクジのような舌が唇をこじあけ、ぬるりとした不快な感触にユーリは眉をひそめる。が、彼女に拒む権利は無い。
「あううっ、ああん、はぁっ、駄目っ」
今夜、何度目かの対面座位。ディープキスを強要され、双乳を揉み抜かれ、激しく貫かれる。
チラリと後ろに視線を向けると、涙でかすむ視界に、ユキゾナ=ハムローの姿が飛び込んでくる。こちらを凝視している実兄の表情は、涙と灯りの暗さのため分からない。
(ああ…、どうか見ないでください、お兄さま…)



蒼淵呪病の戦いが終わって一年。パーティを翌々日に控えたこの日、女性武装司書たちは皆、この極秘の会合に参加させられていた。年に一度の、各国要人への肉接待。夜が更けるなか、それはまだ始まったばかりであった…。
0196名無しさん@ピンキー2010/05/15(土) 12:06:29ID:JX7Kk+g4
どこかで見た、「裏パーティ」という言葉に触発されて、駄文をUPしてしまいました。
ホントは、もっと上手な方にお任せしたいところですが、戦う司書シリーズは、エロスの供給が絵も文もあまりないので、やむなく自分で‥。
こういうの(SSっていうんですよね?)書くのは初めてなんで、あましエロくないですが許してください‥。
キャラの性格とか言葉遣いには気をつけたつもりですが、間違ってたら ご勘弁を〜。
0201名無しさん@ピンキー2010/05/19(水) 19:19:00ID:4JiSsEkd
着衣を剥ぎ取られ、豊艶な裸身を荒縄で縛られたハミュッツ=メセタの双乳を、男たちが弄んでいる。
「この柔らかさと弾力ときたら…!」
「まったくです。今回はたっぷりと楽しめそうですな」
硬くシコった乳首を摘み、強く引っぱる。もう一方の乳房もわしづかみ、むしゃぶりつく。荒々しい愛撫に8ライラと半ラアリの巨乳が重たげにたぷんたぷんと揺れ弾む。
年に一度の、各国要人への肉接待。
とはいえ、いつものハミュッツであれば、表情も変えずに余裕で応じていただろう。
だが、今回は−−。
「クッ…!」
口惜しそうに男たちを見上げつつ、唇を噛んで湧き上がる愉悦に耐えている。
「ふふ、いい顔をするじゃありませんか、この女」
正面の男が髪を掴んでハミュッツの顔を引き寄せ、唇を奪う。差し込まれた舌のぬらぬらとした感触を不快に感じつつ、何故か彼女は拒めない。それどころか、自ら舌を絡めていく。

どれほどの手管で責められようと、ハミュッツは容易に陥落する女性ではない。
それは、生来の「被虐願望」「被殺願望」ゆえに、暴力的な辱めで心が折れることが無かったせいでもあったし、マットアラスト=バロリーのせいでもあった。

マットアラストの能力は予知。常に二秒先の未来を見て生きる彼は、口説き落としてからナンパし、イカせてから挿入する。それゆえ、落としうるならばどんな女性も恋に落とし、達する可能性があればどんな女性も悶絶・失神させていた。
そんなマットアラストと同棲していたハミュッツを、尋常の性交で陥落させることは不可能と云ってよい。
そこで男たちは。
「ふふ、『肉林公』バレア二世の秘宝ですよ」
ハミュッツを落とすためだけに、失われた魔術を蘇らせたのだ。
今、男たちの唾液や精液は、一時的にその性質を変容させていた。それはハミュッツの体液と反応して強力な媚薬に変わる。あらゆる毒薬に耐性を持つ彼女でさえ抗えない、ハミュッツ専用の体内媚薬に。
今、ハミュッツは発情した牝犬だった。
0202名無しさん@ピンキー2010/05/19(水) 19:20:59ID:4JiSsEkd
薄汚れた地下の部屋には不釣合いな 大きく豪奢な寝台で、ハミュッツ=メセタは犬のように尻を上げ、後ろから男に貫かれていた。
パシッ、パシッ。
肉体強化の魔術で男の逸物は異様な大きさに膨れ上がっていた。それをリズミカルに叩き込みつつ、男はハミュッツの美尻を平手で打ち据える。
「くっ、あふ、あぁん!」
こらえ切れず、甘い声を漏らすハミュッツ。
男は勝ち誇った笑みを浮かべ、縄目にくびりだされた豊かな双乳を情感たっぷりに揉みしだく。汗ばんだ乳肌は男の掌にぴたりと吸いつき、硬くシコった先端が男の愛撫を欲して熱くうずく。
シーツに顔を埋め、苦悶するハミュッツ。その眼前に。
「これが欲しいですか…」
もう一人が膝立ちになり、肉棒を突きつける。
悔しそうに男を見上げるハミュッツ。
だが、溢れる情動をこらえ切れず、自ら野太い肉茎に舌を這わす。唇を開いて亀頭を咥えこみ、頭を前後動させて太幹をしごきつつ、丹念に舌を絡めていく。
「アン、アフッ、ムグゥ…」
「まるで牝犬ですよ、ハミュッツ=メセタ」
悔しさに涙がこぼれる。だが、男たちの肉棒から先走る汚液は今も膣内で口内で強力な媚薬に変わり、彼女を激しく狂わせるのだ。

「たまらんッ、最高ですよ、この女は!」
パンッ、パンッ。男が腰を打ち付けるたび、ハミュッツは蜂腰をくねらせ、淫らに声を上げる。蜜液たっぷりの膣肉が男のものをキツく締め付け、うねるように絡みついて奥へ奥へと咥え込んでいく。
「ムフ、アフ、ああんッ」
悩ましく腰を遣いつつも、ハミュッツは口舌奉仕を止めようとはしない。片手で皺袋をやわやわと撫でさすりながら、激しく頭を振って肉棹をしごき続けている。先端をちろちろ舐めたかと思うと、根元まで咥えては太幹に舌をこすり付ける。
「おう、上手いですよ、その調子です、牝犬!」
濃厚な奉仕に男は鼻息も荒く、手を伸ばして激しく波打つ乳房を揉みしだく。
荒い息づかいと粘膜の交わる音が薄暗い部屋の中に響き、ハミュッツの喘ぎ声がそれに重なる。甘美で濃密な三重奏。だがそれは、突然にクライマックスを迎えた。
「いくぞ、そら、そらっ」
「おうッ、おおう!」
獣のような唸り声とともに、男たちの肉柱が膨れ上がった。
「……!!」
放出の気配を感じてハミュッツは目を大きく見開いた。ディープキスの唾液や先走りの男汁だけでこれほど激しく欲情してしまったのだ。ここで膣内出しなどされてしまったら−−。
(……わたし、もう、どうなっちゃうのかなあ…?)
だが、彼女の身体は逆の反応をする。膣肉は甘く蠢いて最奥まで男根を咥え込み、唇は強く挟み込んで注ぎ込まれるものを一滴もこぼすまいとする。
そして。
「出ます、出ますよっ、ハミュ…!」
「飲みなさい、全部っ、飲めっっ」
凄まじい勢いで白濁の汚液がぶちまけられる。その奔流を体内に感じつつ、これから生じる激烈な悦楽の波を予想して、ハミュッツ=メセタはその美しい裸身を歓喜にわななかせるのだった。
0205名無しさん@ピンキー2010/05/21(金) 18:47:14ID:+tn9/U7S
今まで抱き枕なんぞ興味なかったが…
代行の枕、買ってしまいそうな俺がいる…
0206名無しさん@ピンキー2010/05/22(土) 12:29:53ID:OALKYpcY
代行の抱き枕とかマットしか喜ばねーよ・・・と思いつつちょっと欲しい
0207名無しさん@ピンキー2010/05/23(日) 21:18:06ID:OBzpkLc2
マットさんがハミの抱き枕…
オパーイ部分に顔埋めてハァハァ幸せそうにしてる姿が
思い浮かんだ
0208名無しさん@ピンキー2010/05/24(月) 17:31:50ID:gh0IRf+6
>マットさんがハミの抱き枕…

こっちの方が正確な表現だな
0209名無しさん@ピンキー2010/05/24(月) 23:17:40ID:SXnMT0mI
>「戦う司書」よりメスゴリラこと、ハミュッツの抱き枕カバーが登場
吹いたと同時にゴリラの群れの中に全裸で放り込まれる代行を想像した
0213べんど君の日記・12010/05/27(木) 03:32:24ID:JKN/PrBN
ある雨の日、資材置場に捨てられていた僕はチャコリー姉さんに拾われました。
「こいつ、ベンド=ルガー。よろしくネ」
僕に『家族』が出来ました。


「いいお湯だったわねえ」
バスタオルを巻いただけの格好でハミュ姉さんが台所に入ってきました。ハミュ姉さんは最年長の29歳。洗い物をしていた僕に、その豊艶な身体をこすりつけるようにしてコップを取り、僕のすぐ隣で冷たい水を美味しそうに飲み干します。
大きくて柔らかそうな胸が揺れ、バスタオルが外れてしまいそうです。風呂あがりの上気した肌の色っぽさ。胸の谷間もあらわで、僕は気が動転してしまいます。
慌てて台所を出て行く僕を、ハミュ姉さんは不思議そうに見送ります。
「変な子ねえ…」

部屋に戻ると、僕はズボンを下ろします。
はぁ、はぁ、はあぁ。
さっき見た光景が脳裏に焼き付き、僕を激しく駆り立てるのです。夢中で右手を動かす僕。
そのとき−−。
「面白いこと、してるのねえ」
うぎゃ。
「……なんで固まってるのかなあ」
ぐぎゃ。
「ほら、見ててあげるから続けなさいよう」
ぶぎゃぎゃ。
ハミュ姉さんがドアのすきまから覗いています。
姉さんは上に白いシャツを羽織っただけのいつもの格好。下は下着しかつけていません。
姉さんは僕のベッドに腰掛け、床の僕を見下ろします。
僕は固まったまま、動けません。蛇に睨まれた蛙というのは、こういう状態を云うのでしょうか。
「……できないなら、してあげよっか?」
いたずらっぽく微笑むと、ハミュ姉さんは脚を伸ばし、むき出しの僕のものに触れます。
反応してはいけない。その思いとはうらはらに、僕のものはびくんと膨れ上がります。熱く硬いそれを、ハミュ姉さんは足指で器用に弄びます。太幹に沿って強くしごき、裏筋を撫で、先端をこすり上げるのです。
ううッ。
巧みすぎる愛撫に、こらえ切れず、熱いものが噴出します。ハミュ姉さんはそれを手で受け止めると、さも美味しそうに舐め取ります。
すごく満足そうなハミュ姉さん。
でも僕は、家族を性の対象にしてしまった申し訳なさと、自慰を見られた恥ずかしさ、足でイカされた情けなさで、深く深く落ち込んでしまうのです……。
0214べんど君の日記・22010/05/27(木) 03:33:59ID:JKN/PrBN
「なんだよ、ベンド」
家事を終えるとすぐ部屋にこもるようになった僕を、オリビア姉さんが見舞ってくれました。
オリビア姉さんは次女。態度や口調はぶっきらぼうですが、いつも僕を気遣ってくれます。
「ハミのやつと何かあったのか?」
そして勘も鋭いのです。姉さんは僕をベッドサイドに座らせ、自分も横に座ると、
「ん、どうした。姉ちゃんに言ってみな?」
優しく話しかけてくれたのです。


……ッ。
いつも優しいオリビア姉さん。
それがどうしてこんなことになっているのでしょう。
僕は訳も分からず、ただじっとそれを見ています。
オリビア姉さんが僕の前にひざまずき、白くしなやかな手で赤く充血した僕のものをしごいています。
「こうかい…。ここが気持ちいいのかい?」
そうささやいてこちらを見上げます。
無言でうなずく僕に、
「もっと良くしてあげるよ」
オリビア姉さんはブラウスのボタンを次々と外し、ブラを下にずらします。ぷるんっ。大きく弾む豊かな乳房。そのまぶしいほどの白い乳肌に、僕の心臓は爆発しそうです。
むにゅ、すりすり、むにゅむにゅ。
何ということでしょう! オリビア姉さんは両の乳房の間に僕のものを挟みこむと、それを乳房でしごき始めたのです。あまりの柔らかさと気持ちよさに、僕のものも爆発しそうです。
「ハミのやつほど巨乳じゃないけど、あたしのも結構立派だろ…。それに形だって…」
暴発を懸命にこらえる僕。
ですが、姉さんは手を休めてくれません。胸の奉仕だけでなく、唇や舌まで使って僕のものを責め始めます。
「……あたしは悔しいんだよ。姉妹の中じゃ、あんたのことを一番に思ってたつもりだったのに、ハミなんかに出しちまうなんて…」
ごめんなさい。神経が一箇所に集中しすぎて、言葉が耳に入ってきません。
むにゅむにゅ。ぺちゃぺちゃ。ぱくり。
ああ、もうダメです。我慢しきれませんっ。
熱いものが体内を駆け上がります。それは凄まじい勢いで噴出し、姉さんの顔と胸とを汚すのです。
二度、三度と噴出は続き、
「ふああぁっ」
でも、姉さんはそれを避けようともせず、その美しい顔に浴び続けます。
ああ、大好きなオリビア姉さん。
「……すごいよ、ベンド」
うっとりした表情で姉さんは僕を見上げます。
落ち込んでいた僕は、こうして立ち直ることができたのです−−。
0215べんど君の日記・32010/05/27(木) 03:36:09ID:JKN/PrBN
「あら、ベンド。また元気になったみたい」
涼やかな笑顔を向けてくるのは、四女のミレポです。
ミレポは上の姉さんたちと違い、いつも真面目で生活も服装もきっちりしています。うまく話せない僕を気遣い、
「大丈夫。今、思考をつなぐから」
僕の考えを読み取っては、家族に説明もしてくれます。
とても優しいミレポ。聡明で美しく、姉さんたちに負けず劣らず、素晴らしい女性です。
でも、彼女を見ているとときどき考えてしまいます。ほとんど肌を露出しないミレポだけれど、服の下にはやっぱり、白くて柔らかな肢体を隠しているのかな? ハミュ姉さんやオリビア姉さんみたいな、えっちなことをする日もあるのかな?
そんなことを考えていると−−。
「きゃあ!」
突然、ミレポが顔をそむけました。
「ふ、不潔っ」
ばちーん。ひねりの効いた平手打ちに、目の奥で火花が散っています。

ミレポは真面目で、たいへん潔癖です…。
0218名無しさん@ピンキー2010/05/31(月) 14:08:33ID:Z/a5qk4S


ヴォルケンとミレポで是非!!!
お互い初めてで上がりまくって失敗しつつ感動の初合体になったらいいと思うよw
0219名無しさん@ピンキー2010/06/03(木) 03:54:23ID:iCOCjTdJ
代行の枕、顔が残念過ぎる
いつもの挑発的な悪い顔してくれないと
0220名無しさん@ピンキー2010/06/03(木) 04:22:43ID:ddCNe1qG
同感っす〜。
こちらを射るような、挑むような視線で、でも身体の方はエロく悩ましい、
そんなイラストが最高ですなー
0227名無しさん@ピンキー2010/06/27(日) 12:13:03ID:CVmUCwdt
唐突にマットorヴォルケン×ふたなりハミュなんてのを思いついた
遅筆だが書いてみるわ
0230名無しさん@ピンキー2010/06/29(火) 23:58:05ID:qPNxjF/N
そんなマットさんはいやだ
ヴォルケンは女体化ベースならアリ
0235名無しさん@ピンキー2010/07/25(日) 16:13:15ID:465opPRN
代行と死体
性格からすると似合いそうだが絵にしてほしくはないな
0241名無しさん@ピンキー2010/08/06(金) 20:53:00ID:7EEG9Ncq
夏コミでエロい本、出ないかなあと思って、とらで検索かけてみた。
検索ワード「戦う司書」
対象「18禁含む・男女とも・在庫切れも表示」
結果・・・『該当する商品が見つかりませんでした』

くそっ、では 「ハミュッツ」では どうだ!?
結果・・・ひっかかった!
2冊、といっても同じサークルだが。
それも、よろず本(キャッツアイとかNARUTO、おお振り)の中に、ハミュッツが犯られるマンガとイラストが載ってる形
(「戦う司書」オンリー本じゃなくて)。
・・・いや、よろずでも この際、買っちゃうけどもネ。。


ちなみに、「ミレポ」と「ノロティ」もやってみたが、ダメだったよ・・・。
0243名無しさん@ピンキー2010/08/08(日) 14:23:05ID:UsWWxSAq
>>242
へっ? ちゃんと検索しました? いきなり嘘つき呼ばわりは ちょっと心外なんですが…。
「とらのあな」の同人誌通販ページの「詳細検索」で、「コメント」の項目に「ハミュッツ」と入れて、
「一般・18禁」の項は、「両方」。「男性向け・女性向け」も、「両方」。
「発売年月」は何も入れず、「在庫の無い商品も表示」にチェックを入れて、
あとは「検索開始」をクリックすれば−−−出るでしょ?
(今、もっぺんやったケド、ちゃんと出たよ?)

サークルの掲示板見たら、リクしてた奴が居たし、描き手もOKしてたから、間違い無いと思う。。
ちなみに、検索結果で、左に表示される本のサンプル3枚目(表紙とサンプルが4枚見れる)がハミっぽい。
そっちがマンガで、もう片方にイラストが入ってると、コメント欄に書いてあるよー。

(説明しつこくてすまんです。同人慣れしてる人なら、ぶっ飛ばされそうに長々と…)
0244名無しさん@ピンキー2010/08/08(日) 15:59:38ID:hthHBbTQ
>>243
じゃあ最初からそう書けよ
分かりにくい書き方した上に気持ち悪い煽りとか…無いわ
まあ説明ありがと
0248名無しさん@ピンキー2010/08/09(月) 21:40:38ID:9iUjNd4+
何このスレ
痛い妄想と醜い争いばかりでSSほとんど無いじゃん
期待して開いたのに時間を無駄にしてしまった
0249名無しさん@ピンキー2010/08/10(火) 22:40:27ID:ZMBAO7Gi
昨秋スタートで今春終わったアニメだからなあ
盛り上がるなら去年のうちに人気沸騰してるだろうよ
その不人気が4月以降に一転する筈も無い・・・
0250名無しさん@ピンキー2010/08/13(金) 09:41:52ID:802abAK7
ストーリーも登場人物も、エロ系描いてくれる層と
親和性が高いタイプじゃねーし
0251名無しさん@ピンキー2010/08/13(金) 19:51:23ID:eNJ1rbE2
ストーリーは関係ないんじゃん?
面白ければジャンル問わずH同人誌出てるし
電脳コイルや東京マグニチュードでも
それなりにH本でてた
キャラデザはむしろ、激しくH向き(〃∇〃)

やっぱ面白さが、ね・・
0256名無しさん@ピンキー2010/08/16(月) 19:45:14ID:Askswjh9
身体強化の魔法権利を取得しているとああなる、という仮説を披露
0257名無しさん@ピンキー2010/08/17(火) 19:40:18ID:L+cbLPqD
こういうときはもしも系妄想

ラ板のスレでも見かけた、「ノロティ家の人々」

良家のお嬢様、ノロティ
執事、マットアラスト


てな感じに登場人物を割り振ってみよう
0259名無しさん@ピンキー2010/08/22(日) 08:26:09ID:78crvp/g
代行は毎晩その辺を走り回って虐殺を行う要注意人物



あれ?何処からか石が飛んでk
0264名無しさん@ピンキー2010/08/30(月) 19:26:08ID:LG29VxmJ
代行に強姦とかごほうびになってしまう予感
おしおきする側で・・・
0268名無しさん@ピンキー2010/09/14(火) 14:35:36ID:TMhM+ONc
>>267
予知能力で確実に孕むタイミングで射精するんですね。
マットさんパねーっス。
0269名無しさん@ピンキー2010/09/14(火) 22:30:28ID:4qAYP/X3
いや
並の男の精子じゃ
代行の卵子にたどり着いても受精させてもらえんぞ
0283名無しさん@ピンキー2010/11/29(月) 06:26:00ID:XID2OQ3W
0284女帝2010/12/02(木) 19:09:28ID:3BUW0E/H
ノロティの生気と若さ一気飲み。チュルルルルー。
0285女帝2010/12/02(木) 23:43:26ID:3BUW0E/H
ノロティの若さと生気チュルチュルチュル
0286名無しさん@ピンキー2010/12/05(日) 14:08:31ID:KfNMVU3q
年齢はミレポの方が若いんじゃなかったっけ?
0287女帝2010/12/05(日) 23:54:32ID:tNPXu9KH
セクシーでピチピチしててもう一瞬でこの小娘の体中のエキス平らげたい。 年もちょうどよい頃じゃ。
0292バイ亀仙人2010/12/08(水) 09:38:26ID:C+09I2OK
ノロティちゃんのお尻スリスリしたい。
0295名無しさん@ピンキー2010/12/10(金) 07:04:04ID:FAUIvO2x
おれ、褐色娘は大好きだけど、ノロティじゃ抜けんよ
なんかエロい目で見ちゃー悪い気がするー
0296質問2010/12/10(金) 12:33:07ID:zpVlUdPg
褐色肌とか色白とかどうしてそんな肌色に拘る人が世の中多いのですかね?
気になりますか皆さん。美男は美男 ゲスはゲス。美人は美人 ブスはブスでしょう?
0297話が脱線しますが。2010/12/10(金) 12:51:03ID:zpVlUdPg
戦う司書やアニメだけの話じゃなくて現実世界でもよく言われるのが例えば「色白は七難隠す」とか骨董無形ですよ。実体験でそう感じる。 どっちもそれなりの長短があるんじゃないの?

司書スレから脱線してすいません。
0299名無しさん@ピンキー2010/12/11(土) 01:20:20ID:gVJ0A9Ex
>>296
リアルと違って、二次元じゃ外見でキャラの内面を表現しがち
「眼鏡」+「三つ編み」+「巨乳」、どれも外見だけど、性格や口調まで
もう想像できちゃう
小麦色の肌やポニーテールも同じで、それだけでヲタは活発なコを
連想し、その時点で好意を持ったり嫌ったりする
だからパーツ(属性?)は大事なんだと思う
0300名無しさん@ピンキー2010/12/12(日) 21:56:22ID:7eb3tSLx
>>295
俺もそう思ってたけど、画集のパンツと特典小説のストリップで目が覚めた
あのお腹はエロい
0301名無しさん@ピンキー2010/12/17(金) 16:52:34ID:F6LJ7Qhe
そうじゃなくて、死に方がむくわれない感じでさ
ノロティも好きだけど、彼女の死んだあとも一途に思ってる無愛想男も
わりと好きなんで、どうもエロネタにできない

>>20-21 みたいなSS、また見たいなー
0302名無しさん@ピンキー2010/12/21(火) 07:27:59ID:zpPZVTZf
エンリケよりザトウの方がエロ向きだよ
性格・能力ともにレイプマン
ザトウ×ノロティ、ザトウ×アルメなら、原作の延長でかけそうじゃん?
0305名無しさん@ピンキー2011/01/05(水) 00:33:45ID:2+J1+DVq
10代のハミがヤリチンに仕込まれていく過程が見たかった
アニメは違ってたけど
0307名無しさん@ピンキー2011/02/07(月) 01:35:40ID:BPKIjE3c
あげ
それにしても人がいないのよ
0308名無しさん@ピンキー2011/02/07(月) 01:56:32ID:BPKIjE3c
パンツマンが女性司書の寝室に鋼海潜行でぬるりと侵入
相手の体内でアレだけ実体化させて、代行やミレポやノロティを
レイープするSS、誰か書いてー
0312名無しさん@ピンキー2011/02/15(火) 21:52:47ID:yV4lhnYM
書きたくはあるんだけど何せエロパロにならん。
ただの漫才で終わってしまうんだ。
0314名無しさん@ピンキー2011/03/02(水) 07:06:40.39ID:KKlM91jF
あげ
0316ミレポとヴォルケン2011/05/09(月) 22:49:23.64ID:47MvAv3E
投下します。文章力は糞です。すいません

ここはバント―ラ図書館のある部屋である。 ミレポックは今日、ずっとここで書類の整理をしていた
もうすぐ、片付くところで、代行が部屋に入ってきた
「ミレポ、お仕事お疲れねえ。」
代行が飲み物を差し出して来る。
「代行・・ありがとうございます」
多分、紅茶かなんかだろう。ミレポックは、それを飲み干した。
「ん・・これは何ですか?ずいぶん甘いですね」
「ふふふ・・効果はすぐ出てくるわよう。なんせ、マットのイチオシの媚薬だからねえ」
「なっ!?」
体が熱くなってくる。体の内側から、求めてる
「代行!こ、これ、は、早く、治して下さいっ!」
「ふふ、治せと言われてもねえ。」
「た、助けて下さい・・む、むずむずします・・」
ミレポックは、顔を赤らめながら、下腹部に手を伸ばしている
続きは<<317
0317ミレポとヴォルケン22011/05/09(月) 22:51:35.91ID:47MvAv3E
「た、助けて下さい・・む、むずむずします・・」
ミレポックは、顔を赤らめながら、下腹部に手を伸ばしている
「助けてもらうなら、ヴォルケンにでも助けてもらえばどうなのう?」
「・・ヴォルケン・・・」
「ふふ、じゃあねえ」
そう言って、ハミュッツは部屋から出てった
「ヴォルケン・・」
ミレポックは、思考共有を試みた
(ヴォルケン・・た、助けて。ひゃ、早く来て)
(ミレポ!?どうしたんだ?大丈夫か?)
思考共有が切れた。ヴォルケンはミレポックに何かあったのかと
心配する。ヴォルケンはミレポックの声が、いやに艶やかだったのに
気付かずに、部屋へと走る

部屋に着くと、ミレポックが床に横たわっていた
「ミレポ!どうした!?」
ミレポックが顔をあげた。色っぽくヴォルケンを見つめていた
誤字あったらすいません
続きは誰かに任せた
0320名無しさん@ピンキー2011/05/16(月) 08:56:17.65ID:QNCzH9QK
>>316-317
GJ! しかし中途で終わってるのが残念だ
いいとこで終わってるので早く続きを頼むよ
0321名無しさん@ピンキー2011/06/04(土) 19:56:36.69ID:dmiv7lcG
続き期待アゲ
0323名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/23(木) 03:40:56.32ID:mOhPXHJV
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」

 過去神様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
 汚れを知らない心身を飾るのは、錠前型の紋章。
 スカートのプリーツは乱さないように、胸のウサギのアップリケは揺らさないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
 神立バントーラ女学園。
 ここは、乙女の園。
0325名無しさん@ピンキー2011/06/24(金) 07:12:46.72ID:vfILSVp6
武装司書って変人揃いだからな
黄薔薇ファミリー向きなキャラばっかで
紅白がいないぞ
0326名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/06/24(金) 08:42:38.07ID:hlCxbVlR
紅薔薇
ハミ・ミレポ・ノロティ・テナ

白薔薇
ロリイレイア・ユーリ・キャサリロ

黄薔薇
ビザ子・マットアラス子・ユキゾ奈・ヤンクゥ子
0330名無しさん@自治スレで設定変更議論中2011/07/02(土) 15:33:59.74ID:eoh279J5
新作記念アゲ
0335名無しさん@ピンキー2011/08/06(土) 23:59:49.55ID:5CwqDCDM
遅ればせながら、ここにもいる。
再放送が始まったら、人増えるといいな
0336名無しさん@ピンキー2011/08/15(月) 11:14:14.87ID:KndlWpRX
さらに一人いる
が、相変わらずSS投下どころか小ネタもないのかよ・・・
0337名無しさん@ピンキー2011/08/16(火) 07:11:45.62ID:4Caaha+y
原作もアニメも終わってんだからもう忘れられてるんだろ
読みたいなら自分で書けばいい
0340名無しさん@ピンキー2011/08/17(水) 09:34:54.03ID:hCYjTDJP
>>339
男性キャラに輪姦されて孕む代行
性転換に抵抗が無いなら女体化してそれを見て欲情した誰かに犯されるマットorヴォルケン
0346名無しさん@ピンキー2011/08/23(火) 05:58:14.09ID:4qf8aDqE
ノロティの乳首を舌先だけで弄ぶ代行とそれを覗いて顔を赤らめつつ魅入ってしまうミレポたんw
0350名無しさん@ピンキー2011/08/28(日) 00:25:22.02ID:KjJ7q5uF
ミレポん:「すりこぎみたいなモノって一体…」
マット:「じゃあ俺が一から性教育を」
0354 忍法帖【Lv=6,xxxP】 2011/09/08(木) 23:30:55.97ID:zKkXe9cV
エロまでおよそ2.3回かかりそうなので、保守代わりの投下だと思ってください。
その回の投下終了時に、終わりとレスします。
他に投下したい方がいたら、気にせず投下お願いします。
0355 忍法帖【Lv=6,xxxP】 2011/09/08(木) 23:33:46.18ID:zKkXe9cV
【Honey's Book】
 過去神バントーラに託された「本」の管理を担う職業。
 それが武装司書と呼ばれる者たちである。
 武装司書は、特権的な地位とそれに見合う報酬を受け取る存在であるが、実力が到達し
た一握りの者しか武装司書になることはできない。

 ブロンドの美しい色の髪をした女は、眉間にしわを寄せ首を振った。
 武装司書を束ねる存在である館長代行ハミュッツ・メセタとまた連絡がつかなかったか
らである。
 実力、知能ともに最高クラス、しかし性格に大きく難アリの館長代行は、面倒くさいこ
とは嫌いと公言し、政治的に必要なことは片腕とされるマットアラストと溜息をついた女
性、ミレポック・ファインデルに任せきりであった。
 武装司書は常人に比して絶大な力をもっており、神に託された任務として秩序を守るべ
く、国同士の争いに依頼の有無に関わらず仲裁、調停などといった干渉をする。それは各
国の思惑を邪魔することであるから、主権国家としては武装司書を厄介な存在として疎ま
しく思っている者がいるのも当然であろう。
0356 忍法帖【Lv=6,xxxP】 2011/09/08(木) 23:34:54.55ID:zKkXe9cV
各国の首脳部は、せめて文句をハミュッツに直接言いたい、と言ってくることが多い。
もちろん、それは自国の権利主張の正当性を訴える目的なのであるが、大抵はエゴに満ち
たもので通るはずもない。
 どちらかといえば、せめて一言文句を言わせろ!といった要素のほうが強いものである。
 実効的な調停や根回しは、マットアラストやミレポックで事足りるが、こと感情的な問
題では、ハミュッツが出てこなければ解決、というか相手も納得しない。
 
 そんなわけで、ミレポックはつい先ほどまでバントーラ図書館、上層階の執務室で軍事
国家の大統領から抗議の電話を受けていたのだ。
 
 「代行にも困ったものだわ」
 「お疲れ様、ミレポック。お茶とお菓子で一息いれなさい」
 ため息をついたミレポックに人のよさそうな恰幅の良い女性が話しかける。
 テーブルの上には湯気の上がっているティーカップとさまざまな形と飾りつけされた
クッキーの乗った皿が置かれている。
 「ありがとう、イレイアさん」
 ミレポックはデスクを離れ、テーブルへと移る。 カップに白い手袋が伸び、口元へ運
ぶ。
 「美味しい」
 鼻腔に涼やかな風が流れる。
 「衛獣たちを相手にするのとは違う疲れがあるでしょう。多少気がまぎれるハーブを入
れたのよ」
 イレイアがにっこりと微笑む。
0357名無しさん@ピンキー2011/09/08(木) 23:36:17.85ID:zKkXe9cV
 ミレポックは微かに口元を緩め笑顔を返す。ティーカップをソーサーへ置くと、思わず
ため息が出た。
 それを見てイレイアが、一瞬眉を寄せた。
 ミレポックの武装司書以前の軍人という経歴ゆえか、「仕事人間」と身内で評価される
彼女である。その彼女が勤務時間中にため息というのは、彼女を知る者であれば心配に値
する出来事なのだ。
 ミレポックは、やや天を仰いだ視線をテーブルへ落とし、クッキーの皿へと手を伸ばし
た。
 しかし、それを遮るかのようにデスクの上の電話のベルがけたたましく音を上げた。
 ミレポックは手を止め、立ち上がる。デスクへ向かおうとすると、イレイアがそれを制
した。
 「ミレポック、しばらく私が代わるわ。ちょっと下の”本”を書庫へ戻す業務を手伝っ
て来てくれるかしら」
 ミレポックは電話へ意識を向けながら、首を振る。
 「いえ、これは私の仕事ですから」
 「いいえ、私たちの仕事よ。」
 それまでの柔和な雰囲気とは違う、凄みと表現するしかないようなイレイアの発した気
配がミレポックの体をなぞる。
 実力では武装司書で5本の指に入り、司書の見習いたちに師として生きる術を教え、時
に母として、姉として強く在るイレイア。役職上ではハミュッツが最高位であるが、その
存在感と包容力は武装司書の精神的な支柱といっても過言ではない。
 そんな彼女は、武装司書として、最上の状態であることを武装司書たちに求める。そこ
から外れる者には、犠牲をいとわず任務を執行する武装司書としての厳格さをもってあた
る。
 「……わかりました。少し下に行ってきます。」
 イレイアはうなずくと、デスクの電話を取った。ミレポックは一礼をすると執務室を後
にした。
0363 忍法帖【Lv=7,xxxP】 2011/09/11(日) 13:11:16.43ID:YuaV8vmo
続き投下します。
今回もエロまでいかないですが、
次回でラスト予定なので、投下いたします。
0364 忍法帖【Lv=7,xxxP】 2011/09/11(日) 13:11:55.01ID:YuaV8vmo
 下へ降りると、”本”の返却業務で返却係はごった返していた。
 こういった一般的な業務は一般司書が行っている。
 ミレポックたち武装司書が下の返却業務ですることとは、”本”を書庫へ戻すことだ。
 降りてきたミレポックを見つけると、男の一般司書がガラガラと本を載せた台車を持っ
てきた。
 「それは?」
 「すべて、第1封印迷宮のものです」
 神によって創造されし図書館である。その人間の記憶を追体験できる”本”の管理は、衛獣とよばれる魔法生物の徘徊する迷宮内の書庫でなされている。
 迷宮は1層から4層まであり、その衛獣の危険性は深さに比例する。
 第1封印迷宮はもっとも浅い階層であり、武装司書となるためのの条件として、踏破が
義務付けられる迷宮である。
 戦闘能力に秀でていないとされる武装司書であっても、ここの踏破を達成しているとい
うこと。それは例外を除いて、相当の技量を持つ戦士と互角以上であると思ってよいだろう。
 ミレポックは戦闘よりも支援型の武装司書であるが、中堅といっていい実力者である。
第1封印迷宮で不覚を取る危険性は皆無といって良い。
 倦んだ身体を使うのには、最適ともいえる。
 「戻してくるわ」
 ミレポックは台車を受け取り、迷宮の扉へ向かった。
 
 扉まで十数歩のところで、封印迷宮の扉が開かれた。
 扉の奥から一人の男が、台車を転がしてきた。ミレポックの横で立ち止まる。
0365 忍法帖【Lv=7,xxxP】 2011/09/11(日) 13:13:24.56ID:YuaV8vmo
 「今日は盛況のようだな。応対はすんだのか?」
 大地と陽光によって混ざりあった萌ゆる草を思わせる髪と、強い、実直さが伝わる瞳を
もった男に見つめられ、ミレポックはわずかに鼓動が高鳴るのを感じた。
 「イレイアさんが代わってくれて……」
 普段は言いよどむことの少ない彼女が、彼の前ではまるで少女のような間をとってしま
う。
 「そうか。イレイアさんがそう指示したなら、それが正解なのだろう」
 「ええ」
 男は、ミレポックの台車を眺める。
 「少なくはない量だ。同行したほうが良いか?」
 その申し出は、任務に忠実であり、同期である自分に向けた言葉というだけであること
は、わかっている。それでも、ミレポックの胸に、柔らかな暖かさが胸に満ちる。
 自分の感情に目をそむける抑制的な彼女だ。それでも高鳴りを気取られる気がして、彼女は無難
な答えを思いつき、答える。
 「その……全部第1迷宮のものだけど」
 「そうなのか?」
 男の言葉にうなずくミレポック。
 「それならば、不要か」
 男はミレポックの実力に敬意を払って、満足げに緩やかに目を閉じ微笑んだ。
 男の反応に、うなだれたくなるミレポックだったが、実力を認めてくれていることは嬉
しくもあった。こういう人なのだ。そして、こういう彼だから。
 「ええ。それでは」
 台車を再び押し出して、迷宮への扉をくぐろうとすると声が飛んできた
 「業務が終わったらパンケーキをノロティたちが作るらしい。良い蜂蜜が手に入ったの
だそうだ。良かったら来るといい」
 特別な意味は含まれていない。同僚としての言葉。
 それなのに、やはりミレポックの中で確かに鐘が鳴った。
 「ええ、戻ってくるころには丁度いい時間だろうし、寄らせてもらうわ」
 ミレポックは素っ気無く、その音が聞こえぬよう、足早に台車を再び押し始めた。
0366 忍法帖【Lv=7,xxxP】 2011/09/11(日) 13:22:08.35ID:YuaV8vmo
 第1迷宮の衛獣といっても、並みの兵士ならば大変な相手ではある。そこは武装司書であるミレポックだからこそ、”問題がない”のである。
 だが、一級司書とされる者と比べて劣るのはもちろんのこと、同格の三級司書であって
も戦闘、それも肉体強化に属する能力を有するものに比すると身のこなしは雲泥の差とい
わざるを得ない。
 台車にある本をあらかた戸棚へ戻し、返却すべき”本”も残り数数冊というところだった。
 泥をまき散らす衛獣が現れた。 魔力を減衰させ疲労感を与える泥を左右に移動しつつ距離を詰める。
 残り数歩の距離まで詰めたときに、衛獣がなぎ払うように泥の飛沫を飛ばした。咄嗟に身を伏せ、回避したミレポックだが、片手剣を持っている手を下げるのが遅れ、手袋に汚泥がついてしまった。
 しかし、被弾に注意を向ける躊躇は、瞬時に戦闘力が落とされない限り、不要のもの。
 その泥が効果を示し始めるより先に、片刃の剣が衛獣の身体を切り裂いた。
 手袋についてしまった泥を一瞥すると、僅かに頬を引きつらせ皮肉な顔をした。無傷はもちろんのこと、汚れることすらしないで回ることができる者もいるのに、と。
 もちろん、ミレポックとて自らの能力に自負はある。
 ただ、それでも強さにひかれないわけでもない。
 「替えは……」
 本を扱う時には、触れないよう手を覆う。本の保護の面からも自らが本に入り込まないためにも必須である。
 普段のミレポックであれば、過去の軍務経験からも替えを複数用意している。
 しかしながら、執務室での作業では、それほど替えを用意する必要性がなかった。最低限の用意として、1対をそれでも持っていたのはミレポックの性格ゆえだろう
 「……気になるところだけど、戻るほどではないわね」
 白い手袋に、透明感すら感じる整えられた爪と白い指を通す。
 片方の手で、手首の辺りまで絞るように引っ張り、装着する。
 汚れのないその手袋の色に、かすかに満足感を覚えるとミレポックは次の本棚へ向かった。
0367名無しさん@ピンキー2011/09/11(日) 13:25:10.78ID:YuaV8vmo
以上です。
最後だけ、ちょっと長めになりそうです。では。
0368最後尾の名無しさん@3日目2011/09/11(日) 16:17:10.48ID:R7SmFpmb
乙です。最後も楽しみです♪

一応つっこんでおくと、図書迷宮の階層が逆ですね
第六書庫 一般司書でも入れる
第五階層(第五封印迷宮&第五封印書庫)
  ここを単独で踏破できるのが武装司書になる条件
  |
  |
第二階層(第二封印迷宮&第二封印書庫)
  ここを単独踏破すると一級武装司書
  キャサリロやヴォルケンと互角な衛獣が出現
  「天国」があるのもこの第二封印書庫
第一封印迷宮&第一封印書庫は過去神バントーラしか入れない
0369 忍法帖【Lv=7,xxxP】 2011/09/11(日) 16:42:28.60ID:YuaV8vmo
>>368
訂正、ありがとうございます。
封印迷宮と書庫の番号が入れ替わる?とか
地下1階?とか考えていたら混ざってしまいました。
感謝です。
0370名無しさん@ピンキー2011/09/12(月) 17:46:46.79ID:/jVb/2N/
保守代わりの投下っていうから もっと間隔あくかと思ったら
意外にテンポよく投下されてて嬉しい
H突入、楽しみにしてるっす!
0375 忍法帖【Lv=11,xxxPT】 2011/09/23(金) 17:13:03.98ID:f2ZW/x3u
お待たせしています。
すみませんがもう少しかかります。
0378名無しさん@ピンキー2011/09/26(月) 21:08:58.39ID:mOh+Ki+A
よく考えたら「本」取りにいったら
「本」持ったまま衛獣と戦いながら戻ってくるんだな

余裕で勝てないと「本」が割れる
0379名無しさん@ピンキー2011/09/27(火) 08:02:45.99ID:9EPxgjaw
わたし待ーつーわ
いつまでも待ーつーわっ

>>378
ハミ&マット・・来るのが見えているので楽々回避
モッカニア・・鉄壁の黒蟻防御
おばちゃん・・止めちゃう
ヴォルケン・・幻をおとりにして遠距離攻撃
エンリケ・・体はって本守れ(で 超再生)
キャサリロ・・両手に本を持ったままで十二丁斉射
ルイーク・・鋼鉄化して受け止めろ
ノロティ・・逃げろ
ミレポ・・−−4階より下はやめとけ
ボンボ・・−−芋食ってろ!(図書館来んな)
0381 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:22:55.26ID:C9BLWKt1
 「これで最後」
 最後の本を戻す戸棚の前へ身体を向けたときだ。
 暗闇の中から風を切る飛翔物の音。
 ミレポックが後方へ跳躍すると、飛翔物がミレポックのたっていた場所を過ぎ去り射線
の先で乾いた衝突音が上がった。
 片手剣を鞘から抜き、飛翔物の飛んで来た方向を見る。
 食虫植物のような姿形をした衛獣がそこにいた。草の根に当たる部分を緑色の蔦上のも
のが蠢き、腕にあたる部分がアケビ形になっている。そこから、種のような物を飛ばして
きたのだとわかる。
 顔に当たる部分は、チューリップのような、すぼまった花のようなものがあり、花びら
の先の部分の口から毒々しい色の液体が垂れている。
 「また液体系ね。ふう……」
 獣系の衛獣の攻撃は第5封印迷宮であれば打撃がほとんどで、ある程度の経験があれば
無傷で戦うことが可能だ。
 また無機物系の衛獣も、この階層ならば物理的な攻撃を行うものがほとんどであり、戦
闘経験を積めば触れられることなく倒すことも可能である。
 だが、先ほどの泥や今現れた植物型の衛獣は低層でも厄介な攻撃をしてくる。
 すなわち、回避が困難でかつ疲労感や魔術使用へ悪影響をもたらす攻撃をしてくるので
ある。直接の威力は、獣や無機物より微弱だが、こういった攻撃は深層まで行って戻って
くる時や深層へ向かうときに響いてくる。
 もちろん、こういった衛獣の攻撃すら回避する者達もいる。
 しかし、ミレポックが回避できるかは五分五分といったところだろう。
 先ほど飛ばした種子のある触手と逆の触手のあけびが開いて、種子が飛んでくる。
 その射撃を掻い潜り、第一射を放った方の腕へ回り込み触手を切り落とす。
 外見の緑色よりも黒ずんだ粘液が切り口より、どろりと垂れる。
 衛獣の頭部に当たる部分が痛みを感じたような叫びをあげ、ミレポックめがけて叩きつ
けるように落ちてきた。
 切りつけた体勢のまま腰を落としていたミレポックはその体勢から移動できる最善の手
段として、左足に力を込め、右へ転がり体勢を立て直す。
 目標を失った衛獣の頭は、床に叩きつけられた。と、その反動で跳ねた頭から先ほどの
体液に紫の混じった液体が飛び散った。
0382 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:24:23.69ID:C9BLWKt1
 「く…うっ!」」
 ミレポックが顔に飛び散ってきそうな液体を咄嗟に、手で払った。液体と布が反応し、
焦げたような煙が立つ。服の一部にも液体が跳ね、煙が立ち昇っている。
 知性の低い衛獣なので、自らが傷つくことも理解せず頭部を振り落とすという攻撃をし
てきたのだ。だが、その愚かさ故か、自ら打ち付けた頭部の痛みで、まだ床に頭部を這わ
せたまま身体を震わせている。
 ミレポックは、剣を僅かに引くと衛獣の頭部を撫で斬りした。
 一瞬、身体を大きく縮めると薄布が空を舞うようなゆったりとした速度で、触手と茎に
当たる部分が床へ崩れ落ちた。頭部だった部分から、体液と毒性の液体がまざったものが
床へ広がる。
 ミレポックは手袋に空いた穴を眺めた。布から浸透した部分の傷はあるが、重大な損害
というほどではない。
 「一緒に来てもらうべきだった?」
 やや自嘲気味に、そして、誰にも聞かれない場所だからこそ、ふとそんな言葉を呟いて
みる。
 その言葉を素直に言うことができたら、と思わないわけではない。
 けれど……。
 そんなことをしばらく思った後に、衛獣が消えた通路を見回した。
 台車にある一冊の”本”。
 これを早く返さねば。
 
 空想も良い。だが、戻れば彼が待っている。
『正確には、彼も待ってくれている、だけど。』
 などと思いながら、ミレポックは本を手に取った。
 そこで手袋に空いた穴が本に触れた。
 世界が遠のく様な感覚のあと、再び広がる視界。
 
 ミレポックの頬が朱に染まっていた。
0383 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:28:37.38ID:C9BLWKt1
 この図書館で働く者にとって、一般の人間の本を読むことなど物好き以外では、まずし
ないことなのである。それは、そんな事をしていては仕事にならないからでもあるし、ま
た、職務の対象となってしまっているからでもあるだろう。
 だが、その人物の”本”は。
 
 くすんだ焦茶色の髪をしたその少女は、ある男に恋をした。その少女は、15歳くらいだ
ろうか。
 その男のことを好きで、しかし未熟な彼女はそれを表現する術が分からなくて、ただ苦
しんでいた。
 話したい、触れたいと思うのに男が他の者といるときに、気取られたくなくて恥ずかし
く思って、距離をとってしまう。
 しかし、男と会うと嬉しくて、その男と言葉を交せただけで足取りが軽くなる。
 
 どうと言う事もない普通の少女の物語。
 
 けれど、恋愛について少女と変わらないミレポックは、その気持ちの追体験から、本か
ら手が離せなくなった。
 それは、”本”ではない書物の物語で続きが気になり、ページをめくるという行為と同
じである。
 だが、物語と違う、その人物にとっての現実は近似する感情をもっている者には、どう
しようもなく誘惑的である。その少女の恋の行方を見たいと思ってしまうことは、必然と
もいえる。
 
 少女が自分の気持ちを制御できない感覚、それをどうにか誤魔化そうとする拙い言動。
あまりに自分だと思った。ミレポックはこの少女をまるで自分だ、と思ったのだ。
 ミレポックは少女に成りきって、彼女の刻を辿った。
  
 少し肩を強張らせ、周囲を見回す。ミレポックは壁際まで台車を押すと、そこに腰掛け
息をついた。
 
 今まで、汚らわしくすら思っていた行為。
 けれど、あの気持ちを辿った後ならば、分かる。
 ぼうっとした熱が身体の奥にある。
0384 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:29:36.12ID:C9BLWKt1
 本の少女の純粋さとひたむきさを思い出し、そして、行為の高揚感を思い出す。
 
 ミレポックは思う。
『私は、彼が好き』
 
『だから、彼と。』

 ミレポックは本で見た光景に”彼”を重ねた。
 すると、彼女の内部にある熱が大きくなったのを感じた。
 想う相手と擬似的に結ばれる願望を叶える行為を思い出す。
 本の中の少女が、自らを静めていた行為。
 衛獣の出現間隔からすれば、この場所には当分現れない。
 また、ここは奥の迷宮へ行くために通る部分とは別の、”本”を返すためにしか訪れな
い領域でもある。
 誰に見られる心配もない。
 疼く熱を感じて、自らの身体を抱きしめる。
 こういう気持ちで、他の女性たちもしていたのね、などと分析的に思いながらも ミレ
ポックは肌の見える手袋を外すと、ベルトを緩めズボンのボタンを外し、上着の留め具を
解く。
 緩めたズボンの中へ、そっと右手を滑りこませる。そして、中指を下着ごしに垂直に這
わせる。
 発泡酒が肌を流れるような、微弱な刺激が身体に広がる。
 次に人差し指を、中指とは異なった向きに動かすと、その泡は快感の細波となって、ふ
くらはぎに。両腕の内側から外側へ刷毛でくすぐられた様な感覚が走る。
 「んッ……」
 繰り返すたびに、彼女の身体に熱が帯びていく。
 息遣いを乱しながら、やや明るい緑色のタイを緩める。黒雲を思わせる色合いのブラウ
スを上から3つまではだけると、彼女らしい淡い色合いの下着が覗く。
 下着の突端部分は、乳房の頂点の隆起とともに普段より隙間ができていた。
 下着と肌の間へ、ミレポックの手が滑り込む。
 「ふ…ぁ…」
 胸のふくらみの湾曲を手のひらで包み、指と指の間で突起を刺激する。
0385 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:31:43.46ID:C9BLWKt1
 窮屈な隙間のため、爪が引っかかった。突き刺さった痛みと快感が絡み合った糸のよう
に血管を駆けていく。
 快感で身体が震えるのが収まり、再び乳房を弄ぶ。
 また、先ほどの刺激がほしくなり、微かに爪を立て突起を引っかく。
 「――っ…ううん…ん」
 その刺激を強めるために、右手の指が下着の中へと潜みこむ。
 ミレポックの入り口から快感が沁みだす。
 自らの秘部から、湿り気を帯びた音がなることに、恥ずかしさを覚えながらも彼に触れ
られることを、彼と触れ合えることを想像すると指の動きはより強く、力を入れてしまう。
 体が反応し、迷宮の石壁にこすれ、服がたわみ肌に触れることすらも、その刺激への香
辛料となっていく。
 胸に触れていた左手を口元へもっていき、声を抑えようとする。
 秘部にふれていた指からの与えられた感覚が、想像より強く思わず声が漏れる。
 そのとき、僅かに左手に舌が触れ、先ほどの”本”で見た行為を思い出した。
 目を閉じ、左手の中指と薬指を口腔内へ入れ、舌を動かす。
 本の中のあの少女は、彼のために丁寧に、愛おしい人のそれに舌を廻らせていた。
 指の間に舌が触れると、官能的な感触がミレポックにも通る。
 「あっ……ん……」
 彼を悦ばせるためにしていると思うと、口腔内を動くそれに舌を、粘膜で柔らかく包む
行為に没頭し、右手の指も速度が上がっていく。
 やがて、口から濡れた手を胸へ。
 自らの唾液で濡れた指が乳房に触れ、摘む。
 「んっ……や……い、いっ……」
 ミレポックは指の動きを早めていきながら、迫りくる快感が口から迸らないように咄嗟
に上着の襟元を口に銜えた。
 口をついて出る快感は上着で遮られたが、鼻腔から嬌声が漏れる。
 一瞬、頭の中に閃光が爆ぜ、その後その閃光が眩しい奔流となって続く。
 おそるおそる指を動かすと、奔流が激しくなって、快感が続くことが分かったが、ミレ
ポックは手を止めた。
  初めて、味わう感覚に頭が痺れていたミレポックだったが、乱れていた呼吸が戻ると
やがて立ち上がりと服を正した。
0386 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:33:53.11ID:C9BLWKt1
 上着の襟元が自らの吐息で、湿っていたが衛獣との戦いの汚れと見比べれば目立つこと
もなく、また戻っている間に乾くだろうと思った。
 ミレポックは、上着のポケットから布を取り出すと、その布で本を挟み、本棚へと戻し
た。
 ある人にとってはなんの変哲もない人の物語が、別の人の心へ勇気を与える。
 ミレポックは人間の各々の持つ特別性と”本”を作った神に畏敬を覚えながら、台車を
押し出した。
 パンケーキと蜂蜜、そして、蜂蜜の好きな彼の待つ地上へ。
 
 バントーラ図書館の屋根の上。
 ハミュッツ・メセタの黒髪が風にたなびく。
 中庭のテーブルを囲む武装司書と一般司書を見ながら、片方の口元だけを歪める。
 「”誰も見てない”、”誰もいない”けど私は触れていたのよねぇ」
 風に飛ばされぬよう帽子を押さえながらマットアラスト・バロリーが屋根の端に上ってきたのを一瞥する
 「また、悪趣味なことを」
 ハミュッツの表情だけで、どんな情報を得たかわかるのは、付き合いの深い彼だからだ。
 「あら?図書館内のことをしっておくのは管理職の務めよう」
 悪びれもせず、笑うハミュッツにマットアラストは肩を竦めた。
 
 日が傾き朱色の光の混じったバントーラ図書館の中庭には、甘い香りと紅茶の香り、司
書たちの声が満ちている。
 
 了
0387 忍法帖【Lv=14,xxxPT】 2011/10/01(土) 11:38:17.37ID:C9BLWKt1
以上です。
エロ控えめですが、枯れ木も山の賑わいとご笑納くださいませ。
では。
0390名無しさん@ピンキー2011/10/02(日) 09:26:24.60ID:W0Ui+gnt
おお、H編投下されとる!
微エロだけど良SSだな
GJ!!
0391名無しさん@ピンキー2011/10/05(水) 07:34:13.62ID:uDk+rsmI
投下記念アゲ
0393名無しさん@ピンキー2011/10/08(土) 16:20:41.52ID:lGGYem82
キャサリロ、ビジュアル的には好きなんだけど原作だと影薄いんだよね。
なんか恐慌状態になっちゃうし。
アニメだと、キャサリロにスポットあてた話とかあるかな
0394名無しさん@ピンキー2011/10/08(土) 20:05:35.95ID:GRNvuDlu
アニメのオリジナルか
一度しか見てないんで思いつかないなー
ミンスの山賊時代やユーリの透け下着の回って、オリジナル?

アニメって前半5巻までに19話も使っちゃってるんだよね
全27話なのに
結果、7巻(虚言者の宴)はカットされるわ、8-10巻をたった5話で
描くハメになるわでー
キャサリロって7巻登場だから一番わりをくったキャラかも・・

キャサリロいいよね
オリビア告白場面でマットの顔面へのアレとか、オリビアの
Hな話に赤面して制止するとことか、すごい好きだw
0395名無しさん@ピンキー2011/10/09(日) 01:26:53.31ID:bD5Amdx9
宴のキャサリロさんはオリビアに口移しでアーガックスの水飲ませるのがエロかった
0396名無しさん@ピンキー2011/10/09(日) 19:33:35.38ID:ihyuzZpA
なんかスレが伸びてると思ったら久しぶりにSS投下が‥!
GJです〜!  『本』を読んで濡れちゃうミレポックさん、可愛いっスな〜

あと キャサリロさんですけど 何気にコスがエロい!
太ももの内側だけ生脚露出してるし、胸元も大きくはだけて乳をチラ見せしていたり〜
もし『六花』に出ていたら、凶魔の触手があのスキマから入りこんで絶対ヲタ大喜びな展開になると思うんスけど〜(///o///)
0398名無しさん@ピンキー2011/10/12(水) 20:06:41.51ID:46QGGRgD
荒縄の姫君という単語にエロスを感じ取った奴は9割を越えるだろう
0399名無しさん@ピンキー2011/10/12(水) 20:47:36.06ID:dBE2aQ/k
アニメの設定資料に わざわざ「乳ゆれ禁止」と書いてあるのは何故だろう?
0400名無しさん@ピンキー2011/10/15(土) 23:26:49.59ID:OiXJdvyS
乳揺らすような作品でもないしな
でもたまに揺らしてた
0401名無しさん@ピンキー2011/10/16(日) 09:29:22.18ID:wKfnHVZb
代行はいつも胸を出してるのに
周りの男達が全く欲情しないのは理不尽だと思う
0404名無しさん@ピンキー2011/10/17(月) 17:13:17.20ID:oGHL7xJv
>>397
ノロティって原作だと最初はちょっと幼い見た目だったけど
アニメで露出増&巨乳化してからは原作でも巨乳になったよね

>>401
あれはおっぱいじゃなくて大胸筋だから
代行は女じゃなくてメスゴリラだから
0405名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 19:37:08.29ID:fkRIuph8
以前投下された 316-317氏のSSがエロかったので つづきを書いてみました。
(未読の方がいらっしゃいましたら、ぜひ >>316-317 をご覧ください〜)



「ミレポ! どうした!?」
ヴォルケンが駆けつけ、慌てて彼女を抱き起こす。
「身体が…熱いんです……」
「代行に……薬を…飲まされて」
「私、わたしっ、もう…!」
潤んだ瞳で彼を見上げ、カソックの袖にしがみつく。
発熱のせいか、先刻から頭がぼぅっとしている。思考共有もままならない。
「どうした、何があったんだ、ミレポっ」
尋常ならざる同僚の姿に 彼も動揺しているのだろう。彼女を抱えるヴォルケンの腕に力が入った。
間近に迫る彼の端整な顔と吐息。
(ダメ…、見ないでヴォルケン。私…っ)
身体が 下腹がひどく熱い。それは彼女の思考を麻痺させ、
(……ほしい、お願いよ、ヴォルケン……)
思わずミレポックは 唇を重ねていた――。


黒と赤銅色のカソックにしがみつき、強く唇を押しつける。ヴォルケンの身体が硬直した。
「……!」
唇を舌先でなぞり、強引に口中に挿し入れる。おびえる彼の舌をミレポックの舌がとらえ、絡み合った。
「んんっ!!」
「ん、んんーっ」
「…ん…んっ、……ぁはああ」
ようやく唇を離し 彼女は熱い吐息を漏らした。
ヴォルケンは明らかに狼狽している。困惑の表情を浮かべる想い人に、彼女は懸命に思考をつないだ。代行に薬を盛られたこと。強力な媚薬に 身体が発情して抑えられないこと。その他 言葉では伝えにくい想いも 思考共有なら一瞬で伝えることが出来る。
「だから お願いヴォルケン、私を抱いて…っ」
「…ダメだ、今は職務中で」
「我慢できないのよ。お願い、マットアラストさんやフィーキーさんじゃイヤなの! ねぇ、ヴォルケン……」
ミレポックの指が 彼の喉元をなぞる。白くしなやかな指先はゆっくりと喉を伝い、襟カラーのホックを外して胸元に触れた。
「好き……あなたが好きなの、だから…っ」
「………分かった」
すっくと立ち上がり、彼はカソックを脱ぎ捨てた。
0406名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 19:38:10.40ID:fkRIuph8

「ひゃぅッ、ああ! そこ…っ」
「私 すごく感じてるっ、恥ずかしい!」
「好き、大好きよ…、ヴォルケンっ」
可憐な唇から舌先を覗かせ、哀切な言葉を漏らすミレポック=ファインデル。過去神バントーラの眠る神聖な図書館で、彼女は脚を開いていた。
ぴちゃ…ぬちゃねちゅ。
開かれた太腿の付け根に顔をうずめ、ヴォルケン=マクマーニは指と舌とで彼女の秘唇を愛撫する。丹念で優しいその愛撫に ミレポックの愛蜜は太腿にまで伝っていた。
「あぁん、すごくイイ…!」
生真面目で事務的ないつもの口調からは想像もつかない、艶めいたアルトの声が部屋に響く。
いや 声だけではない。
「あぅ、そこ! 好きっ」
愛撫に合わせて 腰をわずかに持ち上げ、太腿で彼をはさみつける。
貪欲に快美を求めつづけるミレポック。
(何て……何て気持ちいいのっ)
(あなたがこんなに上手だなんて……)
(ヴォルケン、……胸も、おっぱいも触ってほしい…っ)
彼女がそう願ったとき。
ヴォルケンは股に顔をうずめたまま、両手を伸ばしてミレポックの胸をまさぐった。乳白色に輝く柔らかなふくらみが強く揉まれ、
「…ぁはっ!」
(ち、乳首……すごく感じ…っ)
ピンク色に染まった胸の頂を指で押し潰され、彼女は切迫したあえぎを漏らす。
ヴォルケンは即座に顔をあげ、
「す、すまない、ミレポ」
彼女を気づかった。
「痛くしてしまったか…?」
ううん、大丈夫。頬を恥じらいに紅く染め、ミレポックは答える。
「あなたはすごく優しくて……素晴らしいわ」
「そうか」
照れくさそうに応じ、彼は愛撫を再開する。
「ああっ、あん…!」
「好きよ……ヴォルケン、そこっ、もっと…!」
甘いあえぎ声が 再び部屋を満たしていく。

だが このとき、部屋の外では 深刻な事態が発生していた――。
0407名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 19:39:06.56ID:fkRIuph8

丹念に口舌愛撫をつづけるヴォルケン=マクマーニ。
「あぁぅ、はうっ」
「いいわ…いいの、……好き!」
「あん、ダメよ そんなとこ……っ」
切ないあえぎ声で彼の愛撫に応えながら。
ミレポック=ファインデルはある想いでいっぱいだった。

(あぁんっ、いつまで前戯を続けてるのよっ)
不満をつのらせるミレポック。
愛撫では身体のほてりは少しもおさまらない。むしろ激しくなっていく。
指先やつま先は冷たくしびれ 感覚が乏しくなっているのに、乳房や下腹は熱くうずき 汗さえかいている。
(……駄目、もう私…っ)
脈動のたびに高まる熱いうずき。それは下腹への強烈な刺激でのみ 癒されるはずなのに。
だが ヴォルケンは一向に先へ進もうとしない。
(ダメよ、このままでは)
(もう私 おかしくなって…っ)
じらされるだけの時間に耐えかね、ついに 彼女は恥ずかしいという思いを捨てた。
「ねぇ、ヴォルケン!」
彼女は叫んでいた。
「お願い、そろそろ……挿入れて…っ」
「……っ!!」
ヴォルケンは硬直した。
彼女の股に顔をうずめたまま、じっとこちらを見つめて動かない。
「私、あなたが…、すごく…欲し……ぁぁんっ」
熱病に侵されたように全身がほてり、もう 会話をするのも困難に思われる。
「ねえ、分かるでしょ、ねえ…!」
(どうして…?)
(女の私から頼んでいるのに……)
中々決断しない彼の姿に、ミレポックはいら立ちさえ感じていた。

(戦闘ではあんなに果断で優秀なのに。もう…、ヴォルケンの愚図っ!)
そう思いつつも 重ねてするおねだりミレポック。
「お願い……私、もう我慢できないっ」
「あなたの、その、堅くなったもので 私を……私に…!」
脚をいっぱいに開き、誘うように腰をくねらせる。
恥ずかしかった。
顔から火が出そうなほど 恥ずかしかった。
(…でも ここまでしないと、この人は……)
そんな彼女の想いが ようやくヴォルケンに伝わり、
「了解した」
彼は上体を起こすと
「俺は今日、お前と結ばれる」
そそり立つものに右手を添えた。
0408名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 19:39:53.61ID:fkRIuph8

「行くぞ、ミレポ」
彼女のすらりとした脚がいっぱいに押し開かれ、そそり立つモノが突きつけられる。
こくり、ミレポックがうなづくと、
「あッ!………うぁ、ん…ふぁぁっっ」
ヴォルケンが彼女の中に押し入った!
「うっ、あぐ…あぁう、痛っっ」
「お願い、もっとゆっくり……ぁああ…っ」
「駄目っ…止めて、私……壊れちゃ…う」
初めて異性を受け入れる痛み。そのあまりの激しさにミレポックは悲鳴を上げる。美しい眉を折り 目に涙をにじませて、ヴォルケンに静止を乞う。
が 彼は止まらない。
「ああ、ミレポっ」
「すまない……でも もう腰が勝手に…!」
先程までの優柔不断から一転、激しく腰を突き入れてくる。膨れあがった先端がミレポックの処女地を蹂躙し、繊細な内部が傷つき 出血しているにも関わらず、
「気持ちいい! すごくイイよ、お前の中……っ」
ヴォルケンは激しく深く 彼女の体内をえぐり続ける。

「あっ、はっ、許し…て、助け……」
彼女は涙に頬を濡らし、哀願していた。
(もう動かさないで……。もう…堪忍して、ヴォルケンっ)
破瓜の痛みの激しさに ミレポックが恐怖さえ感じ始めたとき。
「……行くよ ミレポ、ああっ」
(えっ?)
「……出すよ!……で、出るっ!!」
真っ赤な顔でヴォルケンは叫び、腰を引き抜いた。
ぶぁっ。
何か白いものが宙を舞い、彼女の顔に 胸に付着した。
(え…? え…っ?)
(何…これ、何なの……?)
ミレポックの中で、戸惑いが驚きへと変わっていく。
(まさか、まさか……!)

