男主人・女従者の主従エロ小説 第五章
0001名無しさん@ピンキー2011/07/30(土) 10:46:07.45ID:GHqSXCqE
男主人・女従者の主従関係ものを扱うスレです。

・英明な王に公私共に仕える美貌の女宰相
・ぼんくら閣下と美人の副官
・屋敷の坊ちゃまとイケナイ関係になる女家庭教師(ガヴァネス)

などなど身分の違いから階級による違い、雇用関係など主従なら何でもあり。
純愛鬼畜陵辱ハーレムなんでも可。エロなしSSでも主従萌えできるなら全然おけ。
“妖魔と主従の契り”とか“俺様魔法使いとドジッ娘使い魔”とか人外ものもドンと来い。

ちなみに一番オーソドックスと思われる“ご主人様とメイドさん”はこっちでもいいけど
専用スレあるので投下は好きなほうにドゾー。

主従SS投下と主従萌え雑談でマターリ楽しくやっていきましょうや。

◇過去スレ◇
男主人・女従者の主従エロ小説 第四章
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293630054/
男主人・女従者の主従エロ小説 第三章
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1222710811/
男主人・女従者の主従エロ小説 第二章
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185629493/
男主人・女従者の主従エロ小説
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164197419/

◇保管庫◇
http://wiki.livedoor.jp/slavematome/d/
0002名無しさん@ピンキー2011/07/30(土) 10:47:19.23ID:GHqSXCqE
◇姉妹スレ◇
【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263220316/

↑こちらは女が主人で男が従者(時と場合により女従者)の主従を扱うスレです。
双子のようなもんで、そっくりですが性質は全く違います。
仲良く棲みわけましょー。

◇その他関連スレ◇

【ご主人様】メイドさんでSS Part10【旦那様】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1283425249/

男装少女萌え【11】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1296266561/

◆ファンタジー世界の戦う女(女兵士)総合スレ 7◆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1292249974/

古代・中世ファンタジー・オリジナルエロパロスレ5
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284381359/
0008旦那様×メイベル 9話目-12011/07/31(日) 12:19:52.56ID:K+FH2oMJ
午後11時。厨房。
メイベルは、主がいつも使っていたティーカップを、探していた。
どれだけ探してもみつからないそれに、彼女は正体の知れない不安を抱く。
―ベティが、屋敷を出た。
使用人たちがそれを知ったのは今朝のことだった。
誘導犬を失った牧羊たちのように、彼らは激しく混乱した。
屋敷のことを知り尽くし、ある意味で屋敷そのもののようであったベティ。
そしてそれを何よりも誇りに思っていた彼女。
彼女がいなくなる。それは、彼らにとってこれまで想像すらしたことのない事態であった。
メイベルは彼らの間で飛び交う噂を、静かに聞いていた。
―まさか、ベティ様がお辞めになるなんて。
―それもきっとみんな、あの子が。
―どんな手を使って取り入ったのかしら。
―興味のないふりをしていたくせに。汚い女。
別荘から戻って2日の間。
メイベルと口を聞いてくれるものはただの一人もいなかった。
0009旦那様×メイベル 9話目-22011/07/31(日) 12:20:42.82ID:K+FH2oMJ
自分は構わない。
代わりのティーカップを温め、紅茶の準備をしながら彼女はそう思う。
疎まれ、無視され、物を盗まれ、中傷されることが、けして辛くない訳ではない。
しかしこうなることは、ずっと前からわかっていたし、
実際、興味のないふりをしていたのも、主と関係を持ったのも本当のことだ。
そんなことよりも、彼女が心配しているのは主のこと。
―半分、母親みたいなものかもしれない。
ベティの事を話すとき、感情をあまり表に出さない彼の顔に、
わずかに親愛の色が浮かぶのを、彼女は確かに認めた。
クリフはベティのことを大切に思っていたはずだ。
それなのに、なぜ彼女は屋敷を出なければならなくなったのだろう?
彼女にはわからなかった。
一つだけはっきりとわかっていることは、明らかに、自分が関係しているということだけ。
長い間、互いにかけがえのない筈であった二人。主従関係を超えたつながり。
それを自分が、引き裂いた。
鉛のように重く暗い罪の意識に、彼女の胸は潰れた。
0010旦那様×メイベル 9話目-32011/07/31(日) 12:21:37.45ID:K+FH2oMJ
ベティに、屋敷に戻ってすぐに、主との関係が彼女に感づかれたことを、メイベルは悟った。
しかし、不思議なことに、ベティは何も言ってはこなかった。
そして昨日の夜。
―お前はもうお下がり。
この厨房で、彼女はティーポットをメイベルの手から奪った。
―今日の給仕はあたしがやる。
口調はいつものぞんざいな調子であったが、様子は明らかにいつもと違った。
いつもは無遠慮なくらいな視線を向けてくるはずのベティの眼は
彼女を通り越してずっと遠くを見ていたし、
その横顔には今までにないような焦燥が見て取れた。
―何をじろじろ見ているんだい。
ベティがそう言ってこちらを向くと、彼女の心臓は縮みあがる。
しかし強い罪悪感と恐怖を感じながらも、メイベルは不思議でならなかった。
なぜ彼女が何も言わないのか。言及することも、怒鳴りつけることも、しないのか。
すると、彼女は独り言のように呟いた。
―愚図だよお前は。だから気をつけろと言ったのに。
その時、ようやくメイベルは、彼女がずっと前から
自分たちの関係を察していたことに気がついたのだった。
言葉に詰まるメイベルに、ベティは不気味なほど静かに言った。
―お前は何にも知らない。でもあたしは、あの方のことをようく知ってる。
ポットの蒸気の向こうで、彼女は決意を固めるように唇をかんだ。
―あたしは、お前が生まれるよりも前から、あの方のことを見てきたんだ。
屋敷の長く、暗い廊下。
ワゴンを押して歩きながら、彼女は不安を感じる。
なにかがおかしい。
ベティのいない空っぽの屋敷。大きな歪んだ変化。
自分の知らないところで、何かが起きている。
少しずつ、ズレのように。
日常に入り込んだ悪意のような不純物が、じりじりと、隠れたところで膨らんでゆき。
取り返しのつかない大きなものとなっていくような、違和感。
しかし、不安に囚われている場合ではない、と自分を奮い立たせる。
主と話をしなくては。
彼女がここにまた戻ってきてくれるように。
クリフには間違いなく彼女が必要なのだから。
―そのためなら、どんなことでもする。
彼女は息を吸い込んで、ノックをする。
ノックは、決まって2回。
0011旦那様×メイベル 9話目-42011/07/31(日) 12:22:45.58ID:K+FH2oMJ

「失礼いたします」
重い扉の奥に足を踏み入れると、机に向かっている主が顔を上げた。
「もうそんな時間?」
彼が笑いかける。
優しい声、穏やかな表情。
メイベルは仄暗い違和感を覚える。
ベティを失ったにも関わらず、彼が、
いつもと何ら変わらない微笑を浮かべていることに。
「今日は何?」
彼女の不吉な予感は、主の顔を見ても消えることはなかった。
鼓動が少しずつ早まるのを感じながら、努めて静かに答える。
「ディンブラでございます」
紅茶を主に差し出した。
「いい香りだね」
クリフが紅茶に口をつけると、彼女は時を待たずに言った。
「旦那様、ご質問がございます」
彼が静かにカップを置いた。
「どうしてベティ様は…お辞めになったのですか?」
鼓動が胸を刺すように冷たく波打つ。
静かな暗い室内で、ランプ中の橙色が揺らぐ。
彼は、少しの間の後、口元から笑いを消し、静かに口を開いた。
「彼女は、使用人として許されないことをした」
そして付け足すように言った。
「僕としても、とても残念だったんだけど」
許されないことをした、ということは。と彼女は思う。
屋敷を出たのは、ベティの意志ではなかったのだ。
メイベルは、血の気が引くような感覚を覚えた。
―彼がベティを解雇したのだ。
「でも、どうして…ベティ様が…」
クリフは、はっきりと言った。
「それを君に話す義務はない」
「私の、せいですか?」
メイベルは動揺し、主の言葉を遮るように口を開いた。
「私のことで、何か、ベティ様が…」
「それは少し違う」
メイベルの声が震えていることを、彼は気づきもしないかのように答える。
「これは、あくまで彼女と僕の問題だから」
0012旦那様×メイベル 9話目-52011/07/31(日) 12:23:57.21ID:K+FH2oMJ
「でも、そんなの、おかしいです!!どう考えても、私のせいで…!!」
思わず、彼女は声を上げた。
激しい罪悪感と動揺が、胸の中を駆け巡る。
「ベティ様がいなくては、このお屋敷は回りません!旦那様だってご存じの筈です!
それに、旦那様は、ベティ様を…大事になさっていたのではありませんか?!」
「…メイベル」
彼は、遮るように、諭すように、彼女の名を呼ぶ。
しかし、興奮した彼女はそれを振り切り、早口に言葉を紡ぎ続ける。
「私のせいで、ベティ様が辞めるなんて変です!
ご迷惑をおかけしたのは私の方です!それならば…」
「メイベル」
「私が辞めさせられるのが、本来なのではありませんか!?」
彼女は詰め寄り、喰ってかかるようにして、叫んだ。
その声の余韻が室内に染み込み、静寂が訪れるまでクリフは言葉を発しない。
彼は眉ひとつ動かさず、彼女の瞳を覗き込むように見ると、確認した。
「それ、どういう意味?」
そのとき、彼の眼からは一切の表情が消えていた。
しかし、平常心を失ったメイベルはそれに気がつかない。
「代わりに、私を首になさって下さい」
メイベルは怯まずに、彼をまっすぐに見つめた。
「そんなことを僕が認めると思う?」
「ベティ様をお辞めさせになるのなら」
それはメイベルを突き動かしてきた信念の問題であった。
勢いだけで言っているわけではない。
ただの一使用人の自分が。
個人的な問題のために屋敷の秩序をかき乱した上、
他人を、それもメイド長を、犠牲にするなどということは、
自分にとっては絶対に受け入れられないことであった。
それが、たとえ。
―愛する彼と、二度と会えなくなることであろうと。
メイベルははっきりと口にした。
「私が出ていきます」
そして、その時。
メイベルはようやく、異変に気がついた。
―彼が。笑っている。
0013旦那様×メイベル 9話目-62011/07/31(日) 12:25:03.00ID:K+FH2oMJ
「わかってないね」
彼は笑っていた。
くすくすと、さも可笑しそうに。彼女をからかって笑う時と、全く同じ顔で。
蛆のように、足元から這い上がる不吉な感覚。
彼女がそれを知覚するのとほぼ同時に、彼は言った。
「ロベルタ」
メイベルは、耳を疑う。
さあっと体中を寒気が走り抜け、彼女は思考のバランスを失う。
名前。
懐かしく。
恐ろしく暗い響き。
それは。
今まで人には話してこなかった、名前。
―わたしの、本名。
「メイリーン・ロベルタ・ジャレット」
彼は、まるで歌の歌詞を諳んじてみせるように、すらすらとそれを口にした。
「生まれは貧しいスラム街。母親はろくでもない娼婦、父親は不明。
酒浸りの母親に、毎日のように殴られながら育ってきた」
状況が理解できない。
彼女の理性は、それを受け入れることを拒否していた。
膝だけが、がくがくと嘲笑うように震えていた。
―これは。
彼女の脳は軋む。
―夢?
「13歳の時に売春宿に売られ、客を取らされる一歩手前で逃げた。
そこをたまたま運よく、通りがかったアルバート家の令嬢に拾われた。
…あそこの一人娘はもの好きで変わり者でよくモノを拾うって、とても有名だ」
主ののんびりとした声はどこまでも、滑らかに続く。
多くの話を彼女に話して聞かせてくれた、それと同じように。
―しかしこの聞き覚えのある、物語は。
「だけどそのお嬢様も程なく家出…行方知れずになってしまうと、
それ以上そこに居られなくなって、あっさりと追い出された。
だけどその屋敷で、血のにじむような努力をして、優秀なメイドになっていたから―」
彼の言葉は呪文のように、彼女の自由を奪う。
「その働きを買われてこの屋敷に来た。それが3年前。つまり」
彼はとびきりの笑顔を作ってみせた。
「16歳の時の、君」
0014旦那様×メイベル 9話目-72011/07/31(日) 12:25:54.96ID:K+FH2oMJ
確かにそれは、彼女が長い間焦がれ、憧れ続けた、その笑顔。
目の前にいるのは、間違いなく、彼女が愛してやまなかった。
自分の主人。
「もう一度、よく考えてごらん」
顔を少し傾け、彼は極めて優しくメイベルの言葉を促した。
「…僕から、逃げられると思う?」
彼女は思わずよろめき、ワゴンに手をつく。
茶器ががちゃん、と粗雑な音をたてた。
しかしその音も、うまく耳には届かない。
「…ど…どう、して…」
「使用人の素性を調べるのは、雇用主としては当然だと思うけど」
喉からようやく絞り出した彼女の言葉を、クリフはあっさり受け流す。
「屋敷に変な鼠が、紛れていると困るから」
そして、彼は立ち上がる。
ランプの光に照らされ、ほっそりとした長身が、壁に影を映す。
得体のしれないその黒い塊。喉の奥に走る、冷たい感覚。
知っているはずの、知らないはずの。端正な彼の顔。
その顔は、紙のように白く、まるで、死人のそれのような、色。
「…こ、…ないで…」
恐怖に駆られ、言葉が思わず彼女の口をついた。
「来ないで?」
その時。
それまで変化のなかった彼の表情が、見たことのない形に歪んだ。
「誰に向かって口を利いてるの?」
0015旦那様×メイベル 9話目-62011/07/31(日) 12:28:37.86ID:K+FH2oMJ
そして。
背中に大きな衝撃が走り、彼女は自分が床に引き倒されたことに気がついた。
クリフは覆いかぶさり、彼女の唇を塞いだ。
驚くほど冷たい舌に、口の中を犯されながら、メイベルは混乱する。
どういうことなんだろう。
主がなぜこんなことをするのだろう。
いつも優しかった主。宝物を扱うみたいに、大切にしてくれた彼。
これは悪い冗談なのだろうか。
いつもの意地悪で、私のことをからかっているだけで。本当は、ぜんぶ、嘘で―
しかし、何をいくら考えても、彼女の体の震えは止まらない。
クリフの手が引き裂くようにして乱暴に、彼女の衣服の前を開く。
息が詰まるほど愛しく感じたその大きな手が、その広い肩が。
彼女に数え切れないほど多くのものを与えてくれた瞳が。
見たことのないような、悪意に染まっている。
「…あ…っ!」
―なに?
恐怖と混乱に支配されながらも、メイベルは自分の体に触れられた瞬間、
火のつくような快感が走ることに、驚愕した。
―なに、これ。体が。
次の瞬間、抗いがたい程の快感が、わずかに残された思考さえを奪おうとする。
「あ、あっ…!」
心はそれを拒否しているにも関わらず、
肉体はコントロールを失ったように狂おしいほどに彼を求める。
自分の体が、別の意志を持っているように、彼に服従している。
欲望に呑まれることを、望んでいる。
「君は僕のものだよ」
耳からぞっとするような声が、メイベルの思考に、割り入ってくる。
「い、や…っ!」
絶望。恐怖。愛情。混乱。絶望。悲しみ。快感。衝撃。嫌悪。
まとまりのないさまざまな感情に手足を引っ張られ、彼女はどうすることもできない。
「ねえ、わかる?」
彼は耳元で囁き続ける。
「君はもう、僕なしではいられないってこと」
「ん…んんんっ…!」
「本当に君は。どうしてこんなに可愛いんだろう」
―いや。
彼は、烙印を押すようにして、言った。

「絶対に、逃がして、あげない」
0016旦那様×メイベル 9話目-9(終)2011/07/31(日) 12:31:56.69ID:K+FH2oMJ
略奪されるように、捕食されるように。
彼女の体は犯される。
「あ…ああ、いや…っ…あああ!」
呼吸が早まり、彼の冷たい指が、膚が、ぐちゅぐちゅと絡みつく。
彼女は解剖される蛙のように、体を開かれ、されるがままに嬲られる。
擦られ、かき回され、舐られ、まるで玩具のように扱われて。
凍りつくほど不快なのに、信じられないくらいに気持ちがよくて。
愛してやまないのに、心の底から恐ろしくて。
「はぁ…、ん、ぁ…ああっ…」
―こんなの、いや。こんなの、おかしい。こんなの。
彼女の理性が、重力を失い、ばらばらに飛び散りそうになる。
―もうやめて…
叫びは声にならない。
―やめて…
彼女の声は、どこにも届かない。
―やめて。

ぶつり。

その時、何かが切れるような奇妙な音がした。
快楽が体から蒸発するように消えてゆく。
気がつけば、彼女は現実から隔離され、不思議な程、落ち着いていた。
メイベルは思い出す。
これまでにも、こうした体験をしてきたことを。
母親に、酒瓶で一晩中殴られ続けたときも、
空腹のあまり盗みを働き、骨が折れるまで蹴られたときも、
前の屋敷で、他の使用人の気に障り、何時間も打たれたときも。
こうすれば、大丈夫だった。
体の感覚が切り離されれば、彼女はどこまでも安全で、守られた。
平気だ。なんのことはない。
彼女は思う。
いつだってこうして耐えてきた。ひとりで。
どんなにつらいことでも。
どんなに苦しいことでも。
どんなに悲しいことでも。
たったひとりで。
彼女は、ぼんやりと、自分に覆いかぶさっている男の姿を眺める。
底の見えない飢えに取り憑かれた男。
その肩越しに、窓の外がゆっくりと白んでいくのが見える。
樹が風に揺れ、鳥が鳴き、夜明けが来ることを彼女は知る。
―はやく、どけてくれないかしら。
メイベルは醒めた目で男を見る。
じきに朝が来るというのに、いつまでもこんなことをしている暇はない。
―わたしは
彼女は思う。
―寝起きの悪いあの人を、起こしに行かなければならないのに。








0017名無しさん@ピンキー2011/07/31(日) 14:11:00.80ID:q//PPveM
おおう…!! 急展開が続く!!
旦那様がいよいよ黒旦那様に!!
0018名無しさん@ピンキー2011/07/31(日) 17:22:35.42ID:ilK78bNs
防波堤だったベティがいなくなるとは…。
メイベルには幸せになってほしいけど、どうなっちゃうんだ!
投下サイクルが速くて嬉しいです!
0019名無しさん@ピンキー2011/08/01(月) 12:13:23.40ID:01LROSrE
GJです。
しかし初めのうちは割とほのぼのしていて可愛らしい二人だったのに怒涛の急展開。
メイベルにそんな過去があったとは。
クリフの謎も気になるし恐いよ。メイベルをどうしたいんだ。心配だ。



0020名無しさん@ピンキー2011/08/01(月) 12:28:42.36ID:Ws+PACXg
前スレ>>535に以下レスしようとしたらもう書けないんですね
なのでこちらに

>>535
続きずーっと待ってましたupthxGJ!!
「渇いた愛」の裏でアーネの心情はどうだったのか気になっていました
これからも心待ちにさせていただきます
0021名無しさん@ピンキー2011/08/01(月) 13:48:07.97ID:01LROSrE
アーネの作者さんもGJ。

本当に産みたかったのか。
中絶は殺人。そんな罪は犯せない。
だから殺したくない>産みたいだと思っていた。

話が進む程にアーネに違和感を感じてきていたけど、レイプが精神的殺人
というのはこういう事なんだよな。
まともな思考ではないけれど、そもそも状況がまともではないからか。
なんだか子供が希望みたいに思えてきてしまっていたとか本当にアーネが不憫
でならない。

司祭様も子供が支えというなら生きていてくれるように励ますしかないよな。
完全に精神崩壊する前に助け出されると良いけど先が見えない感じだ…。

しっかし旦那様はアーネの行動は当然監視していて相変わらずのキモさウザさ。
これで子供が無事に産まれていたらますます付け上がるだろうからよかったよ。
0022名無しさん@ピンキー2011/08/01(月) 14:06:01.16ID:ia3p7yzF
アーネGJ

これって話的には子供が息子の子供なのかって疑ってたあたりかな?
続き楽しみです
0023旦那様×メイベル 10話目-12011/08/01(月) 19:30:55.44ID:BpPhNP+x
今でも鮮明に思い出す。
1年ほど前、夜中に目を覚まし、たまたま、廊下から中庭に目をやった時に、
そこにいるメイベルを見つけた時のことを。
草花に囲まれ、制服でないぼろぼろの服を着た、長い髪の幼い娘。
しばらく見なければ彼女とはわからない程、別人のような彼女の姿。
彼女は真夜中の庭に腰をおろし、空を見上げ、所在なく手足を投げ出していた。
呆けたような、なにもかもから解放されたような、のびやかな表情。
目を閉じ、頬に受ける風を感じているその横顔。
その豊かな表情に、クリフは思わず息をのんだ。
―本当は、どんな子なんだろう?

―メイベル・ジャレットと申します。
3年前、彼女が初めて屋敷に現れたとき。
特に珍しくもないような、どこにでもいるような、若いメイド。
第一印象はそうだった。
しかし、その日から少しずつ、屋敷には
注意しなければ気がつかないようなわずかな変化がもたらされていった。
たとえば、それは、目立たないところにそっと飾られた花であったり、
タオルに少しだけ振りかけられている香油のよい香りであったり、
ぴかぴかに磨かれていた書斎の古びた掛時計であったり、
驚くほど鮮やかな風味の紅茶であった。
担当の名を尋ねると、その答えはいつもメイベルだった。
なかなか出来ることではない。
彼は思う。
若い使用人たちの多くは、自分たちの不遇さを嘆き、
毎日を生きてゆくためにただ与えられた仕事を表面的にこなし、
そして、隙あらば何かを得ようとした。
つまみ食いをしたり、手を抜いたり、時としてそれは盗みの形をとることもあった。
メイベルはその中で、異質だった。
徹底的な、あるいはそれ以上の仕事をしながらも
それをけして人目に触れさせようとはしなかった。
褒められても嬉しそうなそぶりひとつ見せなかった。
しかし、彼女の仕事には必ず誠意と真心があった。
彼女は意識的に隠しているのだ、とクリフは思った。
―自分に似ている。
メイベルは黒子のような使用人を完璧に"演じている"のだ、と。
0024旦那様×メイベル 10話目-22011/08/01(月) 19:33:10.01ID:BpPhNP+x
そして今、クリフはメイベルの膚を撫でながら考える。
―果たして彼女は自分に似ていただろうか?
暗い書斎。
メイベルの体の曲線が、ランプの光を浴びて、闇に浮かびあがる。
荒い呼吸が、静寂をかき乱す。
ビクビクと痙攣するように彼女の体は反応する。
メイベルの体を愛撫しながら、彼は思いだす。
彼女の顔。
動揺して口ごもるときの、慌てた表情。
不安に囚われ、涙をにじませる、頼りなげな表情。
見つめたとき、恥ずかしそうに顔を背ける表情。
自分の考えを述べるときの、真剣な表情。
快感にうっとりと乱れる甘い表情。
彼女が見せてくれた様々な、
―そしてあれ以来、失なわれてしまった表情。

固い石の床で、机で、ソファの上で。
クリフはこうして毎夜のように、彼女の体を犯した。
メイベルは何の抵抗もせず、されるがままに抱かれた。
彼女の体は反応した。
しかし顔は、抜け殻のように何の表情も浮かべていなかった。
―どうしてこんな風になってしまったんだろう?
彼は、いまだに現実感を失ったまま考える。
失ってしまうくらいなら、いっそのこと閉じ込めてしまいたい。
逃げられないように、自分だけのものにしてしまいたい。
それは叶ったはずだった。
しかし。
彼は、腕の中で力を失っている彼女の体を眺める。
あの娘を囲うつもりか、とベティは言った。
そんなつもりはなかったのに、と彼は思う。
なのに今、現実に、自分は彼女をそうしている。
彼女を奴隷の身に貶めている。
―俺がしたかったのは、果たしてこんなことだったんだろうか?
0025旦那様×メイベル 10話目-32011/08/01(月) 19:34:04.94ID:BpPhNP+x

彼は、焦燥と混乱に焼かれながら、奇妙な冷たさを感じる。
メイベルのことを、愛していただけなのに。
彼女を大切にしたいと思っていたはずなのに。
今も自分は恐怖に駆られ、彼女をこうして傷つけつづけている。
こんな風に彼女を抱きたくはない。
しかし、それ以外に、彼女をつなぎとめる方法が彼には、わからない。
彼女の心を、粉々にしてしまったとしても。
―身動きができない。
どうすればよかったんだろう?
体を寄せているのに感じる、この絶望的な孤独感は。
愛しているはずなのに、こんなにも恐ろしいのは。
体をつたう、凍りつくほど冷たい汗は。
これは悪い夢なんだろうか?
いたいけな小さな女の子。
驚くほどプロ意識が高く、不器用で自信がなく、
思い込みが強くてすぐ不安になる、愛しい娘。
その全てを自分は確かに愛したはずなのに。
なのに。
0026旦那様×メイベル 10話目-42011/08/01(月) 19:35:07.68ID:BpPhNP+x
「ねえ、メイベル」
細い腰を引き寄せ、彼は彼女の名を呼ぶ。
「メイベル」
顎に指をかけ、こちらを向かせる。
「こっちを見て」
メイベルは、はい、と短く答え、その瞳をクリフに向ける。
空っぽの瞳。
クリフはぞっとする。
その瞳は、
人形のように乾ききり。
何の感情もなく、知らない人間を見るような目。
彼は悟る。
ここには、もう彼女はいない。
彼女は、もう、
失われてしまったのだ、と。
彼女の心を壊したのは、自分。
そして。
その眼の奥にいるのは。
―昔の自分。
恐怖で叫びだしそうになるのを彼は必死に呑みこみ、彼女の体を突きあげる。
俺は。
今、どこにいるんだろう。
何をしているんだろう。
家族を失って。
自分を失って。
ベティを失って。
そして、今。
メイベルを失って。
俺は。
―お前は。
ベティの冷たい声が聞こえる。
―死人も、同然だ。
0027旦那様×メイベル 10話目-5(終)2011/08/01(月) 19:35:54.68ID:BpPhNP+x

「手紙を書いてあげる」
行為の後、仰向けに体を横たえたままのメイベルに、クリフは言った。
「新しい勤め先への紹介状」
その時、ぼんやりと天井を眺めていた彼女の顔が、わずかに動いた。
彼は顔を背ける。彼女の表情を覗き込む資格は、自分にはもはやない。
「自由にしてあげる」
彼は自分に命じる。
―さあ、笑え。
「君にはもう、飽きちゃったから」
彼は振り向く。
自分にできる最も美しい、笑顔を浮かべて。
0029旦那様×メイベル 11話目-12011/08/01(月) 19:38:34.04ID:BpPhNP+x
深夜。
メイベルは中庭で、膝を抱えていた。
大きな月。建物に囲まれた限られた面積の緑。
何かあったとき、彼女は、人目を忍び、真夜中の庭でこうして過ごした。
ここで風に当たると、不思議と心が落ち着いた。
3年と少し。その生活が、今、終わろうとしている。
メイベルは手のなかの手紙に目をやる。
そこに書かれているのは彼女の、次の行き先。
―君にはもう、飽きちゃったから。
彼の冷たい声の色。
不思議とショックは受けなかった。
きっと、受け止めたら耐えきれないからだ、と彼女は冷静に分析する。
この現実を。
彼が自分を、棄ててしまったことを。

意識は霧に包まれたように、ぼんやりとする。
冷たい風が吹く。
関節が痛み、体の奥がひりひりした。
繰り返されてきた凌辱に、彼女の体は摩耗していた。
しかし心は奇妙に落ち着いており、神経はどこまでも醒めている。
彼の冷たい眼、歪んだ空気、そして、乱暴な行為。
メイベルは、夢を見ているような気分で思い返す。
どこからどこまでが、自分の身に起こっていることなのだろう。
旦那様は初めからこうするつもりだったのだろうか。
みんなみんな、本気じゃなかったのだろうか。
たくさんの話をして、お茶を飲んだことも。
時には怒られて、叱られたことも。
優しく褒めてくれたことも。
からかわれて、笑われたことも。
抱きしめて、キスをしてくれたことも。
一緒に食事をして、お風呂に入ったことも。
そして何度も、やさしく抱いてくれたことも。
0030旦那様×メイベル 11話目-22011/08/01(月) 19:39:25.52ID:BpPhNP+x
みんな、みんな、嘘だったんだろうか?
鼻の奥が、つん、と痛む。
いけない、泣いてはいけない。
そう自分を律しかけて、そして彼女ははっとする。
―何を言っているんだろう、わたしは。
彼女は我に返る。
―泣かないと誓ったあの人は。
もう、わたしのことなんて必要としていないのに。
それを合図にするように、ぼろぼろと涙が目から溢れだした。
だめだ。
糸が切れたように、彼女の心はあっけなく崩れる。
だめ。
もうこんなに彼が、自分の中に染み込んでいる。
彼の言葉は、一緒に過ごした時間は、
すっかりわたしを変えてしまって、もう、もとに戻すことができない。
あんな風に優しくされて、そして、ぐちゃぐちゃに傷つけられて。
それでも。
嫌いになれないなんて。好きだなんて。そばに置いてほしいだなんて。
使用人のくせに。
ばかみたい。
彼女は声を上げ、幼い子供のように大声で泣いた。
0031旦那様×メイベル 11話目-32011/08/01(月) 19:42:58.31ID:BpPhNP+x

どれくらい時間がたったかはわからない。
泣き疲れて、もう声もまともに出なくなったころ、
やがて、手紙を涙で濡らしてしまっていたことに、彼女は気がついた。
―いけない、これを汚してしまっては。
封筒の中の手紙を取りだす。まだ目を通していなかった彼女の、新しい、行く先。
―こんなものもう、どうだって、いいのに。
それでも本能は、生き抜くため、これが自分にとって必要なことを知っており、
彼女の手は、意志とは無関係に手紙を開く。
行き先を見て、彼女は、驚いた。
そこにあるのは、有名な篤志家の名前と、住所であった。
孤児院をいくつも持っている、人格者として有名な老婦人の小さな邸宅だった。
わがままな主に振り回されることが多い使用人たちの誰もが、
広い屋敷の手入れに苦慮することの多い使用人たちの誰もが、
希望するような理想的な仕え先。
そこにメイベルは、確かに。

―彼の愛情を、感じた。

彼女は酷く混乱する。
旦那様は、なぜこんなところに手を回してくれたんだろう。
慎ましい生活を好むというあの老婦人は、使用人もほとんど使っていないと聞く。
まして新たな使用人など必要としていないはずだった。
頼み込んでくれたのだろうか?
この僅かな期間で?
あの忙しい彼が?
彼女は、クリフの費やした労力を考え、気が遠くなる。
飽きたなら、そのまま捨てればいい。
使用人の新しい勤め先なんて、わざわざ世話する必要はない。
メイベルは、メイドが性的に搾取されるのは珍しい話ではないことを知っていた。
その多くのメイドたちはいいように扱われた末、不要になればそのまま放り出されていた。
―でも、旦那様は、違う。
彼女は思う。
現実に彼はメイベルのために、これまで、多くのものを費やしている。
最初から、遊ぶつもりであれば、けしてこんなことはしない。
頭のいい彼ならば、その気になれば、もっと効率的にできたはずだ。

0032旦那様×メイベル 11話目-42011/08/01(月) 19:44:10.41ID:BpPhNP+x
―なにか、事情があるのだ。
途端。
彼女の眼は醒めた。
泣いている場合ではない。
感傷に流されて、自分のことだけ考えている場合ではない。
逃げないと決めたのではなかったのか。
最初から許されない相手を好きになり、
その道行きが辛いことくらい、わかっていたことではなかったか。
それでも、彼のことを愛したのではなかったか。
―逃げるな、ロベルタ。
メイベルは自分に言い聞かせる。
もし、主が。
もし、自分のことを、まだ、愛してくれているなら、
事情が合って自分を遠ざけようとしているのなら、
彼は辛い気持ちでいるのに違いない。
自分だって、まだ、こんなに彼のことを思っている。
なのに、それを放り出して、
言われるままに、逃げるのか?
彼女は激しく左右に首を振る。
逃げてはいけない。
どんなに辛くても、痛くても。
遮断してはいけない。自分の体で受け止めなくてはいけない。
取り返しのつかないようなことが、起きたとしても。
―事情があるとすれば、何だろう。
彼が自分に言わない、言えない事情。
自分に何か、隠している、事。
ここ数日の彼の様子を思い出す。
彼女を抱いている時、彼はけして愉しそうではなかった。
むしろ、何かから逃げているような、溺れているような。
それが本当ならば。彼が辛い思いをしているのなら。
彼女は思う。
―何としても、彼を、助けなくては。
0033旦那様×メイベル 11話目-52011/08/01(月) 19:45:25.30ID:BpPhNP+x
彼の様子が明らかにおかしくなったのは、いつからだろう。

彼女はベティが出て行った時のことに思い至る。
"使用人として許されないことをした"と彼は言った。
あのベティが、自分が話すことが主の気に障るかどうかくらいのことを、
見極められないはずはない。
ということは、彼女は、追い出されることを覚悟の上で彼に何かを言った。
前夜に会ったベティの様子を思い出す。
いつもと違うベティの強張った顔、なぜかメイベルをろくに怒ることもなく、
決心をしたような顔で主のもとへ向かった彼女。
ベティは何かを知っていたのだ。
そして、怒っていた。メイベルではなく、彼のしたことに。
なぜだろう?
そして彼女は言った。
―あたしは、お前が生まれるよりも前から、あの方のことを見てきたんだ。
彼女はその言葉に、はっとする。
以前に違和感を覚えたが、すぐに忘れてしまっていた、彼の言葉。
―仕えてもらってもう…今年で、そうだね、ちょうど16年。
メイベルは今年で19歳―つまり、19年以上前からベティは彼を知っていたという。
しかし、仕えたのは16年前から。
メイベルは、喉の奥に、奇妙な冷たさを覚え、ぞっとする。
―勘定が、合わない。
そして。
ベティがよく口にしていた"屋敷に仕えて20数年来"という言葉。
彼らの言葉がどれも正確だとするならば。
ベティは20年以上前から屋敷におり、16年前からクリフに仕え始めた。

つまり。

その以前に。彼女は。この屋敷で。
別な主に仕えていた。
0034旦那様×メイベル 11話目-62011/08/01(月) 19:46:26.40ID:BpPhNP+x
―どういうことだろう?
開けてはいけない箱を手にしているという感覚に、メイベルの心臓が高鳴る。
しかし、もう、引き返すことはできない。
ベティの前の主人について、彼女は考える。
使用人が、同じ屋敷で別の当主に仕えるということ。
一般的に考えれば、前の主は彼の父親だという可能性が高い。
父親がいなくなった後にクリフが当主になった―
つまりベティは2代にわたってクリフの家族に仕えたというのが、
もっとも有り得る話であった。
しかし、使用人は普通、当主の家族全てに仕えるものであり、
彼の父に仕えていたならば、その間、彼女はずっとクリフにも仕えていたことになる。
そうなれば彼の"自分に仕えてもらって16年"という表現はおかしい。
つまり。
可能性として高いのは。

―16年前までは、彼と血縁関係にない者がこの屋敷の当主だった。

16年前。
現在33歳の彼が、17歳の時。
17歳?
その若さで、当主になるとは、どういうことなのだろう。
前当主が彼の父でないとすれば、家の資産を引き継いだというわけではなさそうだ。
家族はいない、と彼は言った。
いないというのは、どういう意味だろう。
なのに、なぜ彼がここの主となったのだろう。
前の主はどうなったのか。何者なのか。
そして、そもそも―
ベティはなぜ、彼が当主になる以前から、彼のことを知っていたのだろう?
0035旦那様×メイベル 11話目-72011/08/01(月) 19:48:07.85ID:BpPhNP+x
メイベルは思い出す。
時折、主の様子がおかしかったことを。
装うのが上手な彼は、めったにほころびを見せることはないが、
それでも、違和感を感じることが時にあった。
個人的な話。そして、家族の話。
―君がなってくれるっていうなら、別だけどね
今思うと、彼はあの時、明らかに話を逸らした。
彼女にそれ以上、話したくなかったということ。
そして、話したくないということすら、彼女に悟られたくなかったのだ。
メイベルは注意深く記憶をたどる。
クリフは唐突に何かをすることが多かった。
突然キスをしたり、抱きしめたり、驚くような言葉を言ったり。
自分に動揺を与え、その反応を楽しんでいるのとばかり思っていたが、
その裏に、彼は巧妙に何かを隠していた。
―わたしは、何も知らなかった。
メイベルは今になって痛感する。
彼を見ているつもりで、何にも見ていなかった。
いつも自分の気持ばかりに振り回されて。
彼の考えてることにきちんと注意を向けていれば。
でも、今は後悔をしている暇はない。
0036旦那様×メイベル 11話目-8(終)2011/08/01(月) 19:50:02.27ID:BpPhNP+x
思い出せ。
メイベルは呪文のように強く自分に言う。
なんでもいいから、思い出せ。なにか、おかしなこと。
―この手のカギはね、ちょっとしたコツがあるんだよ。
そうだ。
使用人室の鍵をなぜ彼は開けることができたのだろう。
豪奢で丁寧な作りの鍵と違い、内側から板を挟むだけの簡単なもの。
普段は使う機会など、全くないはずのそれを、彼は開けた。
思えば。
使用人たちの事情に、彼は驚くほど詳しかった。
日中ほとんど屋敷を開けているにもかかわらず、彼らの生活、仕事の内容。
そして使用人たちが隠れてつまみ食いをしていることまで。
そんな裏方のことを、他の屋敷の主人は、果たして知っているだろうか?
―まさか。
ぐらりと、視界が震える。
メイベルは動揺する。
自分の導き出した結論が、あまりに信じられない突飛なものであることに。
―でも。
メイベルは、思う。
主が、屋敷を空けてあちこちの地方に行くことが多いことも、考えてみれば珍しい。
屋敷を持つような特殊な階級の人間は、自分から動くようなことはあまりしない。
人を使って行かせるか、相手を自分の屋敷に招くかがほとんどであった。
しかし、彼はそれをしない。
それができない理由があった。自ら行かなくてはいけないような、理由。
それは、彼女の導いた答えと一致する。

行かなくては。
メイベルは、裾についた草を払って立ち上がる。
涙を吹く。腫れた瞼の感触がしたが、構わない。
綺麗に手紙を畳み直してポケットに入れる。
―今度こそ、泣いたりはしない。
前の主のことを調べよう。
そして、行くのだ。
もう一度。
―愛しいあの人のところへ。
0037名無しさん@ピンキー2011/08/01(月) 21:36:40.18ID:VBhMO59Z
>>36
暗黒展開は急ピッチで終わってくれそうな予感!!
メイベル頑張れ!! 旦那様をなんか幸せにしてやってくれ!!