ヴォルケンは既に 服を身に着け始めていた。
すっきりした顔で彼女を見下ろし、
「すごく良かったよ、ミレポ」
「もう身体は大丈夫だろ」
「俺は職務に戻る。お前も早く戻った方がいいぞ」
そう言って、部屋を出て行った。

一人 取り残されたミレポック=ファインデルは。
(……し、信じられないっ)
(自分だけ先にイッて 女を置いてけぼりにするなんて!
この愚図っ……早漏っ、最低男っっ)
顔と胸とに飛び散る白濁液をぬぐいながら、彼女は 想い人の去った扉を恨めしげに見つめていた――。
0409名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 19:40:53.58ID:fkRIuph8

それから15分後。
シャワーを浴び服を着替えたミレポックが執務室へ戻ってくると、
(……? 何かしら……)
部屋の雰囲気が変わっていた。
同僚たちの様子がおかしい。
彼女の方をチラチラ盗み見ているが、そのくせ視線が合うと目をそらす。奇妙な笑顔を浮かべる者、赤面するもの、ばつが悪そうにうつむく者など、その反応は様々なのだが、誰もが彼女を気にしている。
(ま、まさか……)
彼女の中を不安がよぎる。
(さっきの出来事が覗かれていた、なんてことは……!!)
その不安は数秒後、確信に変わった。
「……代行!」
「はぁい、ミレポ。どうしたのう?」
執務室の奥で 館長代行ハミュッツ=メセタが司書たちに囲まれていた。
「見てたんですか!」
ミレポックが詰め寄るが、
「ちがうわよう。ミレポは根拠もなしにわたしを疑う人だったかなあ」
いつもの笑顔でさらりと否定をする。
機嫌がいいときの肉食獣、そう例えられる代行の微笑。その静かな迫力に、ミレポックは瞬間 冷静さを取り戻していた。
ハミュッツは立ち上がった。
「大勢の人に同時に状況を伝えられるのって、誰かなあ?」
「それは……」
もちろん それは。
ミレポックの内に疑念が生まれた、そのとき。
「代行ー、今度はイスモとロナ公国から、さっきまでの思考共有は何だったんだって電信が……、あっ!」
執務室に入ってきた見習いが、ミレポックに気づくや くるりと回れ右して部屋を出て行く。
(え…? えっ、まさか……?)
両手で顔を覆うミレポック。
にやにや。ハミュッツはますます楽しそうだ。
「そうよう、ミレポは自分で 皆に実況しちゃったのよう」
「な…っ!!」
ミレポックは硬直した。
おそるおそる後ろを振り返り、皆の視線を浴びて真っ赤になる。羞恥のあまり、全身が小刻みに震えていた。
ハミュッツが静かに離れ 両耳をふさいだ、その直後。

「……い、嫌ーーーーーーっっっ」


この日、図書館中の人が その悲鳴を聴いたという――。     (おわり)
0410名無しさん@ピンキー2011/10/18(火) 19:44:33.67ID:fkRIuph8
なんだかエロい方向で終わらなくてすみません。。
ラブラブハッピーエンドは また別の方に期待! ということで・・(汗
0413名無しさん@ピンキー2011/10/25(火) 09:05:30.63ID:5VIGuAFX
ハミュッツ:「白煙号の人たちは可哀相だったわねえ。
 でも脱走はよくない・・」

マットアラスト:「バルコニーに目つきの悪い女が居たろ。
 あいつの名はハミュッツ=メセタ。
 脱走司書専門の殺し屋さ」

ヴォルケン:「こんな狂った図書館には居られない!
 ユックの元へ帰るんだ!」

イレイア:「このバントーラから生きて出るには3つ、
 3年の任期を終えるか、150万ドルの違約金を払うか、
 ……脱走するか、よ」
0417名無しさん@ピンキー2011/11/13(日) 03:49:39.27ID:GodxKzwQ
if 展開で、カチュア不在の世界とかダメかな?
人間爆弾も竜骸咳も蒼淵呪病も起きない、ルルタもまだ飽きない世界
平和すぎてバントーラ図書館の予算が世界各国に削られ、赤字を補うために
ハミュッツやミレポやノロティやイレイアさんが副業すんの
高級娼館バントーラ、どんなプレイも望みのままー、みたいな
0420名無しさん@ピンキー2011/11/26(土) 23:59:08.15ID:CH6CSK3w
上昇。
0421名無しさん@ピンキー2011/12/14(水) 01:33:29.01ID:YGnKKuSO
何故かつい最近戦う司書にハマりここに来ました。
もっと早く知ってればよかった…
>>405さん素晴らしい!
0423名無しさん@ピンキー2011/12/21(水) 20:23:32.41ID:fvsdgnnK
この過疎スレで今頃住人になるやつがいるとわw
アニメやってたときは、今よりはにぎわってたのにな
よそでエロSSあげてた人もいたし
0424名無しさん@ピンキー2011/12/21(水) 20:48:15.06ID:EnBf2EhX
俺は毎日1回はチェックしてるけど書き込みはしてないな
もう誰もSS書かないみたいだし宣言した人も失踪したし、もう終わりかね
0425名無しさん@ピンキー2011/12/22(木) 08:48:26.72ID:3ikAxN7I
あきらめたらそこで試合終了ですよ、と
ボンボ=タータマル体形のじいさんが
0426名無しさん@ピンキー2012/01/01(日) 00:49:28.61ID:YmqlPuI0
あけおめ!
今年は平和な年でありますように‥
エロい司書SSも沢山投下されますように‥
0430名無しさん@ピンキー2012/01/29(日) 21:54:19.56ID:Plw2VuXo
>>429
いまだに保守するやつがいるから

SSが投下されないスレを存続させ続けるのって無意味だろ
0431名無しさん@ピンキー2012/01/29(日) 22:12:15.32ID:g2qr/hbW
ふむ・・・w
0433名無しさん@ピンキー2012/02/08(水) 14:17:23.94ID:/EGLTWhj
ハメッツ・セメターage
0434名無しさん@ピンキー2012/03/02(金) 22:34:59.45ID:b1j9xwLL
アニマックスで再放送してるから
新規住人増えないかなあ
0435名無しさん@ピンキー2012/03/04(日) 03:28:42.75ID:iqdYFxEi
ご新規さんが見に来ても投下も雑談もないですし
オワコンスレだなーと帰っちゃうでしょう
0437名無しさん@ピンキー2012/03/25(日) 01:43:13.49ID:Itxz3/eK
あげ
0438名無しさん@ピンキー2012/03/25(日) 04:13:24.41ID:BcvXeyRC
ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=big&illust_id=7151140
こういうシチュのSS誰か書いてくれよ
いや、どんなのでもいいんだ
司書のSSが読みたいだけなんだ・・・
0439名無しさん@ピンキー2012/03/28(水) 23:34:33.63ID:9qzIblc5
>438
書くのはやぶさかでないが、そのアドレスが見えない。
文章でお題をいただければなんとかしてみるぞ。

文才の有無はまた別だが…
0440名無しさん@ピンキー2012/03/28(水) 23:44:32.94ID:rsQxSlNq
ピクシブ登録してないと見れないな
0442名無しさん@ピンキー2012/04/09(月) 01:02:05.75ID:ix71cTVz
自分はノロティが一押しですなー
恋愛にさえうといノロティが、Hなシチュでどんな反応見せるのか
気になって気になって・・
0443名無しさん@ピンキー2012/04/14(土) 18:17:02.49ID:ga3GI6T7
イレイアさんが若いときって、恋愛とかどうだったのだろう…


0445名無しさん@ピンキー2012/05/21(月) 20:27:35.00ID:DpEP75cW
ほしゅほしゅ

閑古鳥が鳴いてるな
同じ作者ってことで、『六花の勇者』もOKにしないか?
進行中の話があれば 人も増えるかと思うんだが
0449名無しさん@ピンキー2012/07/03(火) 11:47:17.82ID:2xdu/Wmy
若イレイアの輪姦絶叫処女喪失SSはまだですか、そうですか‥‥
0450名無しさん@ピンキー2012/07/16(月) 22:25:18.57ID:jHTMOfUC
ミレポンでどうか
0452名無しさん@ピンキー2012/08/05(日) 23:48:47.43ID:ZBJ+J9t+
約一ヶ月ぶりの書き込みか
0453名無しさん@ピンキー2012/08/09(木) 12:12:31.78ID:mSJ4zUh+
こんなに過疎ってても案外落ちないもんだねえ
他も人いないのかな?
0455名無しさん@ピンキー2012/09/17(月) 23:22:42.07ID:NMIrIWOl
まだSS一つしか無いのか…>>90あたりのコピペ改変も結構面白かったなぁ
0456名無しさん@ピンキー2012/10/15(月) 02:06:54.87ID:nFAGCuz3
ノロティのSS投下期待!
あの夏とかSAOとかとなりの怪物くんとか、声はよく聴けるんだけどね
0457名無しさん@ピンキー2012/10/18(木) 13:25:12.22ID:gqHjQrxY
声は好きだし演技も上手いとは思うが 歌は正直……、じゃね?
ノロティの中の人
0458名無しさん@ピンキー2012/10/29(月) 08:46:04.35ID:Q8PDrb6K
そろそろ『六花の勇者』と合同のスレにしようぜ
SS投下が無いのは変わらんかもだけど、雑談する住人もいないのは
さびしすぎる
0459名無しさん@ピンキー2012/10/30(火) 00:17:40.82ID:tMKEcs6G
その「六花の勇者」がアニメ化されるのを楽しみに待ってます
0461名無しさん@ピンキー2012/11/17(土) 23:38:54.11ID:Eea43inN
もうじき3巻出ますね

ああ、キャサリロさんのエロいの、見たい‥
0463名無しさん@ピンキー2012/12/23(日) 23:29:21.39ID:wJuVDphJ
まだ生きてたのか
0465名無しさん@ピンキー2012/12/31(月) 09:41:04.53ID:fMhMa9AU
キャラは今でも好きなんだけどね
代行エロいしミレポやノロティかわいいし
0468名無しさん@ピンキー2013/01/28(月) 13:57:17.48ID:F6Yhke+H
みれぽん
0469名無しさん@ピンキー2013/01/28(月) 22:40:28.47ID:Nhd0nRYW
代行に子宮破裂ギリギリまで黄色い精液注ぎ込んでボテ腹にしたい
その大きく膨らんだお腹に膝蹴り入れたい
0470名無しさん@ピンキー2013/01/30(水) 15:29:59.02ID:EqUXyZLc
強い女が犯られるってシチュはそそるよな
代行とか攻殻の少佐とか
情け容赦なく徹底的に犯りまくって身もココロもぼろぼろにしてやりたい
0471名無しさん@ピンキー2013/01/30(水) 23:16:36.40ID:2nffciBQ
問題なのは代行が>>469>>470の妄想以上にイカレている
鬼畜なドMな事だ‥
代行みるとエロゲーの鬼畜主人公も可愛らしくみえる。
0474名無しさん@ピンキー2013/01/31(木) 21:06:49.82ID:0mEv8lTT
ハミュッツ−−−爆乳・非処女(同棲経験あり)・死にたがりの変態ドM
キャサリロ−−−微乳・処女(オリビアのエロ話に赤面する位 ウブ)・変人
ユーリ−−−−−美乳・たぶん処女・癒し系(ユキゾナ限定)・露出狂

共通点がわかりませんw
0478名無しさん@ピンキー2013/02/03(日) 06:03:53.79ID:DRINi9io
自分もイレイアさん大好きっ子だけど、少女時代はもちろん、今のおばさん姿もエロいと思うんだけどなー
0481名無しさん@ピンキー2013/02/06(水) 08:29:05.83ID:WujexkpD
作品スレがあるのに他スレにUPするなんて‥‥
あんさん、鬼でんがな
0482名無しさん@ピンキー2013/02/06(水) 13:57:21.17ID:Hs3QjD7S
だって切断とかのグロ描写メインだったから…
ゴメンネ
0483名無しさん@ピンキー2013/02/07(木) 08:23:22.53ID:vDd9C3yN
それって、どこかの保管庫に入ってる?
見たくてたまらんのです〜
0484名無しさん@ピンキー2013/02/07(木) 13:48:39.47ID:TU7TO8OX
猟奇スレに投下したんだから猟奇スレの保管庫に決まってるじゃないか(・∀・)
0489名無しさん@ピンキー2013/09/26(木) 20:48:35.81ID:Tjqq4/kF
>>488
すまん……
時が止まっている→イレイアさんの魔法にでもかかったか? って思ったんだー
0490名無しさん@ピンキー2013/09/26(木) 20:52:28.90ID:Tjqq4/kF
>>487
ハユハは『六花の勇者』に出てくる「時」の聖者
六花、面白いから機会があったらぜひー
0491名無しさん@ピンキー2013/09/27(金) 02:16:44.64ID:tcouE05/
立花は戦う司書と同じくアニメ化されるまで待つ
0492名無しさん@ピンキー2013/09/27(金) 23:15:14.56ID:rCxad8pu
立花の勇者、なついー

アニメになるのは何年先か……
ロイヤルビッチなナッシェタニア姫は ぜひともゆかなで!
0493名無しさん@ピンキー2014/03/11(火) 05:16:50.08ID:8R+rxm0e
あげ

保守がてら来てみたら、ほんとに人いないのなあ
0497名無しさん@ピンキー2014/07/03(木) 22:30:10.37ID:0dmTs878
蚊で血を吸うのは雌だけで黒い人を特に好むらしい。
蚊じゃないけどきっとノロティを襲ったあのアリも全員レディなのね。気持ち分かるわ。
0498名無しさん@ピンキー2014/07/03(木) 22:50:44.43ID:0dmTs878
ノロティちゃん、あなたのその若さと美しさを・・・ あたしにお捧げ!!
05005002014/07/22(火) 12:39:32.52ID:c6eHp1nE
今、鬼神童子前鬼の (知らない人多いかも世代的に)旅館の女将さん思い出した。
0501名無しさん@ピンキー2014/07/22(火) 15:59:52.17ID:c6eHp1nE
ノロティの女言葉を 聞いてみたい。 「わ、かしら。」とか「のよ。」とか。
0502名無しさん@ピンキー2014/07/22(火) 19:10:54.72ID:c6eHp1nE
一度あったわね確実に。 アーキットを安心させようとした時に。 「もう大丈夫よ。何処から来たの?」 今、一番最初に「かしら」をつけたらどんな感じか勝手に想像してみたんだけど。勿論戸松遥の声で
0503名無しさん@ピンキー2014/07/22(火) 19:18:41.80ID:c6eHp1nE
ノロティがほとんど全部女言葉だったらどんな感じかしら。 カチュアに対して 「信用できないわ。」(信用できないが元)
アーキットに対して 「今から君の手下よ。」(だが元は入る。)「あたしも死にたくないわよ。」 (わが入らない。)
0504名無しさん@ピンキー2014/07/22(火) 19:57:32.03ID:c6eHp1nE
ノロティちゃんを100万円で買った。 この娘の若さと美貌を吸って10年は若返ったわ。
とても美味しかった。逆に美味しすぎて 癖になるのが怖い。
0505名無しさん@ピンキー2014/07/23(水) 00:11:56.40ID:4IzCjmQ4
その妄想力で一筆ノロティもの書いてくれよあんた
0506名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 13:30:32.87ID:gTZvTu2E
女言葉を初期使っていて、後使わなくなったキャラでこち亀のぎぼし纏(名字の漢字わからない)って言うのがいたな。 あれを何というか指標にして色々考えてみたい。
0507名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 13:44:45.00ID:gTZvTu2E
彼女の場合、見てもらえばわかるけど登場回は100%女言葉。ところどころ男言葉を使ってるけど。チンピラに対して「ふざけるな、何処にいるんだよ。出ていきな」とか)はっきり言って無視して良い範囲。
後期は真逆に女言葉の欠片もない。平気でバカヤロウとか使うし。
ある意味まるで真逆の別人だ。
0508名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 15:20:45.23ID:gTZvTu2E
ノロティちゃんと戦う司書と全然関係無いアニメとキャラクターの話で悪いけど、たちまちアニメ・・こち亀(いつも思うが長いなこの作品の無略タイトル)のぎぼし纏って言う一女性2次元キャラを参考にして戦う司書のノロティ・マルチェちゃんを考えて行きたい。と思う。
0509名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 16:31:08.06ID:gTZvTu2E
方言を考えなければ、日本語の場合男言葉・女言葉の差異が存在する。自分をさす一人称も英語や中国語やロシア語などの地球を代表したり幅を聞かせている言語とは違って複数存在し、男と女の区別がある。(さらにその中にそれぞれ男女さを強める為の一人称が複数。)
0511名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 16:56:07.89ID:gTZvTu2E
その発音した言語が 与えるその人への自己内部意識の男女変化が他者から見た男らしさ女らしさを醸し出すんだと思うが。纏の場合、正直男言葉を使っている時は、フェロモンの出る存在では無いよな。
ノロティちゃんの場合、男言葉女言葉関係無く彼女の醸し出す女性らしさは誰が見ても一目瞭然だと思う。 これはやっぱりその人の持つ、ここではノロティちゃんの自己意識が根底から女性そのものだからだと思う。
0512名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 22:32:02.72ID:SDQOUeEs
おもしろい
その妄想をSSにするんだ
0513名無しさん@ピンキー2014/07/26(土) 22:33:32.43ID:SDQOUeEs
おもしろい
その妄想をSSにするんだ
0514名無しさん@ピンキー2014/07/27(日) 22:54:38.13ID:1cqohZ+Q
ノロティちゃんの場合、内面もピカピカに綺麗で外見も綺麗だったのにそんな人なかなかいないわ。
ダルトムのバカヤロウ。こんな素晴らしい素材を殺しやがって。
0515名無しさん@ピンキー2014/08/02(土) 05:16:31.36ID:uBc9aLmC
このスレまだあったんすね
とっくに落ちてると思ってたw
0516名無しさん@ピンキー2014/08/02(土) 21:26:51.86ID:YQ32IeEQ
今こち亀見てるけど、ホント初登場回と後期では纏ちゃん全然違うわ。 初登場回で両さんに食ってかかる場面あるけど、「彼女達は関係無いでしょう。」って叫ぶところなんかまさに 女らしさ丸出しだと思う。

後期であんな書き方ひとつも無いし。 まるきり別人だ。
0517名無しさん@ピンキー2014/08/04(月) 15:39:17.33ID:tXfzn+Iu
暑いよ毎日暑いよ暑すぎるよ
武装司書って各自いつも同じ服きてるけど、暑い日はたいへんだったろうな
ミレポックの軍服すごく暑そう・・・
ハミュッツ白Yシャツが汗で透けて、ノロティも白いタンクトップだから透けるよね?
二人ともブラつけてるのかな・・・
でも一番キツそうなのはイレイアおばさんだ、だってあれだけ太っ
0518名無しさん@ピンキー2014/08/04(月) 23:25:56.35ID:lZhSbFR0
ノロティのドレス姿見てみたい。
0519名無しさん@ピンキー2014/08/04(月) 23:51:05.05ID:tXfzn+Iu
ノロティはあれ(南国踊り子風コス+荒縄)だけだもんね・・・
それに比べてミレポックは優遇されてるなあ、いつもの軍服に加え
純白ドレスやバスローブ姿もあったし
あとユーリの透け好けランジェリーもえろかった・・・
0520名無しさん@ピンキー2014/08/05(火) 19:14:46.77ID:Vu3DXSob
ノロティの水着姿が見たい。 ハイレグ・ビキニ両方。
0521名無しさん@ピンキー2014/08/05(火) 19:17:00.52ID:Vu3DXSob
ノロティの白いタンクトップって何だ。 露出丸出しの一種類の服しか書かれなかったと思うが。
0522名無しさん@ピンキー2014/08/05(火) 20:43:29.59ID:UunsDzCo
ごめん、小説とアニメごっちゃになってた
短いチョッキの下、アニメだとビスチェっぽいけど小説だと肌着(タンクトップ)
だったんだ、露出もややひかえめで
小説は正月に読み返したんだけど、アニメしばらく見てないからイメージが
まざってた、すまない・・・
0523名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 02:06:52.24ID:mqgBXBSS
小説とアニメでは服の露出だけでなく、 性格も違うな今見たら。 小説の方が色々考えてる。表現できる差が違うからって面もあるけど。
0524名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 02:25:44.51ID:mqgBXBSS
内面が完全にピカピカなのもアニメ版だけですな。 初登場の本の表紙の冷血漢みたいな表情がそれを物語ってる
「ふざけるなみんなあたしに殺せ殺せと攻め立てる。」なんてセリフアニメじゃ絶対想像つかない。 てか合わない。
0525名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 02:34:43.73ID:mqgBXBSS
隣の怪物の絵はこの巻では無いけれど、 後々の小説版ノロティの悪の意思を想像した。
話変わるけど、付き合ってみたいのはアニメ版のノロティだな自分は。
0526名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 02:59:18.37ID:EaOAbBxT
盛り上がってるな
誰かショートでもいいから一本・・・
0527名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 03:09:48.04ID:mqgBXBSS
この作品の事実上?の主人公は結局3人だろうな。
まずハミュッツ。 次にノロティ・そしてミレポック。
0528名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 03:15:45.58ID:mqgBXBSS
目立っているのはこの3人。 ノロティは特に目立っている。Wikipediaでは名を連ねる人物の一人として全く目立たぬ真ん中に途中に書かれているだけだけど。
この作品の看板娘である事は疑う余地無い。
0529名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 03:20:13.51ID:mqgBXBSS
ラストはミレポックの語りで作品完結するから。 ハミュッツメセタとノロティが主人公だったこの作品だが。真の主役はミレポックだったのかもしれない。
0530名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 03:28:09.62ID:mqgBXBSS
しかしWikipediaを見ててそうするしか無いんだろうけど、ノロティが人物紹介で全然目立たない位置の一人物としてしか書かれていないのは 違和感あるなあ。
0531名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 12:44:55.67ID:xOCZdDSz
久しぶりに来たら落ちてなくてビックリなんですが、こんなに人がいて またビックリです。
短いのをひとつ書いてみます。517氏のレスに妄想を刺激されたのでw
0532名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 12:45:37.80ID:xOCZdDSz
「ノロティ=マルチェに水を飲ませる。ノロティ=マルチェに水を飲ませる」
司書見習いの男がふらふらと歩いている。
「ノロティ=マルチェに水を飲ませる。ノロティ=マルチェに水を飲ませる」
男の手には奇妙な形をしたグラスと水差しがひとつ。
「ノロティ=マルチェに水を飲ませる。ノロティ=マルチェに水を飲ませる……ノロティ=マルチェに……水を……飲ませた」
そうつぶやくと、男は図書迷宮に姿を消した。


第六書庫にある武装司書の休憩室はこの日、異様な熱気に包まれていた。
比喩ではない。実際に暑いのだ。冬でもないのに三台ものストーブが置かれ、その上では赤銅色のケトルがコポコポシュッシュッと湯気を噴き上げている。そのため、さして広くもない室内は すでに真夏のような暑さになっていた。
蒸し風呂のようなこの部屋に、十名ほどの男が集まっていた。
エンリケ=ビスハイル、ガモ=ロッソ、ルイーク=ハルトアイン、ビザク=ジーグラス、ヴォルケン=マクマーニ……。一国の戦力にも匹敵する、バントーラが誇る強者たちだ。その彼らが一様に、緊張と興奮に頬をこわばらせている。
「本当なのか、マットアラスト」
話しかけられた男は パイプを片手に不敵に笑った。
「……信じろ。今まで俺が 嘘をついたことがあるか?」
男たちは言葉を失い、互いに顔を見合わせた。
0533名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 12:49:20.75ID:xOCZdDSz
うだるような猛暑の中、ただじっと男たちは待ち続けていた。
ダラダラと汗が流れ落ち、彼らの足元に小さな水たまりが出来た頃。
ついに そのときは訪れた。
「待たせたわねえ」
休憩室に姿を見せたのは 館長代行ハミュッツ=メセタ、そして武装司書見習いノロティ=マルチェだ。
「そこで会ったから連れてきたわよう。それにしてもすごい暑さねえ」
「申し訳ありません、代行。二時間 我慢してください」
「分かってるわよう」
まるで緊張感のない声で ハミュッツは机上の文書に目を落とす。

話は前日までさかのぼる。
神溺教団の擬人による襲撃があったのは昨日正午過ぎのこと。それは五分にも満たぬ戦闘で殲滅されたのだが、その際 彼らが武器に未知の病原菌を塗布していたことが判明したのだ。
研究部門の夜を徹した分析の結果、その菌は長時間の高温多湿によって死滅することが分かり、戦闘に参加した者は全員 今日ここで滅菌処置を受けることになっていた。

五分が過ぎた。
二人はいつもの格好――ハミュッツは男物の白いワイシャツと紺のズボン、ノロティは白い肌着の上にチョッキを羽織り、下は短いズボン――という軽装だったが、さすがにこの暑さに早くも玉の汗を浮かべていた。
汗を吸った布地が透けていく。
「すげぇ…ッ」
男たちは息を飲んだ。
濡れて透けたワイシャツがみっしりと肌に貼りつき、ハミュッツの身体のラインをあらわにしていた。
下着も透けている。ハーフカップの白いブラに包まれたその双丘は 濡れた布地ごしに圧倒的な存在感を示し、
(H……いやTカップか)
(手のひらに収まりきらねえ爆乳……、くそっ、揉みしだきてぇっ)
心の内でそんなことを叫びつつ、彼らは女上司の肢体を凝視しつづけていた。
と そのとき。
「全くひどい暑さですねえ」
マットアラストが切り出した。
「どうです、代行。服を全部脱がれては」



(つづく―――後半は明日か明後日にでも)
0534名無しさん@ピンキー2014/08/06(水) 22:46:21.95ID:5wWq+fRJ
あーやっぱエロい身体してんなあ代行って
おっぱいタプタプしたい
0535名無しさん@ピンキー2014/08/07(木) 02:03:10.24ID:IjALJ/Rj
ノロティもな
0536名無しさん@ピンキー2014/08/07(木) 02:56:13.06ID:IjALJ/Rj
格好も常識的な小説版ノロティ。
0537名無しさん@ピンキー2014/08/07(木) 03:15:00.13ID:+vzdySQe
>>533
GJ
続きも期待してる
0540名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 12:49:19.97ID:91MPI8bL
「どうです、代行。服を全部脱がれては」
とんでもないことを さらりと口にする。
(…………ッ!!)
武装司書たちは絶句した。
過去神バントーラの代行者にして最強の武装司書、ハミュッツ=メセタにそんなセクハラまがいのことをして、ただで済むはずがない。
たとえマットアラストでも殺される。半殺しか全殺しか。いや この部屋にいる他の者も。まとめて病院送りにされてしまう……。
そんな彼らの心配をよそに、
「汗を吸った服を着ているのは不快ですし、体にもよくない」
平然と自身のスーツを脱いでいく。
「やはりこっちの方が気持ちいい」
「さ、代行も早く脱いだほうが」
「それとも俺が脱ぐの 手伝ってさしあげますか」
重ねて催促するマットアラスト。
困惑しつつ見守る武装司書たち。が、彼らはある事実を思い出す。
(……この野郎、見えてやがるのか!?)
マットアラストは予知魔法使い。常に二秒先の未来を見ながら生きている。その彼がこうも危険な綱渡りをつづけているということは――。

あきれたように彼を見ていたハミュッツだったが、ほどなく
「言われなくてもそうするわよう」
(…………ッ!!)
およそ信じられない返答に 皆がどよめいた。
周囲の熱い視線を浴びながら、彼女は汗でベタついた服をゆっくりと脱いでいく。
ハミュッツの指がシャツのボタンをひとつふたつと外していく。ふぁさり。ごく軽い音をたてて、男物のシャツが床に落ち、それにズボンと下着が続いた。
今 ハミュッツが身に着けているのは、右手首に巻いた投石器と 素足に履いたサンダルだけ。
(マジかよ、信じられねえ…!)
(……暑さでおかしくなったかな、俺)
ある者は我が目を疑い、
「おいどうなってんだよ、マットアラスト!」
ある者は同僚に詰め寄った。
屈強な猛者たちに取り囲まれた男は、だが涼しい顔で
「何だ、濡れ透けだけで満足だったか?」
「お前、一体何を………」
「―――虚構抹殺杯アーガックス」
「………ッ!!」
「代行とノロティには先刻あの水を飲ませてある」
不意に告げられた戦機に、武装司書たちは驚愕した。
0541名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 12:50:18.16ID:91MPI8bL
追憶の戦機のひとつ、虚構抹殺杯アーガックス。
かつて懲罰天使たちの用いたこの戦機で、彼はハミュッツの脳からある情報を消去していた。
それは、羞恥の意識。
女は 異性の前では肌を見せないという恥じらいの心だ。
その心を奪われたいま、ハミュッツは楽園時代の人々と同様、寒ければ服を着、暑ければ裸になる、そんなおおらかな心持ちになっていた。
「ま、せっかくの機会だからな、利用しない手はない」
そう言って彼は キザったらしく片目を閉じてみせた。
「すげぇ、凄すぎるぜ、この野郎!」
「お前はやっぱ天才だよ」
「うむ、わしは昔から知っておったがの」
そう盛り上がる男たちの目の前で。

「ほら、君も早く脱ぎなさいよう」
ハミュッツがノロティの服を剥ぎとりにかかっていた。
「いえ、わたしは南国の出身なもので、このくらいの暑さは平気なんですけども」
「やせ我慢はいいから。見てるこっちが暑くなるのよう」
あざやかな手際で 一枚づつ着衣を剥がされていく格闘少女。
少女の黒褐色の肌のうえを ハミュッツの白い指が這いまわり、
「フフッ、可愛いわねぇ、ノロティ」
「あん……、ダメです……そこっ」
見せつけるように、二つの肢体が絡み合う。
ハミュッツの爆乳に押しつぶされる、ノロティのまだ堅く控えめな胸のふくらみ。しっとりとなめらかな白い肌と こんがり灼けたピチピチの肌。むっちりと熟れた太腿と 引きしまったカモシカのような脚。
そして、山百合の花のように見事に咲いたハミュッツの花弁と まだ固い蕾のままのノロティ……。
極上の美女と可憐な少女のたわむれを、誰もが息をひそめて見守っていた。
0542名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 12:51:19.79ID:91MPI8bL
「――何をしてるんですか、何をッ!」
甘美なたわむれを破ったのは、アルトの叫びだった。
「執務室に居ないと思ったら、まったく!」
「――こんなところで!」
「――そんなことを!!」
グインベクス帝国軍の軍服をかっちりと着こなしたレモン色の髪の少女が、気がつくと休憩室に入ってきていた。
冷ややかで鋭利な視線が室内を一瞥し、熱にうかれた一同を現実へと引き戻す。
(ゲッ、ミレポ……!)
(怒ってる――)
(マジ、怒ってる、殺される……!)
真面目すぎる三級武装司書の出現に、男たちはちぢこまる。
そして 無駄としりつつ、みっともない言い訳を始めた。
「なあ、ミレポック。これには深い深い事情があるんじゃ」
「……そうそう、話せば分かる」
「詳しい説明は 責任者のマットの方から――」
身振り手振りを交え、大汗に冷汗まで混えながら、男たちは弁明をつづけたのだが。
「………は?」
この思考共有使いの少女には かけらほどの感銘も与えてはいない様子だった。
男たちを無視し、彼女は言った。
「代行!」
「なぁに、ミレポー」
「やめてくださいっ、そんな風に身体を密着させていたら、適切な滅菌が行われません! ほら ノロティ、あなたもっ」
「あ、ごめんなさい、ミレポックさん」
「もう 分かったわよう……ちょっとおふざけしてただけだわよう」

修羅場を覚悟していた男性武装司書たちではあったが、
「……おい、マットよ」
「なんですか、ビザクさん」
「お前もしや、ミレポにも水を?」
ここに至ってようやく、計画首謀者の用意周到さに気づかされていた。
0543名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 12:52:12.81ID:91MPI8bL
「さあ、より完全な滅菌のためだ。服を脱ごうか、ミレポ」
「そうですね。了解しました、マットアラストさん」
言われるまま疑うことなく、少女は軍服を脱いでいく。
ハミュッツの じらすようにゆっくりと脱いで見せるストリップもよかったが、軍人らしいミレポックの迅速な脱衣も悪くない。
「おおっ」
「おおおぅ!」
「うおおおおーッ」
先輩司書たちのどよめきと雄叫びがあがった。
普段は口うるさく堅苦しすぎる少女の一糸まとわぬ姿の、なんと美しいことか――!
透けるように白い肌とレモン色に揺れる髪。
しっとりと実った乳白色の双丘と 悩ましくくびれた細い腰。
下腹にはレモン色の飾り毛がそよぎ、そのすぐ下にぴったりと閉じ合わされた未通の秘花がたたずんでいる。
「………どうかしたんですか、皆さん?」
不思議そうな表情で男たちを振り返るミレポック。その肌はじんわりと汗ばみ、レモンの芳香が漂ってくる気さえした。
「綺麗だよ、ミレポ……」
そうつぶやくヴォルケンは 鼻と口とを手で押さえている。
その手元からボタボタと赤いものが流れ落ち、ほどなく 少年は自らの血だまりの中でやすらかに気を失った。
0544名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 12:53:12.61ID:91MPI8bL
「やれやれ、まだオードブルだってのに……」
仲間に抱え起こされる後輩を見下ろしながら、マットアラストはうそぶいた。
「まだ先は長いぜ、みんな」
バントーラ・ストリップ劇場、そのこれからの出演者の名を告げていく。
キャサリロ=トトナ、レナス=フルール、テナ=ターナ、ユーリ=ハムロー……。さらに 見目良い一般司書にも水を飲ませるよう、武装司書見習いのリズリー=カロンに命じてあった。
その言葉に 休憩室内は本日最高の熱気に包まれた。
「な! レナスさん!?」
「ひゃっほう! レナス=フルールも……っ」
「俺、あの女性 すごい好きなんですよ、マットアラストさん」
やはり一番人気は彼女だったか。
まあ無理もない。レナス=フルールと云えば、ミレポックでさえかすむほどの美女。
身体の線の出ないゆったりした服を着ていても 隠し切れない豊満な双丘と、折れそうなほど細い腰。
そのうえ、優しく包みこむような母性そのものの性格に、ときおり見え隠れする大人の女の悩ましげな表情まで加わっては、惚れない男の方がどうかしている……。
そんなことを考えながら、マットアラストは解説をした。
「昨日の戦闘のあと、服を修繕に出した者もいるだろ。そのとき感染したかもってコトで 彼女に連絡してある。
………ん、もう二時半か、そろそろレナスの来る頃だな」
トントン。
遠慮がちに扉をノックする音がした。
喜色満面。皆の熱視線がそちらへ集中した、そのとき。
どさりと音を立てて、マットアラストの長身が床に崩れた。

全武装司書中、最も不意打ちに強いこの男を、人知れず一撃で倒す。そんなことはハミュッツにさえ不可能だろう。これは かつてない異常な事態といえた。
だが その異変も、色欲に浮かれた者たちには気づけない。
そして。
マットアラストが失神してから、きっかり二秒後。
扉がひらき、入ってきたものは――。
肥満した体をのっしのっしと揺らしつつ、おだやかな笑顔で歩いてくる全裸の老女。
しわだらけの肌には無数のしみが浮き、醜くたるんだ腹の肉がたぷたぷぶよんと波を打ち、そしてその下腹には。下腹には…………。


この日 バントーラ図書館は現有戦力の半分を一時的に喪失し、その回復には 実に十日を要したという……。

                               (おわり)
0545名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 22:18:14.76ID:KrHrpiMJ
ノロティ丸裸? 何着せようか。 ドレス、着物、ハイレグ、ビキニ。チャイナドレス、日常の洋服・・・
ノロティなら何着ても似合うね。当然ですが。
0546名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 22:35:48.09ID:KrHrpiMJ
今フジテレビの世界名作劇場の七つの海のティコ思い出した。普段はスイマーでラフな格好をしている主人公ヒロインだけど、
0547名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 22:39:31.35ID:KrHrpiMJ
今フジテレビの世界名作劇場の七つの海のティコ思い出した。普段はスイマーでラフな格好をしている主人公ヒロインだけど、一回ドレスを着て美少女コンテストに出て優勝した事があります。
0549武装司書の休日2014/08/09(土) 23:00:36.73ID:KrHrpiMJ
今日はタイトル通り武装司書の休日。 武装司書にも仕事として会社としての休日が当然存在する。 各武装司書個人個人は単独であるいは集団で各々の休日を楽しんでいた。
0550名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 23:10:32.19ID:KrHrpiMJ
町中・・・ エンリケは約束した待ち合わせ場所でノロティを待っていたが。 約束した朝8時になっても来ない。
「遅い・・・」
エンリケが一人で呟きながらイライラし始めた時
「エンリケさんごめんなさい。」 「おいノロティ。何してたん・・・。」 そこまでいいかけて エンリケは言葉を止めた。
0551名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 23:18:40.37ID:KrHrpiMJ
目の前にいるノロティ・マルチェが普段とは全く別人の格好をしていたからだった。 普段の荒縄姿と戦闘用衣装を脱いでそこにいたのはピンクのフリルの着いた女の子らしい服を着ておめかしをした一人の 美少女だった。
0552名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 23:26:31.56ID:KrHrpiMJ
「エンリケさん、待たせてごめんなさい。身支度に時間かかっちゃって。言い訳ですよね。」 「お、おぅ。」 エンリケは声が出なかった。と言うか出すのを忘れてしまった。普段の服装と異なるのは当然なのだろうが、それにしてもついうっとりしてしまう。
0553名無しさん@ピンキー2014/08/09(土) 23:32:03.19ID:KrHrpiMJ
「えへへエンリケさん驚きました?この格好。あたしも仕事以外はこんな普通の女の子らしい服装するんですよ。似合ってます?自信あるんだけどなあ。」
眠いから明日以降。
0555名無しさん@ピンキー2014/08/10(日) 00:47:51.29ID:nLP0eeFe
「ノロティ、お前美少女コンテストに出ろ。」町を歩きながらエンリケは言った。「???いきなりなんですか?エンリケさん」
「お前ならトップスリーには確実に入れると思う。(と言うか、直感では優勝だと思うが・・・←心の中でのセリフ)」
0556名無しさん@ピンキー2014/08/10(日) 00:57:40.67ID:nLP0eeFe
美少女コンテストの日。
エンリケ始め武装司書一同と共に会場へやって来たノロティ は用意されたドレスを着てソワソワしていた。「ウフフフ」 女の子らしい感情を遠慮せず出しながら皆の前で踊るノロティ。それを見てエンリケは再度思った。 「何故か不安は無い。」
0557名無しさん@ピンキー2014/08/10(日) 01:07:56.91ID:nLP0eeFe
コンテストが開始された。各地から集まった少女達が続々集結する。 全部で30人位いるだろうか。1人1人の顔を見てみると、やはりノロティは間違いなく最後まで勝ち残るだろうと思われる。主催者の説明曰く、1次予選2次予選3次予選の3段階で優勝者を決めるらしい。
0558名無しさん@ピンキー2014/08/10(日) 01:15:02.06ID:nLP0eeFe
予選通過者の発表が行われた。 1・2次予選を通過して3次予選まで残ったのだった。 そして・・・
「それでは今年の栄えある1位を発表致します。
本年の優勝者は・・・ノロティ・マルチェさんです!!」
0559名無しさん@ピンキー2014/08/10(日) 01:20:33.85ID:nLP0eeFe
「パチパチパチパチ」武装司書の仲間を始めとする観客と周りの美少女の勝者を称える拍手を浴びながらノロティは顔を赤らめた。 エンリケの直感はあたっていた。やはりノロティの美貌とスタイルは他の少女と比べて郡を抜いていた。
0560名無しさん@ピンキー2014/08/10(日) 23:59:13.30ID:5jrYsWj7
ふたつもSS投下されるなんざ夢のようだ・・・
面白かったよ、二人ともGJ!

ただせっかくのSSなんだし、ちゃんと投下しようぜ
10レスにも満たないものを数日に分けたり、数行づつで連投したりしないで
ちゃんとまとまってから投下した方がよいよ
0561名無しさん@ピンキー2014/08/14(木) 17:23:22.65ID:fNLzezwS
1日で書ききるのは難しいし、長すぎるのはエラーになるから な。 次は最後にあの世にいるノロティのエピソードを書こうかと思う。
0562名無しさん@ピンキー2014/08/18(月) 02:22:57.97ID:uu3hqdtK
ここはあの世。所謂死後の世界です。 あたしの名前はノロティ・マルチェ。花の17歳です。 これからもずっと永遠に。
0563名無しさん@ピンキー2014/08/18(月) 02:38:45.67ID:uu3hqdtK
あたしはこっちの世界に来る前つまり皆さんが年を重ねる世界、所謂皆さんから見た言い方の「この世」で17歳まで生を重ねました。
私達からすればこっちが「この世」で皆さんが年を重ねる世界が「あの世」なんだけど、一般的な言い方をさせてもらうわね。
0564名無しさん@ピンキー2014/08/18(月) 02:45:00.57ID:uu3hqdtK
あたしはこの世で武装司書って呼ばれる 権力組織に入った。 そこで戦う戦士として鍛錬を積んで今こっちにいる仲間達や今も向こうにいる仲間達と共に戦ったの。
いろいろあったわね。楽しい事辛い事・・・
0565名無しさん@ピンキー2014/08/18(月) 02:57:51.78ID:uu3hqdtK
皆さんあたしの女喋りどうですか? こっちの世界に来てから言葉を全部女喋りにする事にしたの。似合うかしら?
えへへ、まだなれないわ。
こっちの世界では苦しい事は何にもありません。欲しい物は簡単に手に入るし。 さっき、立派なドレスを沢山手に入れてきたところです。
0566名無しさん@ピンキー2014/08/18(月) 03:10:12.04ID:y3NMNO52
キモイ
0567名無しさん@ピンキー2014/08/19(火) 22:13:26.01ID:0eNRRMcm
キモくてもいいよ別に。約束は果たしたから。
0568名無しさん@ピンキー2014/08/20(水) 02:09:17.31ID:fjFW+Y3+

俺は良かったと思うで
0570名無しさん@ピンキー2014/08/22(金) 23:59:02.38ID:6dCIPpYU
乙であります!
あの世というか、仮想臓腑内の話にすれば色んなSS書けそうだね
ハミュッツの「本喰われ」も併用すれば、ルルタ内でのコリオとシロンの
イチャラブとかも
0571名無しさん@ピンキー2014/08/23(土) 19:30:08.51ID:Ii/pgQZM
キモいのは何がキモかったのか言ってくれたらありがたい。
0572名無しさん@ピンキー2014/08/23(土) 21:40:03.54ID:Ii/pgQZM
ノロティに足りない物を考えたら女の子が着るドレス(に限定はしないが一つの例えね)とかみたいな服装と、女喋り・女言葉だと言う事に気がついた。劇中で、女の子らしいドレスとかは作品の性格上仕方ないとしても、女喋りや女言葉は必要だったと思う。
0573名無しさん@ピンキー2014/08/23(土) 21:46:27.80ID:Ii/pgQZM
ノロティの場合、言うまでもなく外見も内面も美女キャラだったし。 完璧な外見にさらにプラス要素の女の子らしい服装は前述の通り作品の性格上仕方ないとしても、内面にプラスする女喋りは必要だったと考えた。
0574名無しさん@ピンキー2014/08/25(月) 23:57:43.64ID:2cH8DO9K
キモイとかウザイとか、あまり殺伐とした空気になるのは いやっすねえ
過疎スレなんですし、まったり行きましょうよ
0577名無しさん@ピンキー2014/09/01(月) 21:27:53.76ID:Rz3cTwM8
美少女コンテスト云々書いたけど、戦う司書人気投票かなんかでもノロティは1位だったんですよ。
0578名無しさん@ピンキー2014/09/01(月) 21:44:35.25ID:Rz3cTwM8
2冠達成!! 後何か一つあればノロティちゃんの3冠王達成の可能性です。 まあこの時点で勝ち越しですが後一つが何かにもよるがノロティちゃんなら3冠狙える可能性は高い。
0579名無しさん@ピンキー2014/09/09(火) 23:01:30.19ID:DNqv7XQ9
久々に来たら盛り上がってて嬉しい!
ところでフィーキーさんがもし水着美女だったら色々ハレンチなこと
になりそうとか変なこと考えてしまった。
0580名無しさん@ピンキー2014/09/11(木) 12:07:53.08ID:n+FfWh0L
ミレポは原作の罵倒シーンのせいか、実はとてつもないドSのイメージがある。
というわけで、酒に酔ってドS女王になったミレポがヴォルケンのMを開花させる
SSを誰か書いてくれませんか
0581名無しさん@ピンキ−2014/09/11(木) 23:41:38.46ID:ciLqB/1K
罵倒シーン、、、思い出せん、、、あったっけ、、、
0582名無しさん@ピンキー2014/09/12(金) 06:59:06.94ID:HkzDMoMY
ごめん、書き方が悪かったね。
追想のヴォルケンとの別れ際のシーンの後アーガックスを飲む前に
周囲がどん引きするほど口汚く罵ったり、DVDの特典小説のミレポックの
趣味でもすごいこと言ってたりしたもんだから。

自分でも書きたいネタはあるんだけど、キャラのイメージは人によって違うから難しいね。
0583名無しさん@ピンキー2014/09/12(金) 11:03:43.59ID:muJBor3E
原作のあれもそうだし特典小説見てもミレポはSなんだろうねえ
0584名無しさん@ピンキー2014/09/12(金) 14:17:11.24ID:MNTfi4mz
代行にも小動物いたぶってるとか、美少年さらって監禁してそうとか
言われてたから余計そのイメージが
0586名無しさん@ピンキー2014/09/12(金) 21:11:01.48ID:ojSDMesT
腐女子ではないけど、何故かヴォルケンのことはすごく虐めたい。
ドS認定されてるミレポも大好きだから、セットで見れたら幸せです
0587名無しさん@ピンキー2014/09/13(土) 14:41:09.04ID:xu08ldLX
キャラ・シチュ問わないので、書きたいネタのある人はSS投下よろ!
0588名無しさん@ピンキー2014/09/13(土) 20:40:08.39ID:aHOwO68o
エロでなく無難に学園物考えてるけど、先生にするか生徒にするかで迷うキャラが
多くてなかなか書けない・・・
キャラごとの部活や担当教科のイメージがあったら挙げてもらえると助かります!
0589名無しさん@ピンキー2014/09/13(土) 21:20:03.45ID:aHOwO68o
今のとこ考えてる設定は、

代行→先生にするなら、超マイペースなクラス担任。だいたい授業以外は刺繍してる
マットさん→英語教師。だいたいサボって代行を口説きに行ってる
イレイアさん→優しい保健室の先生。怒らせると鼓膜破られる。
ミレポ→新しいクラスで皆の役に立とうと学級委員長に。マイペースな担任と濃すぎる同級生に疲れ気味
ノロティ→後輩にするか迷い中。チア部でキャサリロと先輩後輩の関係
エンリケ→転校生で札付きの不良と言われてたけど、ほんとはいい人。帰宅部?
ヴォルケン→真面目な優等生だけど本人は部活命。部活のために家元離れて一人暮らし。養父はフォトナさん。
ルイモン→アメフト部
フィーキー→水泳部の部員か顧問。あだ名はパンツマン
モッカニア→保健室登校で、時々お母さんが学校に来る。
ビザクさん→ベテラン教師。教科は体育とか・・・?
ユキゾナ→気難しい生徒会長。全然悪いことしてないのに何故か野次られる。野次られると咳が止まらない
ユーリ→皆と同じか、一つ下にしてノロティと同じ学年?ブラコンの副会長。
ミンスさん→先生か生徒で迷い中・・・。先生ならスクールカウンセラーとか?

ひとまずこんな感じです
0590名無しさん@ピンキー2014/09/13(土) 21:34:19.14ID:aHOwO68o
ルイークさん忘れてました。
ルイーク→見た目がゴリラで上老けて見えるけど優しい人。モテたいけど女子が恐くて近寄れない
あと、ルイモンさんはめっちゃいい人でクラスの良心のイメージです。
0591名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 01:05:52.59ID:D42da9Kq
コーヒー吹いたw
設定見ただけでがぜん楽しみになってきたぞい!
0592名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 07:45:02.98ID:/MK1cTYf
設定適当に考えてるけど、楽しくなってきちゃったぞ!

神溺教団の人たちだと、
カチュア→理事長。働きたくなくてかくれんぼして周囲を困らせる。影で老害と罵られる。
シガル様→理事長の息子という立場から卒業したくないがために10年留年。ダンスもできちゃうぞ☆
アルメ→軽音楽部のバンドでエレキギターをかき鳴らす。だけど一番好きな楽器は本当はバイオリン。
    シガル様一筋で、シガル様のための歌詞をつくるけど愛が重い。

学年は先輩後輩考えてみたけど、寂しい学年が出てしまうのでもう皆一緒にしようかと
思ってます。ハムローさんちはいっそのこと双子の設定にしようかと
0593名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 08:08:39.33ID:/MK1cTYf
追加で
キャサリロ→ノロティと同じチア部。楽観的でムードメーカーだけど、時々なんかやらかす。
リズリー→見かけに反し減らず口を叩いて周りを怒らせる。手芸部で乙女な男子というモテ要素があるのに、「キモイ」と言われてしまう。
キャスマ→化学教師。温厚な性格で教師陣の中で多分一番まとも。
ボンボ→1時間目前から放課後まで常に何か食べてる。家は金持ちで、ス〇夫くん的な感じで
    鯨を家で飼育してることを自慢する。クソッタレ。
コリオ君→皆と同じか中学生にするか迷い中・・・。同じ学校でアイドル歌手として活躍するシロンちゃんのファン。
     学校で会えないので、告白できず悶々してる。
シロン→今人気絶頂のアイドル歌手。実は入学式で見かけたコリオ君に一目惚れしてる。
    デビューシングルは「猫色の髪の乙女」。

モッカニアさんが保健室登校になった理由は、動物が好きなために生物部に入ったのに活動内容が解剖実験ばかりで鬱になってしまったからという設定です。
ちなみに生物部の顧問はガンバンゼル。
0594名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 13:44:12.12ID:9a3IF84F
とりあえず思い浮かんだネタで書いてみます!普通にキャラ崩壊しますがお許しを

神立バントーラ高校のある昼下がり。5月を迎え、2年B組のクラスも新しい環境に慣れ、各々が充実した高校生活を過ごしていた。
社会科教師しか立ち入れない歴史資料室は、2年B組の担任ハミュッツ・メセタが、授業準備を兼ねながら内緒で趣味の刺繍をする場となっていた。(ただし周囲にバレバレである)
普段彼女一人しかいないはずの部屋に、もう一人そこにたむろする人物がいる。2年B組の副担任で、英語教師のマットアラストだ。教え方も上手く、男女問わず人気があり、
そのルックスから保護者のウケもいい人気教師ではあるが、当然彼にも欠点はある。そう、いかんせん遊び好きで、教師も生徒も手を焼くサボり魔なのである。
そして彼が授業をサボるときは大抵ハミュッツを口説いているか、自身が顧問を務める映画同好会で映画を作っているかのどちらかである。
たまに授業にも現れるが、必ず授業終わり頃に自作映画を披露し、体調不良者を続出させている。もうすぐ昼休みも終わり、5限目の英語の授業が始まる頃である。
「ね〜え、そろそろ授業行かないと、またイレイアさんに怒られるわよう。あと、針持ってるんだから、あんまりくっつかないでくれない?」
「やれやれ・・・相変わらずつれないぜ、ハミ。大丈夫だ、授業まであと2分もある。」
「あんまりサボってばっかりいると、私まで怒られるんだけどなあ・・・。またミレポにも何か言われるし・・・」
「それよりハミ、新作の映画が昨日完成したんだ。今日授業の最後にみんなに見せるんだが、君も見ないか?」
げんなりするハミュッツの横で、爽やかさ満点のいい笑顔で楽しげに語るマットアラスト。全く人の話を聞かない様子に、針を置き大きなため息を吐く。
そのとき、社会科資料室の扉が勢いよく開かれ、「失礼します!」という大きな声とともに、ハミュッツが噂していた人物が現れた。
2年B組の学級委員長、ミレポック・ファインデルだ。美しいレモン色の髪を真っ直ぐに切りそろえ、スカートの丈をきっちり膝下で着こなした、
いかにも真面目な委員長といった容貌の少女である。彼女がここに現れるのは大体英語の授業が始まる数分前で、
マットアラストが授業から逃げ出す前に捕まえるためである。
「ほらマット、お迎えが来たから早く行きなさいよう。」
「よう、ミレポ。心配せずとも今日はちゃんと授業する予定だったんだぜ。そんな怒った顔するなよ」
「マットアラスト先生!お言葉ですが、教師ともあろう方が授業時間を守らないのは如何なものかと思います!もうチャイムも鳴ったんですから、早く教室に来て下さい!」
「わかった、わかった。悪かったよ。じゃあハミ、後で絶対見に来てくれよ。」
ひらひらと手を振り、先に資料室を出るマットアラストの後を、ミレポックは慌てて追いかける。やけにすんなりと言うことを聞いたことに首をかしげるミレポックであったが、彼が最後に言った台詞を思い出し、ピシッと石のように硬直した。
(「見に来い」・・・?・・・まさか、まさか・・・またアレを・・・?)
新しいクラスになって最初の英語の授業で起こった惨劇を、ミレポックは忘れられない。ミレポックの言う「アレ」とは、マットアラストが授業をサボって作った自作映画なのだが、
恐ろしくつまらない上、見る者全員が不快になることで有名なのである。上映会が行われる日は、必ずクラスの半分以上が保健室行きになり、
次の日は欠席者が何人か現れると言われている。2年B組の最初の授業の時はもっと悲惨で、初めは上映会と聞いて手を叩いて喜んでいた生徒も、その映画を見た後全員が体調を崩し、
次の日は学級閉鎖に陥った。あの惨劇が再び起こることを予感し、委員長の少女は戦慄する。
(嫌な予感しかしない・・・)
0595名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 14:05:31.71ID:9a3IF84F
続きです。

5限目の英語の授業が開始し、30分が経過した。新出単語や文法を完璧に解説し、教科書の英文訳も流れるように進めていくマットアラスト。
いつものサボり魔とは思えない見事な授業進行に、感動する生徒すらいた。
やっぱり、この人はすごい人なんだ。女好きでサボり魔だけど、本当はすごくいい先生なんだ・・・!
そんな純粋な生徒達の信望は、残り20分を切る頃にはガラガラと崩れ落ちていった。

「よし、今日やることは全部終わった!みんな、頑張ったご褒美に、待望の俺の新作映画の上映会をしてやろう!」
ミレポックの悪い予感は的中してしまった。卒業アルバムにも載せられるような爽やかな授業風景は一転し、死刑執行を受ける直前の囚人が押し込められた牢屋と化す。
マットアラストの言葉を聞いたとたん、教室の後ろでルイークが「ぐおおお!」と叫びながら椅子から転げ落ちた。それまで元気いっぱいだったキャサリロも突然頭痛を訴え始める。
ユキゾナは本当に吐血し、ユーリが保健室へ連れて行ってしまった。阿鼻叫喚の地獄と化した教室から逃げ出そうと、生徒が出口へ殺到していく。
そんな中、タイミングを逃して一歩出遅れたヴォルケンの肩をマットアラストがむんずと掴んだ。
「仕方ないな、みんなさっきまで元気そうだったんだが・・・ヴォルケン、おまえは元気そうだな!さすが、昨年の陸上インターハイで優勝しただけあるな。」
「あ、いや・・・、あ、ありがとう・・・ございます。」
滝のように汗を流し震える哀れな男子生徒を笑顔で見つめるマットアラスト。しかし、その笑顔は決して心からのものではないと一目でわかる。
口元は笑っているが、目は笑っていない。さすがに全員仮病であることに本人も気付いているのだろう。
沸々と沸き上がる怒りがその手に込められ、掴まれている肩はみしみしと嫌な音を立てていた。
逃げようものなら肩の骨が砕かれる・・・しかし、大人しく映画を見れば確実に殺される。
そう直感したヴォルケンは、何とかしてその場を切り抜ける手段を考える。
その頭には、幼い頃から育ててくれた敬愛する養父の声が走馬燈のように駆け巡っていた。

『ヴォルケン、人生を正しく生きるということは決して容易なことではない。だが、簡単に嘘をついたり人を傷つけるようなことは決してするな。どんなに辛くとも、正直に生きることだけは忘れてはならない。』

(すみません、フォトナさん・・・。今一度だけ、あなたの教えに背きます!)
養父の言葉を裏切る行為に涙をこらえながらも、意を決し、少年は叫んだ。
「・・・ぐ、あああああ!腹が・・・!痛い!!」
苦しげに腹を押さえ、その場に蹲るヴォルケン。突然大声で叫び崩れる生徒に、マットアラストは一瞬呆気に取られた。
しかし、彼にとっての迫真の演技は、悲しいことに周囲からは嘘だとバレバレであった。全く腹が痛そうには
見えないほど台詞が棒読みであった。余りにも分かりやすすぎる仮病に、おまえは勇者かと誰もが思った。
教室から逃げ出したミレポックとルイモンは無茶しやがって・・・、と涙を拭きながら友人を見守っていた。
周りの空気が更に凍り付いたことにさすがに気付いたのか、蹲った姿勢のままヴォルケンは固まっていた。
そんなヴォルケンの後ろに無言のマットアラストが立つ光景は、なかなかシュールであった。
「・・・そうか、おまえも腹が痛かったのか。気付かなくて悪かったな。・・・で?腹のどの辺りが痛いんだ?」
「・・・内臓です!」
「ヴォルケン、おまえが嘘が苦手なのはよ〜くわかってるが、一つだけ言わせてくれ。おまえ、実は馬鹿だろ」

教室に取り残された二人の何とも言えないやり取りはその後5分ほど続いたが、見回りに来たイレイアがマットアラストを連行したことで、
恐怖の上映会は阻止されたのだった。マットアラストが連れて行かれた方向から、頭蓋骨が砕かれたような嫌な音が聞こえてきたことには、その後誰も触れなかった。

一方、社会科資料室にいたハミュッツは・・・
「よ〜し!うさちゃん完成っと!そろそろイレイアさんが行ったと思うし、教室に戻ろっかな〜。」

終わり

駄文ですが一応こんな感じで書こうかと思います。
0596ノロティ2014/09/14(日) 14:29:10.20ID:MSKSQErI
あたしの出番が無いのはどうしてかしら?
人気投票と美少女コンテスト2冠王のこのあたしの出番が無いのは?
0597名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 17:21:16.05ID:w0hrCdsQ
ノロティちゃん!エンリケ君と一緒に出番あるからもうちょっと待って!
0598名無しさん@ピンキー2014/09/14(日) 17:32:39.07ID:w0hrCdsQ
制服についても一応考えてるけど、みんな外人さんなので男女ともブレザーの方が
合うかな〜と思ってます。
エンリケ君は転校生なのと不良っぽさを出すため、学ラン(着崩し)です。下駄とか履いてそう。
ノロティはスカートをかなり短くしてるけど、流行っていうより単に暑いからという理由です。
今時の女子高生風に可愛いカーディガンとか羽織らせるか迷ってるけど、上はシャツだけとかの
方が彼女らしいかとも思ってます。
0599名無しさん@ピンキー2014/09/16(火) 22:32:36.43ID:+94CEWWN
オリビア=リットレットさんはいないのですか
いや、レナスさんの方じゃなく
0600名無しさん@ピンキー2014/09/17(水) 12:39:09.88ID:oUMTWzNp
オリビアさんは昨日考えたよ!
オリビアさんも他校からの転校生で、見た目はスケバンだけど本当は優しい
姉御を予想です。超美人なので、男子からも女子からも大人気
本編では無力だったけど、こっちの世界では強いです
0601名無しさん@ピンキー2014/09/17(水) 12:49:11.86ID:oUMTWzNp
本編の武装司書たちは全員エリート集団なので、
こっちの世界でも勉強的な意味でのお馬鹿な子はいないけど、
変人もしくはアホの子は多くなると思います。
オリビアさんはその中で一番まともに近い上、頭も良いです。
0602名無しさん@ピンキー2014/09/17(水) 19:15:38.84ID:UcskeD9o
以前、こち亀と戦う司書比べたけど何の繋がりも関係も無かったと思っていたけどあった。

どっちも集英社の作品でした。
0603名無しさん@ピンキー2014/09/17(水) 23:27:45.79ID:h3CCPqX+
>>595
わらたw
マットさんの扱い、マジひでえww
キャラはっちゃけてて 学園物もいいな
0604名無しさん@ピンキー2014/09/18(木) 09:18:44.69ID:Y8u38K7k
かっこいいマットさん好きな人マジですいません。
特典小説で見た映画作りの才能皆無という意外な一面を見たときから、マットさんはこんなイメージしか出てこなかった。

ちなみに部活顧問のイメージは
ハミュッツ→バレー部(ハミの殺人サーブを食らって部員全員が入院し、その後退部)
マットさん→映画同好会。あと吹奏楽部の副顧問もしてるけど、そっちの方が良い仕事してる
イレイア→チア部。たまに誰もいないときに一人鏡の前でユニホームを着てる
フィーキー→水泳部。普段は数学担当だけど、水泳の授業の時は混ざる。あだ名はパry
ガンバンゼル→生物部。生物実験で怪物を造りたくてしょうがない。
ビサク→陸上部。若い頃100m走で世界最速記録を出したことがある。らしい
キャスマ→野球部。ベンチで応援してそうなイメージだけど、部員が思いつかない
 
あとチャコリーちゃんは先生にするか外部の人にするかで迷い中です。
先生じゃなかったら恋愛小説家とかやってそう
0605名無しさん@ピンキー2014/09/18(木) 10:15:15.14ID:Y8u38K7k
二話目書いてみます!駄文&キャラ崩壊が苦手な方はスルーでお願いします。

荒れ果てた校庭、ペンキの落書きで埋め尽くされた古いコンクリート造りの校舎−
ここは、県内の手のつけられない不良達が集まる、神溺工業高校のグラウンドである。
砂が吹き荒れる曇天の空の下、血を流し倒れるリーゼント集団の中で、学ランに下駄姿の
白髪の男が一人立ち尽くしていた。血だまりの中から、不良集団のリーダー格の男が顔を上げ、
男を睨み付ける。
「くそっ、待ちやがれ・・・!まだてめえとの決着はついてねえ。勝手に転校なんざ・・・許さねえぞ!」
「もう勝負はいいだろう、お前達は俺には勝てない。俺を追うより、もっと違うことに時間を使ったらどうだ」
「くっ、認めねえ・・・。神溺中の頃から負け無しのてめえに勝つためだけに、俺はこの高校に入ったんだ!
 喧嘩しか能のねえてめえが・・・今更何処に行こうってんだ!?」
黒の学帽の下から白髪をなびかせた男は、不良の方ではなく、曇天の彼方を見つめる。不良からは、
男の表情を窺い知ることはできない。不良の問いに男は空を見上げたまま答える。
「・・・神立バントーラ高校」
その名を聞いた瞬間、地面に這いつくばる不良達の顔が一斉に強ばる。無理もない。
県内だけでなく、県外からも文武共に優秀な者たちが集う、エリート高校である。
全国の学力テストでも常に上位に位置すると言われる、超難関校。札付きの不良と言われる
この男が、何故そんなところに行くのか。というか何で入れたのか・・・。愕然とする不良たちに
背を向け、男は歩き出す。吹き荒れる風の音に掻き消され、不良達の耳には聞こえなかったが、
男はこう呟いていた。
「俺は・・・笑いたい。」

続きます。
0606名無しさん@ピンキー2014/09/18(木) 11:37:41.64ID:Pbs6pIdL
エンリケとかオリビアとかどうみても成人してるのに
無理して制服着てるの想像すると笑える
0607名無しさん@ピンキー2014/09/18(木) 15:43:40.56ID:TTJN8VLY
605の続きです。カチュアさんがただのスケベじじいなので注意。

バントーラ高校の時計の針は朝の7時45分を指していた。文武共に力を入れている
バントーラ高校では、部活の朝練をしている生徒も少なくない。今は特に春の大会に向けて
練習を盛んに行う部も多い。そんな部の中でも特に朝練に力を入れているのは、バントーラ高校
チアリーディング部である。ユニフォームのデザインが可愛いと評判の上、代々部員の顔のレベルが
高いことで有名である。かけ声を出しながら、体育館で楽しげに練習に励むミニスカの美少女達−
その様子を、体育館の影から一人の老人がのぞき見していた。この学校の理事長、カチュアである。
欲望に忠実で神出鬼没と言われ、よく会議をすっぽかすため、常に教員の誰かしらに追いかけられている。
今も朝の職員会議をサボり、ここでうら若き乙女達の青春を眺めていたのである。
「はぁ〜、若い子はええのお・・・。お!今中が見えた!むふふふ・・・理事長の仕事もこういうときだけは
 幸福を感じられるわい。ここは天国じゃのぉ〜」
「あら、お幸せそうで何よりですこと。理事長先生」
穏やかな声と裏腹に、ものすごい殺気を放つ存在が老人の後ろに一人。血の気が引くのを感じながら
振り返ると、そこには笑顔のイレイア教員が立っていた。
「い、イレイア先生・・・!ゴホン、な、何かようですかな?」
「今更取り繕ったって無駄ですよ。あなたがむっつりスケベであることは、誰もが知っていることです。」
 目元も口元も笑みの形を浮かべているが、そのこめかみには青筋が立ち、左手はプルプルと震えていた。
完全にお怒りであることは一目瞭然である。
「理事長先生、あなたが会議をサボるのはいつもの事ですけれど、よりにもよってこの私の部をのぞき見していた
 だなんて・・・覚悟は宜しいんでしょうね?」
「お、落ち着きたまえ!これは、あ、あれだ。今日はあの神溺工業から転校生が来ると聞いてね、
 かわいい我が校の生徒の安全のために、私自ら警備をだな・・・」
「その札付きのワルが来たとして、ぎっくり腰のあなたが一人で勝てるんでしょうかね?
 さ、お話は理事長室でゆっくり聞きますわ。先生?」
断末魔の叫びを上げながらイレイアに引きずられていく哀れな老人・・・その姿に気付くことなく、
練習を終えたチア部たちが体育館から更衣室へ向かっていく。
ユニフォームを脱ぎ、制服に着替える少女たちは、ある話題で盛り上がっていた。健康美溢れる褐色の肌に、
夏の海のようにキラキラと輝く青い瞳の少女、ノロティ・マルチェは、同級生の小柄な少女・キャサリロの話に
驚きの声を上げる。
「え〜!転校生?」
「そうなんだよ!昨日ハミュッツ先生とミレポが話してるの聞いちゃってさ〜!
 ねえねえ、男子と女子、どっちが来ると思う?」
「う〜ん、あたしは別にどっちでも良いけど・・・。あ!でも、一緒に部活ができる女の子とか
 が来てくれたら、すっごく楽しくなると思います!」
転校生の話で盛り上がる二人に便乗するように、他の女子生徒たちも次々に想像を膨らませていく。
「え〜!女の子もいいけど、かっこいい男子とか来て欲しいなぁ」
「そうそう!背が高くて、顔が良くて〜勉強も運動もできたら最高だよね!」
高い理想を好き放題に挙げつづける友人たちに、ノロティはやや苦笑いを浮かべる。
女子が来たら楽しそうだと行ったが、実際ノロティの中では、どんな転校生が来ようと構わなかった。
一緒に学校生活を送る仲間ができることを、純粋に喜んでいた。いつもは支度の遅い女子達も、
転校生見たさに、急いで教室に戻っていった。
0608名無しさん@ピンキー2014/09/18(木) 15:44:12.39ID:TTJN8VLY
教室に戻ると、委員長のミレポックがクラスメートたちに囲まれ、質問攻めにされていた。
男子か女子か、どこの高校から来たのかなど・・・。次々に来る質問に、ミレポックは完全に困惑している。
「ほら、委員長も困ってるから、席に戻れよ」
大きな心と身体の持ち主のルイモンが周りの生徒達を諭し、いくらか教室は静かになったが、
ホームルームを前に、皆そわそわと落ち着かない様子だった。時計の針が8時10分を少し過ぎた
ところで教室の扉が開き、担任のハミュッツが現れる。目を覆うまん丸の眼鏡に、
ボサボサの黒髪を無造作にリボンで纏めた、いつものスタイルだ。足下は便所サンダルで、
綿のシャツは大きくはだけ、豊満な胸の谷間が丸見えである。このだらしない服装の教師を見て、
転校生は果たしてどう思っているのだろうか・・・。委員長の号令と共にホームルームが始まり、
起立・礼・着席を済ませると、いつもの間延びした口調でハミュッツが話を始める。
「はぁ〜い、みんな今日も元気かなあ?何かもう知ってるみたいだけど、今日このクラスに
 転校生が来るわよう。じゃ、早速入ってきてちょうだい」
ハミュッツの合図とともに、扉の外から長身の男子生徒が現れる。しかし、その服装を見た瞬間、
教室が一斉に静まりかえった。膝丈よりも長い黒の学ランに、鍔付きの学帽。バントーラ高校は
服装規程の緩い校風ではあるが、下駄を履いている生徒など見たことがない。学帽の下から流れる
透明な髪も他にない特異な色で、異様さを際立てていた。ノロティのすぐ前の席に座るキャサリロが
後ろを振り向き、こっそりと耳打ちする。
「ねえ・・・あの学ラン、溺高の制服だよね?」
「え?う、うん・・・」
徐々にざわつき始める生徒たちに構うことなく、ハミュッツはマイペースに紹介を始める。
「エンリケ=ビスハイル君よう。今日からクラスの一員だから、みんな仲良くするのよう。
 じゃ、君からも自己紹介してちょうだい。」
クラスにやってきた大柄な転校生はにこりともせず、淡々と話し始める。
「名はエンリケ=ビスハイル。神溺工業高校から来た。・・・今日から頼む」
それだけ言い口を閉じるエンリケに、ハミュッツはポリポリと頭を掻く。
「・・・うーん、転校生が来るときって、もうちょっと楽しそうなイメージだったんだけどなぁ。
 そうねえ、あんたたちからも質問はない?」
よく見ればイケメンであるが、強面で無愛想な転校生、しかも恐らく札付きの不良相手に、なかなか
質問の手が上がらない。基本気の良い連中ばかりであるが、こればかりは皆戸惑いを隠せない。
しかし、気まずい雰囲気の中、互いの顔を見合わせるばかりの生徒達の中から一人、手を挙げた少女がいた。
細く引き締まった腕を真っ直ぐ挙げる少女の方を全員が注目した。漸く手を挙げた生徒をハミュッツは指名する。
ノロティは椅子から立ち上がり、仏頂面の転校生に大きな瞳を向ける。エンリケもノロティの顔を真っ直ぐに見据える。
「あの、あたし、ノロティ=マルチェっていいます!部活はチアリーディングに入ってて、好きな授業は体育です。
 エンリケさんはその・・・前の学校では部活とか入っていましたか?」
快活な少女の質問に、学ランの転校生は律儀に答える。
「前の学校に、部活はなかった。生徒が暴れすぎたせいで・・・全部廃部になった」
「じゃあ、入ってみたい部活ってありますか?うちの学校、部活にも力を入れてるから
 大きい大会に出られるところもたくさんあるんです!」
転校生にもう慣れたのか、屈託ない笑顔で質問をぶつけるノロティに皆驚くが、部活に関しては
皆興味のあるところだった。クラス全員に見つめられ、照れくさそうに俯くエンリケだったが、
しばらくし、ぽつりと呟いた。
「・・・・・・お笑い研究会。」
「え?」
「・・・ずっと、笑ってみたいと思っていた。この学校には、お笑い研究会があると聞いたことがある。
 だから、そこに入るためにこの学校に来た」
衝撃的な答えにびっくりする一同であったが、このやり取りのおかげで、この後少しずつエンリケは
クラスに馴染むことができるようになった。しかし、肝心のお笑い研究会が部員不足と生徒会による
経費削減で昨年廃部になったことは、ハムロー兄弟を除きまだ誰も知らないのだった。

二話目終わり。
0609名無しさん@ピンキー2014/09/18(木) 23:03:54.44ID:ETF30qN/
おお、早くもつづき来てる
ノロティかわいいな
あとエンリケさん超かっけえええ!!
0610名無しさん@ピンキー2014/09/19(金) 12:46:29.60ID:lFbXJ9vG
勢いで3話目も行ってみます。608の続き的な感じです

転校生エンリケが来てから早一週間が経つ。ノロティのおかげで、県内一の不良と恐れられた
エンリケもクラスに馴染めるようになり、実はいい人であることが判明してからは
男女ともに親しまれている。相変わらずの無愛想さと仏頂面のため、本人がクラスメートを
どう思っているかははっきりとは分からないが、満更でもなさそうであった。
ある日の放課後。2階の生徒会室の窓からふと、長い黒髪の美少女が外を覗く。生徒会副会長にして、
学校のマドンナであるユーリ・ハムローだ。才色兼備の上実家が豪邸という超お嬢様で、
美貌、才能、経済力の全てを兼ね備える彼女に憧れを抱く者は多い。唯一の欠点は、今現在生徒会室
のソファに横たわり、苦しげに咳き込む双子の兄を溺愛し過ぎている点である。そう、重度のブラコン
なのである。その彼女が窓から見ているのは、転校生のエンリケ=ビスハイルと、クラスのマスコット的存在
のノロティ=マルチェ。彼が転校して以来、普段の学校生活で何かと一緒に居ることの多い二人。
互いに恋愛に疎い性質のため、つきあっているわけでは全くない。しかし、県内一の不良と誰からも愛される
心優しい少女という一見真逆の二人が仲睦まじくしている様子は、素直に可愛らしく思える。今日は部活がないのか、
放課後エンリケと一緒に下校していくノロティの姿が見える。エンリケは一切無表情であるのに、何が楽しいのか、
ノロティの方は無邪気に笑っている。生徒会としても、転校生が学校に馴染めていることは素直に嬉しいのだが、
二人を見つめるユーリの表情は厳しい。窓から二人の姿が見えなくなったところで、ユーリはソファに横たわる兄の方
を振り向く。
「お兄様、咳の方は落ち着きまして?」
「ゲホッ、ゴホッ!・・・はぁ、すまない・・・もう大丈夫だ。」
この病弱な男は、ユーリの双子の兄にして生徒会長のユキゾナ=ハムローである。5月になり、少し汗ばむ気温に
なってきたにもかかわらず、制服の冬服の下にセーターを着用し、顔にはマスクという、見ていて暑苦しい服装である。
生まれつき難病を抱えているため、夏でもこの服装にしなければならないというのである。本来クラスで最も労るべき
生徒なのだが、その気難しさと生真面目さ、そしてちょっと根暗な性格のせいか、本人が真面目に生徒会長の仕事を
すればするほど野次が飛ぶ。根が繊細な性格であるため、野次られると大体ストレスで病状が悪化してしまう。
今寝込んでいるのも、生徒総会で中間考査前の勉強について呼びかけた途端に野次が飛んだせいである。どさくさに紛れて
担任のハミュッツまで混じって叫んでいたため、今日は吐血までしてしまった。
「さ、お兄様。暖かいコーヒーでも飲んで、ゆっくり休んで下さい。」
ようやく落ち着いた兄に、慈愛に満ちあふれた優しい笑みでミルクコーヒーを差し出すユーリ。
「ありがとう、ユーリ。ところで、前に話した転校生の件だが・・・」
「ええ・・・まだ部活の登録はしていないようですわ。」
「そうか・・・。まさかお笑い研究会に入部希望者がいたとは。こんなことになるなら、あと一年
 様子を見るべきだったな。」
二人が抱える問題とは、エンリケの部活の件である。転校初日で彼が入部希望を明かした
お笑い研究会は、昨年生徒会が経費削減のため取りつぶしてしまったのである。十数年前まで
学校が誇る文化系の部活の一つであったが、お笑いブームも廃れている近年では、入部する者も
いなかった。誰も入っていないからと、安易な気持ちで先代の生徒会長が取りつぶしを決定したの
だが、よりによって次の年に入部希望者・・・しかも、中学時代は警察でも手のつけられない不良
だったと噂される男が現れるとは、想定外だった。正直にその部が廃部になったことを告げようか
とも思ったが、そのことで生徒会に報復が来ないとも限らない。本人の様子を見る限り、確かに
それほど悪い男には見えなかったが、念には念を入れなければならない。何とか穏便に事を済ませるための
方法に、兄妹は頭を悩ませる。転校後一週間が経ち、そろそろ部活のことで動き始めるはずだ。
0611名無しさん@ピンキー2014/09/19(金) 12:49:10.19ID:lFbXJ9vG
「お笑い研究会の件は仕方のないことですわ、お兄様。そもそも廃部にしたのは先輩方の代でしたし、
 お兄様が気に病む必要などありませんわ。」
「だが・・・、あんな昭和の香りを漂わせた不良が、お笑い研究会に入りたいと言ったんだぞ。
 これはもう、『一見怖いけど実は心優しい気の良いヤンキー』というテンプレのパターンではないか。
 本当に申し訳ないことをしてしまった・・・」
「・・・お兄様の口からそんな言葉が出てくるとは思いませんでしたが、どちらにせよ、その部活の事は
 諦めるしかありませんわ。生徒会規則では、一度廃部になった部を再び設立するには最低2人以上の
 入部希望者がいることと、教員全員の承認が条件と書かれています。入部希望者がエンリケさん一人では、
 どうしようもありませんわ。」
「やはり、他の部を推薦するしかないか・・・」
腕を組み考え込む二人だが、そんなとき、廊下をバタバタと走る音が近づき、生徒会室のドアが
勢いよく開かれた。思いも寄らない人物が現れ、双子は目を丸くして驚く。
「はぁ、はぁ・・・し、失礼します!」
「ノロティさん!帰っていたんじゃありませんの?」
彼女は先程エンリケと一緒に帰っていたはずだ。全力で走ってきたのだろう。顔には汗をかき、
膝に手を当てながら荒い息を吐きながら呼吸を整えている。
「ごめんね、ユーリさん・・・!今日借りてた英語のノート、借りっぱなしだったから」
先週公欠した分の授業の記録を見せるため、ノートを貸していたのだ。返し忘れたことに気付いて
慌てて戻ってきたのだろう。
「まあ・・・別に明日でも良かったのに」
「いや、まだ学校からそんなに離れてなかったし、借りっぱなしは良くないから」
「だって、エンリケさんと一緒に帰っていたじゃありませんの。なんだか悪いですわ。」
「ううん!エンリケさん、待っててくれるって言ってたから、気にしないでいいよ。
 あたしこそ、活動中なのにごめんね。」
タイプの違う美少女が二人、友人同士の会話をしている様子を眺めていたユキゾナは、ふと思いついたこと
をノロティに聞いた。
0612名無しさん@ピンキー2014/09/19(金) 13:07:55.03ID:lFbXJ9vG
「そういえばノロティ。エンリケはまだ何部に入るか決めていないのか?」
「え?ああ・・・やっぱり、お笑い研究会には入りたいみたいでしたよ。明日部活見学したいって言ってました」
「・・・やっぱりそうか。」
予想した通りの回答に、ユキゾナは頭を抱えため息をつく。
「え!?な、何か問題なんですか?」
「そうね・・・ノロティさんになら言っておいてもいいかしら。・・・実はね、エンリケさんが入りたがっている
 お笑い研究会は、昨年廃部になりましたの。」
「ええ〜!?」
ブルーの瞳をまん丸にしてノロティは驚く。確かに聞いたことのない部活だとはノロティも思っていた。
しかし、活動内容不明の部や、マニアックな同好会は他にも腐るほどあるため、
大して気に留めてはいなかった。だが、転校をしてまで入りたがっていた部活がタイミングのずれ
で廃部になっていたとエンリケが知ったらどうなることか・・・。
「そ、それって・・・もう一度部活を復活させるとかはできないんですか?」
「無理だ。一度廃部になった部を立て直すには、二人以上の部員と先生方全員の承認が必要になる。
 碌に活動実績のなかったお笑い研究会に、先生方全員が承認するとは思えん。」
「そんな・・・。じゃあ、他の部活にするしかないってこと?」
「今のところは申し訳ないが、そうしてもらう以外にない。ノロティ、生徒会の中には溺高から来たあいつを
 警戒する者もいる。正直、俺も今回の件のことがあいつに知られたらどうなるか不安なところがある。
 これは俺からの頼みなのだが、お笑い研究会が廃部になったことはあいつには告げずに、他の部を薦めてみてはもらえないだろうか」
「う〜ん。でも、そこはやっぱり正直に言った方が・・・」
「私からもお願いですわ、ノロティさん。エンリケさんのことを全く信用していないわけではないけれど、
 万が一お兄様・・・いえ!生徒会に危害が加えられることがあってはなりませんの!どうか、協力して下さらないかしら」
ここまで懸命に頼み込まれては、さすがにノロティも嫌とは言えなかった。エンリケの意気込みを知る立場としては
彼の望みを叶えてやりたいが、規則で禁止されている以上どうしようもないことだ。それに、まだ他の部のことも知らないはずだから、
もしかしたら心変わりするかもしれない。
「・・・わかりました。明日エンリケさんに他の部のことも話してみます」
「ありがとう、頼みますわ。」

次の日の朝、教室でエンリケに会ったノロティは早速他の部の見学を薦めることにしてみた。
0613名無しさん@ピンキー2014/09/20(土) 12:14:50.92ID:Zi+n+sWE
続きです。

「何?他の部活の見学?」
「はい!せっかく色んな部があるんですし、色々見て回ってから決めるのもいいんじゃないかと思って」
「しかし・・・俺はもうお笑い研究会に入ると決めている。そのためにこの高校に来た。」
エンリケは怪訝そうな顔でノロティを見つめる。何とか上手く説得できないかと、前の夜に必死に考えた言い訳を試してみる。
「あ、でも!エンリケさんの話では、笑いたいからお笑い研究会に入りたいんですよね?あたし、考えたんですけど、笑うといっても色んな笑いがあると思うんです!
 あたしが入ってるチア部だって、皆と練習してると楽しくて自然に笑顔になりますし、他の部活の子もそうだと思います。こう〜、青春を謳歌するというか・・・。
 と、とにかく!心から楽しい、好きだっていう部活に入ることが一番大事なんじゃないかと思います!」
ノロティの言葉を聞き、何か感じるところがあったのか顎に手を当てエンリケは考え込む。ノロティは我ながら良いことを言えたんじゃないかと、心の中で
ガッツポーズをする。しばし考えた後、エンリケが口を開く。
「お前が本当に部活が好きなんだということは、この一週間でよくわかった。そのお前が言うなら、間違いないんだろう。」
「エンリケさん・・・!じゃあ、他の部も見てくれますか?」
「具体的にどこを見るかは決めていないが、とりあえずお前がいいと思ったところがあるなら見てみようと思う。」
「う〜ん、良いと思う部活かぁ・・・。実績があるところはたくさんあるけど、難しいなあ。エンリケさんは、スポーツとかは
 興味ないんですか?」
「身体を鍛えることは嫌いじゃない。・・・が、誰かと勝敗を争うことはあまり好きじゃない。」
少し意外には思ったが、好戦的でむやみに人を傷つけたりするような人間でないことは、この一週間でわかったことだ。
「そっか。でも勝敗が関わらないスポーツなんてないしなあ・・・。あ!なんだったら、クラスの人に部活のこと聞いてみましょう!
 皆の話を聞いたら気も変わるかもしれませんし、クラスの子と一緒なら、エンリケさんも楽しめると思います!とりあえず、昼休みに
 なったら、皆の所に話を聞いてみましょう。」
「ああ、わかった」

朝のホームルームを知らせるチャイムが鳴り、朝練のあった生徒も続々と教室に戻ってくる。そんな生徒たちに
席に着くよう促しながら、いつもと変わらないスタイルのハミュッツが教室に入ってくる。出席の確認と簡単な事務連絡をしてホームルーム
は終わり、1限目からハミュッツの地獄の世界史の授業が始まる。一睡でもすれば殺人チョークが飛び、テストで赤点を取ろうものなら
殺人サーブで地球儀を顔面にぶつけられると噂されている。恐怖の1限目を無事やり遂げた後は、フィーキーによる数学の授業が始まる。
こちらの授業は、クラスの半数が寝るか、今日のフィーキーのパンツを予想するのがお決まりとなっている。そんな午前のスケジュールを終え、
ノロティたちは無事昼休みを迎えた。
0614名無しさん@ピンキー2014/09/20(土) 14:25:12.63ID:Zi+n+sWE
「あ!エンリケさん、こっちです!お弁当持ってきましたか?」
「ああ。大丈夫だから、あまり大声で叫ぶな」
皆が昼食を摂っている教室のど真ん中で大きく手を振りながらノロティがエンリケを呼んでいる。いくら色恋沙汰に疎いエンリケでも、
クラスメート全員がこちらを見てヒソヒソと噂しているのを見れば、流石に気恥ずかしい。というより、この娘に羞恥心とかそういう
ものはあるのだろうか。
「エンリケさん!皆とお昼食べながら、部活のこと聞いてみましょう」
ノロティが向かう方には、同じ部のキャサリロとミレポックが座る席があり、その周りにルイ−クやルイモン、ヴォルケンたち男子の
集団の席がある。男女両方の話を聞けるよう配慮してくれたのはありがたいが、大勢で昼食を食べることに慣れていないエンリケは
少しだけ抵抗感を覚えた。そんなエンリケとは対照に、腕を引っ張るノロティはとても楽しそうだった。
「お!な〜に?ノロティ、腕なんか組んで!エンリケ君ともうつきあってるわけ?」
「キャサリロさん、エンリケさんが困ってるでしょう!ごめんなさい、エンリケさん。騒がしいと思うけど、あまり緊張しないでね。」
小柄で小動物を思わせる活発な少女、キャサリロがノロティをからかい、品行方正な優等生のミレポックがそれを制す。このクラスは
性格が全くバラバラの生徒が多いのに、よく仲良くできているものだとエンリケは不思議に思った。その様子を後ろで見ていた男子の集団も
そこに混ざってくる。「なんだよエンリケ、モテモテだなあ!」とルイモンが豪快に笑いながらエンリケの背中を叩く。それを見て困惑しながら
やめろよ、と声をかけるヴォルケンを見て、ますます疑問は大きくなった。その横でルイ−クが何故かいじけていることには誰も気付いていない。
それぞれ持ってきた昼食を食べながら、エンリケの部活の件について話をする。
0615名無しさん@ピンキー2014/09/20(土) 14:34:25.55ID:Zi+n+sWE
「部活か〜。迷ってるんだったら、一度俺んとこのアメフト見に来いよ。高校から始めるやつも多いから、初心者大歓迎だぜ!」
どんと来いと言わんばかりに豪快に胸を叩くルイモン。
「あ、でも、エンリケさんはあまり勝敗を競うことは好きじゃないそうなんです。スポーツ系だと、やっぱりそういう部はないのかなぁ」
「いや・・・そういうのが絶対に嫌だというわけではない。ただ、あまり大人数でやる競技に少し抵抗があるだけだ」
ノロティの言葉に少し訂正を加えて話すエンリケに、静かに話を聞いていたヴォルケンが口を開く。
「それだったら、うちの陸上部はどうかな。個人競技だし、人によって練習のペースやメニューも違うから比較的やりやすいと思うぞ。」
「個人競技か・・・たしかに悪くはないな。」
「ただ、基本的に土日も練習や大会があるから、入るならそこは覚悟した方がいいな」
なるほど、個人種目かとノロティも納得する。エンリケの性格的にも、自己記録を伸ばすことに重きを置いた競技の方が向いているとは思った。
エンリケも少し興味を持っているように見えたが・・・。
「そうか。ところで、その部活ではその・・・笑うことはできるんだろうか?」
いささか唐突で、それまでの流れとあまり関係のない質問がエンリケの口から出たので、その場にいる全員が一瞬固まった。
やっぱりそこに一番こだわるのか、とノロティは思った。
「え?ああ、そうだな・・・。練習は確かに厳しいけど、記録が伸びたときは嬉しい・・・かな。」
困惑しながらも、至って真面目な顔で質問するエンリケに、ヴォルケンは律儀に返す。話しを聞いていたキャサリロが
頭に手をあてながらそういえば、と話を切り出した。
「あんた確か、転校した初日にお笑い研究会に入りたいとか言ってなかったっけ?」
お笑い研究会の真実を知るノロティはビクンと心臓が飛び跳ねるのを感じた。
「ああ〜、あれか。実は俺、その部活聞いたことねえんだよな」とルイ−クが首を捻る。
「1年の頃、張り紙を見た気がしないでもないが・・・」
他の生徒もその存在には前から疑問を感じていたようだ。実際、ノロティもエンリケがその名を出すまで存在すら知らなかったのだから無理もないが。
「文化系の部なら他にも結構面白そうなのあるんだけどね。そういえばミレポ、あんた何か部活入ってなかったっけ?」
突然話を振られ、ミレポックは動揺する。ほんの少し、彼女の白いほおが赤く染まったようにノロティには見えた。
「え!?わ、私?え、え〜と、一応地学部、だけど・・・(どうしよう・・・、部員が私一人で、鉄錆を落としながら愚痴を言って
 ストレス発散しているなんて、とてもじゃないけど言えない・・・)」
「地学か〜、地味な部活に入ってんなあ。」
「でも、なんかそういうの似合うよね〜ミレポ」
「な!ちゃんと真面目に研究もしてるわよ!」
「『も』って・・・。」
部活を馬鹿にされ怒るミレポックを周りがなだめる横で、ノロティはエンリケの顔をちらっと見た。皆がお笑い研究会の
存在を知らないと答えたことに、彼はどう思っているのだろうかと少し不安になった。暴走しかけるミレポックを鎮めるため、ヴォルケンが話を元に戻す。
「お笑い研究会のことはよく知らないんだが、新歓や文化祭の時はどの部でも皆ふざけるし、笑いをとる機会もあると思うぞ」
「おう!俺も去年柔道部で女装したんだぜ」とルイ−クもその話題に乗る。その絵面を想像し、エンリケは少し吐き気を催した。
「まあ、どの部活もそれぞれ面白いところがあるって話よ。まだ一週間しか経ってないんだし、ゆっくり考えてみたら?」

それぞれの部活の話を一通り聞いたところで昼休み終了のチャイムが鳴り、皆次の授業の準備に取りかかっていった。ノロティも準備をしようとしたところで、
エンリケが後ろから呼び止めた。
「放課後少し話がある。帰りに教室に残ってくれないか」
ノロティはそれが部活のことだと何となくわかった。やはり皆の反応を聞いて多少違和感を覚えたのだろう。ユキゾナとユーリには悪いが、
やはりこのままエンリケに嘘をつくわけにはいかないと判断し、ノロティは「わかりました」と答えた。
0616名無しさん@ピンキー2014/09/21(日) 23:26:51.35ID:KZ8KvE89
放課後、部活に遅れる旨をキャサリロに伝えたノロティは、約束通り教室に残った。
二人以外に教室には誰も残っていない。
「エンリケさん、お話って何ですか?」
「・・・ノロティ、お前、何故部活のことを俺に隠す?」
「・・・やっぱり、気付いてたんですね。」
予想していた通り、エンリケはノロティが隠していた真実に気付いてしまっていたようだ。
「この学校に来てから部活の張り紙を見て回っていたが、お笑い研究会だけはどんなに探しても見つからなかった。
 それに・・・今日のお前の様子は、どこか変だった。」
自分でも人に嘘をつくことは苦手だと自覚していたが、案の定、エンリケには今日の自分が不自然に映ったようだ。
頼まれたこととはいえ、隠し事をしてしまった申し訳なさに胸が締め付けられそうになり、ノロティは頭を深く下げた。
「エンリケさん・・・ごめんなさい!実は、エンリケさんが探してた部活、事情があって廃部になってしまっていたんです。
 エンリケさんがそこに入るためだけに転校してきたって聞いて、その・・・、落ち込んでほしくなくて・・・本当に、ごめんなさい。」
「いや、別にいい。とにかく、顔を上げてくれ。・・・俺まで辛くなる」
その言葉で顔を上げると、いつもの仏頂面ではなく、狼狽した表情を浮かべたエンリケがいた。彼が転校してきてから初めて見せる表情だった。
「す、すみません。」
「だから、謝るな。それに、どうせお前一人の意志で隠していたわけではないんだろう。」
「え!?な、なんでそこまで・・・?」
ノロティが生徒会から頼まれていたことまでは、いくらなんでもエンリケは知らないはずである。心の奥底まで見透かされているようで、
ノロティは驚くと同時に、少し怖くなった。
「お前が嘘をついているのはすぐにわかったが、まるで誰かに言わされているような感じだった。俺に廃部のことを知られて、困る連中がいるのか?」
その問いに、ノロティはどうしても答えることができなかった。学校の中にまだエンリケのことを信頼していない者がいるなどと伝えれば、
エンリケはきっと傷付くだろう。長い沈黙の後、エンリケが先に口を開いた。
「・・・話せないのならそれでいい。どうせ、廃部が知られれば俺が暴れるとでも考えたんだろう」
どうして何も話していないのにそこまで分かるのか。そんな目でノロティはエンリケの顔を見ていた。顔に思っていることが全部書いてあるなどと、
本人は全く気付いていないのだろう。ノロティは何とかして、エンリケを元気づけようとしていた。
「エンリケさん!皆がエンリケさんのことをそんな風に思っているわけじゃないんです。きっと、エンリケさんのことをよく知らないから、怖がってるんだと思います。
 だから・・・この学校のこと、嫌いにならないでくださいね」
「安心しろ。別に気にしてなんかいない。人から恐がられるのには慣れている」
学帽の鍔を摘み、顔を隠すようにエンリケは帽子を下げた。エンリケが過去どのように日々を過ごしていたのかはノロティは知らないが、
色々と辛いことがあっただろうことは想像がついた。ノロティはふと、気になっていたことを聞いてみた。
0617名無しさん@ピンキー2014/09/22(月) 01:01:04.18ID:PBy2nK7v
「エンリケさんは、その、お笑いとか見るのが好きなんですか?転校してきてからずっと笑いたいって言ってましたけど、それって・・・?」
エンリケはとにかく笑うことにこだわりを持っているようだが、ほぼ万年仏頂面であろうこの男が、夕方のお茶の間で笑点などを見て
笑ったりしているのだろうか。何となく、単にお笑いが好きだという理由ではなさそうだとは思っていた。案の定エンリケは「いや、見ない」と即答していた。
ノロティの質問に、エンリケは学帽で顔を隠したまま、恥ずかしそうに俯いた。やはり聞いてはいけないことだっただろうかと身構えたが、やがてエンリケは小さい声で語り出した。
「小さい頃に医者に言われたのだが、どうも俺は、顔の表情筋が尋常でなく固いらしい。今まで訳も分からぬまま街の不良に絡まれ続けてきたが、ここ数年になって自分の顔に愛想が
 なさすぎるのが原因だと気付いた。笑えるようにならなければ、俺はきっと一生不良に絡まれ続けるだろう。それに、『笑う門には福来たる』という言葉を最近知ったんだが・・・このままでは
 一生幸せになることができないんじゃないかと思ってな・・・」
「エンリケさん・・・!それで必死にお笑い研究会を探してたんですね」
「ああ。だが、無い以上はもうどうしようもない。諦めて他の部を探すしかないだろう。時間をとらせてすまなかった。もう部活に行っていい」
そう言ってエンリケは少ない荷物をまとめて教室出口へ歩いて行く。そのとき、ふとある考えが頭に浮かびノロティはエンリケを呼び止めた。
「あ、待って下さい!ひとつだけ、お笑い研究会を復活させる方法があるんです!」
ノロティの言葉に、下駄の音がぴたりと止まる。
「部活を復活させる・・・?そんなことが可能なのか?」
「要求が通るかは分かりませんが、不可能じゃないと思います。」
その方法は、以前ユキゾナたちから聞いたものだ。エンリケ以外のもう一人の部員を探し、生徒会を通し先生方全員の承認を得ることだった。
条件をエンリケに説明するノロティだが、対してエンリケは腕を組み深く考え込む。
「しかし、俺以外にこの部に入りたがるやつがいるとは思えない。それに・・・俺はてっきり部活の指導者がいるものだと思っていた。
 仮にもう一人部員が増えたとしても、そいつと二人だけでやっていけるとは思えん。」
不安を口にするエンリケだが、なぜかノロティの表情は自信満々であった。何か策があるのだろうか。
「大丈夫ですエンリケさん!あたし、絶対に引き受けてくれる人たちを知ってます。任せて下さい!」
「『人たち』・・・?まさか、部員の他に顧問まで見当がついているのか?」
「はい!今からその人たちに話をつけてきます。絶対に楽しい部活をつくってみせますから、安心して下さいね!」
言うや否や、困惑するエンリケを置いたまま少女はバタバタと廊下を走っていってしまった。果たして本当に大丈夫なのだろうかというエンリケの不安は、
次の日物の見事に的中する事になる。

「・・・どうしてこうなった。」
翌日の昼休み、顔合わせがあるからと生徒会室に呼び出されたのだが、その部屋にはノロティの他はエンリケとユキゾナしかいなかった。
「おい、ノロティ・・・まさかとは思うが、こいつが入るんじゃないだろうな?」
「何言ってるんですか、エンリケさん!昨日事情を話したら、快く引き受けてくれましたよ。」
「・・・全く快く引き受けたように見えないんだが。」
生徒会室のソファでは、顔を両手で覆い静かに涙を流しているユキゾナが横たわっている。廃部の件で責任を感じていたのと、
クラス一心の優しい少女の頼みを断り切れなかったことが入部を引き受けてしまった原因だろう。そのことに恐らくノロティは気付いていない。
天真爛漫な笑顔を浮かべるノロティは、そんな二人に更なる恐ろしい宣告をするのだった。
「あと、マットアラスト先生に事情を説明したら、すぐに演技指導を引き受けてくれました!3人で楽しい部活を作ろうって、言ってましたよ。」
恐らくきっと、「楽しい部活」ではなく「楽しい映画」の間違いだろう。ソファから吐血する声が聞こえるとともに、エンリケは窓の外の晴れ渡る青い空を見つめた。
「空が、綺麗だ。」


長くなってしまいましたが、これで終わります。ぐだぐだで申し訳ないです。
0618名無しさん@ピンキー2014/09/22(月) 22:27:22.86ID:2ogfn0xX
完結、乙です!
やっぱノロティ可愛いよノロティ

>ハミュッツ先生の殺人チョーク
これ、比喩じゃなくて本当に殺しちゃうよね
マジ喰らいたくねーw
0620名無しさん@ピンキー2014/09/23(火) 01:11:08.41ID:mbPfZhzO
>>618
シリーズ完結みたいな締め方しちゃったけど、今後も思いついたときに投下していく予定です!
ハミュッツ先生の馬鹿力はこっちの世界でも健在です。手加減はしてるけど本気でやったら死人が出るでしょうねw

学パロは妄想ばっかり浮かんできて辛楽しい・・・というわけでまた妄想してしまった
本編はジャズやクラシックしか出てこないけど、学パロでは普通に色んな音楽があるので、それぞれ聞いてそうな音楽想像してみた

ハミュッツ→ミッ〇ィーのテーマがお気に入りで、よく鼻唄を歌う。カラオケの十八番はキューティーハニー
マットさん→クラシックからロックまで幅広く。一番好きなのはジャズで自分でも弾けちゃうモテ男。カラオケでは女子ウケのいい曲を完全マスター
ミレポック→音楽を全く聞かない派。クラスでカラオケ行くことになってから慌てて練習する。音痴だと可愛いです///
ノロティ→恋愛にはすごく疎いのにラブソング聞いて泣いちゃう子。aikoとかmoumoonみたいな女性シンガーの曲聞いてるの希望
エンリケ→尾崎豊の15の夜は名曲。歌わないけど演歌も好き。
ヴォルケン→音楽聞かなさそうに見えるけど実は聞いてる。純粋な子なのでスピッツとかスキマスイッチとかのイメージです。
モッカニア→レナスさんが好きな曲は何でも好き。女性ボーカルの曲をよく聞いてたけど、病んだ勢いでロキノン系にのめり込む。
ルイモン→ロックとかラップとかアメリカン?なイメージ。(ルイモンさんニューヨークにいそう)
ルイーク→モテない現実逃避でアイドルの追っかけになる。AKBのライブには必ず行く
キャサリロ→男性女性問わず、アイドル系の曲とかとにかくノリのいい曲が好き。カラオケでは振り付けも完全マスターしてる。
オリビアさん→見た目恐そうだけど、実はしっとり系のバラードが好き。美声で中島美嘉とか歌う。
テナちゃん→テクノ系やボカロ、アニソンとか聞いてそう。電波系天然って司書の中では結構特異なキャラだと思う
ハムローさんち→主にユーリさんが兄と歌いたいがために、わざわざデュエット曲をチョイスする。ユーリ個人はディ〇ニー映画の曲が大好き。
アルメ→ヘヴィメタやらヤンデレソングやら聞くけど、実はクラシックの造詣が深いといいです。
シガル→河村隆一。以上
0621ノロティ2014/09/23(火) 21:04:38.55ID:BqE1O/al
あたしのよさがなかなか良く出てて気分は良いわね。

よし100点よ。
0622名無しさん@ピンキー2014/09/25(木) 15:26:31.78ID:l325Y1w0
キャラの設定、よく考えてあって面白いです
司書は殺伐とした話が多かったから、日常SSも大歓迎!です

>>619
マットさん、カッコよくて強くて金持ちでオシャレですからね、
「イケメンの醜態ほど笑えるもんはなかね」みたいなw
0623ノロティ2014/09/25(木) 15:52:51.08ID:/4U0U7p8
世界はあたしのも
0624名無しさん@ピンキー2014/09/25(木) 18:20:48.13ID:D6GpcTeo
>>619
いやな思いしちゃってたら本当にごめんね!
これでもマットさんは大好きですよ!

真面目な話を書こうとすると、本編思い出して悲しい話しか書けなくなっちゃうもんで・・・
設定はアニメ原作とDVD特典小説の描写をもとに考えてるけど、書いてるうちにふざけるのでキャラは普通に崩れると思うorz
読み返したら本当にマットさんの残念なとこしか書いてなかったんで、ちゃんとしたところも書きます(書けるといいな・・・)
0625名無しさん@ピンキー2014/09/25(木) 19:21:52.16ID:D6GpcTeo
学パロ4話目です。マットさんとハミの出会いで、ちょいシリアスです。


その日、マットアラストは夢を見た。十年以上前から定期的に見る、あの夢だ。

あれは悪夢というのだろうか。夢の中の自分は血を流している。
辺りは雪のように真っ白に染まっており、そこに自分のスーツの黒と点々と滴る血の赤だけが存在する。
何もない景色の中を、何故か自分は必死に歩いている。血を流しているというのに痛みはなく、
雪の冷たさも感じない。感じるのは焦燥と、今まで生きてきた中で感じたこともないとてつもない
恐怖だった。自分は誰かを探しているのだ。あの人のところへ行かなければならない。その人のところへ
行き、何かを成し遂げなくてはならない。時間の概念すら存在するか怪しい、空虚な空間に突如終わりは来る。
目の前に巨大な物体が突如現れ、マットアラストの歩みはそこで妨げられる。
―それは黒い、巨大な針だ。
夢の中の自分がその針の頂を見てはならないと叫ぶのに、その先を見ずにはいられない。空を見上げ、そこでようやく
自分のいた空間がただの虚空でないことに気がつく。天には雲があり、そこから真っ白な雪が舞い落ちてくる。
いつも見上げるあの空であることに変わりは無い。どうしようもなく虚しく、クソみたいにつまらない現実と同じ空だ。
しかし、そのひどく現実的な空に映る光景を、自分は受け止めることができない。見上げた針の先から、自分の身体から流れ出ていた
ものと同じ色が滴り落ちてくる。真っ白な雪と、毒々しいまでの赤とのコントラストが視界に飛び込んでくる。

そして、現実と虚空の狭間にある針の先に目を懲らそうとしたところで、この夢は終わる―。


「・・・おい、起きろ。」
無愛想な声とともに、マットアラストは目を覚ました。まだ夢から覚醒しきれていない頭は、
ここが現実であるかどうかをすぐには判断できず、数秒ほど辺りを見渡した。そこは学校の敷地内にある土手だった。
そうだ。空きコマの時間に煙草を吸いに外へ出て、あまりに良い天気だったのでその土手に寝転んでみたのだった。
まさか生徒に起こされるまでそこで爆睡してしまうとは思わなかったが。
「ん・・・ああ、エンリケ君か。起こしてもらって悪いね、今何時間目だ?」
名前を呼ばれた白銀の髪の生徒は小さく息を吐き、昼休みがもうすぐ終わりになることを告げた。
「まいったな・・・。3限目はB組の英語じゃないか」
「だから、さっさと教室に来いと言っている。委員長が怒っていたぞ」
「やれやれ、わかったよ。支度したらすぐ行くから、それまで各自自習しておくように伝えてくれ」
いつもの飄々とした態度ではあったが、どことなく普段と違うものを感じ、エンリケは眉を顰めた。
「なんだい、エンリケ君。俺の顔に何か付いてるのか?」
「・・・いや」
相手のちょっとした表情の変化にすぐに気付くその鋭さは相変わらずで、エンリケは気のせいだったかと思い直す。が、その後すぐに
やはり気のせいではないと確信する。
「・・・髪に、テントウムシが付いてるぞ。」
0626名無しさん@ピンキー2014/09/25(木) 22:34:08.68ID:D6GpcTeo
放課後になり、マットアラストは何とは無しに、社会科資料室の扉を開ける。
そこには、いつものように鼻唄を歌いながら呑気に刺繍しているハミュッツの姿があった。だらしなく開いた胸元も、
碌に化粧を施さないそばかすだらけの顔も相変わらずだったが、一つだけいつもと違う箇所があることに気付く。
「あら、授業終わったのう?お疲れ〜マット」
「・・・なあ、今日髪どうしたんだ?」
「ん〜?ああ、これ?」
いつも黒のリボンで無造作に纏められた髪型ではなく、十数年ぶりに見る姿だった。豊かな黒髪を後ろでざっくりと編み上げ
背中に垂らした髪型だった。なぜか唐突に昼間見た夢のことを思い出した。
「懐かしいでしょう?まだあんたと付き合ってたときはこの髪型だったもんね〜」
まるでこちらの夢のことを見透かされているような心地になり、微かに心臓が跳ねるのを感じた。
「ああ、そうだったな。でも、何でまた急に・・・」
「別に〜。何となく懐かしくなっただけよう。」
それだけ答え、ハミュッツはまた黙々と針を動かし始める。出会って十数年になるというのに、変わらず作り続ける
謎のウサギの胸を針が貫いたのを見たとき、ひどく嫌な気持ちになった。
「どうしたの?何か、顔色悪いわよう。」
「・・・夢を見た」
「前からよく見るやつ?」
「ああ。しばらく見てなかったんだが、こう久々に見るとどうにも落ち着かなくてな。」
「授業サボってばっかりいるから、罰があたったのよう。・・・にしても、ほんと不思議よねえ。まさかあんたと二人で母校で教鞭を振るうなんて。
 正直、あんたが教師なんて想像すらつかなかったわよう」
「おい、あの時の話はしない約束だぞ、ハミ」
昔を思い出したハミュッツは、こちらの顔を見てクスクスと笑う。思い出したくない記憶を掘り返され、マットアラストは思わず顔をしかめた。

二人はこのバントーラ高校を十数年前に卒業した生徒で、しかも元同級生だった。
しかし、当時は今の仲の良さが嘘のように、互いに互いを嫌悪していた。二人とも優秀な生徒だったが、マットアラストは家庭環境が冷え切っていたせいか、
教師も手をつけられない不良であった。方やハミュッツは、規則にルーズで破天荒な性格、おまけに容姿に無頓着な野暮ったい風貌で、
クラスでも浮いた存在だった。同じくクラスの輪から外れた二人であったが、そこで連帯意識が生まれるようなことはなかった。むしろ、そんな調子の
ハミュッツをマットアラストがふざけ半分でからかい、そんな子供染みた彼の痛いところをハミュッツが的確に突いたことで、仲は最悪になった。
ことある毎に殴り合い、いや、殺し合いというにふさわしい派手な喧嘩を二人は三年も続けたのだった。
何故その関係から今に至ったのか。正直なところ、マットアラストは自分でも分かりかねる部分がいくつもあった。ただ、はっきりとその関係が変化したと
感じたのは、二人が学校を卒業した日だった。せっかくの高校生活を、こんな奴にほとんど費やすことになるとは。そんな気持ちで、最後に一言何か言って
やろうとハミュッツに近寄ったのがきっかけだった。
「ねえ。」
先に話しかけてきたのは向こうが先だった。こちらから言ってやろうと思っていたのを邪魔され、気分は最悪になる。最後に挨拶くらいは交わしてやろうと思っていたが
そんな気分も台無しになった。
「あ?なんだよ」
「あんたさ、大学出たら何になるの?」
思いもよらぬことを唐突に聞かれ、胸にこみ上げていた怒りは完全にかき消えてしまった。そして、丸い銀縁眼鏡の奥の瞳が決してからかいで聞いているわけでは
ないことを伝えていた。完全に調子を狂わされたマットアラストは、困ったように首の後ろを掻いた。
「・・・何って、親の会社の後を継ぐよ。昔から、俺のことなんざ単なる跡継ぎの道具としか思っちゃいない連中なんでね。今更刃向かったところで、俺に何か見返りがあるわけ
 でもなし。このまま合理的に生きていくさ」
関係の冷え切った家族の話は、マットアラストが最も話したくない話題の一つだった。その話題が、まさか自分の口から飛び出るとは思わず、そのとき既に何かが変だとは
感じていた。一方のハミュッツは、自分から聞いたくせに、三つ編みの先を弄りながらつまらなさそうに聞いていた。
「ふ〜ん。意外と従順なんだ、そういうところ。」
「そういうお前は何になるつもりだよ」
むっとした口調で聞き返すマットアラストだったが、その問いの答えを聞いたあと、驚愕のあまり思わず目の前の少女の正気を疑ってしまった。
0627名無しさん@ピンキー2014/09/25(木) 22:36:33.97ID:D6GpcTeo
「・・・お前それ、冗談じゃないだろうな?」
「何言ってんのよう。最後に嘘吐くわけないでしょう?本気よう。あたし、この学校で先生やるの」
校則はおろか、社会の常識そのものを覆さんばかりの無茶苦茶なこの女が、人を指導する立場になれるのかと思った。
「何でまた教師なんかになろうと思ったんだ?・・・お前、教師どころか、学校自体大嫌いだろう。」
「・・・やだ、何でそんなこと分かるの?」
隠していたつもりだったのか、ハミュッツは本気で驚いていた。しかも、大の学校嫌いであることについても一切否定はしなかった。
「お前、そんなんで本当に教員になるつもりか?まさか、楽だからなろうなんて考えてるんじゃないだろうな」
「楽だし、お給料も安定してるから。決まってるでしょ?」
呆れるほど平然とそう答えるハミュッツに対し初めは驚き、しかし段々と怒りが湧いてくるのを感じた。ふざけるな。お前も自分の都合で子供を振り回すのかと。
心のどこかで、とうの昔に失ったと思っていた正義感が叫びを上げているのを感じていた。同時に、何故自分はそんな綺麗事を、一番嫌いなはずの相手に求めているのだろうか
と頭の片隅で考えていた。
「・・・お前、いくら何でも世の中舐めすぎだぞ。他人の子供の命預かって、その未来まで考えて導くのが教師の仕事だろう。お前なんかに教師の仕事が務まるとは思えない。」
らしくない説教までしてしまったことに、言った後で後悔した。しかし、マットアラストをからかうでもなく、ハミュッツは「そうかもね」とあっさり認めた。
簡単に開き直るその態度に余計腹が立ち、更に一言言おうとしたところで、ハミュッツは言った。
「でも、あんたとおんなじでしょ?合理的に生きる。ただそれだけよ」

卒業した後も、大学を出て社会人となった今も、その言葉は忘れられなかった。その言葉を言われたとき、内心では「違う」と否定したかったが、結局何も言い返すことが
できなかった。ただ周りの状況を諦めて、心の中で望んでいた信条も平然と捨てて生きてきた。結果的に周りにも迷惑をかけず、自分の利益に害をなさなければそれでいいと、
「合理的」であることを言い訳に、流されてきたことに気付かされたのだ。そのことに気付かされた時には、自分は望みもしない親の金融会社に入り、理不尽のはびこる世界の中で生きていた。
例の夢を初めて見たのが、ハミュッツのその言葉を聞いた日の夜だった。夢には自分一人しか出てこないはずなのに、巨大な針が出てくる度に何故かあの嫌いだった女の
顔を思い出すのが、初めはどうしようもなく胸糞が悪かった。
出世していく度、以前からクソ食らえと思っていた親の会社の、更なる悪の面が見えてくる度、何度も何度も同じ夢を見た。他人の利益の為に財産をむしり取られ泣く家族、
会社内の競争で、汚い手で貶められていく同僚。そんな姿を見る度、自分は何度もあの不気味な針に遭遇するのだ。
あの針の先にいるのは、誰なのだろうか?一つ確信を持てるのは、あれは、自分が救うはずだったとても大切な何かのはずだったということだ。その姿はいつも見ることができないが、
代わりとして、決まって彼女のあの言葉が目覚めの後に木霊する。あの針の夢を恐れると同時に、マットアラストは夢の女の声に救いを求めていたのだと理解するようになった。
その頃になりようやく、マットアラストはハミュッツに抱いていた本当の想いに気がついたのだった。
会社の経営が傾いたところで、マットアラストはそれまでの地位も、家族との縁も全て絶ち切り、金融会社を退職した。
関連企業や取引先企業との繋がりも全て断ち切られ、マットアラストは完全にその世界から隔絶された。全く、仕事はできない癖にこういうことには用意周到だと鼻で笑ってやったが。
退職後、今まで貯めてきた莫大な財産で大学を入り直し、マットアラストは教師の道を歩むことにした。
全くの自分の信念でその道を選んだのかと聞かれれば疑問は残るが、それでも、前の職に比べれば遥かにマシな仕事だと思えた。働かない理事長に、学校一恐れられる
存在のイレイア・・・自分がいた頃と何も変わらない学校が、そのとき初めて愛おしいものに感じられたのだった。
0628名無しさん@ピンキー2014/09/25(木) 23:06:41.74ID:D6GpcTeo
着任式当日、以前学校に送った荷物が社会科資料室にあると言われ、マットアラストはその部屋の扉を開いた。そこで見たのは、高校卒業時と変わらない、あの野暮ったい女の姿だった。
マットアラストの方は、彼女が絶対にここにいると確信していたが、ハミュッツの方は全くの想定外だったようで、眼鏡の奥の瞳がまん丸に見開かれていた。
「・・・嘘、でしょ・・・?何で、あんたがここにいるのよ」
「よう。ちゃんと働いてるみたいだな。ハミュッツ先生?」
久々に再会した同級生は、高校時代のあの不良とは思えない、品のある大人の男性に成長していた。その姿を見つめるハミュッツの表情に、微かに女の色が浮かんだ
のをマットアラストは見逃さなかった。卒業した後の長い時間、あの不気味な夢だけでつながっていた女性がちゃんと目の前にいるかどうか確かめたくなり、ハミュッツの
了解を得ることなくその身体を抱きしめた。突然抱きつかれたハミュッツは完全に動揺し、手足をばたつかせて暴れていたが、そんなことには構わず、ただその身体の温もり
を確かめた。彼女をこうして抱いたのは初めてであるのに、不意に懐かしさが胸をこみ上げるのを感じた。