それと、前スレのアーネの作者さんも、後1レス分投下がまだなので、待ってます
前スレがもう容量いっぱいで間もなく落ちると思うので、前スレ追えてない人もいるだろうし
保管のこともあるので、こちらにはじめから投下しなおしてくださいお願いします
0038名無しさん@ピンキー2011/08/01(月) 22:23:48.94ID:6+8s4Ge6
うおおお、何だか明るい兆しが見えてきて嬉しい!メイベルに惚れそうです
0040旦那様×メイベル 12話目-12011/08/06(土) 14:03:12.53ID:E5bKuPXx
そして、彼は地面に膝をつき、嘔吐を繰り返していた。
喉の奥が酸と嫌悪感で焼けつく。
胃の中はとうに空っぽだった。吐き出せるものはもう何もないはずなのに、
体の奥を何度も不快感がせり上がり、彼は咳き込む。
酷い匂いだ、と彼は思う。
品のない香水と体液の匂い。そして猫の死体のような腐臭。
―耐えろ。
彼は、自分に命じる。
―もう少しだけ。あと少し、我慢すれば。
猛獣を宥めるように、自分の感情を押さえつける。
彼には、抑え込まれた不快感が自分を中心から確実にすり減らしてゆくことも、
その空洞が取り返しのつかないほどに広がってゆくことも、十分にわかっていた。
しかし、それでも、耐える必要が彼にはあった。
ふと、そのとき地面に影が落ちる。
顔を上げるとそこには、見慣れた顔がある。
彼女はそっと、彼の隣に水差しを置く。
いつもどおりの不機嫌そうなその顔には、侮蔑も哀れみも同情も浮かんでいない。
他の使用人たちが遠巻きに見ている中で。
彼女だけは。
そうやって。黙って近くに、いてくれた。

―こうして昔のことばかり、思い出す。
クリフは思う。
どれも、何年もかけて奥底にしまい込んできた、見たくもないものばかり。
書斎で、ぼんやりと歪むランプの灯を眺めていた。
夜の闇を湛えた窓が、彼の姿を鏡のように映し出す。
彼は自分の顔が嫌いだった。
人に取り入るには便利な顔。しかし血の気のない死人のようなその眼を、
彼は直視することができず、こうしていつも目を背ける。
0041旦那様×メイベル 12話目-22011/08/06(土) 14:03:48.71ID:E5bKuPXx
彼は絶望していた。
ブレーキの壊れた乗り物のように、自分が制御を失ってしまったことを。
自分の感情の箍が外れ、中から驚くような醜いものばかりが溢れでることを。
彼女の手足をもぐようにして、彼女の心を粉々にしたことを。
そして。
自分には、まともな形で人を愛することなど、出来ないということを。
―自由にしてあげる。
それは彼に残された、最後の良心だった。
彼女をこれ以上壊さないように。
自分と同じような目に遭わせないように。
なんとか正気を保っていられるそのうちに。
いや。
しかしそれはただの綺麗事にすぎないのかもしれない。
本当は。
彼女の中にいるもう一人の自分に、出会うのが怖いだけなのかもしれない。
彼女が自分のせいで壊れていくことから、目を背けたいだけのかもしれない。
別人のように変わってしまった彼女に価値を感じなくなっただけなのかもしれない。
もう彼には、どれが本当のことなのかはわからなかった。
自分の考えも現実に起こっていることも、正しく理解することができなかった。
それでも、一つだけはっきりしていることは。
―自分に彼女を幸せにすることはできない。
ノックの音が聞こえて、彼は振り返る。
こんなに時間に自分を訪ねてくるものは、
もう、ひとりしかいない。
―メイベルだ。
雑音は止まない。薄ら寒い恐怖。胸は、張り裂けそうに痛む。
しかし、ドアが開くその時、彼はすぐに表情を作ることができた。
こんなときですら、嘘をつくことはたやすい。
彼は思う。
ずっと自分は、こうして嘘をついてきたのだから。
0042旦那様×メイベル 12話目-32011/08/06(土) 14:05:30.02ID:E5bKuPXx
「失礼します」
彼女は、ドアのところで深々と頭を下げた。
メイベルは制服ではなく、
彼が贈ったワンピースを身に着けていた。
「何しにきたの?」
彼は出来るだけ冷たい口調で言った。
出ていくことを言い渡したあの日から、数日。
彼は一切メイベルを書斎に呼ばなかった。
紅茶の給仕も別な使用人にさせ、彼は徹底してメイベルを遠ざけた。
自分の気が、変わらないように。彼女に、悟られないように。
「どうしてもお話したいことがあって参りました」
メイベルは真っ直ぐに彼を見つめる。
クリフは、言葉を失う。
久々に見るその眼は亡骸のような、あの目では、ない。
「そんなもの、僕にはない」
「覚えていらっしゃいますか、旦那様」
彼の言葉が聞こえていないかのように、メイベルは静かに言った。
「わたしは前に、ここで、あなたに怒られました。
君は、思ってることを言わないで不安を隠して、うわべだけ繕うって。
人の言葉を信じようともしない って」
綺麗に梳かされ、整えられた髪。果実のように赤い、小さな唇。
クリフは驚く。
今なお彼女の美しさが損なわれていないことに。
そして、自分が彼女を求めてやまないことに。
「お話しくださいませんか?何を隠していらっしゃるのか」
「隠す?」
「クリフ様が急に人が変わったようになられたことに、何の理由もないとは思えません」
彼女は、目を逸らさずにはっきりと口にすると、頭を下げた。
「…ごめんなさい」
仕事の時の完璧な形のお辞儀とはまるで違う、不器用な謝り方だった。
「わたしはいつも自分のことばかり考えて、
クリフ様がお辛い気持ちでいらっしゃったことに、気がつきませんでした」
じり、と奇妙な感情が胸を刺すのをクリフは感じる。
勘づかれてしまったことへの焦燥、そして、苛立ち。
今更になって。彼は思う。
メイベルはなぜこんなことを言い出すのだろう?
0043旦那様×メイベル 12話目-42011/08/06(土) 14:06:58.63ID:E5bKuPXx
「ずいぶんおめでたいんだね、君は」
自分の声がひどく不愉快そうな響きを帯びているのに気がつき
その時、ようやく彼は、自分が彼女を憎んでいることを理解した。
「仮にも主人の僕が君を相手にすると、本気で思ってたの?」
自分は確かに、何もかもを隠しおおせようとしているその一方で、
そのことに彼女が全く気がつかずにいたことをどこかで憎み、
豹変した彼に抵抗すらしなかったことをどこかで―
身勝手に恨んでいた。
「僕は君の反応が面白かっただけ。でもそれももう、おしまい」
しかし、メイベルは、全く怯まなかった。
「それでも私は…あなたを信じます」
「残念だけど君の戯言に付き合ってる暇はない」
心臓が煩いくらいに高鳴る。しかし、彼は侮蔑するように冷たく笑う。
「出て行ってくれる?」
その時。
メイベルははっきりと、言った。
「それはできません」
クリフは驚く。
どこまでも従順だったメイベルが、はっきりと主の命を拒否した。
強い意志を宿した瞳。ベティと同じようなその目。
そして、メイベルの次の言葉に。
彼は耳を疑った。
「クリフ様は、16年前にこのお屋敷の主人になられましたね」
脊髄を引っ掻かれるような強烈な悪寒がした。
やめろ。と彼は思う。
まさか。お前は。
何を、知っている?
「わたし…調べました、このお屋敷の昔のこと」
彼は、言葉を失い、立ち尽くす。
自分の体の奥に眠っていた蟲のような不快感が、いっせいに騒ぎだす。
がさがさと蠢く、醜い羽音とけたたましい鳴き声。
「前のご当主のお名前はシャルロット・モンテーニュ」
血管の中身が沸騰する。
混濁した意識の中で、激しい嫌悪感が、体中をかきむしる。
―クリフ。
また、あの声がする。
―もっと近くで、顔を見せてちょうだい。
0044旦那様×メイベル 12話目-52011/08/06(土) 14:08:00.76ID:E5bKuPXx
「そして、その前のご当主が…」
かっと、閃光のような衝撃が走り、考えるより先に、彼の体は動いた。
気がつけば。
彼は、彼女に馬乗りになり。
首を絞めていた。
―おいで、クリフ。
何が現実なのかは分からない。
声も、雑音も、メイベルがここにいることも。
「黙れ」
どこからどこまでが現実なのか。
どうしたらこの酷い眩暈は治まるのか。
どうすれば彼女を憎まずに愛することができるのか。
どうやってこの悪夢から逃れたらよいのか。
クリフは手に力を込めたまま、彼女の体をがくがくと揺する。
「それ以上、口を利くな…!!」
メイベルは顔を歪め、彼の両手を指で引きはがそうとする。
柔らかで華奢な彼女の首。何度となく愛でた、美しい首筋。
―クリフ。そう、とっても上手よ。
そして、
彼女の眼が再び彼を捕える。
そこに、怯えはない。
「やめません」
その声でクリフの手がわずかに緩む。
「わたしは絶対に逃げません!」
彼女は叫ぶ。
「あなたが思い出したくないと思っていらっしゃることはわかります!
でも、そんなに苦しいことを、閉じ込めつづけたって、何にもなりません!!
目を背けてもなかったことにはなりません!」
「うるさい…」
メイベルの声がビリビリと体に響く。
その小さな体から出る、驚くほど強いエネルギー。
「だから…お話しください!なにがあったんですか?!
何がそんなにあなたを苦しめているのですか…?!」
「うるさい…!俺は…!!」
そして。
彼女は。
唐突にクリフの首に両手を巻きつけて引き寄せ、

キスを、した。


0045旦那様×メイベル 12話目-62011/08/06(土) 14:10:50.17ID:E5bKuPXx
思考が真っ白に塗りつぶされる。
クリフはそれ以上何も考えることができなくなった。
その唇の温度。
柔らかなその優しい感触。
彼女の首を絞めたままの手が緩み。
体の力が抜けていく。
全ての音が失われるその中で、
彼女の声だけが、はっきりと聞こえた。

「嫌いになんてなりませんから」

紅茶の葉っぱと洗濯糊の清潔な匂い。さらさらとした髪。
メイベルにきつく抱きしめられながら。
しばらくの間、彼は茫然とそれを受け止める。
自分に注がれている、無償のもの。
―絶対的な、愛情。
彼は、いつのまにか、自分の目から、涙が流れていることに気がつく。
音もなく、静かに、ただ容れ物から溢れるようにどくどくと。
それが自分の体から出ていくのを、クリフは認め、驚いた。
長い沈黙。
「涙なんて」
彼はメイベルの腕の中で、他人事のように呟いた。
「もう、出ないと思ってた」
体に力が入らなかった。
あれほどまでに彼を苛んでいた、どろどろに煮詰った感情の姿は、
今は、不思議とどこにも見当たらなかった。
メイベルは何も言わずに、そのまま彼を抱きしめ続ける。
彼が彼女にキスをし、多くの話をし、そして傷つけたこの場所で。
その腕は強く、彼を包む。
ここにいるのは、確かに彼の愛したメイベルの姿だった。
0046旦那様×メイベル 12話目-7(終)2011/08/06(土) 14:13:27.61ID:E5bKuPXx
―旦那様。
彼は思い返す。
メイベルのたくさんの言葉を。
―旦那様の、お顔立ちが、その、素敵でいらっしゃるので…
―どうして私のような者に興味をお持ちになられたのでしょうか?
―旦那様でなければ、困ります。
―あまり意地悪を、おっしゃらないでください。
―旦那様のお陰で、変わらなくちゃ、って。
―さしあげます、クリフ様に、みんな。
そして。
彼女の照れた、しかし、幸せそうなその顔を彼は、はっきりと思い出す。
―旦那様のことなら、どんなことでも、教えて頂きたい、ですから。

「君の言った通り…俺がこの屋敷を手に入れたのは16年前のこと」
どれくらい時間が経ったのかわからないほどの静けさの後
彼の口は、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「それまで」
自分の心の揺れが止まったのを感じ、
彼は、静かに覚悟を決める。
「俺はここで使用人をしていた」
0047名無しさん@ピンキー2011/08/06(土) 15:11:24.55ID:iVXLPEaM
ついに旦那様が真実を語る時が…!
激しくGJです続きも猛烈に楽しみにしてます!
0048名無しさん@ピンキー2011/08/06(土) 15:53:16.03ID:g2vuJMDJ
おもしろい
しかしそれ以前に読みやすい
すごいと思った
0049名無しさん@ピンキー2011/08/06(土) 21:26:59.71ID:Mux6sXJ/
前の主人のほかに、その前もいるのか。
旦那様も黒モードを抜けた!!
二人がどこへ行き着くのか、今後が楽しみ!!
0050旦那様×メイベル 13話目・前-12011/08/08(月) 20:02:09.68ID:wemPsxnL
思い返せば、主は何度も言っていた。
―突然こんなことしちゃったけど、どうしよう。君に嫌われたかもしれない。
―嫌いになっちゃった?
―どうかな。何か聞いて、僕のことを嫌いになっちゃうかもしれないよ。
自分がもう少しよく見ていれば、とメイベルは思う。
冗談めかしたその言葉の響きの中に、怯えが含まれていたことに
気づくことができたのだろうか。
今ではわかる。
気まぐれや意地悪も、加虐的な言葉も。
きっと、不安の裏返しだったのだろう、と。
彼は演ずるのが上手なだけで、本当は誰よりも不器用なのだ、とメイベルは思う。
不安を表に出すことができない。
人を信じることができない。
気持ちを素直に言うことができない。
わがままで臆病で。
でも。
とてもとても、可愛い人。

―君が新しい人?
3年前、彼女が屋敷に来た時のこと。
主人に挨拶に行った彼女は、たちまち、視線を奪われた。
絵画のような美しい顔立ち。洗練された所作。そして、優しい声。
彼はそんなことには気がつかないように、にっこりと笑った。
―慣れるまで大変かもしれないけど、頑張って。
彼は主人にしては珍しいタイプの人間だった。
大きな屋敷を持っているにもかかわらず、
ほとんどの時間を書斎に籠って過ごし、
豪華なものや派手なものにはまるで興味を示さず、
屋敷に人を招くこともなかった。
質のいい服を着ているのも、大勢の使用人を使っているのも
彼に言わせれば、仕事をする上で便利だから、というだけの理由であった。
使用人たちにほとんど声はかけず、
しかし彼らと接するときには主はいつも穏やかであった。
若いメイドたちは、みな彼に憧れ、いつも彼の事を噂していた。
―おいしいね、君の紅茶は。
初めて彼が自分に話しかけてきたとき、彼女は酷く動揺したものだった。
―どうやって淹れてるの?
緊張を押し込めて淡々と説明をするメイベルの言葉を、
彼は注意深く、うんうん、と頷くようにして聞いた。
その瞳に自分を写されることを、申し訳なく思ってしまうくらいの端正な顔。
メイベルは思った。
―この人は、どうしてこんなに優しく笑うんだろう?
0051旦那様×メイベル 13話目・前-22011/08/08(月) 20:02:57.14ID:wemPsxnL
そして今、クリフの顔からは微笑みが剥がれ落ちていた。
「前の当主はシャルロット、その前の当主は…俺の、父親」
彼は言いながら、ゆっくりと椅子に腰かけ、眼鏡を外して机に置いた。
メイベルは初めて見る彼の表情に不思議な感情を覚える。
無防備な、迷子になったことに気が付いた子供のような、所在のない表情。
「もともと、ここは俺の父親の屋敷だったんだ。
俺はここで生まれて、家族と暮らしていた」
彼は、思いを馳せるように、遠くを見る。
しかし、その語り口は驚くほど軽かった。
「でも、俺が10歳かそこらの時かな。父親が騙されて、多額の借金を負ってね。
途端に親戚なんかにも、絶縁されてしまって。
誰も助けてくれる人はいなかったし、どうすることもできなかった。
それで父親が、家族で心中しようって言い出したんだ」
メイベルは、床に座り込んだまま、話し続ける彼の姿をただ見ていた。
「だけど、父親も、母親も、兄も、妹も。
家族はみんな死ねたのに、俺だけは死に損なってしまった」
クリフは、まるで自分とは関係のない出来事のように話し続ける。
「あの時は困ったな。
もう一度しようにも、もう自分一人ではできなかった。
よくわからない薬を飲まされたんだけどね、すごく辛いんだよ、あれ。
何の薬だったんだろう。喉が焼けるみたいに痛いし。
家族もずいぶん死ぬまで時間がかかってて苦しそうだったし。
死ぬにしても、方法ってものを選ばないと駄目だね」
彼は、おかしそうに笑った。
その過酷な内容と乖離した彼の話し方に、メイベルは強い既視感を覚える。
ベティがいなくなったときにも、自分が出ていくと言ったときにも。
彼は怒るでも悲しむでもなく、こうして笑っていた。
メイベルは気がつく。
こうして恐怖や不安を笑みの奥に押し込めることで、
彼はなんとか自分を保ってきたのだと。
「でも生き残ってると、父親の借金を背負わなくちゃならなくなるから。
その時屋敷にいた乳母がね、不憫に思って、
身元を隠して使用人として働くようにって、いろいろ手配してくれたんだ。
それで彼女は、自分だって仕事がなくなって大変な時に、俺の働き口を探してくれたわけ。
使用人は孤児だとか棄てられただとか、そういう身元が怪しい人間も多いから、
一人くらい俺みたいなのを紛れさせるのも多分そんなに難しくなかったんだろうね。
そして、俺は全然知らない他人の屋敷で、使用人として働くようになった。
住んでいた屋敷や資産はみんな、借金のかたにとられてしまった。
家族もいないし、贅沢な暮しもできなくなって、何が何だかわからなかった。
まあ、お屋敷で育った、甘ったれた子供だったからね、余計に大変だったよ。
それでも何とかやった。少しずつ色々なことを覚えてね。
でも屈辱だった。家族はいなくなったけど、せめて、絶対にあの家に戻ってやるって。
こんな目に自分を遭わせたやつに復讐してやるって。
そのことをずうっと考えてた」
彼はそこで、言葉を継いだ。
「すると、ある日突然、驚くような話が来た」
クリフは、一切メイベルの方を見なかった。
ただぼんやりと虚空を見つめて、淡々と、彼は語り続ける。
まるで何かの記録のように、ひとりごとのように。
「15歳の時。
この屋敷で…俺が生まれたこの屋敷で、使用人が不足してるって話があって。
それで、ここで働くようにって声がかかって、俺はすぐにここに連れてこられた。」
0052旦那様×メイベル 13話目・前-32011/08/08(月) 20:05:02.97ID:wemPsxnL
彼は額に手をあて、顔を僅かに傾けて可笑しそうに笑った。
「そりゃ、確かにね、俺はずっと屋敷に戻りたいって考えてはきたけど。
生まれた家に使用人として戻るなんてあんまり酷い話だと思わない?、
でも、もしかしたら、屋敷を取り返せるかもしれないって思った。
そして、親の敵に復讐するチャンスもあるかもしれないってね」
親の、敵?
その言葉の聞き覚えのある響きに、彼女ははっとした。
―いつもこっそり僕をじいっと、睨んでるみたいに見える。親の敵みたいに。
初めてキスを交わしたあの日。
この場所で。
彼が確かにそう言ったことを思い出す。
親の敵。
こんな経歴のある彼が、無意識的にそんな言葉を使えるはずがない。
彼は意識的にああ言ったのだ。
メイベルはぞわりと、背筋が寒くなるのを感じた。
なぜ、あんなときに、彼は?
どうしてそんなことを言ったんだろう。
どんな気持ちで言ったんだろう?
それが一種の皮肉のようなものだったのか
どういう意味を持つのかは、彼女にはわからない。
しかしそこにメイベルは強い異常性を感じ、立ち竦む。
―まともではいられなかったんだ。
彼女は思う。
平静を装うことに彼があまりに長けていたから。
誰もそれに気がつかなかっただけで。
今日までずっと。
おそらくは、今この瞬間も。
気の遠くなるほど長い間、この人は。
―異常な、精神状態のまま、だったのだ。
「それで、その時主だったのが、さっき君が言ってたシャルロット」
メイベルが凍りついていることにも気がついていない様子で、彼は言う。
そして、その時からここのメイド長だったのが…ベティ」
彼の話は、おおむねメイベルの予想の通りであった。
なのに、その一つ一つの単語は、
そしてそれ以上に、あまりに自然な彼の様子が、
容赦なくメイベルの心を押しつぶしていく。
「ねえ、メイベル」
クリフは話を中断し、突然、彼女に話しかける。
「どうやって調べたの?前の主なんて」
彼の顔には、憑き物の落ちたような、奇妙な晴れやかさがあった。
0053旦那様×メイベル 13話目・前-42011/08/08(月) 20:06:48.19ID:wemPsxnL
「…このあたりの事情に詳しいお年寄りを探して、その…聞きました」
「どうやって?」
「近くの家を訪ねて…」
「家なんて、このあたりにあった?」
屋敷は市街地から離れた場所にあり、近くに建物はほとんどない。
「それぞれ5〜6キロくらい、離れてはいますが…」
「それを、一軒一軒?」
「はい」
彼は驚く。
「凄いね、それ。まさか君がそこまでするなんて」
「あの…ご、ごめんなさい」
「いいや」
クリフは笑う。
「ありがとう」
メイベルはその美しさにどきりとした。
そのほほ笑みは、いつもよりもずっと柔らかく、見たことのないほど素直なものだった。
「それで?」
彼は目を細めて、先を促す。
「え?」
「その人たちは、何か、言ってた?シャルロットのこと」
メイベルが口ごもり、言葉を選んでいると、
彼はメイベルの顔を覗き込むようにして、上品に笑った。
「やっぱり。色々聞いたみたいだね。
あの女を良く言う人間なんてこの世に一人だっていないよ。
シャルロットは独り身で、親の残した財産で生活していたんだけど、
かなり問題のある女でね。
癇癪持ちで、底意地が悪くて、気まぐれで、醜くて。
たとえばね、気に入らないことがあると、使用人に物を投げるんだ。
フォークでも、皿でも、ランプでも、近くにあるものを何でも。
それを避けると余計に怒るから、使用人はきちんとそれに、当たらなければいけない。
中にはそれで、失明した者もいた」
彼は天井を見上げて、ため息をついた。
「そういうことが日常的にあるから、使用人がひっきりなしに変わるわけ。
あの女に首にされたり、怪我させられたり、あるいは使用人が逃げたりしてね。
使用人が足りないって俺が呼ばれたのもそういう理由だってすぐにわかった。
ベティも毎日苦労してた。彼女もずいぶん酷い目に遭ってたよ」
そして、彼はまた遠い目をして、自分の物語にひとり、沈んでいく。
「シャルロットはその時、確かにここに住んでいたけれど、
実際に父親を騙したのがあの女だったのかはわからなかった。
この屋敷が売りに出されたのを買っただけなのかもしれないし、
人を騙せるほど頭がよさそうにも見えなかったし。
父親の一件に関係してるのかも判然としなかった。
当時は俺も15,6の子供だったし、それ以上調べる手立てもなくてね。
でも毎日、辛かったよ。
自分が住んでいた家で、性根の腐った女の召使いをして、惨めな思いをした。
でもね。今思えばあの時なんて、俺の人生の中ではずうっと良いほうだった」
彼は小さくため息を吐く。
「それからしばらくして―」
0054旦那様×メイベル 13話目・前-52011/08/08(月) 20:16:36.06ID:wemPsxnL
主はそこで、言葉を奪われてしまったように、唐突に黙った。
部屋を沈黙が支配する。
クリフは窓の方を向き、メイベルからはその表情が見えなくなる。
メイベルは、その沈黙に不吉な予感を感じ取る。
なにか、決定的なものが。
とても太刀打ちのできないような大きなものの、気配。
彼は静かに言った。
「毎晩のようにあの女の相手をさせられるようになった」
0055旦那様×メイベル 13話目・前-62011/08/08(月) 20:18:41.48ID:wemPsxnL

メイベルはすぐに、彼の言葉を理解することができなかった。
ただ彼女の眼は、主の手が僅かに震えているのを、無感動に捉えていた。
「初めは何が起こったのか分からなかったなあ。
俺の顔が、大層お気に召したらしくてね。
年端もいかないような子供相手に、あの女は―」
彼は言葉を飲み込むと、
感情を排するようにして言った。
「逃げられないように、他の使用人に監視されて。
ほとんど軟禁状態みたいなものだから、逃げることもできなかった。
わざと他の使用人たちにも分かるように、大声で俺の名前を呼ぶんだ、あの女は。
他の使用人たちが遠巻きに俺を見るんだ、汚いものを見るような目で。
それで、夜になるとまたあの女が俺を呼びつける。
気が狂いそうだった」
彼の声は乾いていた。
「でもベティだけは俺を特別扱いしなかったなあ。
優しい言葉一つ言わないけど、心配してくれてたんだと思う。
俺がこっそり吐いてると、いつも水を持ってきてくれたよ。
まあ、普段は厳しかったし、容赦なかったけどね」
彼はそこで、少し黙った。
その沈黙は永遠のように長く、
メイベルは強い衝撃に全身を打たれ、
磔にされたように身動きができなかった。
想像を絶するような彼の話を、まともに受け止めることすらできず、
彼女は自分の膝がわなわなと震えていることに気がついた。
それは果てのない無力感と、憎しみに似た激しい疑問だった。
どうして。
なぜ。
こんなに優しくて。
こんなに繊細なこの人が。
ここまで追いつめられて
ここまでに恐ろしく、
ここまで苦しい思いをさせられる必要が。 

一体どこにあったと、いうのだろう?

「酷い生活だった」
クリフは、ゆっくりと言葉を継いだ。
「自分の人生を呪ったよ。見張られて、自殺すらできないし。
あの時、最初に、家族と死んでいればよかったのかって何度も思った。
何がいけなかったのか、何をどうすればよかったのか、俺にはわからなかった。
それでも、生き延びるためにどうしたらいいか。
考えたらもう一つしか、なかった。
あの女に取り入って、油断させて、隙を伺うこと」
0056旦那様×メイベル 13話目・前-7(終)2011/08/08(月) 20:27:02.93ID:wemPsxnL
自嘲するように彼が笑った。
「あの女に玩具にされながら、
俺は機嫌を取りつづけたわけだ。
ベティに尻尾振りって呼ばれてたくらいだからね、
それはもう、ぞっとするくらい上手かったんだと思うよ。
そうして、2年」
彼は指先で、とん、と机を叩いた。
まるで、機械の調整をするように。
自分の意識を、引き戻すように。
「…長かったよ。
気が遠くなるほど長かった。
ようやく、あの女が俺を、養子にしたいと言い出した。
自分が死んだら財産はみんな俺にくれるってね」
彼は、平坦な声で言った。
「そこからは案外簡単に事が進んだよ。
養子縁組をして。そして、財産についての文書に、ちょっとだけ細工をして。
頭の悪い女だったから大して苦労はしなかった。
全ての資産を奪い、そしてあの女を無一文で屋敷から放り出した」
クリフはようやく、顔をメイベルの方に向けた。
「そして、めでたく俺はここを取り戻したという、わけ」
彼はにっこりと微笑んだ。
しかし、その笑顔が作りものであることくらい、彼女にはわかっていた。
0059名無しさん@ピンキー2011/08/09(火) 09:11:00.40ID:bpnpBYDN
すげえ面白い。こんなに面白い物語が読めて嬉しい。
続き楽しみにしてます。
0060名無しさん@ピンキー2011/08/09(火) 20:39:26.98ID:6Hiqmrfy
な、なんだこれは
と私の脳内がどよめいているでござる
0061名無しさん@ピンキー2011/08/09(火) 20:59:57.25ID:5NWZR+Xn
すごく惹き込まれる文章を書かれるよね
毎回次は何が起こるんだろう、どんな展開が待っているんだろう、とドキドキしながら読んでます
投下も勿論嬉しいんだけど投下されるのを待ってるのも楽しくて、最近ちょっと幸せ
0062旦那様×メイベル 13話目・後-12011/08/10(水) 21:12:13.82ID:bzl9BHD2
「ねえ、クリフ」
名前を呼ばれても彼は振り向かない。
簡単に振り向かない方が"それ"が悦ぶことを、彼は知っているからだ。
「クリフ、こっちを向いて」
寒気のする猫なで声。
クリフはゆっくりとその声する先を向く。
きつい香水と、酒の匂い。
目の下の醜い皺。何度見ても慣れることのない、下品な顔。
しかし、彼はけして眉をひそめたりはしない。
「顔をみせてちょうだい」
広いベッド。
ぐちゃぐちゃと絡まって床に落ちているのは、シーツと趣味の悪い衣服。
こぶのように宝石が巻きついている指が、彼の顎を撫でる。
そして"それ"は、醜い舌で、彼の顔を舐めまわす。
―ひどい匂いがする。
喉の奥にこみ上げるおぞましさをおくびにも出さず、
彼は無邪気な笑みを浮かべて言う。
「やめて。くすぐったいよ」
しかし"それ"は貪欲に、彼の顔を愛で続ける。
「あなたの顔は本当に綺麗」
自分よりもはるかに年下の、幼い彼を相手に、"それ"は甘えたように繰り返す。
彼は身を捩り、その舌から顔を引き離す。
突然の彼の拒否に、一瞬で、"それ"の顔色が不快感で歪む。
"それ"は、なにか気に入らないことがあると、簡単に癇癪を起こした。
「クリフ、どうしたの?」
別人のように不機嫌そうな、高圧的な声。
それを合図に、クリフは伏せていた顔を上げる。
「ねえ、シャルロット様」
とっておきの悲しい顔をしてみせると、
"それ"の歪んだ表情が、途端に驚きに変わる。
「シャルロット様が好きなのは、僕の、顔だけ?」
0063旦那様×メイベル 13話目・後-22011/08/10(水) 21:14:21.99ID:bzl9BHD2
上目づかいで。棄てられた猫のように。彼は言う。
途端に、"それ"の瞳には、えも言われぬ興奮の色が浮かぶ。
―化け物。
彼は胸の中で吐き捨てながらも、目に涙を溜めて唇を尖らせる。
「シャルロット様は、僕のことなんて全然見てくれない」
甘えるように、懇願するように。
「ねえお願い、僕のことを、見て。
顔だけじゃなくて、中も、みんな。
もっともっと、僕のことを」
彼は未成熟な、まだ少女のように細い首を、誘うように傾ける。
ぐらり、と頭が揺れ、彼は自分の体が、"それ"に押し倒されてゆくのを感じる。
彼は自分に、強く命じる。
―耐えろ。
「ああ、クリフ」
生臭い息。象のようながさがさの皮膚。熱。湿度。
彼は祈りの言葉のようにそれを繰り返す。
―耐えろ。
"それ"は、声を震わせて、彼の体にむしゃぶりつく。
「なんて可愛いの」
―耐えろ。耐えろ。耐えろ。
"それ"が息を荒くして、彼の体を奪ってゆく。
「クリフ」
"それ"は大声を彼の名を呼ぶ。
どこまでも執拗に。屋敷中に響く大声で。彼の名は呼ばれる。
感覚を遮断しようとしても、それは、紙から水が染み出すように、彼を浸食する。
生理的な不快感。暗いおぞましさ。
手足が、奪われる。
体が、ばらばらにされる。
心が、頭が、統制を失う。
0064旦那様×メイベル 13話目・後-32011/08/10(水) 21:15:27.87ID:bzl9BHD2
―耐えろ。
たえるって?
彼の中の、まだ幼い部分が、訊きかえす。
なにを、たえるの?
「クリフ」
―耐えろ。
いきのびて、それがなんになるの?
―耐えろ。
ひとりぼっちの、ぼくが。
「クリフ、もっと、してちょうだい」
―耐えろ。
いきていたところで、なにか、いいことがあるの?
―耐えろ。
こわいよ、もう、いやだよ。
「上手ね、本当に、いい子」
―耐えろ。
きもちわるい、くるしい。かえりたい。
―耐えろ。
もうかえりたい。おうちに、かえりたい。
―耐えろ。
おうち?そう、おうちは…ここ。
―耐えろ。
ここを、このおやしきを、とりかえしたら。
―耐えろ。
「いいわ、クリフ。すごく、いい」
そうしたら、きっとまた、しあわせにくらせる。
―耐えろ。
おとうさまも、おかあさまも、きっと、戻ってきてくれる。
―耐えろ。
あのころみたいに。また、みんなで。
―耐えろ。
こわいこともなくなる。きっと、わかる。ぜんぶゆめだったって。
だから。
だから。
だから?
「好きよ、クリフ」
「うん、僕も」
だから―
「僕も、シャルロット様が、大好き」
彼は、"それ"の皮膚を舐めながら、焼きつけるように強く思う。


―そのためなら、どんなことだって、する。
0065旦那様×メイベル 13話目・後-42011/08/10(水) 21:17:24.60ID:bzl9BHD2
そして今、クリフは微笑みを顔に張り付けたまま、静かに息を吐いた。
見慣れた、静かな書斎。
この屋敷で、唯一、彼が安らげる、場所。
あの女が足を踏み入れることのなかった場所。
仕事をする父親の姿のあった場所。
兄弟たちとかくれんぼをして、怒られたこの場所。
しかし。
今はその、どの影もない。
それらはどれも幻に過ぎず、今、目の前にあるのは。
床に座り込んだまま動かないメイベルの姿だった。
彼の長い話を、彼女は身じろぎもせずに聞いていた。
彼女に、全てを知られてしまうこと。
何よりも恐れていたこの瞬間を、彼は驚くほどあっけなく、
そして、静かな気持ちで受け入れていた、
あんなにもまとまりのなかった気持ちや感情は、
口に出そうと試みた途端に、美しく整列し、すらすらと彼の口をついて出た。
誰かに伝えられるその時を、まるで待っていたかのように。
「もう少し話を続けようか」
メイベルは、凍りついた表情のまま、食い入るように彼を見つめていた。
「そのあとすぐ、使用人はみんな辞めさせた。
せっかく屋敷を取り戻したのに顔なんて合わせたくなかったし、
彼らも俺なんかに仕えるのは嫌だったろうしね。
でもね…ベティだけは残りたいって、言ったんだ」
空っぽの誰もいない屋敷で、ぼんやりと一人、
座り込んでいるクリフに、彼女は雑務を言いつけるように言った。
―尻尾振り。私を雇うつもりはないかい?
彼は思わず、クスクスと笑う。
「あの言い方ったら、なかったな。
今思い出しても、とても、人にものを頼んでるとは思えないような、ね。
まあ、ベティらしいといえばそうなんだけど」
でも、とクリフが口ごもると、彼女は叱りつけるように、言った。
―お前は、そんなんで、これから生きていけるのかい?
 どうやって暮す?飯は?買い物は?掃除は誰がする?
 いくら金があったってね、生きていくことはできないんだよ。
 生活をしていくつもりがなきゃ、人間は、生きていけないんだ。
 お前のその腑抜けた面じゃ、あっという間にのたれ死ぬよ。
クリフがぽかんと口を開けると、ベティは不機嫌そうにまくしたてる。
―役に立たなければすぐ首にすればいい。雇う決心がつくまでは金もいらない。
彼女は啖呵を切るように言った。 
―だから、あたしを、ここに、置きな。
0066旦那様×メイベル 13話目・後-42011/08/10(水) 21:18:56.57ID:bzl9BHD2
「それで彼女にはここに残ってもらったわけ。
実際、ベティは長くここにいて、屋敷の勝手をよくわかってたし、
とても優秀なメイドだったからね、すごく助かったよ。
資産家らしい振る舞いっていうのも俺は全く分からなかったけど、
思えば、そういうものもみんな、ベティが教えてくれた。
彼女は本当によくやってくれたよ」
彼女がいなければ自分は生きていけなかっただろう、と彼は思う。
ベティは。
口うるさく、彼を怒鳴りつけ、叩き起こし。
短気で、尊大で、偏屈で。
そして使用人とは思えない程の態度で。
いつも、彼を、見守っていてくれた。
「そして、少しして俺は仕事を始めた」
―旦那様のような、いい年の主人が、屋敷に籠っているとは何事ですか。
彼は、ぼんやりと毎日を過ごす自分に、ベティが言った一言を、思い出す。
―日が出ている間は、仕事をするものですよ。人間ならね。
「まあ、仕事をしててもね、大変だったよ。
上流階級っていうのは本当に狭い世界で、
あそこの人たちは家柄とか体面とかそういうものに、ものすごくこだわるんだ。
俺の家系は一度父親の代でつぶれてるわけだし、
どうしても胡散臭い目で見られちゃうから、
話を聞いてもらうだけでも凄く大変でね。
それでいまだに、俺は、あちこちに飛び回ってるわけ。
まあ、その方が、良かったのかもしれない。忙しい方が、気は紛れるのは確かだし」
彼はそこで言葉を切った。
「でもね」
自分がひどく滑稽に思えて、彼は歪んだ笑いを浮かべた。
「前みたいにここに住めるようになっても。
仕事をしても、時間がたっても、駄目だった。
俺の大部分はもう、それまでにとっくに死んでしまったんだろうね。
食べても食べても、腹はいっぱいにならないし、
どんなに体を洗っても、べっとりと染み付いた匂いが取れない。
なんていうのかな、何もかも、響いてこないんだ、中に」
そう。二度と戻らない。
0067旦那様×メイベル 13話目・後-62011/08/10(水) 21:27:25.33ID:bzl9BHD2
彼はよく知っている。
取り返しのつかないことが、確かにこの世界に存在することを。
「屋敷から出てしまおうかと思ったこともある。
こんなところにいるからいけないんだってね。
でもね、どうしても出られなかった。
縛られたみたいに、出られないんだよ」
自分の声が早口になっていく。
感情の高ぶりに、その回転に、少しずつ、巻き込まれるような感覚。
「ねえ、わかる?
死ぬ思いで取り返した、この場所が。
あの女に嬲られて、家族が自殺して、そして君がやってきたこの場所が、
この世で唯一、俺が帰ることのできる場所なんだ。
どうかしてることくらいわかってる。
でも、どうすることもできないんだ。
そんな風にしか生きていけない人間なんだよ、俺は」
メイベルは目を見開いて彼を見た。
「そして挙句の果てに、俺は」
クリフは言った。
「君を、餌食にした」
メイベルの顔色が、さっと変わる。
「君の自由を奪って。他の使用人から孤立させて。そして、君の体を」
「違います…!」
メイベルの大声が、不快な音となり耳を裂く。
彼の心に、そのとき確かに怒りが湧いた。
「何も違わないよ」
彼女の気持ちは確かに、真剣なものだろう。
しかし。
「ベティにも言われた。俺は、あの女と同じだって」
彼女に同情されるのだけは嫌だった。
自分の過去を聞いたからと言って、
自分のしたことのなにもかもを許すような。
愛情の形をした哀れみならば。彼は思う。
―そんなものはいらない。
「それは…!」
「君を抱くときだって」
風のない日の湖面のようにあんなにも静かだった心が。
再び、吹き荒れるようにかき乱されていく。
行き場の失った感情たちが、かつて押し込められてきた悲鳴たちが、
刃となって、容赦なく彼女に切っ先を向ける。
「みんな、あの女に仕込まれたとおりにしてただけ」
0068旦那様×メイベル 13話目・後-7(終)2011/08/10(水) 21:28:37.10ID:bzl9BHD2
メイベルが、はっと息をのむ。
「だって、そうすることしかできない。俺は、それ以外知らないんだから」
どうしてだろう。
彼は絶望する。
どうして、こうなってしまうんだろう。
彼女はこんなにも自分のことを受け止めようとしてくれているのに。
まるで当たり散らすような真似をして、今も自分は彼女を傷つけつづける。
好きで好きで。こんなにも好きになっていったのに。
しかし、彼女のことを愛すれば愛するほどに。
不安が憎しみが、限りなく膨れ上がっていった。
「君の気持ちはとっても嬉しかった。
こんな話を聞いてくれて、感謝してる。
でもね、君といると、時々、どうしようもなく辛くなる。
自分の醜さに、愚かさに、吐き気がして、気が狂いそうになる」
そうだ。
俺はいつも脅かされていた。
彼女の心が離れていく不安。
どこまでも純粋でひたむきなその心への嫉妬。
そして何より、彼女の愛情は、眩しすぎて、目が潰れてしまいそうになる。
「他人をどうやって大事にしたらいいかもわからない。
大切にするとか、愛するとか、そういうのは俺には分からない。
まともに誰かを思うなんてこと俺には、できない」


ぱしん。


その時。
空気が、破裂するような音がした。
渇いた痛みの後から、思考がついてきて。
彼はようやく。

メイベルに。
頬を、叩かれたのだと知った。
0074名無しさん@ピンキー2011/08/11(木) 00:59:35.75ID:nIKyeZef
早く幸せになあれ!とも思うし、もっと続いて欲しいとも思うし。
ただただ、楽しみだ。
クリフとメイベルの行く末を見守りたい。
0075名無しさん@ピンキー2011/08/11(木) 01:18:07.39ID:HaGEZRJ9
文章が丁寧だし、情景や状況もわかりやすいし、伏線をそれとわからないように張って、でもきっちりスッキリ回収して、エロはちゃんとエロいし、切なかったり笑えたり……
とにかく続きが楽しみでしょうがない!!
0076旦那様×メイベル 14話目-12011/08/13(土) 12:10:09.49ID:yNSYWUrq
―メイベル。
あのひとの、声がする。優しい声。
大人の男の人の匂い。どこか甘くてくすぐったいような匂い。
―どうしたの、ぼんやりして。
あの人の腕は長いから、わたしの体なんてすぐ絡め取られてしまって、
ぎゅうっと抱きしめられると、胸が苦しくなって、
もう、何も考えられなくなってしまう。
―何を考えてるの?
そんなの決まっている。
あなたの、こと。
あなたは。
いつも、わたしのことをたくさん言葉にしてくれる。
その言葉で、わたしは自分の形を知ることができる。
誰にも必要とされてこなかったわたしの存在が、
価値のないと思っていたわたしの人生が、
機械のように繰り返されるだけだったわたしの日々が、
あなたの温度に満たされる。
そして、わたしは知る。
毎日が、こんなに、美しいこと。
生きていくことが、こんなに、楽しいこと。
誰かを愛することが、こんなに、豊かだということ。
好きな人に抱きしめられることが、こんなに、幸せだということ。
あなたが喜んでくれるなら、わたしは、どんなことだってする。
あなたを守るために、わたしは、もっともっと、強くなる。
だって。
だって、わたしは―
0077旦那様×メイベル 14話目-22011/08/13(土) 12:11:14.55ID:yNSYWUrq

「そうやって、ずっと逃げるんですか?」
気がつくと、メイベルは叫んでいた。
「自分にはできないって…。誰とも心を通わせることができないって!」
何が起こったのか理解できない様子で、主は茫然と自分を見ている。
真っ白な表情。
彼の頬を打った手が痺れる。
でもそれは、痛みのせいでは、ない。
「じゃあ、あなたはどうなるの?
このまま、ずっとずっと、ひとりぼっちでいるの?」
だめ。
メイベルは思う。
こんな言葉じゃ、駄目。
「そうやって、平気な振りを、続けていくの?」
違う。
責めたいんじゃない。怒りたいわけじゃない。
この人の心が少しでも救われるような。
この人の苦しみが少しでも減るような。
そんな言葉を言ってあげたいのに。
「死んだみたいに生きていくの?」
なのに。
なにも浮かばない。
この人の深い苦しみを。凍りついたままの、長い時間を。
闇に取り込まれたままの、この人の手を。
強く引きあげられるような言葉が。
ない。
見つからない。
「そんなの…」
それ以上は続かなかった。
無力感に苛まれ、彼女が言葉に詰まった途端、ひとりでに涙が溢れていった。
ぼろぼろと、大粒の涙が後から後からこみあげては、雨の滴のように冷たい床を打つ。
0078旦那様×メイベル 14話目-32011/08/13(土) 12:11:53.52ID:yNSYWUrq
―泣かないと、決めたのに。
自分の声が嗚咽に紛れてゆく。
なんて、弱いんだろう。
なんて、無力なんだろう。
この人がこんなに苦しんでいるのに。
強くならなくちゃいけないのに。
なんにも、してあげられない。
今度こそ泣かないと決めたのに。
あんな小さな誓いすら、わたしは守れない。
こんなに強く思っているのに。
―何ひとつ、言葉にすることができない。
だけど。
だけど。
身が焼きつくされるような悔しさに、彼女は必死に流されまいとする。
クリフは彼女をただ、信じられないもののように、見つめている。
迷子のような眼。その無表情の奥に潜む、大きな空洞。
メイベルは、涙に呑まれながら、両足で自分の体を支えて立ちつづける。
逃げちゃだめ。
目を逸らしてはだめ。
どんなに無力でもこれが、わたし。
そして。
このひどく傷ついた弱い人が、わたしが愛してやまない人、姿。
どんなにみっともなくても。届かなかったとしても。傷ついたとしても。
それでも。
―わたしはこの人の手を、絶対に離さない。
そして、メイベルは、喉から言葉を絞り出した。
「愛してくれました」
その時。
静止していた彼の顔が。
固まっていた瞳が、彼女をとらえた。
「あなたは、わたしを愛してくれました」
自分のものと思えないくらい、静かに、はっきりと。言葉が、続いていく。
「ちゃんと愛してくれました。たくさん、いっぱい、あふれるくらい。
わたしにはわかります…あなたが、どれだけ、わたしを大切にしてくれたか」
0079旦那様×メイベル 14話目-42011/08/13(土) 12:12:33.03ID:yNSYWUrq
彼女は思い出す。
彼が教えてくれたたくさんのこと。
いくつもの物語、フォークとナイフの使い方、身綺麗にすることへの喜び。
愛情の受け止めかた、注ぎかた。
そして。
―メイドとしてじゃなくて、ただの、君の言葉が。
―きちんと、話してごらん。
―また君の悪い癖。
―きちんと自分の意志で決めてほしかったんだ。
―二人でいるときは、僕は君のことを使用人とは思ってない。
君もそうしてくれると嬉しいんだけど。
いつだって、彼は歩み寄り、メイベルを導き、そして待ってくれた。
主としてではく、対等な人間として。
彼女が答えを出すまで。
自分で考えることができるように、なるまで。
「あなたは人を愛せないわけじゃない。
ただ、自分を責めているだけ」
彼が目を見開く。
そう。
目を覚まして。
彼女は思う。
この、悪い夢から。
終わってしまったことから。
失ってしまったものから。
「自分が許せなくてただ自分が辛い道を選んでいるだけ。
自分が幸せにならないようにしてるだけ」
ただ、苦しみを与えるために、
自分を閉じ込めて、痛めつけてきた。
あなたは優しすぎただけで。
人より少し賢すぎただけで。
あなたが辛いのは、あなたのせいでは、ない。
あなたの人生はまだ、終わってはいない。
過去に閉じ込もっていないで、見て。
未来を、その先を、自分の幸せを。
「穏やかでいることなんて、ないんです。
傷ついたり傷つけられたりしてもいいんです。
辛かったら大声で泣いて、
楽しいことがあれば大声で笑って、
そうやって暮らせばいいんです」
メイベルは、両手で彼の頬を挟み、自分の方を向かせる。
その頬は、わずかに温かい。
死んでいない。
彼女は思う。
この人はまだ、確かに。
生きている。
0080旦那様×メイベル 14話目-52011/08/13(土) 12:15:11.94ID:yNSYWUrq
「わたしはあなたが好き」
メイベルは、我を忘れて、叫ぶ。
「どんなあなたも、好き。
弱くても、意地悪でも、寝起きが悪くても。
今のあなたが、いちばん好き」
息が、苦しい。
喉が詰まって、声が出なくなる。
瞳が溶けてしまいそうになる。
「だから、お願いです…」
メイベルは思い返す。
主の、穏やかな、美しい笑顔。
つくりものの、よくできた上手な笑顔。
―そして、めでたく俺はここを取り戻したという、わけ。
いままで見たことの、ないような。
悲しい顔。
「もう、あんな顔で笑ったり…しないで…」
彼女はそれ以上何も言えなくなり、俯いて目を閉じる。
瞼を閉ざしてもだらだらと、目から流れ落ち続ける涙。
苦しくて、愛しくて、頭に血がのぼる。
そして。
彼女は。
自分の体がクリフに、きつく抱きしめられたのを、感じた。
涙の熱が体にこもる。
時間が止まったような沈黙。
この世に二人きりになってしまったみたいな、静けさ。
気の遠くなるような、愛しさ。
「君は」
掠れた声が聞こえる。
「俺の為に、泣いてくれるんだね」
うわごとのような、たどたどしい言葉。
縋りつくような、弱い声。
体の温度。匂い。
体が折れてしまいそうなくらい強い、その腕の力。
「あなたが泣けないのなら…わたしが、代わりに泣きます」
メイベルは、彼の肩に、頭を押し付ける。
「あなたが、泣けるようになるまで」
0081旦那様×メイベル 14話目-6(終)2011/08/13(土) 12:21:00.52ID:yNSYWUrq
彼は何も言わなかった。
しかし、彼のその肩が次第に震えてゆくのを、彼女は体で受け止めながら、理解する。
―彼がようやく、苦しみを吐きだすことを、自分に許したということに。
クリフの呼吸が乱れてゆく。
体を押しつけるように、激痛に耐えるように、
メイベルの体を彼はきつく抱きしめる。
「大丈夫です」
メイベルもまた、彼の首に腕を巻きつけ、力を込める。
愛しい人の頭を引き寄せて、包み込む。
そして。
何かが崩れおち、決壊していくように。
彼が声をあげ、子供のように泣くのを、
メイベルはどこか安らぎを持って、受け止めた。
「大丈夫ですから」
彼の傷が癒えることはないだろう。
彼女は思う。
不安も痛みも彼の中の大きな空白も埋まることはなく、
これからも、苦しみは永く続くに違いない。
でも。
苦しみを吐きだすことができれば。
そこに寄り添うことができれば。
きっと、ほんの少しは、楽になる。
それが眼に見えないほど、ごく小さなものであったとしても。
一瞬の気休めに過ぎないものであったとしても。
そのためになら、わたしは。
何だって、差し出すことができる。
「わたしが、ずっと、おそばにいます」
泣きじゃくる主の耳元で、メイベルは囁く。
だって、わたしは―
「あなたを、愛しているから」
0085名無しさん@ピンキー2011/08/13(土) 17:55:18.46ID:2bZUi7k/
旦那様泣けてよかったな…メイベルがいるからもう大丈夫だね
0086名無しさん@ピンキー2011/08/14(日) 20:59:12.57ID:riKJ27P9
GJ!!