―数年の時を経て二人は完全に和解した。その時から、付き合ったり別れたりを繰り返す奇妙な間柄となっている。あの不思議な夢はその後見る回数は少なくなっていったが、
たまに見たときは、なぜかとてつもなく不安な気持ちに苛まれた。最初に夢のことを打ち明けたときには、腹を抱えてハミュッツは笑っていたが、マットアラストがその後口を
聞いてくれなくなったので、今ではちゃんと話を聞くようにしている。
「ふ〜ん。ここしばらく見てなかったのに、珍しいわねえ。ま、そんなに気にする事じゃないわよう、きっと」
「・・・だといいんだがな」
「マットって、意外とロマンチストっていうか、結構そういう夢とか迷信とかなんだかんだで気にするわよねえ。昔から」
「馬鹿言え、男は皆ロマンチストだよ。」
「はいはい。でも、仕事サボった罰っていうのは当たってる気がするのよねえ。ちょっと初心に返ってみたら?」
言われてみれば、この夢を見た最初の頃、自分の求める信条やら生きていく上での合理性やらで、様々な葛藤に苦しんでいたのを思い出した。周囲の流れに乗るまま、
様々な悪事に手を染めなければならなかったあの頃が特に夢見が悪かった。あの夢は、自分が無意識のうちに心の中で飼っていた警告のようなものなのだろうか。
明日から気をつけるよ、と返したマットアラストは、ふと気になったことを聞いた。
「なあ。君はどうして、教師になろうと思ったんだ?あのときと同じ答えだったら、君はとっくにこんな仕事辞めてると俺は思うよ」
自分の歩む人生まで大きく変えたこの女の答えを、ずっと知りたいと思っていた。彼女は何を思い、何を目的に生きているのか、それはどんなに考えても分からなかった。
完成したアップリケを机に置き、ハミュッツは大きく伸びをする。そして、少し考え込むように頭を掻いた後、一言だけ答えた。
「う〜ん・・・忘れちゃった」

4話目はこれで終わりです。相変わらずの駄文ですが、マットさんとハミの関係を書けて満足です
0629名無しさん@ピンキー2014/09/27(土) 22:39:46.35ID:J5HKZ6aQ
しんみりほっこりで いい話だなあ
急に抱きしめられてバタバタするハミュッツ先生かわええ!
0630名無しさん@ピンキー2014/09/28(日) 00:44:22.28ID:1qAtWPye
>>629
ありがとうございます!本編で結ばれなかったのが本当に残念・・・

しんみり系で話考えてるうちにミレポとヴォルケンの話も思いついたので5話目書きたいと思います。

 
放課後の鐘の音とともに、帰りのホームルームが終わり、ミレポックは学級委員長の残りの仕事と勉強のため教室に残る。
皆各自それぞれの活動へ向かい、今教室にはミレポック一人しか残っていない。
「・・・はぁ。今日は何を書いたらいいかしら」
ミレポックが今頭を悩ませているのは、学級委員長が記録をつける日誌の報告だ。これまでのものを読み返すと、
毎日同じようなことしか書いていないことに気付いてしまった。毎日これに目を通す担任のハミュッツがどう思っているのだろうか
などと、変な心配をしているのが良くないのだが。元来生真面目な性格のミレポックは、他人なら気にしないような
小さなことでも心配し、頭を悩ませてしまうのだ。
「毎日同じ事の繰り返し、か・・・」
ミレポックは、新しいクラスになり委員長を決めた日のことを思い出し、そして自ら立候補を決めた時の己の意気込みを
今更になって恥じた。動きの止まっていたペンを机に置き、両手を首の後ろで組む。
「私、何だか馬鹿みたい・・・。」

新しいクラスになり、初対面のクラスメートばかりで皆が緊張していた頃。
いきなりクラスのリーダーを決めなければならず、互いに気まずいまま皆が沈黙してしまっていたところに、
一人の少女が顔を少し俯けたまま手を挙げた。一見大人しく、いかにも真面目な優等生風の少女。しかし、
彼女が立候補したのは、決して気まずい雰囲気に堪えきれなかったからではない。学級委員長を務めようとしたのには
明確な目的があった。クラスの皆の役に立ちたい、誰かから頼られ必要とされる人間になりたい―そう決意しての立候補だった。
0631名無しさん@ピンキー2014/09/28(日) 01:12:47.62ID:1qAtWPye
中学時代、その真面目すぎる性格とやや潔癖な性質から周囲に疎まれてしまったミレポックは、
中学3年時あたりからあまり人と関わらないようにしてきた。(疎まれた理由の半分が、不良女子が片思いしていた男に
言い寄られたからであるということには気付いていない)
本当は、同じクラスの子と仲良くしたい。自分の存在を否定するのではなく、クラスの輪に入り、ありのままの自分として
振る舞っていきたい。そんな自分に変わろうと勇気を出してのことだった。
しかし、現実には学級委員長になったところで何か大きな変化があるわけでもなく。
クラスのリーダーとはいっても、普段から特別な仕事という仕事は特に無く、これまでとそう大差ないのが
現状だった。幸い、このクラスは皆性格のいい人間ばかりで、それなりに学校生活を楽しく過ごせてはいるが、
当初思い描いていた理想からは遠いものだった。ミレポックの生真面目で抑制的な性格がそれを否定するが、高校生らしく
青春を謳歌してみたいと心の底で願っていたのである。学級委員長の仕事でクラスの中心に立つことはあるが、
それ以外の何気ない日常の中で青春らしい青春を送っているかと聞かれれば、答えは否だ。
このままで本当にいいのだろうか・・・そんなことを考えていると、ふと窓の外から、初夏の陽を浴びてキラキラと
輝く葉桜が見え、その綺麗な色から、一人の男子生徒の姿が頭に浮かんだ。校庭を見下ろし、部活に励んでいるその姿を目で追った。
陽光を浴び輝く若草を思わせる髪に、実直さと強い意志を湛える瞳をもつ男、ヴォルケン・マクマ―ニだ。
彼とは1年の頃から同じクラスで、入学当初、今よりずっと内向的な性格だったにも関わらず、すぐに打ち解けることができた。
彼も非常に真面目な性格で、どことなく自分と似たところがあると感じていたが、他人を外見や能力で判断せず、誰にでも誠実に接する
優しい男だった。
彼は元々この地域ではなく、隣の県から来た生徒だった。陸上で全国上位クラスの記録をもち、
部活のために養父のもとを離れて暮らしていると聞いた。たった一人で生活しているにも関わらず、勉強に部活、人間関係も、何もかも
こなしてしまう彼に、ミレポックは尊敬の念を抱いていた。
0632名無しさん@ピンキー2014/09/28(日) 01:40:54.05ID:1qAtWPye
ホイッスルが鳴る音と共に、普通ならば到底飛び越えられない高さに設定された
高飛びのバーに向かって彼は走っていく。ミレポックはその過程に思わず目を奪われる。
見事な踏み切りとともに、高く舞い上がった身体がしなやかなアーチを描いてバーを飛び越えていく。
着地と共に、審判の白旗が上がった。
「すごいな、ヴォルケンは・・・」
以前キャサリロから、ヴォルケンのことが好きなのかと聞かれたことがある。そのときは恥ずかしさのあまり思い切り
否定したが、本当のところ、ミレポック自身もよくわからない。彼のことは尊敬している。友人として誇らしいと思うし、
間違いなく好意は抱いている。だが、同時にそんな彼が酷く眩しい存在に見えるときがある。どれほど過酷な日々を
過ごしていても、嫌な顔一つせず、どんな障害も軽々と飛び越えてしまう。そんな風に見えるのだ。異性の友人に対してこんな
感情を抱くのは少しおかしいかもしれないが、「羨望」に近い感情を抱いているのかもしれない。
視線を戻したミレポックは、ため息を吐き、結局無難な内容を日誌に書き留めることにする。流麗な字を紙面に滑らせ書き終え、
いささか納得できなかったが、そのまま提出することにした。職員室に日誌を提出したあと、そのまま教室に戻り勉強することにする。
今の時点で難関大学への進学を志しているミレポックにとって、時間は少しでも無駄にしたくない。こんな考えだからだめなのだろうか、と一瞬考えたが、
雑念を振り払い、机に問題集とノートを広げる。

夜の7時30分になり、そろそろ学校の下校時刻が近づく。荷物をまとめ、一人しかいない教室の電気を消そうと教室前方の扉に近づいたとき、
外から突然扉が開かれた。
「きゃっ!?」
あまりに突然のことだったため、ミレポックは思わず悲鳴をあげた。
「す、すまない!大丈夫か?」
扉を開けたのは、予想外の人物だった。
「ヴォルケン・・・?どうしてここに?」
いつもなら部活が終わった後はそのまま真っ直ぐ帰るはずだ。この時間の教室で誰かと二人きりになるのは
初めての事だった。
「いや、弁当と傘を忘れたから取りに来たんだけど・・・」
「傘?」
ふと外を見たミレポックは、ザーザーと雨が降っていることに気付いた。朝の天気予報を
確認していなかったミレポックは、傘を持ってきていなかった。
「どうしよう・・・。傘、持ってきてないわ」
電車通学のミレポックは、学校から駅までの1キロ未満の距離を歩いて行かなければならない。
思わず憂鬱な溜息が溢れる。
0633名無しさん@ピンキー2014/09/28(日) 03:02:41.23ID:1qAtWPye
「ミレポック」
生真面目そうな、やや堅い声に振り向くと、目を逸らし、照れくさそうな様子で、ヴォルケンは自分が持っていた傘を差しだしてきた。
「・・・駅まで送るよ。」
「え?だ、大丈夫よ!それに、ヴォルケンの家は駅とは逆方向だったでしょう?」
慌てて断ろうとするが、風邪を引くから、とヴォルケンが譲ろうとしなかったため、結局一緒に一つの傘で駅まで向かうことになった。

先程よりいくらか勢いは収まったが、雨が地面を打つ音は止まない。しかし、そんな雨の音すら聞こえなくなるほど、ミレポックの心臓は
激しく高鳴っていた。異性とこんなに近くに寄り添ったのは初めてだった。部活帰りの他の同級生が見ていたらどうしよう・・・と心配する。
昨日同じ時間に下校したときは、キャサリロとノロティが通学路の途中にあるドーナッツ店にいた。仮に見つかったとして、
ノロティなら特に気にしなさそうだが、キャサリロに見つかったら絶対に何か言われるだろう。
そんな心配をするミレポックだったが、学校を出てからまだ一言もヴォルケンと口をきいていないことに気付き、
ちらりと横顔を伺う。ヴォルケンの方は、真っ直ぐ前を向き何事もないかのように歩いている。しかし、一つだけ気付いたことがあり、
ミレポックはようやく口を開いた。
「あの・・・ヴォルケン。私は少しくらい濡れても平気だから、その・・・ちゃんと傘の中に入ったら?」
平静を装っているようだが、やはり女子と密着して歩くのは気恥ずかしかったらしい。間隔を取ろうとするあまり、
傘の大部分はミレポックに差し掛かっており、道路側を歩いている彼はほぼずぶ濡れになっている。
「大丈夫だ。さっき運動してきたばかりで暑いから、少しくらい濡れても問題ない」
「・・・どう見ても少しじゃないんだけど。」
「平気だよ。雨には慣れてるし」
しかし、このままではどうにも申し訳ない。どうしたらよいものかと考え込み、しばし沈黙する。
少し間が空いた後、ヴォルケンの方から声を掛けられた。
「なあ。最近、何か悩んでいることでもあるのか?」
「え?」
彼の方からそんな風に心配をされたのは初めてだ。自分はそんなに浮かない顔をしていたのだろうか。
放課後の悩みを悟られないよう、平静を装い答える。
「べ、別にないけど・・・どうして?」
「いや、最近よく溜息を吐いているから、何か困っていることでもあるのかと思って」
自分でも気がつかなかったことを指摘され、ミレポックの頬が少し赤くなる。
「えっと・・・、そんなに大したことじゃねいから平気よ!その、私が勝手に気に病んでるだけというか・・・」
「なんだ、やっぱり悩んでるじゃないか」
こちらの顔を少し覗きこむように見て、ヴォルケンはほんの少し悪戯っぽく笑った。こんな風に笑うこともあるのかと
少し驚くミレポックだが、同時に嘘がばれて気恥ずかしくなる。顔が赤く染まっているのを見られないよう、淡い金色の頭を俯けて歩く。
そんな彼女の様子に気付いているのか否や、ヴォルケンは再び目を向いて言った。
「ミレポックは、本当に頑張り屋だな。」
「え?何・・・」
「頑張り屋だけど・・・あまり一人で抱え込むなよ。皆だって、お前の役に立ちたいと思っているはずだから・・・」
そこまで言い、ヴォルケンは口を閉じ、話すのを辞めてしまった。言われた瞬間はよくわからなかったが、
どうやら自分を元気づけようとしていてくれたらしい。その不器用さに、思わず笑いそうになる。
「ミレポック?震えてるけど、寒いのか?」
こちらが笑いをこらえていることには気がついていないようだ。
「ううん、何でもない。」
0634名無しさん@ピンキー2014/09/28(日) 03:14:27.86ID:1qAtWPye
もうすぐ駅に着く。この信号が変わり、横断歩道を渡ってしまえば、二人の時間も終わってしまう。
そんな風に思った瞬間、何故かミレポックは胸にぽっかりと穴が空いてしまったかのような寂寥感に襲われた。
隣にいる彼の温もりがもうすぐ消えてしまうことが、無性に悲しくなった。
「・・・ミレポック?青になったぞ」
その声にはっと我に返り、慌てて横断歩道を渡る。とうとう駅に着いてしまった。初めはとても長い距離のように思えたが、
まだまだ続いて欲しかったと、子供染みたことを考えている自分に気付いた。
「じゃあ、俺はここで・・・気をつけて帰れよ。」
「ええ。今日は本当にありがとう。風邪、引かないでね」
緩やかな笑みを浮かべた後、ヴォルケンは背中を向けて元来た道へと歩き出した。ミレポックもホームへ向かおうとしたが、
その後ろ姿を思い出した瞬間、訳もなく行って欲しくないという気持ちがこみ上げ、思わず振り向いてその名を呼んだ。
「ヴォルケン!」
呼び止められたヴォルケンが歩みを止め、こちらを振り向く。
「どうした?」
ただ訳もなく呼んでしまったミレポックは、呼び止めた後になって慌てて言い訳を考える。
雨で濡れた若草色の髪を見て、鞄の中にしまっていた予備のタオル地のハンカチを取り出した。
「あの・・・これ、使って!」
彼女が差し出したのは、品の良いラベンダー色に、白やピンクの小花柄が散りばめられた綺麗なハンカチだった。
母親が既にいないヴォルケンにとって、無縁だと思っていた代物だった。汚すのは悪いから、と断るヴォルケンだったが、
風邪を引くから、と頑として譲らなかったため、ヴォルケンはそれをぎこちない仕草で受け取った。
今度こそ二人は別れ、ミレポックは駅のホームに、ヴォルケンは自宅へと向かっていく。ホームのベンチで電車を待つ少女の胸を占めていた
悩みや寂寥感は、嘘のように解消されていた。あるのはただ、温かい温もりと、甘い幸福感だけ。ミレポックはそこで漸く、彼への感情の
正体を理解したのだった。恋とはこんなにも温かい感情だったのか・・・
ミレポックは胸の中に芽生えた小さな幸せを、大切に抱き締める。もう普通の友人として話ができなくなると、別の悩みに頭を抱えるのは少し先の話。
一方、帰宅したヴォルケンは、借りたハンカチから女の子らしい良い香りがすることに気が付いてしまってから、
一人悶々と夜を過ごす羽目になるのだった。

5話目終了です。
アニメで司書にハマった最初のきっかけがこの二人だったので、書けてほっとしました。
0635名無しさん@ピンキー2014/09/30(火) 22:58:30.26ID:iPOhlI/i
初々しいなあ、くっそ、リア充爆発しろ!
何気に多いよね、ヴォルケン×ミレポのSS
やっぱ人気のカップルだよねえ
0636名無しさん@ピンキー2014/10/01(水) 23:31:31.12ID:d+PQYinL
>>635
アニメ版のかわいい感じにハマったのがきっかけだったけど、
原作の完全なミレポの片想いもどっちも好きです(笑)
本編のヴォルケンは育った環境もアレだったし、そっち方面に全く気が向かなかったのかなって
思うけど、学パロではもう少し心にゆとり(?)があるイメージです。

勢いでだいぶネタを消化しちゃったので、好きなシチュエーションとかがあったら挙げてもらえると嬉しいです
0638名無しさん@ピンキー2014/10/04(土) 22:52:22.86ID:NmlHY/X/
>>637
他のキャラ全然書けてなかったので頑張ります!
キャサリロさんといえば、原作はちっちゃくて可愛い感じだったけど、アニメではスタイル抜群のお姉さんでしたね笑

元気いっぱいのイメージだけど、基本臆病っていうギャップが可愛いですよね
0639名無しさん@ピンキー2014/10/04(土) 23:05:10.40ID:NmlHY/X/
実は背が小さいことを気にしてて、周りにスタイルいい子が多いのにコンプレックス抱いてるキャサリロさんとかどうでしょう?
ミーハーで細かいこと気にしなさそうな元気娘に見せかけて、実は乙女とか
0640名無しさん@ピンキー2014/10/05(日) 15:24:54.50ID:4m2AgJ0Z
6話目いきます。放課後の話ばっか書いてる気がするけど気にしない

時計は夕方の6時を回っていた。5月になり日が延び、まだ太陽は地平線の彼方へは沈んでいない。
体育館では、様々な部活が活動しており、男子生徒の野太いかけ声やら熱い声援が飛び交い、
汗のしぶきが舞う。そんなむさ苦しい光景の中、一カ所だけ男のオアシスとも言える場所が存在する。
ステージ上ではチアリーディング部の女子たちが、今季の大会に向けて練習をしていた。白地に鮮やかなピンクと赤が配色
されたユニフォームに身を包む美少女たちが、軽快な音楽に合わせ踊っている。スカートから覗くすらりと伸びた脚や、強調される
胸から腰に掛けての緩やかなラインは、過酷な練習に身を削る男達の目の保養であった。
「やっぱいいよな・・・、チア部の女子。」
「ああ。俺、この学校に来てほんと良かったと思ってる」
ステージ上に咲く美しい花を見つめ、恍惚とした表情で男達は呟いている。思春期真っ盛りの健全な男子生徒たちは、そこから誰が可愛いだの、
エロいだのと、女子の品評会を始める。眩しい笑顔を振りまき踊る少女たちの方向を見ながら、その中の一人の名を挙げる。
「やっぱ、B組のノロティって可愛いよな。」
「うん、俺もそう思う。しかもすげえ優しいよな。つうか、B組は女子のレベル高すぎだろ。まあ担任はちょっとアレだけど・・・」
「バカ!ハミュッツ先生だってエロいだろうが!あんなでかい胸、絶対他じゃ見られねえぞ」
「いや、胸はいいんだけど、ありゃ女じゃねえよ。バレー部が今実質廃部状態なのもハミュッツ先生のサーブが原因だって聞いたし、あれはただの怪力お化け・・・」
「おい、よせ!噂じゃあ悪口言うと、どこからともなく石が飛んでくるって聞いたぞ。」
それ以降ハミュッツの話題には一切触れず、男達はクラスの女子の名前を一つずつ挙げてはその魅力を語り合う。そんな男子達の事は知らず、ステージ上の少女達は前半の
活動を切り上げ、それぞれ休憩に入っていく。
0641名無しさん@ピンキー2014/10/05(日) 15:32:09.51ID:4m2AgJ0Z
「あ〜、疲れた!お疲れ、ノロティ!」
「あ、キャサリロさん!お疲れ様です!」
「も〜、同級生なんだし、敬語使わなくていいって!」
「う〜ん、そうなんだけど、なんか癖になっちゃってるみたいで。」
「はあ・・・ほんと良い子だねえ、あんた。ま、いいんだけどさ」
イレイアが差し入れで持ってきたアイスレモンティーで喉を潤しながら、キャサリロとノロティの二人が楽しげに談笑する。二人はB組の中でも仲がいいことで知られている。
楽天的で明るい性格のキャサリロと、同じく快活だが、温和で天然な部分を持ち合わせたノロティは相性がいいのだろう。また、自称姉御肌のキャサリロにとって、
おっちょこちょいで危なっかしいところのあるノロティはほっとけないらしい。心のどこかで妹のように感じているのだろう。クラスのムードメーカー的存在のキャサリロだが、
へらへらしているようで実はかなり優秀である。校内テストでも常に上位には入っており、運動神経も女子の中では最も高いといえる。中学の頃はバスケで全国大会まで出場した
ことがあるという。テスト前の勉強や部活でも、何かとノロティの面倒を見ているキャサリロだが、一つだけ、ノロティに勝てないと思っているものがある。楽しく会話しているはずの
今現在も、キャサリロはそのコンプレックスを目前に突きつけられていた。
「キャサリロさん?どうかしたんですか?」
「え?あ、ううん!何でもないぞ、このヤロー!」
「あははは!くすぐったいよ、キャサリロさん!」
心配そうに顔を覗きこんできたノロティに、おどけてくすぐりをかますキャサリロ。仲睦まじくじゃれる少女たちの様子を、遠くで男子が(レズか)(百合だ)などと
思いながら食い入るように見つめていることには二人は気付かない。しかし、親友の少女の身体をまさぐりながら、キャサリロはますます心の中で落ち込むのである。
(いいなあ。皆背高くって、スタイル良くて・・・)
キャサリロのコンプレックスとは、自分の背の低さとスタイルである。普段の快活な姿を知る者は皆、彼女に対しボーイッシュであるという印象を受けるのだが、実は彼女、
心はすごく乙女なのである。よくも悪くもおおらかで、あまり女性らしい身体の手入れを気にしないノロティによく説教しているところにもその片鱗は覗えるのだが、
お化け屋敷やホラー映画が苦手で、夜道も一人で帰れなかったり、ガールズトークで飛び出す下ネタに赤面するなど、内面は誰よりも少女らしかったりする。
幼い頃は可愛いドレスや、童話のお姫様に憧れたりする少女だったのだが、年を重ねる中でそういったものが似合わないことを自覚した。反動で髪を短くし男子に混じって
バスケをするようになったのだが、中学に入る頃に身長が止まり、高校バスケで通用しないと知ってからはその道も諦めた。女らしさとスポーツ、そのどちらも適わなくなった原因
である自分の身体が恨めしく思える。
0642名無しさん@ピンキー2014/10/08(水) 01:02:45.27ID:B11XRkX0
心の中に抱くそんな悩みを一層強く意識したのは、ノロティも含め、クラスの女子と一緒に休日に遊びに行った日のことだった。その日は、いつもは兄にべったりなユーリや
休日も丸々一日勉強に費やすミレポックも一緒で、4人でお茶をしていた。今はクラスに登校していないモッカニアの母、レナス=フルールとノロティが親しく、レナスが紹介してくれた店に4人は集まっていた。
フルーティーな香りの紅茶に、季節限定のタルトケーキがずらりと並ぶショーウィンドーに、全員が目を輝かせていた。先に紅茶とケーキを選び終えたキャサリロが、美しいガーデニングの見えるテラスのテーブルを見つけ席を取っていた。
未だショーウィンドーと睨めっこしている同級生の私服姿をキャサリロは遠くから眺めていた。
(みんなの私服姿って、なんか新鮮だなあ。・・・にしても、みんな可愛い服持ってんなー。)
2年B組は女子の顔のレベルが高いと評判だが、その中でもあの3人は特に可愛いとキャサリロは思う。黒髪をシニョンのハーフアップに纏めたユーリは、白地に上品なピンクの花柄をあしらったシフォンのワンピースに身を包み、
白のハイヒールを優雅に履きこなしている。モデル並みのスタイルと美貌を持つ彼女には、花柄が実によく似合っていた。ノロティの方も、普段私服で会うことはあまりないため、今日の服装はキャサリロには少し新鮮に映った。
そして、あまり流行に関心が無さそうな彼女が、思いの外私服が可愛いことにも驚いた。ホットパンツに、赤のスニーカーとパーカーという服装は、スポーティーな彼女らしいが、パーカーの中に着られた白のレース地のキャミソールが女性らしさを強調している。
小麦色の肌と白のレースの対比が、健康美と可憐さの両方を見る者に印象づける。
ミレポックはラベンダー色の細身のパンツに、すっきりとしたシルエットのベージュのジャケットという、大人びた服装だ。シンプルだが、短く纏められたレモン色の髪の美しさを引き立てる上品な色遣いだと、キャサリロは感心する。
背の高い彼女だからこそ美しく着こなせるのだろう。そんな彼女らの姿を見た後で、ガラスに映った自分の姿が目に入り、キャサリロは大きく溜息を吐く。
白のシャツに赤のストール、デニムのショートパンツという出で立ちだけみれば、それほど子供っぽくはないと思う。しかし、椅子に座ったときに宙に揺れる脚が外見の幼さを強調し、いくら身なりを整えても、
子供が大人の服を着せられてるように見えてしまう。私服の際に身につけるお気に入りのハットがあるのだが、以前休日に偶然遭遇したマットアラストに、小学生みたいだと爆笑されたのは苦い思い出だ。
マットアラストから見れば自分は子供だろうし、からかい半分だったのは分かっているが、身なりのセンスが超一流の副担任に笑われたのは地味にショックが大きかった。
(うわあああ・・・せっかく美味しいケーキ食べようってときに何考えてんのよ、あたし!)と、一人頭を抱えているとき、3人が飲み物とケーキを持ってやって来た。
「キャサリロさん、どうかしたんですか?頭なんか抱えて」
先に話しかけたのはミレポックだった。
「へ・・・?ああ、皆戻ってきてたの?へーきへーき、何でもないよ!」
「キャサリロさん、大丈夫ですか?具合が悪かったら、無理しないでくださいね?」
「大丈夫ですわよ、ノロティさん。ほら、なんとかは風邪を引かないっていうではありませんか。」
「誰がバカなのかな〜?ユーリちゃん」
「まあまあ、喧嘩しないで早く食べましょうよ!」
休日の午後のひとときを、香りの良い紅茶とケーキを味わいながら楽しむ4人。昨日の帰り道にミレポックとヴォルケンが一つの傘で駅まで歩いていたことは全員に目撃されており、ミレポックは同級生からの
尋問を必死に躱している最中だった。しかし、普段ならば真っ先にそういう話に飛びつくであろうキャサリロの頭は、違う事でいっぱいだった。小動物のような丸い瞳は、目の前の席に座る
ミレポックとユーリの胸元や二の腕をじーっと見つめていた。その視線に気付いたのか、ユーリが恐る恐るキャサリロに尋ねる。
0643名無しさん@ピンキー2014/10/08(水) 01:07:39.37ID:B11XRkX0
「あの、キャサリロさん?私たちの胸に、何か付いていまして?」
「え?ああ、いや、その・・・。皆大きいなって思って・・・」
いくら同性とはいえ、これはセクハラに当たるんだろうか、と一瞬口にするのを躊躇するが、元々隠し事は得意ではない。こうなったら言ってしまえ、と心がやや自棄的になっていた。
「それは・・・・・・胸、のことでしょうか?」
「わ、私は、それほど大きさに自信があるわけでは、なくってよ・・・?」
恋バナから突然胸の大きさの話に話題が移り、ミレポックとユーリは弱冠困惑している。ユーリの方はどうやら本気で自信がないらしく、胸元を押さえて顔を赤く染めてしまっている。
一方ノロティは、あまりそういった話に恥じらいを覚えるタイプではないのか、あっけらかんとした様子だった。
「え〜!前に合宿で一緒にお風呂に入ったときは、キャサリロさんも別に小さくないと思いましたけど・・・」
「ちょっと、ノロティ、声が大きいわよ。」
ミレポックが慌ててノロティに制止をかける。
「あ〜、胸もまあそうなんだけどさ。皆、背高いし細いし、スタイル良くって・・・。ちょっと羨ましいって思ってさ」
胸にしまい続けていたコンプレックスが、言葉となって次々に口から出ていくのが自分でもらしくないとは思った。ノロティたちも、いつもは脳天気なキャサリロがいつになく暗い調子なので困惑した様子だった。
「キャサリロさん、もしかしてずっとその事を悩んでいたんですか?」とミレポックが少し心配そうな眼差しで問いかける。
「う〜ん・・・、まあ、生まれついちゃった身体だからしょうがないとは思ってるんだけどさ。ほら、あたしってチビじゃん?だからどうしても、身長欲しいな〜とか、色々昔から考えちゃうんだよね。
 ・・・ええと、何かごめんね?暗い雰囲気になっちゃって・・・」
3人が真面目な顔で自分を見つめているのが気まずくなり、慌ててキャサリロは謝罪する。
「そんなことないですよ。誰だって自分の嫌いな部分はあると思うし、それに、あたしは今のままのキャサリロさんだってとっても可愛いと思います!」
青い瞳をきらきらさせながらノロティが励ましの声をかけてくる。
「ノロティ、あんた・・・」
こんなどうしようもない悩みを打ち明ける自分にも優しい言葉をかけてくれる親友に、キャサリロは感動を覚えた。
「そうですよ。何というか・・・キャサリロさんは、今の姿だからこそ親しみやすいところがあるし、それに、世の中には小柄な女性の方が好きだという人も多いと聞いたわ。そんなに悩む事じゃないわ、きっと。」
普段脳天気な自分に対して割と厳しいミレポックまで、今の自分を肯定する言葉をかけてくれている。柄にもなく目頭が熱くなっているのを感じた。
そんなとき、ユーリが顔を俯け、ぽつりと何かを呟いた。
0644名無しさん@ピンキー2014/10/08(水) 01:20:43.83ID:B11XRkX0
「・・・・・・やっぱり、そうなんですね・・・」
「え?ユーリさん、ど、どうかしたんですか?」
優雅な雰囲気から一変、ユーリからどす黒い何かが発せられ、他3人はその迫力に気圧される。このオーラは確か以前も見たことがある。ユーリがこのモードに入るのは、だいたい兄のユキゾナが絡んでいるときだ。
「ど、どうかしたの?あたし、何かまずいこと言っちゃった・・・?」
「・・・やっぱり・・・やっぱり、男性はそういう小さくて・・・外見が幼くて、庇護欲がそそられるような、可愛らしい女の子がお好きだったのですね・・・?」
ユーリの手にあるティーカップの取っ手にヒビが入り、3人は慌ててユーリをなだめようとする。
「お、落ち着いて、ユーリさん!男の人が皆そういう子が好きというわけじゃないのよ?ただ、あくまでそういう例も有るっていうだけで・・・」
「と、とりあえず話を聞こうか、ユーリ!え〜と、ユ、ユキゾナが何かあったのかな?」

しばらくした後、少し気が落ち着いたのかユーリも幾ばくか冷静さを取り戻し、ティーカップを皿に戻し話し始める。先程の怒りの形相はどこにやら、その目は涙で潤み、完全に妹キャラになっていた。
「・・・お兄様の、鞄から・・・、ぐすっ、き、昨日・・・い、イヤラシい本が、見つかって・・・!」
同級生の、しかも真面目な生徒会長の性癖がいきなり暴露されようとしていることに、3人はただ唖然とするしかなかった。しかし、ユーリはそんな友人達の様子に気付く様子もなく、すすり泣きながら話を続ける。
「わ、私だって・・・!好きでお兄様の鞄を、覗いたりなんかしませんわ!・・・でも、そのときはたまたま見てしまって・・・。それで、表紙の女の子が、どう見ても小学生並みの幼児体型で・・・!私なんかより胸もないし、寸胴だし!
し、しかも!妹プレイって書いてあって・・・!あ・・・あんな子供が、お兄様の理想のタイプだっただなんて・・・!」
顔を覆い、わっと大声で泣き始めるユーリ。店内の客が一斉に自分たちを見始めた為、号泣するユーリを連れて4人はそのまま店を後にした。
(((なんか・・・すごく聞いちゃいけないこと聞いちゃった気がする・・・。)))
健全な男子高生なら、そういう事情もきっとあるだろうことは皆理解してはいたが、それでも赤裸々に自らの趣向を実の妹に暴露されたユキゾナのことを想うと、居たたまれなかった。ちなみに例のエロ本は、
同級生のリズリーが悪戯で仕掛けたものであって、ユキゾナ本人は何一つ後ろめたいことはしていない。後に双子によってリズリーが制裁を受けるのは、数日後の話である。

店を出た後、近くの公園のベンチに座り、キャサリロはユーリの背中を優しく撫でながら、小さい子供をあやすように慰める。ユーリの背中を撫でながら、キャサリロは自分のさっきまでの悩みが完全にどうでもよくなっていた。
小さいことを気にしないのが自分の取り柄で、こうして手のかかる子達をおおらかに包み込んでいる方が、自分には合っているのだ。ユーリを挟んでベンチの反対側に座るノロティとミレポックの二人に、キャサリロはなんとなく話しかける。
「やっぱ、あたしはこっちなんだよねー」
一人満足げに笑みを浮かべるキャサリロに対して、何を言われたのかが分からないノロティとミレポックは、互いに小首をかしげて顔を見合わせるのであった。


6話終了です。いまいちキャラを掴めてない上、グダグダで申し訳ないです。
私服で女子会するところを書いてみたかったので、そこだけ満足してる
0645名無しさん@ピンキー2014/10/09(木) 23:14:51.54ID:iffrEW93
おお、ありがとうございます!
美少女四人のお茶会、無敵ですなー
こんな場面、原作やアニメでも見たかった・・
あと、チア部の練習を男子が見てるところや、リズリーの仕掛けも楽しくて
読んでいてニヤけてしまったですw
0646名無しさん@ピンキー2014/10/10(金) 09:13:13.32ID:EicZ9KHQ
ぐだぐだだったので心配でしたが、優しいご感想ありがとうございます・・!
本編は戦いがメインだったけど、実は色んなタイプの女の子キャラいるんですよね

キャサリロさんの可愛いところがあんまり書けなかったけど、肝試しのとき一番可愛い反応するのはキャサリロさんだと思いますw
0647名無しさん@ピンキー2014/10/10(金) 23:00:34.42ID:yAFVvw4R
0649名無しさん@ピンキー2014/10/12(日) 08:32:41.39ID:N5Kyf9bu
代行はちゃんとお化粧したら化けそう
マットさんはじめ周りにそれでどっきり仕掛けて遊ぶハミさんとかいつか書きたいです。
0650名無しさん@ピンキー2014/10/12(日) 09:38:56.08ID:Xgb+wtSB
どうやったら戦う司書の女の子達のエロさをあげられてくか考えたらひとつ思いついたので。 絵では表現できませんがあの世のノロティちゃんにバニー嬢になっていただきました。
0651名無しさん@ピンキー2014/10/14(火) 11:44:17.88ID:s+psGvW3
バニーといえば、ハロウィンの時期が近いですね
絵は描けないけど、司書キャラに何のコスプレが合うか妄想してみました。

代行→コスプレと聞いて迷わずウサギをチョイスする。バニー嬢とかほんといいですよね…
マットさん→吸血鬼一択。ワインの瓶が似合いそう。
ミレポ→魔女っ子。「何で私が魔女なの」とかプリプリ怒ってたら可愛い。
ノロティ&エンリケ→赤ずきんちゃんと狼。狼は幼女を保護する良い動物です。
オリビア→黒猫の小悪魔セクシー系が似合いそう
モッカニア→コスプレ蟻の大群引き連れながら「トリック・オア・トリート」
イレイアさん→メイド服で美味しいお菓子を作ってくれる。
ヴォルケン→スケープゴートの山羊。首輪にベル付けられたけど、邪魔な上うるさい。
キャサリロ&リズリー→ジャック・オー・ランタンとレイス。一番ノリノリで楽しんでそう
ルイーク→ミイラ男のつもりが、筋肉に力入れて包帯全部破れる。
ユキゾナ&ユーリ→フランケンシュタインとエンジェル。兄さんは厚着のせいで何のコスプレか気付いてもらえなさそう
0652名無しさん@ピンキー2014/10/23(木) 12:48:39.42ID:gTFAEs7S
書いたことないけど、エロSSに挑戦しようか迷ってる・・・
ifだけど、ガンバンゼルがザトウ以外にも強い怪物を残していたっていう設定なら、武装司書でも余裕に押し倒せるかな?
0653名無しさん@ピンキー2014/10/23(木) 20:43:41.14ID:boTp0c7u
おお、ぜひ挑戦なされ
司書のエロSS、マジで見たいっす!
0654名無しさん@ピンキー2014/10/23(木) 22:46:14.75ID:D1w780lS
>>653
頑張ってみる!

ただ基本男女平等に萌え萌えする性質なんで、人によっては不快な産物が仕上がるかも・・・
キャラとかシチュエーション挙げて貰えれると大いに助かるので、お願いしやす。
0655名無しさん@ピンキー2014/10/23(木) 23:24:52.08ID:D1w780lS
ちなみに以前、司書の萌え成分を増やすのにどうしたらいいか考えてるうちに、脳内でキャラが全員美少女になったんだけど、
このスレは女体化はありなんでしょうか・・・?(震)
0656名無しさん@ピンキー2014/10/24(金) 20:09:13.54ID:ZcznDpTn
いいんじゃないかな、女体化
公式でも、ラス子ちゃんがいるしw
0658名無しさん@ピンキー2014/10/24(金) 23:02:12.29ID:XfNnF7YD
>>657
やっぱ女体化は無理があったか。変態的なものばっか妄想する自分の性癖呪いたい
とりあえず何か思いついたら書きます
0659名無しさん@ピンキ−2014/10/25(土) 14:20:10.24ID:cjWWoH3D
HぃSSが見れそうで楽しみです
よろしくお願いします〜♪

>>656
ラスコール=オセロは、石剣が死体に取り付いて操っている(本体は石剣)ので、操る死体をロリに代えただけで、性転換とは違う気が…
0660名無しさん@ピンキー2014/10/27(月) 22:32:20.78ID:jSryFl2x
女体化は無しか・・・
前にそれっぽい雑談あったから、いけるかもと思ったんだけどw
0661名無しさん@ピンキー2014/10/27(月) 23:48:38.30ID:KK3Dgxuy
>>661
ネタとしてなら有りなんですかね?w


とりあえず前に言ってたエロSSの導入部を挙げたいと思います。

先に設定を簡単に説明します。
・原作時系列のモッカニアの反乱前、エンリケがバントーラ図書館に来たすぐ後くらいのif設定です。
・バントーラ図書館が神溺教団の襲撃を受け、武装司書全員が図書館に集合しています。
図書館を神溺教団が生み出した謎の生物が襲い、倒したものの体内から媚薬効果のガスが出てきて・・・とどこぞの龍骸咳さんの応用みたいなものです。
現場に残ったガスにより男性キャラが理性を失い、女性キャラが襲われてしまうシリーズとなります。キャラ別の視点で書く予定ですが、キャラによってエロの濃さはだいぶ違うと思うのでそこはお許し下さい。


休館日のバントーラ図書館―。本来ならば武装司書達にとっての休日でもあり、館内には誰もいないはずである。
しかし、この一週間ほどの間に、世界各地の鉱山も含む武装司書達が管轄する支部が神溺教団の襲撃を受け、見習いを含む武装司書全員が本部で緊急会議を開いていた。
図書館本部もまた、つい昨日に巨大な触手生物の襲撃を受け、館内の一部が酷く荒らされていた。幸いにも犠牲者は出なかったが、今回の件でバントーラ図書館の機能の大部分が麻痺したことは事実である。
ハミュッツにマットアラスト、イレイア、エンリケが居たからこそ仕留めることができたが、同じ現場に居合わせたミレポックやミンスだけでは恐らく殺されていただろう。
敵は戦闘の最中にも身体を成長させ、1階の各所に遺体の残骸が飛び散っていた。ハミュッツとイレイアは各国への通達のため、事件直後に図書館を後にし、
マットアラストの口から今後の方針が告げられた。しばらくの間図書館の通常業務を停止し、各管轄の復旧作業と、今後の更なる襲撃に備えての対策を講じることが最優先とされた。
そして、その日の会議の後、直ちに敵の残骸を回収し、魔術師や生物研究の科学者たちに調査資料として引き渡しをすることとなった。現場での作業の分担と説明を終えると、
マットアラストはハミュッツとイレイアを手伝うため、図書館を離れた。
最も戦闘の規模が大きかった玄関ホール付近の遺体処理には、リズリーやテナなどの見習いの大半と、キャサリロ、ルイ―ク、ボンボなどの武装司書の多くが振り分けられた。
長時間の作業が身体に触るユキゾナと付き添いのユーリは、回収した資料の引き渡し手続きまで別室で待機し、ミレポックとヴォルケンは敵の侵入経路の調査に向かった。
ノロティとエンリケは、館内の破壊された箇所の応急処置をできる範囲で行うよう任せられた。

各自早々に作業に取りかかるが、作業より前・・・いや、それ以前の段階で男達はある違和感を覚えていた。それは、臭いである。
不気味な生物の身体は早くも腐敗し始めていたが、通常の生物の遺体が放つ異臭とは異なり、熟れた果実のような芳醇な香りが室内に充満していた。不気味なほどの甘い香りに何人かが口々に不安を口にしたが、
女性陣が何も気付いていない様子だったため、結局うやむやになってしまった。これが後のバントーラ図書館の狂宴の幕開けになろうとは、そのときはまだ誰も知る由もなかった。

次回からキャラ別の視点になりますが、初エロSSなのであまり期待しないように。ゆっくりペースになると思いますが、頑張って書いていきたいです。
0662名無しさん@ピンキー2014/10/27(月) 23:53:18.92ID:RQxKVSi6
最初はマットアトラスだと思っていた
勘違いに気づいてマットアラトスと読んでいた
本当はマットアラストだと知ったのは、つい先月のことだ
0663名無しさん@ピンキー2014/10/28(火) 00:18:26.99ID:BzLejk0Z
>>662
気付いてよかったねw
0665名無しさん@ピンキー2014/10/31(金) 22:24:40.73ID:et3PavCL
>>661
導入部だけでも色々想像できてエロいすなあ
お話としては、ヴォルケン×ミレポ、エンリケ×ノロティ、
それと ハムロー兄妹もあるのかな?
SS本編、楽しみです!
0666名無しさん@ピンキー2014/11/01(土) 10:33:02.52ID:tGowsXnx
>>665
文章が稚拙で、なかなか上手く進まないけど頑張ります!
ハムロー兄妹も考えてます。

キャサリロさんは一応形になったけど、他キャラより明らかに可哀相なんで修正するか迷ってます・・・
0667名無しさん@ピンキー2014/11/08(土) 05:21:32.57ID:6SXorH/+
たしかにキャサリロ組は濃いのがそろってるな
ゴリラ男とクジラ男のいるエロシーンってだけでもアツクルシイのに、そのとなりで不思議ちゃんがアヘりながらポエムとかw
0668名無しさん@ピンキー2014/11/19(水) 11:10:23.53ID:B0WT40T9
>>665、667
最近多忙になってしまったので、もう少し待ってて下さい。

初エロSSでキャサリロさんの輪姦もの書いてる自分ェ・・・
0669名無しさん@ピンキー2014/11/19(水) 20:00:45.44ID:NQb415dY
>キャサリロさんの輪姦もの
超たのしみ! 待ってます!
0670名無しさん@ピンキー2014/11/20(木) 03:12:04.94ID:vxVU1OXR
がんばれー、でもまあ無理せんでー、のんびり待ってるからなー
0671名無しさん@ピンキー2014/11/20(木) 20:08:53.86ID:H/9i0R6j
ありがとう!
あと少しで書き終わる所まではいったので、近いうちにはあげられると思います。
0672名無しさん@ピンキー2014/11/22(土) 00:00:32.43ID:GuohDVhV
『六花の勇者』五巻発売&アニメ化記念アゲ!

どうせ過疎ってるだろうから、今度こそ「もう司書SSなんか投下されっこねえんだから、いい加減このスレ落として、六花&司書で新スレ立てようず」て言おうと思ってたんだが・・・
何だ? 今年はSS投下されまくりじゃねえかよ! 何があったんだ、いったいよう
0673名無しさん@ピンキー2014/11/23(日) 18:02:20.80ID:5w5E2h/u
この調子でみんな語ろうぜ!
SSでなくともいいから皆の妄想が聞きたい
0674名無しさん@ピンキー2014/11/23(日) 21:52:08.50ID:eVcWaZXK
俺はやっぱ代行だな
強くて性格きつい女がボロボロに犯されるシチュ、好きなんで
0677名無しさん@ピンキー2014/11/24(月) 09:19:22.94ID:hIGhj+6L
>>676
山形作品では貴重な人妻しかも子持ちの女性キャラだよね

逆に六花はノロティみたいに身も心も綺麗なタイプっていないから、いかにノロティが貴重な癒やし要因だったかがわかる
0678名無しさん@ピンキー2014/11/24(月) 09:23:52.39ID:hIGhj+6L
代行は自分の中でキチカワイイという新たな領域を開拓してくれた恩人
0679名無しさん@ピンキー2014/11/24(月) 20:57:06.89ID:cWp24u8B
原作挿絵のミレポはガチで可愛いと思う
うなじたまらん
0680名無しさん@ピンキー2014/11/25(火) 03:32:01.81ID:bxmK5nlZ
自分は原作もアニメも好きだよ、ミレポ一押し!
あんなキレイなのに潔癖すぎる処女だなんてポイント高いし、あと何ていっても声みゆきちだし
0681名無しさん@ピンキー2014/11/25(火) 19:09:23.84ID:b2YA8v7n
アニメの天使なノロティも好きだけど、原作2巻の少し野性味溢れるノロティに一目惚れしたなぁ
優しいけどあまりニコニコしてないところが、媚びない感じで好きだった

あと女性キャラじゃないけど、武装司書の男性陣が地味にイケメン揃いなことに最近気づいた
0682名無しさん@ピンキー2014/11/26(水) 23:20:14.54ID:YdcBoVdv
マットアラスト、ヴォルケン、ガモ、リズリーあたりかな?
モッカニアやユキゾナは微妙なとこだよね・・
0683名無しさん@ピンキー2014/11/26(水) 23:46:24.16ID:xtqUShzM
いや、原作のモッカニアはちゃんと美形だよw
アニメで何故か蟻おじさんにされちゃった可哀相な子なんだ・・・
0684名無しさん@ピンキー2014/11/27(木) 04:11:02.88ID:juGXaqcl
遅くなったけど、661の続きです。
・キャサリロさんが酷い目にあってる
・輪姦、陵辱もの
・駄文
↓以上の点が大丈夫な人はどうぞ。


襲撃を受けたバントーラ図書館の復旧作業が行われていたはずの1階ホール。
作業が開始されてから数時間が経つ現在、そこでは予期しない異常事態が発生していた。

作業の途中で放置されたまま散乱する触手の残骸からガスが立ち上り、異様に甘ったるい香りが室内に充満している。
ホールの各所に屈強な体格の男たちの群れができ、汗の臭いと熱気が立ちこめる中から、女たちの悲鳴と嬌声が響き渡る。
「ああっ、あああっ!いやぁ・・・!やめてぇぇっ!」
「ひぃいいい・・・!ああッ!誰か、助けて・・・、あああああッ!」
男たちの輪の中心では、女性武装司書や見習いの少女たちが、一糸纏わぬ姿で捕らえられ、身体を弄ばれている。
ホールに充満するガスには、雄の生殖本能を高める媚薬の効果が含まれており、男たちの理性は完全に性欲に支配されていた。
餓えた獣と化した屈強な男たちが一斉に襲いかかれば、訓練を積んだ身といえども、女性の力では抵抗することは不可能であった。

一人の女性に多数の男たちが群がっているが、その中でも一際大きな人集りができているのが見られる。
そこに捕われているのは、緑味を帯びた黒髪のショートヘアに、小柄で華奢な体格が特徴のキャサリロ=トトナだ。
トレードマークのハットの他、白い太腿を覗かせるジーンズやブーツまで剥ぎ取られ、美しい裸体が露わにされている。
武装司書の中でもかなりの実力者である彼女だが、得意の銃火器を仲間に放つわけにもいかず、抵抗の術なく捕えられてしまっていた。
不安と恐怖を顔に滲ませるキャサリロの身体を、下卑た笑みを貼り付かせた男たちが弄ぶ。
「ああッ!ああああッ!やっ、あんた、たち・・・ッ、やめ、なさ・・・!あああん!!」
華奢な身体を上から押さえつけられ、うつ伏せのまま尻を高く上げた屈辱的な体勢で拘束されている。
柔らかな太腿の間でふっくらと盛り上がる恥丘を、ねっとりとした分厚い舌が這い回り、秘所から透明な愛液が止めどなく溢れる。
「ぐふふふ・・・君のココ、どんどんヌルヌルになってくるよ・・・。とっても甘くて、最高の味だ・・・」
「ふ、ああぁっ・・・!こ、の変態・・・っ!そんなとこ・・・、舐め、るな・・・!ああ、あああッ!!」
肥満の身体を汗で滾らせ、小さな目を興奮にぎらつかせたボンボが、芳醇な蜜を零すそこにむしゃぶりつく。
大勢の男が見ている前で、ジュルジュルと下品な音を立てて恥部を舐め回される恥辱に、キャサリロの顔は真っ赤に染まっている。
0685名無しさん@ピンキー2014/11/27(木) 04:13:30.76ID:juGXaqcl
(いや・・・っ!あたし・・・何で、こんなことされてるの・・・?皆、一体どうしちゃったの・・・?)
業務中に突然、女性たちを襲い始めた仲間たちの変貌に、キャサリロの頭は混乱したままである。
しかし、異変の原因を考える時間は彼女には与えられない。性器を襲う快感と、聴覚を犯す卑猥な水音に神経を支配され、首を振り身悶える。
ハミュッツやイレイアには及ばないものの、彼女の普段の強さを知る男たちは、滅多に見ることの叶わないその痴態に興奮を高めていく。
「すげえ・・・、キャサリロさんが犯されるところを見れるなんて、夢でも見てるみてえだ・・・!」
「見ろよ、アソコが物欲しそうにヒクヒク動いてるぜ・・・。ああ、早くあの中にぶち込みてえ!」
男たちの熱く絡みつくような視線が自身の恥部に注がれるのを、キャサリロは気配で敏感に感じ取ってしまう。
最も他人に見られたくない部位を仔細に観察されているという羞恥心が、決して強靱ではないキャサリロの精神を抉っていく。
「ふぁ、ああああ・・・ッ!だめぇっ、見ないでよお・・・!」
死んでしまいたくなるほどの恥ずかしさに、朱く上気した小さな身体が打ち震える。そんな彼女を、口淫を続けるボンボが更に追い詰める。
「あれれ?もしかして、見られて興奮してるのかい?ここをこんなにビショビショにして・・・これじゃあ、どっちが変態だか分からないなあ。くくく・・・」
「ん、ああ・・・っ!ちが・・・!・・・んな、わけ・・・っ、・・・ひっ!?い、ああああ・・・ッ!」
ボンボの言葉に強気に言い返そうとしたとき、キャサリロの身体が大きく跳ね上がる。肥えた舌がぷっくりと充血したクリトリスに絡みつき、ざらざらとした表面を擦りつけながら勢いよく吸い立てたのだった。
最も敏感な部位に加えられた強烈な刺激に、全身に電気を流されたかのように華奢な身体を震わせ絶叫する。
「あああああああッ!だめええぇッ!ソコ・・・っ、やめッ・・・、うあああ!」
ナメクジのような舌が包皮を剥き上げ、無防備なそこを容赦なく弄ぶ。硬く膨れた肉芽が肉圧で押し潰され、その上を鑢のような舌の表面が摩擦していく。
神経の塊を集中的に嬲られ、俯せで押さえつけられた肢体が汗を流し、ガクガクと震える。
「ああああッ・・・!はあッ、ああん!いやああぁっ、もっ、イッちゃ・・・!ああ、ああああああーーッ!!」
舌で解された秘部から愛液が勢いよく吹き出し、キャサリロは絶頂に達する。柔肌を上気させ、美しい肢体を戦慄かせる淫らな姿に、ギャラリーから歓声が湧き上がる。
0686名無しさん@ピンキー2014/11/27(木) 04:15:44.43ID:juGXaqcl
「おおお・・・!すげぇ、エロ過ぎる・・・!もう我慢できないっ、俺にもヤらせてくれ・・・!」
「おい、ボンボ!次は俺だぞ、早く代われ!」
興奮した男たちが、絶頂の余韻に浸るキャサリロの身体に我先にと飛びついていく。男たちのはち切れんばかりに膨れあがった怒張が解放され、
むわりとした雄の臭気とともに勢いよく飛び出す。キャサリロの視界に、隆々とそそり勃つ禍々しい肉棒が映り、小さな口から引き攣った悲鳴が漏れる。
「ひ・・・っ!?・・・いや・・・、やめ、て・・・っ!こ、来ないでよ・・・!」
力の入らない身体を引きずり、這うように逃げるキャサリロだが、容易に捕らえられ、俯せに横たわっていた身体を無理矢理抱き起こされる。
両脚を抱えられM字に固定されると、濡れそぼった陰裂に男の怒張が押し当てられ、無理矢理入り口を広げられる。
一度解されたとはいえ、男の物を受け入れたことのないソコには大きすぎる質量である。狭い処女穴をメリメリとこじ開けられる激痛がキャサリロを襲う。
「うあああああああーッ!!う、ぐっ・・・!あああッ!痛いっ、痛いよぉ・・・!抜いてええぇ!!」
館内に悲痛な悲鳴が響き渡るが、制止を請う叫びは無視され、熱い巨根が容赦なく膣内を蹂躙する。
結合部からは血が溢れ、男の股間が赤く染まっていく。処女膜は完全に破られ、キャサリロの純潔は無残な形で奪われる。
(いや・・・っ!あ・・・たし・・・初めて、だったのにぃ・・・、こんな・・・っ!)
親しい間柄でもなく、顔と名前の一致すらしない男に処女を奪われたショックに、見開かれた瞳から涙がボロボロと溢れる。
男はキャサリロの様子を気にも留めず、きつく引き締まった内部の快感を味わおうと一心不乱に腰を打ち付ける。
下から熱い楔を突き上げられるごとに悲鳴が上がり、やや小ぶりな白い乳房が上下に揺れ動く。その頂きに色づく乳首を左右の男たちがこね回すと、痛みとは別の甘い刺激がキャサリロを襲い始める。
「あふッ、ふああ・・・ッ!やっ、胸、引っ張らないで・・・、ああんっ!」
胸の頂きにピリリと走る快感は、やがて性器への刺激と連動していき、両の乳房を弄ばれる度に膣内がキュウッと収縮するのが感じられた。
膣肉が熱く轟き、男の肉棒にきつく絡みついていく。その刺激に、男の亀頭が硬く膨れあがっていき、限界が迫っていることを知らせていた。
「ああ・・・っ!すげえ・・・っ、中が締め付けて、絡みついてくる・・・!もう、出ちまう・・・っ!」
肉壺に挿入する快感に吠えながら、男は射精の態勢に入っていく。快楽に溺れかける中、微かに残る理性が膣内に中だしされる恐怖を訴え、キャサリロの顔がさっと青ざめる。
「やああぁぁッ!だめ・・・っ、中はやめて!抜いてぇぇ・・・!!」
肉棒を引き抜こうと必死に腰を揺らし暴れるが、膣への挿入は止まらず、内部の質量はますます増えていく。
「くっ・・・、おおお!出る・・・っ、中に出すぞ!キャサリロ!」
「いッ、ひぃいい・・・!ああ、あああぁああーッ!」
0687名無しさん@ピンキー2014/11/27(木) 04:18:47.23ID:juGXaqcl
男が限界に達し、膨張した先端から白いマグマが弾け飛んだ。最大限に開かれた蛇口の水のような勢いで、熱い本流が膣内を迸る。
その熱さと衝撃に、キャサリロの華奢な背中が仰け反り、悲鳴を上げながら四肢を痙攣させる。肉棒が引き抜かれた膣口は、巨根に蹂躙されたことでぽっかりと穴が空き、
その奧からゴプリと音を立てながら、大量の白濁液が溢れ出す。
望まぬ行為で精を注がれたショックにキャサリロはうち拉がれるが、男たちの陵辱は止まらない。肉棒の形に広げられてしまった膣内に、次々と別の男たちの一物が突き刺されては新たに精を注がれていく。
5人、6人と続く頃には、キャサリロのそこも性感帯へと変化していき、口から漏れる悲鳴は喘ぎ声へと変化していった。
「ああんッ!あふっ、あッあああ・・・!や・・・ぁッ、気持ちいぃ・・・!もっとぉ・・・っ」
女性の快楽に目覚めたキャサリロの頬は薔薇色に上気し、瞳に恍惚の色を浮かべながら、甘い囀りを館内に響かせる。
胎内に注がれた大量の精液には、男たちが吸いこんだ媚薬成分が含まれており、その効果がキャサリロの身体にも表れ始めていたのだった。
淫らに腰をくねらせる扇情的な姿に、膣穴だけでは足りず、珊瑚色の小さな口にも男たちの肉棒が押し当てられるが、キャサリロはそれらを躊躇することなく、腔内へと導いていく。
上と下の両方の口で男たちを進んで受け入れるキャサリロに、もはや理性は残されていなかった。

地獄のように長い狂宴が終わりを迎えるその時まで、キャサリロは胎内に媚薬を注がれ続ける快楽地獄に身を堕としていくのであった。


エロ書き慣れてなくて時間かかったけど、とりあえず約束は一つ果たしたよ
0688名無しさん@ピンキー2014/11/27(木) 23:34:07.47ID:IYoapIi/
おおう、GJです! がっつりエロくて最高です!
キャサリロでこんなエロいSS読めるとは思ってなかったですw
0689名無しさん@ピンキー2014/11/28(金) 00:29:20.48ID:dFRUtGG2
ありがとうございます!
リズリーによるドSプレイも書こうかと思ってたんですが、長すぎるのと初SSで書くにはレベルが高すぎて断念しました笑
0690名無しさん@ピンキー2014/11/29(土) 04:22:19.45ID:ghuRX7/v
キャサリロみたいなボーイッシュなキャラが堕ちてくのは激ヤバだな
膣内描写とか大好きすぎる! メッチャそそったよ!
0691名無しさん@ピンキー2014/11/29(土) 11:17:25.50ID:SGwsIJ8Y
エロ書くために色々研究した甲斐があってよかったw

ペースは遅いけど今後も他キャラ書いてく予定です。マト×ハミも余力があったら挑戦しようと思います!
ユキゾナ×ユーリは、ユキゾナのユーリへの歪んだ感情があるので、鬼畜な方面に向かうかもしれないです
0692名無しさん@ピンキー2014/11/30(日) 03:40:15.60ID:N61rM+ui
おお、他のキャラも書いてくれるとか、超たのしみ!
0694名無しさん@ピンキー2014/11/30(日) 21:36:44.77ID:Uoo7XxR9
GJ
ハミ好きだから楽しみにしてる
ハムロー兄妹の歪んだ愛情もええよな
0695名無しさん@ピンキー2014/12/01(月) 19:51:39.42ID:cvSn4JTX
>>692-694
ありがとうございます!