っていうか、休日出勤だろうけど、職場でピンク板なんか見るなw
とはいえ俺も携帯で色んなとこから見てるけどな!
0089名無しさん@ピンキー2011/08/15(月) 18:08:53.47ID:OyfivABO
のぼうの城の殿様みたいな普段は役立たずで
いざとならないとすごいコイツなご主人様と
コイツ私が居ないとだめだなぁって世話やきな従者
とかのカップリングとかいいなぁと妄想した……。
0090旦那様×メイベル 最終話-12011/08/15(月) 22:18:43.29ID:OCAZoubq
「本当に、よろしいのですか?旦那様」
メイベルは心配そうに、彼の顔を覗き込む。
「うん。買い手がついたから」
「だからって、そんな、簡単に―」
彼女は言った。
「ここを…お離れになるだなんて」

―屋敷を、手放そう。
あの日。メイベルに全てを打ち明けた次の朝。
目覚めた瞬間に、彼はそう思った。
あれだけ執着していたこの屋敷。
ここを離れる決断を、自分がいとも簡単にできたことに
クリフは今でも驚きを覚えていた。
上手くできるかはわからないけれど。
彼はこれまでにないほど澄みきった頭で考えた。
きちんとした形で、自分の生活を始めてみよう、と。

そして、今。
彼は長い時間を過ごしてきたこの書斎で、彼女にそれを告げた。
ここから、出ていくことにしたから、と。
「案外とんとん進むものだね。もっと早くこうしていればよかった」
「でも、大切なお屋敷だったのでは、ないですか?」
あまりに不安げなその顔を見て、彼は可笑しくなる。
メイベルが動揺する様子を見るのは、彼の密かな楽しみの一つであった。
「君は、反対?」
「そんなことはないですが、その、あまりに急ですし…」
彼女は言いにくそうに続けた。
「あの…ご無理をなさっているの、では…と」
メイベルの優しさを感じ、彼は少し思考を立ち止まらせる。
「もしかすると、そうなのかも知れない」
クリフは小さく息を吐いた。
「でも気が変わらないうちにと思って。ここにいたら、いつまでたっても…ね」
彼はメイベルのほうに向き直ると、言った。
「君のおかげ」
すぐ近くにある、メイベルの顔を彼は見つめる。
あどけなさの残る、幼い顔をした娘。
しかし彼女は、全身全霊で、自分を赦し、そして救おうとしてくれた。
メイベルはすこし黙った後、頬を染めながら小さな声で、はい、と答えた。
0091旦那様×メイベル 最終話-22011/08/15(月) 22:19:12.00ID:OCAZoubq
「とはいえ」
「はい」
「これからちょっと大変だなあ」
彼は他人事のようにあっさりと言った。
「荷造りもしなきゃいけないし、住む場所も探さなくちゃいけないし」
そして苦笑して続けた。
「ベティのところにももうちょっと通わなくちゃいけないみたいだし」
「まだ、会ってくださらないのですか?」
メイベルの言葉に、彼は肯く。
あれから、一月ほどが経った今。
彼は、ベティに謝るため、彼女の自宅に何度となく足を運んでいたが、
彼女はいまだに顔すら出してくれなかった。
「頑固だからね。こうなると時間がかかるんだよ、ベティは」
困ったようにクリフは笑った。
「でも、大丈夫。ちゃんと、分かってくれると思う」
冷静になった今では、ベティが火のように怒った理由を理解することができた。
きっと、自分のことを、誰よりも。
本気で心配してくれていたからなのだと。
「それに」
彼は意識を切り替える。
「ここで働いてくれてる人たちの、新しい勤め先も探さなくちゃいけない」
彼が言うと、彼女はきょとんとした表情を浮かべる。
「使用人を…お連れにならないの、ですか?」
「必要ないと思う。もうそんなに大きなところに住むつもりはないし」
「そう、ですか…」
彼女は少し不安げに答える。
「だから、君の仕事もおしまい」
メイベルの顔に戸惑いが浮かぶ。
「これからは」
彼女の困惑を打ち消すように彼は言った。
「メイドとしてじゃなくて。ただ一緒にいてもらえない?」
0092旦那様×メイベル 最終話-32011/08/15(月) 22:20:00.52ID:OCAZoubq
彼が言うと、メイベルは表情を失い、ぽかんと彼の顔を見返した。
純情なメイベルは、想像を超えたことがあるたびに、
すぐにこうして固まってしまう。
クリフは感慨のようなものを、覚える。
いつからだろう。
愛想のなかった彼女がこんな風に、くるくると表情を変えるようになったのは。
「言ってる意味、わかる?」
指を伸ばし、彼女の柔らかな頬に触れ、意識を自分の方に向けさせる。
「わ、わかります…」
不安定に揺れたメイベルの眼が彼を捉える。愛おしい瞳。
「今まで君にはたくさん酷いことをしてしまったし。
俺はこんなだから、君をきちんと幸せにしてあげられるかはわからないけど」
クリフは彼女の眼をまっすぐに見る。
困った顔。
頼りなげなその姿からは想像できないほど、彼女は強かった。
クリフは思う。
自分のことなんて、どうだってよいのだ。
失ったものや、じくじくと痛み続ける傷口を眺め続けるよりも。
これからは、この娘のためのことを。
彼女を幸せにするためのことを。
―考えていけるように、なれたら。
かつての自分からはおよそ考えられないような、
その想いに彼の胸は満たされてゆく。
そして。
彼はメイベルの手をとると片膝をつき、言った。

「結婚して、いただけませんか?」

0093旦那様×メイベル 最終話-42011/08/15(月) 22:21:25.14ID:OCAZoubq
クリフは静かに返事を待った。
彼は自分の鼓動が速まるのを感じて、驚く。
沈黙がこんなに恐ろしいとは、と彼は思う。
不安になったり悩んだり迷ったり泣いたり。
彼女といるときの自分はあまりに見苦しく、何よりも人間らしい。
水をうったような静けさに耐えかね、
そっと彼女を見上げると、
メイベルは、顔を真っ赤にしたまま。
ぼんやりと、夢を見ているように茫然と、彼を見ていた。
「メイベル」
クリフは困り、彼女の名を呼ぶ。
「何か言って」
「あの…旦那様」
「ん?」
「けっこん、と言うのは…」
メイベルは初めて聞いた単語のように、それを繰り返した。
「知らない?」
「知ってます、でも…わたしの知ってるものは、あの、
旦那様が、おっしゃっている、ものと…違うかも、しれません、し…」
メイベルは、彼が予想した以上に混乱していた。
「君に奥さんになってもらいたいってこと」
みるみるうちにメイベルの顔色が変わる。
その素直な反応を見て、彼は自然と笑いがこみ上げてくるのを感じた。
「君が思ってたものと違ってた?」
メイベルはもはや言葉も出ない様子で俯くと、黙ったまま首を左右に振る。
確かに驚くのも無理はない、と彼は思う。
本来であれば、もう少し長く時間をかけて言うべきことなのだろう。
それ以前に、自分に言う資格のある言葉ではないのかもしれない。
だけど。
自分の気持ちに素直になったとき。
一番に。
彼女と家族になりたい、と彼は思ったのだった。
「君のことを愛してる」
彼は精一杯の気持ちを込めて、言った。
「返事を聞かせてくれる?」
0094旦那様×メイベル 最終話-52011/08/15(月) 22:22:18.97ID:OCAZoubq
メイベルは。
しばらく俯き、黙っていたが、
やがて、覚悟を決めたように顔を上げた。
動揺と混乱を必死に、押さえつけながら。
ごく小さな声で、しかし、しっかりと彼の目を見て。
メイベルは言った。
「…はい」
クリフは自分が感動していることを、驚きをもって受け止めた。
人が、負の感情ばかりでなく、陽の感情にもつき動かされるということを、
頭で理解する前に、彼はメイベルの体を引き寄せていた。
そして、口を塞ぐように、強引にキスをした。
「…んっ!」
メイベルが驚き、抵抗するように声を漏らす。
困ったな、と彼は思った。
愛しくて愛しくて、胸が苦しくなるほど。
こんなに誰かのことを、好きになってしまうなんて。
過去を反芻し形だけ生きているだけのような日々の中で、現れたメイドの娘。
そして、誰のことも信じることができなかった自分が。
愛情などというものに救われるなんて。
―彼女なしでは生きられなくなってしまうなんて。
ゆっくりと腕の力を緩め、顔を離すと。
メイベルのその眼は潤み、唇は拗ねたように尖っていた。
「旦那様は、ずるい、です…」
彼女にしては珍しいその恨めしそうな表情に、クリフは苦笑する。
「何が?」
「いつも突然で、急で。そうやって…ご自分のしたいように、なさってばかり」
確かに彼女の言うとおりだ、とクリフは思う。
返す言葉もない。
「ごめん」
「反省…してます?」
「うん」
「じゃあ誠意を見せて頂かないと」
聞き覚えのある台詞に、彼の記憶がくすぐられる。
あれは、いつだったか―
「もっと…言ってください」
その甘い声に、彼の思考が分断された。
「愛してるって、言って」
かつて聞いたことのないような彼女の声に、彼は頭の芯が痺れるような感覚を覚える。
何度も何度もキスをしながら、クリフはその言葉を繰り返し囁く。
指を絡ませて、優しく。
まるで、どこにでもいる恋人同士のように。
二人は長い間、キスを続ける。
0095旦那様×メイベル 最終話-6(終)2011/08/15(月) 22:24:21.64ID:OCAZoubq
彼は祈るように考える。
もう二度と、彼女の顔を曇らせることがないように。
もう二度と、悲しい思いをさせることがないように。
―いや、違う。
そこまで考えると、彼は思った。
二度と、なんていう誓いには意味がない。
きっとこれからも、彼女を悲しませたりすることがある。
きっと傷つけてしまうことも、ある。
でも、不安にのまれても。
見失うことがあっても。
何度でも立ち上がって進んでいこうという意志を持たなくては。
そう、彼女のように。
―幸せから逃げないで、生きていけるように。
ふと気がつくと、メイベルは、その瞳からぽろぽろと涙をこぼしていた。
真っ赤な顔。無防備な瞳。その熱。
「泣いてる」
そっと指先で拭ってやると、彼女は初めてそれに気がついたように、驚く。
「あ…わたし…」
メイベルの髪を撫で、彼は笑う。
「君はよく泣くね」
「…はい…だめですね…ほんとうに…」
メイベルは泣きながら、困ったように笑った。
「あんなに泣かないって…約束したのに」
「約束って…」
彼はきょとんとして、尋ねる。
「…誰と?」
メイベルは一瞬目を丸くした後、
可笑しそうにクスクスと笑い始めた。
その顔は、柔らかくどこまでも幸せに満ちている。
不思議そうな表情を浮かべ続ける彼に向かって、
メイベルは泣きながら笑い、そして、答えた。
「秘密です」



0096名無しさん@ピンキー2011/08/15(月) 22:30:12.33ID:OCAZoubq
これで、ようやく終わりです。
長々とすいませんでした。
拙い文章でしたが、読んでいただいた方、
本当にありがとうございました。

後半ちょっとエロい成分が足らなかった感じがあるので、
もし需要があるのであれば
おまけ的な物を一本書いて
それで終わりにしようかな、と思ってます。

ありがとうございました。
0097名無しさん@ピンキー2011/08/15(月) 22:42:55.35ID:NTdkNUnR
完結お疲れ様でした
そして超GJ!
おまけもお待ちしております
0098名無しさん@ピンキー2011/08/15(月) 22:48:02.07ID:uJL/PL3Z
あぁ、よかった。大円満でよかったよ!
終わってしまうのは寂しいけれど、お疲れ様でした。
おまけも待ってますw
0099名無しさん@ピンキー2011/08/16(火) 00:13:01.04ID:I9J8l1Cw
お疲れさまでした〜面白かった!!
おまけも楽しみです。
0100名無しさん@ピンキー2011/08/16(火) 00:33:56.79ID:Pqlncx5u
よかったなあ、メイベルもクリフも…
これからもっと幸せになって欲しい!!お疲れ様でした!すごく面白かった!
おまけ待機してます
0101名無しさん@ピンキー2011/08/16(火) 17:39:17.52ID:pK0NN81o
お疲れ様でした!楽しかったです!

エロくてもエロくなくても構わないですけど、もう一度クリフとメイベルに会いたいです!
なので、おまけ希望!(^-^)/
0102名無しさん@ピンキー2011/08/16(火) 20:23:50.64ID:K/Qb+M6e
結局、旦那様のほうがお屋敷を捨てるとは…
そしてベティとも仲直りするんだな。
メイベル可愛い。旦那様を幸せにしてやってくれ。

おまけは需要随分ありそうなので、正座して待ってます。
0103名無しさん@ピンキー2011/08/18(木) 19:57:28.71ID:X/GdgM0n
メイドさんシリーズの人乙〜
ベティさんが姉御過ぎて吹いた
0104名無しさん@ピンキー2011/08/19(金) 18:28:19.61ID:rvkKIakk
なんでここの主従スレなんだろ?
メイドスレに書けない理由が知りたい。
0105名無しさん@ピンキー2011/08/19(金) 18:46:56.95ID:7KjdAB76
直接雇用関係にあるわけじゃないけれど上下関係はある、ってケースは
このスレ○? ×?
たとえばお嬢様つきの召使いが、お嬢様の兄弟からちょっかいだされるというパターン。
0106名無しさん@ピンキー2011/08/19(金) 19:58:39.90ID:81daUK0K
ありじゃね?
お嬢様の家に雇用されているわけなんだから、その兄弟も主人側の人間だろ。
0108旦那様×メイベル おまけ-12011/08/24(水) 00:16:07.29ID:jWrxA0pT
メイベルは、見慣れぬ天井を眺め、そっと息を吐いた。
彼女にしては大きな、彼にしては小さな一つのベットで、
2人は寄り添って、今、眠りにつこうとしていた。
彼にもたれるようにして、メイベルはその温もりに体を預ける。
「疲れた?」
誰かに隠れて内緒話をするように、彼はごく小さな声で、そう訊いた。
彼女はそっと、クリフの顔を見やる。
長いまつ毛の下の切れ長の瞳。喉元の骨の緩やかなうねり。
キスができるほど近い位置にある、唇。
「ううん。わたしは、そんなに…」
彼女は答える。
引っ越してきてからまだ日は浅く、いまだに彼らは多くの作業に追われていたが、
メイベルは不思議と疲れを覚えていなかった。
新しい家、知らない道、街の人々。
生活の何もかもが変わり、その全てが信じられないほどに鮮やかで、
彼女の瞳はただそれを追うのに夢中だった。
「さすが、凄いね。俺はすっごく疲れたよ」
彼は軽く笑う。
「もう年だから」
疲れていないわけがない、と彼女は思う。
クリフはあの屋敷から、命がけで自分自身を引きはがしてきたのだ。
何年もかけて積み上げてきたあらゆるものを。
涼しい顔をしているけれど、本当はきっと。
想像さえできないくらい辛かったに違いない。
「おつかれさま、でした」
メイベルは手を伸ばして、彼の頭をそっと撫でる。
猫の毛並みのような、柔らかい髪の毛。クリフは目を細める。
「君もね」
そして、彼もまたメイベルの頭を撫でる。
互いに頭を撫で合いながら、二人は顔を見合わせて、笑う。
信じられないくらい穏やかで、満たされた時間。
0109旦那様×メイベル おまけ-22011/08/24(水) 00:16:47.47ID:jWrxA0pT
「なんだか…夢、みたい」
メイベルは呟く。
「俺もそう思う」
彼は美しく、眼を細めて笑う。
「眼が覚めたら、君がいなくなっちゃってるんじゃないかって」
冗談めかした言葉の中に潜む、彼の僅かな不安を、
メイベルは今では敏感に感じ取れるようになっていた。
クリフの頬に触れる。
「旦那様に黙っていなくなったり、しません」
その言葉を聞くと、彼は額をこつんと彼女の額に当てた。
「"旦那様"?」
彼女はまるで機械が文章を読み上げるように、ぎこちなく言った。
「く…ク、リ…フ」
敬語をやめること、彼の名前を呼び捨てにすること。
メイベルが、いまだに慣れない新たなきめごとの、一つだった。
メイベルのその言い方に、クリフは一瞬目を丸くした後、あはは、と大きな声を出して笑った。
「そんなに緊張しなくても」
彼が声を出して笑うようになったのはごく最近のことだ。
凪のようにいつでも穏やかだったクリフは、今になって少しずつ、
自分の生の感情を露わにし始めていた。
慌てたり、驚いたり、声を出して笑ったり。
時には悲しげな冷たい眼をしていることもあったが、
メイベルは心を痛めながらも、そこに、ある種の安堵を覚えていた。
不安や悲しみがないふりをするよりは、ずっといい。
幸せだ、と彼女は思う。
彼の妻として。
少しずつしかし確実に彼の身が軽くなっていくのを見るのは、この上のない喜びだった。
クリフが見せる不安もわがままも、その深い傷さえも、彼女の眼には愛すべきものとして写った。
毎日がひたすらに満ち足りている。不安はない。
ただ。
―ある一点を、除いては。
0110旦那様×メイベル おまけ-32011/08/24(水) 00:18:05.82ID:jWrxA0pT
「もう寝ようか」
クリフはようやく笑いを収めると、そう言って彼女を包み込むように抱きしめる。
「おやすみ」
しかし、彼女は決心していた。
彼が眠りに就く前に。
今日こそ。
勇気を出してその話をしようと。
「あの…」
メイベルは言った。
「き、聞きたいことが…あって…」
彼は閉じかけた眼を再び開くと、先を促すように顔をわずかに傾けた。
吸いこまれそうな大きな眼。
メイベルは引き返せないことを感じ、勇気を振り絞る。
小さな声で言った。
「その…」
「うん」
沈黙のあと、彼女はおずおずとそれを口にした。
「…本当は、嫌、だった、の…?」
「嫌って?」
「あの、だから…その…わたしと…」
メイベルは口ごもる。
彼女がずっと気にしていたこと。それは。
「…その…す、するのが…」
―飽きちゃったから。
彼に出ていくよう命じられたあの日以来、
クリフが彼女の体を求めることがなかったことだった。
彼女は不安に思っていた。
彼の身に今まであったことを考えれば、自分と体を重ねることは、
クリフにとって苦痛でしかなかったのではないか、と。
彼はメイベルの言わんとしていることを理解したのか、
指で額をおさえ、複雑な表情を浮かべた。
「うーん…」
彼は困ったように苦笑いをしながら、視線を背ける。
「…俺と、しては」
少し考えた後で、彼は、観念したように、言った。
「反省をしていて」
反省。その言葉を、彼女の意識が反芻する。
「君に、すごく酷いことをしたから」
ばつの悪そうな表情を浮かべながら、彼は言いにくそうに、言う。
初めて見る彼の顔だ、とメイベルは意外に思う。
「君は嫌だろうし、しばらくは…と思ってたんだけど」
0111旦那様×メイベル おまけ-42011/08/24(水) 00:18:44.61ID:jWrxA0pT
メイベルは予想外の答えに、驚きを覚える。
「…じゃあ、あの、別に…お嫌いでは…」
そしてまた、彼女は以前の口調に戻ってしまう。
「…うん」
そこで会話が途切れた。
ぎこちなく奇妙な静寂が、二人の間に落ちる。
時計の針の音を聞きながら彼女は、拒まれていたわけではなかったということに、
深い安堵を覚えていた。
しかし一方で、この沈黙は耐えがたいほどに重い。緊張が、走る。
―どうしよう。
おそるおそるクリフの方を見やると、彼の眼もまたメイベルを捉えていた。
彼は静かに言う。
「君は?」
クリフの顔は僅かに赤く、そのうっすらと戸惑いを含んだ表情には、男性とは思えないような色気がある。
「嫌じゃ、ない?」
気にしていないと言えば、嘘になる、と彼女は思った。
―君を抱くのだって、あの女に仕込まれたとおりにしただけ。
あの彼の言葉。
そして、彼に無理やりに抱かれたときのことを思い出すと、
メイベルは今でも足が竦みそうになる。
「まだ…ちょっとだけ」
彼女は素直に、口に出す。
「…怖い、です…」
自分が感じた恐怖と悲しみはなかったことにはならない、と彼女は思う。
そしてその時の彼がどんな気持ちでいたかということを考えると、
彼女の小さな胸は冷たく鋭く、痛んだ。 
しかし。その一方で。
「だから…そのぶん」
メイベルは彼自身にそれを、拭い去ってほしいと考えていた。
そして、また。快感を刻み込まれてきた彼女の体は。
彼に抱かれることを、確かに求めていた。
「たくさん、愛してくれます、か…?」
0112旦那様×メイベル おまけ-52011/08/24(水) 00:19:24.16ID:jWrxA0pT
メイベルは、振り絞るようにして、言葉を紡ぐ。
高鳴る胸を押さえつけるように、彼女は彼のパジャマの襟を、きゅっと、指先で握る。
クリフの表情が変わる。
その瞳の奥の、大きな空洞が、深い愛情に満ちる。
彼の顔が、ゆっくりと近付いてくる。
心臓の音が、彼に聞こえてしまうのではないかと、彼女は思う。
どうして。
この人といると。
こんなにいつも胸が苦しくなるんだろう。
どうして、こんなに苦しいのに。
―どうしようもなく、心地いいんだろう。
彼女は目を閉じ、キスを受け入れる。
合わされた唇から、慈しむように優しく舌が割りいれられる。
彼の指が、頬を、顎を、耳を、髪を、ゆっくりとなぞる。
なぞられた部分から、ひたひたと愛情が染み込んでいくような感覚。
長いキス。締めつけられるような胸の甘い痛み。
「メイベル」
彼は唇をほんの少しだけ離すと、うっとりとした表情で、囁いた。
「好き」
そして、彼はもう一度、唇を重ねる。
キスが深められると、メイベルの思考はぐらぐらと霞んでゆく。
彼の襟元を掴んだままのメイベルの指が、彼の手に捕まえられ、
そして彼の頬に触れさせられる。
クリフの頬は、既に熱を持っている。
体が密着する。彼の体の、重み。匂い。影。唇から洩れる、吐息。
キスをされてるだけなのに。
彼女は思う。
気が遠くなるくらい、気持ちがいい。
「本当に…大丈夫?」
彼が心配そうに、不安そうに、聞く。
「は、い…」
「はいじゃ、なくて」
彼はその瞳に熱を宿したまま、窘める。
メイベルは恥ずかしそうに、言いにくそうに、答える。
「…うん」
0113旦那様×メイベル おまけ-62011/08/24(水) 00:20:14.26ID:jWrxA0pT
彼が、メイベルが身につけているものに、そっと手をかける。
メイベルは体の力を抜いて、彼にされるままに身を任せる。
初めのころとは別人のような、彼の顔。
彼について知るたびごとに、彼女の愛しさは際限なく増してゆく。
するすると服を脱がしながら露出していく肌に、彼は口をつけていく。
二の腕を、足の指を、首筋を。
まるで奉仕するように優しく舐められ、彼女の胸はゆるやかな快感と切なさで満たされる。
体の芯が焦れてゆく。
「ん…っ」
「気持ち、いい?」
「う、ん…」
彼女の本能が、さらなる刺激をねだり、捩れる。
彼は、真っ赤になった彼女の耳を吸うように舐める。
「ひゃ…っ」
そして、彼の手が胸に伸びる。
耳を唇で責められながら、下着越しに触れられているだけでも、
体の奥がじくじくと締めつけられるように痛む。
「うっ…あ…」
恥ずかしい。愛しくて、苦しくて。気持ちいい。
でも。
―もっと。
彼女は焦れて、もがく。
久しぶりの行為だからなのか。
彼なくしては居られない体になってしまったからなのか。
それとも、彼を深く深く、愛しすぎてしまったから、なのか。
彼女にはわからない。しかし。
物足りない。もっと、激しく、されたい。
―めちゃくちゃに、されてしまいたい。
彼の指、彼の匂い。
彼女はたまらなくなり、奪うようにクリフの顔を両手で捉まえると、強引にキスをする。
「…ん…っ」
突然のことに驚き、僅かに漏れる彼の声が。
その生温い舌の味が、絡まる唾液が。柔らかい髪の毛が。
何もかもが欲しい。
小さな体に収まりきらないような、強い感情に彼女は振り回される。
愛しい。
胸が苦しい。息が、できない。抑えられない。
彼女はキスをしながら、クリフの髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き混ぜるように撫でる。
0114旦那様×メイベル おまけ-72011/08/24(水) 00:25:11.68ID:jWrxA0pT
唇を離すと、いつにないメイベルの様子に、彼は驚いたような表情を浮かべていた。
「ごめん、なさい…」
メイベルは我に返り、泣きそうになりながら言う。
「我慢…できなくて…わたし…」
すこし、触れられただけで。
体が燃えるみたいに、彼を求める。
恥ずかしかしいのに。
いやらしい娘だと、思われたく、ないのに。
歯止めがきかない。
自分が思っていた以上に、狂おしいくらいに。
望んでいる。求めている。彼の体を、心を。
「お願い」
彼女は、ねだるように言った。
奥が、熱くて、疼いて、たまらない。
助けを求めるように、彼女は訴える。
「もっと、して…」
クリフは、弾かれたように彼女に覆いかぶさると、唐突にキスをした。
「ん…っ」
彼の舌に、激しく口の中を犯される。
心配していたような恐怖は何もなく、それどころか、飢えたように身体がそれを求める。
二人は、互いの唇を激しく求めあう。
愛しさに、淫らな悦びに、心が溶けて、溢れる。
ただ、ひたすらに気持ちがいい。
唇を離すと唾液が糸を引く。
彼が独り言のように呟く。
「どうしてそんなに可愛いの?」
その眼には、獣のように、荒々しい情欲が、ゆらゆらと揺らいでいる。
彼は爪先で乳首を引っ掻く。
「あ…っ」
肌を掠るような僅かな刺激に、快感が走る。
もう片方の手が、彼女の秘部に伸び、優しくその表面を撫でる。
ぬるぬると、指先が、誘うように、焦らすように割れ目に沿って滑る。
「いいよ、隠さないで、思いっきり感じても」
低い声で囁くと、彼は同時にゆっくりと指を動かす。
乳首とクリトリスを同時に責められ、ぞくぞくと快感が背中を駆けあがる。
形のいい彼の唇が、肌を這う。
0115旦那様×メイベル おまけ-82011/08/24(水) 00:26:26.90ID:jWrxA0pT
「はぁ、あ…あああ、あっ」
「気持ちいいって、素直に言ってごらん」
「あ、あんっ、んん…っ!」
「言ったら、もっと気持ちよくしてあげる」
体から力が抜けていく。
繰り返しなぞられる指の感触がさらに体に焼きつく。
抵抗ができず、彼女は溺れるように言う。
「あ、いい、です…、あ…気持ち、いぃい…っ」
その言葉を合図にするように、秘部にあてがわれていた指がぐっ、と中に入った。
蜜が溢れる。いやらしい、音を立てる。
同時に、乳首を強く捏ねられ、メイベルはなす術もなく、哭く。
「あっ…あ、あああ…っ!」
望んでいた強い快感に、脳が焼ける。
ぐちゅぐちゅと優しく出し入れされ、体が激しく疼く。
「あ、あぁん…あああっ…!」
弱い部分を丁寧に、一度に責められ、腰がとろけてしまいそうになる。
「そんなに欲しかった?」
「あ…欲しかった…の…っ、クリフに…して欲しくて…わ、たし」
「俺も」
彼はメイベルの奥に指を深く差し入れると、関節を軽く曲げ、中の壁を刺激する。
「ん、んんんっ…!」
彼が指を動かしたまま、頬張るように乳房を口に含み、音を立てて舐める。
メイベルは自制心を失い快感に溺れる。
「あ、あっ、だめぇ…!ぁあん…っ」
「もっと聞かせて、君の可愛い声」
彼女の体の曲線を指でなぞる。
余すことなく、愛でるように。
彼女の中に宿る快感の滴。その一滴もこぼさないように。
「んんっ…あぁ、いやあぁっ…」
快感にかき乱され、まともに考えることができない。
羞恥心を感じる余裕もなく、彼女はただひたすらによがる。
「ねえ」
彼の顔が欲情の色に乱れている。メイベルの腿を掴み、膝を開かせる。
「入れてもいい?」
彼が、固くなったものを、メイベルの内腿に擦りつける。
その熱い感触を感じ、彼女の理性がさらに自制心を失う。
「俺も、限界」
メイベルは、頷き、彼の首に腕を巻きつける。
「は、い…っ」
0116旦那様×メイベル おまけ-92011/08/24(水) 00:27:19.44ID:jWrxA0pT
そしてそれが、ゆっくりと、ずぶずぶと、中に沈んでいくのを感じ、彼女は声をあげた。
「あ、あ、あんっ…!」
子宮に感じる圧力に体が痺れ、メイベルは、クリフの喉にキスをする。
彼が、熱い息を漏らすと、汗ばんだ体を密着させ、ぎゅう、と強く抱きしめる。
「大丈夫?」
「う、ん…」
「動かすよ」
彼は、ゆっくりとそれを引き抜き、何度も奥に挿し入れる。
丁寧に優しく、繰り返される、刺激。快感。そして。
深い、愛情。
「あ、あ…っ!」
「愛してるよ」
彼は動きながら、彼女の髪を限りなく優しく、撫でる。
「ごめんね、メイベル。君に酷いことをたくさん…して」
彼は、雨のようにキスを彼女の体のあちこちに浴びせる。
「これから、いっぱい…君を大切に、するから」
彼の言葉が体に染み込む。
奥が擦れて、神経が引っ掻かれるような快感が走る。
「一生かけて、君のことを。今度からは俺が君を…守るから」
メイベルは彼の温度を体いっぱいに感じる。
気持ちいい。
苦しい。息が、止まる。
甘い匂いで。彼の、声で。
体の、心の奥にある繊細な場所が。
彼以外には触れさせたことのない敏感な部分が。
じわじわと、快楽と幸福感で、満ちる。
「これからは、君を幸せに、するから」
胸が、切なさで、張り裂けてしまいそうになる。
「んっ…クリ、フ…」
彼女は、いやいやをするように首を振る。
その名前を、呼ぶ。
愛しい人。大切な、人。
「わた…し、すごくすごく、しあわ、せ…」
0117旦那様×メイベル おまけ-102011/08/24(水) 00:28:17.43ID:jWrxA0pT
声が、掠れる。
快感で。愛しさで。
「あなたが居てくれたから、わたし…いつも、ずっと、しあ、わせ…」
手を伸ばして彼の顔を、ぺたぺたと触る。
信じられないものを見るような、彼の驚いた顔。
「す、き…っ」
彼女は、そう言うと、クリフの指を握りしめる。
がくん、と体が激しく揺れ、中に強く打ち付けられる。
のしかかってくる愛しい重み。
その腕に、強く抱きしめられる。
「あ、あああ…あああっ!」
堅いものが、何度も何度も、子宮の奥に当たる。
彼の熱いものが体の奥につき刺さる。
「だめぇ、…ああ、あっ!」
視界が滲むような、体が溶けるような。
なにもかも、どうでもよくなってしまうような、快感。
「愛してる…」
「あ、だめっ…お、かしくなっちゃう…だめ、だめえっ…」
「いいよ、おかしく…なって」
「んん、あ、あああ!いや…だめ、だめ、あ…っ」
「もっと…いやらしいところ見せて…」
我を忘れたようにクリフが言う。
彼の官能的な声。乱れた顔。荒い、息。
思考がまとまらない。抑えられない。苦しい。
もっともっと、彼が欲しい。
「あ、ああ…、クリフ…もっと、して…。もっと、わたしを…っ」
体の芯が熱い。
「もっと、愛して…」
彼が困ったように、驚いたように言う。
「…まだ…足りないの…?」
体中に、脳が揺すぶられるような疼きが響いて、広がってゆく。
「欲張りだね、君は」
奥を、子宮の入り口を。乳房を。耳を。指先さえも。
容赦なく責め立てられ、体中の感覚が奪われる。
皮膚の全てが、性感帯になってしまったみたいに。
べっとりと張り付く彼の汗が、体液が、声が、吐息が。
媚薬のように彼女の体を蕩かし、どろどろに絡まっていく。
0118旦那様×メイベル おまけ-11(終)2011/08/24(水) 00:30:22.17ID:jWrxA0pT
気持ちいい。ただ、ひたすらに。
声が悲鳴のように、激しくあがる。
「可愛いよ。すっごく、可愛い」
次第に、高まっていく。
抵抗できないくらいの、圧倒的な、快楽。
「あ、…あ、ああん…っ!いや、いやあ…」
―だめ。
わたし。
もう。
「離さない、ずっと」
彼の低い声。
視界が白む。手足が突っ張る。
「ああ、あああああっ!!」
電気の走るような激しさに貫かれ、彼女は、クリフの腕の中で果てる。
体に収まりきらないくらい大きな幸福感に。
とくとくと注がれる愛情に、ただ彼女は身を任せる。
そして。
それからも二人は何度も何度も、繰り返し、肌を重ねた。

        *

天気の良い朝。
空は晴れ渡り、温かな陽気が窓から差し込み、
今日はシーツを干すのにとてもいい日だ、と彼女は思う。
そして、天気のよい朝ほど―
彼女は視線をクリフに向ける。
―夫の寝起きは悪い。
彼女は腹筋に力を込めると、出来るだけの大声を出した。
「起きて!」
何十分とこうして呼んでいるにもかかわらず、彼は今なお、屍のようにぐったりと、その長い手足を投げ出している。
「…うん…」
彼は猫のように背中を丸め、何か言っているようだった。
しかしその内容は聞き取れない。
「起きて」
「ここ…、どこ…?」
「いいから!ほら!」
メイベルは彼を起こす時には、足首を引っ張ることにしていた。
不用意にそばに近づくと、彼の腕に捕まってしまうことを経験的に学んでいたからだ。
「メイベル」
寝ぼけたまま、彼は口を開く。
「すきー…」
幸せそうに再び寝入る彼の顔を見ていると、何もかも瑣末なことに思える。
愛しい人の寝起きの悪さに悩まされる朝。
「わたしも」
彼女は思う。
これ以上の贅沢はない、と。
0119名無しさん@ピンキー2011/08/24(水) 00:37:33.56ID:jWrxA0pT
今度こそおしまいです。
ありがとうございました。

メイドスレのほうに書き込まなかったのは、
最初に投下した当時、2CHの仕組みがよく分かっておらず、
メイドスレの場所がわからなかったからです・・・
こっちでもいいと書いてあったので、
とりあえずこっちに投下させてもらいました。
バカですいません・・・
他にも、非常識なことをしていたかもしれません。
不快に思われた方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした。
完成度はともあれ、おかげさまで文章を書く楽しさを知ることができました。
スレのみなさんには感謝しています。

どうもありがとうございました。
それでは、失礼します。
0121名無しさん@ピンキー2011/08/24(水) 00:55:39.58ID:LFBcoMSP
お疲れ様でした。クリフもメイベルも幸せになってよかった!
楽しいひと時をありがとうございました!
0123名無しさん@ピンキー2011/08/24(水) 02:22:07.98ID:qeyPSt2y
GJ!
二人が幸せになって本当によかった
また新しいもの書かれる予定ございましたら是非お願いいたします
0125名無しさん@ピンキー2011/08/24(水) 13:14:24.30ID:aHJoX4S6
メイベルの作者さん、まだ見てたらひとつだけ聞かせて
文章を書いたことがないということでしたが、
学校か仕事で、長文を書くことに慣れていらっしゃる?
0126名無しさん@ピンキー2011/08/24(水) 17:47:17.37ID:tA4zT9//
ただでさえメイドの人は他スレならマナー悪いウザイ投下姿勢なのに
自分語りなんてやばい事させるなんてそんなに叩かせたいのかよ…
0127名無しさん@ピンキー2011/08/24(水) 19:45:31.04ID:aHJoX4S6
おう、叩く気満々の人がきてしまったか
まぁいいや
>>119
このスレでなくてもいいので、どこかで書き続けてくれると嬉しいです
すごく面白かった
0128 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 2011/08/25(木) 00:18:40.70ID:0alaTrEB
「叩く気満々」とかいう喧嘩腰の方がどうかと思うけど
そんなに聞きたいなら絡みに誘ったら

因みに投下開始と投下終わりが分かりにくいと
GJつけにくいから
数字振るだけじゃなく1/6とかで振った方が良いよ
0129名無しさん@ピンキー2011/08/25(木) 09:00:33.72ID:s1n9uAK1
>>127のように
自分語りしてくれとか叩かれそうな事を
やってくれと勧めておいて自覚がないのもどうかと……
せめて裏話や誤爆で聞かせてくれとか配慮したならともかく

メイベルの人は短文投下殆ど毎日でそれのgjレスばかりでスレ占有状態だったし
投下いきなり始まって終わりも良くわからない
このスレの事かは違うかもしれんけど
愚痴スレではそういうケース良く愚痴られてて嫌われる行為だよ
ここの住民はまったりしてるし投下少ないから注意入らなかったんだろうけど
0130名無しさん@ピンキー2011/08/25(木) 16:23:13.38ID:j9KO8mtL
2ちゃんは交流するところじゃないしね。

質問は質問スレか書き手控え室が該当スレかな。
0131名無しさん@ピンキー2011/08/25(木) 21:01:27.21ID:GUDr8c51
メイベルの人は、
初めから確信犯だと思ってた。
わざと『2ちゃんは初めてだから〜』
と初めてSS書いた振り、
初めてだからメイドスレを見落とした振り。

『初めてだから』をかざして傍若無人の振る舞いを楽しんでいたようにしか見えなかった。
0133名無しさん@ピンキー2011/08/26(金) 02:10:55.44ID:0qpeTNfz
え、初めから確信犯でしょ?
一番初めの投下で華麗に上げ+誘い受けのコンボから
スレが下がってたら上げ
注意されても自分に都合の悪い事は
華麗にスルーしてるし手馴れすぎw
始めにスレを読み込んで〜とか言ってたのに
メイドスレって普通に>>1から読んでたらいけるしね…
0134名無しさん@ピンキー2011/08/26(金) 20:03:45.16ID:hvvHj/hh
故意だとしてもこの話を延々続けるのはやめたほうがよくね?
0136名無しさん@ピンキー2011/08/27(土) 08:46:49.68ID:kieAa5z1
メイベルの人乙でした
すごく面白かった
ここじゃなくても、また読みたいから見つけられるといいな

欲を言うとベティと仲直りさせてあげて欲しかった
0137名無しさん@ピンキー2011/08/27(土) 11:17:15.57ID:DrFiGIkO
確信犯に巻き込まれたくないから、別作品の作者さんたちが投下を控えていたように思えた。 
0139名無しさん@ピンキー2011/08/27(土) 12:42:29.55ID:M4+sWnWY
故意犯かぁ。
そうかも。

書きなれた文章や、初心者・殊勝ぶりのわざとらしさは故意だな。
まんまと釣られる讚美者への堂に入ったあしらい方も手慣れていたもんな。  
0140名無しさん@ピンキー2011/08/27(土) 16:02:30.82ID:GkU2ryHm
>>137
巻き込まれたくないというか
全て俺のターンで絶賛状態だったから
普通に投下しにくいだけだと思うよ
投下に間があるのなら投下できるけど
スパン短いと投下の邪魔かなと気を使うものだし

メイベルの人は次にどこかに投下するなら
そこの所気をつけたらいいんじゃないかな
0146名無しさん@ピンキー2011/08/31(水) 23:04:18.45ID:9LCN8bEM
インスタント冷やし中華という庶民の食い物で急ぎの昼食をとる使用人の少女に
それどんな味食べたい一口ちょうだいとねだるショタ坊っちゃまとかそんな
0147名無しさん@ピンキー2011/09/02(金) 09:58:29.12ID:KlM8lS4l
このスレにはどんな作品でも手放しで誉めなくちゃいけないみたいなローカルルールでもあんの?
それは憲法の言論の自由よりも優先されちゃうの?
0150 忍法帖【Lv=23,xxxPT】 2011/09/03(土) 00:26:11.64ID:sgizJebi
>>146
インスタント冷やし中華をこよなく愛する使用人の少女は
こんなものはおいしくないのよ〜(私の昼食とるな!!)
ぼっちゃまはおいしいものをシェフに作ってもらう方がいいですよ
とかいうバトルでもおいしい気がするw
0151名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 06:16:03.19ID:62CTyg/m
仕事の出来るクールな感じで忠誠心が強い女従者とか良いよね
0152王様×男装従者(2/3)2011/09/04(日) 21:58:50.91ID:c9XIDz63
「ひっ……、ん、あっ」
必死に唇を噛み、耐えていた口が戦慄いて、ほとほとと喘ぎが落とされる。
額に、上気した胸元に。浮かぶ玉の汗が、これの限界が近いことを示している。
ゆっくりと。最奥で円を描きながら、なだらかな脇腹を撫で下ろす。これの肌はどこに触れても滑らかで、悪くない。
「あ、あ、ひあっ……!」
事の外感じたのか、身を震わせて極まり果てた。熱い蜜壷がぎりぎりと、未だ逝き着かない己自身を締めつける。
息が上手く吸えないのか、はくはくと口を開閉し、全身を痙攣させている。

予をおいて先に逝くとは。脇腹が弱いのは知っていたが、それにしても不甲斐ない奴だ。

「こらえ性がないな。予はまだだというに」
「も、申し訳、ございません……」
一杯に溜めた涙がこぼれぬよう、必死でまばたきを繰り返し、何とか息を整えようとするのを待つ。
落ち着いた頃を見計らい、抱える軸を少しずらして、位置を左に移して突き上げた。

「ふあ?! ひ、ひあっ!」
果てた余韻も覚めやらぬまま好い所を擦られて、堪らず悲鳴じみた声をあげる女。
その、落とさないかと思うほどに開かれた眼を舐めながら、時刻にも場所にもそぐわぬ嬌声を誹る。
「声を抑えろと言ったであろう。どうしようもないな、そなたは」
「はっ……、ふ、くぅっ」
過ぎた快楽に、もはや焦点も定かでない瞳がまっすぐに予へと向けられる。
ぜいぜいと荒い息の合間に、必死で声をかみ殺す様に、背筋を駆け上るような愉悦を覚える。

そうだ。従え。予の命令に、忠実に。
従順なこれがいればこそ、予は過酷な戦場で己を保っていられる。

弾け飛ぶ瞬間。女の腰を持ち上げ、白い腹へと欲望を放った。
0153王様×男装従者(1/3)-12011/09/04(日) 22:10:17.97ID:c9XIDz63
すみませんいきなり投下失敗しましたorz長すぎたのかうまく投下できません。
本来の1/3を2分割することにしてみます。

お目汚しですが、
・王様×男装従者
・挿入済み、やってるだけ
・回想長い、エロ薄い
多分3レスいただきます。
以下投下



己自身を女の最奥におしつけたまま、薄い胸元を吸い上げる。
椅子に腰掛けた膝の上。目の前でゆれる細いからだが、喉をそらせてのけぞった。
「ひあっ……ぁあ」
ぬるぬると熱く、きゅうきゅうと強く。逃がすまいとするように締めつけてくる胎内に、放ちたいのをぐっとこらえる。
まだだ。まだ終わらせない。
そらされた喉を追いかけ、唇を這わす。首筋をたどり、火照った耳たぶを甘噛みし、耳元で不興の意を伝えてやる。
「耐えろといっただろう。……そなた、予の命令が聞けないか」
赤く染まった肩が震えるのを確認して、掴んだ尻を分け、さらに奥へと己をねじり込む。
「も……申し訳、ありま、せっ、んんっ」
細い身体を持ち上げては落とす。動きにあわせて、女の声が途切れる。二人分の体重を預けるには粗末すぎる椅子が、ぎしぎしと軋んだ。
簡素な小屋の窓にはガラスなどなく、昼でも室内は薄暗い。壁、屋根、木の窓板。
どこからか漏れ落ちる陽光が、わずかに女の肌にかかる。日に焼けて荒れた手や顔とは違う、普段服に鎧われた背や腹の肌の白さを暴く。
無駄な肉のない滑らかな背中。背骨の上のくぼみを、中指でゆっくりとなぞり上げると、女は震えて甘い息をこぼした。
「へ、いか、も、やめ」
「耐えろ。軍議まで間が持たん」
0154王様×男装従者(1/3)-22011/09/04(日) 22:12:20.01ID:c9XIDz63
両手で口元を押さえ、喉奥でうめく女の腕を、縋るような形で己の肩にかけさせる。
何度肩にかけ直しても、また口元を隠すのが小憎らしい。
伏せられていた濃茶の瞳が、物問いたげにこちらを向いた。
「……?」
「声は抑えろ。だが手で殺すのは許さん。またいいつけに背かぬよう、予の首でも掴んでおけ」
そういわれましても、と女は途方にくれた。
周囲には大した間隔も置かず、近衛や将官の天幕が並んでいる。口を塞がずに声を抑えるのは一苦労だろう。
困ったように傾げられた頭をかき回してやると、しなやかな髪が指に絡む。
このざんばらに切られた栗色の短髪が、元はつややかな巻き毛であったことは、この陣で知るのは予と数名のみ。
予の膝の上で乱れるのは、我が乳兄妹……乳母の娘。
幼いころには数少ない遊び相手だった。長じてからは王宮で予の身の回りの世話などさせていたのだが。
予が即位して数ヶ月。若年の王と侮った諸国に攻め込まれた。これは髪を落とし男装して戦地までついてきた。

――陛下のお役に立ちたいのです。

そう言った瞳が真摯な光に満ちていたので、予はこれを都に帰しそびれた。
そして、過ぎる日々。周囲には男と通して、身の回りの世話を続けさせ、傍に侍らせるうちに。
血と硝煙と、死の香りが渦巻く戦場で、温もりに飢えた予は――これに手をつけた。

泣きもせず、喜びもせず。これはただ予の無体に耐え、要求に応じた。
その日以来、周囲に男と偽ったまま、予に命ぜらるるままに、からだを開いている。
0155王様×男装従者(3/3)2011/09/04(日) 22:14:49.01ID:c9XIDz63
意識を飛ばした女は捨て置き、身なりを整え小屋を出た。
気付いた近衛兵が二人、慌てて後ろに付く。本営は予の小屋からわずかの距離。護衛など要らぬというのに。

「陛下、軍議にはまだ早いですが、よろしかったので?」
「ああ、最近あれは弱くて仕様が無い。そなたら、予の相手にならぬか?」
「とんでもない!陛下の将棋の相手など、私どもでは力不足ですよ」
「陛下はお強いですからね。まして盤無し打ちに付き合えるのは、あいつくらいのものです」
はは、と笑う声を聞きながら、考えるのは女の去就。

あれは予の精神を保つのに役立つ。だが、いつまでもこのままというわけには行くまい。
いずれは城に帰して、……ああ、確かあれに懸想していた男が、若手の文官に居たのではなかったか。
良い仕事をする男だった。あの者に下げ渡せば悪いようにはなるまい。
確かあの男は城仕えのままのはず。この会戦が終わったら、どんな男か宰相への手紙で探りを入れてみるか。

そうこうするうちに本営の天幕に着いた。あれのことを考えるのはここまで。
いかにして予の国を、民を喰い荒らした愚か者どもを喰い散らかすか。

――さあ、愉しい算段が始まる。
0156王様×男装従者(〆)2011/09/04(日) 22:18:40.98ID:c9XIDz63
以上です。
ただでさえ読みづらい文章なのに、見苦しい程の投下失敗をしてしまいました。切腹。

王様というか只の俺様に。
西洋風主従を目指したつもりがよくわからない有様に。
エロも情景描写も難しい。

慣れない妄想も吐き出し終わったので、本職の職人様の投下待ちに戻ります。
0157名無しさん@ピンキー2011/09/04(日) 22:49:04.90ID:TxxMHKdp
乙!
払い下げたら払い下げたで
なんだか癪にさわってる陛下を想像してしまうw
0158キミはともだち 1/52011/09/05(月) 00:27:29.08ID:9uLtLhzU
延滞してすんません。
あと投稿ルールがちで忘れてた。今回からつける。



 なんで泣いてるのに誰も助けないんだろう。
 始まりはそんな思いからだった。

 初めてシドニーと出会った日のことを、ミコトは今でもよく覚えている。
 長く貧民街に暮らしていたミコトにとって、泣き声につられて忍び込んだ屋敷の庭は、
まるでおとぎ話の世界のようだった。
 その中で、ミコトはシドニーと出会った。
 見たこともない紅い髪。瑠璃色の瞳。陶器のような白い肌。

 ――なんて、きれいなんだろう。

 子ども心に、ミコトは思った。
 ぽろぽろと涙を流すその子は、本当に妖精のように美しかった。同時に、ほっておけば
崩れてしまうような、儚さも感じさせた。
 ――守らなくては。
 そう思って、シドニーの手を取った。
 あの時点で、ミコトがシドニーに抱いたのは既に「友情」ではなかったのかもしれない。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「あっ、ぁ、やあっ……」
 夜の帳の中、重なった二つの裸体が踊る。
 男の胸に背を預ける形で下から男のものを根元まで穿たれた女は、先刻から一寸も
動かない男に焦れて、無意識に腰を揺らしている。
 だがそれを無視して、男はやんわりと背後から女の身体の表面に手を滑らせるだけ
だった。胸の頂やわき腹をつ、と指先が掠めるが、それは中途半端に情欲を燻らせる
だけで、だんだんと思考を蝕んでいく。
「! っ、あ」
「ここ、気持ちいいだろ?」
 唐突に雁で内壁の敏感な場所を擦られ、限界までお預けを食らっていた女の身体は
それだけで悦びに戦慄いた。
「う、ん、そこ、きもち、い……! あ、あっ、――〜〜……!」
 後ろから喰らうように口づけられたのに気をとられた瞬間、ずん、と強烈な突き上げと
指先での陰核への強い愛撫。四肢をがくがくと痙攣させ、ミコトは達した。


0159キミはともだち 2/52011/09/05(月) 00:28:27.73ID:9uLtLhzU
「は、ぁ……っ」
「……よくできました」
 強く吸い上げられた舌を解放される。つ、と透明な糸が引くのが見えた後、妖しい光を
宿した瑠璃色の瞳と視線がぶつかる。
 こういう目をしている時は大抵、次の犯し方を考えているのだと分かるようになった。
 胎内で未だ硬度を保ったままミコトを限界まで穿っているシドニーは、今晩まだ一度も
達していない。
(なんでもすごいらしいぜ、なかされた女は両手じゃ足りねぇって話だ)
 屋敷に来た日、ミコトに食事を持ってきた男の言葉が今なら理解できる。
 シドニーが欲望を吐き出すまで、いくらでも絶頂に追いやられる。事実、強すぎる快感に
行為の度、涙が出る。何も考えられなくなるまで何度も達し、やっとシドニーが射精しても
また次が始まる。途中で気を失い、そのまま朝を迎えることもあった。
「なぁ、知ってる?」
「な、にを……? っ、あ――」
 脱力した四肢を抱き留め、もう片方の男の手が胸の飾りを弄び始める。
「女の身体ってな、形を覚えてるんだ」
「っ……はぁっ……なん、の……?」
「これの」
 腹の上から、裏筋を達したばかりの肉壁に押しあてられ、凭れていたシドニーの胸から
背が浮く。
「ア、ああっ」
「相手が一人しかいない女は、これにぴったりの形を覚えてる。だから抜くときも入れる
時もすごく気持ちいい。たくさん男とやってる女よりずっと……な」
 シドニーの言葉に、否が応にもそこに意識が集中する。入口が震え、内壁が胎内の
シドニーの形に合わせて収縮するのがはっきりとわかる。身体が次の絶頂を求め、切なく
疼きだす。
「だ、から……っ?」
 答えを求めシドニーを見上げる。優しい視線を返しながら、シドニーはゆっくりミコトの
身体を横たえると唐突に突き上げた。
「ッ、あ」
 軽く達して震えるミコトに覆いかぶさりながら、耳元でシドニーが囁く。
「お前の中、すごくいい」
 これから始まる官能の予感に、くらりと目が眩んだ。


 ミコトが痛みではないものを感じるようになってからというもの、夜毎にミコトはシドニー
から呼び出しを受け、そして抱かれた。
 手で、舌で、これ以上ないぐらい優しく愛撫され、貫かれ、揺すられ、抱きしめられ、
一夜に何度絶頂に追いやられたか分からない。
 シドニーに抱かれるのは、恐ろしくなるほど気持ちがいい。

 ――夢でも見ているみたいだ。

 自分のあられもない嬌声を聞きながら、身体の中で穿たれたものが瞬間、更に膨れて
どっと胎に精を受ける度、ミコトは思う。
 その夢が悪夢なのかどうかはミコト自身にも分からなかった。
0160キミはともだち 3/52011/09/05(月) 00:29:47.75ID:9uLtLhzU
「ん……」
 自室のベッドで、ミコトは目を覚ました。窓から差し込む光で、もう昼近いことを知る。
 ――夢?
 気だるさを残した身体を起こし、先刻まで見ていた夢の中でもシドニーに抱かれていた
ことを思い出して、ミコトはため息をつき、膝を抱える。
 夢の中の出来事だというのに、身体は昨晩抱かれた時のことを思い出して如実に
昂っていた。無意識に内股を擦り合わせると、濡れ始めた秘所が切なく疼く。

 憂鬱だった。
 だがぼんやりとしたその正体が、ミコトはまだつかめない。
 ――抱かれるのが嫌?
 だが今になって――否、最初から。ミコトは抱かれることは嫌ではなかった。
 相手が、シドニーだったからだ。
 ミコトは本当に嫌な事ならどんな手を使ってでもそれから逃れる術をその身に備えて
いる。今だって、日の差す窓を開け放ち、屋根を伝って塀を飛び越えてしまえば、自由は
手に入る。それをしないのは、自分が本当に嫌ではないからだということは、何となく納得
できた。
 シドニーは心を許した数少ない人間だった。だから、抱かれてもいいような気がした。
 ――なら、何で?
 同じ疑問が、何度も頭をめぐる。だがそれはいつも同じところを通るばかりで、ちっとも
答えにたどり着かない。
 外で、小鳥が鳴いている。
 ――やめよう。
 部屋の中で考えていても、ただ憂鬱になっていくだけだった。
 ベッドから降り、軽く身支度をして、ミコトはドアを開けた。


 特別の措置で、一人の時でも客人の目に着かない場所に限って、ミコトは屋敷内の
移動を許可されて――もちろん、許可の元はシドニーだった――いた。
 もっとも、シドニーにとってはそれでも不服らしく、自由にどこでも屋敷内を歩けるように
とハルベルトに進言したが、それだけは頑として聞き入れられることはなかった。
 とはいえ、使用人がいるような場所に行けば後ろ指を差される。そういうことをあまり
気にしない性格とはいえ、シドニーまで悪くいわれるのは気が引けるし、第一金持ちの
あれこれにミコトは興味がない。
 この屋敷の中でミコトの足が向かう場所は、シドニーの部屋を除けば一か所しかない。
0161キミはともだち 4/52011/09/05(月) 00:31:06.59ID:9uLtLhzU
赤、ピンク、黄、白、と色とりどりの花が咲き誇っている。
「変わらないね、ここは……」
 屋敷から離れた庭園の奥の奥。シドニーとミコト、二人が出会った秘密の花園。
 小さい頃、はるか頭上まで伸びていた枝は、今、肩ほどの高さしかない。
 懐かしさに頬が緩んだ途端、虚しさに似た感情が押し寄せる。

 ここで泣いていた、輝く宝石のような男の子。
 あの日。
 あの日、シドニーの手をとったのは。
 
 ――違う。

 気がつくと、涙が頬を伝っていた。
 抱かれてもいいような気はした。だがそれは抱かれたいわけではない。
 嫌ではないということは、好きだということとイコールではない。
 そして。
 今まで一度も気付かず、たった今気付いてしまったこと。

「……だれ?」

 聞きなれないボーイソプラノに振り返り、ミコトは一瞬、心臓が止まるかと思った。
 ――シドニー。
 炎か血のような紅い髪に、瑠璃色の瞳。脳裏に浮かんでいた幼い頃のシドニーに
そっくりの少年が、そこにいた。
「あの……」
 あまりにじっと見つめていたのか、少年は怪訝な顔をしている。はっとミコトは我に
返った。彼がシドニーのわけがない。
「わたしは、ミコト。お屋敷の使用人の一人さ。あんたは?」
「ジョシュア。ジョシュア・オートレッド」
 この屋敷の中でオートレッドを名乗ることが許されるのはハルベルト・オートレッドの
血族のみだ。加えてこの髪の色ならば、まず間違いようがない。
 ――シドニーの弟だ。
「あんた、こんなところに何しに来たんだい?」
「じいやとかくれんぼしてるの」
 そういえば、あの日のシドニーもここに迷い込んだ原因はかくれんぼだったと後から
聞いた。思わずふふ、と笑みが零れる。
「あんたたち兄弟そろって、同じ場所に迷い込むなんてねぇ」
0162キミはともだち 5/52011/09/05(月) 00:33:12.88ID:9uLtLhzU
「にいさまをしってるの?」
「ああ、知ってるよ。私は――」
 喉元まで出かかった言葉が、急に塞き止められた。
 私は、シドニーの何だろう?
 友達か。
 恋人か。
 それとも。

「はい」
 ジョシュアが、ハンカチを差し出した。心配そうにミコトを見上げる。
「あ……ありがと」 
「かなしいことがあったの?」
 無邪気なジョシュアの問いに、胸を突かれた気がした。
「……ああ、そうだね」
 涙が溢れる。
 あの日。
 あの日から、ミコトがシドニーに抱いていたのは。
「そうだね、そうかもしれない……」



詰んでた川城とセツの話もそろそろ続きを書きます。
0164名無しさん@ピンキー2011/09/06(火) 05:35:11.14ID:G+WQPU3e
えーっと投下ルール気をつけなきゃっていうぐらいなら
前の投下から間隔空けるか数レス空けるかしなきゃ……
マナー悪いよ
0165名無しさん@ピンキー2011/09/06(火) 19:44:06.74ID:kuiN9LZo
>>164
またか
こんな勘違い野郎がいるからスレが過疎る
他のスレもこの手の輩でどんどんつぶれた
死ね
0167名無しさん@ピンキー2011/09/06(火) 23:45:31.07ID:uoWfecN2
>>152-156
GJ
これは下手に払い下げると後悔する展開だろ
結局下げ渡さない気がするw

>>158-162
GJ
ミコトちゃん可愛い
がシドニーはずっと誤解されたまんまなのか?w
続き待ってます
0168名無しさん@ピンキー2011/09/07(水) 20:06:35.87ID:mkdwgHjr
>>156
グッジョブ!!!
払い下げられる辺りの続き希望!!

これ絶対陛下無自覚デレだろw
0169名無しさん@ピンキー2011/09/07(水) 21:03:45.55ID:QqVURc4u
>>152-156
GJ
俺様のくせにただのヤリ捨てじゃなくって
きちんとした下げ渡し先まで考える陛下に萌える (*´Д`)ハァハァ
0170名無しさん@ピンキー2011/09/07(水) 21:14:35.16ID:kutdWLfg
>>152-156
GJ!!
払い下げたら後悔しきりに違いない
葛藤する陛下とか、涙をこらえて王命に従う従者とか読みたい、です
0171名無しさん@ピンキー2011/09/08(木) 04:05:28.86ID:4Vv8HfEV
>>152-156
GJ!
精神を保つのに必要なのに下げ渡しても大丈夫なのか陛下!
続きを是非!
女従者視点も読んでみたいです
0172名無しさん@ピンキー2011/09/08(木) 07:42:05.84ID:hJNb9Uh5
>>156先生続きが……見たい……です
本当に女従者視点読みたい
純粋に愛ゆえに体を捧げたのか…
それとも忠誠心で命令通りなのか気になる…
0175名無しさん@ピンキー2011/09/29(木) 21:54:53.07ID:bzj8ZJfo
まとめ読んでたら王様と書記官がスゲーきた。
職人さんがまだ見てるかわからんが、面白かったです!
無理とは思うが続き読みたい・・・
0176名無しさん@ピンキー2011/10/01(土) 22:30:14.74ID:9uRI5tF5
確か王様と書記官は、まとめに入ってないのもあったような
勘違いだったらスマソ
0178名無しさん@ピンキー2011/10/02(日) 20:39:07.74ID:bdG2YTNn
mjd!!
投下予定だったけど
自分もサルベージするために潜ってくるわノシ
教えてくれてありがとう!!
0179名無しさん@ピンキー2011/10/02(日) 20:54:08.80ID:UeZjZrej
教授と助手シリーズは完結後、本人から保管許可がでてたような
0180名無しさん@ピンキー2011/10/02(日) 21:11:09.82ID:Y9JaM4nA
完結する前は保管NGだったんだから
四スレ目途中で止まってるし
完結する前の編集のままって事だろ
文句があるなら自分で編集すればいい
0181名無しさん@ピンキー2011/10/03(月) 00:35:33.30ID:v4EAHRxU
久しぶりに見に行ったら保管庫全然保管されてないなw
今度時間ができたらやるわ
01821812011/10/06(木) 01:08:31.45ID:nD/o1fqu
保管庫ちょっとだけ入れてきた。
保管庫の連絡帳にも書いたけど、一応こちらにも。
ご協力お願いします。


保管作業してみたのですが、いくつか反映されていないものがあります。
おそらくタイトルの数字が問題なのではないかと思うのですが、タイトル編集の仕方がわかりません。
お手数ですが、管理人の方もしくは方法のお分かりになる方、修正をお願いします。
慣れないことはするもんじゃないなー
0183名無しさん@ピンキー2011/10/06(木) 12:22:36.03ID:daWTjUdc
できる範囲でやってみた
できないのがあったので、できるかたお願いします
0185名無しさん@ピンキー2011/10/10(月) 16:42:13.02ID:L83Rym/e
 投下します。若社長と秘書とのエロのみです。
 これは、4〜5年前に2chのどこかに私が投下したものを
今回修正し、題名をつけたものです。

 属性:スーツ、眼鏡、スレンダー、黒下着

 ※なお保管庫への保管はしないでください。
0186喰らうもの、喰らわれるもの ◆h8MMUYXW/0OO 2011/10/10(月) 17:01:46.96ID:JqI8iO1S
 細めの眼鏡の下の涼しげなまなじり。艶やかな黒髪を一つにまとめて。
 黒くタイトなビジネススーツを身にまとった彩は、ひざまずいてそそり
立つ大きな体躯の若社長の肉棒を、喉奥まで迎えこんでいた。
 豪奢な本棚に囲まれた執務室に響いてしまう、下品なまでの粘液の音は、
男の興奮を高めていく。
「……彩……意外だよ、すごく真面目そうなのに……」
「お気に召しましたか、司様」
「ああ、もう、出ちゃいそうだ」
「ふふ、これがいいですか?」
 と、亀頭の先を素早く動かす舌先で舐めまわす。
「……それ、うわ……」
 司は突き抜ける電流に天井を仰いでしまう。たまらず彩の頭に手をやり、
股間から離す。
 それから、重厚なデスクの上の書類を全て床に落として、その上で仰向
けになる。隆々と執務室の天井めがけてそそり立つ、男の象徴。
「彩、俺の顔をまたげ。舐めあいしよう」
 秘書なのだから、仕える身である彩が逆らうはずもない。無言で机に乗っ
た彼女は、スカートのホックを外す。黒のガーターベルトが白い肌の上で、
逆にまぶしく見えてならない。同色のレース地のショーツの隙間から覗く
素肌が、計算ずくの演出と分かっているのに、まばゆくて目が離せない。
「早く! 俺の上に来ないか!」
 ヒステリックに催促する司を見やり、微笑みながらゆっくりとその上に
覆いかぶさる。それから、脚を徐々に開いていく。自らの下腹部が司の口
に近づくくらいに。
 これがつい先ほどまで、電話をかけて外国語でアポイントメントを取り、
子会社の収支報告をまとめていた有能な彩が、こんなにふしだらに秘所を
差し出している。
 司は劣情のままに、ショーツの尻の方に両手の指を差し入れて、ヒップ
の滑るような 感触を楽しむ。揉み甲斐がある尻を完全に手中に収めて、
自分の顔にひきつけ、布地の上から舌で秘部を狙い打つ。
「……ふあ……こすれて…」
 不意に、司の肉の先端に冷たいものが触れる。
 眼鏡。彩の唾液にまみれた欲隗にレンズが押し付けられたのだ。それが
離れた途端、口の熱い粘膜の只中に迎えられる。それを外に出すと、再び
レンズとフレームの甘美な段差に翻弄される。
「……う、あ……ああっ!」
0187喰らうもの、喰らわれるもの ◆h8MMUYXW/0OO 2011/10/10(月) 17:03:14.66ID:JqI8iO1S
『司、この家に生まれたからには決して負けてはならぬ』
 怜悧な眼鏡の感触と、熱い口腔とのギャップに眩暈さえ覚えながら、司
は何故か幼い頃からの祖父の言葉を思い出していた。祖父は、
『使用人には、厳然と示しをつけるべし』
 とも語っていた。
(このまま、彩に好きなようにされるのは癪だ……)
 この追い詰められた状態を覆す方法を、司は必死に知恵を巡らせた。
 あることを思いつき、早速試すことにした。
「……彩! 午後からのスケジュールはどうなっている?」
「……ぷはっ……午後のでございますか? 1時から橋爪教授による経営
学、2時30分から…」
 これで彩の動きが止まる。さらにこれからの退屈な日課を聞くことで自
分の興奮を抑えることが出来る。
 その隙を狙った。ストッキングに包まれた黒いショーツの股布を口です
っぽり覆った。唇を突きあげるように、そして唇で食むように動かし、蕩
け始めている彩の肉のあたりを舌で強く攻めた。
「ふあっ……それ……いけません……」
「止めるな。最初から言い直せ」
 先ほど我を失うほどに翻弄された仕返しだった。
 彩は命令通り、一からやり直す。言いようのない高揚感。自分よりも優
秀な女に奉仕させる達成感に熱く酔う。
 邪魔なストッキングを引きちぎる。
「――4時、Aビルの……あっ! 司様!」
「彩、もう一度だ」
 再び1時からのスケジュールを口にしていく彩のショーツに包まれた
花弁だけを空気にさらした。紅く濡れた襞が司の目を射抜く。ぽってり
と充血した肉の柔らかさに、素直に食欲さえ覚えた。
 腰を捕まえている腕をひきつけて、それをた易く口にする。
「――3時から株……、あ、……やん!」
 裂け目に沿っての舌の上下。それから舌の裏側で肉芽を探る。潮っぽい
味と共に、心を揺さぶる芳香が脳髄を痺れさせる。
「あああ……株の……ひっ!……あううん」
 そのすぼまりに、右の中指を差し向ける。拒むかのような入り口を抜け
ると、無数の肉の歓迎を受けて、その一つ一つに丁寧に探りを入れていく。
第2関節まで埋めて、指の腹を少し右に曲げたところで 急激な収縮と共
に、腰を上げてしまう彩。
「ダメです! そこ……あっ……いやあ……ハアハア!」
「こら、しっかり仕事をしろ。それとも…」
 と軽く尻を叩く。勝ち誇った声で、なおも続ける。
「お前のここが、代わりに仕事をするか? 俺のものを満足させろ」
0188喰らうもの、喰らわれるもの ◆h8MMUYXW/0OO 2011/10/10(月) 17:05:00.97ID:JqI8iO1S
 二人が乗っている大きな年代物のデスク。曽祖父の代から使われていた
もの。
 ここで、会社の買収、社員の解雇などの重要な決裁がおこなわれてきた。
そんな権威の象徴。
 その上で、しどけなく体を横たえる秘書の膝を開いて、大柄な体でのし
かかって淫猥な行為に及ぼうとしている。
 見上げる彩の眼鏡が濡れている。その下の瞳は甘く蕩けている。
 司は、その獰猛なまでに赤黒い先端を、ほぐし尽くしたぬかるみに圧し
当てた。
 その体勢のまま、彩の顔に自分の顔を近づけ、胸と胸を合わせただけで、
彩のたぎるような女性の中に滑り込んだ。

「はあああああっ! すごっ……ふと……い」
 思わず、司の背中を抱きしめてしまう彩。その彩の唇をむさぼり、 遠慮
無しに舌を絡めて、唾液の味に耽溺する。
 腰をゆっくり廻し始めた。ちょうど指でかき混ぜたあたりをカリの部分
でこするよう執拗に、そして確実に。
「うふ……ふむ……うあん!……ぐう……ああん!」
 ねちっこい司の責めに彩の頭が揺れる。その動きさえも制するように強く
唇を押し当てる。空いた手で、白のブラウスのボタンを外した。現れた白の
ブラのホックを外して、小ぶりだが仰向けでも上をしっかり向いている頂き
の突起を指でしごく。
「……ぷあ! ……はあはあ、恥ずか……しい……です…」
 司は体を起こして、彩の乱れたスーツとブラウス、そして腰の動きに忠実
に揺れる乳房を俯瞰する。
 その視線に気づき、半開きの口から甘い吐息を漏らしながら、ゆっくりと
両手で自らの胸を隠す彩。
「恥ずかしいです……大きくないですから……」
「いや、綺麗だ。手をどけないか」
「いえ、でも……」
 司は両手を掴んで、彩の頭上に押し付ける。その体勢で腰を廻しながら、
髪を振り乱して愉悦に陥る彩に見入る。
「や、あ、あ、あ……見ないで……こんな……やん…」
 眼鏡は冷たく光るのに、その下の紅潮した目尻に色香が吹きこぼれる。た
まらなくなり、熱い堅肉を容赦なく、全て埋没させた。
「あああ! 奥に……!」
 付け根のすぼまり方は無遠慮に、内壁の誘い方は淫らに、もっと、奥底に。
 再び彩の肉体にくらくらしながら、腰を左右に揺らし先端を最も深い部分
に擦り付けた。途端に締め付けが強まり、白い裸体が跳ね返る。
「それ! 嘘っ!? ……ああっ……くぅ……はあああっ!……」
 屋敷に響くであろう悲鳴が上がり、ストッキングの中の足指が丸まる。弓
なりの体から徐々に力が抜け、最も脱力した表情になってから、激しい呼吸
交じりに、彩は両目から涙を耳の方に落とした。
0189喰らうもの、喰らわれるもの ◆h8MMUYXW/0OO 2011/10/10(月) 17:06:09.92ID:JqI8iO1S
「……司様、申し訳ありません……あんなにすごい感じ、初めて…」
 絶頂に追い込むほど屈服させて、男としては満更でもない。
「はしたない声だ。いつもこんななのか?」
「そんな……」
 視線を外す彩に、男なら誰でも持つ嗜虐心が爆発する。
「もっと声を出してみろ!」
 手首を体の真横、机の両縁に押し付けてのグラインド。歯を食いしばりな
がら突き出す白い喉、欲望に突き出た紅い乳首、司の動きのままに波打つ
ウエストのくびれ、淫靡をかもし出す黒のガーターベルト。
 軽くウェーブした体毛の中で、多量の愛液の粘質な響きと、引き抜かれた
とき空気を孕んだ肉の音。貪欲な褐色の襞と剛直から匂い立つ互いの獣欲
の証し。
「あああっ……ちょ……やあ!……ひぁっ!……っぷはあはあ!!」
 律動を続ける司。奥を探っては、引き抜く寸前で力を前へ。ゆっくりとし
た動きから、自分の呼吸と同じペースに揃える。体の奥底からの音も小刻み
に。水滴が爆ぜる。
 今朝この部屋に入った時の凛とした彩とのギャップをもう一度思い起こす。
 限界が近づく。下腹に力がこもり、司の先端の熱が高まる。
「彩、ああ、俺、もう……」
 と体を外そうとする体に脚が絡みつく。
「司様…男子、たるもの……精は女体に、お注ぎください!」
 愉悦に眩んだ瞳だが、しっかり見つめる彩。
「会社とこの家から見れば、メイドや秘書のことなど、ささいなこと。 つま
らない気遣いは無用です」
「……」
「屈服させること、些事に囚われないこと。それが上に立つものの条件です」
「……分かった」
 二の腕を掴み、獣じみたピストンで蹂躙する。紺のスーツはすっかり皺だら
けになり、その上に射精に耐える司の口元から漏れた唾液が垂れた。彩の
細い眉の間に気品と悦びの皺を隠せない。
「うわあああ、……すご……頭が、おかし……ぐうっ!……」
「ああ、彩ぁ、ほらぁ、いくぞ、彩!」
「つ……つかさ、さまぁ! ……わた、し……あああああっ!」
 甘い粘膜に囚われて、脳髄を麻痺させる感覚にゆだねる。
 二人の体に電流が流れたように、しっかり抱きしめあったまま、一時的に硬
直してしまう。彩は本能的な喜びの中で、灼熱のほとばしりを受けとめ、司は
完全に女を支配した達成感に酔った。
 強い締め付けは収まらない。しかし、彩が細い脚を解いたとき、ゆっくりと
襞が解け、同時に余韻に目を瞑っていた彩がそっと目を開けた。
 司は乾いた喉を潤すように、彩のキスを貪る。それから、今初めて気づいた
彩の髪の香りに、子供のように没頭し始めた。


                        完
0190名無しさん@ピンキー2011/10/10(月) 17:08:07.68ID:JqI8iO1S
 お粗末さまです。つまらなかったら、あぼーんしてください。
 それでは、どこかで、お会いしましょう。
0191名無しさん@ピンキー2011/10/10(月) 19:40:08.26ID:0Utb0AfY
投下乙!!
しかし
>「会社とこの家から見れば、メイドや秘書〜
っていう一文で本宮ひろし系の映像で想像してしまったw
0193名無しさん@ピンキー2011/10/11(火) 17:55:11.77ID:G7g7gmA7
グッジョブ!
何とも漢くさくも艶めかしい作品だった
ガッツリ牛丼というかw
0194名無しさん@ピンキー2011/10/20(木) 00:20:56.73ID:aRzpXHhL
この増田とはうまい酒が飲めそうだ。

ハーレクインの秘書モノがすばらしい件について
ttp://anond.pha11.info/archives/8871
0195名無しさん@ピンキー2011/10/25(火) 02:39:04.68ID:0P/eVP1m
サルベージ
0196名無しさん@ピンキー2011/10/25(火) 14:46:21.73ID:xSdRvyuz
>>194
禿胴
だが、他にも赤子の時誘拐された王子(下々の暮らしにどっぷり)がいい年
で発見。教育係の(上流階級処女美人)とイチャラブなんてのもある。
ちなみに秘書ものは古い作品のがいい感じで主従度が高い。
0197 忍法帖【Lv=28,xxxPT】 2011/10/25(火) 20:55:26.21ID:WH5s+X8m
個人サイト晒すなや
そして晒したのに注意入れないのなんなの?
0198名無しさん@ピンキー2011/10/25(火) 21:22:12.32ID:0P/eVP1m
>>197
このスレ別にそういうの煩くないからじゃないか?
過去スレでも外部サイト紹介してた希ガス

エロパロ板内でも落差激しいね
外部サイト紹介すると晒すなとボコボコにされるスレと
特に問題にされないスレがあるし

まあ、他の板でもスレ事に反応が違うけど
ちなみに俺はエロパロ板以外の常駐板が外部サイト紹介をソースやら
話の資料によく使うとこだから個人的にあんま気にならんのよね
0200名無しさん@ピンキー2011/10/30(日) 00:53:18.23ID:GOvaz5zO
正妻が居る主と忠実な女騎士とか部下の女政治家、官僚とかみたい
女の方が自分を捨てて忠実で健気に仕えてたらたまらない
0201名無しさん@ピンキー2011/10/31(月) 19:47:29.26ID:SK8Sudcb
人妻とか不倫とかNTRとか特殊嗜好書くときはちゃんと注意書きしてほしい
前に陛下と未亡人のふでおろしは地雷過ぎてウヘァってなったし
0203名無しさん@ピンキー2011/10/31(月) 23:29:01.08ID:DtCM+G8u
陛下の筆おろしに未亡人て駄目か? 人妻ならともかく。
それともあの未亡人が実は宰相とデキててある種のNTRっぽい状況だったのが
地雷だったのか?
0204名無しさん@ピンキー2011/10/31(月) 23:45:22.13ID:jKfqg3EX
主が全力で寝取る側ならヒャッハーだぜ!!!!
寝取るの好きなんだ
0205名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 00:21:38.78ID:NMDLkIB7
>>203
あれはNTRモノが大嫌いな自分からすれば
注意書きナシで読まされて正直凄い不快な気持ちになった
思い出すだけで欝る・・・
0206名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 00:50:09.89ID:rEdI128k
>>204
激同w
寝取るほうが断然燃えるwww

>>205
正直あの未亡人にはいらついて死ねばいいのにって思ったw
0207名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 02:18:55.76ID:z5ArVzIN
ごめんマジ煽りとかでなくて本気で知りたい、自分も書き手で未亡人ネタとか温めてたから

寝取る側ならおk、ということは、想い合う男がいる女性(処女未婚既婚問わず)を自分が
好きになったから無理矢理手籠めにするとかいう話ならいい、ってことだよね。
たとえばアーネと旦那様の話なら、NTRじゃないってこと?
ついでに、あの旦那様の奥様の召使い視点の話あったけど、あれはOK?NG?

あの陛下未亡人宰相の三角関係が駄目ってのは、つまり陛下視点で、自分が本気になった
女が実は他の男に惚れてて結局その男とくっついた、って展開がNGだったわけ?
それとも、宰相視点で自分が気に入った女を主君とはいえ他の男に抱かせる展開がNG?