ハムロー兄妹の方が進んでますが、かっこいいおにいたまが好きな方は注意した方がいいかも
書いてるうちに鬼畜度がキャサリロさんより上がってることに気付きました笑
0696名無しさん@ピンキー2014/12/08(月) 18:47:25.42ID:OeHAfZ9d
ユキゾナが鬼畜なのか、ユーリがそうなのか・・・
0697名無しさん@ピンキー2014/12/11(木) 20:25:29.12ID:hrMP8/bV
>>696
鬼畜なのは兄さんの方です
多忙で年内に上げられるかが分からない状況ですが、気長に待ってもらえると嬉しいです
0699名無しさん@ピンキー2014/12/24(水) 01:58:11.57ID:9ZzEE/cb
>>698
そういうときこそ、異世界ものラノベの出番だよ
「司書」の世界にはキリスト教っぽいのは存在しない
クリスマスなんて絶対出てこないから、安心して読みたまえ
0700名無しさん@ピンキー2014/12/24(水) 02:00:31.19ID:9ZzEE/cb
新作の投下は、やっぱり年明け以降かな
ゆるりと待とう・・
0701名無しさん@ピンキー2014/12/26(金) 18:22:04.30ID:x0O8czy+
>>700
長らく間が空いてしまって申し訳ない・・・
実生活の方がまだしばらく落ち着かないので、新作は2月半ばを過ぎると思います
0702名無しさん@ピンキー2014/12/26(金) 23:25:35.08ID:gMnUiIuQ
あーれー、それは残念・・
でも楽しみにして待ってるですよ
0703名無しさん@ピンキー2014/12/27(土) 14:32:57.23ID:114MB/6M
ほんと申し訳ないです・・・
自分も他の方の司書キャラ語りがすごく見たいので、ぜひ好きなキャラでもシチュでも垂れ流していただけると嬉しいです
0704名無しさん@ピンキー2014/12/30(火) 07:50:33.48ID:9xjFilse
書きかけのまま、数年 放置してたSSを見つけたので、手直しが終わった分から、順次 投下させていただきます。

ザトウが主役で、凌辱ものです。
NTR要素もありますので、苦手な方はスルーお願いします。
一部 キャラの改変や、オリジナルの設定もあります。ご容赦ください。
ここらへんが舞台です。
  1927年 バントーラ図書館 最後の日
  1930年 武装司書解散&マットアラスト処刑(逃亡)
  1933年 ←ここらへん
  1937年 原作10巻断章「図書館の消えた跡にて」

少し長いです。(全10話くらい?)
1話づつ投下します。
スレを止めてしまうと申し訳ないので、他の方のSS投下や エロい雑談、好きなキャラの話など、つづけていただけると助かります。
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==第1話==

 線路を爆破され、急停車した大陸横断鉄道。
その貨物車両に、10名ほどの男たちが乗り込んでいく。重火器で武装した 屈強な盗賊たち。彼らは、鉄道会社の警備員をみるみる片付け、『本』の金庫のある車両に足を踏み入れる。
 次の瞬間、凄まじい轟音が彼らの鼓膜を震わせ、撃ち出された銃弾が 彼らの利き腕を貫いた。
「はいはい、終了だよー」
 場違いなほどに陽気な声と表情の、若い女が現れて、
「くっ、キャ…キャサリロ=トトナ……っ」
「全員、とっとと武器捨てて。次は急所をぶち抜くよー」
 ふわりと宙を動いた銃が、男たちの眉間を狙っている。
「……待てよ、おい」
「わ、分かったよ、だから……」
「撃つんじゃねえ……た、頼む……」
 武器を捨て、口々に命乞いを始める盗賊たち。
だが、その中に ひとり、まだ悪あがきをする者がいた。
「む…!」
 体をすっぽり覆ったローブの下で、もぞもぞと 男が動く。
もちろん、キャサリロ=トトナは それを見逃さない。
12丁の銃が一斉に火を噴き、12発の弾丸が 正確に男の身体を撃ち抜いた。頭と胸に三発づつ、さらに両肘・両肩・両膝を打ち抜かれ、あわれな血肉の塊となって、それは車両の床に転がった。
 ふう、と息をつくキャサリロだったが。
 ぐぎぎ。ずりずる。
「え…、嘘…っ」
 全身を穴だらけにされながらも、ローブの男が立ち上がる。
おびただしい出血――おそらくは 致死量以上の血肉を撒き散らせながら、キャサリロの方へ、ゆっくりと近づいてくる。
「ありえないよ、こんな……!」
 困惑しつつも、さらなる銃撃を加える。
が、男の前進は止まらない。それどころか、撃ち抜いたばかりの銃創が、みるみる再生していく。
「―――まさか…!」
「ふはは、久しぶりだな――キャサリロ=トトナ」
「そんな、何で……っ」
 目の前に迫る男の 顔と声とに、彼女が気づいたとき、 
「……エン…ケ…さ……」
 生き物のように伸びたマントに ぎゅるると絞められ、彼女は意識を失った。
0705名無しさん@ピンキー2014/12/30(火) 07:55:03.84ID:9xjFilse
 パン! 乾いた銃声が むなしく響く。
「くははは――あと3発だぜ、キャサリロちゃん」
 襲撃地点から10キロほど離れたゴーストタウン。その半ば壊れた家畜小屋に、彼女はいた。
 パン! 宙に浮かぶ拳銃が、標的を狙う。
壁際に立つ図体の大きな盗賊。その男に命中させれば、彼女の勝ち。奪った『本』とともに彼女を解放する、そういう約束だったのだが。
「ふ、また外れ! 残り2発だぜ、おい」
「く…あ、ぅぅ」
 すぐ目の前の大きな的に、10発を撃ってなお、彼女は当てることができない。
その理由は、
「……ん、やぁぁ、くうぅっ」
「ちゃんと狙えよ、ほら――そら!」
「あッ、あッ、あうッ………」
 彼女が、今まさに 犯されているためだった。
キャサリロ=トトナの裸体を、男が下から貫いている。
背面座位。真っ白な双乳を 背後から揉みくたにされながら、あぐらをかいた男の膝の上に座らされ、男のモノで胎内を蹂躙されている。執拗で容赦のない責めと、巧みで優しい愛撫。男はそれを交互に繰り返す。
 淡白な夫とはまるで違う、激しい肉の悦び。それを 懸命にこらえつつ、
「――次こそ……当てる…よ…!」
 一旦 目を閉じ、キャサリロは 魔法権利に集中する。
繊細に、そして確実に。宙に浮かぶ銃をコントロールして、盗賊の巨体の中心を狙う。
「……んぅ! や、やんっ」
「どうした、撃たねえのか、んん―?」
 悪辣な妨害を、唇を噛んで耐える彼女に、
「ふぇへへ、見ろよ、あのエロい顔――」
「……いい声で哭きやがる」
「乳首も ぴんと立って……、くう、たまんねえな」
「早くヤりてえ、俺 我慢できねえよ!」
 周りを囲む盗賊たちが、卑猥な言葉を投げかけた。
この後、もし賭けに負けたら―――恐ろしい事態がキャサリロを待っているのだ。
 淫猥な声に集中を乱したのか。
パン…! 最後の弾丸も体に当たらず、
「―――決まったな、……おらよっ」
「あっ…あぐぅ、あ、あああうぅぅ……っ!」
 凄まじいよがり声とともに、キャサリロは全身をびくびく痙攣させると、がくりと崩れて 男にもたれかかる。
煩わし気に、男は彼女を 家畜小屋の床に放った。
「―――約束だ、あとは お前らの好きにしろ」
 汗と蜜液と精液にまみれ、半ば失神したキャサリロ=トトナ。
その白い肢体を、傷ついた蝶に群がる蟻のように、8人の盗賊が取り囲んだ。
「……おねがい、ゆ…るして……」
 薄汚い男たちを見上げて、キャサリロは哀願をする。
が、その願いがかなうことはなく――。
盗賊たちは いつ終わるともなく、彼女を輪姦しつづけた。
0706名無しさん@ピンキー2014/12/30(火) 07:59:05.13ID:9xjFilse
 その頃、過去神島 中央部では。
歴史保護局 本部の理事長室から、ミレポック=ファインデルが 思考をつないでいた。
(キャサリロさん、キャサリロさん…… …)
 拉致の一報を受けて以来、ミレポックは 懸命に思考共有を試みているのだが、
(キャサリロさんっ、どうか――どうか返事をしてください…っ)
(今 どこか分かりますか、何か 手がかりになるものは… …?)
 が、思考は 一向に戻ってこなかった。
時折、つながりかけるそれは、
(…… …うふ…あふぅ… ……ミレポぉ、気持ちイイよぉぉ)
(… …あたしの膣内が……もう熱くとろけてて… …)
(… ……あぁん、いっぱい…おちんぽ いっぱい、……しゅごいよ、ミレポぉ)
 断片的な思考が伝わるだけで、少しも会話が成立しない。
「キャサリロさん、どうして――」
 無力感に苛まれつつ、それでも彼女は 必死に思考を送りつづけた。

 仲間たちの懸命な捜索の結果、連れ去られてから4日後、キャサリロは発見された。
しかし、彼女は 心と身体に深すぎる傷を負っており、事件について ひとことも話せていないという。
 襲撃犯は、現在もなお、逃走中である。
0707名無しさん@ピンキー2014/12/30(火) 08:02:21.09ID:9xjFilse
 数日後。
 こじんまりとした白樺の森が散在する、ロナ公国北部の閑静な別荘地。
積み重なった小枝と落ち葉を踏みしめながら、ひとりの男が大股に歩いていた。浅黒い体を 趣味の悪いダブルのスーツに包んだ、30過ぎの男である。
 男の名は ミンス=チェザイン。
神溺教団――いや 現在はマルグント人類進歩財団で 顧問を務めている。
バントーラ図書館の消えた新しい世界で 多忙を極めるミンスであったが、各国を飛び回る激務の合間を縫って、しばしば 武装司書時代の仲間のもとを訪れていた。
「む……ようやっと、見えてきたの」
 木立ちの透き間に、小さな古めかしい洋館が覗いている。
ここで 世界を救った勇者のひとりが、静かな余生を送っていた。

「調子はどうじゃ。顔色はええようじゃが」
「ああ、問題ない……。お前も変わらんようだ。財団の方は大変なのだろう?」
「ま、ぼちぼちじゃ」
 終章の獣との戦いで ついに力尽きたユキゾナ=ハムロー。
病魔に深く蝕まれた彼は今、最愛の妹に付き添われ、ここで療養生活を続けていた。治療法もなく 薬も効かない奇病に、彼の病状は 深刻な発作と小康状態との間を行き来していた。
 まだ初秋というのに、暖炉には火が入れられている。
大きな古風な暖炉の前には 座り心地のよい肘掛椅子がいくつか置かれ、その中のひとつに身を沈めて、ユキゾナはちびちびとカップをすすっている。カップの中身は、妹の持ってきた薬湯だ。
一方、ミンスが傾けているのは、ブランデーのたっぷり入った紅茶である。
「皆さんも お変わりありませんの?」
 そう言って、妹のユーリが入ってきた。
艶やかな長い黒髪と、透きとおるような白い肌、薔薇色の頬をした美女である。細く しなやかな身体を 楚々とした藍色のワンピースに包んでいる。濡れたような唇や豊かな胸元からは 隠しきれない色香が漂って、ミンスも 思わず見蕩れてしまう。
「この頃は 何か変わったことはございまして?」
「お、おう。そういえば……。『黒のラスコール』いう話は 知っちょるか?」
「黒の…ラスコール……?」
「それは 初めて聞く名前だな」
「それがな、実は――」
 世界を騒がす男の事件を、ミンスは静かに語り始めた。
0708名無しさん@ピンキー2014/12/30(火) 08:06:03.06ID:9xjFilse
 『黒のラスコール』―――その名前がささやかれ始めたのは、2年ほど前のことである。
 武装司書の解散により、密かな盛り上がりを見せていた盗『本』市場に、ひとりの男が現れた。そして、その男が売りに出した『本』が、市場の様相を一変させたのである。
 列国の宰相や将軍を虜にした 高級娼婦ブリギッタ、恋多き女流詩人ヘーゼラ、シネマの女王ディアナ=マリーアといった、絶世の美女たち。
さらに、大海賊バグラダ、天才画家にして発明家レナード=ヴィンチェント、肉林公カリアス=バレアの料理人オルシス……。
 売り出されたのは、誰もが名前を知っていながら 誰もが見たことのない、伝説の『本』だった。それまで 世に出ることの無かった貴重な『本』の出現が、闇市場を騒がせたのである。
 美術品や宝石と違い、『本』の蒐集には 厳罰というリスクがつきまとう。
ゆえに、これまで盗『本』に手を出すのは、ごく限られた 熱心な好事家だけだった。
だが、これら貴重な『本』の出現が話題を呼び、地下オークションは 新たな参加者であふれかえった。大富豪や貴族、さらには各国要人まで加わって、盗『本』市場には 潤沢な資金が流れ込み、かつてない活況を呈していた。
 さらに、その男は『本』を売るだけでは無かった。
かつてのシガル=クルケッサと同等、いや それ以上に強力な私兵を持ち、各国に点在する盗『本』マフィアを次々と その傘下に収めたのだ。その私兵は強く、『本』の鉱山への襲撃や 輸送中の『本』の強奪が相次ぎ、歴史保護局や各国政府を悩ませていた。
 その仕掛け人が、『黒のラスコール』と呼ばれているのだという。

「ほう、中々 興味深い話だな」
「そうですわね。でも ……」
 いたずらっぽく、ユーリが微笑んだ。
「盗『本』、それも 美女たちの『本』のオークションだなんて、ミレポックが顔を真っ赤にして怒る様子が 目に浮かぶようですわ。あの娘は、極端に潔癖な――処女をこじらせた娘ですもの」
「…………」
 ユキゾナとミンスが、返事に窮している。
彼女もミレポックと同じ27歳で、やはり処女と思われるのだが。
 少し強引に、ミンスが話題を変える。
「ミレポといえば、ようやっと落ち着いて来たようじゃぞ。
人はいない 金はない 権限もないで、いっときは大変だったらしいが、この頃は だいぶ上手く回っとるようじゃ」
 武装司書に代わる新しい組織、歴史保護局の話題である。
その初代局長であるミレポックは 連日、記者たちに追い回されている。
世界を救った英雄のひとりであり、そのうえ 年若い美女。人々の興味を惹くには、十分すぎる条件が揃っている。そのため、新聞・ラジオ・ゴシップ誌など、多くの記者たちが彼女を追いかけ、公私の別なく 彼女の言動を報じていた。
 予算を削られて 某国要人に云った嫌味の内容。ファッションデザイナーによる、彼女の私服姿の酷評(もちろん 隠し撮り写真つき!)。式典で会った著名人との恋の噂、などなど。
真偽不明の多くの話題が、日々 世間をにぎわせていた。

「彼女の名前を見ない日はありませんわ。ねえ、お兄さま」
「そうだな、色々……大変そうだ」
 ほろ苦い微笑を、ユキゾナは 妹に向けた。
同い年のミレポックが、忙しくも充実した日々を過ごしていることを、ユーリはどう思っているのだろう。世界を舞台に 華々しく活躍するミレポックに対し、片時も自分のそばを離れることなく、この小さな山荘に籠もりきりのユーリ。
 今の暮らしが、あとどのくらいつづくのか。
数ヶ月か、数年か、それとも数十年か。治る見込みのない自分の世話をして、この美しく聡明な妹は ここで老いていくのだろうか……。自分はただ、妹の未来を食いつぶすために生きているのか……。
 その苦悩を、ユキゾナは微笑の奥に隠そうとした。
0709名無しさん@ピンキー2014/12/30(火) 08:13:27.42ID:9xjFilse
 歴史保護局の始めた新しい取り組みや 仲間たちの近況など、話題は尽きることなく、ユキゾナも 久しぶりに楽しい時間を過ごしている様子だった。それでも、ミンスの話に相づちを打っていた彼が、不意に咳き込んだのを機会に、
「お兄さま、少しお休みになられては」
 ユーリが、兄を部屋へと送っていく。「このくらいで……」「お前は過保護だ」と ユキゾナが愚痴るのは いつものことだ。
 寝室から戻ってきたユーリは、紅茶のおかわりを勧めたあと、
「さっきのお話、つづきがありますわよね?」
表情をあらためて、言った。
「実はな、その『黒のラスコール』かもしれん奴らに」
 一瞬、迷った様子のミンスが、重い口を開く。
「――キャサリロが…襲われたんじゃ」

 解散後、武装司書たちは それぞれの道を進んだ。
その中で 最も華やかで充実した生活を送っていたのが、キャサリロ=トトナだったろう。
 シネマの人気アクションスターと、世間を騒がす大恋愛の末、結婚。
夫とともに起こしたボディガード兼探偵の会社も大きな成功を収め、いまや 世界の主要都市に12の営業所を構えるまでになっていた。
 公私ともに順風満帆なキャサリロに、だが、不幸は突然、訪れた。
鉱山からの『本』の輸送を警護していた彼女を、盗『本』マフィアが襲ったのだ。

 ミンス=チェザインは、報告をつづけている。
「キャサリロを襲ったのが何者か、はっきりはせん。
『黒のラスコール』という噂もあるが……。とにかく、あのキャサリロでも敵わんほどの強さ、……しかも こいつは 何発も食らって――列車の中は 一面の血の海だったそうじゃ。それでも死なない怪物……。わしも まさか、とは思うがの」
「ええ」
 彼らの脳裏に浮かぶ、ひとつの影。
それはかつて、彼らと戦った神溺教団の『怪物』ザトウ=ロンドホーン。
「まさかとは思うが……。
エンリケのやつが負けて――『怪物』が復活した、のかもしれん。
何にせよ 油断のならん相手じゃ。わしの方でも調べてみるが、ええか、くれぐれも用心せえよ」
 そう言って、ミンス=チェザインは帰っていった。

 次第に小さくなっていく後ろ姿を 窓から見送って、
(ありがとう、ミンスさん。でも……)
 ユーリは、ゆっくりと 長い髪をかきあげる。
(でも 逃れられないのですわ。私はあの男に…犯される……)
 窓に映る、自身の姿。
その艶やかで美しい黒髪の、そのひとふさだけが 三毛猫色に変わっていた――。

                    ==第1話 おわり==
0710名無しさん@ピンキー2014/12/31(水) 05:39:50.52ID:pijWup6N
おお、人妻なキャサリロもエロくていいな!
次はミレポか、それともユーリか? ミレポ好きだから楽しみだわ
0711名無しさん@ピンキー2014/12/31(水) 11:10:31.30ID:7+7uI/tj
Gjです!話の設定がしっかり練られてて面白いです!
本編後のみんなも色っぽくていいな
もう代行やノロティたちが死んでしまってる世界というのを考えたら、ちょっと切ないですね・・・
0712名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 18:29:39.71ID:D//gT5Sv
レスくださった方、ありがとうございます。励みになります。
「となりの『怪物』君」(←ちがう)、第2話・第3話を投下させていただきます。

==第2話==

 夜が白々と明けかけた、過去神島。
歴史保護局近くの真新しいアパートの一室で、ミレポック=ファインデルはコーヒーを淹れていた。
 館長代行 ハミュッツ=メセタの大好きだったコーヒー。
この香りに包まれる朝のひととき、ミレポックは仲間たちと過ごしたあの頃を思い出し、自然と心が安らいでいく。ハミュッツ、マットアラスト、イレイア、ノロティ、キャサリロ……。
 そしてヴォルケン=マクマーニ。
「―――あれから6年、か」
 2杯目のコーヒーが抽出されるのを待ちながら、彼女は過去に思いをめぐらせていた。

 ルルタ=クーザンクーナ 最後の日。
ハミュッツを始め、幾人もの仲間が逝った。バントーラの壮麗な城は打ち砕かれ、美しかった庭園も官庁街も、もう見ることはできない。地下深くにあった図書迷宮も 甚大な被害を受けた。
 3年におよぶ討議の結果、武装司書は解散、バントーラ図書館は消滅した。
代わって歴史保護局が設立され、ミレポックが初代理事長に就いた。仲間たちは皆 過去神島を去り、現在もここに残っているのは彼女ひとりだ。

 この島も変わった。
 歴史保護局の職務は 『本』の発掘・管理と図書館の運営に限定されている。国際紛争の調停も、各国の内政・軍事への関わりも、ミレポックの任ではない。
 かつて、図書館の傍らには官庁街があり、各国政府の出先機関に多くの職員が派遣されて、情報収集や連絡・調整に当たっていた。だが、以前の権限を失ったいま、官庁街は再建されることなく、広大な空き地になっている。
武装司書のための武器を設計・製造していた兵器廠や、魔術審議や戦闘訓練のための施設も、無論のこと 取り壊されて、今はない。
0713名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 18:32:30.82ID:D//gT5Sv
 それでも、『本』を読むために、毎日 何千人もの人々が過去神島を訪れている。人々の一番の目当て、もちろんそれは ルルタの『本』だ。
 発掘当初には、ルルタの『本』の公開を危ぶむ声もあった。
100年ほど前の、『本』喰いの少年の『本』。その『本』は、触れると同時に幾つもの記憶が流れ込み、読んだ者の精神を破壊したという。
ましてや、ルルタの『本』には 数万冊の『本』が詰め込まれている。その危険性は 100年前の少年の比ではない。そう考えられたのだ。
 だが、それは杞憂に終わった。
ルルタの『本』は誰の精神も壊すことはなかった。

 100年前の少年の『本』が 読む者の精神を壊したのは、少年の心が『本』たちに喰われ、壊れていたためである。
一方、ルルタは 仮想臓腑内の『本』を完全に統御しており、微塵も精神を侵されていない。
ゆえに ルルタの『本』は、読む者の心を壊すことなく、安全である。
 現在では、魔道庁も このような見解を出している。 
0714名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 18:36:01.66ID:D//gT5Sv
 コーヒーの香りに包まれて 想いを巡らせていたミレポックを、呼び鈴の音が引き戻した。
郵便受けに押し込まれた朝刊紙がどさりと落ち、あわただしい足音をさせて 配達の少年が去っていく。
 ミレポックは いつものように、『タイムズ』紙から目を通す。
イスモ共和国大統領の車列が襲撃された事件の続報が一面トップを飾り、泡沫銀行がまた破綻した件や、ロナ西部の旱魃で、小麦や大豆に大きな被害が出ていることなども報じられている。
 歴史保護局関連では、社会面に小さな記事がふたつ。
ストレイル公国で20日間に渡って開催されていた、第3回の移動図書館が、昨日 無事に終了したという記事では、印刷の荒い写真からも 盛況ぶりが伝わってくるようで、ミレポックも思わず頬を緩めた。

 移動図書館。
それは、歴史保護局の始めた新しい試みだ。
歴史上の偉人や 郷土の英雄など、選りすぐりの『本』数百冊が海を越え、人々の暮らす街へと運ばれた。第1回はメリオト公国、第2回はイスモ共和国、そして今回はストレイル公国で。それらの『本』が出張展示されたのである。
 高額の旅費や 長旅の負担に耐えられない人々にも、『本』の素晴らしさを知ってもらおうというこの企画は、現在のところ、たいへんな好評を博している。発案者のミレポックとしても 嬉しいかぎりである。
 費用についても、各国政府の協賛が得られ、また 多くの貴族や富豪から 寄付も相次いでいて、どうやら今回も 赤字は避けられそうだった。

 もうひとつの記事は、トアット鉱山で落盤事故が起きて 十数名の負傷者が出ているというもので、この件では ミレポックは昨晩のうちに鉱山事務所と思考をつなぎ、幸いにも重傷者はいないことを確認していた。
0715名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 18:38:25.63ID:D//gT5Sv
 つづいて『クロニクル』紙と『デイリーグラフ』紙を読み、最後に 少し憂鬱な気分で『ガゼッタ』紙を手にすると、
「………な!」
 そこには 大きなミレポックの写真と、〔いよいよ結婚か!?〕の見出し。
〔いよいよ結婚〕の文字が ひときわ大きく、〔か!?〕は小さい。
「――信じられない!」
 まったく、何度目のことだろうか!
今度の相手は、先のダービーを制した若手騎手だそうで、ふたりの馴れ初めだとか、騎乗前に励ましの思考が届いたとか、婚約指輪を選んだとか、ないことないこと書き立てられている。
「ふたりは 先月フルベックで仲良く観劇しているところを目撃され――。
えぇと、先月のフルベックというと……。そうだわ、戦災復興チャリティのオペラね、そういえば、隣の男が騎手だと云ってた気もするわ。
激励の思考共有? 婚約指輪? もう、根も葉もない!!」
 思わず、新聞を放り投げそうになる。
有名税だとあきらめてはいても、名前も憶えていない相手を、恋人だ婚約者だと書き立てられるのには、流石にうんざりする。こんなゴシップ記事を書く記者も、それを喜ぶ読者も、まとめて消えて無くなればいい――。
武装司書時代のミレポックなら、そう思ったことだろう。

 だが、現在はちがう。
歴史保護局は、何もかもが足りない組織だ。
人員も 予算も 権限も 伝統も。
そんな組織で、『本』と 図書迷宮とを守っていく。当初、ミレポックは頭を抱えた。そんな彼女を 世界中の人々が助けてくれたのだ。
 この世界を守るために、ミレポックと心をつないだ沢山の人々。
その人々の声が、各国政府や現代管理庁を動かした。また、彼ら彼女らが 少しづつ出し合ったお金が、全体では大きな額となって、発足当初の歴史保護局を救ってくれた。
 それを思えば――。
ミレポックとしても、苦手なパーティにも 出来るだけ顔を出し、各国の要人や貴族たちとの社交もこなしつつ、記者たちにも 引きつった笑顔のひとつくらいは、サービスしてあげようと思うのだ……。

 手早く化粧を済ませ、清楚な白いスーツに着換えて、迎えの車の到着を待つ。
ふと、壁ぎわに視線が吸い寄せられた。
「――そうね、明後日だったわね」
 カレンダーに書き込まれた『会食』の赤い文字を見つめて、彼女は頬を染めた。
彼のことを思うとき、ミレポックの心は いつもざわめく。
「服装は――先月 オリビアさんに見立ててもらった 赤のドレスでいいかしら」
 それは、まだ誰も知らない、彼女の恋の相手。
もしこれが人に知れたなら――。
そのときは、さぞかし大変なことになるだろう……。
0716名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 18:41:55.67ID:D//gT5Sv
 その頃、世界の反対側では。
オリビア=リットレットとルイーク=ハルトアインのカップルが、ひとつ屋根の下で暮らしていた。
と言っても 同棲ではない。オリビアの家に、ルイークが間借りしているのだ。
 武装司書の解散後、人のよい彼は 投資詐欺に引っかかって無一文になり、途方に暮れていたところを彼女に拾われた。以来、店の用心棒を務めつつ、彼女の店舗兼住宅の一階に居候している。

「あんた、また下で寝るつもりかい?」
「……お、俺、ここが気に入ってるんで」
「しようがないねえ。なら、好きにおしよ」
 ルイークは、オリビアに惚れている。
オリビアもまた、この心優しい巨漢に ベンド=ルガーの姿を重ね、親しみ以上のものを感じている。
だが、臆病すぎるルイークは、その想いを告げることが出来ず、二人の関係は 進展の気配さえ見せていなかった。

 夜も更け、騒がしかった街もようやく、静かな眠りに包まれた頃。
ドゥン! 鈍く大きな音を立てて、店の裏口が破られた。
「……来やがったか!」
 ソファから跳ね起き、短槍を掴んでルイークが走る。
勝手口から続く狭い廊下に、見知った男がいた。
「やはりテメェかよっ」
「んん――、憶えてるぜ、槍使いの……」
「ルイーク=ハルトアインだ! ブッ潰すぜ、怪物…っ」
 吠えるとともに、短槍がうなる。受け止めたザトウの腕をへし折り、頭蓋をスイカのように叩き割る。飛び散る脳漿と鮮血。そのしぶきを浴びながら、
「こいつは テメェが可愛がってくれたキャサリロの分っ」
 息もつかせず、
「それから ギルダの分だ……っっ」
 真上へ跳ね上がった短槍が 凄まじい速さで落下した。それは長身のザトウを へその辺りまで左右真っ二つにし、
「おっと…回復はさせねェよ!」
 短槍をぶっ刺したまま、左右の肩をわし掴むと、力まかせに引っ張った。
 ゴリラの、いや ルイークの何たる豪腕か、再生途中の怪物の身体が びぐちゃと裂け、ふたつに分かれて どたりと床に落ちた。
0717名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 18:44:34.86ID:D//gT5Sv
 だが、それでも。
「ふは…はははは。やるじゃねえかよ、くそゴリラ。
―――で、ギルダって誰だっけか、ああん?」
「ちっ、このヤロウっ」
 鮮血まみれの半身に張り付いた、片側だけの顔が笑う。
それを踏みつけ すり潰すも、その間に 反対側の半身が急速に膨れあがって、どうやら人の形を取り戻している。
「で、誰だっけ、そのギルダちゃんってのは、よう」
「忘れたか、この外道! 俺の同郷のギルダだっ。
テメェが最初に図書館を襲ったとき、受付にいた 一般司書の女だ…っ」
 風車のように振り回されるルイークの豪腕。
だが 今度はそれは当たらない。
血まみれの両腕がこれを受け止め、力比べでもするように、がっしりと組み合った。強力無双のルイーク=ハルトアインと、互角を張る怪力。そう、ザトウの内にも ルイモン=マハトンがいるのだ。
 右膝が床を蹴り、ザトウの腹に突き刺さる。血肉まみれのマントが蛇のように伸び、ルイークの首に巻きつき 締め上げる。
「させねえよ!」
 窒息するより早く、ルイークの巨体はみるみる鋼鉄と化し、勢いを増した豪腕と重量で、目の前の男を ひねり潰そうとした、が。
「―――く ははは、残念だったなあ、ゴリラ」
 雷気の火花が ちりりと走り、己が失策を ルイークに気づかせた。
怪物の両腕から放たれる、強大な雷撃。雷は 鋼の体を瞬時に駆け抜け、脳も内臓も焼き尽くす。
 そう、全身を鋼鉄と化すルイークにとって、エンリケの雷は 天敵と云っていい能力だ。ザトウがその力を失ったままだと信じていた時点で、彼の敗北は決まっていたのだ。
 能力が解け、焼け焦げた巨体を 床に転がすルイーク。
身体は もう指一本動かせず、意識も急速に薄れていく。その彼の目に、
「……あ、あんた…っ」
 惨状のあまり、階段の途中に立ちすくむ、オリビア=リットレットの姿が飛び込んできた。
(……頼む――
オリビアさん、どうか逃げて……逃げ…て……)
 
 凌辱の夜が、始まろうとしていた。

                         ==第2話 おわり==
0718名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:22:10.22ID:D//gT5Sv
==第3話==

 深夜0時の店内で、オリビア=リットレットは犯されていた。
黒の夜着を剥ぎ取られ、猛り狂ったザトウのモノで貫かれる。男を受け入れるのは久しぶりで、しかも、彼女の秘芯は 少しも濡れていない。痛みのあまり、彼女は 声にならない悲鳴をあげた。
 亜麻色の長い髪を振りみだして、オリビアは激しく暴れる。
だが、抵抗もむなしく、ザトウに力づくで押し入られて、数年来の貞操を奪われた。
 正常位でのしかかられ、犬のように四つ這いになって後ろから突かれ、大きく脚を開いて帆掛け舟で犯される。疲れを知らない超回復の怪物は、わずかな休息さえ挟まず、ひたすら 彼女を凌辱しつづけた。

 いつ終わるともなくつづく、淫辱の宴。
だが、それでも オリビア=リットレットは屈しない。
「はン、最低の男だねっ。一度寝れば、女をものに出来るとでも 思ってんのかい…っ」
 何度犯されても、気丈にザトウを罵り、
「……んっ、んっ、んむっ、……早くお逝きよ!」
 事務的に口舌奉仕し、
「…まだ続けるのかい? いいよ、やっとくれよ」
 切れ長の目で冷たく睨んで、射精後の興奮と余韻を 一瞬で氷結させる。
 媚態はもとより、屈従の気配すら見せないオリビア=リットレット。
それでも、その女体は絶品だった。
豊艶な肢体をくなくなと揺すってザトウを高ぶらせ、キツキツの膣肉が 男のモノを締めつける。軽蔑と嫌悪の表情を隠そうともしないこの美女に、なおも激しく腰を叩きつけながら、ザトウは少しづつ、敗北感を抱き始めていた。

「出すぞ……イけよ、おら…っ」
 何度目かの精を女の膣内に吐き出しつつ、ザトウは 心の内で舌打ちしていた。
予想とは 真逆の事態だった。
力づくの凌辱では、この女は堕とせそうにない。
 15の頃から身体を武器に、世間を渡ってきた女だ。
大魔術師シャーロットを虜にし、肉の船を支配して 教団に叛乱、失敗してシガルによる拷問を受けた。その後、レナス=フルールの人格を植えつけられて過去神島へ送りこまれ、記憶を取り戻して ハミュッツに生命を狙われ、それでもなお 生き延びた。
それほどの女が、尋常な責めで屈するわけがない。
「はぁ…はぁぁ…、もう仕舞いかい?」
「くっ、この雌豚…っ」
 思わず、女の尻を蹴りつける。
白い肢体が床を二転三転し、壁に当たって止まった。
 ゆっくりと オリビアが上体を起こす。
ザトウを見上げる彼女の眼に、強い光が宿っていた。それは、どんな凌辱や拷問にも、決して屈しないという強い意志だ。彼女を見下ろしているザトウの方が、いらだってしまう有り様だった。

 そのとき突然、ザトウの中で 声が響いた。
(やれやれ、堪え性のない……)
(全くもって。若造は 辛抱というものを知らん)
 それは、彼の内側からの声――仮想臓腑の中から聴こえた声だった。
 一年と少し前、肉体を取り戻したザトウは 人に勧められるまま、沢山の『本』を喰った。戦闘に役立つ魔法権利を持つ『本』など滅多になく、それでも 手当たり次第に 喰って喰って喰いまくった。
どうやらその中に少し、妙なものが混じっていたらしい。
(気丈な女の堕とし方というものを、ひとつ このわしが教えてやろう)
「……うるせえぞ。引っ込んでろ、爺ぃ」
(そう邪険にするでない。ほれ、まずはのう……)
 頭の中にひびく 名も知らぬ老人の声が、いつしか ザトウの意識に溶けこんでいった。
0719名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:26:05.23ID:D//gT5Sv
 ザトウの掌が 布に触れる。
店の中に沢山ある、オリビアのデザインしたスーツやドレスだ。それらがねじれて繋がり、一本の長いロープになる。
「おらよ、踊れ…!」
 生き物のように、ロープが宙を這いまわる。
それは オリビアの豊艶な女体に絡みつき、締め上げた。
「…ん、んうっ! 痛…っ」
「ふ ははは、鮮やかなもんだぜ、我ながら」
 服を奪われたマネキンたちの真ん中で、オリビアは縛られていた。
客のいない店内に、ひとつだけ灯された白熱球に寒々と照らされて、女の裸身が なまめかしく浮かびあがる。
白い肌にはロープが食い込み、上下を走る胸縄にくびり出されて、豊かな双乳が ひときわたっぷりと前に飛び出す。彼女が身悶えするたび、双乳は ふるると揺れた。

 オリビアの両手首をひとつに括ったロープが、するすると上へ伸びていく。
それは天井を走る梁に巻き付き、彼女の白い裸体を 宙へと吊り上げた。
「く…、このウジ虫以下の下種野郎! 下ろせ! 早く下ろすんだよっ」
 あがけばあがくほど 胸縄が食い込み、くびり出された豊満な乳房が たぷたぷ揺れる。
それを、息がかかるほどの間近から見つめるザトウの顎に、
「見てんじゃないよ、キモいんだよ、この…!」
 毒づくオリビアの優美な脚が跳ね上がり、膝を叩き込んだ。
不意を突かれながらも、大きくのけぞって 女の膝をかわしたザトウが、
「くそっ、野生の獣みてえな女だ」
 再び ロープに触れた。
一本の太いロープが 三本に枝分かれし、左右のロープが 彼女の両膝に巻き付き、引っ張りあげる。まるでMの字のように、大きく脚を開かされた格好で、オリビアは 宙吊りにされていた。

 そして そこに、
「ほらよ、こいつにも見せてやれ」
 半死半生のルイーク=ハルトアインが引き出された。
「……ぐぅ……オ…リ…ビア……さん…」
「あ、あんた! 大丈夫かい!? 死ぬんじゃないよ!」
「このクソゴリラが死ぬもんかよ。まあ、完全に痺れて 動けやしねえがな。
く ははは、さあ、たっぷりと見せつけてやろうぜぇ」
「何考えてんだい、この腐れ外道が…っ」
「…ゆ、ゆるさねえぞ……、ザ…トウ、おれ…が……むぉ、んむー!」
 床に転がったままの大男の口に 布が絡みつく。
指先ひとつ動かせず、言葉まで奪われたルイーク。
彼ひとりを観客とする 最悪のショウタイムが 今、幕を開ける。
0720名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:28:53.50ID:D//gT5Sv
 猿ぐつわを噛まされ、痺れて転がるルイーク=ハルトアイン。
その目の前で、
「み、見ないでおくれよ…、あんた……」
 オリビア=リットレットは 辱めを受けていた。
 ロープでくびり出された豊乳を、 ザトウは 見せつけるように弄ぶ。
静脈が透けるほどに白い乳肌に 何度も吸いついたかと思うと、乳房をたっぷりと鷲づかんで 荒々しく揉みしだく。紅に色づく先端を 指で優しく転がしてから、今度は 女が悲鳴をあげるほどに強く、揉みつぶす。
 ザトウの玩弄は、さらに 下へ降りていく。
彼女の下腹に顔をうずめ、女芯をひたすら舐め上げる。
秘唇に舌を入れて舐めしゃぶり、敏感な肉の芽を甘噛みする。長い指で膣の中をこね回しては、じっくりとこすり上げる。

「まったく…いい肉だぜ」
「気持ち悪いんだよ! やめなっ、この変態…!」
 オリビアの反応は、さっきまでより余裕がなく、ずっと硬質だった。
ザトウの激しい責めに、時折にせよ、甘い吐息をもらし、つらそうに腰をくねらせていた彼女が、現在は 一切の情感を見せまいとしている。唇を噛み、手指をきつく握りしめて、人形のように 無反応をよそおっている。
 すぐそばに、ルイークがいる。
惚れた男の目の前で、あさましいよがり声など 出したくない、というのだろう。
「ずいぶん我慢するじゃねぇか。もっと鳴けよ、さっきみたいに」
「はン、馬鹿を云ってんじゃないよ」
 頬を紅潮させながらも、彼女はなおも ザトウを睨みつける。

「それじゃ、こんなのは どうだ?」
 またもやロープを変化させ、女の身体を移動させる。
オリビアは吊られたまま、ルイークに寄り添う。
しっとりと白い彼女のお腹が ルイークの腹とほとんど接している。彼女の顔は ルイークの股間の数センチ上にあり、蜜に濡れた秘苑は ルイークの顔の真上にある。
まるで 69のような体勢だ。
「や…やめとくれよ、こんな…!」
「よーく見てもらえよ。この トロトロの牝肉をよ」
 二本指をねじこみ、ザトウが膣内をかきまぜると、ねちゃにぢゅと蜜の音がして、たちまち 濃厚な牝の匂いが立ちこめた。
 ときに速く、ときにゆっくりと、ザトウは 指を抜き差しする。
入り口のあたりを撫であげたかと思うと、今度は 奥の肉ひだに 指先を叩きつける。熱くとろけた粘膜は、ザトウの指を キツく咥えこんで離そうとしない。膣内をこねればこねるほど、それは みっしりと指に吸いつき、絡みつく。
 ひとしきり媚肉を弄んだあと、ザトウが 二本指を引き抜くと、あでやかに開いたオリビアの花唇から、花蜜がとろりと滴り、
「………っっ!」
 ルイークの顔を濡らした。
0721名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:31:44.29ID:D//gT5Sv
 逆海老の形で吊るされ、辱めを受けるオリビア。
その数センチ下では 身動きも出来ないルイークが、血走った目で 惚れた女の牝芯を見つめていた。
「く ははは、だいぶ よくなってきたんじゃねえか」
「だ、誰が…っ、冗談をお言いでないよ」
「そうか? だが、こいつの方は もう我慢できねえようだぜ?」
 ニヤけた笑みのザトウが、左手でオリビアの髪を掴み、下を向かせた。
同時に、右手が 倒れているルイークのズボンに触れると、
「――ひっ」
 ズボンの生地が弾けて、いきり立つ肉の槍が オリビアの目の前に飛び出した!
赤黒く膨れた槍の頭が、彼女の頬を打つ。それは 蒸れて臭気を放ち、先走りの汁に濡れていた。
「おら、咥えてやれよ…っ」
 髪をわし掴まれて、力づくで 口に突きつけられる。
顔を真っ赤にしたルイークが、慌てて逃れようとするも、痺れた体は言うことを聞かない。オリビアの唇に押しつけられた槍頭は、ぱんぱんに膨れあがり、 見ていて痛々しいほどだ。
「……つらいのかい? いいよ、いいんだよ、あんた。
こんなあたしでよけりゃ、してあげるよ……」
 オリビアは朱唇を開き、いきり立った槍頭を 口に含んだ。

「おら、休むんじゃねえよ」
 緊縛され、宙吊りにされた不自由な身体で、オリビアは 口舌奉仕をつづけていた。
彼女の前には 二本の肉棒。倒れたままのルイークと、膝立ちになったザトウ、二人の男のモノが突きつけられ、それを彼女は 代わる代わるに咥えている。
「んむ、むぅ…んうむ――」
「いつまでしゃぶってんだっ、次だ…次!」
「ん! んん! ぁう…んじゅ、んうう…っ」
 惚れた男と、憎む男。ふたつの肉槍に奉仕するオリビアを、ザトウは 指と言葉で、さらに追いこんでいく。
「く ははは…、しっかりと目に焼きつけるんだぜ、ゴリラ。
お前の女神さまが、熱々でねちょぬちょに とろけちまってるのを、よう。見ろよ、膣ひだが俺の指に吸いついて――いい具合に締めつけやがる」
 ザトウの言葉通りだった。
もはや 彼女の花唇は 熱くとろけ、粘り気の増した蜜があふれ落ちて、ルイークの顔をべとべとにしていた。
「――見ないでっ…見ないどくれよ、うぅ…」
 ザトウが 指を三本、挿し入れる。
秘唇の入り口は 素晴らしく狭く、その奥の膣ひだが きゅッきゅうッと指に吸いつき、締め付けた。その感触を楽しむように、何度も出し入れを繰り返す。粒立った膣ひだを、三本指が 執拗にこすりあげる。吊られたオリビアの背中が、びくびくっと 痙攣した。

「……んぅ、む…ぅう。――ごふっ…ごぼっ、うぇぇ」
 まず、ルイークが果てた。
吐き出された欲望の あまりの量の多さに、オリビアがむせる。
「なんだよ、飲んでやれよ」
 ザトウが、亜麻色の髪を掴んで 彼女を振り向かせた。
切れ長の目に涙を溜め、唇の端から 白濁の汁をこぼし、くやしそうに ザトウを見上げるオリビア=リットレット。その瞳には もう、かつての強い光は宿っていなかった。
0722名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:34:52.32ID:D//gT5Sv
 気丈に男を睨みつけていた瞳に、悔し涙が浮かんでいる。
 ザトウは興奮した。
即座にロープに触れて 拘束を解くと、彼女を床に這わせ、尻を上げさせた。
「素直になったな、オリビア。ご褒美に たっぷり可愛がってやる。
あのシャーロットを垂らしこんだ――この身体を、な」
「ふん…、勝手に…おしよ……」
 恥蜜で潤んだ花芯に、ザトウは 肉槍の切っ先を突きつける。
ゆっくりと押し入れると、
「…あっ、んぅ……!」
 熱くとろけた粘膜が、ザトウのモノを迎え入れた。
ひたひたと吸いつき、ぬめぬると擦りあげてくる。入り口ではキツく、内部では ねっとりと。極上の膣ひだが、ザトウの太槍を包みこみ、絡み付いて離れない。
 最初に犯したときとは、あまりにちがう オリビアの膣内。
そんな変化に高ぶり、ザトウはますます激しく 腰を打ちつけていく。

「……やめ…ぅう、ぁう…っ」
 四つ這いになったオリビアを、後ろから犯す。
折れそうなほどに細い腰を がっちりと抱え込んで、容赦なく 腰を叩きつける。
狭くてキツい花唇は とろとろの蜜にまみれ、従順に ザトウのモノを飲みこんでいく。膣ひだが ざわざわと絡みついて、熱く締めあげる。
素晴らしい気持ちの良さに、ザトウはさらに 腰遣いを速めた。その動きに、
「…あぅ…はぅ、はぅ、はぁぁん! あん、駄目…っ」
 なまめかしい声音の、あえぎ声のスタッカートが重なっていく。

「ふ…はははは、いいザマだぜ、オリビア」
 ザトウは哄笑しつつ、彼女の美しい尻を パシィ…ッと平手打ちした。
「惚れた男の目の前で、いい声で鳴きやがって……。
恥ずかしくねえのかよっ、この牝豚が…っ」
 さらに二度 三度と、掌を打ちつける。
白い美尻が、みるみる紅く染まっていく。
痛々しく腫れあがった尻肌を、ザトウは 優しく撫でさすった。
「くく…笑えるぜ、ああ? すっかり可愛くなっちまったなあ。
知ってるか、オリビア…。てめぇの中が どうなってるか。マグマみてえに熱くってドロドロで…、俺のを咥えこんで離しゃしねえぜ」
「……そんな…馬鹿な…こと…っ、あぅっ、…ち…ちが……」
「違うわねえよ。まったく……男なら誰でもいいのかよ、この牝豚!」
 あざけりの言葉を浴びせながら、ザトウは さらに激しく、腰を叩きつけた。
0723名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:37:08.46ID:D//gT5Sv
 想い人の傍らで、凌辱され続けるオリビア=リットレット。
時刻はすでに 4時を回っている。
この夜、彼女は 幾たび、その身を穢されたことだろう。
夜着を剥ぎ取られて 力づくで凌辱され、布で緊縛されて天井から吊るされて 辱められ、さらに 犬のように床に這わされて 嬲りものにされた。

 高く上げさせられた尻を 何度もぶたれながら、彼女は奇妙な感覚に囚われていた。
それは 初めての戸惑い――新しい何かが目覚める戸惑いだった。
自分の中で押さえ込まれていた 恐ろしい何かが目を覚まし、急速に成長していくような、そんな感覚。困惑しつつも、彼女にはもはや、それに抗う術はない。
 掌でぶたれた尻が、熱く火照っている。
痛い。ひどく痛い。だが それ以上に――すぐそばで 食い入るように見つめる、愛する男の視線が苦しい。
まなじりを大きく見開き、噛みしめた厚い唇から おびただしい血を流して、オリビアを見つめるルイーク。この男の視線を 意識すればするほど、彼女の感覚は研ぎ澄ますされ、刺激に敏感になっていく。
 ぶたれた尻肌も、揉み抜かれた乳肌も、蹂躙され続けた膣肉も。
灼けつくような痛みが、奇妙なうずきに変わっていく。ぴりぴりと痺れるような、むず痒いような、熱くて甘い刺激が、電流のように 彼女の全身を駆けぬけていく。
もっと欲しい。もっと、もっと――。
 気がつくと、彼女は 甘い声で よがり泣いていた。

「…あぅ…はぅ、はぅ、はぁぁん! あん、駄目…っ」
 四つ這いで背後から犯され、悩ましく腰をくねらせるオリビア=リットレット。
咥え込んだ男のモノを抜こうともせず、くなくなと尻を振り、熱くとろけた粘膜で締めつけていく。
「男なら誰でもいいのかよ、この牝豚…っ」
 嘲りの声が、どこか遠くで聴こえている。
男の長大なモノが 膣を貫き、オリビアの一番奥を えぐった。
「……あ…あヒッ! そこ……ダメ…っ」
 思いもよらず 漏れる、切迫したあえぎ声。
こんな恥ずかしい声を上げる自分が、彼女には信じられない。
だが、ザトウの激しい打ち込みが、荒々しい愛撫が、どうしようもなく 彼女を狂わせるのだ。

「いいぞ、牝豚…っ。ケツを振れ、もっと!」
「んぁ…あふ、あはぁあんっ……いい! すご…いっ」
 熱くうずく尻肌をぶたれ、双乳を揉みくたにされると、彼女には もう、自身を抑えることは出来なかった。
ザトウのモノが打ち込まれるたび、右に 左に 蜂腰を淫らにくねらせ、
「――ん、いいよ…そこ! 続けとくれよ…っ」
「あぅ…ひぅっ、こんな……すごいのっ、……もっと…もっと奥だよ!」
「…は あぁん……ぅあっ、もうダメっ、あたし…もうダメ…っ」
 悩ましい声を漏らしつづけた。
一度 外れた強気の仮面は、もう 彼女には戻らない。
すぐ間近からの熱い視線に媚びるように、官能に歪んだ美貌をルイークに向け、途切れることなく、淫らな言葉で 悦びをつづっていく。彼女は ただひたすら、与えられる刺激に身をゆだね、肉の悦びをむさぼろうとしていた。
0724名無しさん@ピンキー2015/01/01(木) 19:40:23.27ID:D//gT5Sv
 肉の悦びに堕ちたオリビアを、ザトウは 満足げに見下ろした。
「く ははは…、いい具合だぜ――たまんねえ…っ」
 あれほど気丈で 反抗的だったオリビアが、自ら 尻を振っている。
そのたびに亜麻色の髪が舞いみだれ、雪白の双乳は弾んで揺れる。熱く練れた膣肉が ザトウのモノを咥えこみ、きゅっきゅうっと締めつけた。
「いいぜ、牝犬! ふさわしい褒美を……くれてやるっ」
 欲情し 興奮しきったザトウが、最後の追い込みをかけた。
つづけざまに腰を打ちつけながら、豊満な乳房を揉みしだき、乳首を摘んだ。指先でこりころと転がしたかと思うと、一転、乱暴に押しつぶす。真っ白なうなじを ぺろりと舐めあげ、最奥まで叩きこんだモノを ぐりぐりと捻じえぐる。
「…ぁ…ひっ、あん、ぁむっ……そこ! すごいぃぃっ」
 オリビアが 悦びの声を噴きあげる。
「うおぅ、凄ぇ…っ、イキそうだな、オリビア=リットレット。
聴かせてやれよ、ぶざまな泣きっ面の そこのゴリラに、てめえのイキ声を よう」
「………あぅ、そんな…! あふ…あぁん、ぅふっ、あふぅう…っ」
 いやいやをするように、オリビアは首を左右に振った。
だが それでも、噴きこぼれる声は止まらない。白い喉を突き出し、しなやかな背中を 弓のように反らせて、淫らに腰をくねらせつづける。
「ご…めん……ごめんよ…、あんた……。
がんばったけど……あぅ! あたし、もう…、ぁひゃっ、すご…すごいぃぃ…!」
 昇りつめたオリビアが、ひときわ高く よがり叫んだ。
彼女の裸身に びくびくっと痙攣が走り、そして がくりと崩れ落ちた。

 通勤時間の街の喧騒が、店内に流れ込んでくる。
 恥ずべき絶頂から さらに2時間、肉に堕ちたオリビアを、ザトウは犯しつづけた。
さまざまな形で交わり、あらゆる奉仕に応じつづけた彼女も、現在は ボロ布のように 打ち捨てられ、床に転がっている。
「よかったぜ、オリビア」
「… …ぁふぅ、もっと…もっとしとくれよ……もっとぉ…」
 うわごとのように、彼女は繰り返す。
とろけ切った雌の表情で、唇の端からよだれを垂らして、いづこかを見つめている。
大きく脚を開いたまま、尻だけを持ち上げた 犬のような格好で、無惨に凌辱された牝芯をさらしている。長大なザトウのモノを受け入れつづけたその場所は、ぽっかりと口を開け、あふれ出た白濁が床に染みを作っていた。

 惚れた女を、無惨に犯されたルイーク=ハルトアイン。
肉体も精神も打ちひしがれ、完全に消耗しきった巨漢は、床に転がったまま 動かない。それは、魂の入っていない ぬけがらのようだった。
 うつろな表情のまま、ぴくりとも動かないこの男に、
「ふはは、いい顔するじゃねえか」
 ゆっくりとザトウが近づいた。
髪を掴んで巨漢を引き起こし、その前に仁王立つ。
「次はお前の番だ、ルイーク=ハルトアイン……。たっぷりと絞り取ってやる」

 怪物が去ったのは、それから2時間後のことだった――。

                         ==第3話 おわり==
0726名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:37:09.03ID:NOY1x3L7
レスつけてくださった方、ありがとうございます。
ホモ描写ですが、今後も含めて 一切出て来ません。ご安心ください。
百合描写は――ゴニョゴニョ。
それでは、「シガルは君の嘘」(←ちがう)第4話を投下させていただきます。

==第4話==

 黄昏に染まる過去神島。
飛行場に降り立ったザトウを待っていたのは、旧知の男だった。
「久しぶりだなあ、マットアラスト」
 黒い帽子に黒のスーツ。黒づくめのその姿が、夕闇の中でゆらりと動く。
「盗『本』マフィアをいくつか当たってね、教えてもらったのさ。で、これも例の――『黒のラスコール』とやらの命令かい?」
「ああ? 俺は喰いたいものを喰い、犯りたい女を犯る、それだけだ……。
く ははは、ミレポックを犯る前に、お前と――遊んでやるっ」
 ザトウの右腕が跳ね上がる。
放たれる強大な雷撃。だが、それはマットアラストにかすりもしない。
「知ってるだろうが――当たらんよ!」
 右に左に ワルツでも踊るかのように体をスイングさせると、その数センチ横を閃光が駆け抜ける。背後にあがった爆炎が スーツ姿のシルエットを浮かびあがらせ、焦げくさい砂塵が周囲を舞った。
「ふ、ははははは」
 哄笑とともに放たれる二閃、三閃。
華麗な足さばきでそれをかわし、マットアラストは二丁拳銃を抜き撃った。左右あわせて12発の銃弾が頭に 首に 胸に命中し、血肉をばらまきつつ、ザトウは倒れた。
 が、それも一瞬。
よろめきながらも、怪物はすぐに身を起こし、
「ははははは――やはり、お前とやるのは楽しいぜぇ」
 血みどろの笑顔で襲いかかった。
0727名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:39:31.03ID:NOY1x3L7
 次々放たれる雷撃をすべてかわしつつ、マットアラストは攻撃を続けていた。
 銃撃を下肢に集中させる。
怪物の両脚が細切れ肉となり、再生のため数秒 動きが止まる。その機を逃さず 彼は地面から武器を拾い上げた。愛銃、テノール。戦車砲なみの攻撃力を持つ、大口径のライフルだ。
 銃声が低く重く響き、ザトウの胸部をまるごと吹き飛ばす。
鮮血のしぶきと無数の肉片が視界を覆う。その闇を切り裂いて、雷撃。
「くっ、しぶとい…!」
「ふはははは、無駄だぜ――何度やっても、よう」
 ゴポゴポと血肉が盛り上がり、早くも再生が始まっている。ザトウの上着がしゅるりと伸びて ちぎれた下肢に絡みつき、上体に引き寄せた。バラバラにされた肉体は、ものの数秒でひとつに戻っていた。
「ち…っ」
 マットアラストがスーツの裾をひるがえすと、その跡地に雷が落ちた。
一定の間合いを保ちながら、彼は銃撃を繰り返す。弾薬も武器もこの滑走路のいたるところに隠してある。それを拾いつつ、攻撃を続ける。ザトウの体の魔力が尽き、超回復を止めるまで、ひたすらそれを繰り返す。
 それが、この『怪物』を倒す唯一の方策だった。

 十数分が過ぎた。
圧倒的に攻め、一方的にダメージを与えながらも、超回復の力の前に止めをさせないマットアラスト。事態は完全に膠着していた。
 が、転機は唐突に訪れる。
全身に銃弾を浴び、血だるまになりながら地面をのたうつザトウの身体が、滑走路から駐機場に達した頃。
不意に、マットアラストが射撃をやめた。
「……!!」
 腰だめに構えたテノールを宙に放ったかと思うと、拳銃を抜き撃ち、自らそれを破壊する。
困惑の表情を浮かべるマットアラストの
「……この力は!?」
 声が わずかに震えていた。
0728名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:42:13.11ID:NOY1x3L7
 絶大な威力を持つマットアラストの愛銃、テノール。
それが突然、彼の手を離れ、すぅーっと宙に浮かびあがったかと思うと、くるりと反転して銃口を持ち主に向けた。
 ドウゥゥ……!
銃声が低く響いたとき、マットアラストは黒の帽子ごと、頭を消し飛ばされていた。
「……!!」
 2秒後の光景が、マットアラストを戦慄させた。
それでも 即座にテノールを撃ち壊し、的確な判断でその未来を回避する。
「……この力は!?」
 それは、彼のよく知る人物の能力。
精密な念動力で銃を操り、空中から狙撃する魔法権利――キャサリロ=トトナの能力だ。
「喰ったのか、キャサリロの『本』を……!?」
 いや、そんなはずはない。
彼女はまだ生きている。生きているものを『喰う』ことなど、出来はしない。
 それでは――。
冷たい汗が背中ににじむ。
疑念が 彼を数歩後退させ、完全に再生を終えて ザトウが立ち上がった。
「見ろよ、マットアラスト。俺の身体を」
「……!?」
 雲間からのぞいた月が、ザトウを照らす。
青白い月光の下、生身の体が鋼鉄に変わっていくのを、マットアラストは確かに見た――。

 キャサリロ=トトナ。ルイーク=ハルトアイン。
この両者に共通することと言えば。
「二人を襲った目的は、これか…!」
「そうだぜぇ、ふはは――分かったろう、俺に勝てねえワケがっ」
 ザトウの得た新しい能力。
それは、魔法権利の強制譲渡。相手の意志にかかわらず、能力を分け与えられる力だ。
得られる能力は、ほんの数回分。
そのうえ、相手が完全に打ちのめされ、心神喪失の状態でなければ、譲渡をさせることは出来ない。
キャサリロを輪姦し、惚れた女をルイークの目の前で凌辱したのは、すべて 力を得るためだったのだ。

 鋼鉄の体に月灯りを反射させ、怪物は勝ち誇った。
「終わりだ、マットアラスト」
「ち…っ」
「楽しかったぜぇ」
 マットアラストが飛びずさる。
鋼鉄の怪物は 両腕を高々と掲げ、それを大地に叩きつける。舗装された地面が割れ、そこに放たれる強大な雷撃。それは、地下に埋め込まれた飛行燃料タンクを爆砕した。
 凄まじい爆発が周囲を飲み込む。
爆風が格納庫を吹き飛ばし、庫内の飛行機を炎上させる。2秒早く逃げ出していたマットアラストの体も、木の葉のように 地を転がった。爆炎が彼のスーツを焼き、いくつもの破片がその身を貫く。
 深手を負いつつも、かろうじて生を拾った黒衣の男は、よろよろと飛行場を去っていく。
その背中に、
「く、はははは――勝ったぞ、はふははは、俺が…俺が勝った――」
 三つに砕けた身体を生身に戻し、再生を始めて、ザトウは哄笑を響かせた。
0729名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:46:13.01ID:NOY1x3L7
 ミレポック=ファインデルは ひとり、窓の外を眺めていた。
「………静かになったわね」
 閉館時刻をとっくに過ぎた、歴史保護局本部の理事長室。
レモン色の金髪をアップにまとめ、水色のブラウスと 青のタイトスカートを 上品に着こなす、27歳の美貌の理事長の姿を、月灯りだけが照らしている。
「さっきの爆発―――飛行場だと思うけれど」
 急行したはずの警備兵から、何の報告もない。盗『本』組織か。それなら 警備部隊でも十分対応できるはずだが。
 とはいえ、兵士たちは皆、魔法の使えない普通の人間だ。
戦闘力では 理事長であるミレポック一人にも劣る。魔法の使える侵入者だとしたら、彼らの手には余るかもしれない。
 自分が行った方がよいかと、彼女が思案していると。
 かちゃり。扉の開く音がした。