たとえば、あの未亡人が亡き夫にも宰相にも多少の感謝の気持ちはあっても愛情をもつまで
には至らず、閨での手ほどきをした王子に初めて惚れちゃって、でも身分の違いその他で
身を引いて、宰相と偽装結婚して子供を産み育て影ながら王子の行く末を見守る、って形なら
NTRにはあたらず不快にもならなかった?
0208名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 07:56:51.04ID:NMDLkIB7
すまん自分も嵐に近かったかもorz
とにかく注意書きしてくれってことで・・・
そうすれば双方幸せなんだよ

>>207
あくまで個人的嗜好の説明になってしまうけど
自分の場合のNTR地雷は未亡人や人妻とかは関係なく
心の在り場所というか心まで寝取られる・寝取られてたって話がダメなんだ・・・
だからアーネの話は寝取ってる旦那様視点と陵辱されてるアーネ視点
召使いはただの一方的な片思いだから大丈夫なんだけど
これがロルフ視点から始まってアーネが旦那様に心を移していったら
立派な寝取られで見れなかった。

>あの陛下未亡人宰相の三角関係が駄目ってのは、つまり陛下視点で、自分が本気になった
>女が実は他の男に惚れてて結局その男とくっついた、って展開がNG
自分はその通り。
例え話のようだったら自分にとってはNTRには入らなかった。
ただの悲恋やらかなわぬ恋のいい思い出になってた。
殿下と未亡人の話はそうなるのかなと思ってたから更に欝が倍になった・・・orz
0209名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 08:06:34.68ID:NMDLkIB7
連投ごめん
色々書いちゃったけど>>207や職人の好きに書いていいんだよ
注意書きさえしてくれれば回避するからさ
0210名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 08:56:07.52ID:rEdI128k
207は他人の意見伺ってどーすんの書き直すの?
まあ正直自分がネトリ属性好きでネトラレ属性ないから
未亡人が不快過ぎて不幸になれと思ったが
未亡人いじらしい!仕方なかった!とあれが好きだった人もいるから
好きに書くしかないと思うけど
0211名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 12:48:53.80ID:HJVencgh
そもそもスレ自体で既にシチュ縛りかかってるんだけど、
この上に更にシチュ縛りしたいなら注意書きを修正したらいいんじゃないかな
0212名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 17:50:59.66ID:rEdI128k
このスレで自分の読みたい物しか見たくないから投下するなシュチュ縛りしてくれとは言ってない
ただ注意書きしてくれと当たり前の事を言ってるだけなんだが…

スレ乱立させても落ちるだけだろ
0213名無しさん@ピンキー2011/11/01(火) 23:54:08.75ID:5z9Rq6S/
>>207
俺は>>204ですが

>寝取る側ならおk、ということは、想い合う男がいる女性(処女未婚既婚問わず)を自分が
>好きになったから無理矢理手籠めにするとかいう話ならいい、ってことだよね。

これはそうだと思います。
まあ、男主人女従者のスレだから主人公の男が
立場的に劣位の女を自由にするのが好きな人は多いのでは?
召し使い目線とかは注意書きで問題無いかと

>あの陛下未亡人宰相の三角関係が駄目ってのは、つまり陛下視点で、自分が本気になった
>女が実は他の男に惚れてて結局その男とくっついた、って展開がNGだったわけ?

寝取られがそもそも駄目な人は基本的にこっちがNGなんじゃないか?
1番下は読む人によるだろうからわからないが
悲恋ENDはありがちと言えばありがちだからなあ

後、他の人が言う様にNGって言っても注意書き無いのはNGって人が居ると言う話で
スレ的にNGとかではないですよ
俺は寝取り好きだけど寝取られ絶対駄目じゃないしw
NGの人が居るから投下駄目とか書き直しとかする必要も無いだろうし

>>211
注意書きはあった方が良いって話でしょう
投下その物の縛りの話ではなく
例えば男の主人が女奴隷を痛め付けて殆ど暴力振るうだけのリョナSSとか
俺はいけるしスレチでもないだろうが注意書きがあった方が良い
と言うか無いと不味そうなのは誰が見ても確定的に明らかでしょ?
0214名無しさん@ピンキー2011/11/02(水) 00:30:10.68ID:e1EGnyM/
なんか色々書こうと思ったけど>>213に激しく同意。
次スレテンプレには特殊嗜好には注意書きを…的な一文を入れて欲しい。
あと前にも荒れた投下被せの件とか
0215名無しさん@ピンキー2011/11/02(水) 02:02:11.86ID:7VIbt0dV
207っす。いろいろありがとう。非情に参考になる。
それと、今更ながら陛下未亡人宰相の話ならびにアーネと旦那様の話の作者様
例とはいえ勝手にもちだして本当にすみません。

>>209-210
書き直す、まではいかないけど、話の流れは同じでもどこに&誰に視点をおくかで
受け取り方に大きな違いがでることに気づかされた。そこんとこは慎重に選択していくつもり。

そもそもの発端は、今回の例にあげた話、あれ、自分にとっては寝取られ属性ありだとは
思ってなかったので。(時系列順に直せば陛下の完全片想いで奥様の召使いと同じカテゴリ扱い)
だから、注意書きするのは書き手のマナーだと重々承知しているが、あの話を自分が
投下したとして、注意書きに寝取られ属性あり、を書くべきという 発 想 自 体 が な か っ た。

んで、NTRスレみても、当たり前だがやっぱ基準は人それぞれなんだよな。
だからここからがNG、ここまでOKってのは厳密に線引きできない。
いろいろ考えてみて、両想いor最終的に両想いになるカップル、主に二人の関係メインの話
以外、特に女性が別の男に抱かれる・当初とは別の男に心を移す・別の男も受け入れる
展開があった場合は、注意書きにはその旨書いておくようにするわ。
0216名無しさん@ピンキー2011/11/02(水) 22:18:46.42ID:e1EGnyM/
誰に視点を置くかっていっても
ここは主従に焦点をあわせるスレなんだから
主従の関係性からみた注意書きになるのは当たり前だと思うんだけど
スレ違いの関係性でラブラブっぷりを見せつけられるのは・・・ちょっとと思っても仕方ない
0217名無しさん@ピンキー2011/11/02(水) 23:42:57.20ID:3X90QO4P
別にそこまで厳格な縛りは無くっても……。
厳選しなきゃいけないほどの量の投下があるわけでもないし
0218名無しさん@ピンキー2011/11/03(木) 00:11:10.80ID:kfklsq7j
たとえば男2女1で、
男二人が兄弟とかで召使いである女にとってはどちらも主人(の息子)だとか、
男1と女が主従関係にあり、男1の上司格の男2が女を見初めて自分の側におくとか
いくらでも作りようはある。

下のパターンの場合、男1が寝取られになるのかにゃ。
叶わぬ恋萌えだからそういうのも好き(注意書きは必要だろうね)。
0219名無しさん@ピンキー2011/11/03(木) 00:20:09.77ID:+p6W2VBC
つか男主人が視点キャラの作品ならそいつから見ての関係性が基本だろうし
女従者が視点キャラの作品なら読者が普通に主人公格と思う
男主人にあたるキャラから見た関係性で良いと思うw
そんなややこしく考える話でもなかろうw
0220名無しさん@ピンキー2011/11/03(木) 01:31:17.68ID:Yd5ynqOQ
とりあえず自分はシンプルに注意書きは
はじめに主人公になった人間視点から考えてって感じだなw
0221名無しさん@ピンキー2011/11/05(土) 12:50:55.83ID:t0mF5dOi
あんまり色々書き過ぎるとネタバレで面白くない…
陵辱スカトロなんかは絶対注意欲しいけど、NTRは話の流れでやばそうなら自主的に回避でダメ?
0222名無しさん@ピンキー2011/11/05(土) 13:09:44.80ID:xIdQaZTs
NTR陵辱スカのうち1個があります、とか博打な書き方をしてみるとかw
0223名無しさん@ピンキー2011/11/05(土) 16:29:34.37ID:RFQCWQ6E
>>221
ダブスタ乙
なら凌辱スカ物も話の流れで察知して回避すりゃいいいじゃんてなるじゃないか
0224名無しさん@ピンキー2011/11/06(日) 00:28:14.59ID:462wnuCM
このスレに限らず注意書き無しでNTR話の投下って荒れる印象がある。
長く書いている人、初めての人と職人さんも色々だろうけど、まさかエロパロ板が初めてで
どのスレも覗いたことがないのに、いきなり投下しますとはならないだろうし、
スレに投下されている作品の傾向とか反応とか、職人さんの方が雰囲気に敏感なのではないかと
思うから、注意書きがあった方が良いと普通は感じるんじゃないかと思う。
だから注意書き無しなのはあえて書かなかったなと思ってる。
ある意味ネタバレになるから書きたくないというのはあるんだろう。
でも自分は苦手だから嫌がらせかと思って悪意さえ感じる。
書いている方は抵抗がないからたいした事ないと思うのかもしれないけど
本当に止めて欲しい。
0225名無しさん@ピンキー2011/11/06(日) 00:53:08.47ID:gxpxe16l
お前ら…古くからの鉄の掟を思い出せ。

出されたものは残さず食べる。
転んでも泣かない。

大人なんだから注意書きなかったくらいでそんな凹むなよ。
だめだったらスルーして自分の心の中に留めておくことがなぜできぬ。

注意書きするもしないも書き手さん次第で、自由にしていいと思うよ。
0226名無しさん@ピンキー2011/11/06(日) 10:25:58.80ID:b5UigEP1
>>225 禿胴

書き手がいてこそのスレ。万民受する作品などプロ作家ですらありえない。
100%自分好みが欲しいなら自分で書く。できないなら文句言わない。
いろんな作品が投下されてその中でいつか自分好みの作品がでてくるかもしれ
ないしな。それも全部職人様がいてこそなんだよ…………
0227名無しさん@ピンキー2011/11/06(日) 11:42:06.69ID:8OCGE0HG
好みのじゃない文章内容と注意書きはまた別の次元の問題だとおもうけどなぁ
注意書きは職人にとっても予防であってあって悪いものじゃないと思うけど
0228名無しさん@ピンキー2011/11/06(日) 17:19:12.79ID:gxpxe16l
堂々巡りになるからもう「職人の好きにする」でFAな。

男主人、女従者っつーと、きちっとした主従関係で
生真面目でエロイ女秘書や副官みたいなのも大好物なんだけど
エロゲのランスとシイルちゃんみたいなの大好きなんだよね。

要は「むちゃくちゃな主に健気に尽くす従」
こういうのでお勧めあったら教えてくれ

そして職人はいつでもお待ちしております。
0229名無しさん@ピンキー2011/11/08(火) 06:18:18.23ID:i16/4XiE
上のレスにもあるけど、書いてる人はNTRにはあたらないと思った又は
NTR属性というものを知らなかった、ゆえに注意書きに書かなかった、
一方読んだ人のうちNTR属性アンテナが反応した人がいた、なんて場合は
どっちが悪いって問題じゃないと思う。

NTRが荒れやすいってのは、陵辱やスカトロなどに比べてこの展開は
NTRに当たる当たらないのボーダーラインが人によって差があるせいなのかも。

店頭にあまた並んでいる雑誌の連載漫画にゃ注意書きとかないわけで。
自分も、注意書きも作品の一部でそれもまた作者のスタンスだ、ってことで
職人の判断で決めること、それを受け入れるか否かは読者としての
自分だけの問題ってことでいいと思う。
0231名無しさん@ピンキー2011/11/08(火) 23:22:48.24ID:uZp5xxjI
>>228
そうか、あの二人もこの範疇かー
実は魔法が解けてるって設定が可愛いよね
仕方なく主人に従ってるように見えて本当は本心からつかえてるってシチュ好きだな
0232名無しさん@ピンキー2011/11/09(水) 08:03:59.98ID:Ru99d6AQ
フリー配布されてる戦国ランス?しかやったことないけど
好き勝手やってたランスが序盤でさらわれたシイルを助けるために
結婚して王様になって(まあやりたい放題やってるけどw)
遠征して助け出すみたいなのがよかったなぁ
それで制限ターンまでに助け出せなくって
シイル死亡→シイルが死ぬきっかけとなった女将軍?をsenkaとか
主従愛に溢れてたなぁと思ったw
0233名無しさん@ピンキー2011/11/09(水) 17:51:35.10ID:LVibHbnQ
鬼畜王だな、フリー版は。戦国は普通に売ってる方。謙信かわいいよ謙信。

鬼畜王、シィル死ぬとランス魔王墜ちしたりするんだよな。
「あいつがいればなにか間違えても止めてくれただろうに」みたいな事いうのが激しく萌えたわ。

なんてこと考えてたら、暴君になった主を諫める女臣下ってのは
すごく良いんじゃないかと思いはじめてきた。
0234名無しさん@ピンキー2011/11/09(水) 22:07:01.56ID:jIyCSBtp
魔乳秘剣帳の胸幸と桜花が最近ちといい。分ってない主と慕ってるのに素直
じゃない従者ってあまり見ない気がする。

>>233
謙信は反則的にかわいいがリアル叔父の名前と一緒なのが、何ともいえない
気持ちにさせる。
0235名無しさん@ピンキー2011/11/11(金) 02:05:31.88ID:R1MaFRDc
暴君と健気な女臣下って良いな
諫言する度に犯されて嬲られる感じで
0237名無しさん@ピンキー2011/11/20(日) 12:29:56.86ID:NWORVNtu
王位継承争いが起きないよう姫として育てられた第二王子とそれに仕える女官
変則的だが面白そうだと思う
0238名無しさん@ピンキー2011/11/20(日) 18:08:13.74ID:B3GoYl+k
その場合自分が男だと気づいてるかどうかで変態度、もとい変則度がだいぶ変わるな
0239名無しさん@ピンキー2011/11/20(日) 18:54:27.69ID:vcx5MP1H
気づいてないほうが萌える
むしろ女としての立場を徹底的に利用してほしい感じだ
0240名無しさん@ピンキー2011/11/20(日) 21:07:39.17ID:vO23JCI+
しかし自分が女だとしか思ってなかったら男を誘惑するんじゃないか?w
自分が女だと思っていたら利用しようと思わないと思うんだが
それとも自分は百合だと自覚してるってこと?
0241名無しさん@ピンキー2011/11/20(日) 21:17:21.68ID:vcx5MP1H
(なんで自分は胸が小さいんだろう?)とか
そーいうのを女官に相談、女官の胸を見せてもらって触ってるうちに、とか考えたんだ

でも、本人百合のつもりでも萌えるw
0242名無しさん@ピンキー2011/12/03(土) 13:24:24.31ID:EY76JJIi
城の下級使用人と末王子の密かで小さな恋
末王子は他国の姫との婚儀が決まっていた
それでも純粋な末王子は婚儀を止めて好きな人と結婚したいと
内密に努力していたが、それを兄王子に嗅ぎつけられる
兄王子は内密に使用人に釘を差しに行き
好みのタイプだったので弟の思いに答えられないように
無理やり体の関係を結ぶ
使用人はその一件で弟王子に近づくと乱暴されると思うのと
関係をばらすと言われ知られたくないため弟王子を追い払う
弟が兄王子のように義務(本妻)と本気(愛人)を
割り切れるタイプなら許せたのにと言いながら
使用人にのめり込んでいく兄王子
0243名無しさん@ピンキー2011/12/10(土) 23:01:53.35ID:ligdnteA
>>242
ちょ、すげえ萌えるシチュだな
兄王子視点でもいいし、使用人視点でもいい
いきなり避けられて混乱している弟視点でもいいが
うまくやらないとNTRや三角関係とかに陥り
ドロドロ愛憎劇になりような悪寒
0245名無しさん@ピンキー2011/12/11(日) 17:32:23.53ID:R6ZDW3VL
確かにw
弟王子視点からだとうわぁぁ(AA略ってなりそうだけど
使用人が弟王子から乗り換えるかどうかでしょんぼり具合がまた変わりそうだなw
そしてなぜかインドとかアラビアン風とかで想像した
0246名無しさん@ピンキー2011/12/11(日) 17:44:35.05ID:DChtbxq9
>使用人にのめり込んでいく兄王子

1回のことじゃ終わりませんぜな示唆まであって
この短さですごいドラマを感じる
0247名無しさん@ピンキー2011/12/12(月) 00:10:22.51ID:1O6gZG75
豚切りですまんが、ご主人と家庭教師もの投下します。
とりあえずエロなし。
0248しずのおだまき12011/12/12(月) 00:12:12.29ID:1O6gZG75
夢を見た。
19歳の僕が姫宮先生の研究室で、悪友たちと談笑している。話の内容はもちろん英米文学。
あの頃の僕にとって家はとても居心地の悪い場所で、だからこの研究室だけが自分の居場所のような気がしていた。
そんなサンクチュアリの扉が開き、ひとりの少女が姿を現した。先生は駆け寄った少女の肩に手を置き、もったいぶって口を開く。
「紹介するよ。この子は僕のお姫様―――」

「彬彦おじさま!」
高い声と共に、カーテンがしゃっと音を立てて開いた。夢の中の少女と同じ制服を着た真秀子(まほこ)が、おかんむりといった様子で立っている。
「いつまで眠っているつもり!?こんなにいいお天気なのに」
「昨夜は遅かったんだ。もう少し寝かせてくれてもいいだろう」
「だーめ。朝ごはん」
「先に食べてなさい」
「薫先生が、おじさまと一緒に食べろっておっしゃってるわ。あたしお腹ぺこぺこなのよ」
彼女はすっかり身支度を整えている。僕はしぶしぶベッドから降り、リビングへ向かう。
「おはよう、薫」
声をかけると、今はすっかり大人になった夢の中の少女が笑った。
「おはようございます。旦那様」

野村薫。僕と同居する姪・真秀子の家庭教師であり話し相手。ときたま英米文学の研究者である僕の仕事の手伝いもしてくれる、得難い使用人。
彼女僕の関係を説明するのは、少々やっかいだ。
もともと彼女は僕の恩師、姫宮恭一郎先生のひとり娘だった。
姫宮先生が亡くなった後、無理やり嫁がされた先で酷い扱いを受けていたのを紆余曲折あって僕が奪い返し、今は僕の家で住み込みで働いている。
その「奪い返した」過程で彼女の父方の親戚とは大喧嘩になり、彼女は母方の姓である「野村」を名乗っているが。
0249しずのおだまき22011/12/12(月) 00:13:21.83ID:1O6gZG75
家政婦・フサの作った料理が並ぶ食卓に、僕と真秀子は腰かけた。
薫は基本的に、僕らと食事を共にしない。それが彼女を「雇う」ときに僕らが決めたルールのひとつだった。
「郵便は来ていた?」
「はい。英和商事の清水様からお手紙がありました」
「ペンドルトン教授の来日の件かな」
「だと思われます。今、お読みいたしましょうか」
「いや。急ぎじゃないだろうから後で確認するよ。今日は何時頃行けばいいんだっけ」
「1時の講義に間に合うようにお出かけしたほうがよろしいかと。ああ、あと9時頃に城山さんがいらっしゃいます」
城山兵庫は学生時代の同期だ。彼もまた姫宮先生の門下生で、今は警察にいる。
「面倒だな。あいつが時間通りに来たためしはない」
そうつぶやくなりチャイムが鳴った。僕と薫は思わず顔を見合わせる。真秀子が顔を輝かせて玄関へ向かった。
「ほら来た」
「遅刻魔も困りますけど、いつも約束より1時間早い方というのも困りますね」
城山のおじさま!と嬉しげな真秀子の声が響き、ほどなく大柄な男がリビングに入ってきた。
「なんだ。まだ朝飯か」
「僕は昨夜遅かったんだ」
「どうせ本でも読んでいたんだろう。偉そうに言うな」
「仕事だよ」
「仕事か。生意気だ。なあ、薫姫」
「その呼び方は勘弁なすって下さい」
薫が苦笑する。
かつて先生の研究室で、僕等はさんざん彼女をちやほやし、彼女もお姫様然として振舞っていたものだった。
そのことを何よりも楽しんでいたのは女きょうだいのいない城山だったが、すべて今は昔の話。
0250しずのおだまき32011/12/12(月) 00:14:28.07ID:1O6gZG75
朝食を終えると、真秀子は女学校へ出かけて行った。送り迎えは運転手の室井の役目だ。
僕の実家・高柳子爵家は山ほどの使用人を抱えているが、僕の暮す「分家」はいたってシンプルだ。
運転手がひとり、家政婦がひとり。そして家庭教師がひとり。
室井は朝、真秀子を送り、戻ってきてから僕を送る。夕方に真秀子を迎えに行き、僕のことを迎えに来る。
フサは炊事や洗濯や掃除を受け持ち、真秀子関係のことは薫が取り仕切り、空いた時間で僕を手伝う。
僕は薫に講義の資料を揃えるように言いつけ、城山と共に居室に向かった。
悪友はしきりに僕の机の周りのメモ等を見ている。
「薫姫の字は相変わらず綺麗だな。それに比べてお前はどうだ。これじゃ学生たちは可哀想だ」
「大きなお世話だ。あとその呼び方はやめろ。彼女が嫌がる」
「お前も嫌か」
「僕は別に…」思わず口ごもり、話題を変える。
「それで、何の用だ」
「ああ」城山は鞄から封筒を取り出した。中身の予測はあまりにも簡単だった。
「やめろ。わかってる。それを開かず持って帰れ。見合いをする気はない」
「そう言うな。せめて中身だけでも。悪い話じゃないんだぞ」
「それが問題なんだ。僕が見合いを断る理由は年々減ってるし、これで悪くないカードを引いてみろ。会わざるを得なくなる」
僕の言葉に城山はため息をついた。
「お前、今年でいくつだ」
「32。お前と同い年だ」
わざと付けくわえてやると、城山が熊のように喚いた。
「じゃあもういい加減身を固めろ!俺なんてもう3人の子持ちだぞ。社会的な責任を果たせ」
城山の悪態を僕は首をすくめてやり過ごした。
彼が本気で言っていないことは僕にもわかっている。おおかた彼の上司や親族、あるいは僕の親族に頼まれたんだろうということも。
高柳子爵家の末子、しかも妾腹である僕は、もとより跡目争いには無縁だったし、研究者としても教職としてもそこそこの収入を得ている。
結婚しないメリットもするメリットも得にないという極めて気楽な身分を謳歌しているが、周囲としては心配になるらしい。
そこで、責任ある立場とやらにいる僕の数少ない友人・城山がこの役目を仰せつかっているわけだ。
0251しずのおだまき42011/12/12(月) 00:16:03.09ID:1O6gZG75
「結婚したくない理由でもあるか」
「理由も何も」僕は笑った。
「室井とフサはともかく、真秀子と薫との暮らしを受け入れる女性はそういないだろ。あのふたりを手放してまで嫁を迎えたくはないね」
「真秀子ちゃんはいい子じゃないか。それを気に入るような嫁を探せよ」
「難しいことを言うな。いい子なのと一緒に暮らしてもいい子なのは違うぞ。兄貴だって手を焼いて、僕のところに寄越したんだ」
「姪っ子の面倒を見て嫁を貰いそびれる気か」
「大いに結構。僕は今の暮らしを気に入っているんだ」
「今の暮らし、ね」城山がぼそりとつぶやく。「薫姫はどうだ」
「だからその呼び方はよせって…」
「相手としてどうなんだと聞いている」
城山の言葉に、僕は思わず固まった。
「馬鹿言うな。彼女はうちの使用人なんだぞ」
「だからどうした。もともとは姫宮家の跡取り娘だ。身分に遜色はない」
「とっくに勘当されてるじゃないか」
「お前のせいで、な」
城山の言葉に、僕は5年前の春を思い出していた。薫を婚家から奪った日のことを。
「あのときのお前の剣幕ったらなかったな。お前が自分の身分を盾にするところ、初めて見たぞ」
悪友がぼそりとつぶやく。
「おまけに城山、お前の身分まで使ってな」
「俺はあのとき、お前が彼女をかみさんにする気だと思った」彼は眉間にしわを寄せる。
「それが次に来てみたらお前は姪っ子を預かり、薫姫はその住み込み家庭教師になってやがる」
「仕方ないだろう。真秀子と義姉の折り合いが悪くて兄貴はほとほと困り果てていたし、
薫をあんな家に戻したら、どうされるかわかったもんじゃない。婚家でも実家でも」
「だから両方の問題を解決してやったというわけか。だが高柳の力なら、彼女をしかるべき家の養女にくらいはできただろうに」
「働きたいと薫が言ったんだ」
厳密には違った。情けをかけていただくくらいなら、自分ひとりでなんとか仕事を探すと薫は言ったのだ。
その言葉を聞いて僕は、彼女を自分で「雇う」ことにした。
0252しずのおだまき52011/12/12(月) 00:17:19.74ID:1O6gZG75
「真秀子ちゃん、いくつになった」
「13だ」
「ここに置いておけるのも、あと5年が限度だな。そうしたら、薫さんはどうする」
「どうもこうも、そのとき考えるさ。僕の仕事だって手伝ってもらってるからね」
「5年たたないうちに、薫さんが出ていきたいと言ったら、お前はどうする」
―――冷や水を浴びせられた気分だった。僕は思わず腰を浮かせる。
きっと僕は間抜けな顔をしていたんだろう。城山はあきれたという風にため息をついた。
「お前は本当に頭のいい馬鹿だな。手に負えないよ」
そう言うと見合い写真を机上に置き、去って行った。

城山が帰ってしばらく、僕は茫然と部屋の中に佇んでいた。
抽斗に開け見合い写真を放り込もうとして、ふと奥のくすんだ葉書に目がいく。
「しづのおだまき」とだけ書かれた葉書は、婚家で怪我をさせられ、寝込んでいた薫が下働きの少女に託したものだった。
この葉書が5年前、薫を婚家から奪い返すきっかけになったのだ。
「しずやしず しずのおだまき 繰り返し 昔を今に なすよしもがな」
あまりにも有名な平家物語の一節。捕らわれた静御前が幸せだった昔を思い舞った一節だ。
「昔を今に…か」
今朝の夢を思い出す。幸せそうなお姫様だった頃の彼女を。
僕のことを「彬兄さん」と呼び、父の教え子である僕らに散々構い倒されていた、あの頃の薫。
(そういえばもうすぐ、姫宮先生の命日だったな)
姫宮先生は7年前、ご自宅の前で暴漢に刺されて命を落とした。
先生の叫び声に気付いた薫が外へ出ると、犯人が車で逃走するところだったという。
その日は雨だった。泥水を跳ねて逃げ去る車。泣きながら先生に縋りつく薫。
僕と城山は葬式の日、壊れてしまったように無表情な薫からその話を聞き、何も言えずにいた。

昔を今に。
薫はそれから十分すぎるほどの苦労を重ねてここにいる。
昔どおりとはいかないが、この家に来た頃より明るくなったし笑顔も増えた。
ふだんの彼女からは、辛い過去など微塵も感じさせないほどに。
0253しずのおだまき62011/12/12(月) 00:18:56.14ID:1O6gZG75
(薫さんが出ていきたいと言ったら、お前はどうする―――)
引き出しに鍵をかけ、城山の言葉をぼんやり反芻する。薫が最初の結婚をしたときは、彼女が幸せになれるのなら、僕は祝福しようと思った。
周りの意向で決まった縁組で幸せに暮らしている人間は山ほどいるし、
肉親を目の前で亡くした彼女が新しい家族を得るのなら、それはそれでいいことだろうと。
それが叶わなかったと知り、彼女を無理やり奪い返したのも僕だ。
彼女に縁談が来たところで、また同じことが起こらないと思えない以上、僕はおそらく簡単には祝福しないだろう。
そもそもあんな目にあった薫が、再び結婚したいなどと思うだろうか。僕にはそうは思えない。
ぐるぐると考えが頭の中を巡る。あまりにも考え込みすぎていたため、ノックの音にも気がつかなかった。
「旦那様」
薫の声にびくりとして顔を上げる。
「入ってよろしいですか?」
「もちろん」
扉が開き、彼女が入ってきた。
長い髪を後ろでシニヨンにまとめ、白いブラウスに水色のスカートをはいている。
5年前よりいくぶんふっくらとした頬。桜色の唇。知的な額。そして大きな瞳。
―――どきり、とした。
「今日の講義の資料が整いましたので、確認して頂ければと思いまして」
彼女は僕の側に歩み寄り、机の上に本を数冊とノートを置いた。
ちょうど、放り込もうとしていた見合い写真の脇に―――。
薫の瞳が一瞬驚いたように見開かれ、僕の顔へと視線がうつる。僕は小さく笑った。
「見合い写真だよ」
「城山様がお持ちになったのですか」
「うん」僕はつとめて軽く言うと、写真をひょいと開いた。振り袖姿の娘が硬い面持ちでこちらを見ている。
「どう思う?」
「はい。素敵な方だと思います」
心の奥がかさりと音を立てる。
0254しずのおだまき72011/12/12(月) 00:20:07.66ID:1O6gZG75
「じゃあ、薫は僕が結婚するべきだと思う?」
「そのようなことは―――」
「答えて」僕は語調を少し強めた。薫が躊躇うように目を伏せる。
「旦那様のご年齢やお立場を考えれば、奥様がいたほうが都合がよいと思うことはあります」
「この女性は、うちの事情を受け入れてくれるかな」
「真秀子様のことは、旦那様ではなくご本家のお兄様が決めることではないでしょうか」
穏やかな口調だった。
確かにそうだ。真秀子を引き取りたい、と兄が言えば、ここにいる理由は何もなくなる。
彼女だって、うちで暮らし始めた5年前ほど子どもではない。
十分に折り合いをつける方法を学んでいるし、月に何度かは義姉や腹違いの兄弟たちと食事もしている。
聞くところによると、それなりに仲良くできている、らしい。
しかし―――しかし、僕が本当に聞きたいのはそんなことではなく。
「君のことはどうかな」
「わかりません」
僕の意地悪な言い方に気付いているだろうに、薫はあくまでも冷静だった。
この会話を、他愛もない妄想譚で済ませようと言わんばかりに。
「ただ、若い女がお仕事のお手伝いをしていることを、嫌がる奥様方は多いと聞きます。
もし奥様になる方がそう思われるのでしたら、私はお暇をいただくことになるでしょ―――」
「そんなことは僕が許さない」

自分の声の大きさにびっくりした。薫は目を丸くして、僕の顔を見つめたまま固まっている。
僕はつと歩み寄ると、彼女の手首をつかんだ。細い手首に改めてどきりとする。
「旦那、様…?」
黒髪。すべらかな肌。すっきりと白いうなじと鎖骨。僕は薫をしげしげと見つめていた。
目の前にいるのは、あの頃の薫姫の面影を残し美しく成長した「おんな」だ。
「薫。僕は―――」

その瞬間、ノックの音がした。
0255しずのおだまき82011/12/12(月) 00:20:52.98ID:1O6gZG75
「失礼いたします」
室井の声だ。薫は思い切り腕を引いて僕の手から逃れる。僕が謝る間もなく、彼女はすっと目礼した。
「資料はこちらですべてだと思います。ご確認下さいませ」
そして、そのまま部屋を出ていった。
「旦那様。そろそろお支度を」
「ああ、うん。確認したらすぐ行くよ」
僕は室井に曖昧に笑いかけた。今の話は彼に聞かれていただろうか。優秀な運転手の顔からは何の表情も読み取れない。

室井をいったん下がらせ、僕は再び茫然とした。
「僕は―――」いったい何を言おうとした?
(薫さんが出ていきたいと言ったら、お前はどうする―――)
(私はお暇をいただくことになるでしょう)
城山の言葉と薫の言葉が、交互に脳裏によみがえる。

薫が真秀子の家庭教師になったとき、僕らは仕事に「昔のこと」を持ち込まないと決めた。
「薫姫」「彬兄さん」と呼び合った昔馴染みではなく、あくまで主人と使用人として接しあうことが僕らのルール。
真秀子が使用人に対する態度をきちんと覚え、どこの奥様になっても恥ずかしくない振る舞いができるようにという薫の提案だった。
そのことを不自由に感じることはなかったし、正しいことだとずっと思ってきた。

なら、僕はあのときいったい何を言いかけたのだろう。
頭を振って邪念を追い出そうとするが、うまくいきそうになかった。
あのとき、部屋に入ってきたのは紛れもなく「おんな」で、美しく、そして―――僕は彼女に恋をしている。
その事実が目の前にぶら下がっていることは、頭が否定しても心がわかっていた。
もう気付いていない頃には、戻れないのだということも。

そして、もうひとり茫然としている人間がいたことを、僕はまだ知らない。
0256しずのおだまき92011/12/12(月) 00:22:22.46ID:1O6gZG75
**************************************************
部屋に戻ると私は目を閉じ、肩で大きく息を吐いた。
(そんなことは僕が許さない)
大きな声。そして手首をつかんだたくましい掌。
ずっと考えないようにしてきた。この家に家庭教師として入ったときから、ずっと。
(私たちは旦那様と使用人。それ以上でも、それ以下でもない―――)
呪文のように繰り返し、姿見の前に立つ。私はそのままブラウスのボタンを外した。
胸の谷間から鳩尾にかけて走る刀傷をまじまじと眺める。
野村薫として、高柳家の家庭教師として生きると決めたときのことを強く思い、鏡の自分に向かって頷くと、
私はボタンを再び閉め、「旦那様」のお見送りへと向かった。
0257しずのおだまき_後書き2011/12/12(月) 00:23:43.38ID:1O6gZG75
以上です。時間ができたら続きを書く予定。
エロに入るまでにもうワンクッションくらいあると思います。
0259名無しさん@ピンキー2011/12/12(月) 09:16:31.06ID:+fmeGc1Z
おお! 旦那様がいつ理性を失うのかわくわくするな! GJ!
0261名無しさん@ピンキー2011/12/12(月) 12:54:42.48ID:+avmSTgr
投下グッジョブ!
続きも気になるけど過去の奪還劇の詳細も気になるよ
0262名無しさん@ピンキー2011/12/12(月) 13:42:34.44ID:NrbLEGQS
おおふっ!GJ!!
いい大人同士の純愛、大好物!!
続き期待してる!
0264名無しさん@ピンキー2011/12/19(月) 21:27:30.61ID:Ls0SwHuB
「しずのおだまき」2話目投下します。微エロ。本番なし。
0265しずのおだまき2-こころ・12011/12/19(月) 21:28:51.76ID:Ls0SwHuB
「かくして明治以降の作家は恋の深淵を描写するに至るが、それを西洋から輸入さた感性と表現することに小生は違和感を禁じ得ない。
日本の古典作品、例えば『源氏物語』に描かれた恋は貴族の風雅や慣習としての側面が強いが、
近代文学の題材となる個人的激情としての恋も勿論、我ら日本人の中に予てから存在していたものである。
西洋文学は言わば、作家が恋の文学的価値を再発見する為の触媒となったと言えよう。
即ち我ら日本人にとって西洋文学とは―――」
ノックの音が響き、僕はペンを置いた。薫だ。
「ご依頼の通り、適当に見繕って参りました」
薫は机の脇に本を置く。漱石、鴎外などの日本の作家から、フィッツジェラルドやブロンテ姉妹まで。
姫宮先生の随筆もその中に混じっている。さりげなく原稿を見た彼女に向かい、僕はため息をついた。
「行き詰ってるんだ」
薫はそんな僕の愚痴を、微笑みで窘めた。
「真秀子お嬢様がお帰りになったら、お茶にいたしましょう。高柳のお兄様が下さったクッキーがございます」
「それはいいね」
「では、フサさんにお茶の用意を頼んで参りますね」
薫はそう言うと、微笑みを浮かべたまま部屋を後にする。僕はもうひとつ、ため息をついた。

僕は今、学長と旧知の編集者の依頼を受け、初の新聞連載の締め切りに追われている。テーマは「恋と西洋文学」だ。
初連載の重圧と、姫宮先生がご存命ならさぞやと思うような題材のせいもあり、僕の気合は少々空回っていた。
何度も修正を重ね、納得のいく方向が見つかりつつあるが、ここへきてどうにも筆が乗らない。
こんなときに頼りになるのは優秀な秘書でもある薫だ。彼女は真秀子の勉強を見る傍ら、僕をさりげなく手助けしてくれている。
しかし僕の直感が正しければ―――薫は、僕とふたりきりになる機会を極力避けている。
0266しずのおだまき2-こころ・22011/12/19(月) 21:30:16.10ID:Ls0SwHuB
彼女に詰め寄ったあの日のことを、僕はまだ詫びていない。正直、どう話したらいいのかわからないのだ。
薫は何もなかったように冷静で穏やかで、その事実は僕を少しだけ苛立たせた。
みっともない事に僕は、家にいるときは常に薫の姿を探している。
勿論、彼女を無駄に呼び出すようなことはないが、真秀子に勉強を教えている姿を見て安心し、その声にしばし聞き入り、
食事どきは飲み物のおかわりを頼み、まとめて頼めばいい用事をわざと忘れては呼び出し、他愛もない話をしたがっている。
まるで10代の少年もいいところだ。
「『触媒』か―――」
ひとりごちて書きかけの原稿を眺める。城山の言葉とあの日の出来事が触媒になって僕の中に恋が芽生え、
その事実はまるで無視できないものとして僕の心の奥に巣食っている。
そんな人間が、恋についての随筆の締め切りに追われているのだから、何とも因果なものだ。

その週の日曜日は、朝から天気がすぐれなかった。
真秀子は彼女の父親と出かけている。なんでも今日は銀座のフルーツパーラーに行くらしい。
薫も用事があると言い、10時頃に出かけて行った。黒い服を着て、花束を持って。
(姫宮先生の墓参りだな)
お互い過去に触れない、という決めごとには当然のごとく、姫宮先生に関することも含まれる。
もちろん、姫宮先生の教え子だった事実には変わりはないが、彼の思い出話をしたり、一緒に墓参りに行ったりはしない。
一度、一緒に行こうとしてやんわり断られて以来、その決めごとを破ったことはなかった。
墓地は雑司が谷にある。夕方までには戻るだろうと思いながら、僕はひたすら原稿を書いていた。
休日は室井もフサも日中を自分の用事にあてているため、天気も相まって家の中は普段よりがらんとして見えた。
メモを取りながら資料をめくり、フサが作っておいてくれたサンドイッチを食べる。
ふと外を見ると、雨が降り出していた。
(薫は傘を持って出ただろうか)
確か彼女は右手に花束を、左手に荷物を持っていた。おそらく傘を持つ余裕はなかっただろう。
(駅まで迎えに行くだけなら、ルール違反にはならないかな)
僕は自分に言い訳をして、着替えるために部屋に戻った。
0267しずのおだまき2-こころ・32011/12/19(月) 21:31:56.51ID:Ls0SwHuB
支度を整え外へ出ると、雨足はかなり強まっていた。道路はかなりぬかるんでおり、道行く人を困らせている。
僕は足早に門を出て、ひとつめの角を曲がる。その瞬間―――
足元を野良猫がすり抜ける。僕は思わず「うわっ」と叫び声をあげ、しりもちをついた。転んだ僕の横を車が猛スピードで走り抜ける。
危ないな…と毒づこうとしたとき、悲鳴が聞こえた。思わずそちらを振り返ると、薫が真っ青な顔をして駆け寄ってきた。
「お怪我は!?お怪我はありませんか!」
「大丈夫。転んだだけだから。そんなことより君――」
「本当に?」
彼女は僕の体に触れ、無事を確認する。あまりの剣幕に、通り過ぎる人が怪訝そうにこちらを見やる。
「薫?…薫!」
何度か名前を呼ぶと、彼女は我に返ったかのように、びくんと震えた。
「とりあえず、家に入ろう」
薫の細い指は、がたがたと震えていた。

びしょ濡れになってしまった服を替えさせ、紅茶を淹れて部屋に持っていく。浴衣姿の薫は恐縮しながらそれを受け取った。
いつもは束ねている髪はほどけ、唇は色を失い、化粧は剥げ落ちている。
「薫、ごめんね」
僕の言葉に、薫は首を横に振る。
「私こそ、申し訳ありません。父のことを思い出してしまって」
姫宮先生は雨の日、暴漢に襲われ命を落とした。家にいた薫が叫び声に気付いて出てきたときには、暴漢は車に乗って走り去るところだったという。
先生は雨の路上で血を流しながら息絶え、薫は先生の側でずっと名前を呼び続けていた。
「怖かったんです。また、あんなことが―――」
「大丈夫」
根拠のない慰めを口にする。彼女の肩に触れると、薫が濡れた瞳で僕を見つめた。
次の瞬間、心のたががカチリと音を立て、僕は彼女にくちづけていた。
0268しずのおだまき2-こころ・42011/12/19(月) 21:33:47.70ID:Ls0SwHuB
雨に濡れたせいか、その唇はやけに冷たかった。それを温めるように、ゆっくりと舌でなぞる。
熱い吐息が絡まり、僕の心は早鐘のように鳴った。
湿った髪に指を差し込む。頭の形を愛おしむように指を這わせた。
ぴちゃぴちゃと音が零れる。唇はすぐに温まり、僕はその奥に舌を差し込むと歯列をこじ開け、上顎を舌先で舐めた。
薫の腰がびくりと引かれる。目を見開き、唇が離れる。
つ、と唾液が一筋僕らの間を伝った。
何かを言いかけた唇が言葉を紡ぐ前に、僕は再びくちづけをした。今度は喰らうように激しく。
息を吐く間もない。僕が気持ちを自覚してからずっと薫に言いたかった言葉。
言えぬままに消えた言葉がすべて口移しで伝わればいいというほどに、僕は彼女を貪った。
されるがままだった彼女の腕が僕のシャツを掴んだのは、くちづけてから十分ほど経ったときだろうか。
僕らの間には、否定しようもない官能の空気が充満していた。

ベッドに薫を座らせると、舌を滑らせ鎖骨を舐る。鎖骨のくぼみに感じる場所があるらしく、彼女は甘い悲鳴を上げた。
旦那様と使用人として過ごす上で、これは明らかなルール違反だ。
そのことが明確にわかっていたけれど、止められなかった。
僕らはさっきから、ひとことも言葉を交わしていない。言葉を発したら最後、この思いは壊れてしまうだろう。
黙ったまま唇を彼女に這わせ、舌でそこかしこを愛撫する。薫は頬を上気させ、まつ毛を伏せて僕の行為に応えていた。
こんなに妖艶なおんながこの家にはいたというのか。
僕は官能に震える指で、彼女の浴衣の前をはだける。
0269しずのおだまき2-こころ・52011/12/19(月) 21:34:31.04ID:Ls0SwHuB
そこにはざっくりと走る傷跡があった。
ふくよかで白く美しい胸。薄紅に色づいた頂。その美しさを否定するように、双丘の谷間から鳩尾にかけて走る傷跡。
頭のどこかが冷えていく音が聞こえた。その音は薫にも聞こえたのだろう。
はっと悲しそうな顔をすると、彼女は僕の指をそっと身体から外し、浴衣の前を合わせた。
薫の顔をまじまじと見つめる。さっきまで官能に震えていたまつ毛は、今は悲しみに震えているように、僕には見えた。