「誰…?」
「……警備がザルだぜ、ミレポックちゃん」
「……!」
 暗がりの中、月明かりに浮かぶその姿は、
「エンリケさん―――いえ、ザトウ=ロンドホーン!」
 アルトの美声が緊張をはらみ、しなやかな白い手がテーブルの上の細剣に伸びた。
が、わずかに早く、布の蛇が空を走り、細剣を床へと弾き落とす。蛇はそのまま、彼女の身体にぐるると絡みつき、締め上げ始めた。
 ずりずりと 布の蛇が這い上がる。
ミレポックの身体の、太腿から胸元までを らせん状に巻きつきながら、まるで本物の大蛇のように、鎌首をもたげて彼女の顔に迫っていく。
圧迫され摩擦されて ブラウスのボタンが弾け飛び、スカートがずり上がった。
0730名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:48:20.91ID:NOY1x3L7
 着衣のはざまからのぞく白い肌に、侵入者の視線が突き刺さる。
はだけられた胸元にチラリと見える、ハーフカップの水色のブラ。
そこからこぼれる乳肌は ミルクを溶かしこんだように白く、胸の上と下とに巻きついた布蛇が、その形のよいふくらみをさらに強調している。
腰までまくれあがったタイトスカートの下には美脚が露出し、その付け根に水色のパンティが見えていた。
「いい女になったじゃねえかよ」
「―――汚らわしいっ、は…っ、離しなさい!」
「おっと、暴れんなよ」
 蛇はさらに這い上がり、彼女の胴から離れた。
もちろん、解放されたわけではない。
布の蛇は 左右の手首をひとつに括り、カーテンレールに巻き付いて、固まる。それはまるで、手錠をかけられ 窓際に吊るし上げられたような状態だった。
「く…ははは、凄い格好だなあ、たまんねえよ」
 好色な視線に 身体と心を弄ばれながらも、
「……キャサリロさんを襲ったのは、やはりあなただったのね。
最低だわ。最悪の下種ね、あなたは……!」
 ミレポックは翡翠色の瞳で キッと男を睨みつけた。
だが、それがザトウを逆に喜ばせる。
「へへ、いいねえ、その眼…その声……、ゾクゾクするぜ。
――もっと言ってくれよぉ、ミレポックちゃん」
 いやらしい手つきで、ザトウは彼女の頬を撫で回し、舌を這わせた。
 
 恐るべき怪物 ザトウ=ロンドホーン。
この凌辱者の魔手からミレポックを守れるものが、現在の過去神島にいるはずもない。たとえ助けを呼んだところで、犠牲者の数が増えるだけ―――そう分かっているミレポックだったが。
 それでも 思わずにはいられなかった。
(―――お願い、助けて……助けて………)
 無意識のうちに ある男のことを想い、彼女は思考共有をつないでいた。
0731名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:50:48.93ID:NOY1x3L7
 理事長室の開け放たれた窓から、ミレポック=ファインデルの白い肢体が覗いている。
両手首を頭上で括られ、片方の膝を吊り上げられた格好―――そのうえ身に着けているのは 水色のブラとパンティ、黒のストッキングだけ……。
みじめな姿をさらす屈辱に、思わず 彼女は身をよじった。
 羞恥に震える27歳の悩ましい身体を、ザトウは ねぶるように視姦する。
無骨な手が 水色のブラをわしづかみ、
「く…ううっ」
 力まかせに引きちぎった。
 ぷるんっと大きく弾けたあと、形のよい双乳がふるふる小刻みに揺れる。
「88、9ってトコか……」
「やめなさい、この変態…っ」
「オリビアのデカい乳には負けるが――いい揉み心地だな」
 むき出しになった双丘を、ザトウの両手が揉みしだく。
みっしりと張りつめた乳房を 手のひら全体を使ってこねくり回し、淡い紅色の乳首を摘んで 引っぱったり転がしたり、口に含んでちゅうちゅう吸ったりを繰り返す。すると ついに、
「……ん、あぅ…っ」
 気丈なミレポックが 吊られた身体を仰け反らせた。
 満足気な笑みが、ザトウの顔に浮かんだ。
「少し感じたか。ふふ、もっと声を出していいんだぜ。
そうだな、今夜はその声を 世界中のやつに聴かせてやれ。凌辱実況の思考共有――世界を救ったミレポック=ファインデルが、最強の『怪物』ザトウ=ロンドホーン様の情婦に堕ちる生放送だ。
く ははは、楽しいだろ?」
 下品な物言いで、潔癖な彼女をさらに辱める。

 ミレポックの反応を楽しむかのように、ザトウはさらに双乳を責めたてる。きれいな乳白色だった豊艶な乳房も、執拗に揉まれ吸われて、赤やピンクに染まっていた。
「――ん、んむぅ……やめ…て…っ」
 いやいやをするように身をよじる様子に ザトウは高ぶった声を上げて、
「くく、もう我慢できねえ」
 悩ましくくねる細腰を押さえつけると、彼女の最後の羞恥を守る 水色のパンティを引きちぎった。自身もズボンをはだけて下半身を剥き出し、いきり立つ肉の棒をミレポックに見せつける。
「ひっ、いや…嫌ぁぁああ!!」
 生まれて初めて目にする 勃起した男性器に、アルトの悲鳴が上がった。
赤黒く膨れ上がったその肉棒は、不気味な血管を浮き上がらせ、びくびくんと脈打って、ミレポックを恐怖で凍りつかせた。その機を逃さず、ザトウはその先端を彼女の下腹に押し付ける。
「……い、嫌ぁ、やめ……許してっ」
「くっ……堅いぜ、まったく入らねえ……?」
「怖い… …い、痛い!、そんなの入るわけ…な…っ…ぃぃ」
 さらに強引に捻じ込もうとするも、
「何だ、何で入らねえ、……まさかこの年齢で処女ってこともあるまいし」
「……そ…それは! んっ…痛っ、無理…よ…、私…っ」
「そうかよ、マジで処女なのかよっ。
く、ははは、いいぜぇ、ミレポックちゃん。俺がお前を女にしてやるよ。
――こいつを、今 ぶちこんでやる…っ」
0732名無しさん@ピンキー2015/01/03(土) 15:54:27.39ID:NOY1x3L7
 間近に迫る、邪悪な笑顔。
「……嫌っ、助けて……お願いっ」
 無意識のうちに、彼女は思考共有をつないでいた。その相手は――。
「へへっ、呼んでも無駄だぜ。
頼もしいナイトなら、もう俺が倒しちまった」
「……!?」
「マットアラストは さっき倒した。当分、戦えやしねえよ」
「……んぅ」
 破瓜の恐怖に全身をこわばらせる彼女の細腰を、片手でがっしり抱え込む。先走りの露に濡れ、ぱんぱんに膨れた先端部を、ザトウが一気に突き入れようとした、そのとき。
 シュ……ッ!
突然 噴き出した鮮血が、男女の下半身に降りかかった。
 どさり と小さな音を立て、床に転がったのは、赤黒い肉塊。自分のモノを付け根から切り落とされ、慌ててザトウが飛びずさる。
「……くそっ……何じゃあ、こりゃあ!」
 周囲を見渡す。が、そこには何の姿もない。
静寂。聴こえるのは、ミレポックのすすり泣く低い声と、ザトウ自身の荒い呼吸・心音だけ。
 シュ…ン…!
かすかな風音に反応し、跳ぶ。
 何かが首をかすめた。が、その正体は分からない。
魔法権利を発動し、全身を鋼鉄化する。間に合わなかった下肢から血がしぶき、両膝を切断されて ザトウは床を這う。惨めに這いつくばり 転がりながら、見えない何かを回避する。
「……ちっ」
 再び、静かになる。
どこからか、乳白色の霧が流れこんでいた。
その中から出現したのは、幾つもの影―――“騎兵”に“犀”、“刃髪獅子”、そして“鉄噛鼠”。それはかつて、この過去神島を守った衛獣たちだった。次々と現れる衛獣たちは、瞬く間に理事長室を埋め尽くし、ザトウへと押し寄せてくる。
 雷撃でなぎ払うも、それは霧のように掻き消え、
「幻術…だと……!?」
 その隙を突いて、見えない何かが鋼鉄の体を切りつけた。
傷は、ごく浅い。だが、不可解な状況に ザトウは混乱をきたし、
「――ざけんじゃねえぞ、くそがぁぁ!」
雷で壁をぶち抜くと、理事長室を逃げ出していた。

(…………)
 過去神島の夜の闇にまぎれて 逃走するザトウの、その体内で。
(……あの武器は――)
 もうひとりの雷使いが、静かに思いをめぐらせていた。
戦うことしか知らないこの男は、仮想臓腑の暗い沼の中から、冷静に戦況を観察していた。
あのとき、ザトウの放った雷の光を受けて、かすかに落ちた床の影。円環から二本の刃が突き出たその形状は、彼にとって 見覚えのあるものだった。
(……材質は違うだろうが、あの武器は おそらく―――。
それに、あの精緻な幻術……。ふ、あの男か……)
 久方ぶりに、男は笑っていた。

                         ==第4話 おわり==
0733名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 12:27:11.86ID:E3WwPc3I
エロいの来てた! GJ!
ハミ・モッカ・ユキ・おばさん不在の世界だと、ザトウ強すぎだろ!
と思ったら、最後にわからんやつ、出てきた・・・
0734名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 13:28:11.55ID:MbXsmDt/
GJです!毎回クオリティの高いもの書いて下さるので楽しみにしてます。
この世界だと確かにザトウは最強クラスですね(汗)
ヴォルケンらしきものは本人・・・?ミレポが助けられた下りでちょっと感動しちゃいました!
0735名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 20:15:48.77ID:+SF6Whzk
レスくださった方、ありがとうございます。すごく嬉しいです。
それでは、「アルメが斬る!」(←まちがい)第5話を投下させていただきます。

==第5話==

「お兄さま、湯治なんて いかがかしら」
 妹のユーリが そんなことを言い出したのは、3日前のことだった。
「湯治だと?」
 あまりに突然な提案に、ユキゾナは 首をかしげる。
不治の病を患うユキゾナだったが、今月に入ってからというもの、不思議と体調は良い。だが それでも、数年来の住みなれた別荘を離れるのは、いささか おっくうにも思われて、彼は 妹の説明を待った。
「昔は よく行ったものですわ」
 嫣然とした微笑で、ユーリがつづけた。
 新しい温泉保養地が、この近くに出来たのだという。
最新の宿泊設備を備えた、快適なホテル。腕のよい医者も常駐している。バカンスの時季でない今は、そう騒がしいこともないだろう――。
 確かに、小さい頃には 家族でよく 温泉に出かけた。
肺の病には温泉の暖かな湯気がよいと、医者に勧められたからだ。体力の問題もあり、長期の逗留は出来なかったが、家族にとって 数少ない旅行の思い出ではあった。
「実は、もう予約を入れてありますの」
「……随分と手際がいいな」
「お父さまとお母さまが、当日の朝、迎えに来てくださいます。
メイドたちも一緒ですわ」
 妹の手回しのよさに驚きはしたが、特に 反対する理由も無いように思われた。
が、妹の付け加えた言葉に、彼は驚く。
「――わたくしは 今回、ご一緒できませんが」

 これは どういうことだろうか。
メイドが 旅支度をするのを見守りながら、ユキゾナは 考えていた。
 ユーリは、ユキゾナにとって 自慢の妹だった。
聡明で美しく、強く優しく、誇り高く 美しい。
少々 腹黒いところもあるが、それは愛嬌というものだ。
 ユーリは、周囲から見れば 異常なほど、彼にべったりと貼りつき、片時もそばを離れようとしない。その妹が、今回は何故……。
(何か 私用があるということか。
好きな男でも……、いや、ユーリに限って、まさか…な……)

 あの日、バントーラ図書館 最後の日から、ユーリは 彼と一緒だった。
当初は 郷里で暮らしていた。
しかし、彼らの父は ロナ国北部の地方領主で、その生家は 300年も昔に建てられた だだっぴろい石造りの城館だ。そこでは、ストーブをいくつ並べようとも、常にどこからか 隙間風が入りこんでしまう。
それを心配したユーリが、今の別荘を手配したのだ。
「見てくださいな、お兄さま。
最新の、石油ボイラーのセントラルヒーティングというものですわ。
それぞれの寝室には、暖炉の他に ラジエーターもありますの。それに お湯も出ますのよ。
何て素晴らしい!」
 これではお兄さまに、暖かすぎると怒られてしまいそうですわ。そう言って、子供のように はしゃいだ妹の姿が、今でも鮮明に思い出される。
あの晩秋の日から 丸6年の歳月を、二人はここで 過ごしてきたのだ。
(あのユーリに、男など……。ふ、考えすぎだ……)
0736名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 20:20:56.03ID:+SF6Whzk
 その頃、過去神島から逃げ出したザトウは、
「くそっ、畜生がぁ!」
 奪った船の中で暴走していた。
 前回 苦戦したマットアラストを圧倒しながら、最後に油断して、敗れた。
それも 正体不明の相手に、だ。
 激しく怒り狂い、船員を恫喝し、船室を破壊しまくる。
(……何だよ、こいつ。また負けてやんの)
(うむ、力の貸し甲斐が無いのう…)
「うるせえっ。黙ってろ、クソが…っ」
 ざわつき出す仮想臓腑の『本』どもを、ザトウは一喝で鎮める。
「くず『本』共が、好き放題に言いやがって……」
 役立たずの『本』を罵りつつも、その声に わずかな不安が混じっている。
仮想臓腑内の『本』たちの叛乱――それだけは、何としても避けねばならないのだ。

 落涙天球の砕片により バントーラ図書館が消滅した、あの日から。
平穏なる無為の中で ゆるやかに消耗していくエンリケの姿を、ザトウは 仮想臓腑の中から、憎悪とともに見つめていた。
 そして、待ちつづけること、5年。
ついにザトウは、自身の肉体を取り戻した。
 復活したザトウは、銀行強盗・地下闘技場の闘士・賭場の用心棒などで 金を稼いだ。超回復と布・怪力だけでは、十分な強さとは言えない。現代管理庁や各国の軍に目を付けられるような大犯罪は、避けるべきだった。
そんな中、『黒のラスコール』が接触してきたのだ。
 『黒のラスコール』の提供する、沢山の『本』。
ザトウはこれを、喰って 喰って 喰いまくった。そして、喰った『本』の数が200を少し超えたとき――『本』たちが叛乱を起こしたのだ。

 同じ『本』喰いでも、その能力には 大きな差がある。
ルルタは数万冊の『本』を喰ったというのに、ザトウの仮想臓腑は わずか数百冊でいっぱいになってしまった。
 仮想臓腑の 暗い沼からあふれ出て、死者たちがザトウを襲う。
群がる死人を、布と怪力で振り払う。だが 相手の数は 50か100か。余りに多い敵の数に、ザトウは押さえ込まれ、組み敷かれて、その心と身体を喰われていく。
 ザトウは、ボロボロに喰い散らかされた。
侵食された精神は 崩壊しかけ、肉体まで支配されつつあった。そのとき。
 窮地のザトウを救ったのは、意外すぎる男だった。
「死ぬのは構わんが……狂い死にだけはするな、ザトウ。
貴様の『本』が読めなくなれば、俺やルイモンの中の ノロティについての記憶も、永遠に失われてしまうのだから な」
 エンリケ=ビスハイルが、雷の力を ザトウに分け与え、彼を救ったのだ。
0737名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 20:25:03.26ID:+SF6Whzk
 仮想臓腑の中で、『本』たちは今も 叛乱の機会を伺っている。
天敵であるハミュッツ=メセタも、倒すべきバントーラ図書館も、すでに無い。
目的もなく、ただ生きつづけるだけのザトウを、死者たちの声が 責めさいなむ。
(………『怪物』と恐れられた男の、これが末路か…)
(……我らは何のために ここにいるのだ……)
 船室を破壊しながら、ザトウが怒鳴る。
「うるせえっ、黙りやがれ、クズどもが!」
 強者としての誇りを傷つけられ、精神の安定も失いながら、『怪物』は再び、過去神島を落ちのびていく。

 イスモ本国に入った『怪物』に、ある男が接触してきた。
それは、『黒のラスコール』配下の男だった。
「あなたを次の狩り場まで ご案内するよう、 命じられております」
「次だと!? くそっ、どこだ?」
「ロナ公国 北部です」
「ロナ?……ふ、ユキゾナとユーリか。そいつは――悪くねえな」
 ザトウの顔に、邪悪な笑みが浮かんでいホみが浮かんでいる。
世界最強の一角、ユキゾナ=ハムロー。
キャサリロとルイークから奪った魔法権利は、ほとんど使い切ってしまっている。
だが、ユキゾナの腐壊波動であれば、それを補って余りある 強力な能力だ。病身のユキゾナを倒し、その目の前で妹を凌辱してやれば……。
 ユーリ=ハムローの、シネマ女優のような 優美な姿を思い起こし、ザトウは 舌なめずりをした。
「それと今回はひとつ、お願いがございます」
「何だ?」
「腐壊波動の入手よりも、優先していただきたいことがあるのです。
それは――」
 そう言って男は、細長い小箱を差し出した。

 さらなる生贄を求め、『怪物』はロナへと旅立った。
0738名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 20:29:49.21ID:+SF6Whzk
「やはりお見えになりましたわね」
 別荘に侵入したザトウを、女はひとり、玄関ホールで待っていた。
「ユーリ=ハムローか……」
 ザトウは、これから凌辱する女に 無遠慮な視線を向けた。
糸杉のように細くしなやかな身体を ワインレッドのカクテルドレスに包み、女は ただじっと こちらを見つめている。
漆黒の長い髪と 透けるように白い肌。ほとんど化粧はしておらず、宝石の類もつけていない。にもかかわらず、その姿は気品と優美さにあふれていた。
大きく隆起したドレスの胸元から 匂うような色香が漂い、
(……いい女だ……顔も身体も………)
(ああ、さぞかし楽しませてくれるんだろうな……)
 仮想臓腑の沼の中から、そんな声が聞こえてくる。

 沼から這い出し ざわめきだす『本』どもを無視して、ザトウは周囲を見渡した。
が、屋敷の中に 他の気配はない。
「来るのが…分かってたみたいな口ぶりだな」
 大股で近づくザトウ。彼女は動かない。
「俺を待ってたのか? ユキゾナはどうした」
「お兄さまはいません。他の者も―――この別荘には私たち二人だけです」
「……誘ってるのか」
「どうぞ、こちらへ。おもてなしの用意が整ってますわ」
 たおやかな微笑で来客を奥へと導くユーリ。案内に従い、ザトウが広間へ足を踏み入れると、
「……ちッ!」
 突然、ぱくりと 口を開けた落とし穴に、舌打ちしつつ 後ろへ跳びのく。
そこへ今度は、天井や壁から 数十本の鉄の鎖が降りそそいだ。

「雷撃封じのつもりか…ッ」
 引き千切ろうにも、全身に巻きつく鉄鎖は 30本か50本か。
腕も脚も動かせず、視界さえ奪われたザトウに、今度は凄まじい砲火が集中する。広間の奥に据えつけられた、6基の重機関銃と2門の対戦車砲が一斉に火を噴いて、そこに、
「今…っ!」
 ユーリの手から、黒い何かが放たれた。
それは、腐壊波動――あらゆるものを腐食させ 破壊する呪詛の力だ。
ぬぐうことも消し去ることも出来ない漆黒の固まりが ザトウの腹部を直撃し、胸部へ 腰へと急速に拡がっていく。腐敗し 壊死した部位が、再生することなく、ちぎれて落ちる。
「やりましたわ!」
 ユーリが兄から譲り受けた 最後の腐壊波動が、ついに、超回復の『怪物』に止めを刺した。
はずだったのだが。
「―――甘ぇよ」
 全身を蜂の巣にされ、爆炎と灰煙に巻かれながら。
おぞましい顔が、ユーリを見つめていた。
 砲撃であらかた千切れた鉄鎖に吊られ、男の肩から上だけが浮いている。触れたもの全てを腐らせる 腐壊波動。
ザトウはとっさに胸から下をえぐり捨て、頭部への侵食を防いだのだ。
 そして。
「どうする。まだ…やるかい?」
 突き出された腕に、ぢりりと雷気が舞う。
「ここまで……のようですわね」
 観念したように ユーリは武器を落とし、目を伏せた。
0739名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 20:33:57.41ID:+SF6Whzk
 応接間のゆったりした椅子に腰を下ろし、ザトウは 目の前にたたずむ女に 熱い視線を注いでいた。
 柔らかな月の光に浮かびあがる、女のなまめかしい身体。
ドレスも靴も すでに脱ぎ捨てられ、彼女の しなやかな肢体を覆うのは、もはや薄絹の下着―――桜色のキャミソールと、その下に透けて見える 赤の下着だけだった。
 恥ずかしさに 頬を染めたユーリは、それでも気丈に男を見やり、
「約束です。お兄さまには決して……!」
「ああ、守るぜ。お前が俺を満足させれば―――もちろん守る」
 誠実さのかけらさえ感じさせないにやけた笑みに、彼女は誓約の無意味さを思い知る。
だが、他に選ぶ道はない。
彼女は 脅迫に屈するしかないのだった。

「踊れよ。さあっ、ショウの始まりだ!」
 すぐ目の前から投げつけられる、下卑た言葉と好色な視線。
それに操られるように 彼女はしなやかな肢体をくねらせる。細くくびれた腰に片手を添え、漆黒の長い髪をかき上げて、
「これでよろしいかしら」
男の顔をうかがった。
「悪くねえ……続けろよ、せいぜい俺を楽しませろ」
 羞恥と屈辱で、頬が紅潮する。
ユーリは踊った。娼婦のように腰をくねらせ、媚びた視線を投げかける。
華奢な身体には似合わない、豊満な双丘がふるふると揺れた。
 匂いたつ色香に ザトウは我慢できず、
「そろそろいいだろ―――脱げ」
 高ぶった様子で命令する。
「…………」
 彼女は動きを止め、目を伏せた。
そして数秒、悔しそうに唇を噛むと、キャミソールの肩紐にその細い指をかけ、ゆっくりと外側に滑らせた。
ふわりと 桜色の薄布が下に落ちる。彼女は慌ててこれを押さえ、腰のあたりでそれは止まった。
 恥ずかしさのあまり、ユーリが身をよじる。
「おい、その邪魔な布っ切れ、取れよ」
「………でも」
「早くしろ! その手をどけろ!」
 じらされ、ザトウは 息と声とを荒らげる。
 意を決したように、彼女は手を放した。
桜色のキャミソールが床へと落ち、雪白の肌と真紅の下着が露わになる。
豊艶な双丘を覆う 真っ赤なブラジャー。それは 細緻な模様のレース刺繍に彩られ、柔肌の白さを さらに際立たせている。
細くくびれた腰から お尻へと続く、悩ましい曲線。引き締まった下腹と、ひかえめなお尻を包む 赤のパンティ。
そして、むっちりとした太腿には―――。
 雪白の内腿に爪を立てて噛みつく、蜘蛛の魔刀。
「穢れよ、シュラムッフェン……!」
 色欲に溺れたザトウの 一瞬の隙をつき、ユーリは 蜘蛛の魔刀を振り上げる。
 シュラムッフェンが笑った。
残虐な声とともに、戦機は 無数の不可視の刃を放ち、ごく至近距離から ザトウの身体を粉々に切り刻んだ。
 鮮血が噴き出し、ユーリと部屋とを真っ赤に染めた。
0740名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 20:37:59.21ID:+SF6Whzk
「穢れよ、シュラムッフェン……!」
 内腿に噛ませた魔刀を手に、ユーリ=ハムローは 必殺の斬撃を放つ。
ザトウの意識が 一点に注がれる、まさにこの瞬間―――このときを 彼女は待っていた。
 あの日、ミンス=チェザインは ただ警告のために この別荘を訪れたわけではなかった。秘匿してきた蜘蛛の魔刀を、彼女に渡すために来ていたのだ。
 その戦機を 彼女は太腿の内側に隠し、怪物の油断を待っていた。
「… ………」
 血煙が晴れ、再び 月明かりが応接間に射し込む。
「――何故 ですの」
「くはは、惜しかったなあ――惜しかったぜえ」
 ザトウは生きていた。
両脚を失い、腕も肩も腹も 深く切り裂かれてはいたが、それでもザトウは生きていた。
「何故ですの……」
 呆然と、ユーリは同じ言葉を繰り返す。
 シュラムッフェンの能力が発動した瞬間、ザトウも ある魔法権利を発動させていた。
それは、肉体を鋼よりも硬くする能力。残量が足りず、身体の中心部しか守れなかったものの、それでも死はまぬがれた。
それで十分だった。
 ザトウの右腕が、返り血に染まる女を指した。
ちりちりと、その腕に雷気が走り、
「さあ、どうする…?
もう一度やってみるか……。それも楽しいだろうぜぇ。
だが、どうだったろうなあ、ユーリ。その刀は、雷を防げるんだったかなあ、んん――?」
 自らの血で真っ赤に汚れた顔に、邪悪な笑みが広がった。
ごぼごぼと血肉が盛り上がり、男の身体は 急速に再生されていく。
悪夢のような光景が 彼女に戦意を失わせたのだろうか。蜘蛛の魔刀が持ち主の手を離し、床に落ちた。
「やはり――私は負けますのね」
 ユーリは うつむいた。

                         ==第5話 おわり==
0741名無しさん@ピンキー2015/01/05(月) 22:28:12.17ID:MbXsmDt/
続きありがとうございます!
こうやって見ると、本喰いの能力者って生き地獄だよなぁ・・・
エロだけじゃなく、作品全体の世界観も色々想像させられて楽しいです
0742名無しさん@ピンキー2015/01/06(火) 01:29:12.20ID:ghB9XF9N
休み中も投下されてたのか、GJ!
オリビアがガチ凌辱なのに、ミレポは寸止めー
残念なような、ほっとしたような・・

>>733-734
やっぱり緑の子っぽいよね?
0743名無しさん@ピンキー2015/01/06(火) 09:22:48.46ID:Nq7fV+LM
GJ!ユーリのストリップショーもエロくていいなあ
今更だけど、ザトウってこの上ないレイプ向きのド外道だよな

>>742
明らかにヴォルケンの能力だけど、もうこの世界では死んでるはずなんだよね・・・
ハミやモッカニア、ユキゾナとかの能力は勿論だけど、ヴォルケンの幻術の汎用性もなかなかチートだよな
0744名無しさん@ピンキー2015/01/11(日) 02:36:32.84ID:rZ2qC4J3
久しぶりに来たらめっちゃSS投下されててびびったw
書いてくれた人乙です!続き楽しみにしてます
0745名無しさん@ピンキー2015/01/11(日) 04:26:02.78ID:3xmYWaCt
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        ヽ:::::::\| l::::::::::::::::...    / :::.ゝ` ̄ ̄/ /       ヽ
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              l l '''''''''''''''''''''''''''''''''''''' ̄l |             |
https://www.youtube.com/watch?v=z2qK2lhk9O0
0747名無しさん@ピンキー2015/01/11(日) 20:33:53.90ID:EP22GFZd
まあ焦らずゆっくり待とうぜ
0748名無しさん@ピンキー2015/01/14(水) 19:49:30.81ID:Fik5tqjp
そういえばこのスレ意外にノロティのエロは少ないよね
0750名無しさん@ピンキー2015/01/15(木) 01:23:44.53ID:eGn7hrCn
レス見てたかぎりでは、カップル人気ではエンリケ&ノロティが一番人気ぽいけどなー
エンリケがぼくねんじんすぎるから、SSにしにくいんだろか
0751名無しさん@ピンキー2015/01/16(金) 13:15:35.97ID:ntO9jk8T
エンリケとノロティはそれこそエンリケ君の中身がザトウにシフトチェンジしないとなさそうな気がする
マット辺りが何か言ってほのぼのエロに持ってけないだろうか・・・
0753名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 01:15:26.61ID:AF9JmPI9
ん?ノロティの胸?中の人の胸は別に知らんけど・・・
0756名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 07:44:56.38ID:rEr3AQvK
今から仕事で忙しいから後でノロティのエロ話を書こうと思う。
ただしあからさまな 露出話では無く俗に言うチラリズムの観点から。
0757話は昔のスレに戻ります。2015/01/17(土) 07:56:12.97ID:rEr3AQvK
ここは美少女コンテストの会場。
ノロティは見事と言うか順当に最後まで勝ち残り、他の参加者の顔ぶれを見ると 当然の如く優勝の栄冠を手にした。
0758名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 08:00:59.30ID:rEr3AQvK
武装司書の皆の提案で胴上げされるノロティ
出演用のドレス姿のまま胴上げされる彼女。その都度スカートの中が見えてしまうのであった。
0759名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 12:09:41.14ID:rEr3AQvK
後日、ノロティは仲間達と一緒に温泉に来ていた。コンテストで優勝した事で結構な額の賞金が出て 休日なんかにそれで色んな所へ行く様にしていた。 今日は武装司書の皆と温泉旅行です。
0760名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 12:17:41.74ID:rEr3AQvK
武装司書達は来てみて驚いたが今日来た温泉はなんと男女混合、いわゆる混浴だった。が、水着を来て入る事が決まりだったのを見て皆納得して安心した。
0761名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 14:33:16.58ID:rEr3AQvK
女性陣の水着がズラリと並ぶ。 ノロティはじめキャサリロに代行・・・ みんな結構魅力的である。 ノロティはワンピースの水着(用意されているのはビキニでは無かった。)を来て見て思った。
0762名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 14:45:23.90ID:rEr3AQvK
以前とある買い物屋さんで水着セールの横を見かけたんだがその時普段からビキニみたいな服を来ているからその時ワンピースの水着にふと目が言って興味が沸いた事があった。
0763名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 15:01:58.08ID:yi9tXwgn
2〜3行のSS連投するなら、1レスにまとめて投下したほうがいいとおもうよ
0764名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 17:42:20.49ID:+HVtW8Vh
短文連投のオッサンは上でも注意されてるけど聞かないから
0765名無しさん@ピンキー2015/01/17(土) 19:45:54.35ID:nFHeSV9R
確かに読みにくいし、1レスで済む文量だよな・・・
ノロティへの愛の強さが伝わるだけに惜しい
0766名無しさん@ピンキー2015/01/18(日) 12:42:37.32ID:bghyXyKc
ノロティはモロなやつよりパンツ見えたぐらいの方が興奮する
画集に載ってた白パン姿のノロティは最高だった
0767名無しさん@ピンキー2015/01/18(日) 12:46:36.09ID:bghyXyKc
SS書いてくれるのはありがたいんだけどなんか・・・
あまりピクリとこない文章だな
0768名無しさん@ピンキー2015/01/18(日) 17:48:20.98ID:bghyXyKc
肉体強化の魔術って男も女も筋肉バキバキになるんじゃないかと思ってたんだけど、
女キャラはみんな綺麗な身体してるよな
0769名無しさん@ピンキー2015/01/18(日) 19:16:58.90ID:42rUGZN9
ノロティもアルメも華奢ですもんね
あの細いユーリも武器はとんでもないの使ってますし
0771名無しさん@ピンキー2015/01/28(水) 23:40:40.09ID:mA+cX0oG
ノロティはビキニよりハイレグの方が良い。 胸だけで無く太ももも際立つから。
0772名無しさん@ピンキー2015/01/29(木) 20:52:23.05ID:/tW+hAod
あれだけ露出しててもいやらしさがそんなにないのがすごいよな、ノロティ
0773名無しさん@ピンキー2015/01/29(木) 21:04:02.37ID:784ZdoHG
キャサリロの服もエロいよね
ふともものところが穴あいてて
0774名無しさん@ピンキー2015/01/29(木) 21:19:28.03ID:/tW+hAod
キャサリロさんアニメでセクシーになっててびっくりしたw
原作はもうちょっと幼い感じだったけど、アニメの大人っぽさも好きだ
0775名無しさん@ピンキー2015/02/05(木) 03:35:42.86ID:Xku6RgH1
二月か・・
正月の人の続きより先に、十一月の人の続きが来そうだなあ
ユキゾナ×ユーリ、楽しみです!
0776名無しさん@ピンキー2015/02/11(水) 02:00:31.37ID:MPlrxCGP
>775
11月のSSを投下した者です
楽しみにしていただいてて嬉しいです!実生活が思いの外バタバタしてしまってるのでもうしばらく待って頂けると嬉しいです。

書く際にどうしてもエロシーンで行き詰まってしまうので、このキャラでこんなプレイ見たいというのがあれば教えてもらえると助かります
0780名無しさん@ピンキー2015/02/12(木) 23:01:54.52ID:E4hpLoke
ザトウの身体とチンポでノロティに性欲向けるエンリケとか想像出来ないわな
0781名無しさん@ピンキー2015/02/12(木) 23:45:48.66ID:/YKu7itB
そもそもエンリケに性欲あるのかが疑問
0782名無しさん@ピンキー2015/02/13(金) 00:06:39.15ID:JSpGCt+Z
ノロティちゃんは今あの世で自らの内外面のさらなる美貌強化に勤しんでおります。あの世だからいくら無理をしても問題ないですから。
口紅を塗ってみたり スタイルをより良くする(今でも十分良いですが。) トレーニングをネットや本で調べて実践したり。
0783名無しさん@ピンキー2015/02/13(金) 00:41:04.48ID:h7UM7zBl
女の子らしいのも可愛いとは思うけど、ノロティは飾らない自然体の方がいいな
ちょっと野生っぽいというか、原始的(?)な雰囲気がツボだった
0784名無しさん@ピンキー2015/02/13(金) 12:37:21.63ID:JSpGCt+Z
知らない人多いだろうけど、ゼロの使い魔のキュルケ並みに あの世で男がたかっているノロティちゃんです。 でも彼女の本命はエンリケさん一人。
0785名無しさん@ピンキー2015/02/13(金) 20:08:58.09ID:JSpGCt+Z
明日は聖バレンタインディ。 ノロティちゃんもあの世で周りの男性にチョコレートを配布しています。
…勿論義理だから安物のコンビニで売ってる様な10円程度の ミニチョコですが。
0786名無しさん@ピンキー2015/02/13(金) 21:22:40.26ID:wGRJ5G/v
『戦う司書』の世界だと、霊魂やあの世ってどう考えられてるんだろ?
0787名無しさん@ピンキー2015/02/17(火) 19:44:25.01ID:TCHs3Ypy
ホラー映画あるのかとか気になるよね
0788名無しさん@ピンキ-2015/02/17(火) 22:49:38.74ID:ufjKoX+A
恨みを抱えて死んだ者が幽霊となって屋敷にとりつくって感じの怪談は、死んだら「本」になる世界では生まれにくいですよね
恨む相手の元へラスコール・オセロが「本」を届けて、それ読んだ男の周りで次々怪奇現象が起きて、精神を病んで男は死ぬ、って話ならありそうですが

この世界、教会もないようですけど、葬式や結婚式はどうやってるんでしょうね
0790名無しさん@ピンキー2015/02/21(土) 23:34:28.97ID:mWMrLLj9!
ノロティちゃんとちょっとヤンデレぽいのエンリケのエロシーン見たい!!
0791名無しさん@ピンキー2015/02/22(日) 01:51:09.90ID:S3y99BQ1
好きだった女の子が死んでしまいました
「負担じゃなかったら受け取って」
ご両親から彼女の日記を託されました
そのページをめくりながら、僕は彼女の生きた最後の日々をたどります

六巻のエンリケって少女マンガの主人公みたいだよねw
0792名無しさん@ピンキー2015/03/06(金) 02:58:10.20ID:9CxLjN3s
バントーラ神立公衆便所 使用料一覧
  肉便器ハミュッツ:10キルエ
  古便器イレイア:5キルエ
  高級便器ミレポック:25キルエ
0796名無しさん@ピンキー2015/05/22(金) 08:43:38.81ID:EL74oIEY
保守

キャサリロのズボンの隙間からいやらしいことしたい。
0797名無しさん@ピンキー2015/05/23(土) 22:28:25.74ID:uYkK5Xig
あのスキマはエロいよね
しかし何のために開いてる穴なんだろ・・w
0798名無しさん@ピンキー2015/07/07(火) 11:21:10.60ID:ugn3zbAn
六花アニメ放送記念Age!
0803名無しさん@ピンキー2015/11/02(月) 13:35:53.32ID:2Zs4Kf2U
去年の後半は毎週のようにSSが投下されたんだがな
今年は雑談するやつさえいないとは・・
0807名無しさん@ピンキー2016/02/29(月) 02:44:55.56ID:JkUeyhVT
ふとっちょさんだからなあ
膝ついて身をかがめて舐めるの、すごく大変そうw
0809名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 20:22:59.24ID:OME8E90E
以前、投下したSSのつづき(第6話)です。
1年以上も間が空いてしまい、申し訳ございません。

ザトウが主役で、凌辱ものです。
NTRシチュや妊娠シチュがありますので、苦手な方はスルーお願いします。
一部 キャラの改変や、オリジナルの設定もあります。あと、途中からHシーンが無くなります・・。どうかご容赦ください。
ここらへんが今の舞台です。
  1927年 バントーラ図書館 最後の日
  1930年 武装司書解散&マットアラスト処刑(逃亡)
  1933年 ←ここらへん
  1937年 原作10巻断章「図書館の消えた跡にて」

今回は、1話と5話に続いてのユーリ編です。
1話は >>704-709 、5話は >>735-740 にありますので、よろしければ・・。
0810名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 20:27:04.14ID:OME8E90E
==第6話==

 最後の賭けに敗れ、立ち尽くすユーリ=ハムロー。
 瞬く間に失った部位を回復させて、『怪物』は彼女に襲いかかる。
凄まじい力で床に組み敷くと、ザトウは これから犯す女を視姦した。
床の絨毯もユーリの身体も、怪物の返り血と肉片を浴びている。真っ赤に染まった女の肌が、ザトウをさらに高ぶらせた。
「お願いです……シャワーを……」
「ダメだ。もう待てやしねえ」
 真紅のブラが剥ぎ取られて宙を舞う。
窓から射し込む月明かりが ユーリの優艶な裸身を照らせば、返り血に赤く染まった肢体の中で、下着を剥ぎ取られた部分だけが なまめかしく白く浮かび上がる。
「く ははは、たまんねえ身体してやがる」
 月光を受けて青白く光る豊かな乳房を、荒々しく揉みしだく。
兄ユキゾナに従い、いつもコート姿だったからだろうか。ユーリの肌は驚くほどに白く、きめ細やかだ。掌にしっとり吸いつく雪白の豊乳を、ザトウは執拗に揉みこみ、引きしごいた。
「痛…っ、やめ…て…」
 胸をなぶられたユーリが手足をバタつかせ、身をよじって抵抗する。
きりりとした涼やかな目元と、きつく結ばれた薔薇の唇。氷のように冷たく硬い表情で、ザトウを睨みつけてくる。
「そんな態度でいいのかよ?」
「……!」
「俺がユキゾナをどうするか……。そいつは全部 お前次第だ。分かってんだろ?」
「く……うぅ」
 卑劣な脅迫の前に、ユーリは唇を噛んだ。
怒りと屈辱に美貌を歪ませるも、すぐに手足の力を抜き、目を伏せた。
 観念したユーリに、ザトウが飛びかかる。
真紅のパンティを引き千切って 両脚を大きく開かせれば、ユーリの秘所が露わになる。
恥丘下部を控えめに覆う漆黒の繊毛に囲まれた、薄紅色の花唇。左右の紅襞がぴったりと寄り添い、美しい。そこは、まだ何者の立ち入りも許していない処女地なのだ。
「くくく、こいつがユーリ=ハムローの……」
 ギラついた視線を向けるザトウ。
29年間、この女が守り続けてきた純潔を奪う――。
その邪悪な喜びに 男のモノは極限まで膨れ上がり、もはや一瞬の我慢も出来ず、ザトウは猛り狂ったものを秘園に押し当てると、ぐぐぐ…と突き入れた。
「あぁ…、嫌…っ!」
 ザトウの下で、ユーリがあがく。
だが、男の圧倒的な力で組み敷かれた彼女には 逃れる術はなく、
「……ん、んんぅ――。あぅ…あっ、はぁぁぁぁ」
 強引に切っ先を捻じ込まれ、ついに体内に男を受け入れた。
破瓜の衝撃に目に涙を浮かべ、全身を強張られて耐えるユーリ。
ザトウは一切の容赦をせず、欲望のおもむくまま、未通の秘所を蹂躙する。
狭すぎる膣肉を無理矢理にこじ開け、そのキツい締め付けに逆らいながら、執拗に抽送を繰り返す。激しい痛みと辱めの悔しさに、ユーリの上げる悲痛な喘ぎがたまらない。力まかせに何度も腰を打ちつけて、女の悲鳴に酔い痴れる。
 力づくの貫通を楽しんでいたザトウが 不意に、
「そろそろ…いくぜ…ぇ」
 しぼり出すように言った。
「――!?」
「いくぞ、ユーリ。お前の中に出してやる…!」
「―― 駄目です…、止めて…! お願いっっ」
 激しく暴れ、逃げようとするユーリ。
その細腰をがっしりと押さえ込み、さらに強く腰を叩きつけると、
「いくぞ、いくっ………ぅおおおうっ」
「……い、嫌ぁぁーーー」
 ユーリの膣内の最奥に、ザトウは白濁の汚液をぶちまけた。
0811名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 20:35:16.65ID:OME8E90E
 それから何時間が過ぎただろうか。
ただひたすらに、ユーリは犯されつづけていた。
 超回復の力を持つザトウは 文字通り絶倫で、その肉の交わりには 終わりも休息もない。完全な満足を得るまで、延々と続くのだ。あらゆる形でつながり、さまざまな奉仕を命令された。
 そして今、ユーリは男の前に跪き、口舌奉仕をしていた。
力の入らない身体を懸命に支え、男のモノを唇と手指で愛撫しつづけていた。
「………お…ねがい…です。…もう………」
「まだだ。もっと続けろ」
「……ぅぅ。……ん、んぅ…ぁ…はぁぁ」
 疲れきったユーリの声は細く かすれている。
目の焦点も定まらず、意識も朦朧としているようだ。
責め嬲られつづけた身体は 幾度と無く痙攣し、失神をしたが、それでも休むことは許されない。ザトウを見上げる視線からも 嫌悪や蔑みの色は失われ、従順で無機質な人形のようになっていた。
「くくく、まるで肉だな」
 完全に屈した彼女を、ザトウが嘲笑する。
「もう10発は出してやったからな。薬も効いたか?」
 男の言葉にも何の反応もない。
ちゅぷ ぴちゅ ぺちゅ。ユーリは無心で奉仕をつづけている。

 最初に凌辱されてすぐ、彼女は薬を飲ませられた。
口移しでどろりとした薬液を与えられ、
「――― 媚薬…?!」
 そう心配したのだが、ちがった。
「こいつをお前に飲ませるよう、頼まれててなあ」
 ニヤニヤと笑いながら、ザトウは説明する。
「グインベクスの魔道医療が生んだ最高傑作、だとよ。
妊娠の機会を生涯ただ一度に限定する代わりに、ほぼ確実に着床させるって薬らしいぜ」
「……!!」
 ユーリは蒼ざめた。
適切な日を選び、体調を整えて性交をすれば、女は 80−90%の確率で受精する。
だが、それで妊娠するわけではない。受精卵は10日ほどかけて子宮内膜に達するが、無事に着床する確率は 20%しかないのだ。
20%―― 決して高い数字ではない。だが、今の話が本当だとしたら……。
「く ははは――。お前は確実に 俺の子を孕むってワケだ!」
 この卑劣きわまる男の子を身ごもり、産み育てる。
その未来図が、彼女を心を折ったのだ。

 ユーリの口舌奉仕は続いている。
唾液にまみれた男のモノを 繊細な指と可憐な唇とでしごきあげ、舌先を伸ばして舐めあげる。紅潮した美貌が規則正しく打ち振られ、汗みどろの双乳がふるふると揺れる。
 興奮したザトウが、言った。
「そろそろだ…。今度はどこにかけてほしい? 顔か?」
 言うと同時に腰を浮かせ、剛棒を引き抜く。
彼女のすぐ目の前に 今にも暴発しそうなモノが突き付けられる。
「……は…い…。かけて…くだ…さい、ザトウ…さま……」
 命じられた通りのセリフを口にして、ユーリはその瞬間を待ち受けた。
たわわに実った双乳を両掌ですくい上げ、長い睫毛と瞼を伏せ、唇を少し開いて紅い舌先を覗かせている。
「―― いくぞ、ユーリ…っ」
 凄まじい勢いで ザトウは欲望を噴出させた。
ぶちまけられた男の精を、ユーリは顔で 髪で 胸で 受け止める。
「……はぁ…はぁ…、すっかり素直になったな」
 ザトウが満足気に笑い、ユーリはようやく ソファでの仮眠を許された。
0812名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 20:47:05.73ID:OME8E90E
 ザトウが目を覚ますと、ソファに女の姿はなかった。
「逃げたか…?」
 男は辺りを見回す。
応接間から奥へつづく廊下に灯かりがついている。
耳を澄ませば、強化された聴力が捉えたのは、かすかな水の音。やわらかく叩きつける無数の水滴の音だ。
「シャワーを浴びているのか…」
 その水音に導かれて ザトウは廊下を進み、ユーリの部屋を見つけた。
そこは、大きな本棚やピアノ、クローゼットなどが並んだ落ち着いた部屋で、その隣りの寝室で、
「お待ちしていました」
 彼女は ザトウを待っていた。
ビロードの天蓋のついたベッドを背に、ユーリは静かに佇んでいる。
酒肴の仕度もされていた。ザトウ好みの強い酒も揃っているが、男の心を捉えたのは 酒ではなかった。
「くくく、悪くねえな…!」
 ユーリは今、生成りのバスタオルを巻いただけの格好だ。
にもかかわらず、その姿はただ美しいだけでなく、気品と気高さにあふれている。
シャワーを浴びたばかりの肌から29歳の色香が甘く匂い立ち、先刻までこの女を犯していたというのに、目の前の白い裸身を食い入るように見つめてしまう。
 豪奢なベッドに我が物顔で腰を下ろし、
「来いよ」
「……はい」
 ザトウが命じると、はらりと バスタオルが落ちた。
羞恥に かすかに頬を染めながら、ユーリは一糸まとわぬ裸体をさらす。
燭台のロウソクが照らす、湯上がりの白い肌。隠されていた乳房は豊満で、みっしりと張りつめた白い乳肌の頂に、淡いピンクの蕾がせり出している。
 その乳房を誘うように揺らすと、
「あ…っ」
 小さく喘いで、ユーリは男に身をすり寄せた。

 ザトウはベッドの縁に腰かけ、膝の上に乗せた女を真下から貫いている。
体面座位。燭台の灯かりの下で、この美しい女のよがり泣くさまを じっくりと楽しむのだ。
「もっと自分から動け。分かったか?」
「あぁぁ……嫌です、こんなこと……。恥ずかしい…っ」
 清楚な美貌を紅く染めて、恨みっぽくザトウを見つめるユーリ。
それでも男の命じるまま、悩ましくくびれた腰をくねくなと揺らせた。しっとりと汗に濡れた双乳が男の胸板に押しつぶれ、せり出した乳首が心地よい。
「凄ぇ…いいぜ。もっと動くんだ、ユーリっ」
 甘く媚びたユーリの身体は最高だった。
激しく高ぶりながら、ザトウが腰を突き上げれば、その動きに合わせて ユーリも恥丘をせり上げる。男の体にしがみつき、
「……駄目ですわ! ザトウさま、あぅっ、はぁぁ…んっ」
 その耳元で切迫した声を漏らしている。
長い黒髪が男の視界を乱れ舞い、その中に時折、異なる色の髪が混じて見える。
(黒と白と茶の…まだらの髪か……)
 ひと房だけの その髪を無意識に目で追いながら、ザトウは狂ったように腰を叩きつける。
ぬちゃ ぴちゅ ぷちゃ。ふたりの繋がった部分から響く淫らな蜜音。ザトウを主人と認めた膣肉がきゅっきゅうっと絡み付く。粘膜と粘膜がぴったりと重なり合い、熱く溶ける。
ふたりの息遣いも 鼓動も 感覚までもがひとつに重なっていく。
「あっ…あん、ぁひ…ぃ、わたくし……もう!」
「……俺もだ、いくぞ、ユーリ…っっ」
 叫ぶと同時に、唇を奪う。
次の瞬間、ザトウはかつてない絶頂に達した。
凄まじい快感が身体を駆け抜ける。陶酔に意識が痺れ、薄れていく。
(最高だ…、こいつは最高の女だ………)
 そしてザトウは ユーリの夢を見た――。
0813名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 20:53:23.46ID:OME8E90E
 ぱちぱちと火の爆ぜる音が聴こえる。
 目を開けると、ユーリは小さな暖炉の前にいた。
冷え切っていた身体が、少しづつ温まる。こうして暖を取るのは、そう、まる1日ぶりだった。矢継ぎばやに暖炉に薪を放り込めば、ほどなく、火は勢いを増す。
彼女は 壊れかけの椅子に腰を下ろすと、大切なものを抱いて、ゆっくりと身体を揺らした。
 危なかった。監視に気づくのが、あと15分遅れていたら……。
増援が到着する前に宿の包囲を食い破り、検問を避けて下水道から貧民窟に逃げこんで、どうにか追跡者を撒くことが出来たのだ。
 白くしなやかな彼女の腕の中には、ちいさな生命が抱かれている。
生まれてまだ1年と少しの、愛らしい乳児。そのうぶ毛のような柔らかな髪は、奇妙な色をしていた。栗色の地に ところどころ白と黒とが混じった、まだら模様。
「――― 三毛猫色。コリオ=トニスは、そう言っていたわね」
 柔らかな髪を 彼女は優しく撫でさする。
古椅子の上で左右に身体を揺すって、赤ん坊の眠りを覚まさぬよう、そっと、そーっと。
 背後で扉の開く音がして、
「もう大丈夫。追っ手はすべて片づけた」
 男の声がした。
 その声を聴くと、ユーリの心に変化が生じた。
のしかかっていた不安は溶けてなくなり、心が温かなもので満たされていく。
 彼女は声のほうに顔を向け、
「ご苦労さま。どうぞ、あなたも火に当たって」
 親しげに声をかける。
重く湿った帽子と、ずぶ濡れのコートを脱ぎ捨てて、そこに現れたのは、ザトウ=ロンドホーン。暖炉の前にあぐらをかき、ユーリの胸をのぞきこんで、
「眠ったようだな」
 静かに寝息を立てる乳児を、男は愛おしげに見つめていた――。
0814名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 20:59:11.55ID:OME8E90E
 冷え冷えとした空気の中で、ユーリは目覚めた。
そこはひどく狭い部屋の、小さな寝台。すぐ横の窓から、わずかな光がさしこんでいる。
(ここは……)
 彼女は今、列車の中にいる。
華やかな内装は、そう、大陸鉄道の1等寝台だ。
車窓から見えるのは、暗闇をぼんやり照らす駅のガス灯と、遠くに見える 赤く塗られた巨大な鉄橋―― マチナ大橋だけ。イスモから国境を越えた列車は、メリオト北方の辺境地帯をひた走り、この鉄橋を抜けて西に向かう。公国首都はすぐそこだ。
 寝台の上で身体を起こす。
窓に映る彼女のお腹は、大きく膨らんでいた。それは 何枚重ね着しようと隠せない。彼女の身体には今、新しい生命が宿っているのだ。
「失礼いたします」
 扉の向こうで、声がした。
ここではない。隣りか、そのまた隣りの客室だ。車掌と、もうひとりの声がする。威圧的な口調と 堅い靴の響き。軍人だろうか。
「失礼いたします、お客様。旅券と切符の確認をお願いします」
 今度は すぐ隣りから聴こえた。
窓に映るユーリの紅い唇が、かすかに震えていた。無意識にお腹をさする。
通常の検札ならば問題はない。だが、こんな場所で検札するだろうか。一緒にいるのが軍人だとしたら……。不安が心を覆っていく。
 ひそひそと話し声がつづいた後、隣室の扉の閉まる音がした。
通廊を行く軍靴の音が 近づく。
 ユーリは寝台の上で、息をひそめた。
(…………)
 が、彼らは扉をノックすることなく、彼女の部屋を通り過ぎた。

 かちゃり。隣室との扉が開いて、
「大丈夫。心配いらねえ」
 地味なスーツを着た男が現れる。ザトウ=ロンドホーンだ。
ザトウは 隣室から顔だけを覗かせて、
「車掌には チップをたっぷりはずんどいたからな、うまく口ぞえしてくれたぜ。
それにお前は お偉い将軍の娘だしな」
 そう、彼女の旅券は イスモ海軍中将ご令嬢のものなのだ。
マットアラスト=バロリーが用意してくれた、いくつかの身分のひとつ。彼女は今、はじめての出産のために 母親の郷里メリオトへ戻る途中、ということになっていた。
「妊婦をこの夜分に叩き起こして、隣国の偉いさんをいらだたせるまでもない、ってこった。さあ、朝までは まだだいぶある。もう少し寝ていろ、ユーリ」
 そう言って、ザトウは自室に引っこもうとする。
 彼女は、良人のほうに両手を差しのべた。
男のたくましい腕が彼女を抱きしめる。
「ザトウさま…」
 感謝と慈愛の心が、彼女の胸を満たしていた――。
0815名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 21:07:16.37ID:OME8E90E
 鯨油ランプが照らす、貧相な部屋。
粗末な古い寝台で、彼女は悩ましく腰をくねらせている。
情交の相手は やはりザトウだ。
彼女は男の上に跨っている。たくましく厚い胸板に 両の掌を添えて、最奥まで男のモノを受け容れようと、浅ましく白い尻を振っている。
 彼女は妊娠をしていた。
大きなお腹は 6ヶ月、いやもうすぐ7ヶ月になるところ。
愛する男の生命を宿したお腹を揺らし、美しい黒髪を汗で額に貼りつかせて、彼女は貪欲に男のモノを咥えこんでいる。
「あんっ、はぁん、あぁぅ…」
 男が太い腕を伸ばし、彼女の双乳をぎゅっとわし掴んだ。乳白の液体が乳頭から滴り、大きなお腹を濡らし落ちる。
「行くぜ、ユーリ…っ」
「……あぅ…あはぁ…っ、ください、ザトウさま…!」
 身体の内で男のモノが膨れ上がるのを感じて、ユーリは声を震わせる。
そして、彼女が男とともに果てようとした、そのとき。
(―― 触覚糸…!)
 肌を這う ごくかすかな感覚に、ユーリは気づいた。
次の瞬間、割れたガラス片が床に落ち、粉々に砕けた。曇りガラス越しの狙撃―― だが、銃弾は標的を外す。白いシーツが生き物のように伸び、銃弾を防いだのだ。
 彼女は寝台の上で跳ね起きる。
扉と壁が壊され、幾人もの男が踏みこんで来る。
それを雷撃で迎え撃ち、大きな背中でユーリを守りながら、
「あとちょっとくらい待てねえのかよ、この早漏どもが…っ」
 男は不敵に言った――。


 まるで『本』に触れたときのように、次々に場面を体感する。
(こいつは、ユーリの見た夢…か?)
 一瞬の絶頂が伝達する、数十もの情景。
その中でユーリは、ザトウに犯され、子を孕み、追われることになる。
未来視の魔女を手に入れて 世界の覇権を握ろうとする、列国と軍。1000年先の技術で 巨万の富を得ようとする資本家。一瞬で都市を滅ぼす爆弾を欲する反政府勢力と、それを防ごうとする治安機関……。
さまざまな組織がユーリを執拗に追い求めた。
 沢山の夢の幾つかでは、ザトウは彼女の良人だった。
妻と赤ん坊を守って 逃亡の旅をつづけながら、強国の軍や犯罪組織と戦いつづける。
彼は ユーリから深く愛され、敵からは強く恐れられた。
 泡のように弾ける幾つもの夢を見ながら、
(極上の女をものにして、世界の命運をかけて戦う、か。
まるでB級シネマみてえな安い筋書きだ。………だが、悪くはねえな。
俺に…最強の『怪物』にふさわしい……いい夢だ………)
 ザトウは笑っていた。
0816名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 21:15:28.13ID:OME8E90E
 目が覚めると、夜はすでに明けていた。
男のたくましい胸板に顔をうずめていたユーリが 静かに顔を上げ、
「ザトウさま」
 うっとりとささやいた。
甘い響きがいつまでも耳に残る。夢の中でも何度も聞いた、魅力的な低い声だ。
朝の光の中で微笑みかけるユーリを見やりながら、
(あれは ただの夢か? それとも……)
 豪奢な寝台に身を起こし、ザトウは想いをめぐらせる。
夢の中でユーリは、栗色と白と黒の まだらの髪の娘を産んでいた。
そして今、彼女の艶やかな黒髪に光る ひと筋の髪。娘と同じ、まだらの髪――。

 ユーリはザトウの腕をすり抜けて、ベッドを離れた。
シャワーを使う音が漏れ聞こえ、戻ってきたときには お茶のワゴンと一緒だった。
ベッドに座ったまま、朝食代わりにそれを食べる。用意されていたものは、砂糖をほんの少しだけ入れた深煎りのコーヒーと、リキュールをたっぷり使ったパイ。ザトウの好む組み合わせだ。
 ザトウは 情交の前には酒をあおり、後にはコーヒーを飲んだ。
それは 神溺教団の真人ガンバンゼルや、彼に仕えた擬人ならば知っていることだ。が、何故 ユーリがこれを用意していたのか。
(そういや、ベッドでのこいつも……)
 昨夜のユーリの痴態もそうだった。
床上手な高級娼婦のような性奉仕に、ザトウ好みの悩ましい表情や仕草。昨日が初夜のユーリに、どうしてそんなことが出来たのか――。
 お茶のワゴンを押しやり、ザトウは言った。
「分かったぜ、ユーリ」
「どうかいたしまして?」
「お前は知ってたんだな、こうなることが。
さっき見た夢……あの夢は未来の姿なのか? お前の」
 傍らに引き寄せたユーリの 腰まで伸びた長い髪をかき上げる。
艶やかな黒髪の中にひと房だけある、栗色と白と黒の まだら模様の美しい髪を。
「この髪は―― あれだろ? 常笑いの魔女と同じ髪だ。
お前は未来を知っていた。俺に犯されることも……そのもっと先も」
 指の間からさらさら流れ落ちるまだらの髪に、そっと口づけをする。
そのまま 白いうなじに唇を這わせ、夜着の襟元をはだけて たわわな乳房をまさぐった。
 ユーリは されるがままだ。
すべらかな肩ごしに ザトウに流し目をくれながら、ただ身を委ねている。
「お前は俺に惚れちまったってワケだ。
魔女シロンが 300年後の未来を見て、爆弾のガキに惚れたみてえに」
「………ザトウさま」
「俺は お前の初めての男で…、しかもお前を守ってくれる最強の『怪物』だ。
惚れちまうのも無理はねえ話だ。―― で、この最強の『怪物』に抱かれるのを待ってた。ひとり寝の寂しさに耐えながら、夜ごと身体を火照らせて……。そうだろ?」
 男の指が内腿を付け根へと這い上がり、夜着の中で蠢いた。
あ…っ、と声を漏らしたあと、
「わたくしはもう、ザトウさまの物ですわ。ふふ、ご存知でしょう?」
 上目遣いでいたずらっぽく 見つめる。
そして はらりと夜着を脱ぎ捨てると、その柔らかな双乳を男の胸板に擦りつけるようにして、ザトウにしな垂れかかる。
「―― ユーリ…っ」
 ザトウは 再び欲情した。
雪白の裸身をすぐさまベッドに押し倒し、夢中で彼女の中に突き入った。
0817名無しさん@ピンキー2016/03/22(火) 21:26:03.00ID:OME8E90E
 奥深くまでザトウに貫かれながら、
(………どうやら上手くいきそうですわ)
 ユーリの瞳が 冷ややかな蒼色に光っていた。