さほど長くはない、それでも僕にとっては永遠のように思える沈黙の後で、僕はようやく口を開いた。
「前の、亭主か―――」
「はい」
薫は蚊の鳴くような声でそう答えると、ベッドから降りた。
「雨、あがりましたね」
長い髪。凛とした後ろ姿。僕はなぜか泣きそうになった。
「そろそろ、お嬢様が帰っておいでです。着替えたいのですが、よろしいですか?」
あくまで謙虚で、しかし有無を言わせない声。
僕は「すまなかった」とだけ告げて、彼女の部屋を出た。

そして、それきり。
僕らはただの「旦那様と使用人」に戻り、日々を過ごしている。
薫の言動にあの日のことを思わせるものは何もなく、僕を受け入れようとした理由は未だにわからないままだ。
0270しずのおだまき2-こころ・62011/12/19(月) 21:35:19.09ID:Ls0SwHuB
あの「事件」から数日後、仕事の帰りに僕は雑司が谷へと足を延ばした。
室井には「寄りたい場所がある」と告げて真秀子を迎えに行かせ、鉄道で件の駅へと向かう。
理由はふたつ。ひとつめはもちろん、姫宮先生の墓参りだ。墓の前に立ち、花を供え、手を合わせる。
個人に何を言うべきかわからぬまま、僕は黙って頭を垂れた。
そしてふたつめの理由―――その目的のため、僕はある洋裁学校の前に立っている。
しばらく待っていると、箒を持った若い娘が出てきた。彼女は僕の顔を見て、驚いた顔をする。
「高柳様―――」
「久しぶりだね、イネさん」
湯島イネは、薫が結婚していた先の元・使用人だった。

彼女の雇い主である洋裁学校の校長は、イネを借りることに快く同意してくれた。
僕らはカフェで向かい合い、コーヒーを飲んでいる。
「若奥様はお元気でしょうか」
「ああ。元気でやってるよ」
薫がそう呼ばれることに複雑な思いはあったが、僕は敢えて訂正しなかった。
「それは良かったです。若奥様は、あたしにとっては恩人そのものなんで」

薫の婚家・但馬家は、たくさんの使用人を抱える旧家だった。
嫁いでいた2年ばかりの間、薫は使用人である若者に読み書きそろばんなどを教えていたのだという。
「若奥様がいらっしゃらなかったら、あたしはずうっとばかのまんまでした。
今の仕事も、ぜんぶ若奥様のおかげだってあたしは思ってるんです」
イネはそう言って笑う。薫がこの言葉を聞いたらどんなに喜ぶだろうと思いながら、僕は本題に入った。
0271しずのおだまき2-こころ・72011/12/19(月) 21:36:27.58ID:Ls0SwHuB
「薫の怪我…あれは、どういう経緯だったんだい?」
「聞いてらっしゃらないんですか?」イネが目を丸くする。
「場所が場所だけにね。どうにも聞きづらくて」
イネは話したくなさそうに唇を噛む。自分の浅ましさを自覚しながら、僕はなおも食い下がった。
「聞かせてほしいんだ。何があったか」
そう言ってじっと彼女を見つめる。ややあって、イネは根負けしたように話し始めた。

「もともと、但馬の若旦那様は、あまり学問が得意ではなかったんです―――」
最初はうまくいっていたかに見えた縁組だが、学問が得意でなかった薫の夫・庄助は、徐々に薫を妬むようになったという。やたら用事を言いつけ、男の使用人に文字を教えようものなら「色目を使った」となじり、間違いを指摘しようものなら「生意気だ」と叱りつける。
それでも薫はよく耐えていたそうだ。庄助の虫の居所がいいときなど、理想の夫婦のようにも見えていたというのだから。
ふたりの仲が決定的に駄目になったのは、一冊の洋書がきっかけだった―――

「若奥様が大事にしていらした英語のご本。その続きを高柳様がお送りくださったでしょう」
ウェブスターの「Dear Enemy」だ。彼女が子どもの頃、辞書を引きながら読んでいた本の続編。
それが日本で手に入ったと知り、ぜひ読んでもらいたいと送り付けたのは他ならぬ僕だ。
「英語の読めない若旦那様はそれを、若奥様への恋文…みたいなものだと思ったらしくて」
古い考えの家なら、確かに薫のしたことも「嫁として相応しくない」ことだったろう。
しかし庄助のしたことは、そんな程度のことではなかった。薫を裸にし、部屋の柱に括りつけて、刀で斬りつけたのだ。
当然、但馬家は大騒ぎになった。悋気で乱心した庄助、血まみれの薫。
そして古い家は、庄助の悋気の方を不問に付し、薫を病院にも運ばず閉じ込め、暗い部屋に追いやったのだ。
0272しずのおだまき2-こころ・82011/12/19(月) 21:37:36.72ID:Ls0SwHuB
「あたし、あんまりに若奥様が不憫で…ですから、若奥様にご本を下さった方に、お手紙を書いたんです」
薫が教えてくれた字で。そうすることが薫の恩に報いることだと思ったから。
イネはそう言って、瞼を震わせた。僕は彼女に丁寧に礼を言い、薫の怪我のことは口外しないと約束した。
ふと思い立って、一冊の本を差し出す。彼女は表紙をしげしげと眺めた。
「あしながおじさん…」
「薫が読んでいた本の日本語訳だよ。良かったら読んでみてくれないか。そして、薫に『読んだ』と伝えてやってほしい」
きっと彼女は喜ぶだろうから。自分の教えたことが、ひとりの人間の可能性を広げたということに。
0273しずのおだまき2-こころ・92011/12/19(月) 21:38:02.98ID:Ls0SwHuB
家に戻ると、真秀子がおやつを食べていた。薫は資料室にいるという。
呼んでこようかという彼女の申し出を辞退し、僕は自ら資料室に向かった。
部屋には夕陽が差し込んでいる。薫が「おかえりなさいませ」と微笑んだ。
「雑司が谷へ行ってきた」
そう告げる。僕は黙って、彼女の言葉を待った。
ややあって、ようやく彼女が口を開く。いつも通りの穏やかな口調。
「夏目漱石先生の『こころ』にも、雑司が谷の墓地の場面がありましたね」
「うん。Kの墓参りの場面だ」
「私」が先生の後をつける場面だった。友人の墓参りに来ていた先生は、年若い「私」に向かってこう言い放つ。
(しかし、君。恋は罪悪ですよ。わかっていますか)
かつて姫宮先生の研究室で、薫がこの本を読んでいたことを思い出す。
先生はとにかく薫に甘かった。普通の親なら子どもに読ませたがらない本でも、彼女が読みたいと言えば喜んで与えていた。
確かあのとき彼女は、このくだりの意味がよくわからないと言っていたのだ。
(ねえ、彬兄さん。どう思う?)
僕は困惑した。こんな言葉、僕にだって当時はよくわからなかったから。
姫宮先生は困ったように笑うと「薫にもいつかわかるときが来るかもな」と言った。
(いつかって、いつ?)
(さあ。もしかしたら、ずっとわからないかもしれないよ。でも、そのほうが幸せかもしれないね)
先生はそう言って、薫の頭を撫でた。
0274しずのおだまき2-こころ・102011/12/19(月) 21:38:29.00ID:Ls0SwHuB
「私、あの雑司が谷での会話、とても好きなんです」
薫の声がほんの少しだけ震えた。泣きそうな声だ、と思ったのは僕の傲慢だろうか。
(恋は罪悪ですよ、よござんすか。そして神聖なものですよ)
僕らは黙ったまま、しばらく見つめ合っていた。夕日が部屋に差し込み、僕らの表情を優しくぼかす。
聞きたくて、でも聞けずにいた。あの言葉の意味が今なら少しはわかるのか、と。
僕には少しだけわかる気がした。
0275名無しさん@ピンキー2011/12/19(月) 21:39:19.09ID:Ls0SwHuB
とりあえず以上。次あたりエロを入れたいところです。
一部改行失敗したので読みづらいと思う。申し訳ない。
0277名無しさん@ピンキー2011/12/20(火) 08:53:54.34ID:6OvsaEtO
グッジョブ本当にレトロないい雰囲気だ!
昨日あしながおじさん(漫画版)買ったばかりだったから私的にタイムリーだったよ!
0278名無しさん@ピンキー2011/12/23(金) 23:45:36.72ID:881UTnyq
しっとりGJ
元旦那は愛してたからヤンデレだったのか
それとも矜持ゆえだったのか
過去を探らない…というのは
薫さんは主人公のせいで傷を負ったと知られたくなかったということか
続き楽しみにしてる
0279名無しさん@ピンキー2012/01/05(木) 23:36:34.78ID:3TABH9fB
あけましておめでとう

成人式の振袖を着た女中さんを見て桃色の妄想を逞しくする若旦那と
借り物の着物を汚しそうで怖いし何よりこれでは仕事にならないからと
さっさと着替えてしまう女中さんを妄想しつつ保守
0280 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/01/22(日) 00:24:12.69ID:0UtKTUM8
突発的に浮かんだのを投下
傷心の主とメイドさん
0281名無しさん@ピンキー2012/01/22(日) 00:24:42.23ID:0UtKTUM8

「んっ……むぅ……」

 口に指を入れられているためにくぐもった声しか出せず、エスターは涙目で後ろを振り返った。
 メイド服をたくし上げて後ろから突き入れている主は、顎を口から引き抜いた手で掴んで荒々しく唇を重ねる。
 熱く、乱暴な舌づかいなのに、瞳に宿る冷えた光にエスターは冷水を浴びたような気持ちになる。
 机と主に挟まれて逃げようのないエスターに容赦なく腰を押し付け、征服に導こうとする。
 女への憎しみをぶつける主。分かっていながら逆らえないエスターは、ようやく解放された唇に震える声で主の名をのせた。

「お、ゆるし、ください……ハワード、さ、ま……」
 
 応じることなくハワードは、両手で腰をつかんで一層の緩急をつけてエスターを揺さぶった。
 何度もハワードを受け入れさせられた体は、簡単にエスターを裏切る。服の中で胸の先端は痛いくらいに固くなり、服にこすれてもどかしさを
感じさせ、ハワードのものが入っている中はひくついて、また奥から蜜を溢れさせている。
 声は出すまいと耐えても、腰から服にもぐりこんだハワードの指に秘所の上の蕾をなぶられて頭が真っ白になる。

「んぁ……あぁあっ」

 背中がしなって、中がびくびくと収縮する。ハワードは奥に叩きつけてそのまま腰を押し付け、情欲を放つ。
 かくんとエスターは机に突っ伏す。ハワードも荒い息が整うまでにしばらくの時間を要した。

「女は、すぐに足を開く。お前も……シャロンも……」

 苦しげなハワードの呟きに、エスターは肉体の疲れ以上に心がきしんだ気がした。
0282名無しさん@ピンキー2012/01/22(日) 00:25:59.23ID:0UtKTUM8

 ハワード・オーブリーがシャロン・バークリーとの婚約を破棄して、田舎の別荘に引きこもった際にエスター・ハミルトンは本宅から
ただ一人ハワードに同行した。婚約解消を口さがなく噂される首都から遠い別荘は、管理の老夫婦を除けば使用人はエスターただ一人だ。
 食事の支度から洗濯、掃除までをエスターはこなした。買い物は御用聞きにメモを渡せば届けてくれるし、庭仕事は管理人夫婦の仕事だ。
 ハワードは別荘についてからもふさぎ込んで、書斎から出ようとはしなかった。料理も最初の頃は手をつけずに浴びるように酒を飲む。
 困ったことと思いながら、エスターにはどうすることもできなかった。
 夜中、長椅子で寝込んだハワードにそっと毛布をかけるとハワードはぴくりと身じろぎをした。

「シャロン、どうして……」

 眉根をよせて苦しげに吐かれた言葉に、エスターは思わず涙ぐんだ。親同士の決めた婚約であってもハワードはシャロンを愛しく想っていた。
 父親の爵位と領地を受け継いでけしてシャロンに不自由な思いをさせないようにと、さらに豊かにしていった。
 爵位と経済力をあわせもつハワードと、名家の令嬢のシャロンは家格も年齢もつりあいがとれていて、並んだ姿も申し分なかった。
 正式に婚約してシャロンが婚礼の準備にとりかかった時、運命を狂わせるできごとが起こる。ハワードが出席しなかった夜会に兄に
エスコートされて出席したシャロンが、血筋と見てくれはよい子爵に心を奪われ駆け落ち騒ぎを起こしたのだ。
 狭い貴族社会で、それは格好の醜聞だった。発見された時には正式に婚姻まで結ばれ、ハワードは婚約破棄をせざるをえなかった。
 誰の目にもシャロンの非が明らかではあったが、ハワードには寝取られ男の烙印が押された。

 誇り高いハワードには耐えられなかった。

 エスターだけを供にして、人づてに借りた別荘に誰にも知られないようにと身を潜めたのだ。
 メイド長からハワードのことを託されて同行したエスターの目にも、ハワードの傷つきようは痛ましいものとして映った。
 田舎の景色も空気も、エスターが心を砕いて用意する料理も、気持ちよく整えた部屋や寝具も、ハワードの慰めにはならない。
 時間とあとはハワード自身が乗り越えるしか解決策はない。
 そうは思っていても憔悴したハワードを見るのは辛い。
 エスターは毛布をかけて、そっと額にかかったハワードの髪の毛をかきよせた。
 明かりを持って退出しようとした時、手首をつかまれる。
0283名無しさん@ピンキー2012/01/22(日) 00:26:43.46ID:0UtKTUM8

 酒でハワードの眼差しははっきりとはしていないようだ。自分がどこにいるかもとっさには分からなかったようで、少し頭を上げて
辺りを見回している。

「旦那様、寝室でお休みくださいませ」

 目覚めたのを幸い、寝台でちゃんと寝てもらおうとエスターは声をかけた。ハワードの上にかがみこんだエスターは、手首を痛いほどに
ひかれてハワードの体の上に抱き寄せられていた。狼狽して起こした顔は、まともに自分を見るハワードの視線に動けなくなった。
 憎しみが見てとれた。

「だんな、さま……」

 今まで一度も向けられたことのない負の感情におののくエスターは、長椅子の前の床に引き倒されて今度はハワードにのしかかられるまで
何もできなかった。乱れた髪、無精ひげのハワードは目だけをぎらつかせて無表情でエスターを見下ろす。
 長椅子の前に置かれている卓にのせられていた、この別荘の持ち主の収集品の短刀をハワードが手にとり、ゆっくりとエスターの服を
切り裂いてもハワードから目がはなせなかった。
 メイド服も下着も切り裂かれ、ハワードの少し冷たい手が肌に触れる。その冷たさにエスターは震えた。

 女を感じさせる胸と秘所をハワードは乱暴に、そして執拗に刺激した。胸の先端は舐められかじられして真っ赤に色づき、秘所は指で
閉じいていた奥を暴かれる。恐怖にすくんでいたはずのエスターが、それだけではない感覚に身を震わせるようになった時にハワードは
無言でエスターの中に押し入った。

「ひ、いっ、……っ」

 串刺しにされるような痛みと衝撃にエスターがのけぞる。ハワードは汗を浮かべながら狭いエスターの中を割り広げた。
 ねじこむようにして奥までエスターの中に入ったハワードは、エスターの腿を抱える。

「こんな主についてきた自分を恨め」

 低い声で囁くと、ハワードは腰を動かし始めた。きつさとエスターの様子からエスターが初めてなのは分かる、が思いやる気もなく
ただひたすらに己の欲望のままに中を抉る。涙を流して顔を左右に振るエスターに、自分の非道さを突きつけられている気がして
ハワードはきつく目をつぶってがつがつと突き入れた。
 急激に高まる悦楽にハワードの息は乱れてくる。身をよじったエスターの中がきゅうっとハワードを締め上げて、呻き声とともに
ハワードは中に精を吐き出した。どくどくとそれは長く続いた。

 目を開ければしでかしたのはひどい現実だ。切り裂かれた服をまとわせて、泣き顔のエスターが糸の切れた人形のように四肢を投げ出している。
 後悔とともに捨て鉢な気持ちも湧いてきた。
 ずるりと萎えた己を抜き出して下着の切れ端で秘所を拭う。

「これからはメイド服の下に下着はつけるな」

 エスターに言い捨てて毛布をかけ、ふらつく足で寝室へと引き上げる。
 女を抱いたというのに、少しも気が晴れない。最低な男に成り下がったものだとハワードは苦い溜息を漏らした。
0285名無しさん@ピンキー2012/01/22(日) 02:06:54.06ID:aIugrMif
なななななんという生殺し!!!!!
ワッフルワッフル。
この寒さに全裸はつらいよ…頼むよ!!

しかし、ノーパンメイドさんとはエロイな…ごくり
0286名無しさん@ピンキー2012/01/22(日) 05:44:25.54ID:uQjZVIdX
グッジョブ!
いきなり下着付けるなとはレベルが高すぎるぜw
これからどうなるのか続きが気になるよ
0287名無しさん@ピンキー2012/01/22(日) 10:02:56.96ID:AF8e8FON
>>279
買い取ってあげるよこれから汚してしまうからという若旦那様と
ご遠慮申し上げますという女中さんを妄想したw

>>280
GJGJ!!
これからどう二人の関係が変わっていくのか楽しみ
勢いで犯したって言うのにその後ハワード鬼畜すぎるw
元婚約者は金のない子爵との関係が上手くいくとは思えないし
0289名無しさん@ピンキー2012/02/03(金) 18:42:27.93ID:PNUAsflr
うわー続きワッフルで待っている間に妄想投下


ヒロインメイドはお屋敷の旦那様に恋をしていたが
身分違いと歳の差が過ぎるので
優しくしてくれるけど妹みたいな子供あつかいだし
旦那様には既に完璧な婚約者がいることに打ちのめされていた

ある日のメイドの休日
街で落ち込んでいる旦那様とそれを慰める悪友を見かけてつい後をつける
するといかがわしい店に入っていく旦那様
そんな店に若い娘が何のようだと店の恐表てに無理矢理店に連れ込まれてしまう
しかし色々あってメイドは店一番の稼ぎ頭の美女に気に入られる
旦那様がこんなところに通っているという絶望と……
他の女を抱くぐらいなら私を抱いて欲しいという願望を女に見抜かれる
無理矢理商売女のように着飾らせられ旦那様の部屋へ
しかし旦那様は無理矢理連れて来られただけでただ話をしていた
入ってきたメイドをみてはっとする旦那様メイドに似ているなと
実はメイドの事を好きだったが自分がおじさん過ぎて相手にされないはずだと悩んでいたと話す
泣き出すメイドが化粧が取れて……めでたしめでたしとかどうだろうか
0290名無しさん@ピンキー2012/02/05(日) 23:51:18.07ID:WYaWzN//
>>280-284
GJ!!
エスター可愛いなマジ可愛い

ハワードさん傷心な以上に鬼畜だなw
でもエスターが次に下着履いてても履いてなくても面白そうだなぁ
どちらでも言い掛かりをつけられそうだしw
履いていたら言う事を聞いてないとそれを口実に責め立て
履いてなかったら淫乱だと責め立てる

ハワードさんマジ天才、師匠と呼びたい

>>289
何それ萌える
可愛いな
0291 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:38:33.44ID:G5fxkakJ
傷心主×メイドの続き
0292 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:39:28.04ID:G5fxkakJ
 ハワードは眠れぬ夜を過ごして、エスターと顔を合わせないように別荘の外へと出かけた。
 エスターが心配してやれ散歩はどうだだの、遠乗りはいかがでしょうかと外へといざなってもその気にならなかったのに、皮肉なものだ。
 そのエスターを手ひどく抱いた後ろめたさから早朝散歩になってしまうのだから。
 ハワードは物思いにふけりながら朝露に濡れる小道をたどり、向こうに見える牧歌的な景色を図らずも堪能する形になった。
 いい加減歩きつかれてようやく、別荘へとハワードは戻った。

 明るい野外から入ると室内は薄暗かった。
 カーテンをあけるのを禁じていたせいだ。ささくれだった心には、明るい日差しは拷問に近かった。
 今はそれを暗いと思うのだから、どうしようもない。
 食堂へと赴くとそこに、エスターがいた。
 よく眠れなかったのか、泣いていたのか。その両方だろうが目が赤くてはれぼったい。
 自分を認めて束の間硬直したのを、ハワードは苦々しく感じた。

「お早うございます。旦那様。朝食は」
「ああ」

 食器の音が必要以上に響く。違うな、とハワードは気付いた。
 エスターが無言なのだ。いつもなら自分のすすまぬ食事をすすめようとして、やれ卵のおかわりはとかお茶はどうだと
控えめながらあれこれ声をかけてくるのに、それが一切ない。
 本邸では当たり前の光景だ。あそこでは主人の食事にあれこれと口出しするようなこともない。
 そのはずなのに、エスターに気遣われていたことに今更ながらに気付く。
 ここの空気だけ重くなっているようだ。
 動かない胃袋に無理につめこんだような、重苦しさだけを残して朝食は終わった。

「あとでコーヒーを書斎に」
「……かしこまりました」

 これだけでは習慣で書斎で新聞を読みながらコーヒーを飲む。社交欄だけは避けて、だ。
 すっかり身についてしまった習慣は、考えるより前に命令の形でエスターにとっては忌まわしいはずの場所へといざなうことになっていた。
0293 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:40:16.26ID:G5fxkakJ
 友人に借りた別荘――自分の別荘へは行けなかった。村の住民の同情に満ちた目とそれ以上に好奇心に満ち溢れた顔は見たくなかったし、
面白おかしく記事を書く新聞記者とやらの存在も我慢ならなかったからだ。
 誰も自分を知らないような場所へと希望して引きこもったのが、この別荘だ。
 寄宿舎時代からの友人の別荘の書斎は、田舎であってもなかなかに面白かった。
 本を傷めない配慮からか厚いカーテンがしつらえてあり、あけなればいつまでも夜の中にいられた。
 友人秘蔵の酒はさすがに手はつけずに、名前を偽ってとりよせた酒に溺れて一日の大部分をこの書斎で過ごしていた。

 さすがに長椅子に座る気にはならずに、ひとり掛けの椅子に身を沈める。
 かちゃかちゃと音がした後で、控えめに扉が叩かれる。応じればワゴンにコーヒーの支度と、新聞をのせたエスターが入ってきた。
 緊張からか顔の線がかたい。それでも仕事となればというところか、定位置にワゴンを置いてハワードの前に新聞とカップに注いだ
コーヒーを置く。香りも濃さもハワード好み。
 カップを手に取り、ハワードは香りを楽しみながら一口飲み込んだ。
 エスターはそれをワゴンの側に立って見守る。

 書斎の中はいつもと変わりないように見えた。布切れは見当たらないし床にも汚れはない。
 卓の上の短刀も同じ場所においてある。カーテンはあけられていないが、柔らかな明かりがともされている。
 自分が寝室にいる間か散歩に出かけている間に、当のエスターが掃除をしたのは明らかだ。
 この職業意識の高さをあっぱれと思うべきなのだろうか。あてつけの様だと思うべきなのだろうか。

 一杯飲んだ後でエスターがもう一杯注ぐ。コーヒーのポットを残してエスターは退出する。
 いつもの、習慣だ。
 心得ているエスターはポットを手にハワードに近寄った。本当は足がすくんでいる。必要以上に足に力をこめて、ハワードのもとへと行った。
 無言のハワードの顔を見ないようにしながらコーヒーを注ぐ。
 そっとポットを卓に置いて離れようとした瞬間を狙い済ましたように、ハワードに捕らえられ声にならない戦慄が身を包んだ。

「だ、んな様」
「――下着は身につけていないだろうな」
0294 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:41:09.83ID:G5fxkakJ
 一瞬血の気が引いて、次に猛烈に戻ってきた気がした。エスターは自分の頬がひどく熱いのを、自覚した。
 手首をつかんだまま、ハワードは何の感情もたたえていないような瞳を向けている。もう一度、抑揚のない声で同じ質問をされるが、
舌ははりついたように動かない。

「服をまくれ」

 思わず首を横に振って、見逃してはもらえないだろうかとエスターははかない望みを持った。
 互いに蒸し返さなければ昨夜のことは、ただの間違いで済む。そのはずだったのに。
 聞く者の背筋にひやりとさせるような響きをもって、主はもう一度同じ命令をした。
 捕らえられていないもう一方の手はきつくメイド服を握り締めていたが、エスターはゆるゆるとそれを上へと引き上げた。
 靴、靴下に包まれたふくらはぎ、そして膝。手はそこで止まる。

「下着はつけるなと言っておいたはずだが」
「……申し訳……、どうか、お許しを」

 震えながらうつむくエスターの姿はいじらしい。普段のハワードならここで見逃すはずだし、少なくとも婚約を破棄して引きこもる前のハワードなら
女性に対して無体なことなどしないはずだった。エスターには穏やかで優しかったときの印象が強すぎて、昨夜から今の現実が現実と思えない。
 ハワードは――見逃さなかった。

「自分で脱ぐか、服ごと刻まれるか、選べ」

 あいている方の手で卓の上の短刀を取り上げる。エスターの震えが大きくなった。
 何度か唾をのむようにして、ようやくハワードの視線を避けながら掠れた声で囁いた。

「自分、で、脱ぎます」

 ゆる、とハワードの手が短刀からもエスターの手首からも離れた。物陰で脱ごうとしたエスターを、ハワードの声が留めた。

「ここで脱げ」

 せめてと体をねじり、ハワードにできるだけ見せないようにとエスターは下着を外した。ゆっくりと引きおろし、存在ごと消してしまいたいとばかりに
かたく握り締めている。それを、感情の浮かばない顔でながめ、ハワードはエスターの手から下着を取り上げて卓に置いた。
 エスターを長椅子に座らせて顔の側の背もたれに手をついた。

「私をたばかって、楽しいのか?」

 ふるふると首を横に振るエスターを通して、ハワードはシャロンを見ていた。理想的な婚約者だったのに、あっさりと心変わりをして自分を捨てた彼女を。
 行き場のない思いと恥辱だけを残した『女』を、ハワードは憎んだ。
 エスターはその憎しみを一身に受けることになってしまった。

0295 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:41:48.81ID:G5fxkakJ
 床に下ろしていた足首を握られてエスターは下肢を長椅子の上にのせる形になる。膝に手をかけられて横に開かれた。
 今はまだメイド服に覆われている曲げた膝、脚の付け根を左右に開かれてエスターは絶望に陥る。すがるように見上げる主は、恥ずかしい格好を強いている。
 ゆっくりと服の上から神経質そうな長い指が這わされる。

「旦那様、どうか……」
「ハワードと呼べ」

 短く命令して、ハワードは無造作に服の中に手を突っ込んだ。びくりとすくむ脚、とっさに閉じようとする膝を許さずに脚の間に体をねじ込む。
 手は昨夜無理に開いて、今はまだぴっちりと閉じている付け根を探った。
 指先で下から上へと撫で上げる。親指で繁みをくすぐり、撫でる指を増やしていく。はじめは乾いていたそこが、次第に湿ってくる。
 まとわりつく蜜が、くち、と音をたてた。エスターの頬が羞恥に染まっていく。
 ハワードが浅く秘所に指を差し入れ、今度は蕾を指でなぶりはじめた。

「あっ……だんなさま、やっ」
「ハワードだ」

 体を引こうとしたのか、背中を背もたれに強く押し付けてエスターが声を上げる。手は長椅子に置かれているクッションを、形が変わるほどに握り締めている。
 エスターにも、ハワードにも直に見えない服の中での秘め事は、音と感触と熱だけで簡単に状況の変化を伝えてくる。
 浅くゆっくりと出し入れされる指は、蕾をなぶられれば締まる秘所で存在を主張する。いつしかエスターの息が弾み、吐息も甘くなっていった。

「……はぁ、あ、あんっ、ん……」

 体の奥深くでくすぶっていた鈍い痛みが、段々と塗り替えられていく。指が根元まで差し入れられてもさして痛みを感じなくなっていた。
 その代わりにくすぐったいような、中から疼くような不思議な感覚がせり上がってくる。
 胸のボタンをはずされ、ハワードの手が入り込んで乳房を包み込み尖りを指で擦ると、エスターは背もたれの上で首をのけぞらせていた。
 ハワードは床にひざまずいていたが、エスターの胸に顔をよせてこぼれる尖りを口に含んだ。
 甘噛みされながら吸われてエスターの頭の中は真っ白になった。それでも、波をやりすごそうとしていたその瞬間、秘所に入れていた指がある一点を
つついた。ぎりぎりのところで踏みとどまろうとしていたエスターを突き落とすに充分な、鋭い刺激だった。

「や、あぁああっ、っ、――」

 背中が反り、脚がぶるぶると震える。波のような衝撃は幾重にもエスターを襲い、ようやくひいた時には体に力が入らなかった。
 指を引き抜いたハワードが、手を見つめる。指はもちろん、手の平まで濡れている。
 とん、とエスターを押せば長椅子に横倒しになった。
 長い、足首までを覆うメイド服を腰まで上げてハワードは長椅子に膝をつく。
 欲望に勃ちあがったものを秘所に擦り付けると、蕾も擦られるのかエスターが熱い息を吐いた。秘所に先端を入れ込むとエスターに震えが走る。
 今から何が起こるかわかっているからこそ恐れている。
 ただハワードは、エスターを痛みと恐怖だけで終わらせるつもりはなかった。
0296 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:42:38.74ID:G5fxkakJ
 取り澄ましているのに快楽に堕ちる。そんな女を征服してやるつもりで、蕾を指で優しく押しつぶしながら秘所の入り口をゆる、とこねる。
 じりじりと腰をすすめて、最後までエスターの中に押し込んでから耳元で囁いた。

「分かるか、根元まで咥えこんでいる。気持ちいいのか中がうごめいているな」
「だ、ハワード、さま」

 昨夜とはうってかわって優しく、ゆっくりとハワードは内壁をなじませながら抜き差しを繰り返した。そのうちに内壁が後追いをはじめた。
粘膜の絡む感覚にハワードは口の端を歪めた。女は一皮剥けば、皆同じだ。
 指で感じさせた場所を張り出した部分でこすり、エスターを揺すりたてる。
 昨夜よりは明らかに感じているらしく、蜜があとから湧いてくる。

「ハワード、さま。ハワードさまぁ、っ」

 段々と大きく激しくなる律動に揺さぶられながら、エスターは中から擦られるたまらない感覚に翻弄される。
 擦られれば腰がゆれ、奥を突かれると中が勝手に締まってしまう。
 口からひっきりなしに、喘ぎがもれてもう止められない。

 ハワードが突然、エスターの背をかき抱いた。
 ぐいっと奥に腰を叩きつけるように押し込んで何度かぐっと押し付けた。
 エスターも秘所が不規則にうごめいて、ハワードのものがぴっちりと中を満たしたのを感じた。

 しばらくしてハワードが身を起こす。あたりを見回して、エスターの下着で秘所を拭った。
 その刺激さえ、エスターの腰が震えた。

「……いいか、私の命をたがえるな」

 脚の付け根から温かいどろりとしたものが流れ出るのを感じながら、エスターはぼんやりとハワードの言葉を聞いた。
 これきりではないのだ。絶望とともに、不快ではない倦怠がエスターの心に現れていた。

0297 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/09(木) 01:44:56.94ID:G5fxkakJ
あともう一話続く、つもり
ドロワーズは初期は大事なところは縫っていなくて、紳士まっしぐらなんだが
エロの意欲を削ぐような気がするんだ
なにせ、ズロース
0298名無しさん@ピンキー2012/02/09(木) 17:51:06.52ID:dQYWGJkQ
グッジョブ!
相変わらずの鬼畜主人っぷり
後一話でどう決着がつくのか楽しみです
幸せになって欲しいけど泥沼から抜け出せないのも捨て難い関係っ……

それにしても紳士まっしぐらに吹いたw
まあメイドさんの例の奴は夢がつまった素敵なものなんだよ!
つーか日本のとは違って可愛いというかお洒落な気がする
刺繍とかレースつけて見えないお洒落を楽しんでた描写とか
なんかで見たような気がするんだがw
0299名無しさん@ピンキー2012/02/10(金) 00:01:53.38ID:nlL5tWsy
>>291-297
GJ!!
いい趣味してるご主人様だw
エスター可愛いよ

ズロースって確かに日本語だと字面とか音とかあれだが
ズロース、ドロワーズって結構好き
ある意味下手なエロ下着よりエロいw

続き待ってます
0300名無しさん@ピンキー2012/02/10(金) 19:48:40.67ID:HrE1VoM3
ハッピーエンドがいいんだろうけど、身分差越えられずとか泥沼のバッドエンドというか
ほろ苦い終わり方も好きなんでどっちにいくのかwktk

0302 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 08:54:46.05ID:FvAi9C/b
復活!
傷心主×メイド 最終話
0303 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 08:55:34.99ID:FvAi9C/b
 ハワードはそれからもエスターを抱き続けた。気が向いたときに好きなように。
 堅苦しいメイド服に隠されている柔らかで温かい肢体は、面白いように反応する。
 日に日にハワードになじんで、感じ方も深くなっていく。

「――は、あぁ、あ。ハ、ワード、さっ」

 腰を支えてぐいと下から突き上げると、エスターの声が途切れる。代わりにハワードを受け入れている秘所が細かく収縮した。
 主の膝に乗せられて奥深くまで満たされた秘所は、本人の思いとは裏腹に蜜を吐き出し続けてとろとろになっている。
 あれ以来、下着は身につけていない。ハワードの手は容易にむき出しの腿に、尻に触れられる。
 低い声で『エスター』と呼ばれ、服をたくし上げられればなす術がない。抱かれながら憎まれる矛盾は消化しきれないが、
諦めの方が勝るようにもなっていた。
 何より自分を抱いているハワードの方が、まるで泣く前の子供のような辛そうな表情をしているので何も言えない。
 特に最近のハワードはエスターに対して思うところがあるようで、目を合わせてはもらえないと思えば遠くからはじっと視線を
当てられている。視線に気付くとふいと逸らされるので、ハワードの心中は一体どうなっているのだろうと困惑する。

 いつハワードが『その気』になるか分からないので、エスターは全ての仕事を可能な限り前倒しするようになった。
 額に汗して忙しく立ち働いているのが、ハワードの気をひくのも知らない。
 天気がいいのでシーツを洗おうと、エスターはたらいに石鹸水とシーツを入れてそっと服の裾をからげて素足のまま踏み込んだ。
 足でまんべんなくシーツを踏んで、しばらくすればたらいの中でシーツを入れ替えてまた踏みつける。首都の本宅では洗濯室で専門の
洗濯女中がやる仕事だが、田舎ののどかな空気の中で洗うのは気分が変わって楽しくさえある。
 エスターはハワードとの苦しい関係を忘れて、笑みを浮かべて一心にシーツを洗っていた。
 すすぎは重労働だが何度か水をかえ、最後にのりをまぜた水に浸す。午前だったのでプリントをほどこされた明るい服をまとった
エスターは作業で頬も薔薇色に染まって、散歩から帰ってエスターを探していたハワードの目に――非常に魅力的に映った。
 絞り機にかけて水気をある程度落としてから、エスターはシーツを干した。
 一仕事終えてほうっと満足げな息をついたエスター、は後ろから抱きすくめられて硬直した。

「ハワード様」

0304 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 08:56:39.70ID:FvAi9C/b
 震える声で主の名を呼べば、汗ばんだうなじに少し乾いた唇が押し付けられた。
 裏口から家の中へとそのまま引きずられるように入ると、性急な手にまさぐられてあっという間に力が抜ける。
 服の上からつままれる胸のとがりはすぐに立ち上がり、ハワードに反応を伝えてしまう。大きな手で揉みこまれながらどんどん
体が熱くなってくる。ねっとりと項を舐め上げられてぞくぞくとしたものが腰にわだかまる。その主の唇はエスターの耳に移る。
 ことさらに弱いその場所を丹念に舐められ、軽く噛まれると立っていられなくなってふらりとよろめく。
 調理場の粗末な木の椅子に腰かけたハワードの膝の上、大きく脚を開かされた格好でまたがらされる。
 手の平全体で腿をなでられ指先が付け根に触れた。もう、そこは。

「随分な濡れようだ」

 低い声で確認されて、かっとエスターの頬に血が上る。ハワードの存在が間近にあれば、エスターの秘所は期待を表すかの
ように潤み始める。主の手や指や舌にいいようにされながら、すぐに高まっていく。
 最近とみに高まるまでの時間が短くなってしまっている。蕾と秘所の浅いところをくすぐられると、濡れた水音とともに喉もなる。
 
「あ、んんっ」

 感じてだらしなく開いてしまう唇から嬌声が漏れる頃には、体の芯が蕩けている。無意識に動く腰が指を奥に導こうとしている。
 指を増やされれば押し広げられる感覚に、震えた。

「……は、ハワード、さま……くふぅ」

 主の体の上で浅ましく身をくねらせてしまうのが、たまらなく恥ずかしい。
 そんなエスターに、ハワードが身をよせて耳元で囁いた。

「気持ち、いいのか?」

 湿った熱い息とともに耳を舐められて、エスターは答えの代わりに秘所を締め付けていた。くっとハワードの指が中で曲げられる。

「そ、こ、やぁああっ」

 追い詰められてエスターが喉をのけぞらせて高みに運ばれる。びくびくと弾む内壁を指で味わいながら、ハワードは背中に手を当てて
エスターが膝から転げ落ちるのを妨げた。自分によりかからせて落ち着くのを待つ。
 知らずなだめるように背中を撫でているのに気付いて、ハワードは表情を固くした。
 そんな自分を振り払うように目をきつくつぶって、ハワードは前をくつろげてエスターのぬるんだ秘所に挿入した。
 入った途端に、締め付けてしまいエスターは泣きそうになる。
 間近の主の瞳には抑えようとして抑え切れない情欲が垣間見える。きっと自分もそうだろうと、エスターは中を抉られる心地よさに
身をゆだねながら思った。こうされるのが気持ちがいい。この快楽が欲しくてたまらない。
 恐れていながらこうされると、何も考えられなくなっていって必死に主にすがってしまう。

0305 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 08:57:28.63ID:FvAi9C/b
「あ、あ……あっ、ふ、うぁ……」
「いい、か」
「い……い、きもち、いいっ」

 ハワードの上でハワードにしがみついて、ぐちゃぐちゃにされながら気持ちがよくてたまらないと伝える。
 欲しがってくれている今だけ、溺れてしまいたい。
 素直にエスターが悦楽を表せば、ハワードの質量が増した気がした。息を荒くしてエスターの中をかき回す。
 
「ひう、う、あんっ」

 主の整えられた髪をかき乱すように抱きついて、エスターは中に与えられる刺激に翻弄される。
 どんどんハワードの突き上げが激しくなり、目の前がちかちかしだした。

「……あ、や……いっちゃ」
「く、う、エ、スター」

 奥へと叩きつけられるように突かれると同時に、エスターは内部がぎゅうっとひくつくのを感じてはじける。
 同時にハワードが放ったのも。びくびくとハワードのものがうごめく。
 かすみそうになる意識の奥で初めてシャロンの名が出なかったこと、自分の名を呼ばれたことに気付くが、もうその意味を
考える気力は残っていなかった。
 力なくもたれたのをきつく抱きしめたハワードが、苦しそうにぎゅっと眉をよせたのにも気付かなかった。


 その日からエスターはハワードに抱かれなくなった。しばらくは、いつ主の気まぐれが再開されるのだろうとびくびくしていたが、
ハワードは無理にエスターに触れることも、皮肉を言うこともなくなった。
 朝のうちは顔を合わせるのを避けるように散歩か遠乗りにでかけ、朝食の後は書斎で過ごす。
 昼食の後ぼんやりしたり、午睡したりして本を片手に過ごす。浴びるように飲んでいた酒も控えて、ようやく田舎を堪能し始めた
ようにも見えた。エスターはそれを喜ばしいことと思いながら、どこか寂しいと思う自分をもてあましていた。
0306 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 08:58:59.66ID:FvAi9C/b
 引きこもっていたハワードに珍しく来客があった。それはこの別荘をハワードに貸した友人だった。
 都会の雰囲気と沢山の情報を土産に、友人はハワードと遠乗りを楽しみ、夕食後は秘蔵の酒を供してのカードにビリヤードにと時間を費やす。

「元婚約者殿の動静を知りたいか?」

 適当に酒を堪能していたハワードに、何気なく友人が話しを振った。
 束の間グラスを握る手に力が入ったがそれもすぐにほどけ、ハワードは静かにきりかえした。

「君が知っていた方が良いと判断したのなら、教えてくれ」
「――分かった。彼女のお相手の子爵は、彼女が勘当されたのが当て外れだったようで早々に逃げ出したらしい。商売女とね。
彼女は面目を失って、実家に出戻ったそうだ。父親は彼女を家に入れなかったそうだが、母親が手を回して母方の親類に預けられたそうだ」
「……そうか」
「離婚は成立していないらしいので、君の方に火の粉がかかることはないと思うが」
「留意しておく。ありがとう」

 思ったよりもすんなりとハワードが状況を受け入れたのが意外だったのか、友人は軽く眉を上げた。
 ハワードはゆっくりと酒を含んだ。

「あまり動揺していないようだな」
「今更、という気がしている」
「そう思うのなら、乗り越えたのかもしれないな」

 そうかもしれない、とハワードはキューを片手に思った。ここに来た当初のシャロンへの怒りや引きずっていた恋慕、面目を
なくしたことへの憤り、女性全般への憎しみがいつしかなりをひそめていた。
 時間が癒したのかもしれない。いや……とハワードは身をかがめてビリヤードの続きへと戻った。
 陽気な友人が近いうちに戻って来いと約束をさせてハワードとエスターに見送られて首都へと帰っていった。
 気が抜けたのか寂しかったのか、ハワードは書斎に引きこもって時間を潰した。