 半年ほど前、ユーリは不安の中にいた。
少しづつ、だが確実に悪化していく兄ユキゾナの病状。
どんな薬も効かず、治療法もない肺の病が、兄の生命を静かに刈り取っていく。
(お兄さまがいなくなってしまったら、わたくしは……)
 今日まで彼女は、兄を支えるためだけに生きてきた。
世界最強の一角、そして次期館長代行にまで登り詰めたユキゾナ。
その兄に付き従い、まだ19歳、3級武装司書の身でありながら、彼女も天国の真実を知る。そして、現代管理庁本部や世界議事堂で働き、強国の官僚や将軍たちに会い、さまざまな交渉の裏側を目の当たりにした。
すべては、兄のおかげだった。
 その兄が―― 最愛の兄がいなくなる。
それは彼女にとって、世界の滅亡に等しいことだった。
(明日の朝、もし お兄さまが目を覚まされなかったら……)
 夜ごと、そんな不安を抱えて眠りにつく。
 そんなとき、彼女は夢を見たのだ。

 あの『怪物』ザトウに犯された自分が、未来視の魔女を生む――。
そんなことがありえるだろうか?
だが、時を同じくして ひと房だけ三毛猫色に変わったこの髪は……。
 もし本当に、この夢が未来を暗示しているのだとしたら。
彼女の娘は、あの常笑いの魔女シロンと同じ力を持って生まれてくる。
 シロン=ブーヤコーニッシュ。
誰にも守ってもらえず、貧民窟で泣いていた少女。
麦わらを集めて寒さをしのぎ、犬の屍骸にわくウジ虫を喰って生き延びた彼女は、その後、道を誤る。野心家の言いなりになって 世界中に竜骸咳を蔓延させ、百万の犠牲者を出したのだ。
(自らの死を受け容れ、シロンは断頭台に散った。
彼女の首は広場の槍に突き立てられ、首を失った胴の方は……)
 常笑いの魔女の最期を思い起こして、ユーリは唇を噛みしめた。
自分の娘に そんな過酷な定めを背負わせることは出来なかった。

「……あっ、あぅ、凄い……わたくしっ、もう…壊れて…っ」
 ユーリの漏らす淫らな声が 寝室に響く。
男の下で細腰をくねらせながら、ひしとザトウにしがみつき、その広い背中に爪を立てる。光沢ある黒髪がうねり乱れ、たわわな乳房は揺れ弾み、白絹の肌は紅く染まる。
「あは…ぁん、行きますわ、……駄目、恥ずかしい…!
見ないで……ん、どうかお願いっ、見ないでくださいまし……ザトウさま…っ」
 女の淫らな腰遣いに合わせ、男の抽送も激しさを増す。
「いい具合だぜ…ユーリ、たまんねえ…っ」
「………あ、ぁああはぁあぁ、行く! イキます…っっ」
「おう、おおう…、出すぞ、膣内に…!」
 咆哮とともに、凄まじい勢いで白濁が噴出する。
熱いしぶきを子宮に注ぎ込みながら、荒い呼吸でザトウはわななく肢体を抱きしめた。
「…はぁ……はぁ…、お前は最高の女だぜ。
決めたぜ、ユーリ。お前はもう俺の物だ。他のやつらになんか渡さねえ。お前も 生まれてくる娘も、俺が守ってやる…!」
「……ぁ、ん……嬉しいですわ、ザトウさま」
 ぴったりとひとつにつながったまま、二人はベッドに崩れ落ちる。
男の腕の中で、ユーリは満足したように微笑んだ。

                         ==第6話 おわり==
0818=第7話=2016/03/23(水) 18:48:27.06ID:CE21pmka
 再び日が沈み、窓の外を夜の闇が覆った頃。
なおも肌を重ねていた男と女は、
「――!?」
 不意に聴こえた音に 動きを止めた。
感覚を研ぎ澄ませる。
それは、瓦礫を踏みしめる かすかな靴音。半壊した玄関ホールに侵入した者がいるのだ。数は多くない。せいぜい10名というところか。
「邪魔しやがって、いいとこだってのに…っ」
「ザトウさま……?」
「いい、休んでいろ。俺がいく」
 ザトウはすばやく身支度し、寝室を後にした。
侵入者の正体。そんなものはどうでもいい。『怪物』の楽しみを邪魔した以上、そいつらは皆、すぐに死ぬことになるのだから。

 無粋な敵は、応接間にまで入り込んでいた。
つやのない黒い軍服に身を包み、黒い面で顔を隠した兵士が、8人。大口径の銃や長大な剣を手に 近づいてくる。
「何者だ、てめえら」
「怪物というのはお前だな。で、ユーリ=ハムローはどこだ?」
「ん? てめえら、『黒のラスコール』の手下かよ。
悪いが気が変わった。あいつは俺がもらう。大人しく帰りやがれ。それとも――」
 ザトウは右掌に雷気を光らせ、応接間に踏み込んだ。
「狂ったか、怪物!」
 黒い兵士たちが一斉に銃を抜き撃った。
たちまち ザトウは蜂の巣になる。部屋中に血と肉をまき散らし、だが それでも『怪物』は倒れない。銃弾を3発も喰らった顔を 笑う形に歪めると、
「ふはははは………どうした? つづけろよ」
 血糊まみれのソファをふわりと跳び越え、手近な兵士の頭を左右の掌にわし掴む。強烈な破裂音がした。顔中の穴から血を噴き出させて 兵士が崩れ落ち、
「―― まず、2人…!」
 不敵に笑うその顔は、すでに元の顔に戻っていた。
残された兵士が わずかにたじろぎ、後退する。
そのとき、
「下がれ。俺がやる」
 彼らの背後から、新たな敵が現れた。
0819=第7話=2016/03/23(水) 18:51:47.43ID:CE21pmka
 新手は、ひとりだけ。
兵たちが無言でうなづき、引き下がる。その態度から察して この男が上官か。
 男は 兵たちと同じ黒の軍服を着ている。
が、顔を覆っているのは 白銀の仮面だ。
「何だ、てめえ? 仮面なんか着けやがって…。俺のマネか?
……まあいい、倒しちまえば――」
 顔などどうでもいい。そう言いかけてザトウは、足元に視線を奪われた。
頭に雷撃を喰らい、床に転がっていた2人の兵士。その兵士が 体をぐらつかせながらも立ち上がったのだ。
(こいつら……!)
 確かに 最強レベルの雷撃ではなかった。
だが、並の敵ならば即死をする一撃だ。武装司書か その見習いでもなければ、その場で立つことなど不可能なはずだった。

 白銀の面の男が、静かに近づいてくる。
音を立てず獲物に忍び寄る野生のライオンのような、しなやかで隙のない身ごなしだ。
久方ぶりに感じる雄敵の気配。ちりちりとザトウの背中を雷気が走る。
「行く…ぜ…っ」
 無言で近づく敵に ザトウは雷を放つ。
強烈な光の奔流。それを男は 信じがたいほどの素早さでかわす。かわした先に すかさず次雷を叩き込む。だが 仮面の男はそれすらかわし、平然とこちらへ近づいてくる。
その足さばきは マットアラストと互角か、それ以上か。
「このくそったれが…!」
 そう吐き捨てるザトウの表情から、余裕は完全に消えた。
0820=第7話=2016/03/23(水) 18:55:48.00ID:CE21pmka
 油断なく後ずさって応接間を出ると、ザトウは廊下を中ほどまで戻る。
この雄敵が相手では、ザトウにも他を気にする余裕はない。黒面の兵たちに奥へ入り込まれぬよう、この廊下で迎え撃つのだ。
 ぎり…。『怪物』の奥歯が鳴った。
 白面の男が ゆっくりと間合いを詰めてくる。
その手には 一本の棒状のもの。
それは、たった今 手にした、応接間の壁に飾られていたヴァイオリンの弓だ。
にぶいアメ色に光る竿と そこにゆるく張られた白い弓毛。弓の強度は、おそらく小枝ほども無いだろう。
そんなものを手に いったいどう戦うつもりなのか?
 いつでも雷撃を放てる構えで、ザトウは敵を待ち受ける。
静かに歩を進めていた男が、不意に、ダン…っ。激しい踏み込みで廊下を震わせると、跳んだ。
「―― マヌケが…っ」
 逃げ場のない廊下。かわしようのない空中。
極大の雷撃が光の奔流となり、男のすべてを焼き尽くす。

 跳躍の瞬間に放たれた、最大最強の雷撃。
回避は不可能。勝利を確信したザトウの口の端が上がった、そのとき。
 ふ…ッ!
振り抜かれたヴァイオリンの弓が、雷の奔流を切り裂いた!
白面の男の目の前で 閃光の束は左右に分かたれ、その背景を駆けて応接間を爆砕する。
(――― ありえねえ!!)
 驚愕と恐怖に 半瞬だけ反応が遅れる。
ザトウの視界いっぱいに迫る男が、ふ…! 再び弓を振った。
「……………??」
 何も起きなかった。
白仮面が横をすり抜け、ザトウの後ろに着地する。
振り返って攻撃を加えよう。そう思うのだが。
(う、動けねえ……?)
 ――― 身体はおろか、指先さえ動かせない。
 戸惑うザトウの視界が、ゆっくりと左へ動く。
左やや斜め下へ 彼の意志によらず視界は移って、そして暗転、どさりと落ちた。
 天井を、彼は見上げていた。
顔のすぐそばには何者かの足がある。廊下に立つその脚は――― そう、脚だけだった。腰から上を両断されている、その男は。
(……!? くそっ、俺じゃねえか…よ…っ)
 腰斬されて床に落ちた上半身が、立ったままの下半身を見上げていたのだ。切られたことに気づいた細胞が、ようやく再生を始めた。
0821=第7話=2016/03/23(水) 18:58:48.94ID:CE21pmka
 切断面から鮮血が噴き出し、急速に欠損を再生させていく。
立ったままの下肢が崩れて 血肉の泥になり、その血泥をも取り込んで、ザトウは人の姿を取り戻す。要した時間は わずか十数秒。超回復の能力だ。
「ほう、流石は『怪物』というべきか」
 男がつぶやき、ヴァイオリンの弓を振り下ろす。
「くそったれ、が…ぁあああ」
 再び 両断されるザトウ。
今度は右肩から左脇腹へ 袈裟がけに斬られて、
(この野郎!)
 すぐさま再生を始めるも、そこへさらなる斬撃が下される。
弓の一閃ごとに二分されていくザトウの体。いくら超回復の力でも、これでは再生が追いつかない。反撃に転ずるヒマさえ無い。

(くそ…、何で…っ)
 血みどろの肉塊と化した姿で、ザトウは考えていた。
今、自分の身体には強い雷気を通してある。にもかかわらず、何故 この男は雷に灼かれないのか?
 いや、それどころではない。
見上げれば、にぶいアメ色に光るヴァイオリンの弓も、その真っ白な弓毛さえも、焦げ跡ひとつ ついていないのだ。こんなことはありえない。高圧の雷気に触れれば、竿も弓毛も一瞬で灰になるはずだ。
(ちっ、どうなってやがる…!?)
 男がヴァイオリンの弓を振るうたび、ザトウの身体は斬り刻まれる。
斬られた箇所が再生しかけ、そこを再び 斬撃が襲う。再生と破壊とが 幾度も繰り返された、あげく。
 無意味にも思われる再生に ザトウの闘志が失われたのか。
それとも、魔力そのものが尽きたのか。肉体の回復が遅く 弱くなり、
(……勝てね…え… …)
 ついに、止まった。

 血肉の泥濘をのたうっていた肉片が その活動を停止した。
頭蓋の上半分だけというみじめな姿で、敗者は最期のときを待ち受ける。
「この程度だったとは、な」
 仮面の奥の瞳が、ザトウを冷たく見下ろしている。
「――弱いな、弱すぎる。お前には失望したぞ、『怪物』」
 ヴァイオリンの弓がゆっくりと上がっていく。
 止めの斬撃を覚悟して、ザトウはゆっくり目を閉じた。
0822=第7話=2016/03/23(水) 19:02:02.22ID:CE21pmka
 死を覚悟したザトウ。
だが、彼は死ななかった。男の攻撃が外れたのだ。
わずかに逸れた斬撃は床を斬り裂き、巻き起こった剣風に ザトウの頭蓋は吹き飛ばされる。
(――― !??)
 気づいたときには、ザトウは瓦礫の山の中にいた。
 これほどの技を持つ男が 狙いを外したばかりか、その行方まで見失うとは。
凄まじい幸運に助けられ、からくもザトウは生き残る。
 
「出港は1800だったな?」
 仮面の男の低い声を、ザトウは瓦礫の中で聴いた。
「そうです」
「過去神島まで3日の辛抱か。お前は酒を調達しておけ。
他の者はついてこい。ユーリを回収する。傷ひとつ付けずに捕らえ、すぐに薬で眠らせろ。手筈はユキゾナのときと同じだ」
 幾つもの靴音が 瓦礫のそばを通り、遠ざかっていく。
(………ユキゾナもこいつらに……。ユーリ…、俺は…何も……)
 肉体の再生はおろか、動くことも 声を発することも出来ない。
 瓦礫の山に埋もれたまま、やがてザトウは意識を失った。

(… … …… …)
(…… … …… ……… …)
 瞼の向こうに明るさを感じる。
(まだ…生きているのか……俺は……)
 瓦礫の山の陰に、ザトウは転がっていた。
身体も いくらか回復している。全身の5分の1ほど―― 頭と胸、それに右腕の肘までが 再生されていた。
雷は まだ撃てない。戦える状態では ない。
(ユーリは…、もう……)
 赤黒い血を床に擦りつけながら、なめくじのようにザトウは這った。
半分しかない右腕で床を掻き、のろのろと廊下を進む。懸命に這って ようやくたどりついたのは、寝室。だがそこに 求める女の姿はすでに無い。
 ぬくもりの失われたベッドに血みどろの半身を横たえて、
「ユーリ……」
 ザトウは再び、眠りに落ちた――。

                         ==第7話 おわり==
0823==第8話==2016/03/23(水) 19:06:16.04ID:CE21pmka
==第8話==

 渓流沿いの荒れた道を、黒塗りの車が登って行く。
車には小さな旗が揺れている。世界屈指の大財団、マルグント人類進歩財団の旗だ。
「なんじゃ。この胸騒ぎは」
 さらに速度を増した車の中で、男がぶつくさ言っている。
ストライプのスーツを来た大柄な男。財団理事のミンス=チェザインだ。
 仕事でたまたま ロナ国を訪れていたこの男は、
(………つながらないんです! ユキゾナさんにも、ユーリさんにも……!)
 かつての仲間からの思考共有を受け、山道を急いでいた。
 峠をひとつ越えたところで、
「む…、これは」
 窓から身を乗り出し、ミンスは地面を睨みつけた。
白樺の林を縫うように走る細い道に、大型の車の通った跡があるのだ。
見つめる表情が険しくなる。その跡は、ハムロー兄妹の別荘の方へつづいていた。
 半月前の、別れ際のユーリの表情が脳裏によみがえる。
はかなくも美しい微笑で彼を見送ったユーリ。その身に 避けえない困難が迫っていることを知っている。彼女の心魂はそんな色に見えた。
(頼む…、無事でおってくれ、ふたりとも……)

 別荘は半壊半焼の有り様だった。
中に踏み込むと、見知った客が奥にいた。『怪物』ザトウだ。
だが、その魂は強く打ちひしがれ、敗北感に沈んでいる。
「何があった?」
「ミンス=チェザインか……」
 血染めのベッドにもたれたまま、顔だけを上げて、ザトウが答える。
「やりあう気分じゃねえ。好きにやれよ、どうにでも…」
「ユキゾナと―― ユーリは、どこじゃ!?」
「あいつは……ユーリは、もう ここにはいねえ……」
「――!!」
「言っても信じねえだろうがな…。
俺じゃねえ。黒い軍服を着たやつらが…、あいつを……」
 卑屈な 負け犬の目で、ザトウがミンスを見上げる。
「知っちょるわ! きさまの顔を見れば、だいたいは分かる。
わしの力を舐めるんじゃねえ! それに な――」
 ミンスは苛立たしげに怒鳴ると、チェストに置かれた真空管ラジオに手を伸ばした。
0824==第8話==2016/03/23(水) 19:11:12.62ID:CE21pmka
『―― 引き続き、臨時ニュースをお伝えします。
本日未明、イスモ共和国北東部 アロウ湾で、爆発がありました。
ここで行われていた 白煙号事件から10年の追悼式典で2度の爆発があり、十数名の死傷者が出ている模様です。
 神溺教団を名乗る組織から犯行声明が出ている との情報もあり、現在、イスモ共和国大統領官邸にて 緊急の世界会議が開催され――』

 雑音まじりのラジオを切ると、
「こいつのせいで 今日は朝っぱらから大騒ぎじゃ。
何せ、蒼淵呪病の大乱から8年も経った今、『神溺教団』じゃからな。
これから先、イスモ首都モールアール、グインベクス帝都、現代管理庁、それに元武装司書を狙う。そんな犯行予告も出ちょるそうじゃ。
 ミレポのやつも現場におっての。
ユキゾナやユーリに、何度やっても思考共有がつながらん。自分はどうしても抜けられん。そう言うんで、わしが様子を見に来たゆうわけじゃ。
―― で、爆弾魔が何者か、きさまは知らんのか?」
 言いながら、相手の魂を見つめる。
まったく反応はない。ザトウは本当に知らないのだ。
「そうか。ユーリをさらったやつらについては?
目的は何じゃ? どこへ逃げた? 何でもいい、何かないんか?」
「………黒のラスコール」
「『黒のラスコール』じゃと!?」
「……狙いは…常笑いの魔女の力。
やつらの行き先は……過去神島だ……」
「――! どういうことじゃ!?」

 ぽつぽつと、ザトウが短く話し始める。
 ユーリを襲撃し、犯したこと。彼女の力のこと。そして、恐るべき敵のこと……。
 話が進むうち、ミンスの顔色が変わっていく。
「そこまで知っちょって……。きさま、何故追いかけん!?
ザトウよ、わしはすぐ後を追う。都に わしの飛行機がある。あれなら 過去神島までたった24時間じゃ。で、きさまはどうする?」
「……俺は……だが、ヤツには………」
 深くうつむいたまま、動こうとしない『怪物』を、
「この腑抜けが…っ」
 ミンス=チェザインが一喝する。
「まるで変わらんな、きさまは。
ちょっと不利になると すぐ逃げる。図書館でも、ブジュイの浜でも!
勝手にせい。女の部屋でめそめそしとれ! わしは一人で行く」
 寝室を出て行く男の後ろ姿が、別の男の記憶を思い出させる。
どんな逆境にも挫けず、あらゆる不利を越えてきた もうひとりの雷使いの記憶を。
 ゆらりと 幽鬼のような動きで、ザトウは立ち上がった。
「………待てよ」
 ミンスが足を止め、振り返る。
「来るんか」
「……ああ」
 怪物の身体が ぶるると震えた。
それは武者震いか、それとも恐怖による戦慄か。
「……俺も行く。ユーリは必ず…俺が…!」
0825==第8話==2016/03/23(水) 19:15:19.96ID:CE21pmka
「見えたぞ、あの艦じゃ」
 吠えるような男の声が、後部座席に響いた。
ザトウは瞼を上げ、キャノピー越しに目をこらす。見渡す限りに広がる紺碧の大海に、ケシ粒ほどに小さく 鋼鉄色の物体が見つかる。
「あれか……」
 強化された視力が、極小の船体を 脳内に拡大投影する。
聞かされていた通りの、グインベクスの高速輸送艦だ。しかも 国旗を掲げていない。間違いない。あの船だ。
「あそこにユーリと、あの男が……」
 怪物の身体を 雷気が駆け抜けた。

 奪われたユーリを追い、山荘を後にしたミンスとザトウ。
途中、思考をつないできたミレポックに状況を報告し、ついでに調査を依頼する。一昨日の18時に港を出た船について、港湾事務所に問い合わせてもらうのだ。
(……特定できました。ジェンキンス号です……。
グインベクス海軍払い下げの高速輸送艦で、今は退役した将校が 武器の密売やら何やら、よくない噂のある運び屋をしています)
 思考とともに 艦影が伝わってくる。
分厚い年鑑を開いて、ミレポックが輸送艦の写真を見ているのだ。
(……助かったわ、ミレポ。
ユキゾナとユーリの件は、こっちに任せい。必ず、無事に連れて帰る)
(お願いします。私もすぐ 誰か応援の手配を――)
(……無駄じゃ。それより休めるときに休め。
思考に雑念が混じっちょるぞ。どうせ朝から力を使いっぱなしなんじゃろう。連絡係なんぞ他にやらせて、とにかく休め!)
(ですが、それでは……)
(……大丈夫じゃ。ここに頼もしい男がおる。名前は言えんがの。
ほいじゃ、切るぞ。いいな、休むんじゃぞ!)
(………はい。そうします、ミンスさん)

 情報を得て、ふたりは過去神島へ向かう。
高速艦より先に着くべく、ザトウはミンスの飛行機に同乗する。
魔力エンジンのプロペラ機は、ミンスとザトウ、2人分の魔力を吸引して、無着陸無給油で飛びつづけた。そして、ロナ公国を発って18時間後、過去神島手前で目指す艦を捕捉したのだ。
0826==第8話==2016/03/23(水) 19:20:25.58ID:CE21pmka
「礼をいっとくぜ」
「阿呆ぬかせ、ついでじゃ!」
 操縦席から ミンスが怒鳴る。
ミンスにとっては、連れ去られた仲間を取り戻しに来ただけのこと。ザトウがついて来ようと来まいと 同じだったのだろう。
「言うとくがの、ザトウ! これが終わったら、おんしもきっちりシメたるけんの!」
「ああ、待ってるぜ。―― ところで」
「なんじゃらあ」
 狭苦しいが小ぎれいなコックピット内を、ぐるりと見まわす。
「真新しいな、こいつ。高かったろうな?」
「何じゃ、急に…っ。そりゃ高いわ。
わしの有り金を全部つぎこんで―― そんでも借金で……まだ30ヶ月残っとるわ!」
「そうか…、そいつは…すまんな」
 ぺこりと ほんの少し頭を下げる。
「ああン? 何なら!………ぁお…っ」
 不意に 操縦席のミンスに布が巻きついたと思うと、
「……やめ、やめんか! おっ…うぁあああぁぁぁ……!!」
 叩き割ったキャノピーごと、ミンスの体は機外へ放り捨てられた。
趣味の悪いジャケット姿が 絶叫とともに空に踊り、小さくなって、消える。
「すまんなあ、ミンス。だが 犠牲はムダにしねえ。
お前が有り金はたいて買った新品飛行機、俺がありがたく使ってやる…!」
 操縦桿を強く引き、機首を上げる。
急上昇した機体が雲を突き抜けると、一転、急降下へ。
わずかにキリもみながら 限界の速度で一直線に落ちていくその先には、女の待つ 艦。頑強な軍艦であろうとも、これだけの速度でこの質量をぶつければ……。
「………ッ!!」
 次の瞬間、砲火が視界を覆い、火だるまとなった機体は、艦橋を直撃する寸前、爆散した。
爆風が吹きつけ、無数の破片が叩きつける甲板に ザトウも跳び降りる。
目に入るすべてを雷撃で焼き尽くしながら、『怪物』が高笑う。
「ふ、はははは。待ってろ、ユーリ。いま行くぜ…っ」
0827==第8話==2016/03/23(水) 19:24:57.16ID:CE21pmka
 機関部を潰して艦を足止めすると、ザトウは 艦橋へ乗り込んだ。
船長らしき壮年の男を残して 居合わせた船員を全て片づけると、訊く。
「奪った女は どこだ。んんー?」
「……この手を離せ。私は何も知らん。
仮に知っておっても きさまなどに――― ぐわぁぁあああ!」
 手始めに片耳を引き千切り、
「急いでんだ。とっとと吐けよ、爺ぃ。
それともてめえ、右の耳も落としてほしいのか? いや、片方は残しておかねえとな。じゃあ…」
 そう言って 左瞼に指を押し当てる。
「………お、女ならバード中佐と一緒にいる。白銀の面をつけた…恐ろしい男だ」
「あの野郎か…」
 銀仮面の男が雷を斬った光景が、ザトウの脳裏によみがえる。
緊張と昂揚に ぶるると背すじが震えた。
「で、ユーリとあの野郎はどの船室にいる?
あいつだけじゃねえ、他にも黒いネズミがいるんだろう。やつらは何人いる?
―― とっとと言えよ、くそジジイ…っ」
「……この艦には 180名が乗り込んでいる。
ただの兵ではないぞ、あの御方の造りあげた最強の兵士だ」
「あのお方ぁ? 『黒のラスコール』のことかよ?」
「そうだ。あの御方の生み出した軍団は まさに不死身だよ。
彼らは特別な魔法は使えない。武装司書と違って な。だが、肉体強化に特化して…魔術審議を重ねてきた……。そんな猛者が 180名! 180名も乗っておるのだ…!」
「肉体強化に特化!? ……ち、それでかよ!」
 別荘で出会った黒ずくめの兵士を思い出す。
ザトウの雷撃を食らって なお立ち上がってきた、屈強な男たち。あれが数を頼んで攻めかかってくるとなると――。
(ミンスやガモ級の兵を180か。それに…)
 あの恐るべき斬撃の男がいるのだ。
腹立ちまぎれに船長の首をこきりと折る。
(ち…、震えているのか、俺は……)
0828==第8話==2016/03/23(水) 19:28:39.74ID:CE21pmka
 ユーリの姿をもとめて 『怪物』は艦内を走り抜ける。
ただの水兵は雷撃のひと撫でで即死する。どれだけの数がいようと、ザトウを止められるわけがない。
 だが、そこに、
「生きておったか、怪物…っ」
 6人の敵が その前に立ちふさがる。
黒い面布に黒の軍服――『黒のラスコール』の手下たちだ。
「雷使いが暴れているというから もしやと思ったが…。この死に損ないの狂犬め」
「俺の女はどこだよ、あぁ?
こんな海の果てまで逃げたってなあ、俺は絶対――」
「逃げる…? 捨て犬ふぜいが増長しおって。
我らがここへ来たのは『本』を手に入れるためだ。まあ、きさまごときには思いもつかんことだろうがな。神立バントーラ図書館に乗り込み、封印指定の『本』を奪う……。あの御方の大胆きわまる発想は…!」
 背中の大剣を抜き放って、後ろの兵士が自慢げに胸をそらす。
その熱っぽい言葉に ザトウは嘲笑で応じた。
「く はははは、愉快なこと言うじゃねぇかよ、てめぇら。
武装司書もいねえ、衛獣もいねえ。そんなとこに押し入るなんざ、そこらのコソ泥にだって出来るだろうぜ」
「な…、きさまっ、あの御方の偉業を――」
「―― うぜぇんだよ、クソが…っ」
 ザトウの右腕が閃光を放ち、狭い艦内通路を雷が駆ける。
雷撃を浴びた黒の兵士は、やはり 倒れることはない。半秒ほど足を止めただけで、すぐにザトウに肉迫する。
「その首、とったぞ!」
「死ぬがいい…っ」
 最前の敵が大剣を振り下ろし、それはザトウの肩口から心臓にまで食い込んだ。すぐ後ろから突き込まれた剣が肺をえぐり、残りの兵士の銃弾が 左右の膝を撃ち砕く。
「 ―― ぅぐぁああ…!」
「く ははは、甘ぇんだよ…っ」
 だが、血の混じったうめき声を上げたのは 黒い兵士の方。
身体に通してあった雷気をまともに食らい、敵の動きが再び、止まる。
その隙をザトウは逃がさない。突き込まれた剣を握る手をわし掴んで、さらに強く雷を流す。後方の兵士が銃弾を浴びせるも、焼け焦げた兵士を盾にして防ぎ、
「くくく ははははは―――」
 高笑いつつ、残る敵ににじり寄る。
0829==第8話==2016/03/23(水) 19:32:05.92ID:CE21pmka
 6名の兵士を片づけた すぐあと。
「出やがったな…!」
 狭すぎる階段を降りた先に、ザトウは銀仮面の姿を見つけた。
男が振り向き、細い棒を手に近づいてくる。
「やはり来たか、『怪物』。そうでなくては、な…!」
 す…っ。男が棒を振るう。
目に見えない 速すぎる斬撃。それをザトウは 勘だけでギリギリかわす。不可視の刃が 半瞬前ザトウのいた空間を抜け、分厚い鋼鉄の隔壁を斬り裂いた。
(今…っ!)
 かわすと同時に、雷撃。
あえて先に攻撃させ、その攻撃の直後の わずかな体勢の崩れを狙う。起死回生の一撃だ。
 だが、生命賭けの博打も この雄敵には通じない。
男は凄まじい反応で上体をのけ反らせ、雷はむなしく 背後の隔壁を爆砕する。巻き添えを食って水兵がひとり、全身に破片を浴びて即死した。

(強ぇえ……っ)
 艦内の通路は狭く 真っ直ぐだ。
逃げ場に乏しいここでの戦いなら、雷使いのザトウに有利なはずなのだが。
 背すじを震えが走り、肌が粟立ち、冷たい汗がにじむ。
全身が、逃げろと訴えてくる。
この男は あまりにも強い。
動きの速さはハミュッツを超え、棒を振るうだけで 雷を分かち、ザトウの胴を両断する。まともにやりあって 勝てる相手ではない。
 だが、それでもザトウは 男から目をそらさない。
間合いを保ちつつ、懸命に勝機を探る。
「……ユーリは無事か?」
「案ずるな。あの女は丁重に扱われている。
常笑いの魔女を生む ―― その役目を果たすまでは、な」
「ユキゾナは…?」
「あれも無事だ。今のところは」
 このとき、不意に爆発がつづき、艦は大きく揺らいだ。
爆風が通路を吹き抜け、黒煙が二人を包む。それが静まったとき、男の姿は消えていた。
艦内は あちこちで火災を生じ、総員退艦の命令が繰り返されている。
「決着は……島か」
 ザトウにとって3度目の過去神島。
これが最後の上陸になる。予感を、彼は感じていた――。

                         ==第8話 おわり==
0832名無しさん@ピンキー2016/03/27(日) 13:23:06.49ID:VJWILFBo
落ちてたら六花&司書スレ立てようと思ったのにまだあった。しかも新作着てたー
投下乙です。棒の男が鬼強いけどあの人か?
0833名無しさん@ピンキー2016/03/27(日) 22:37:18.74ID:3D9A0wsd
>>832
能力見ると〒さんっぽいよね・・w

六花のSS書いてるなら、ここでもいいんじゃない?
同じ山形作品ですしw
0834名無しさん@ピンキー2016/03/29(火) 21:18:11.62ID:TdScAvF1
レスくださった方、ありがとうございます。
つづき(第9話・第10話)を投下させていただきます。
0835==第9話==2016/03/29(火) 21:21:40.42ID:TdScAvF1
==第9話==

 連れ去られたユーリを追い、過去神島を目指す『怪物』ザトウ。
 火の手は機関部まで達したらしい。
幾度かの爆発の後、輸送艦は艦尾から沈みつつある。
すでに海上は 兵士たちを乗せた揚陸艇やボートでごったがえし、その中に、
「―― あそこか!」
 女を抱きかかえた 銀仮面の姿もあった。
 すかさず、手近のボートを奪って 追いかける。
最速で走るボートが、荒れる海面に弾かれて 暴れる。
叩きつけられた波しぶきが視力と聴力を奪うが、速度を落とす猶予はない。数え切れないほどの人波の向こうで、男の姿は今や ただの点でしかない。その点を、ザトウは懸命に追い続ける。
「武装司書クラスが、180…か」
 過去神島へ向かう小舟の群れ。その一点を睨んで、ザトウがつぶやく。
まともに戦って 勝てる相手ではない。そのうえ、あの銀仮面までいるのだ。
以前のザトウなら、とっくに逃げ出していただろう。
 と、そのとき。
港を目指す船の群れから、
「―― ユーリ!」
 凝視していたボートが離脱した。
付き従うのは、わずか数艘。その小船団だけが、島の反対側へ向かっていく。
やがてボートは、断崖に囲まれた ごく小さな砂浜に乗り上げる。それは、バントーラ図書館―― 現在の歴史保護局本部ビルの、すぐ真下にあたる場所だった。
 奪ったボートをそこへ向けるも、
「―― っ!」
 すでに上陸した兵士が 砲火を浴びせてくる。
たちまち穴だらけになり、粉砕されるボート。ザトウは海へ飛びこんだ。
 小さな砂浜を埋める、黒ずくめの兵の群れ。
その数は およそ30といったところか。
(……どこだ? ユーリは……あの男は……?)
 浜辺を探しても見つからない。
と、その姿を ザトウは 絶壁の上に発見する。
 カモシカでさえ 登れないであろう ほぼ垂直に切り立った断崖を、平地を行くように 駆け上がっていく仮面の男。そのうえ、片腕に 黒い軍服姿のユーリを抱えている。
ザトウですら呆れるほどの、凄まじい身体能力だ。
 男に続いて 他の兵士も次々と崖に取りつき、よじ登っていく。
ザトウがようやく島の岩礁に泳ぎ着いた頃、敵は皆、崖の上に姿を消していた。
0836==第9話==2016/03/29(火) 21:24:20.32ID:TdScAvF1
「待ってろ、ユーリ。今 行くぜ…っ」
 獣のような勢いで、ザトウは断崖を這い登り、
(ふ…ぅ、着い…―― っ!)
 崖上を覗いた瞬間、おびただしい銃弾が嵐をおこし、ザトウの顔の 鼻から上を消し飛ばした。
「この…畜生がぁぁ!」
 お返しに極大の雷撃をお見舞いして、その隙に崖の上へと跳びあがるも、
(――― !?)
 ザトウの目に跳びこんできたのは、全く同じ姿勢で長大な銃を構える30の兵が、整然と半円形に居並ぶ包囲陣。
彼らは 同時にザトウを見上げ、一斉に銃口を向けてきた。
(何だ、こいつら…っ)
「撃て!」
 30の銃口が同時に火を噴いた。
その威力は マットアラストの愛銃テノールに匹敵し、空中に踊った『怪物』の身体を 一瞬で穴だらけにする。
続く斉射で 頭蓋や内臓まで吹き飛ばされ、3射目を食らうより早く、蜂の巣になった身体は 断崖の急斜面を滑り落ちていく。
 真っ白な砂浜が、大量の血を吸って紅く染まった。

「くそったれが…!」
 身体の再生も待たず、再び 絶壁を這い登る。
今度は腕だけを上に突き出し、
「―― 邪魔すんじゃねえっ」
 雷の嵐で崖上をなぎ払った。
(武装司書なみの体だろうと、念入りに灼いてやれば……)
 それでも、敵は微塵も動じない。
「来たぞ。槍を……てェ!」
 号令に合わせ、一糸乱れぬ動きで銃を下ろし、槍を掴む。
そして 同時に投擲。30の長槍が空を覆い、風音が地面さえ揺さぶった。
 空を覆って迫る、槍の雨。
すかさず、雷で迎撃しようとするザトウだったが、
「……んんー?」
 槍は ほとんど彼に当たらない。
むなしく外れて地面に突き刺さり、彼の周囲にまばらな林を作る。ザトウと敵陣との間に 薄く広く生い茂る、鉄で出来た槍の林だ。

「くははは――、どこ狙ってやがる、この下手糞どもが…っ」
 未熟すぎる敵兵を ザトウは嘲笑う。
が、その余裕は 長くはつづかない。雷撃を放った瞬間、
「――― ぐう…っ」
『怪物』はようやく、敵の意図に気づかされた。
ザトウの雷が敵に当たらない。
その手前で 林立する鉄槍に触れ、ことごとく吸収されてしまうのだ。
鉄槍の一本一本が 避雷針の役割を果たしている。ザトウは、いわば避雷原とでも云うべきものに囲まれていた。
0837==第9話==2016/03/29(火) 21:26:52.62ID:TdScAvF1
 立て続けに撃った雷は、ことごとく鋼鉄の林に阻まれ、届かない。
対して、敵の銃弾は 鉄槍の林を擦り抜け、ザトウの身体を穴だらけにしていく。超回復の力をもってしても、斉射される30の銃には敵わない。
(ち、追いつかねえ……)
 再生の速度を上回る、肉体の損壊。
雷撃を封じられ、手脚さえ千切れて、集中する銃火に 身体を削り取られていく。
(こんな罠ごときで、この『怪物』が…っ)
 だが、現在のザトウに 逃れる術は見つからない。
(……くそがぁぁああ!)
 ユーリも取り戻せず、あの男にも借りを返せず。
孤独感と無力感を抱えたまま、名も知らぬ兵士に殺される――。
四肢を失い、周囲に血肉をまき散らしながら、叫びにならない叫びを ザトウはあげた。

(………ユーリ=ハムローか。そんなにあの女を助けたいのか…?)
 そのとき ザトウが聴いたのは、男の声。
仮想臓腑の内に沈む、もうひとりの雷使いの声だ。
(自分の欲望を満たすためだけに戦ってきた貴様が、他の誰かを想って生命を捨てようとは、な。――― ならば 俺の力を 貸してやる…!)
「……!」
 突如、閃光が大地を撃つ。
それは、仮想臓腑の中から外界への、ありえない攻撃。
幾本もの雷が地面を砕き、モウモウと砂塵が舞って一帯を包む。
 無論のこと、目くらまし程度で この激烈な銃火はかわせない。命中精度が いくらか下がるだけのことだ。
 雷撃の狙いは、他にある。

「撃ちつづけろ。『怪物』の体が 完全に再生を止めるまで」
 隊長が重ねて命じた。
立ちこめる砂煙にかすむザトウの影に、休むことのない銃弾の雨が降り注いでいた。
30の銃が全弾を撃ち尽くし、リロードして 再び全弾を叩き込む。
だが、それを何度繰り返しても ザトウの影は揺らがない。少しも欠けることなく、敢然と砂煙の中に立ち続けている。
 おかしい。隊長は思った。
いかに『怪物』と云えど、この斉射を受けて 立っていられるはずがない。
1発当たっただけで血肉がえぐれ、こぶし大の穴が開く強力な銃なのだ。それを数百発も食らって、人の形が残っているはずが無い。
 不意に悪寒が走り、背すじがぞくぞくした。
砂にけぶる視界がその濃さを増し、空気がぴりぴり張り詰め、息苦しい。不安に指先が痺れ、髪の毛が逆立つ。
 隊長は銃撃を停止させた。
そして、部下に標的の状態を確認させる。
砂塵と硝煙が立ちこめる中、近づいた兵士が見たものは、
「――― こ…これは……」
 そこには立っていたのは、岩で出来たサンドバック。
砕かれた岩塊や石がぎっちりと詰まった 大きな布の袋。彼らはこれをザトウと思い、執拗に銃撃していたのだ。
「では、やつは…『怪物』は……どこに………」
 兵士の視線が 太い袋の根本をさまよう。
砕かれた岩盤に半ば埋もれるようにして このサンドバックは立っている。
つまり、怪物が潜んでいるのは、
「地中か…っ」
「―― 遅ぇよ…!」
 岩塊と土砂に埋もれて 身を隠していたザトウが、片腕を上へと突き上げる。
天空からの雷―― 岩のサンドバックを身代わりにして ひたすら練りつづけた雷気の雲が生む、絶大無比の轟雷。
それは、崖上に立つ全ての者を灼き尽くし、瞬時に死に至らしめた。
0838==第9話==2016/03/29(火) 21:29:26.76ID:TdScAvF1
「―― ふぅぅ」
 大きく息を吐いて、ザトウは自分の内に問いかける。
「このくそった……エンリケ、なんで俺に 力を貸した?」
(……大切に思う女を取り戻したいのだろう。
俺にはもう望めぬ願いだが、貴様には それが出来る……)
「けっ。礼なんか言わねえぜ…!」
 そっけない口調で応じつつ、地面の上へと その長身を跳ね上げる。
体中の土埃を払いつつ、辺りを見渡せば、そこには30の死体が転がっていた。ひとつとして動くものはなく、
「おい、エンリケ」
(……何だ?)
「カチュアを殺ったときより、雷の威力が上がってんじゃねえか?」
 ふと感じた疑問を、ザトウはぶつけてみる。
(……それはちがう。使い方を変えただけだ)
「どう変えたってんだ?」
(………雷雲を上空ではなく、地上に発生させただけだ。
辺りに砂塵を舞わせ、その砂粒ひとつひとつを帯電させ、こすりあわせる。
貴様が布を操って 岩を吸い上げつづけていた間に……俺はひたすら、それをやっていた。そこで雷撃を放てば――。
分かるだろう? やつらは死地で戦っていたのだ)
「くそが! だからかよ…っ」
 雷撃を発したザトウの右腕も 一瞬で焼け焦げ、完全に炭化していたのだ。

(魔術審議をして……あとは戦いのことばかり考えていた。
他にやることもなかったからな……。それを貴様のために使うことになるとは、思いもしなかったが……)
「他にやる事ぁねえのかよ、てめえは」
(………まったくだ)
 仮想臓腑の沼の中から、ほろ苦い想いが伝わってくる。
「で、さっきのやつは、俺にも使えるんだな?」
(使える。鍛錬すれば、もちろん。
貴様は…自分の持っている力に無自覚すぎる……。もっと鍛錬しろ。力を知り、使いこなせ…)
「説教はいらねえが―― この際だ、聞いてやるよ。他に何かあるか?」
(……そうだな……魔法権利の強制譲渡……。
あれは……他にやり方があったろう……。もっと簡単に力を引き出す方法が。せっかく そのための道具があるのだから……)
「何のことだ…?」
(……自転人形ユックユックだ。
あれは元々、人間から魔法権利を奪うために 懲罰天使が使っていた道具だそうだ……。あれを活用すれば……。
……今、術者の魂に接触して、共に魔術審議を重ねている……。自転人形を傍らに置いて……その助けを借りる形に……。それが出来たら……キャサリロやオリビアにしたようなことは……もう二度と………)
「ちっ、分かったよ、あとで聞いてやるよ。まったく、てめえは…っ」
 この くそったれの天才め。
 ザトウは 腹の中で毒づいた。
0839==第9話==2016/03/29(火) 21:31:17.43ID:TdScAvF1
 断崖を登った先の丘陵は、かつてのバントーラ図書館 裏手へ続いている。
その途上で ザトウを待つ者がいた。
ユーリ=ハムローと、あの仮面の男である。
「ザトウさま…!」
「来るな。離れてろ」
 駆け寄ろうとするユーリを制し、ゆっくりと男に近づく。
「雑魚は片づけたぜ」
 連戦の後だが、疲労など感じない。奪われた女を、何としてでも取り戻す。
気持ちは激しく高ぶり、
「―― 借りは返す。たっぷり利子をつけて、な」
 ザトウの右腕が 爆ぜる雷気でまぶしく輝いた。
その雷気が光の束となって放たれる、寸前、
「違います、この方は――」
 ザトウの身体にしがみつき、ユーリが叫んだ。
「この方は フォトナ様――。
先の館長代行、フォトナ=バードギャモン様です…!」

「何…だと…!?」
 外された銀の仮面が投げ捨てられると、現れたのは 少年の顔。
真っ白な髪と 獅子のような鋭い目をした、18歳前後の男の顔だった。
(こいつがフォトナ……。くそっ、どうりで…っ)
 年齢は確か、ハミュッツより 10歳は上だったはずだ。
つまり、現在は50を過ぎているはずなのだが……。
 肉体強化の魔法権利を極限まで磨き上げた者は、老化が止まると聞く。
だが、それにしても この若さは……。
この男は どれほどの高みにいるというのか。

「ザトウ、お前は弱い。あの程度の敵に手こずるようでは――。
もっと強くなれ。でなければ到底、この女は守り切れん」
 ザトウを正面から見据え、フォトナは言った。

                         ==第9話 おわり==
0840==第10話==2016/03/29(火) 21:34:44.21ID:TdScAvF1
==第10話==


「守り切るぅ…? てめぇらが言うセリフかよ?」
 腕の雷気を抑えつつ、ザトウが言い返す。
「ユーリは魔女を産む宿命なのだ。
常笑いの魔女―― はるか未来を見通す力を持った魔女を。
予知魔道士がわずかな可能性を指摘し、それを『黒のラスコール』が極限まで高めた。最適の期日を選び、相手の男を替え、魔薬まで使って」
「あぁ? だからそれが何だってんだ」
「魔女を欲しがるのは『黒のラスコール』だけでは無いぞ。
他の犯罪組織や富豪、各国の政府、あるいは現代管理庁さえも……。そのすべてを敵に回す覚悟が、お前にあるのか」
 フォトナの冷徹な瞳が、ザトウを見据えている。
その視線に射抜かれながら、ようやく取り戻した女の肩を ザトウは強く抱いた。
「ごたくはいらねえ。こいつは俺の女だ、渡さねえ」
「……よかろう。今はお前に預けておく。
ユキゾナを奪還して 黒の兵団を片づけ、この島を出るまでは」
「何なんだよ、クソが…! てめぇ、どっちの味方だよ」
「さしあたっては味方だ。
俺は ある男の依頼で『黒のラスコール』の組織に潜りこんでいた。
その目的は――」
 このとき、大きな爆発の音がした。
「む、あれは……」
「図書館のほうですわ」
 振り返れば、丘陵の向こう、歴史保護局のビル群の方から 黒煙が上っている。
「もう戦闘が始まったか。
ユキゾナは地下迷宮の最奥、第2封印書庫にいるはずだ。
詳しくはユーリから訊け。時間がない。急ぐぞ」
 そう言い残し、フォトナは駆け出した。
 ち…っ。
舌打ちする『怪物』に、
「ザトウさま、事情は私が……」
 と、ユーリが寄り添う。
「そうだな。話は途中で聞くか」
 まる2日ぶりに、ザトウはユーリを抱き上げる。
いわゆる お姫様だっこである。
腕の中の女の重みが、欠けていた何かを 急速に満たしていく。
 あたたかい ―― ザトウはそう思った。
0841==第10話==2016/03/29(火) 21:36:58.46ID:TdScAvF1
 先行するフォトナを追って、ザトウは飛ぶように走り出す。
その腕に抱かれながら、耳元でささやくように ユーリは説明を始めた。
「フォトナ様は記憶を消されて、故郷のメリオトで郵便配達夫として暮らしていました。その彼の元を ある男が訪れたのです――」

 2年前、その男は現れた。
「フォトナさん…」
「……? 誰ですか?」
「フォトナさん!」
 呼びかけながら、1枚の写真を手渡す。
それは、8歳か9歳くらいの 若草色の髪をした少年の写真だった。
「――!!」
 その瞬間、彼の内で何かがざわめき出した。
そして聴こえてきたのは、聞き覚えのない不思議な言葉。
(行くものは行かず、来るものは来ない。月は太陽。小鳥は魚。
生者は骸。鋼鉄は朧。全ての現は夢にして、幻想は全ての現なり………)
 頭の中で誰かがつぶやき続けている。
次第に大きく強くなっていくその声は―― それは 自分の声だった。大切の記憶を取り戻そうと、失われた人格が魔術審議を始めたのだ。
 数十秒が過ぎた頃、彼はすべてを思い出していた。
「………フォトナ、そうだ……俺は武装司書、フォトナ=バードギャモン……!」
 涙がひと筋、頬を伝った。

 記憶を取り戻したフォトナに、男は言った。
 『黒のラスコール』と呼ばれる男が、裏の世界で急速に勢力を増している。
私兵を用いて『本』の鉱山や輸送列車を襲撃しているが、その私兵の強さは凄まじく、ほとんど武装司書に匹敵する。
 そんな強力な部隊を どうやって造り上げたのか。
数年がかりで内偵をつづけているが、何度 部下を潜りこませても 誰ひとり戻って来ない。おそらく、スパイ狩りを徹底しているのだろう。
 万策尽きて、彼はフォトナの知恵を頼ったのである。

 求められた助言を、だが、フォトナは拒んだ。
『黒のラスコール』に関して、手がかりがあまりに少なすぎる。
これでは今後も部下を失いかねず、その上、十分な成果も期待できない。
それならば。
「俺が行こう」
 フォトナは 再び、虚構抹殺杯の水を飲んだ。
一切の記憶を抹消し、潜入のための偽りの人格を刷り込ませた。
髭を生やし、体重を増やして、『イスモ軍を不名誉除隊になった、酒びたりでいつも赤ら顔の乱暴者 バード元中佐』として、彼は盗『本』マフィアに潜りこんだのだ。
 潜入から4ヶ月、その腕を買われて『黒のラスコール』の私兵に勧誘された。
この誘いをフォトナは―― バード元中佐は、高い報酬に釣られて大喜びで引き受ける。そして再び、記憶の一部を失った。
『黒のラスコール』もまた、アーガックスを所持していた。
それまで送りこまれたスパイが戻ってこなかったのも、このためだったのだ。
彼は、イスモへの愛国心や家族の記憶を消し去られ、代わりに『黒のラスコール』への忠誠を刷り込まれた。
 私兵団の中でも 彼の戦闘力は群を抜いていた。
周囲からの信頼を勝ち得、すぐにひとつの小隊を任せられる。そうした矢先、依頼主から思考共有が届いて フォトナは本来の記憶を蘇らせた。
 それが、半年前のことである。
0842==第10話==2016/03/29(火) 21:39:31.21ID:TdScAvF1
「その後も フォトナ様は敵の目をあざむき、潜入捜査をつづけました」
『黒のラスコール』は、一向に姿を見せなかった。
私兵団への指令は思考共有で届けられる。そのため、指揮官でさえ『黒のラスコール』の素性を知らないらしい。それは マフィアの幹部も同様だった。これでは 敵の正体は探れない。
 しかし、フォトナは記憶を持っている。
それは、『黒のラスコール』が消したと思っている記憶―― アーガックスの水を飲ませられた隠れ家の場所や、そこに虚構抹殺杯を持ってきた男のことを、フォトナは思い出していたのである。
 わずかな手がかりを元に その後も調査はつづく。
依頼主からの思考共有がある度に 集めた情報を送り、新たな指示を受けた。
『黒のラスコール』が 何か大きな襲撃を企てていることや、『怪物』ザトウとの関わりもつかんでおり、私兵団にユーリ誘拐が命令された際、フォトナはその部隊に同行を申し出たのだった……。

「なるほどな」
 耳元でささやくユーリの声を心地よく感じながらも、
(フォトナのくそったれ…っ)
 ザトウは複雑だった。
あの男の手のひらで踊らされていたような、そんな気がして仕方ないのだ。その上、決死の覚悟で挑んだ勝負に 肩透かしまで食わされている。
(まあ、いいぜ。あの野郎はいつか必ず倒す。それより今は…)
「あの野郎―― フォトナはどこまで知ってやがるんだ?
過去神島くんだりまで来て、『黒のラスコール』は何をするつもりだ……。
お前をさらって とっとと行方をくらましちまってたら、こうはならなかったろうに」
 その疑問にユーリが答える。
「強力な魔法権利ほど、周囲に大きなひずみを作ります。
ですから、強い力の持ち主を探すことは そう難しいことではないのです。
常笑いの魔女シロンも 幼いうちにワイザフに見い出され、モッカニアさんも まだ見習いにもなっていないうちから、神溺教団の強敵になると予知されていました……。わたくしをどこに隠そうと、いづれは見つけられてしまうでしょう。
魔女を他に奪われないだけの力が必要なのです」
「……そういや、『本』を奪うとか言ってやがったな」
「国家機密レベルの『本』であれば、十分に取引材料になりますわ。それに――」
「ルルタの『本』か……」
 ユーリを抱いたまま、飛ぶようにザトウは走る。
丘陵を越え、歴史保護局本部のビル群に着く。そこに、フォトナ=バードギャモンが待っていた。
0843==第10話==2016/03/29(火) 21:40:34.34ID:TdScAvF1
 歴史保護局本部には、いぶかし気な顔をしたフォトナがいた。
「どうした?」
「……先客があったようだ」
 封印迷宮入口と書かれた建物の奥に 大きな扉が見えている。
高さ5メートルを超す巨大な扉―― 大冥門である。その大扉が開け放たれ、地下への長い階段が続いていた。
 大扉の前に黒の兵士が3人、倒れたまま 動かない。
「これは…!」
 彼らは皆、一発の銃弾で頭部を撃ち抜かれ、死んでいた。
階段にも周囲にも 他に倒れている者はいない。この強化された兵士たちを、味方にひとりの犠牲も出さずに 一撃で倒した者がいるのだ。
「島の警備兵にゃあ出来ねえ芸当だな」
「傷は 眉間にひとつあるだけですわ。こんなことが出来るのは――」
「……急ぐぞ」
 彼らは長いだけの階段をひたすらに降り、第6書庫の扉を開ける。
広大な開放書庫は ひっそりと静まり返って、人のいる気配は感じられない。かつて以上に密集した書架の間を走り抜け、突き当たりの巨大な螺旋階段を一息に駆け下りて、第6書庫の最下部へ。
 そこに 人の背丈の3倍ほどの大きさの、赤銅色の扉が立ちはだかっていた。
 ぐ…っ。重い扉を押し開ける。
両開きの扉が 地響きとともにゆっくりと開くと、地下迷宮の冷たい空気とともに かすかな銃撃戦の音が扉の隙間から流れこんできた。
 彼らは 第5封印迷宮に足を踏み入れる。
冷たく乾いた空気と、ぼんやりと周囲を照らす冷青石英の蒼白い光。磨耗して滑らかな石の床を進むうち、あちらこちらに古い染みが見えてくる。それらは皆、歴代の武装司書や見習いたちが流してきた血の跡だ。
「………帰ってきたな」
 フォトナが つぶやいた。
0844==第10話==2016/03/29(火) 21:41:49.91ID:TdScAvF1
 真っ直ぐに伸びる長い回廊。
その真ん中付近で、黒いスーツの男が舞っていた。
回廊の先のT字路に多くの敵がひそみ、銃弾の雨を浴びせかける。
だが、その銃弾はただの一発も当たらない。黒のスーツに傷もつけず、黒い帽子を落とすことも無く、男は激しい銃火をかわしつづける。
 が、それでも、
「ち…っ、堅い…!」
 強化された肉体を持つ敵が相手では、中々 前に進めない。
敵は地の利を生かして待ち伏せをしかけ、しかも圧倒的に数が多いのだ。
負傷覚悟で突破するか? いや、この先も何度 こうした待ち伏せを食うのか、分からない。と言って……。
 逡巡していたマットアラストが、突然、
「―――!!」
 大きく跳びのき、壁に張り付いた。
荒ぶる雷に灼かれる自分の姿――― 脳裏にひらめく2秒後の世界が、彼をそうさせたのだ。
 彼が跳んだのと ほぼ同時に。
まばゆい閃光が回廊を飲みこみ、雷の嵐が荒れ狂う。
壁ぎわに身を隠し、銃だけを突き出して攻撃していた兵たちが、雷気に触れて激しくのけ反り、そこにすかさずフォトナが踏み込み、棒を振るう。
 待ち伏せていた8名の敵が、一瞬で絶命していた。

 フォトナの能力は、夢想侵略と名づけられている。
想念をもって現実を侵略する。フォトナに「斬った」という確信さえあれば、実際に斬っているかを問わず、その対象は「斬れて」いる。そういう力だ。
 棒を振るうのは、「斬った」という確信を得るために過ぎない。
棒が切っているのではない。フォトナの確信が 対象を切断しているのだ。
斬るという行為を経ずに 斬ったという結果をもたらす、因果を超越した攻撃。
いわば、シュラムッフェンと同系統、上位互換の能力と云えるだろう。

「く、ははは。まさかここで会うとはなあ。んん――?」
「手を焼いているようだな、マットアラスト」
 突然 現れた援軍に、
「―― な、何で…! ザトウに、フォトナさん!? これは一体……!」
 さしものマットアラストも意表を突かれ、驚きを隠せない。
「理由なんざ一緒だろ?
やつらをぶっ倒して ユキゾナを取り返す。それ以外にあんのかよ」
「………君がそれを言うのが、何より不思議なんだがね」
 元部下のそんな疑念を気にもかけず、
「マットアラスト、事情は走りながら話す。急ぐぞ」
 フォトナは 封印迷宮を駆け出した。
0845==第10話==2016/03/29(火) 21:43:22.90ID:TdScAvF1
「時間が無い。1分で突破するぞ」
 有無を云わせぬフォトナの指示が、曲者たちを従わせる。
「ザトウ、お前は正面を叩け。俺とマットアラストで 残りを片す。
ユーリはシュラムッフェンで背中を守れ」
 地下迷宮の冷たい静寂を、猛者たちが踏み破っていく。
待ち伏せる敵の銃弾が 先頭を行くザトウに集中する。顔を 胸を、銃弾で穴だらけにされ、全身から血を噴き流しつつも、
「しゃらくせえ、この…雑魚どもが…っ」
 それでも『怪物』は 走る速度さえ落とさない。
雷撃で前だけを薙ぎ払い、銃弾を浴びせられながら、傷を再生しつづける。一本道の長い回廊を走り抜け、伏兵のひそむであろう十字路へ、踏み込もうとする直前。
「ザトウ君、跳べ!」
 背中からの声に反応し、『怪物』が床を蹴る。
跳躍した彼のすぐ下に、後ろからの弾丸が吸いこまれる。爆発。仕掛けられていた地雷を マットアラストが狙撃したのだ。
 爆圧で前方へ叩きつけられるザトウ。
そこに 伏兵が襲いかかる。十字路の右・左、さらに天井からまで 敵が降ってくる。
「もらったぞ、捨て犬っ」
「死ねぇぇぃ!」
 天井から落ちてきた2人が、斬りかかる。
ぶ厚い両刃の剣を、ザトウは手で受ける。掌から肘までを斬り裂かれるが、両腕はくれてやったエサだ。通してあった高圧の雷気が、斬りつけた兵士の体を灼く。
 敵兵が動きを止める一瞬を、ザトウは逃さない。
背中のマントを伸ばして絡め取り、ぎゅるると絞めつけて床に叩きつけると、床に弾んだ敵兵の頭を 力まかせに蹴りあげる。
ぐしゃり。黒の兵士の頭蓋が、スイカのように砕けた。
「―― 逃がさん…っ」
 両腕を半ば切断されたザトウに、さらなる敵が肉迫する。
左から2人、右から3人。『怪物』をぶつ切り肉に変えようと、強烈な斬撃を叩きつける。
 だが、その大剣が落下する速度より、さらに速く、
「………!?」
 ザトウの後ろから 何かが飛び出した!
その影は ふたりの男―― フォトナとマットアラストだ。
 す…っ。フォトナが棒をひと振りする。
それは不可視の弧を描いて 左からの2兵を腰斬し、同時に 乾いた銃声を響かせて マットアラストが残る3名を撃ち倒していた。

 強者たちの饗宴に、
「まあ、まるで仕事がありませんわ」
 蜘蛛の魔刀を振るう機会もなく、ユーリはただ、男たちの戦技を見守っている。
かつてマットアラストに敗れたというフォトナだが、ザトウとの戦いには圧勝している。そのザトウは先日、マットアラストを倒していて――。この男たちに優劣をつけるのは難しいことだろう。
 だが、その3強が今、手を組んで戦っている。
群がる敵はことごとく返り討ちにされ、男たちが走り抜けた跡には 3種類の死体しか、残らない。
まるで無人の野を行くように、彼らは迷宮を駆けていく。

                         ==第10話 おわり==  
0848名無しさん@ピンキー2016/05/05(木) 14:12:38.61ID:BtvaUrCa
1年ぶりに覗いたらまさか更新されてるとは!面白いので続き待機。
代行とヴォルケンの絡みが好きだからこの二人で書いてみようかと思ったけど、自分では殺伐プレイか 代行の逆レイプしか思いつかんかった…
0850名無しさん@ピンキー2016/05/09(月) 20:08:36.42ID:W2pKBzSM
〉849
需要があったとは!甘い要素ほぼ無しで、痴女な代行にヴォルケンが鳴かされる話しか想像できなかったんだが…
ここは女×男はありなんかな?
0852==第11話==2016/06/20(月) 23:22:16.18ID:1qAxgQYQ
==第11話==

「管制室との連絡が途切れました」
 その報告があったのは、30分前のことだった。
電文を読む部下の表情が少し強張って見えたのは、おそらく寒さのせいだろう。
ここは地下封印迷宮第3階層。左右の壁に埋め込まれた冷青石英のレリーフが青白く冷たい光を放ち、回廊は氷点下の気温なのだ。
「増援を送れ。それと 各階層の確認を」
 男は即座に命令した。
管制室は開放書庫の最下部、つまり 地下迷宮の入り口にある。
単なる機器の異常にすぎないのか、それとも 何者かの襲撃を受けたのか。
もし後者であるとしたら、それは普通の敵ではない。
 男は『黒のラスコール』直属の部下である。
預かる兵士は皆、肉体強化の魔法権利を持ち、強力な武器を使いこなす。
武装司書並みの力を持つ黒の兵士が、この島の警備兵ごときに倒されるはずがないのだが。
「例の『怪物』でしょうか?」
「それはなかろう。あの捨て犬はバード中佐が処分したはずだ。
中佐は30名もの兵を連れていたのだぞ? 仕留め損なうわけがない」
「ですが、中佐とはまだ合流できておりません」
「…………」
 男の表情が一瞬、険しくなる。
中佐と連絡がとれないのも、『怪物』のせいだった。ザトウ襲来による混乱の際、迷宮内での連絡のために連れて来た思考共有使いが、行方不明になっていたのである。

「第5階層から電信!」
 兵士が駆け寄り、報告する。
「敵1名と交戦中! 2丁拳銃の男を 47ルート188地点に釘付けにしている、とのこと!」
「――!!」
 2丁拳銃。相手はマットアラスト=バロリーか。
迷宮入り口に置いてきた黒の兵士が倒されていたとしても、それならば説明はつく。
「増援は間に合ったな?」
「はっ。第4階層の兵が既に到着しています。
こちらから出した15名も、あと数分で合流できるでしょう」
 副官の返答に男は静かにうなずき、シガーケースから太い葉巻を出して火をつけると、盛大に煙を吐き出した。
「まったく。今度はマットアラストか」
 過去神島が近づき、上陸準備の最中に『怪物』の強襲を受けたのは計算外だった。
だがそれでも、182名の黒の兵士の内、135名がすでに上陸している。バード中佐以下の31名が到着すれば、前後から侵入者を挟撃する形にもなる。
相手が2秒先を見る男と云えど、負けることなど ありえなかった。
 当初の計画では、半日ですべてを終えるはずだった。
島の警備部隊を殲滅し、『本』を強奪して 半日で離島する――。
ザトウ・マットアラスト両名の介入により、若干の遅れが生じている。が、兵を急がせれば、十分挽回できることだろう。ただ、ひとつ不安があるとすれば……。
「発着場と港は……大丈夫でしょうか?」
 男が懸念していたことを、副官が口にした。
彼はそこに、8名もの黒の兵士を置いてきた。帰りの足を確保すると同時に、外敵の侵入を阻むためでもある。
(抜け目のないあの男のことだ。部隊はおそらく既に……)
 そんなことを、彼らが考えていたとき。
「第5階層と通信できません!」
「入電! 第4電信室から! 被害甚大、至急応援を乞う!
敵は マットアラスト、ザトウ、ユーリ、それに……バード中佐、です!」
 ほとんど絶叫するように、兵士が電文を読み上げた。
「……中佐が…!!」
「バードが裏切った、だと!?」
 黒い軍服の下で、男たちの体が震えていた。
0853==第11話==2016/06/20(月) 23:26:04.52ID:1qAxgQYQ
「至急援軍を――」
「間に合わん!」
 副官を一喝して動揺を静める。
「侵入者はこの階層で潰す! 残った兵は――」
「現在、この第3階層に75名。
それに 第2階層の道士様の下に10名です。呼び戻しますか?」
「いや、最下層の兵は動かせん。あれは重要な任務に当たっている」
 男は図書迷宮の地図を広げると、
「この階層に降りてすぐ、大きな吊り橋があったな?
ここに4名を送れ。やつらの通過を待って、吊り橋を落とせ。それとその先の洞窟も爆破しろ。これでやつらの退路を断てる…。
それと、残った全兵力を ここに集めろ。中央回廊―― この迷宮を抜けるには 必ず通る場所で、しかも出口は すり鉢状の広場だ…。ここで待ち伏せ、包囲して叩く」
 太い指で指し示しつつ、矢継ぎばやに命令する。
 一斉に 黒の兵士が動き出す。
氷点下の空気に白い息を吐きながら、黙々と作業を開始する。
回廊の出口に地雷や爆弾を仕掛け、雷撃封じの鉄槍を突き立てる。
書架を並べて広場にバリケードを築き、その上に『本』を積む。第3封印書庫に収められていた貴重な『本』。これを、兵を守る盾に使うのだ。元武装司書のマットアラストやユーリに対しては、いくらか効果があるだろう……。
 さらなる作戦を立てながら、
「やつが裏切っていたのなら、確かに説明がつく」
 男は心の内で舌打ちをした。
 ロナ国で仕留めたはずの『怪物』が生きていたこと。
 上陸前の混乱の中、帯同した思考共有使いを失ったこと。
 やつが預かっていた30名が合流していないこと。
 そして何より、母体であるユーリ=ハムローを奪われたこと……。
 いかに『怪物』ザトウやマットアラストが強力であろうが、あの裏切り者さえいなければ、ここまでの事態は起こりえなかったのだ。
「あの男、断じて許せん!」
 ろくに風呂にも入らず、ヒゲも剃らず、昼夜の別なく酒を食らっていた男。
強欲で女好き、粗暴で 頻繁に部下を殴る、部隊一の嫌われ者。
剣の技を惜しんで目をつぶってきたのだが、まさか あの素行の悪さも、監視の目をあざむくための芝居だったというのだろうか……。
 国際平和維持軍か、イスモ国家保安局か、どこのスパイかは分からない。
だが、最悪のタイミングで裏切られ、作戦が危機に瀕していることだけは明らかだ。
「ヤツはここで殺す。必ず、必ず!」
 迎撃の態勢を整え、男は裏切り者の到着を待ち受けた。
0854==第11話==2016/06/20(月) 23:27:43.29ID:1qAxgQYQ
 中央回廊を走り抜けたザトウを待っていたのは、周到な罠だった。
降りそそぐ銃弾に前も見えず、そこに伏兵が襲いかかる。
黒の兵士―― 武装司書並みの肉体を持つ精強な男たちが 左右からザトウに組みつく。と 同時に、爆発。軍服の下に大量の爆弾を巻き、自爆したのだ。凄まじい爆圧に四肢を千切られ、『怪物』が地面を這う。
 その窮地を救うべく、フォトナが前に躍り出る。
身に迫る銃弾を斬り防ぎつつ、ザトウの回復の時間を稼ごうとする。
 だが、三方を囲む黒の兵士の数はあまりに多く、その攻撃は苛烈だった。
すべてを防ぎきることは出来ず、砲撃に片脚を飛ばされ、さらに2発の銃弾を顔に食らう。
「逃がすな! 今だ!」
 地面に転がり、のたうつ二人に、黒の部隊は攻撃を集中させた。
圧倒的な銃火の嵐が吹き荒れる。脚を奪われた彼らに、逃れる術はすでに無い。
ようやく銃撃が止んだとき、そこに彼らの姿はなく、黒く焼け焦げた手足や 血まみれの臓物などが、辺りに飛び散らばっていた。
「マットアラストとユーリは……逃げたか」
「追撃を――」
「いや、いい。どの途、この階層からは抜けられん。
それに 我らはユキゾナの身柄を押さえているのだ。兄をこの冷気の中に置き去りにして、逃走をつづけるとは思えんからな……。ユーリはすぐに仕掛けてくる」
「はっ。至急、態勢を整えます」
 副官が下がると、指揮官は軍用コートの襟を立て、つぶやいた。
「裏切り者の始末は済んだが…」
 バード中佐とザトウ、恐るべき敵手を排除できはしたものの、まだ母体を奪われたままなのだ。常笑いの魔女を産むことになるユーリ=ハムロー。その身柄だけは 何としても取り戻さなくては……。
 同時に、『本』の搬出作業も進めなくてはならない。
だが、マットアラストの迎撃に兵の半数を割くとすれば、こちらの作業も計画よりずっと少ない人員で行うことになる。
「……予定よりだいぶ遅れている。だが、仕方あるまい」
 迷宮深層の貴重な『本』。これは 莫大な富を生むだけではない。
彼らの帰路の安全を保証するものでもあるのだ。
このまま計画の遅れを取り戻せず、仮に 洋上で平和維持軍に捕捉されるような事態になったとしても、これらの『本』さえあれば ボンボ=タータマルも手を出せないはずだ……。
 そしてさらに。
最下層の道士が、あれを見つけることが出来たとすれば。
ボンボの鯨でさえ、もはや恐れることはない。
「ルルタの遺産……最強の力を持つ追憶の戦機、か……」
 魔女と戦機と『本』。
もうすぐ、その全てが手に入る。
男は目を閉じ、自身の輝かしい未来を夢想した。
0855==第11話==2016/06/20(月) 23:29:22.98ID:1qAxgQYQ
 短くも激しい中央回廊の戦闘から15分後。
マットアラストとユーリの逆襲を 黒の兵士が厳重に警戒し続ける中、第3階層外縁部を密かに駆ける4つの影があった。
「いい演技だったよ、ザトウ君。
俺がシネマ会社の社長なら、君と長期の専属契約を結ぶところだよ」
「け…っ、面倒くせえことを」
「そういうなよ。うまくいったろう?」
 そう、中央回廊での戦闘は すべて茶番だったのである。

 第3階層に降りた途端、執拗に続いていた待ち伏せが、ぱたりと止んだ。
「兵を退いたか。これは……」
 戦力を結集し、決戦を挑んでくる。
であれば、その場所は――。
敵の策を読んだマットアラストが、ザトウに一芝居 打たせたのだ。
ザトウ単独で罠に踏みこみ、布で操った死体をフォトナに見せかけて、集中砲火を浴びたところで、逃げ出した。
 その間に、残る3人は迷宮を大きく迂回していた。
フォトナの夢想侵略とユーリのシュラムッフェンで、迷宮の壁を斬り裂く。
地図に頼る黒の部隊と異なり、この図書迷宮で永く過ごした彼らには、どの地点の壁がもろく薄いか、よく分かっている。そこで 迷宮の壁を斬り開き、地図にない新たな踏破ルートを作り出したのだ。
 こうして、彼らは最下層に降り立った。
敵の大戦力に待ちぼうけを食わせ、結果的に多くの『本』を守って。

「駆け通しだろ。少し疲れたんじゃねえか?」
 無人の迷宮を走り抜けながら、ザトウが後ろを気遣った。
迷宮を下へ降りるほど、ユーリの表情が硬く つらそうなものになっていく。
先刻からは話しかけてもほとんど無言で、
(何か起きるのか、この先で……)
 良くない未来を知っているのかと不安になったのだ。
「………大丈夫ですわ、ザトウさま」
 愁いを帯びた微笑でそれだけを答え、ユーリはさらに足を速める。
思いつめた様子の彼女に ザトウもそれ以上の言葉をかけられず、ただ黙って走りつづけた。
 そして彼らはついにたどり着いた。
第2封印書庫―― 図書迷宮の最奥にして 最後の部屋。かつて、天国の樹のあった場所である。

 扉の前の見張りを瞬殺して書庫に踏み込めば、
「―― 敵襲!?」
 広い洞窟の中には、黒の兵士がわずかに10名ほど。
不意を打たれて完全に狼狽している兵士に、強者たちは襲い掛かる。仄暗い洞窟に銃火と剣光が閃き、瞬く間に数兵が倒された。
 そしてそのとき、ユーリが書架の向こうに うずくまるユキゾナの姿を見つけた。
「お兄さま――!」
 最愛の兄に駆け寄るユーリ。
さえぎる兵士の首を蜘蛛の魔刀で刎ね飛ばし、冷え切った身体を抱き起こす。
「お兄さま……?」
 感動の再会。にも関わらず、ユキゾナは何の反応も示さない。口を閉ざしたまま、ただ宙を見つめている。
「わたくしですわ、お兄さま………お兄さま…っ!」
 懸命に兄を呼び、その手を握り、しがみつく。
ユキゾナの外套や倒れていた地面に、吐血の跡がいくつも見つかる。
第2封印書庫の 冷たく凍りついた空気に、肺の病が悪化したのか?
そう心配し、すぐさま癒しの魔法権利を発動させるユーリだったが、そうではなかった。この病み衰えた兄に、敵は もっとひどい仕打ちをしたのだ。
0856==第11話==2016/06/20(月) 23:30:12.38ID:1qAxgQYQ
 洞窟の中を、ザトウはふらふらと歩いていた。
根こそぎ強奪するつもりだったのだろう。『本』は 既にコンテナに収められ、書架はほとんど空になっていた。貴重な『本』を流れ弾で失わなかったことは幸いだが、今のザトウには そんなことはどうでもいい。
 女の漏らす低い嗚咽が、背中ごしに聴こえている。
書庫での戦闘が終わって十数分。懸命の治療にも関わらず、ユキゾナには何の変化も見られない。人形のような兄の身体を抱きしめて、それでもユーリは治癒の魔法権利を発動させ、兄の名を呼びつづけている。
 マットアラストも言葉なく、ただ兄妹のそばに立ちつくしている。
 洞窟の隅で男が死んでいるのに、フォトナが気づく。
出港以来、ユキゾナに付き添っていた軍医である。完全に冷え切ったその体は、強い力で喉を潰され、首の骨が折れていた。
 遺体のそばの大きな黒い鞄には、軍医の几帳面な性格を物語るように、医療器具や薬が整然と詰められている。病状の変化や投与した薬についても 細かく手帳に記されていて、それを読み進めるフォトナに、
「どうです、何か手がかりは…?」
 マットアラストが問いかけた。
「いや、ない。ここに着いたところで記録は終わっている。
おそらくその後、軍医が殺されて…、ユキゾナにも何かがなされたのだ……」
 ザトウはその場を離れた。
ふてぶてしさを装いつつ、内心では ひどく動揺していた。
(くそっ、何も出来ねえのかよ……)
 何百冊もの『本』を喰らいながら、女にかける言葉ひとつ、持っていない。
『怪物』である自分に出来るのは、やはり破壊と殺戮だけなのだ。その力をぶつける対象を求めて ふらふらと歩いていく。
 やがてザトウは、洞窟の奥でそれを見つけた。

 広大な洞窟の突き当たり。
1900年に渡って天国の樹のあった場所だが、今はそこに何もない。ただ小さな石碑だけが、訪れた者にその過去を伝えている。
 その石碑の陰に男がひとり、隠れていた。
「まだ残ってやがったのかよ…」
 しゃらり。布を伸ばして引きずり出せば、それはひどく痩せた老人で、
「てめえら、ユキゾナに何しやがった?
どうすりゃ元に戻るんだ、あぁ? 素直に白状すりゃあ 楽になれるぜ、爺ぃ」
 白髪頭を掴んで ぐらぐらと揺さぶった。
 返答は無かった。
次の瞬間、
「手を引け…っ――」
「――!?」
 マットアラストの叫びが洞窟に響いた。
が、油断していたザトウは即応できない。伸ばした布と腕が黒い炎に包まれ、みるみる腐って溶け落ちる。そのとき既に マットアラストは拳銃を抜き撃っていた。壊死した腕が 肩口から吹き飛ばされる。右腕を失い、
「…く、そ…がぁぁ」
 ザトウは眼前の敵を睨みつけた。
0857==第11話==2016/06/20(月) 23:31:16.88ID:1qAxgQYQ
 老人の顔に奇怪な笑みが浮かんでいる。
「悪くはない…。この力も――」
 外套についた土埃を手で払うと、老人はゆっくりと右手をさし出した。
肉の薄い掌から、暗黒色の雲状のものが生まれる。雲は尽きることなく湧き上がり、老人の周りを繭のように包み込んだ。その黒繭に銃弾が打ち込まれるが、それは瞬時に錆びてかき消えた。
「―― 腐壊波動か」
「……そうだ。あの死に損ないも、最後は役に立ってくれたわ」
「くそ爺ぃ…っ」
 激昂したザトウが、腕の回復も待たず、雷を叩きつける。
凄まじい閃光が闇を貫く。だが、それもほんの半秒。光は 腐壊波動の薄繭に阻まれ、消えた。直後に、マットアラストとフォトナも動く。銃弾と夢想侵略が同じ場所を狙うが、やはり黒の薄繭は破れない。
「ならば…!」
 波動の弱い部分を探して、フォトナが黒繭の外周を走る。
マットアラストは壁を蹴り、頭上高くから急所を狙う。しかし、男の手から湧き出す黒雲はさらに勢いを増し、彼らの攻撃にも関わらず、一瞬ごとにその濃度を上げていく。
「ち…、キリがねえ!」
「当然だ。ユキゾナは全てを私に差し出したのだ……。
妹の生命……第2書庫の『本』……耳元でそう言ってやるだけで、な。あやつは何度も血を吐きながら、最後の一滴まで搾り出しておったわ」
「ぶち殺す…!」
 両腕を回復させたザトウが、続けざまに雷を撃ちまくる。
腐壊波動の防御の前に、その攻撃はまるで効いていない。それでもザトウは攻め手を休めず、全身の雷気をぶつけ続ける。
 冷ややかな視線がザトウに投げられた。
「私に怒りをぶつけるのは間違いというものだ……。
悪いのは私ではない。務めを果たせなかったユキゾナだ。
ルルタの遺産……最強の力を持つ追憶の戦機……。ユーリの夢にあった通りに、ユキゾナが戦機を見つけていれば……」
「黙れよ、爺ぃ。その汚ねえ口を閉じろ!」
「ふふ、まあ聞け、怪物よ……。
ユキゾナが連れてこられたのは ユーリの夢のせいなのだよ。
あの方の計画に従い、私は半年も前からユーリを監視していた。触覚糸の力を使い、離れたところから、気づかれぬよう慎重に……」
 手に入れた力の強大さに酔ったのか、饒舌に語りつづける。
「それは母体となるユーリの体調を探るのが目的だった。
だがな、ある夜、寝言が漏れ聴こえて―― 分かったのだ。ユーリがすでに夢を……未来の夢を見ていることを。そして断片的にではあるが、その内容も。
ふふ、夜ごとユーリがどんな夢を見ていたか――。聞きたいか?」
 しわ深い顔に 好色そうな笑みが浮かぶ。
「キサマが種馬に選ばれたのも、私の報告あればこそ。
あの女の具合はどうであった? くふふ、せいぜい感謝してほしいものだぞ?」
「この…変態爺ぃが…っ」
「くくく、それでな、その夢の中のひとつにあったのだ。
連れ去られたユキゾナがこの第2書庫で、ルルタの遺産―― 最強の力を持つ戦機を見つける、という夢が…! 最強の戦機……、ふふ、大冥棍グモルグであろうなあ。これを見過ごすことなど出来るわけもない。それでこの私が密命を受けたのだ……。
だのに、あの役立たずが、死に損ないめが――」
 言い終えたとき、男の形相が変わっていた。
漆黒の繭の中で老人が右腕を振るう。波動が放たれた。
それは暗黒色の蛇の形を取り、空を走る。暗黒の蛇をかわす武装司書たち。だが、黒蛇が襲ったのは目の前の敵だけでなく、そのはるか後方でうずくまるハムロー兄妹や『本』のコンテナにも向かっていて、
「―― 守れ!」
 雷撃の嵐が、銃弾の雨が、不可視の斬撃が、これを迎え撃つ。
強大な魔力同士がさらに激しくぶつかり、魔力の飛沫が飛び散った。洞窟中に―― 第1封印迷宮につながる扉にも。
 そのとき、それは現れた――。

                         ==第11話 おわり==
0858==第12話==2016/06/20(月) 23:32:56.32ID:1qAxgQYQ
「――!」
「………!?」
 何が起きたのか、分からない。
ぞわ…と 毛穴が開くのを、彼らは感じた。
彼らほどの歴戦の猛者が、思わず動きを止めるほどの威圧感。それは彼らに、かつてこの場所にあった一本の樹を思い出させた。
 最初に襲われたのは敵の方だった。
その身を包んでいた腐壊波動の繭が消えたかと思うと、突然、老人は宙をかきむしり、ばたりと倒れる。まるで、空気の中で溺れたかのようなもがき方だ。
「何か、居るぞ…っ」
「―― フォトナさん、前…っ」
 警句と同時に、跳ぶ。が、避けきれず、何かに触れる。
薄く軽い やわらかな物に包まれる感覚―― だが それは目には見えず、音も熱も感じない。棒を振るうフォトナだったが、
「む…っ」
 斬ったという手ごたえが まるで無い。
それどころか、身体から気力も魔力も抜けうせて、気がつくと 地面に座り込んでいた。

 2秒後予知の力を駆使し、視界に生じる変化を探る。
「そこだ…!」
 見えた未来に従い、2丁拳銃の全弾を叩き込んだ。
12発の弾丸が何かに当たって、宙に停まる。そこへすかさず、極大の雷撃をぶちこむザトウ。銃火と雷火が、見えないものの姿をあぶり出す。
 帯電し、かすかな金色に光ってみえるそれは、一匹の蝶。
体長1メートルほどの 透明な翅と胴を持つ蝶が、彼らの頭上に浮かんでいた。
 ひらひら ふわり。
必殺の攻撃を何度も食らいながら、悠然と宙を舞っている。
その蝶は少しも傷つかず、ただ 雷気による輝きだけが増していく。金色に光る後ろ翅の外縁に、ツタのような模様が浮かんで見えた。
「どうすりゃいい。教えろ、マットアラスト!」
「俺にも分からんよ…っ」
 ひらひらと飛ぶ金色の蝶には、銃弾も雷も効いていない。 
ただ、攻撃を受けるごとに ツタの模様がその濃さを増していく。
(………ザトウ)
「クソ忙しんだよ、後にしろ!」
 狼狽して雷撃を連発する男に、もうひとりの雷使いが呼びかける。
(……ザトウ、あの蝶だが)
「何か知ってんのか、あぁ?」
(………あの翅の模様には 覚えがあるだろう……。
あの絡みつくツタの文様……、あの日、お前も見ただろう。巨大な針の上にいた男……ルルタ=クーザンクーナの肩に、あれと同じツタの刺青を……)
「あぁん? ツタの文様…? ルルタの刺青……??
何 ワケの分からねえこと言ってやがる……。この役立たずのくそガキが! 黙ってろ…っ」
 毒づいた言葉が、マットアラストの記憶を刺激した。

「そうか、ルルタの…! では あれが ウユララ――!?」
「――うゆらら? 何だよ、そりゃ」
 首をかしげつつ、無駄な雷撃を放つザトウに マットアラストが補足する。
 追憶の7戦機のひとつ、韻律結界ウユララ。
無敵にして絶対の防御能力を持つこの戦機は、ルルタの肩に ツタの文様の刺青として刻まれていた。そう、マットアラストが見た あの日のルルタにも。
 ルルタの死後、あの戦機はどうなったのか?
魂の結晶である『本』の中に、戦機が取り込まれることはありえない。
と、いうことは――。
 持ち主を失った戦機は 封印迷宮をさまよっていたのだろうか。
 あの日からずっとこの場所で、支配者の帰還を待ちつづけるかのように。
0859==第12話==2016/06/21(火) 00:26:03.68ID:l3dj9gsR
「―― で、どうすりゃ倒せんだよ、こいつは!」
「楽園時代の話だぞ。知らんよ、そんなこと」
「ち…、使えねぇな。……んっ、マズい、そっち行ったぞ、ユーリ!」
 ゆらふわと空を遊んでいた蝶が、不意にユキゾナの方へ向かう。
「――― 穢れよ、シュラムッフェン…!」
 ユーリが叫び、蜘蛛の魔刀が残虐な笑い声をあげた。
無数の不可視の刃が 蝶のただよう空間を切り刻む。が、蝶は傷つかない。シュラムッフェンの因果抹消の攻撃を、ウユララの因果抹消の守りが上回ったのだ。
「これが韻律結界…!? でも…っ」
 戦慄に美貌をこわばらせるユーリ。
思慮浅い残虐な戦機に向け、蝶はまっすぐに空を滑る。
金色に輝く翅をいっぱいに広げ、持ち主ごと戦機を包みこむ。その瞬間――。
 背後から強く腕を引かれ、ユーリは倒れた。
代わりに、金色の翅に包まれていたのは、
「お兄さま…っ!」
 最愛の妹の声も届かず、無反応だったユキゾナ=ハムロー。
妹の身代わりとなって みるみる生気を吸われ、ユキゾナは地面にへたりこんだ。
0860==第12話==2016/06/21(火) 00:27:53.70ID:l3dj9gsR
「………ユーリ」
 見えているのか、いないのか。焦点の定まらない目を見開いたまま、力の入らない手で ユキゾナが巨大な蝶を手繰り寄せ、その胴にしがみつく。
翅に帯びた雷気が皮膚を焼くが、それでも蝶を離さない。強く、強く。
病み 衰えた身体で、
「………守ってみせる。お前だけは……!」
 ユキゾナは懸命に蝶を抱きしめる。
そのとき、彼の心に伝わる声があった。
(――― 私を呼んだのはお前だったか……。
誰かを守ろうとする強い意志。それを私は待っていた………)
(これは、なんだ……?)
(――― お前と交わり、ひとつになる。
この世界を守ろうとする 強い意志と魔力の衆合。それが 私、韻律結界ウユララ………)
(そうか……お前が…ウユララ…)
 なおも蝶にしがみつきながら、ユキゾナが問う。
(それで俺は…… どうなる?)
(――― お前の意志も魔力も、私の中で溶けて混じり合い、ひとつになる。
人の姿を失い、いづれ意識も薄れゆく。この世界に お前は何も遺せない。亡き骸も…『本』さえも……。やがて現れる救い主を待ちながら、世界にあふれる破壊や苦痛や絶望を この身に受けつづける。私とともに……永遠に……。それを望むか……?)
(永遠に…世界を…… …)
 安らかな笑みを浮かべ、ユキゾナがうなずく。
その途端、痛みも苦しみも 何もかもが消えた。身体の表面をツタの文様が覆い尽くし、ユキゾナのすべてが吸収される。
 ユーリが身を起こしたとき、兄の姿は蝶と同様、ほとんど透明になっていた。
「お兄さま……?」
 兄の身体に触れようとするも、
「―――!!」
 差し出した手は むなしく空をおよぐ。
そこにはもう、何者も存在していなかった。
(……ユーリ…)
「お兄さま……?」
 腕の中からではない。どこか高いところから、それは聴こえた。
(……愛しいユーリ……どうか…幸せ…に… ‥)
「ぉ兄さま……うぅっ、お兄さまぁぁーー!!」
 凍てついた第2書庫に、ユーリの嗚咽と慟哭が響いた。
0861==第12話==2016/06/21(火) 00:31:19.87ID:l3dj9gsR
 ユキゾナ救出という所期の目的を果たせず、彼らは最下層を後にする。
失意と疲労に足取りも重い。そんな元武装司書たちを、
「絶対に生かして帰さん…!」
 待ち呆けを食わされた黒の兵士の大部隊が、第3迷宮で待っていた。
長い階段を抜け、扉を開けた途端に浴びせられる集中砲火。ザトウは穴だらけになり、フォトナでさえ防ぎきれず傷を負う。反撃しようにも、
「……く、何だよ、ありゃあ…!?」
「撃つな、ザトウ。雷で銃が暴発する――」
 扉の前には、『本』と書架で築かれたバリケード。これでは うかつに手が出せない。やむなく 階段へ戻ろうとすれば、
「ユーリ=ハムローを差し出せ。さもなくば『本』を破壊する」
 との要求が投げつけられる。
 無論のこと、ユーリは渡せない。だが……。
彼らが対応に窮したとき、ふわりゆらり、蝶の舞う気配がした。

「そこにいらっしゃるのですね、お兄さま」
 ユーリがつぶやき、
「始めるぞ」
 フォトナの号令の下、4人は動いた。
再び 飛び出した彼らを銃火が襲うが、見えない何かに遮られ、それは彼らに届かない。銃弾の雨も地雷の直撃も何の効果もなく、それどころか、狼狽した兵士が『本』を撃とうとしても それさえ防がれる。
「容赦するな。但し、『本』は壊すなよ」
 彼らは瞬く間に距離を詰め、バリケードを跳び越えて黒の兵士を駆逐する。短いが熾烈な戦闘ののち、半数の兵士が死に、残りは散り散りになって逃げ出した。それを追う余力は彼らにも無かった。
 迷宮での戦いを終え、元武装司書たちは地上へと帰る。
彼らに別れを告げるように、ツタの文様を持つ蝶がゆらふわと宙を舞う。高く低く 回廊を舞い、それから再び 迷宮最下層へと降りて行く。
「これまでありがとうございました。お兄さま……」
 見送るユーリの眼に、その羽ばたきはにじんで見えた。
0862==第12話==2016/06/21(火) 00:33:18.75ID:l3dj9gsR
 最後の長い階段を登りきり、赤銅色の重厚な扉を押し開けると、
「おう、戻ってきたか…!」
「手間をかけたね、皆」
 第6書庫の最下部、巨大な螺旋階段の一番下で 2人の男が彼らを待っていた。
ミンス=チェザイン、ボンボ=タータマルの両名である。
さっそく話し込む元武装司書たちをその場に残し、ザトウとユーリは長い階段を上る。
その途中にいたのは、ボンボが連れて来た平和維持軍の部下だろうか。身ごなしだけでそれと分かる強兵が十数名、手擦りにもたれて彼らの方を伺っていた。
 広大な開放書庫の中をゆっくりと歩いていると、
「待たせたの」
 ミンスが追いついてきた。
「フォトナ様とマットアラストさんは――?」
「『ちょっと後片づけを手伝ってくる』そうじゃ。
まあ、ボンボのやつは迷宮の中じゃあ使い物にならんからのう」
「そうですか。もう一度きちんと御礼を言いたかったのですが……」
「わしから伝えちゃる。気にせんでええわ」
 並んで話していた二人に、ザトウが急に割り入った。
「その…まあ…、何だ、……色々とありがとよ。助かったぜ」
 そう言って、珍しく素直に頭を下げる。
「本当ですわ。ありがとうございます、ミンスさん」
「まあ、無事で何よりじゃ。ところで、その…ユキゾナのことじゃが……」
「………お兄さまは――」
 ユーリが短く話すと、そのたくましい肩を落としてミンスは、
「そうじゃったか」
 とだけ 言った。
0863==第12話==2016/06/21(火) 00:34:05.77ID:l3dj9gsR
「で、これからどうするんじゃ?」
「これから、ですか……?」
「そうじゃ。未来視の魔法は 誰もが欲しがる強力な力だ。
それは 盗『本』マフィアに限らん。どこの組織も狙ってくるじゃろう。
正直、現代管理庁や4大国とて信用できん」 
「――そう ですわね……」
 ユーリは、傍らに立つ男に 何かを期待するような視線を向けた。
一瞬の迷いもなく、ザトウが応える。
「あぁ? バカ言ってんじゃねえよ、ミンス=チェザイン。
ユーリも 娘も、この『怪物』が守ってやる。邪魔するヤツは 全部ぶっつぶす。マフィアだとうと国だろうと……。だから俺と来い、ユーリ」
「ザトウさま…!」
 輝く笑顔を向けるユーリを、ザトウは抱きしめる。
見つめあうふたりを、ミンスはまぶしそうに眺めた。
「そうか。なら、好きにせい。あとの始末は わしらがつけちゃる」
 未来視の魔女のことは、厳重に隠さねばならない。
そこで、一連の事件は こう発表されることになる。
 アロー湾での爆発事件に合わせて、数名の元武装司書が襲撃を受けた。
ユキゾナ=ハムローもその中に含まれるが、大きな被害はなく、現在は妹のユーリとともに 静かに暮らしている。なお、彼らの新しい療養先は、事件の再発を避けるために伏せられる。
 一連の襲撃は、盗『本』マフィアによるものだった。
神溺教団の名前で世界を騒がせ、その間に歴史保護局を襲って『本』を奪うという計画だったが、ボンボ=タータマル率いる平和維持軍の精鋭が、これを撃退。大きな被害は出なかった。
 首謀者については なお不明だが、平和維持軍は 各国政府と協力し、全容の解明と組織の殲滅に当たっていく。
 公式発表はこんな内容になるだろう。
それが、沖合いを漂流中に助けられ、過去神島に上陸するまでの間に ミンスとボンボが決めたことだった。

「じゃあな、つくづく世話になったな」
 別れを告げ、ユーリを抱いて ザトウは歩き出した。
ボンボが用意していた水上飛行機で、『怪物』は 過去神島を後にする。
この島を訪れるのも、おそらくこれが最後になる。もう一度だけ、ザトウは図書館の方を振り返り、これまでのことを思い出していた。自分が戦ってきた強敵たちと、自分に力を与えてくれた『本』たちのことを。
(『本』喰いの怪物、か……)
 これから先も、厳しい戦いがザトウを待っているのだろう。
ユーリを狙う様々な組織。『黒のラスコール』、マフィアや反政府組織、各国の軍や警察、そして現代管理庁……。
今は秘密にしようとも、出産が迫るにつれ、その誕生を予知する魔道士は他にも現れる。未来視の魔女とは、それほどに強大な存在なのだ。
 どのようにして、追っ手の目を逃れるか。
ミンスやマットアラストとどう関わり、支援を受けるか。あるいは、一切の接触を断ってしまった方が ユーリの安全につながるのか。
課題はまだまだ山積みで、道のりはひどく困難だ。
(だが、必ず出来る。この俺、最強の『怪物』の力なら……)
 腕の中に感じるユーリの暖かさが、ザトウにそう思わせていた――。

                         ==第12話 おわり==
0864名無しさん@ピンキー2016/06/21(火) 00:45:17.04ID:l3dj9gsR
今回も間が空いてしまい、申し訳ございません。
それから、レスくださった方、本当にありがとうございます!

以上で、ザトウの凌辱の旅(?)も終わりです。
もう少しだけ、お話はつづきます。
今度は4年後、原作10巻断章「図書館の消えた跡にて」と同じ、1937年が舞台になります。 あと数話ですが、お付き合いいただければ――。
0865=第13話=2016/06/21(火) 00:47:00.09ID:l3dj9gsR
 階段の途中で振り返り、
「ここまで逃げれば、きっと大丈夫だわ」
 ミレポック=ファインデルは つぶやいた。
 大広間の喧騒から少し離れた、吹き抜けの玄関ホール。
その階段を踊り場まで上がって、彼女はその景色を眺めている。
壁には大きな絵画がいくつも飾られ、アーチ構造の天井も精緻なレリーフで覆われていた。高い窓は色鮮やかなステンドグラス。彼女のいる この階段の手擦りにさえ、舞い踊る妖精たちが彫刻されている。
「まるで美術館のようね」
 ふっ と、ミレポックは微笑んだ。
先刻、一杯だけ飲んだシェリーのせいだろうか、なめらかな頬は薔薇色に上気している。
スレンダーな肢体を夜会用のドレスに包み、ものうげな表情で手擦りにもたれるミレポックを、階下を行き交う人々が ため息とともに見上げている。が、彼女はそんな視線に気づかない。
 そのとき、
「ミレポー、どこにいんのよー」
 キャサリロ=トトナの陽気な声が、彼女を現実に引き戻した。
階下に目を向ければ、幾人もの若い紳士を引き連れた彼女が、ふらふらと玄関ホールをさまよっている。
「あんたと踊りたいって男が たくさんいんのよ。ねえ、ミレポー」
 慌てて、ミレポックは階段を駆けあがる。
0866=第13話=2016/06/21(火) 00:47:42.40ID:l3dj9gsR
 1月12日は「ルルタの日」である。
世界が救われたことを祝福し、また、犠牲になった人々を追悼し 感謝する日として、すべての国がこの日を祝日に指定していた。
 中でも、今年、1937年の1月12日は 10周年の節目の日となる。
1000日も前から始められたカウントダウンに祝賀ムードは日々煽り立てられ、それが残り20日を切った頃には、世界中が狂熱に浮かされていた。
 華やかに飾りつけられた街では、さまざまな催事がつづいている。
現代管理庁や各国主催の記念式典やパレード。連夜の晩餐会。展覧会に写真展、コンサート。ルルタの生涯を描いたオペラの観劇会。スポーツの記念試合や競技会……。
 一連の行事には、元武装司書たちも招待されていた。
その中でも、一番の人気はミレポックだった。歴史保護局理事長であり、世界を救った英雄のひとりでもある。彼女は日々、分刻みのスケジュールに追いかけられた。休憩はおろか、食事さえ 移動中の車内で済ませる有り様だった。

 そして、「ルルタの日」当日。
ミレポックは、イスモ共和国の首都 モールアール市にいた。
この街には各国の大使館が集中しているが、その中でも別格とされるのが、グインベクス帝国大使館である。大統領官邸や議事堂にも近い一等地に広大な敷地を構えて、そこでは日夜、華やかな社交としたたかな外交が繰り広げられていた。
 そのグインベクス大使館で今夜、大舞踏会が催されていた。
戦勝記念の大舞踏会。現代管理庁や武装司書からの解放を国是としてきた帝国にとって、1月12日は「ルルタの日」などではない。永きに及んだ、人類解放闘争の勝利を祝う日なのである。
 そのため、舞踏会は盛大を極めた。
現代管理代行官やイスモ大統領をはじめとする、各国の政府要人。貴族や富豪、スポーツ選手に流行作家、シネマの人気女優など、世界中の著名人が顔を揃えた。
 もちろん、ミレポックも招待されていた。
だが、いつ終わるともなくつづく、
「ミレポック=ファインデル嬢、どうか一曲、お相手を」
 のダンスの申し込みに嫌気をさし、大広間を逃げ出したのだった。
0867=第13話=2016/06/21(火) 00:48:57.21ID:l3dj9gsR
 2階の貴賓室には 先客がいた。
大きなテーブルには、たくさんの料理がひしめきあっている。
グレイヴィーソースのたっぷりかかったローストビーフと、木の実を詰めたガチョウの丸焼き。茹でたての白や黒のソーセージ、テリーヌの冷製に、キャビア、生牡蠣。
グラスになみなみ注がれた赤ワインをがぶ飲みしつつ、男は凄まじい速度で料理を平らげていく。
 給仕の少年が空の皿を下げ、また 新しい料理を運んでくる。
だが、男の底なしの食欲にはかなわない。どんどん空の皿が増えていく。
 ミレポックには、それはごく見慣れた光景だ。
「相変わらずですわね、ボンボさん」
「久しぶりだね。ルイークたちの結婚式以来だね」
 食べる勢いを少しだけ落として、ボンボ=タータマルが応じた。
国際平和維持軍のトップである彼も、ミレポックにも負けないほどの忙しさだ。ここ数年は本来の任務に『黒のラスコール』一派の掃討作戦も加わって、大変なことになっているらしい。
 もっとも、それほどの激務をこなしても その体形は少しも変わらず、出産間際の妊婦のようなお腹なのだが。
「どうしてこちらに? お食事を出す部屋なら、大広間のそばにもありますのに」
「何を言ってるのかな、ミレポックは。
今夜のメニューは、コンソメスープに、うずらのゼリー寄せに、牛舌の冷製。チーズにワイン、フルーツにアイスクリームにコーヒー……。舞踏会に付き物のあんな軽食じゃ、僕のこの胃袋は満たされないね」
「それで、こんなところで個人晩餐会ですか」
 彼女が呆れる間にも、ボンボは料理を胃袋に流し込んでいく。
給仕の少年を急かし立てては 新しい皿をどんどん運ばせ、それをまた空にする。
まさに 悪魔の胃袋だ。
 グインベクス大使館では今回、本国から最高の料理人を呼び寄せたと聞く。
食通として名高い皇太子夫妻の 専属の料理人だ。その料理人の作った逸品が、厳選された高級素材で作られた芸術が、ほぼひと呑みに消えていく……。それは、実に恐ろしい光景だ。
「君が今、どんな失礼なことを考えているか、想像がつくよ。
たぶん、こんな豚には残飯でも与えておけばいいのに、なんてところだろうね」
「残飯とまでは思ってませんが。でも、世界最高の料理がもったいない、とは思います」
 にこにこと笑うボンボにつられて、ミレポックも微笑する。
「それはちがうのね。ここの料理人は世界で2番目なのね」
「あら、では1番は?」
「その料理人と彼の奥さんのことは、ミレポもよく知っているのね。
今は無理だけれど……、いつか―― また会えると思うのね」
 そう言って、ボンボは意味ありげに笑った。
0868=第13話=2016/06/21(火) 00:50:01.63ID:l3dj9gsR
 ルルタの日から4日後の1月16日。
南ブジュイ随一の富豪 ポトラム氏の邸宅で、密やかな夜会が催されていた。
 歓談をつづけていた人々は、
「晩餐の仕度が整いました!」
 執事の朗々たる声にうながされ、応接室を後にした。
主賓であるグインベクス皇太子妃に腕を貸した館の主人を先頭に、招待客たちは順番に晩餐室に導かれ、それぞれの席につく。
 影竜石で造られたシャンデリアの淡い光が、豪奢な室内を照らし出す。
真っ白なクロスがかけられた巨大なテーブルの上は、さまざまなもので彩られている。美しい花々と季節の果実。磨きぬかれた銀のカトラリー。薔薇のつぼみの添えられた 切子ガラスのフィンガーボウル。睡蓮の形に折りたたまれた しみひとつないナプキン。
 そして、
「まあ、これは?」
 燦然と輝く、グインベクスの紋章の入った純金のディナーセットが、皇太子妃の目を奪った。
 給仕のメイドが、うやうやしく答える。
「当家の家宝の食器でございますわ、ユア・ロイヤルハイネス。
38年前、皇太子でいらした頃の皇帝陛下をおもてなしいたしました折にも、使われたものでございます」
 古風な濃紺のワンピースに、フリルのついた白いエプロン。
艶やかな黒髪をアップにまとめ、レースのついた白いキャップをつけている。
 たおやかに微笑し、ワインを注ぐパーラーメイド。
 ユーリ=ハムローが そこにいた。
0869=第13話=2016/06/21(火) 00:51:06.67ID:l3dj9gsR
 常笑いの魔女―― 未来視の魔法権利を持つ女児を身ごもったユーリ=ハムロー。
彼女が過去神島を去ってより、3年半の月日が流れていた。
 三毛猫色の髪をした、まだ幼い娘を連れての逃避行。
雪の降りしきる冬の森を2日がかりで抜け、密貿易船に忍びこみ、列車内での襲撃を返り討ちにする。
 追跡者の目をくらますべく、数ヶ月ごとに土地を移り、職を変える。そんな日陰の生活が、いつ終わるともなく つづいていた。
 だがそれは彼女にとって、決して悲観すべき暮らしではなかった。

「逃亡犯の先輩としてアドバイスするなら――」
 食えない笑みを浮かべて、マットアラスト=バロリーが言った。
「貧民街や場末の宿に身をかくすつもりなら、それは 止めたほうがいい。
真っ先に調べられるのは、そういう場所だからね」
 彼の助言に従って 彼女たちの逃亡生活はつづけられ、半月ほど前、ブジュイ商業都市に降り立ったのだった。

「何か、よさそうなものはありまして?」
 コーヒーハウスのあまり美味しくない紅茶をすすりながら、ユーリは尋ねた。
今年33歳になるはずだが、優美でしなやかな姿態はそのままで、地味な黒のロングコート姿の今でさえ、店内の男性客の視線をひとり占めにしている。
 彼女の隣には、愛娘のシロンがいた。
シロンは、桃のパフェを小さなスプーンでせっせと口に運んでいる。
黒いコートとスカート、帽子と、母娘でお揃いの装いだ。可愛い帽子の下の三毛猫色の髪は、今は 母と同じ漆黒に染められていた。
 ふたりの向かいに、長身の男が座っている。
ユーリの良人にして『本』喰いの怪物、ザトウである。
ザトウはコーヒーを飲みつつ、店の新聞をひろげていた。
「――そうだな、こんなのはどうだ。
『当方、ブジュイ近郊の地主。家族は3人。使用人は40名。急な宴席のため 腕のよい料理人を募集。宮廷料理の経験者優遇。メイドつきの心地よい個室を用意。給与は月に600トホラ。他に各種手当てあり。委細面談。なお、推薦状を要す』」
「使用人が40名! かなりのお屋敷ですわね」
「そうだな…。シロン、ここにするか?」
 パフェをきれいに食べ終えて、少女がうなずく。
「決まりですわね」
「ああ、行くか!」
 コーヒーを飲み干し、立ち上がる。
採用されるのを知っているような顔を、ザトウはしていた。
0870=第13話=2016/06/21(火) 00:51:55.67ID:l3dj9gsR
 さっそく紹介所に出向く。
すると、ザトウの持参した申し分のない推薦状が効いたのだろう。すぐさま面接の約束が取りつけられた。
なにやら先方はひどく急いでいるらしく、迎えの車をよこすと言う。
彼らは紹介所で3時間ほど待ち、さらに同じ時間を 白塗りの高級車に揺られて過ごす。
車窓から見えるのは、どこまでもつづくトウモロコシ畑。ブジュイ南部の穀倉地帯を 車はひたすらに走りつづける。
大きな河を越えたところで西に転じ、今度はなだらかな丘陵地帯へ。美しい湖畔の森を抜け、ようやく着いたときには、白亜の屋敷は夕焼けに紅く染まっていた。

 執事による面接はごく短く、ザトウはすぐに階下へ通された。
半地下に設置された広い厨房。ここで、実技による採用試験が行われるのだ。
 次席シェフと見習いたちの視線を浴びながら、ザトウが命じられた料理2品と 最新流行の菓子を作り終え、すこし待っていると、
「これを作ったのは、君か!」
 ひとりの男が台所に駆け込んできた。
「料理人のロンドン=ホー氏です。こちらは当家の主人の――」
「美味かった! すごい腕前だ!」
 執事の紹介も待たず、男はザトウを抱きしめた。
この屋敷の主人のポトラム氏だろうか。年齢は50を少し過ぎ、恰幅のよい身体を上等のスーツに包み、顔と手は こんがりと日に灼けている。
「よく来てくれたね、大いに歓迎するよ。
ところで 君の名前……、ロンドン=ホーというのは 珍しい名前だが――。
あの渡り者の料理人、トウザ=ロンドン=ホー氏とは 何か関係があるのかね?」
「俺がそのトウザですが」
 そばに控えていた執事が、無言で盆を差し出す。
ザトウの持参した推薦状の載った盆だ。それらを次々に開いて、主人は太いうめき声をあげた。
「……司法長官のエクモ侯爵、メリオト大学のネイム学長、グラン=フルベックホテルの総料理長に、こちらはクイーンイザベル2世号の支配人か。すばらしい!」
 主人のたくましい腕が、再びザトウを抱きしめた。
0871==第13話==2016/06/22(水) 01:17:56.57ID:F8S9Jzo3
「まさか君ほどの人物が来てくれようとは!!
それにしても若いね、トウザ君は。古今東西、あらゆる食に通じた料理人と聞いていたから、もっと年配の男だと思っていたよ」
 ようやく主人はザトウを解放すると、不意に顔を曇らせた。
「実はだね、急に晩餐会をやることになってね……。
そこに、たいへんに高貴で、たいへんに厄介な美食家を、主賓としてお迎えしなければならないんだよ……。君も知っているだろうと思うがね、グインベクス帝国の皇太子、シェラルド殿下ご夫妻だ。
この話が決まった途端、それまでいた料理長は辞めてしまうし、ね。
……まったく、どうしてこんなことになったのか」
 半月後に迫った晩餐会についての、主人の愚痴がつづいている。
 それを聞いて、ザトウは心の内でつぶやいた。
(グインベクスの皇太子だとよ、おい。大丈夫だろうなぁ?)
 その問いは、彼の内にいる者に向けられていた。
『本』喰いであるザトウの体内には、深く昏い沼が広がっている。
現実には無い、仮想の沼である。そこに200冊近い『本』が沈んでいた。
戦士、領主、官吏、事務弁護士、料理人、菓子職人、庭師、鉛管工、錠前職人、植字工、自動車整備士、1等航海士、旅芸人、盗賊……。さまざまな人材が、そこに眠っているのだ。
 ザトウの問いかけに、ひとりが答える。
それは 30年ほど前に死んだ、ロナ公国きっての宮廷料理人の声だった。
(……全く問題ありません。私の皿に魅了されない者はいませんよ)
(そうか、なら――)
「任せてください、ポトラムさん。俺の皿に魅了されない者はいませんよ」
「おお、さすがはトウザ君だ。すばらしい!
君は 2−3ヶ月、長くても半年しか雇えない男だという噂だが……、できるかぎり長く ここに居てほしいものだよ!」
 すっかり安心した様子で、主人が厨房を出ていく。

 このようにして、彼らの逃亡生活はつづいていた。

                         ==第13話 おわり==
0873==第14話==2016/07/11(月) 20:57:22.41ID:SRyiW2Fq

==第14話==

 祝祭の興奮もまだ残る1月の下旬。
ミレポックは、シネマと芸術の都フルベックにいた。
歴史保護局が後援する展示会、《楽園時代の終焉と ルルタ=クーザンクーナ》展のためである。
 ここ数年、歴史保護局では ルルタの『本』の解析に努めてきた。
その成果は絶大で、古代史の定説は大きく書き換えられ、遺跡の発見も相次いだ。そうした研究の初披露の場が、今回の展示会だった。
 全高5メートルという巨大なルルタの『本』には、二千年の歴史と 数万人分の記憶が詰め込まれている。その読み解きは一朝一夕に終わる仕事ではない。50年か、100年か――。これは、それほどの大事業なのだ。
 現在、ルルタの『本』は過去神島にある。
歴史保護局本部の第1展示棟のメインホール中央に据えつけられ、毎日何千人もの人々が この『本』に触れるために この場所を訪れている。
そのため、研究に割ける時間は 閉館後の夜間に限られ、専門司書たちは昼夜逆転の生活を続けながら『本』の解析に当たってきた。彼らの努力がようやく陽の目を見る。
ミレポックにとって、それが何よりの喜びだった。

 ミレポックはこの日、協賛企業への挨拶回りに午前中を費やした。
そして、あわただしく昼食を摂る。メニューは、サンドウィッチとチョコレート、それにコーヒー。移動の車中での食事も、もはや普通のことになっている。
(……なにかあった?)
 コーヒーを飲みながら、彼女は思考をつないだ。
思考の送り先は、過去神島にいる歴史保護局の幹部職員たちだ。ちょうど今、あちらでは朝礼が始まる時間だった。
(いつも通りですよ、理事長。
昨日の見学者は、やや少なめ。嵐で遅れた船がありましたから……。
 迷宮入り口で引っかかったのが1名。
聖浄眼に不穏な色が見えましたので 別室で事情を聴いたところ、先ごろ発掘された神溺教団員の『本』……ええ、そうです。蒼淵呪病の菌の培養にかかわった女です。あの『本』の破壊を考えてました……。
よくある類いのやつです)
(他には?)
(来期また1社、スポンサーが増えそうです。
あとは……、取材や講演の依頼の手紙が十何通か。そんなとこですね)
(そう、ありがとう。では、明日もこの時間に)
 思考を切って、コーヒーを一口すすった。
 つくづく貧乏性だと、ミレポックは思う。
思考共有という能力のせいもあるのだろうが、つい秘書を通さず、何でも自分で片付けてしまう。それではいけないと 自分でも分かっているのだが……。
 そんなことを思っている間にも、車はどんどん目的地に近づいている。
彼女はコーヒーを飲み干して、
「………仕方ないわよね」
 美貌を曇らせつつ、小さくつぶやいた。
 今日はこの後、とびきり厄介な予定が入っているのだ。
0874==第14話==2016/07/11(月) 21:06:58.04ID:SRyiW2Fq

 手始めに雑誌の取材を2件こなす。
若い職業婦人向けの情報誌と、セレブのスキャンダル記事が人気のゴシップ誌という、質問内容のまるでちがう ふたつのインタビューに応じた後、
(いよいよね……)
 彼女はその場所に足を踏み入れた。
 悪夢の時間―― ブロマイド写真の撮影が、今年も彼女を待っていた。

「次は脚を組んでみましょう。そうです、視線はこちらへ!」
 矢継ぎ早にカメラマンの指示が飛ぶ。
ミレポックの額の汗を誰かがタオルで押さえ、ズボンのしわを別の誰かが直している。
床すれすれにしゃがみこんだカメラマンが、かなり低いアングルから彼女を狙い、それに文句を言いかけると、
「いい表情です! 蔑むように見下す視線が素晴らしい!」
 立てつづけにフラッシュが焚かれた。
 彼女は抗議をあきらめて、照明器具やケーブルの間をせわしなく動き回る人々を それとなく見やりながら、
(まるでマネキン人形になった気分だわ)
 自嘲して、ふっ…と笑った。その瞬間、
「いいですねえ、その顔――。
キツい表情もたまりませんが、笑顔のほうも実にいい!」
 カメラマンの声にフラッシュが重なった。

 ミレポックは今、武装司書時代の格好をしている。
グインベクス帝国陸軍の士官服である。
久しぶりに着る軍服だが、これは彼女が持参したものではない。先方が用意していたのだ。ご丁寧なことに、武装司書のエンブレムや細剣、作り物の『本』まで添えられている。
(わざわざこんなものを作っていたなんて……)
 そう思ったが、ちがうという。
「武装司書の皆さんのコスチュームは、この手の撮影じゃあ定番ですよ。
むしろ、あって当然です。ホラ、これとか――」
 そう言って、助手に持ってこさせた雑誌を開いて見せる。
そこではミレポックと同じ格好をしたシネマ女優が、小型掃除機を手に にっこり微笑んでいた。
 隣りのページには 代行がいた。
うさぎのアップリケのついた白いYシャツの胸元を少しはだけて、長い黒髪を紺のリボンで束ねた若い女が、何故か服を着たまま、シャワーを浴びている。ページいっぱいの大きな写真の下には、
    『ライラ社の最新式シャワーバス!
          美と健康は、毎日の入浴から!』。
「……………」
 ミレポックは 頬が引きつるのを感じた……。

 その後も、撮影はつづく。
華やかな夜会用のドレスに着換えたかと思えば、その次は、緑と白の乗馬服姿でムチを手に。次々に衣装を変え、帽子を換え、扇を持ち、パラソルを差し……。
 熱い照明の下、撮影はかれこれ2時間に及んでいた。
0875==第14話==2016/07/11(月) 21:11:30.07ID:SRyiW2Fq

 カメラマンと助手が ひそひそ話をしている。
(ようやく終わりかしら?)
 と、ミレポックは緊張を解きかけたのだが。
「では、次は………ウェディングドレスは如何でしょう?」
「――!  お断りです!」
「そうですかー。残念ですねえ。
では、キャサリロさんが先日着てくれたようなー、薄絹の水着などは?」
「!? ……どうして私がそんな…!!」
「話題作りです。理事長もご存知でしょう?
この世界に必要なのは、センセーション! インパクト! そうすれば新聞や雑誌が勝手に宣伝してくれます。何と無料でね! さあ、是非――」
 純白のウェディングドレスと真っ赤な水着が、眼前に突きつけられる。
期待と興奮に満ちた視線がいくつも突き刺さり、ミレポックに選択を迫ってくる。
(確かにそうだわ。ブロマイドが沢山売れるのなら……)
 潔癖な彼女も、一瞬だけ心が揺れたのだが。
「イヤです! 絶対にお断りです!」
 別の衣装を要求して、撮影は短い休憩に入ることになる。

(………オリビアさん、オリビアさん)
 目を閉じ、こめかみに指を当てて、彼女は思考をつないだ。
(聴こえていますか、オリビアさん!)
(何だい、一体……。こっちは夜中なんだよ。知ってんだろ?)
(撮影中なんです、今。例の…ブロマイドの。
ウェディングドレスや水着だなんて……。どうしてこんな話になってるんですか!)
(はは、いい宣伝になりそうだろ?)
(冗談はやめてください!)

 そう、これはオリビア=リットレットの発案なのだった。
寄付金つきのブロマイドや絵ハガキのための写真撮影。
その利益が 戦災孤児に里親を探したり、職業訓練を受けさせる活動の支援に当てられるとあって、ミレポックも含め、多くの元武装司書が協力していたのだが。
 一昨年より去年。去年より今年。
年を追うごとに過激になっていく撮影衣装が、ミレポックの悩みの種になっていた。
0876==第14話==2016/07/11(月) 21:16:46.27ID:SRyiW2Fq

(水着姿の撮影なんて、信じられません! 破廉恥です!)
(いいだろ、別に。見せたって減るモンじゃなし)
(そういう問題ではありません!)
(どの途、あんたのファンはブロマイドを買うんだよ。
隠し撮りされた ひどい私服のや、パーティでほろ酔いのあんたの写真をね。
それで儲けるのは、闇の業者だけ。他は誰も得しない。だったら、こっちで仕切って、しっかり稼がなくちゃ。あんたも色んなドレスを着るって約束しただろ)
(……それは、オリビアさんが『慈善は淑女のたしなみ』『偉いやつには、相応の義務がついてまわる』っていうから……!)
(そういうわけさ! じゃ、よろしくお願いするよ。
ウェディングドレスや水着はともかく、せいぜい売れそうな格好しとくれよ)
 面白がっているの彼女の様子が、思考とともに伝わってくる。
(そうだね、予行演習だと思えばいいよ。
あんたの結婚もそろそろだろ? ああ、ウェディングドレスこさえるときは言っとくれよ。あたしがとびっきりのを作ってやるから!)
(…!! ………そんな予定、ありませんっ)
(そうかい? 近頃あんた、妙に色っぽいだろ。
女のあたしでもドキッとするくらい。絶対、男ができたと思ったんだけど?
早く紹介しとくれよ。それとも、もうあたしの知ってるやつなのかい?)
(―― 知りません!!)
 慌てて思考を切る。
「ミレポックさん、そろそろよろしいでしょうか?」
「……はい、今 行きます――」
 椅子から立ち上がり、小走りに駆けながら、
(どうして 分かったのかしら……?)
 オリビアの勘の良さに、改めて彼女は驚かされていた。
そう、彼女は先日 婚約をした。まだ両親にさえ報告しておらず、誰にも気づかれていないと思っていたのだが……。
(ふふ、でも婚約者が彼だと分かったら――)
 そのとき、オリビアはどんな顔をするのだろうか。
密かに想いを廻らせて、くすりと笑うミレポック。今日一番の柔らかな微笑えみが、フィルムの中に切り取られていた。

                         ==第14話 おわり==
0877名無しさん@ピンキー2017/03/29(水) 17:45:28.59ID:lDHkiF9V
婚約者どーなったのか気になる
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