 寝る時間になっても書斎から出てこない主が気がかりで、エスターは控えめに扉を叩いてからそうっと中を覗き込む。
 いつかのように寝込んでいるか、また酒を飲んでいるかと心配したが、どちらでもなかった。
 暖炉に入れた火の前でハワードが揺れる炎を見つめていた。

「ハワード様。まだお休みになりませんか?」
「エスター、こちらに来てくれないか」

 目線は暖炉に向けたままハワードはエスターを呼んだ。おずおずと書斎に入り、暖炉の側まで来るエスターをハワードはじっと見つめた。
 毛布を片手にしたエスターは決まり悪げに佇んでいる。

「ここに座って」

 暖炉の前を示せば軽く頷いてエスターは腰を下ろした。その手から毛布を取り上げたハワードは、床に座るエスターを背後から
抱いて毛布で二人を包んだ。慌てるエスターの前で腕を交差させる。
 肩に頭を乗せられたエスターはくぐもる声を聞いた。

「お前には……ひどいことをした。許してもらえるとは思わないが、償いをさせてくれ」
「ハワード様」

 ハワードは腕に力を入れてエスターをかき抱いた。自分を癒したのはほかでもない、ここにいるエスターだ。
 エスターに甘えて見当違いの不満をぶつけて、傷つけた。
 友人から話を聞かされてもシャロンに対して何の感慨もないと悟った時に、浮かんだのはエスターの面影だった。

「すまなかった」
「いいえ、謝らないで下さい」

 許してはもらえないのかと思いながらエスターを見つめると、少し身をよじったエスターはハワードが近くにいることで幾分顔は赤いが嫌悪や侮蔑は
浮かんではいなかった。もういいのだといわんばかりに、優しげに目が細められていた。
0307 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 09:00:24.58ID:FvAi9C/b
「エスターッ」

 すがりつくように抱きしめてハワードは後ろから頬を寄せた。そろりと上がった手でぎこちなく側頭部をなでられて、ハワードは
不覚にも目頭が熱くなった。包み込むような女性の優しさや柔軟さを思い知らされる。
 
「……メイドでない、お前を抱きたい」

 そう言うとエスターの頬にさらに赤みがさす。いいか、と確認をとれば腕の中のエスターがかすかに頷いた。耳まで赤い。
 ハワードはそっとエプロンのリボンをほどき始めた。
 髪の毛もおろし、一糸まとわぬ姿でエスターは暖炉の前に立っている。恥ずかしさで身は火照り手で隠したいのに、隠すことは
許されない。実際ハワードは暖炉の揺れる炎をうけたエスターの姿に見惚れてもいた。
 今までは服を着たままでしか体をつなげていない。初めて見る素のエスターだった。

 手をさしのべるとためらいがちによって来たエスターが、ハワードの手の上に手を重ねた。

「美しいな」

 褒め言葉なのに恥ずかしそうにうつむくのが初々しくて、皮肉な笑みではない自然な微笑がハワードに浮かぶ。
 暖炉の前の敷物にそっと横たえられて、同じように服を脱いだハワードが覆いかぶさってくる。
 ゆっくりと目を閉じると、優しく唇を塞がれた。柔らかく下唇を甘噛みされて、甘い疼きが溢れてくる。
 局所だけでなく、体全体でハワードの熱に触れてエスターは溺れた。
 今までの分を埋め合わせるかのように、ハワードはエスターのいたるところで快感を煽る。少しでも反応した部分を手のひらで
撫で、指先でかき、唇で吸って舌を這わせる。
 エスターの全身が染められたように赤くなり、汗ばんでも柔らかな愛撫は留まることを知らなかった。

 途中からエスターはむせび泣き、全身がつくりかえられるような感覚に怯えた。
 ハワードに秘所を舐められれば、鋭すぎる衝撃に腰が跳ねるのをどうにもできなかった。蕾を舌先でなぞられ歯でしごかれれば
腰がゆれ、蕾を吸われれば背をしならせて達してしまう。
 秘所の内壁に舌が入れられて熱くてぬめるその感触に、どうしていいか分からなくなる。

「お前の蜜は甘い」
「そ、んな、あぁぁ、ハワードさまぁ」

 卑猥な音をたてて舐めすすられて、エスターはまた達する。もう何度目か、分からない。
 足の指まで口に含まれエスターは乱れきった。

「お前の中に入りたい」

 瞳に欲をこめてハワードが呟けば、また蜜がわいた。
 ひくついて待ちわびる秘所はハワードをやすやすと受け入れる。背中を抱かれ胸をあわせてハワードに腰を動かされて、エスターは
脚で腰を挟んでいた。自分から腰をおしつけて至福を味わう。
 ハワードもエスターの様子に煽られるように何度も中に精を注ぎ、暖炉の前からハワードの寝室に場所を移しても飽きることなく
エスターを求めた。エスターがとうとう気を失うように眠り込むまで長い、長い夜を過ごした。

 翌朝目覚めればエスターはハワードの腕の中にいた。そっと起きて朝食の用意をと思うのに、腕の拘束がきつく抜け出せない。
 何より腰が重くて脚が言うことをきかない。昨夜からのことを思い出して、エスターは一人身悶えた。

「起きたのか?」

 半分寝ぼけたような声でハワードがエスターに口付ける。幾分か冷静になったエスターにとっては、恥ずかしいことこの上ない。

「お早うございます。あの、朝食の準備を……」
「腰が抜けるほどに可愛がったつもりだが、動く余裕があるのか」

 寝具の下で脚を絡められて押し付けられたものの正体を悟って、エスターの頬が染まる。
 いつの間にか忍び込んだ指で秘所を悪戯されれば、たやすく陥落してしまう。結局ハワードに貪られて、エスターは寝台から
出ることがかなわなかった。

0308 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 09:02:51.23ID:FvAi9C/b
「そろそろ首都に戻ろうと思う」

 ある朝、書斎にコーヒーと新聞を持っていった際にハワードから告げられ、エスターは表情を引き締めた。
 すなわちハワードの傷が癒えた、という意味だからだ。

「分かりました。荷物を整理いたします」
「出発は二日後だ。管理の夫婦に伝えてくれ」

 はいと頷いたエスターの手をハワードは引き寄せた。

「本宅に戻っても悪いようにはしない」
「……はい」

 大急ぎで荷物をまとめ、掃除と洗濯と食器磨きを済ませてからエスターはハワードと首都の本宅へと戻った。
 ハワードは留守の間にたまった仕事や、どうしても外せない社交上の集まりなどに顔を出すことに忙殺された。人々の好奇心に
満ちたまなざしや質問も軽く受け流し、かつての紳士としてのハワードに戻っている。
 本宅は使用人の数も多い。エスターの顔は見なかったがそんなことも珍しくはなかった。ましてや家をあける用事の多かった
ハワードがやっと本宅でくつろげるようになったのは、戻ってしばらくしてからのことだった。メイド長を呼び出して尋ねる。
 エスターをここへという命に返ってきたのは、耳を疑う言葉だった。

「暇を出しました」

 呆然とするハワードを前に、メイド長は淡々と述べた。

「静養なさっている間に何があったかは、察しているつもりです。私はあの娘の献身を見込んで旦那様に同行させました。
実際にあの娘でなかったら、旦那様のお帰りはもっと後になっていたでしょう。ただ主従の垣を越えた者に幸福はありません。
どちらの階層からも受け入れられずにつまはじきになってしまいます。
――あの娘には充分な手当てを与え、申し分のない奉公先を紹介いたしました」
「最初から謀っていたのか?」

 ハワードの詰問に眉一筋動かさずにメイド長は黙って立っていた。
 思い知るほかなかった。エスターの行方も、このメイド長なら完全に隠しおおせてしまうだろうことを。
 悪いようにはしないつもりではいたが、せいぜい別宅に囲う愛人にしかできない。そこまで見透かされていたかと呻く思いの前に、ただ
喪失の痛みがハワードを襲う。

「エスターは、私の子を宿しているかもしれないのだ」
「その場合は旦那様にご報告申し上げます」

 力なく椅子に沈み込んだハワードに礼をして、メイド長は部屋を出た。
 シャロンを失った時よりも引きずりそうだと、ハワードは予感した。


 数年後、新聞の社交欄にハワードと令嬢の婚約記事を見つけたエスターは、食い入るように紙面を追った。
 郊外の富裕な中産階級の屋敷に奉公しているエスターは、老齢の女主人に気に入られメイドというよりは侍女やコンパニオンの
ような扱いを受けている。
 年齢のせいで目の弱った女主人に新聞を読んで聞かせるのも、エスターの役目だ。

「エスター、どうかして?」
「いいえ、奥様。社交欄の記事を読みますね。ハワード・オーブリー卿がダイアナ・ユースタス伯爵令嬢とご婚約……。
 先日の競馬でグランド卿所有の競走馬が優勝……」

 記事を読みながらエスターの胸にあの時期のことがよみがえる。
 疼くような思いは残ってはいるが、仕方のないことと納得もできている。メイド長はしばらくゆっくり過ごすように計らってくれてから、
この新しい奉公先を紹介してくれたのだ。可愛がってもらえ、気持ちよく働けることはありがたい。
 だが今も昔も本当の『旦那様』は一人だけ。
 
 今は、ハワードの幸せを祈ることができる。
 遠い空の下届くかは分からないが、微笑みを浮かべてエスターは祈った。ありったけの思いをこめて。

0309 ◆Xb.FrsZ.VxET 2012/02/12(日) 09:03:35.55ID:FvAi9C/b
以上だ
メイドさん万歳!
0310名無しさん@ピンキー2012/02/12(日) 09:12:13.41ID:A+0ozeq+
リアルタイムきたーーGJ

すわ幸せエンドかとおもいきや
切ないというか執事策士……
メイドのアフターケアはちゃんとしてくれたけどさ

それにしてもハワード数年後かよ早えーなぁとつい思ったw
0312名無しさん@ピンキー2012/02/12(日) 09:25:19.35ID:A+0ozeq+
執事じゃなくてメイド長だったすまん

確かに貴族として結婚しないといけないし……
愛人としてぐらいの(階級を弁えた)気持ちだったみたいだしなぁ
しかしハワードの結婚の裏話も見てみたい
完全に吹っ切れたのか……それとも
0313名無しさん@ピンキー2012/02/12(日) 23:31:16.56ID:Khj3N5C7
GJGJ
儚い恋だったけどリアルメイドの恋って感じで
メイドさん万歳なお話でした
0317王様×男装従者(1/5)2012/03/08(木) 08:16:52.77ID:k1c/nmAz
概要
・王様×男装従者、従者視点
・本番なし、前戯(手姦)のみ
多分5レス借ります
以下投下


あの頃の私は口下手で泣き虫で、些細なことでよくからかわれた。
そのたび王宮の庭園の片隅で泣くのを、兄か陛下が見つけてくれた。
『これをそなたに譲ろう。だからもう泣くな』
差し出されたのは優美な鎖の先に下がった、涙型をした鮮やかな翠玉。
受け取ると、手のひらにひやりと重かった。
『翠玉は人を能弁にするという。引っ込み思案のそなたにちょうど良い』
そうだ。あの時私は、この優しい人の役に立つならなんだってしようと決めたのだ。
これは幼い日の記憶。陛下にはまだ父母が、そして私には兄がいた、幸せだった日々。



――目を開けてまず見えたのは汚れた床と、何もまとわない己の膝。
次に白いもののこびりついた腹に気付いて、慌てて椅子から立ち上がる。
行為の終わりに気を失う私を、陛下はいつも椅子に座らせて去る。
軍議の前、他国よりの使者との会談の後、開戦前。
抱かれる時は場合により違えど、陛下が忙しいのは変わらず、目覚めるときはいつも一人だ。
それが寂しくないといえば嘘になる。
だがそれよりも、陛下の側を離れてしまう、自分の不甲斐なさに嫌気がさす。

窓にガラスも無い小屋は、隙間から漏れ入る日も陰り、すでに暗い。
私は慌ててランプに火を灯す。脱ぎ落とした軍服を床から拾い、隠しからはぎれを取り出した。
朝に私が用意した、陛下の机の水差しを取る。はぎれを湿らせ身体を清め、後始末をしていく。
股を拭い、腹に目を落とし、手が止まるのはいつものこと。
何度身体を重ねようとも、けっして胎の内に出されることは無かった。
母の実家は貴族とはいえ下級の家柄。父は王宮の衛兵とはいえ身分を持たぬ出自。
宮仕えはしていても、貴族というわけではない。
陛下の后になれる身分ではないから、種を受けられないのは当たり前の事だ。

――ただの乳母の娘。陛下の乳兄弟の妹。
そんな私が陛下の傍に仕えられたのは、父母が長年培った信頼と、陛下の寛容の賜物だ。

それでも男でなければ、戦地までお供することもできない……。
0318王様×男装従者(2/5)2012/03/08(木) 08:20:51.74ID:k1c/nmAz
一瞬の感傷を頭を振って払い、手早く身支度を整える。
今でも肌身離さず持っている翠玉を、さらしにきっちりと巻き込む。
軍服を着込んで髪をなでつける。
身なりが整うと、幾分か気分が落ち着いた。
頭の中でこれからの予定を確認する。
軍議を終えて戻られるまでに陛下の愛馬の様子を見て、夕餉の支度に向かわなくては。



「ヴァーリ?、おいヴァーリ!」
「は……あ、はい!すみません、何でしょうか」

何度となく呼びかけられて、ようやく自分が呼ばれていたのだと気付く。

「いつになく呆けて。大丈夫か?スープ、出来上がったぞ」
「ええ、失礼しました。ありがとうございます」

出来立てのスープの熱で、鉄の皿は熱くなっている。注意して受け取りながら、そっとため息をついた。
男装して軍役について、はや一年が過ぎようというのに。
自ら望んだことだというのに、――未だに、亡き兄の名で呼ばれることに慣れない。

熱いスープの器を置いて、パンとハムの準備に移る。
硬い黒パンは薄く切る。塩漬け豚の固い筋は注意深く避けて、軽く炙る。タマネギのスープはぬるめで供す。
陛下は食事に時間を割くのがお嫌いだ。
切っただけの食事が盛り付けられたのは、使い込まれた鉄の皿。
それらを載せた盆を受け取り、一軍の胃袋を満たすという難事に挑む調理手たちの戦場から離脱する。

「では行ってまいります」
「あいよ、気をつけてなっ」

質素な食事は小さな盆一枚に収まる。私が片手で持てるほどの小さな盆に。
これだけの食事量で、どうやってあの体躯や頭脳を保っているのか心底不思議だ。
木戸をノックし、声をかける。

「陛下、食事をお持ちしました」
「入れ」

間髪をおかずに応えがある。片手で木戸を開け小屋に入ると、机に向かう広い背中が見えた。
陛下は何か書き物を終えたところらしい。
羽ペンとインクつぼを机の隅に寄せながら振り向く顔が、珍しく嬉しそうだ。

「ちょうど良かった。慣れない書き物に気を回して腹が減った」
「珍しいですね、陛下がそんなことを仰るなんて」
0319王様×男装従者(3/5)2012/03/08(木) 08:22:28.28ID:k1c/nmAz
本当に空腹なのだろう、性急に伸ばしてくる手を見て、しかし私は盆を引く。

「早くしろ。なんの戯れだ」
「だめです、陛下。インクで手が汚れておいでです。洗ってください」

よほど急いで書いたのだろうか。手だけでなく上着の袖にまで、インクのシミが付いている。

「僭越であるぞ、捨てておけ」
「だめです、陛下。お拭きしますから」

盆は陛下から離して置き、隠しから新しい布を出す。盆に載せてきた水差を傾け湿らせ、軽く絞る。
陛下の手を取り、インクの汚れを拭いていくが、そこそこで私の手を払い、盆を引き寄せ食事を始めてしまった。

「ああ、お袖に染みたところも押さえておきたかったのに……」

後からでは染みが取れにくくなる。陛下は衣服に気を回さないから、周りの者が気をつけねばならないのだ。
私が気を揉む間に、陛下は着々と食事を進めていく。
パンに塩漬け豚を挟みかぶりつく。皿にじかに口をつけ、スープで咀嚼物を流し込む。

その隙にも忙しなく、陛下は私の小言に文句をつける。

「お前はいちいち細かいのだ。だから背が伸びなかったに決まっている」

私は陛下の手をぬぐうため、もう一つ濡れ布巾を作り始める。

「陛下は自身のことに大雑把すぎます。それと私の背は確かに低めですが、輪をかけて陛下が大柄なんです」

お互いクスクスと笑いながらの、由無い会話に安堵する。
陛下は今、本当に上機嫌らしい。それに甘えて、一つ話を振ってみる。

「書き物、と聞こえましたが」
「いつもの書簡だ。妹と宰相に。皿を下げるときに使いを立てるよう伝えておけ」

言いながら陛下は食事を終えてしまう。私は濡れ布巾をもって陛下の側に行こうとする。

「かしこまりました」
「ああ、それともう一つ」
「はい、何でしょう」

陛下は椅子ごとこちらを向いて膝を示し、ひどく楽しそうに命じた。

「それらが済んだら予に侍れ。服を脱いでここに来い」
「……はい、陛下」

逆らう気など毛頭なかった。
今日は二度目だとか明日も早いのにとか、……気まぐれに抱かれるのは辛いとか、言いたいことは山ほどあるけど。
今まで繰り返された日々の中で、そんな私の泣き言は、陛下には全く通用しないと知ったから。
0320王様×男装従者(4/5)2012/03/08(木) 08:24:05.07ID:k1c/nmAz
気の置けない部下との将棋の時間。そのひと時を邪魔されるのを、陛下はひどく嫌う。

それは王の傍に仕える者にとって戦前から周知のことである。
進んで怒りを買うような真似をするものは今までおらず、これからも出てくることはないだろう。
だから誰も気付かない。
そのうちの何度かは、「将棋を打つ」と嘯いて、将棋でないことをしていたとしても。


食器を片づけ書簡を言付け、急いで陛下の小屋に戻る。
陛下は先程の椅子に座ったまま、腕組みをして待っていた。

「将棋のお相手をすると、伝えてきました」
「よし。……こちらへ」

上着を落としシャツをはだける。ブーツは立ったままで脱ぐ。ズボンは床に落として足を抜く。
翠玉の首飾りを落とさぬよう、気をつけながらさらしをほどいて、シャツは最後。
ゆっくりと、一枚ずつ。陛下に教えられたとおりに脱いでゆく。
全て脱いで陛下の前に進み出る。小屋の中は卓上のランプに照らされ昼間より明るいほどだ。
赤みを帯びた光の輪に、肉の薄い体が晒される。仮にも室内とはいえ夜気は肌に冷たく、肌が粟立つのはどうしようもない。
なにしろ私は全裸なのだ。
だというのに陛下は鳥肌の立った私の腕を一撫ですると鼻先で笑った。

「そなたは軟弱だな。この程度で寒がるとは」
「服を着たままの陛下には言われたくないのですが」
「僭越であるぞ、捨てておけ。……どうせすぐに熱くなる」

言いながら伸ばされた手が、ゆっくりと私の秘所をくすぐる。
中指だけを往復し、筋を撫で芽を刺激する。その動きは、常には無い穏やかさだ。

ああ、やっぱり今夜の陛下は機嫌が良い。
よほど軍議がうまくいったのだろうか。それとも新しく他国の支援を取り付けたのだろうか。
ほんの少し胸が暖かくなる。陛下が嬉しいと私も嬉しい。
そしてじんわりと、下腹部に熱が溜まりはじめる。滑りが良くなった中指が左右の襞を分け、すこしだけ沈められた。
0321王様×男装従者(5/5)2012/03/08(木) 08:25:53.69ID:k1c/nmAz
「……んっ」
「本当にそなたは感じやすいな。少し弄るだけでこの様か」

人差し指が増やされ、私の羞恥をわざと煽るように、ちゅく、と音を立てて嬲りだす。
襞ごとさらい、こね回し、爪を立て。入り口に沈めるか否かの微妙な線を何度も何度も掠められ。
溢れた蜜を掬っては塗り込め、かき回し、指を増やして広げるように入り口を撫で回し。

立てられていた水音は、いつしか聞くに堪えないほど大きく響いていた。

「まだ寒いか?」
「……いいえ」

額に、脇に、膝裏に。汗ばみやすい箇所が湿り気を増している。
がくがくと震える体は、寒さのせいでなく快感のためで。悦楽の波に飲まれて目を開けていられなくなる。

「目を閉じるな」
「っは……、はい」
「顔を背けるな、予の目を見ろ」
「は、い」

長じてからは間近く目を合わせることなどなくなった、陛下の顔。
青い瞳は嗜虐に冴え、唇を歪めただけの笑みとともに私の羞恥を容赦なく煽る。
しかし心とは裏腹に、秘所はひくつき、陛下の指に物欲しげにまとわりつく。
とうとう足が崩れ、思わず陛下の膝に手をついてしまう。

「も、申し訳、ございませ……」
「そなたは堪え性がないな。達するには早いぞ」

それはこの指が陛下のものだからだ。心を捧げた人に触れられて、痺れないはずがないのだ。
たとえそこに気持ちが伴わないとしても、体の熱は引きずり出されてしまうのだ。
無慈悲な主は掻き回す指は止めないままに、逆の手で下をくつろげはじめる。
そそり立つ自身を取り出すと私を膝に乗せ、腕をとり肩にかけさせる。
そしていつものように命を下した。

「自ら収めよ。声は立てるな」
「はい、陛下。お心のままに」




軍服越しに伝わる陛下の体温だけではとても心は温まらない。
何度も何度も身体を重ねて、一度も胎の内に出されることの無い白濁が胸に痛い。
こんな仕打ち、敬愛だけでは承服できない。こんな扱い、恋情だけでは耐えられない。

しかしこれは私の望んだ道。
陛下の傍に仕え続けるため、己の気持ちを精一杯隠して、今日も私は身体を捧げる。
0322王様×男装従者(〆)2012/03/08(木) 08:28:43.35ID:k1c/nmAz
以上です。
色々ぶち込みすぎました。
エロなし失礼しました。
0326名無しさん@ピンキー2012/03/09(金) 20:36:55.80ID:0t3HvIsZ
やった続き待ってましたGJ
これで陛下は内心払い下げることなんて考えちゃってるんで切なさ倍増だな
0329耐える愛U2012/03/21(水) 22:55:11.58ID:cd0eiY6l
前回は埋めついでに投下して、計算間違いでめちゃくちゃになってしまってすみません。
前スレ534-535の続き妊娠発覚後のアーネ視点。
>>22の言うとおり子供が息子の子供なのかって疑っていたあたりです。

注意:基本話はメイドと旦那様の不倫。恋人の身分を脅かされ軟禁状態で身籠ったメイド視点。
妊婦母乳プレイとアナルプレイ的な描写あり。
苦手な人は回避お願いします。
0330耐える愛U-32012/03/21(水) 22:57:12.61ID:cd0eiY6l
「だ、旦那様……私、その」
 立ちあがりかける手を取られて、無理矢理起され抱き寄せられる。旦那様は力を入れて抱きしめ、つかんだ腕を官能的に動かした。
 言いかけて開きかけた唇の間から、舌が入ってくる。その行動は乱暴で性急で。アーネは息も出来ない程空気を吸われた。
「や。ん、ふっ……んっ!!」
「何を、していたんだい?」
「あ……こんな場所で、いけません……いけないこと、です」
 長いキスにやっと解放される。苦しくて上気した肌、潤む目が、旦那様を煽っている事なんて知らないアーネは、悲しげに眼を伏せた。
 それは許されず、顎を掴み、アーネは無理矢理旦那様に向かせられる。
 腕をつかんでいた左手は、服をまるで破きたいがのごとくアーネの胸元を形を感じとるように動いていた。
 その動きは大事な服も思い出も、同時に汚されているようだ。破かれたくないとアーネの体は強張り抵抗できない。
「どうしてかな?」
「か、神様が……み、見てます……っ」
 ここは神聖な教会の中で。不埒な事を、しかも神に祝福されていない二人がしていい場所ではない。
 その答えを聞いて旦那様の口の端が上がる。そして、腹部を撫でた。
 子を授かってからは浮かぶことがなかった、久々の旦那様の穏やかでない雰囲気。恐怖の為に体がこわばる。
 もしアーネが子を宿していなかったら、ここがどんな場所なのか関係なく、力ずくで押さえられ、犯されていただろう。
 狂気と欲望を孕んだ目に、恐怖だけではない戦慄が走る。
「神は私たちを許しているよ、その証拠に子を授かっただろう?十分な祝福だ」
「…………」
「さぁ、私の疑問に答えていないね。君をここに来るように唆したのは、あのメイドかな?」
「ち、違いますっ!彼女は悪くありません、私が……私が。だから彼女には何も」
「しかし、辞めてもらわねばならないな。私としては言いつけを守らなかった者に、紹介状を書いてやる義理はない」
「旦那様!!」
 紹介状も無しに解雇されたとなると、次の勤め口を見つけるのは困難になる。その大変さはメイドだったアーネにとっては他人事ではない。
「お願いですから。お許しください」
 旦那様の冷たく、蒼い炎のような瞳が必死なアーネを射る。
 あぁ……無理だ。旦那様のお考えを私は変えることが出来ない、どうしよう。
「もう外に出るなというのなら出ません。私が間違っていたのです……だからっ」
「何故、そこまでしてあの娘を庇うんだ?」

 アーネが彼女を庇うこと自体が不愉快だと言いたげに、言葉には険がある。アーネが庇えば庇う程、逆効果のように思えた。
 自分の所為で不幸になる人間がまた増える。彼女はアーネに親切でここに来ることを見逃してくれたのだ。
 それにここに来れなければ、アーネは重圧に押しつぶされて、狂ってしまっていたかもしれない。救われた、それなのに。やはり来るべきではなかった。
 途方に暮れていると、まるで天の使いのように、優しくも凛々しい声が響く。
「父上、アーネをここに連れてきたのは、私です。子供の事でお祈りをしたいという事だったので、私が独断で連れてきました。メイドには付き添いを頼んだんです」
「リスティン?」
 振り返るとリスティンさまが、ステンドグラスの不思議な色合いの光に包まれながら立っていた。
 少し緊張した面持の表情は彫像のように荘厳で、本当に天の御使いの様だ。
「アーネは父上が戻ってくるまで待つ、と言ったのですが。子供の為にも屋敷で引きこもっているのは体によくないと思って」
 どうしてここにいるんだろうという疑問が浮かぶが、リスティンさまはそう言い切り一瞬アーネに目で合図すると、強張った微笑を浮かべる。
 そして旦那様の怒りを全て躱すと、旦那様の表情が無理に納得したように静まっていく。
 旦那様はリスティンさまを愛してる……でもその許しも、限りがあると言わんばかりの表情だった。

「あまり、リスティンばかりを……頼らないでくれ。次は私に言うんだ、いいね」
0331耐える愛U-4 2012/03/21(水) 22:59:31.61ID:cd0eiY6l

 旦那様は早めに予定を繰り上げ、帰りにこの教会に寄付の件で寄ろうとしたところ、入り口で待っているメイドに気づいたと言う事だった。
 リスティンさまにも旦那様がいない隙に、どうして知ったのかと尋ねると、メイドと二人歩くアーネを見つけて心配でつけてきたという事だった。
 何という幸運。
 私の浅い考えが大変な事をしでかすことになったかもしれないのに。
 リスティンさまのおかげだ。何でこんなに、リスティンさまはお優しいのだろう。恩ばかりが増えていき、返すどころか恩しらずな女なのに。
 そう考えるアーネに、リスティンさまは「君は僕の姉のような存在だから」と寂しそうに微笑んだ。


 その寂しげな微笑みでアーネは感づいた。
 リスティンさまは私に申し訳なく思っているのだ……父親のしでかした出来事を。
 アーネとあの方の破局を。


 あの日から、リスティンさまは気を遣ってか、出来るだけ頻繁に屋敷に顔を見せるようになった。
 食欲のなくなったアーネに、殿下から頂いたんだと、珍しい異国の果物を持って来たり、お菓子を持ってきてくれる。
 アーネにとってその時間は、嬉しさと苦しさがない交ぜになる。
 そんな気持ちをくみ取ってか、リスティンさまはアーネに言った。「子供を無事に産んでくれ、僕の大事な弟でもあるのだから」と。
 リスティンさまはこの子を見る度に、父親が母親を裏切った不義を思い知らされると言うのに。
 それでも、笑顔で産んでくれという。
 そんなリスティンさまを裏切って、子供を産んでいいのだろうかと。決心はしていても罪悪感で不安が一瞬よぎる。
 でも……この子には罪はない。罪は全て、母親である私の責任。
 これだけは誰に何を言おうと揺るがないと――アーネはこの時までは思っていた。

 旦那様がこの子を「リスティンの子ではないか?」と言うまでは。

 この子を産んでしまう事の一番の弊害をアーネは見落としていた。
 旦那様はリスティンさまを愛している。愛しているけれど、恐ろしい事にその愛はアーネに関すると不変のものではないらしい。

 ――やはり、妻やリスティンが邪魔かい?

 アーネの抱える罪悪感を、そう解釈して尋ねてきた旦那様の声は感情が無い、低い声。
 肯定してしまえば、排除することに一切の躊躇いはないという非情な、昏い瞳。
 それはあの教会での出来事でも窺えたのに。
 旦那様と奥様の子供として届けるとまで旦那様は言った。それでは、この子は旦那様の跡取り候補になる。
 自分が子供を産むことによって、リスティンさまの次期侯爵のお立場を脅かす。
 廃嫡さえも厭わない、旦那様の態度。それほどの危うさに彼を追い込んでしまうのだ。
 そしてアーネがどんなに止めても、旦那様は聞き入れる事はない。
 止められない。
 あの教会で止められなかったように。
 ゾッとした。
 それだけは絶対にできない。それは自分の決意を覆しても。
 長年のリスティンさまと過ごした宝物のような日々が甦り、決心は打ち砕かれる。
 お腹の中の命も大事だけれど……それ以上に踏みにじってはいけない、もの。
0332耐える愛U-52012/03/21(水) 23:02:55.34ID:cd0eiY6l

 気が付けば、アーネはこの屋敷で一番長い、玄関ホールの表階段の上に立っていた。
 ここから落ちれば、事故を装って子供を堕ろす事が出来るかも知れない。
 いや、運が良ければアーネも、一緒に逝く事ができる。
 自殺はあの方の為に出来なかったけれど、事故なら旦那様も何もしないだろう。
 そろそろとお腹に手を添えて階段に一歩一歩近づく。これからすることを考えれば身を引き裂かれるような気持ちになる。でも――それでも。

「こんな母親で、ごめんなさい……ごめんなさ……い」

 そう詫びを呟いてお腹から手を放し、なめらかで優美な曲線を描く冷たい手すりに手を添え、恐る恐る、階段に足を踏み出す……。

「アーネッ!!!」

 耳に響く必死な声。落ちる感覚ではなく、後ろに腕を引かれる浮遊感の後。
 気が付けば、リスティンさまの腕の中に抱きかかえられていた。

「離してください!離してっ!!」
「アーネ、どうしてこんな事をっ……」
「産んではいけないんです!この子は産まれては!!」

 温かく癒されるような抱擁は、暴れるアーネをがっちりと離さない。
 でもアーネはそれにすがることは出来なかった。
 アーネが計画的に階段から落ちて子供を堕ろそうとした事に、リスティンさまはショックを受けた顔を隠さない。
 何という恐ろしい事をする人間だと軽蔑されただろう。けれど、アーネには本当の理由なんて言えるはずがない。
 理由をいったら彼は、そんな事は気にしなくていいと言うとわかっている。優しい……アーネの大事な弟だから。
 アーネが何も話してくれないとわかると、リスティンさまは抱き上げて、応接間のソファへと運び優しく座らせた。
 アーネの大好きなお茶を出すようにとメイドに言いつけると、アーネの動揺が収まるまで手を握って傍に居てくれる。それは自然な事だった。
 だから、この大事な弟を……大変な目に遭わせてはいけない。
 リスティンさまとの会話は平行線になった。産みたくないというアーネと、産んでくれというリスティンさま。
 頑として首を縦には振らず、先ほどの興奮と言い合いの緊張のためか目眩をおこす。
 咄嗟にお腹を庇う動作をしてしまったアーネは、はっとしてリスティンさまを見る。彼は見逃さない。
 そしてその動作から心の底の産みたいという本心を気付かれる。……それでもなお、堕ろすと決心した理由も。
 彼は長い沈黙の後に、提案した。

「子供を信頼できる人間に預ける……のは、だめかな?」

 それは、新たな選択肢で。自分一人の力では成し遂げられない事。
 そんな事は旦那様の子供への執着心を考えると、不可能に近いと言いかけて。
 司祭様の言葉が胸に甦る。

 ――たとえ、どんな困難が待ち受けても……生きていれば生きてさえくれていれば、変われる。

 そう、生きてくれさえいれば――また会える。

 アーネは泣いた。
 リスティンさまは子供の頃に戻ったように抱きしめてくれる。
 侯爵家に勤め始めた頃。泣かないと強くなろうと頑張ろうとしていても、両親を失ったショックは子供心には重すぎた。
 夜に使用人部屋でこっそり泣いた。どんなに皆が親切でも初めての見慣れない場所での仕事は心細く、仕事中にも泣いてしまった。
 それを見つけては、他の使用人には見つからないようにかばって慰めてくれた、リスティンさま。
 大人には頼っては……迷惑を掛けてはいけないと思っていたアーネは、同じ年頃のリスティンさまには心をあっさりと開いた。
 僕が側に居ると言ってくれたリスティンさま。
 そして反対に彼が心細い時、姉のように傍に居て支えた。

0333耐える愛U-62012/03/21(水) 23:04:57.60ID:cd0eiY6l

「それは……本当に出来るのでしょうか?」
「父上には気づかれないように何とかしてみるよ。だから……もうそんな顔で馬鹿な事はしないで」

 リスティンさまは窺うように震える手で、アーネの頬にかかった涙も髪も拭い去ってくれる。
 旦那様ともロルフ様とも違った姉弟としての抱擁に、アーネは感謝のキスをかえした。
 死なせるよりは、一生会えない方がましだったから。


 アーネは子供を、できれば実子として可愛がってくれる夫婦に託したいと願った。
 リスティンさまはただ一時的に預けるだけで、時期が来れば会えるように取り計らうと言うことだったけれど。
 自分が不義の子だと知れば子供はショックを受けるだろうし、何よりどんな理由があろうとも堕ろそうとし――捨てるのだ。
 もうすでに「母親」だと名乗りを上げるような資格はない。それは身勝手が過ぎる。
 だからお腹にいるこの時だけは一生分の愛情を捧げよう。
 誰彼はばかる事無く、この子を母親として愛せるのは今だけなのだから。


 旦那様はあの教会の出来事からアーネの身体が愛を交わしても大丈夫だと知ると、また夜に求めてくるようになった。
 アーネの体は、お腹はどんどん膨らみ、それに合わせて胸も大きくなった。身体が子供の為に作り変わって行く。
 いつまで経っても、たとえ薄暗がりの中であっても、旦那様に行為の為、身体を見せるのはアーネには恥ずかしい事で。
 普段から綺麗とは言えない体型なのに、妊婦姿は更に恥ずかしさを増す。
 子を授かる前は、どんなに旦那様が抱いて、処女の様だと囁かれた胸や秘部も、まるで熟れた果実のように淫靡な形や色に変化していた。
 目を背けたくなる。
 アーネには醜くなったとしか思えない変化も旦那様には喜ぶべきことらしく、身体を見たがった。触りたがったし、舌を這わせる事も厭わず、賛辞の言葉を掛ける。
 しかしアーネには口を使っての行為は禁じていた。その理由に、旦那様は本当に子の誕生を大事に願っている。
 そして行為はお腹の子に影響がないように、優しいゆっくりとしたものとなった。
 ……しかし性急で乱暴で。激しい責め苦に慣れすぎていたアーネには、その心遣いは緩やかな責め苦になる。
 快楽がすぐ手に入るようでいて、入らないじりじりとした時間は気が狂ってしまいそうだった。

「あ、や、です……もうぁ……んっん」
「嫌じゃないだろう?」
 中をゆるゆると犯している旦那様の強直を――狂おしいほどに、動かしてと高まりを求めてしまいそうになる。
 この行為が背徳だとわかっていても、慣らされ過ぎたアーネには喜びしか感じられない。
 その証拠に、旦那様の剛直をアーネはまるで当然のようにくわえこみ、喜びでわなないていた。
「だめっ……あぁ、だめ、で……んっ! お腹……っん!」
 体が求めてしまうのは止められなかった。でも最後の一線。自らがねだり、答える事だけはいつも必死になって耐える。
 でも旦那様は気付いているだろう「ダメ」が「欲しい」だと。
 淫らに欲望だけを求めてしまう体……それは感じれば感じただけ、ベッドの上から降りた時に虚しさが募る。
「ひゃ……あ、あ、あぁ」
 自ら激しく腰を振って、卑猥な言葉を言いそうになる前に――。
 アーネの痴態に耐える表情に煽られた旦那様の方から我慢がきかず、尻肉を掴み力強く奥底を貫かれる。
 荒い息遣い、部屋に響くシーツの衣擦れの音、お腹の子の事を忘れてしまいそうになるほどの圧倒的な快楽に、頭は朦朧としていった。
0334耐える愛U-72012/03/21(水) 23:11:13.68ID:cd0eiY6l
 行為が終わった後、ベッドの上で、大切に優しく抱きしめられるのはいつもの事だった。
 きゅっと胸の先端を弄られると、いったばかりのアーネの体はすぐに下半身に熱が点りそうになる。
「この胸を……子供と分け与えなければいけないのかと思うと、気が重い」
 いつものアーネならこんな卑猥な軽口に、恥ずかしさで消え入りそうになるのに。
 今日は別の意味で目を伏せる。お腹の子はすでに実子として育ててくれる夫婦が見つかったという事だった。
 どんなに旦那様が望んでも、この子は死産と報告することになっている。
 その時期を見計らい、旦那様を屋敷から遠ざけてくれるというがそれは上手く行くのだろうか。胸に渦巻く、不安。
 お腹の子の父親である旦那様が子供について語り、喜ぶ姿を見る度に罪の意識がない訳ではないけれど。

「もう一度」
「あ……」
 アーネが心ここに非ずと言った様子なので、旦那様はまたアーネの返事を聞く前に求めてきた。
 ……アーネの意志は関係ないとは知っていても。一度いっている体は、あっさりと旦那様を受け入れる。
 内壁をゆっくり味わうように旦那様のモノで再度弄られて、見えるのは満足げな旦那様の表情。
 アーネは自分がどんな顔を浮かべているのか、わからなかった。

「そういえば……あの男が結婚したようだよ、愛しい人」

 あの方の事を唾棄するように決して口にすることのなかった旦那様が語った、久方ぶりのあの方の近況。
 一瞬。何を言われたのか、アーネには理解できなかった。いや、理解したくなかった。
 それを理解しないまま、アーネは機械的に聞いてしまう。
「幸せに暮らしているのでしょうか」という、ありきたりな、問い。
 しかしそれはいつだってアーネの中に渦巻いていた、リスティンさまにも聞けない疑問だった。
 だから、反射的にでた、問い。

 ――あの方は、今、幸せなの?

 快楽のため……というよりは、あまりの苦しさで思考がままならない虚ろな問い掛け。
 そんな事は知るはずもない旦那様は「子供も生まれるらしい」と、上機嫌で答えた。
 ――あの方が、結婚。
 心がきしむ音がする。
 それは初めての恋がおわりをつげた思うだけでも許されなくなった――瞬間。
 すっと体も心も、まるで冷水を掛けられたように快楽から冷めた。
 体の中にある、今まで快楽を与えていた旦那様のモノが途端に汚らわしいものに感じられる。
 けれど、旦那様は気付かないのか、変わらずに入れたまま体を弄ぶ。
 与えられる刺激に身を委ねてしまえば楽になるのに……それが出来ない程心が痛くて。
 苦しい吐息が漏れる。
 この行為に慣らされ、他の男の子供も産み、今まさに貫かれている女が、ショックを受けていい事ではないのに。むしろ。
 遅かれ早かれこうなっていた……幸せになってくれるのなら喜ぶべきことなのに。
 子供――ロルフ様の子供。
 出来るなら私が産みたかった、愛する人との愛の結晶。
 あの二人で笑い合っていた日々に、沢山欲しいとロルフ様に言って狼狽させた。
 その頃無垢だったアーネにはそれがどんなに大胆な事か分かってなかった。
 教会で神の前で二人愛を誓い、愛し、愛され、子供を産み育て、共に老い、死が二人を分かつまで一緒に居たかった人。
 それが……。

 ――もう、心の中でひっそりと愛していると心を捧げる事も許されない相手になってしまったのだ。

 彼の気持ちはもう新しい奥様の為にある。
 そう考えた瞬間、幸せだった日々がまるで遥か遠い昔の事に感じられる。
 これでアーネには子供しか居なくなった。そしてその子供も生まれてしまえば居なくなってしまう。
 捨てるという、親としての一番の裏切りで。
 本来なら両親共に喜びに満ち溢れて迎えるはずな新しい命だったのに。

 私の愛は……もう……どこにも向けられなくなってしまう。

0335耐える愛U-82012/03/21(水) 23:18:02.64ID:cd0eiY6l

 それからアーネはより一層、お腹の子供に愛情を注いだ。
 段々と産み月が近くなるに連れ、これぐらいなら許されるだろうかと、赤ん坊の肌着や靴下や帽子を編んだ。
 旦那様が高価な物を買ってきそうになると、自分で作ってあげたいんですとお願いした。それに満足そうにほほえみ、気遣う旦那様。
 お腹を蹴る喜びと無事に育ってくれている安堵と…穏やかな時間。
 旦那様の喜びようは、アーネに罪悪感を日々募らせていく。
 すると旦那様はアーネの部屋の隣を子供部屋を改装しはじめた。
 アーネは頑なにそこに入ろうとはせず、旦那様はアーネのそんな態度をこのヴィラをもらった時と同じ、遠慮と受け取ったらしい。
 それよりも生まれた後の……未来を考えたくなかった。
 子を迎える部屋に入ってしまえば、赤ちゃんが居る未来を想像してしまうから。

 そして子供の名前は何にしようかと、旦那様は考えはじめる。
 アーネには考えられない。考えて名前を呼びながら慈しんでしまったら、来るべき日に手放せるのだろうかと不安が過ぎる。
 日々大きくなっていくお腹に、同時に育っていくのは愛情もだった。
 せめてあなたの新しい両親が、素敵な名前をつけて下さるようにとお腹を撫でて祈るしか無かった。


 とうとうこの日がやって来てしまった。
 リスティンさまが旦那様を遠ざける理由を用意してくださり、旦那様の不在の中。
 死んでしまうかと思うほどの苦しみと、朦朧とした意識の中で赤ん坊の産声を聞き気を失った。
 次に目を醒ますと、リスティンさまと信用の置ける使用人が居た。
 そしてベットの隣には私の赤ん坊。真っ赤でふにゃりとしていて、生まれたばかりの顔は皺くちゃなのに、もごもごとうごめく愛しさで抱きしめたくなる。
 手を差し伸べようとして、アーネはそれをあきらめた。
 すこし生えている髪の毛は、赤毛……瞳の色と目の形はどことなくアーネに似ている男の子。
 自分はこれからこの子を捨てるのだと思うと心が乱れる。
 本当は側に居て欲しい。
 側に居たい。
 私の唯一の家族。
 でもそれは許されなかった……男の子ならなおさらの事。
 抱いてみる? とリスティンさまに言われて首を横にふる。一度抱いてしまえば手放せない。
 本当にいいの?と最終確認をされる、けれどアーネは考えることもなく、首を縦に振る。考えてしまうと、無理だと断ってしまいそうだった。

 使用人に抱かれてさっていく赤ん坊を、泣くのを堪えて瞬きもせずに見送った。視界は容赦なくにじむ。
 ドアが閉まり、追い掛けたい気持ちをぐっと堪え、シーツを強く握った。ごめんなさいと唱え続ける。
 リスティンさまには一人にしてくださいといい、アーネは泣き崩れてまた意識を失った。

 ごめんなさい――私の赤ちゃん。
 もう、"私の"とは言ってはいけないけれど。
 貴方だけは、自由で幸せになって……私はもう十分幸せ。貴方が無事に生まれてくれたから。
 もうこれ以上の幸せはいらない。だからこれからの全ての幸福があなたに――私の分まで降り注ぎますように。
0336耐える愛U-92012/03/21(水) 23:20:30.78ID:cd0eiY6l

 体調が優れない。
 失ったものの大きさに私はこの時正気では無かったのかもしれない。
 起きては「ごめんなさい」と繰り返し、泣き、そして気を失ってしまう。
 その間に優しく誰かに抱きしめられたような気がしたが、その感覚も夢のように儚く思えて。
 目を覚ました時にはお医者さまに次に子を授かることは大変難しいと言われた。
 そしてもし授かったとしても産むのは困難だと。
 私はホッとする。
 体調が回復すればすぐに旦那様のベッドを温めなければいけなくなるだろうと思っていたから。
 背徳の喜びを与えられ、結果また子を授かる事が怖かった。また失わなければならない事が怖かった。
 旦那様の熱望する子供を流産し、そしてもう産むことが出来ない身体。
 愛人としての役目を果たせない、用済みな身体。
 アーネはもうお傍に侍ることは出来ないと、このまま尼僧にならせてくださいと旦那様に懇願する。

 ――しかしそれは許されなかった。

 それを言い出すまでは、子を失った父親として、失った母親への思いやりに溢れた節度ある行動をとっていた。
 我が子を流産されたというのに、アーネを詰る事無くいたわり。
 旦那様と共有するのは、子供を失ってしまったという悲しみ。それが、二人の間にある確かな繋がり。
 そんな旦那様は豹変する。
 あの男の元に行くのかと詰り詰め寄られる。
 奥様も子供もいる方の元になんて行けるはずもないのに。
 アーネが側を離れる、ただそれだけのことで旦那様の潜んでいた狂気が一気に表面化した。

 もしも妊娠したら……母子ともに無事では済まないというお医者様の話は旦那様の欲望に枷をつけた。
 その枷が……行為を歪ませていく。旦那様の夜の営みはひどく偏執的な物になった。

「子供が出来て君に辛い思いはさせたくない。万が一にもの可能性も考えたくはないんだよ」
 そう優しく囁かれる。けれど、旦那様の要求はアーネには非情だった。
 口や手や胸、足で旦那様を満足させなければならなくなり。
 最後は獣のように四つん這いにされて、二つの穴を隠しようもなく足を開かせられる。
 性器をさらけ出すよりもそこをさらけ出される、屈辱に涙がこぼれ。それでも閉じさせてはくれない、強要。
 後ろの穴を指で時間をかけてゆっくりと弄られて、段々と丁寧に拡げられていく。
 そこを使って何をさせられるのかという恐れで、おののいていた下半身も執拗な指先での愛撫で蕩けてくる。
 途端、力が抜けて言いようのない快感に近い刺激が下腹部に広がると、指が後ろの穴にぬるりと入ってくる。
「ひくついているな……絡みつくようだ」
 指が深く入るまで丹念に解されると、旦那様はそちらの方で欲望を満足させるつもりだと分って、アーネは愕然とした。
 卑猥な行為にならされて、諦め受け入れていてもさすがにその場所には嫌悪と抵抗感が拭えない。
 今まで何度か行為中に弄ばれることがあったけれど。
 アーネが本気で嫌がった為と、子供が欲しい旦那様には不要だった為に入れられたことはなかった。
 しかし今は――状況が違う。
0337耐える愛U-102012/03/21(水) 23:25:13.44ID:cd0eiY6l

 そんな不浄な場所で……。

 前の穴から流れ出た愛液をゆびで伝い、後ろの穴を潤す。それを潤滑油に指ではない太い感触が当たる。
「お願いです……そこ、だけは……お止め下さい……お願い」
「私は君が欲しくて我慢が出来ない。君の中に……拒まないでくれ…」
「お願いです、口で胸でもいたしますからだからっ……嫌です……イヤッ……ん、お許しくだ……あぁんっ!!」
 指で穴を広げられる途中で、前の穴も感じすぎて膨らんだつぼみを剥かれ、断続的な刺激を与え続けられる。
 ぴりりと伝う未経験な快感に、痙攣する。
 胸はツンと立ちあがり、そこからは母乳が噴出し、精液とは違う蒸れた濃い匂いが広がった。

「この胸も私だけのものになってしまった……な」
 旦那様は後ろから覆いかぶさるように穴を弄んでいた反対の手で、胸を揉みしだく。

 胸が張って、その胸の痛みが母乳の為とわかった時は愕然とした。
 飲む子がいない乳を一人絞るのは、とても虚しくて、嫌でもあの子を手放したことを痛感する。

「寂しいんだ……アーネ。君まで居なくならないで、くれ……っ」
「っ!!」

 そう、悲しげな顔と声で懇願されると、アーネは止まった。抵抗が出来なくなる。
 旦那様の赤ちゃんを奪ったのはアーネ自身。そして赤ちゃんから父親を奪ったのも。
「私には……君さえ居てくれれば、それでいい」
「あ、あぁ……ぁ……」

 抵抗が止まったことが受け入れられたと解釈したのか、旦那様はゆっくりと後ろの穴に突き入れる。
 初めて受け入れる、違和感と、指とは比べ物にならない裂けるような痛み。
 後ろの穴に入れるという行為の為、後ろから、獣のように犯される。
 大きくなった胸は、まるで違う生き物のように淫らに大きく揺れて。
 赤ちゃんの為の母乳をまき散らしながら、内臓を抉るような動きに……痛みはすぐに違った切ない感覚にすり替わり、押し寄せてくる。
 お尻の方で上り詰めてしまう。嫌悪感の思考も霞んでいく。
 本来の場所とは違った熱い感覚。
 こんな、こんな……こんな場所でも旦那様を受け入れる淫らで、惨めで……。
「君は、私だけのものだ……」
 熱い吐息と共に吐き出される、愛の言葉。
 それはとても罪深くて。
0338耐える愛U-112012/03/21(水) 23:28:16.36ID:cd0eiY6l


「お……許し、下さい――」
 
 罪はどこから始まったのだろう――。
 私はどれだけの罪を犯したのだろうか。
 涙を流しながらアーネの胸に浮かぶのは、あの日の教会の穢れなき聖母子像。

 次の日にシーツに、普通の営みならばつかない汚れを見つけるととても惨めで。
 それを他の使用人に知られてしまう恥ずかしさで消え入りそうになる……。
 処女を散らされ、慣れさせられたように、お尻で上り詰めるのが当たり前となってくる。
 なんて淫らな自分。

 このまま心が壊れてしまえばいいのに。
 感じる心は、段々と鈍くなり……時折自分が何をしているのかも、どうしてここにいるのかも
 人形のようになってしまえば、楽に慣れるのにと思っても、唯一の希望。
 またあの子に一目でも会えるかもしれない。
 幸せになっているあの子を見たい、それまでは――――。

 段々とアーネの体は絶望という病に侵されていった。
 食事ものどを通らずに、出産の大変さから弱った体。には精神的苦痛はじわじわと体をむしばんでいく。
 ベッドから起きれない日々も続き、ただの風邪がこじれて酷くなることもあった。

 それでも体調のいい日は、子供の墓を参る。それは旦那様も禁じられない。
 形だけの墓標。そこには居ないとわかっていても――祈る。あの子の幸せだけ、祈ってる。
 アーネは忘れないかのごとく、どんなに旦那様が進めても喪服にしか袖を通さなかった。


続く
0339名無しさん@ピンキー2012/03/22(木) 07:11:24.51ID:VGJyM06V
うわあああGJ!
待ってたよ〜!期待に違わぬ面白さでした。
これからアーネがどうなるのかがますます気になる……
0340名無しさん@ピンキー2012/03/23(金) 09:10:46.67ID:nw07dNDV
旦那様、そちらの方もお出来になるとは、実は結構遊んでる?

家庭愛に飢えている温厚な紳士だったのに。
いやそれならそもそもアーネを無理矢理自分のものにしたりしないか。
あの変質的な性格や性癖は、もとからそなわってたんだね。

大切なアーネをこんなにも苦しめていることに全然気づかない旦那様。
いつか地獄へ堕ちればよい。
0341名無しさん@ピンキー2012/03/23(金) 20:41:41.47ID:iQBZNsT6
旦那様は妻に失望してから
妻黙認で散々遊んでたみたいだからなぁ
息子も実は知ってたぐらいだしw
0342名無しさん@ピンキー2012/03/23(金) 22:48:37.48ID:nw07dNDV
前スレ読もうと思ったらログ速もunkarもピンク板は表示されなくなってしまってた。
ど、どなたかdatファイルか生ログを保管庫にでもお願いします……。
0344名無しさん@ピンキー2012/03/24(土) 00:52:45.49ID:E+JSj8Yr
アーネ、真面目でいい子だし元々旦那様へは恩人として好意的感情持ってたんだから、
家族愛に飢えてる孤独な私を救っておくれと同情をひくアピールしまくれば、もしかして
本当の意味で彼女をものにできたかもしれんのに。
前スレで誰かがいってたように、旦那様の愚かっぷりが回を重ねる毎に拡大してて笑える。
愛することを知らないってのは哀れではある。
0345名無しさん@ピンキー2012/03/24(土) 01:14:36.30ID:2bf/mxcL
確かに初めは狂気に駈られた怖い人的イメージだったのに
皆の書き込みのせいでキモ可愛い憐れな人になった>旦那様
344の言うようにアピればよかったのに
その点使用人頭はうまくやってのけたと言うことかw
0346名無しさん@ピンキー2012/03/24(土) 10:27:27.97ID:JzL5JDXq
子供ができた時点で昔の恋人だの息子だのに対する嫉妬を綺麗に隠して
子供に対する愛情とアーネに対する愛情と
ほしかった家族という形への希望をせつせつと騙れば
本当にものにできただろうにな
0348名無しさん@ピンキー2012/03/24(土) 17:22:19.95ID:GeKqYJAt
ちょwww騙るwwww

アーネも天涯孤独で家族欲しがってたからね
だからこそ弟って思えるリスティンを大事に思って
子供手放したんだから
つーか一番息子もさり気にかなり切ない立場・・・
0353名無しさん@ピンキー2012/05/17(木) 21:21:14.45ID:0kuOAFK5
王様×男装従者やしずのおだまきの続き待ってます・・・・読み、たい・・・・
0354名無しさん@ピンキー2012/05/23(水) 19:23:03.88ID:xNOsZboq
せっかくの主従スレだから別に一人を選ばない展開も良いよね
ご主人様だから好き女を皆囲むという選択肢があるのです(デデーン)みたいな
0355名無しさん@ピンキー2012/05/23(水) 19:29:20.14ID:tLBCSJYI
確かに>>1にはハーレムも入ってるね…
反対にご主人様達が一人を囲むっていうのも萌える
0356名無しさん@ピンキー2012/05/23(水) 22:16:41.58ID:hqvxTMYM
3兄弟が召使い一人を争奪戦・・・いいな

「一幹様、おやめください」
「二葉や三樹の方がいいというのか」
「ちがっっっあん、ああぁ……」
「ふん、双葉だな、こんな悪趣味なものを」
中に張り子を乱暴に抜くと、彼女は掠れた声で懇願する。
「お許しを……」
「お前は、俺のものだ」
「……私は、森ノ宮家の、モノ、です」
0361名無しさん@ピンキー2012/06/26(火) 23:38:53.95ID:RZAwZ698
保守ついでに妄想。

高慢なお嬢様だったヒロインは没落後
屈辱に紛れながら奴隷商人に売られ奴隷メイドの身分となる。
あるお屋敷に引き取られるが散々こき使われた日に
お屋敷のお客様である伯爵に不遜な態度をとってしまう。
お仕置きされる主人公、「向うの伯爵がお前を引き取りたいと言っている」
その一言でモノのように引き渡されるヒロイン。
伯爵はメイドを使い捨てる、とか望みどおりにいかないメイドを殺すとか、物騒な噂が流れていて怯えるヒロイン。
夜中に伯爵の部屋に呼び出されて、夜伽を命じられ、どうにでもなれと抵抗するヒロイン。
その時に伯爵に令嬢だったころの威厳で蔑む。
すると伯爵破顔。実は伯爵はドMだった。
日々夜な夜なメイドにご主人様プレイを強要していたが。
やはり偽物は偽物、満足のいく蔑みと嘲笑を与えてはくれなかった。
しかし、あのヒロインが無礼を働いた日に見せた怒声に心が震えて
これこそ自分が待ち望んでいたメイドだ・・・!と惚れこみ連れてきた。
矮小な存在であるメイドから下げずまれる偉い自分という存在にゾクゾクすると。
って妄想して、あれこれってどっかで見たことがあるような気がしてきたw
0362名無しさん@ピンキー2012/07/14(土) 00:21:58.14ID:OoT0AnN+
保守
暑い日が続くので頭が回らない
文官の男と武官の女部下で妄想しても
一、夏なので薄着の武官に欲情
二、押し倒す
三、激しい運動をした結果文官が夏バテ

武官の男と文官の女部下で妄想しても
一、夏なので薄着の文官に欲情
二、押し倒す
三、勤務外でも激しい運動をした結果武官が夏バテ
この構図しか浮かばない
0365名無しさん@ピンキー2012/07/14(土) 23:54:36.89ID:jCLZdjf3
逆に翌日を考えるんだ

激しい運動の結果薄着ができなくなった女部下が
暑そうに襟元のボタンをはずすとか

結果は二と三の繰り返しになりそうだけどww
0367名無しさん@ピンキー2012/07/18(水) 00:17:30.84ID:Wpq7itJ7
暑くて理性の力が低下してすぐ押し倒しちゃうんですね、わかります
0369名無しさん@ピンキー2012/08/21(火) 23:08:47.01ID:gcafdcsM
松平忠直の再評価記事を見て、晩年は穏やかな年月を過ごしたという記述と
側室と並んで立っている墓の写真に権力闘争に翻弄される青年貴族と彼に最後まで寄り添った侍女を勝手に妄想して萌えた。
0370名無しさん@ピンキー2012/08/23(木) 04:23:18.24ID:2OFS7eGZ
せっかくの男優位主従スレなんだから妻子持ちの男が自分より立場の弱い女を食い散らかして
ハーレム要員にする話があっても良いよね
0371名無しさん@ピンキー2012/08/23(木) 23:08:27.87ID:BicIBvQr
ハーレム性が強いのはハーレムスレっぽいよね
こっちはどっちかというと女従者を使い捨てじゃないっぽい雰囲気
0372名無しさん@ピンキー2012/08/29(水) 11:27:01.75ID:j9WKIE8K
たまたま開いたこのスレで旦那様とメイベルを読んで、現行スレ以前の話をサルベージ完了@職場(´Д` )
どうやってiPhoneに入れようw
家でゆっくり読みたいよー
0375名無しさん@ピンキー2012/09/13(木) 21:52:37.73ID:rWAkbJO4
電子書籍の広告で見て
東京ラストチカが気になってるんだがだが
このスレの住人としてはどうかな?
0376双子のポニーガールは同級生2012/09/16(日) 19:35:11.23ID:9ZOm5T1B
スレ違いかもしれないけど、こんな設定です。はるか未来、厳しい身分制の
ある中で、貴族の男子は、二人ずつ同年齢の少女をメイド兼性奴隷兼ポニー
ガール(馬車を引く人間馬)を持つ慣例になっている。選ばれる少女たちとは
17歳になるまでは、平等の普通の高校生活を送り、卒業の際に、試練を受け
合格したものだけが、終身のポニーガールとして主人に仕えることになる。
不合格になった場合、少女は最下級の奴隷にされ、主人もポニーを持てない
甲斐性なしとして見下されることになる。卒業試験は、主人役の男子と奴隷に
なる少女たちが深く信じ合い、協調しないと合格できないのだ。
主人公{俺}は、双子の同級生をポニーにする予定だ。勝ち気な麗奈と、しとやかな佳奈
いままでタメ口をきいてふざけあってきた同級生同士が明日は、飼い主と牝馬に
なるのだ・・だが優等生の双子に比べて俺は、万事劣等生・・・はたして三人で試練に
同格できるのか?・・そんな話です。どうかな?
0378名無しさん@ピンキー2012/10/02(火) 05:25:31.63ID:/BXLhp1a
>>376
麗奈と佳奈のイメージ絵とかは描けますか? できればそれも見たいよ。
0381名無しさん@ピンキー2012/11/04(日) 13:16:02.33ID:i/CORFbx
男「さあメイド達よ!子の私を好きなように踏むがよい!!!」
0383名無しさん@ピンキー2012/11/11(日) 15:36:23.31ID:VKAfHL0e
0385名無しさん@ピンキー2012/11/17(土) 01:32:24.16ID:ZckUStZp
今日ファイブスター物語を見たんだが
萌える主従が揃いすぎてて・・・悶え死にそうだぜ!
0386仙の霞       1/92012/12/24(月) 23:02:23.73ID:5l/ipYVQ
乾正(かんせい)は、『譜』の国が誇る益荒男だった。
身の丈や身の幅こそ並外れているという程ではないが、その腕力たるや凄まじく、
太刀を振り下ろせば受け止めようとした相手の矛ごと兜を叩き斬るような有様だ。
その乾正ほどの男を留めておくには、譜という国は小さく、貧しすぎた。
それゆえ、譜が新たに同盟を結んだ『庚』の国の将として乾正が引き抜かれたとき、
文句を言うものは出なかった。
庚は譜とか比べ物にならないほどに栄えている都だった。
その庚の国の将には、それぞれ副官が宛がわれる事を、乾正は王の言葉で知った。

「お前の副官となるのはこれだ。自分の為に、好きに使え。自分の為にな」

庚の王はそう告げ、部屋の傍らに立つ一人を示す。
それは何とも線の細い男に見えた。背丈も小さく、肩も華奢なものだ。

「杷采(はさい)に御座います」

男は落ち着いた声で告げながら、顔に掛かった布を僅かに持ち上げた。
肌は白磁のように美しく、艶やかな黒髪を頭の上に纏め、穏やかな瞳がやや切れ長に走る。
麗人という表現が相応しい、中世的な顔立ちの持ち主だ。
しかし、武こそ全てと考える乾正には優男という印象が強い。
乾正はずいと立ち上がり、杷采と名乗る者に歩み寄った後、やおら太刀を振り上げた。
刃は風を切りながら杷采に迫り、彼の首の皮一枚でようやく止まる。

「…………っ!!」

しかしこの行為で顔色を変えたのは、仕掛けた乾正の方だった。
端正な顔が恐怖に引きつるという予想は覆され、目の前の男は瞬きすらしていない。
湖のように静かな瞳で、乾正の瞳を見上げているだけだ。
ごくりと歴戦の猛者は喉を鳴らした。この男、底が知れない。
0387仙の霞       2/92012/12/24(月) 23:02:46.26ID:5l/ipYVQ
「はっはっは、肝が据わっておろう。そう見えても色々と頼りになる奴だ」

庚王の笑い声がする。そこで、乾正はひとつ思い出す。
先ほど庚王は、目の前のこの副官を“好きに使え”と表現した。
故あってであろうその言葉選びが、どうにも引っ掛かる。
また、自分の為にと強調していたのも気がかりだ。
ともあれ乾正は、こうして将の地位と、一人の底知れない腹心を得たのだった。

宛がわれた屋敷に移って杷采と話すうち、乾正は内心でその頭の良さに感服した。
杷采は乾正の身の上話をいくつか聞く内に、その人となりを正確に分析してしまった。
その分析には、彼の十年来の友ですら気づいていない気質も含まれている。
また古今東西の兵法書にも通じており、乾正がかろうじて名前を知る程度の奇書についても、その内容を諳んじてみせた。
さらに知識があるばかりでなく、それを活かすだけの頭も持ち合わせている。
事実、杷采は乾正が直前に行った戦について言及し、中盤で後手に回った軍略の甘さを指摘した。
その指摘には一部の隙もなく、乾正としてはぐうの音も出ない。
少なくとも策士としては得がたい存在である事を、この益荒男ですらも認めざるを得なかった。
しかし彼にとって本当の驚きは、その日の夜に訪れる。

「酒を、お持ちしました」

夜、窓から月を眺めていた乾正の元に、引き戸を開いて一人の娘が現れた。
肩に垂らした柔らかそうな黒髪、白磁のような肌、瑞々しさを感じさせる瞳。
それまで戦にかまけて女というものを知らなかった乾正は、思わず生唾を呑み込む。

「……名は、なんと申す」

杯に酒を注ぐ娘を見やりながら、乾正は問うた。
すると娘はふわりと笑いながら乾正を振り返る。

「これは異なことを」

鈴を揺らすような声が、桜色の唇から漏れた。

「昼にもお会いした、杷采に御座います」
0388仙の霞       3/92012/12/24(月) 23:03:09.60ID:5l/ipYVQ
その言葉に、乾正はいよいよ目を丸くする。
馬鹿な。杷采は優男風でこそあったが、声も、居姿も、男と見て違和感のないものではなかったか。
しかしながら、言われてみれば目の前のこの娘と顔の輪郭が一致する。
声もよくよく思い出せば、男と女のちょうど中間、どちらとも言えないものだったように思える。
と、すれば、目の前のこの美女然とした姿も偽りに思えてくる。
その実は男なのか、女なのか。

「何者だ、お前は」
「あなたの副官です、乾正様」
「そうではない。…………何者だ」

重ねて素性を問い質す乾正に、杷采は軽く微笑みを向け、

「“仙”です」

と答えた。聞き慣れない言葉に乾正がそれを繰り返す。

「仙とは、仙道を会得した者を指す言葉です。仙道を修めれば、男や女、老いや若きという別は無くなります。
 あなたが昼間に会った男も、今ここに女として居る私も、いずれも同じ杷采なのです。
 ただ、あなたの求める者に応じて姿を変えるだけの」

その言葉は乾正にとって、解るような解らぬような、霞の如く実体の掴めぬものだった。
しかし、薄衣で座する娘を前にして、確信めいたものもある。

「……なるほど。では今のお前は、おれの夜伽の相手をする為にここに居る。そうだな、杷采」

女を知らぬ者に特有の焦りを孕みながら、乾正は絹に包まれた杷采の肩を掴んだ。
杷采はそれを嫌がる素振りもない。
いつしかその身体からはほのかに甘い匂いが立ち上っている事に、乾正は気がつく。

「左様に御座います」

杷采は、女の表情を作って吐き出すように告げた。
0389仙の霞       4/92012/12/24(月) 23:03:33.32ID:5l/ipYVQ


杷采の性技は実に巧みなものだった。
およそそれは、性経験のない乾正などが抗えるものではない。
手指で形作った擬似の性器で柔らかく締め上げ、指の腹で敏感な粘膜を撫で回す。
そうして血管が浮き出るほどに隆起した怒張を、馬乗りになったまま杷采の肉の裂け目が咥え込む。

「ううっ!」

乾正はその心地よさに、意識せず声を漏らしていた。
猫の舌のような襞が怒張を擦り上げ、また強烈に絡みつく。
その未知の快感の前には、乾正など数分ともたずに精を搾り取られる。
しかしあまりの心地よさのせいか、あるいは生来の絶倫であるのか、乾正は一度果てた後もまだ余力が滾っていた。
杷采はそれを見通したかのように、引き続けて彼の身体を求める。

杷采はあらゆる面で巧みだった。
経験の少ない乾正を導くばかりでなく、その矜持を傷つけぬように彼に責めさせる事もする。
情欲の燃えるままに乳房を揉みしだかせ、秘裂への口づけを許した。
乾正の拙い技術ゆえに痛みを伴うこともあっただろうが、顔を顰めるような事はひと時たりともない。
あくまで男であり、主人である乾正を立てながら性の快楽を教え込む。
それによって乾正の初夜は、最高の気分で終わりを迎えたのだった。

その日より杷采は、昼は端正な副官として乾正の戦を助け、夜は美しい女として臥所を共にするようになった。
杷采が女である事を知るものは乾正の周りにはおらず、むしろ麗人として婦人の間でばかり人気を得ているとも聞く。
それが夜となれば、道行くどんな女よりも艶めく女体を晒すのだから、乾正としては不思議なものだ。
そして得体が知れないのは、男女の別ばかりではない。
乾正は杷采を様々に責め立てながらも、彼女が本当に感じているのか疑わしく感じる事があった。

征服欲を満たすべく背後から抱くと、杷采は艶かしい喘ぎを上げる。身体が汗で光ってもいる。
けれども乾正が果てて休息している折に、ふと背を向けたままの杷采に軍略についての問いを投げると、
杷采は理路整然とそれに答える。
そこには激しく交わって疲労困憊のはずの女の姿はなく、涼やかな昼の顔があるのみだ。
それを目の当たりにするとき、乾正は今までの彼女の全てが演技だったのではという疑心に駆られる。
0390仙の霞       5/92012/12/24(月) 23:03:56.19ID:5l/ipYVQ
改めて見れば、杷采の底の知れなさは尋常ではない。
まず彼女は、物を食べるという事への執着がまるでないようだった。
無論、乾正に付き合って食べる事はする。しかしそれ以外で、彼女が個人的な食事を摂る姿は見かけたことがない。
また、澄まし顔が歪む姿を見たいという悪戯心から、彼女が飲む茶に強烈な腹下しを混ぜた事もある。
しかしその後に何時間軍議を重ねようとも、彼女は席を外すことはおろか、顔を顰める事すらしなかった。
それ以外にも、杷采がやや離れた部屋で話をしている姿を見かけた数秒の後、彼女自身に背後から声を掛けられた事もある。
まるで、数十間という長さの廊下を一瞬の内に移動したかのごとく。

それらを目撃するうちに、乾正は彼女のことを、白昼から目にする幽霊の類ではと思うことすらあった。
あるいは、彼女が問うたびに答えるように、仙人のようなものなのか。
しかし、夜になって彼女を抱くたび、乾正はそれを否定したくなる。
抱きしめれば吸い付くような柔らかな肉肌は、幽霊のものではあるはずがない。
仙人なる存在が、乾正の愛撫で昂ぶった折に、若干の生臭さを感じさせる吐息を吐くはずがない。

あれは人間なのだ。それで間違いないはずなのだ。
ではなぜ、彼女に関する数々の不可解さが解消しない。
乾正は幾度となくそう苦悶し、時には杷采自身にもその疑いを打ち明けた。
杷采はそのたびに、正体を追求してくれるな、自分を所有物と割り切って“使えば”いいと答える。
それは、初めに庚の王が告げた言葉と同じだった。
乾正は生来負けず嫌いだった事もあり、人から与えられるその結論で良しとはしない。
何とかして杷采という人間の底を見ようと、思いつく先から様々な奉仕を行わせた。

この時代においてはまだ不浄の行為として忌み嫌われていた、口で逸物を舐めしゃぶらせる事もさせた。
しかし杷采は一切嫌な顔をする事もなく、喉の奥深くまで無理矢理に咥えさせられても奉仕を続けた。
杷采とて、声を出す喉構造をもった一人の人間だ。
喉奥を逸物で抉られれば、嘔吐を思わせるような呻き声が漏れる。涎も次々に溢れ出てくる。
しかしながら、屈する様子はまるでない。事が終われば、顔をつるりと拭って涼しい表情に戻る。
0391仙の霞       6/92012/12/24(月) 23:04:36.81ID:5l/ipYVQ
  
「一晩中、俺の尻穴だけを舐ってろ」

乾正は自分が命じられては困ることと考え、このように告げもした。
しかしやはりこの場合も、杷采は粛々と言葉に従う。
寝台の上に寝そべった乾正の足の間に屈み込み、舌先のみでもって延々と尻穴を嘗め回す。
細い指で尻肉を分けながら、尻穴に吸い付き、嘗め回し、舌を入れ、啜り上げる。

「ああ、お……うう!……ぁあ…………ああ、お…………うう…………」

それは乾正自身が思っていたよりも、遥かに心地のいい事だった。
彼は完全にされるがままになりながら、その刻一刻と高まる未知の快感に声を漏らす。
そうして一晩どころか一時間と経たない内に、勃起した怒張を痙攣させ、白濁を三度、四度と噴き出して果ててしまった。

乾正が相手をするやり方では翻弄されるばかりと悟り、杷采を膝立ちで拘束したまま、女官三人に責めさせた事もある。
赦しを請わせる事ができれば金子をやる、と言い含められているため、女達は必死に杷采の細身を責め上げる。
耳元で何事かを口々に罵り、乳首を指で挟み潰し、秘裂に指を入れて水音も高らかにかき回す。

しかし、隣室で酒を喰らって一眠りした乾正が翌朝部屋に入ると、杷采は疲れきった女官の中心で平然としていた。
乳房は女の無数の手形で赤らみ、膝立ちになった秘裂からは夥しい愛液が溢れて床に滴っている。
床には様々な太さの張り型や芋茎が転がっており、女達が総力を挙げて責め立てていた名残が残っている。
それでも杷采は折れていなかった。

「この私がお仕えするのは、『あなただけ』です。乾正様」

静かな瞳でそう告げる杷采。
その言葉を聞いて、乾正はひとつ新たな責めを思いついた。それで本当に最後にしようと考えていた。
しかし何の因果か、最後にそう決めた責めこそが唯一、杷采に激しい動揺をもたらす事となった。
0392仙の霞       7/92012/12/24(月) 23:05:10.91ID:5l/ipYVQ
乾正には、同じ庚の国の将としての仲間がいる。名を軒句(けんく)という。
乾正と軒句とは、仕官し始めた時期も近ければ、宛がわれた屋敷も隣同士。
軒句とその副官が揃って屋敷から出てくる姿を、乾正は幾度か目にしていたし、その逆も然りだ。
軒句もまた、彼の副官に関して疑いを抱えているらしく、それゆえに乾正の企みには易々と乗った。

企みとはすなわち、互いの副官を入れ替えて交わること。
お互いにたっぷりと酒を入れた後、目隠しをして一旦放置する。
そして部屋を出た主が再び帰ってきたと見せかけて、そこに現れるのは隣の屋敷の主だという寸法だ。
勿論、あらかじめ門番や使用人には話を通しておき、無用な混乱は避ける。
兵は拙速を尊ぶとばかりに、二人はこの計画を話し合ったその日の晩、お互いの副官に酒を入れた。

「さて、今日は目隠しをするぞ。視覚を遮る事で、感覚が鋭敏になると聞く」

乾正はそう言いながら、杷采の目に細長い布を巻きつけ、後頭部で結び合わせた。
さらに、暴れる事を予想してその手首を後ろで結わえもする。
こうした事は、夜の営みに飽きが来ないよう、杷采自らが薦める事でもあった。
その辺り、彼女は乾正という武将の征服欲の強さをよく理解していたといえる。

準備を整えた後、乾正は障子を開け放って隣の屋敷を見やった。
軒句の屋敷とはさほど離れておらず、その気になれば屋根伝いに飛び越えられる程の距離しかない。
ゆえに、軒句の家で行われている夜の営みの声が、一息ついている乾正達に聴こえる事もしばしばあった。
開け放った障子の向こうには、窓越しに軒句の臥所の様子が伺える。
そちらでも副官を後ろ手に縛り上げており、乾正に向けて準備万端という合図を送っている所だった。

二人の男は小便がしたくなったと言って部屋を抜け出し、互いの門の前でほくそ笑む。
いつもの相手と交わると思っておいて、全く別の男に抱かれるとなれば、これは仙人を名乗る彼女らとて取り乱すだろう。
今までの彼女らの余裕は、あくまでその主人が相手だと解っていればこその物であったに違いない。
そう確信めいたものを感じ、かつこれが上手くいかなかったとしても、どのみち最後の悪戯だと腹を決めて屋敷へ入る。
見慣れない屋敷を通り、見慣れない部屋に入り、見慣れない女の裸体を前にする。
そしてその白い腰を掴み、エラの張った逸物の先を柔肉へと押し当てた。
0393仙の霞       8/92012/12/24(月) 23:06:46.34ID:5l/ipYVQ
「いっ、いやぁあああああああっっ!?」

その叫びは、乾正の部屋から沸き起こった。
見れば、後ろ手に縛られた杷采が身を捩りながら、軒句から逃れようとしている。
挿入された瞬間に替え玉に気づいたらしい。
軒句の体格は乾正よりも数周り大きく、巨人とも言うべき恰幅の良さだ。
はっきりと見た事はないが、逸物も乾正のものより立派だろうと予想された。
それゆえすぐに解ったのだろうか。

「誰です、おまえは!!おまえは一体、誰ですっ!!ああ、乾正様、……乾正様っっ!!!!」

そう叫びながら床を這いまわり、しかし軒句の剛力に引き寄せられる。
そしてその様子は、乾正の場合も同じだった。
乾正は、あらかじめ軒句から副官の尻穴を念入りに調教している話を聞いていた為に、
興味本位でその尻穴に挿入していた。
膣とはまた違う、怒張の根元を食いちぎるかのような締め付けが面白く、夢中になって抜き差しを繰り返す。
しかしその腕の下では、子供のように胸から何からが平坦な身体が暴れまわっている。

「やめてぇっ、おやめくださいっ!!わ、わたしの全ては、軒句様の為のもの!
 軒句様以外の方と交わっては………………っ!!」

何という忠誠心だろう。
主人でない者の逸物に貫かれて狂乱する副官を見ながら、乾正は思った。
そして同時に、今自分が抱いている女が、あの杷采に比べて何と物足りなく思える事か。
単に尻穴と膣の違いというだけではない。身体のサイズ、成熟度、肌触り、汗の匂い。それら全てが違う。
まるで杷采とは、自分にとって理想の女性が体現したものではないか。そう思える。
そしてそれは、軒句とて同じようだった。
しかしそう気づいた二人が逸物を抜こうとした、その瞬間。
彼が今の今まで触れていた女体が、急にその質量を失っていく。
まるで濃厚な霞が四散していくように、手足を柔らかに通り抜けていく。
0394仙の霞       9/92012/12/24(月) 23:07:19.09ID:5l/ipYVQ
  
「…………っ!?な、何だこれは……お、おい!!」

二人の主は、思わず遠くにいる自らの従者を見やった。
そしてそのいずれもが白い霞になって消えていくのを見たとき、彼らは涙を流していた。


   ――――乾正様

淡々とした、低く落ち着いた男の声が呼びかけてくる。

     ――――乾正様……。

鈴を揺らすような、甘く澄み切った女の声も呼びかけてくる。
そしてそれを最後に、毎夜の如く耳にしていた声は二度と聴こえなくなった。


「杷采!杷采、どこだ!!戯れはもう良い、姿を現せ、杷采!!」

すでに霞の欠片も見えない部屋の中、乾正は叫ぶ。
一度姿を見失っても、また不意に後ろからでも声を掛けてくるかもしれない。そう希望を持った。
しかしどれだけ待とうとも、声を掛けられる事はない。
彼自身の部屋へ戻り、確かに杷采が身を横たえていたはずの布団を手にしても、
その温もりはおろか匂いまでもが綺麗に消え去っていた。

彼らはこの時、ようやくにして気がついた。
自分達がどれほど意味の無いことに執着を燃やしていたのかに。
自分の正体に興味を持つな、ただ道具として使っていればいいと言った意味に。
二人の主は、愛していた女性の名残さえ残っていない部屋の中で、男泣きに泣いた。


後に、この乾正・軒句は名を改めながら、庚の領土拡大にめざましい貢献をする。
情を置き捨て、盤上の駒を動かすが如く冷徹に戦局を動かすその様は、広く他国に恐れられた。
しかし妙な事に、稀代の覇者として名を馳せる彼らは、どちらも生涯副官を置かず、伴侶と結ばれる事もついに無かったという。




                         終
0395名無しさん@ピンキー2012/12/24(月) 23:20:05.98ID:ZhEPHe/0
リアルタイムキター!GJ!
中国の古典伝記小説を読んでる気分になったよ
切ないな、大好物だ
0397名無しさん@ピンキー2012/12/31(月) 01:34:34.47ID:RV07Sxph
GJ!!
本当に395の言うとおり古典小説読んでる気持ちになって
何とも言えない不思議な余韻があったよ
最後の悪ふざけが切ないな
0399名無しさん@ピンキー2013/03/01(金) 08:34:39.61ID:Rdqs6QG0
保守
0400名無しさん@ピンキー2013/03/04(月) 13:27:48.23ID:qaKKWJJ8
女従者「しっかりしろよ糞御主人様よお!?ああん!?」

男主人「ぶひぃ…」ハアハア
0401ニート様とわたし2013/03/22(金) 01:18:43.81ID:yqUOCqwt
お風呂でえろいことしたいです

10レスくらいですたぶん
0402ニート様とわたし 1/102013/03/22(金) 01:21:11.38ID:yqUOCqwt
よく磨かれた黒色の石で造られた湯舟には、なみなみと湯がたたえている。袖を
まくり手を差し入れ、湯温は適切かどうか確認する。
少し熱めだ。しかしこのくらいなら多少冷めても薪を足す必要は無いだろう。
「できた?」
脱衣所の扉が開き、黒髪を無造作に肩まで垂らした青年が顔をのぞかせた。
わたしは不機嫌だった。相手が目上の者であるにも関わらず、彼をにらみつける。
「わたしはメイドではありません、何故湯浴みの準備などしなければならないの
ですか」
「だってみんな忙しそうなんだもの」
悪びれず笑顔で答える彼を見て、わたしは深いため息をついた。眉間には深い皺が
刻まれていることだろう。
「セドリック様、わたしだって仕事中です。それに今の時間は皆夕食の準備で忙しい
のはお分かりでしょう? 何故このような中途半端な時刻に湯浴みなのですか」
わたしが語気荒くまくしたてても、この男は涼しい顔だ。寝汗をかいたとか、眠気
覚ましだとか、適当な言い訳をしている。
「そもそも何故今頃まで寝ておられたのですか! 規則正しい生活を心掛けるように
とオーベール様から言われているはずですよ!」
オーベールとはわたしが住込みで勤めているこの館の主である。つい半年ほど前に
急逝した父親の後を継いだ有力貴族の当主で、下位とは言えこの国の王位継承権
を持つ。生真面目で不正を許さない厳格な人柄は、お偉方の老爺たちから疎ましく
思われているようだが、若い貴族や騎士たちからは支持されているらしい。わたしは
この国に来て日が浅いので詳しくは知らないけれど。
目の前にいるセドリックという若者は、そのオーベールの弟である。歳は十以上
離れている。兄とは正反対のだらしない男だ。忙しい当主を手伝うこともせず、
一日中本を読んでいるか寝ているかの引きこもりである。
「まあまあそう怒るな、美人が台無しだよ」
白々しいお世辞だ。自分がここではあまり好かれない見目だというのは理解している。
無視して「仕事に戻ります」とその場を去ろうとした。
「待て、シビラ」
しかし彼はわたしの名を呼び引き止める。嫌な予感がした。
「炭で顔も服も汚れているぞ」
振り向いたわたしの目に写ったのは整った顔を歪ませニヤリと笑うセドリックの顔。
「美人が台無し」はこちらの台詞である。邪悪な笑みに怯んだ瞬間、その隙をついて
彼がわたしを抱きしめた。
「シビラさんも一緒に入ろうね」
0403ニート様とわたし 2/102013/03/22(金) 01:25:30.69ID:yqUOCqwt
彼の器用な指が、胸元のボタンを外そうとしている。わたしは慌ててその手を捕まえ
ようと両手を上げた。その瞬間──
ストン、とわたしの腰を覆っていたスカートが落ちた。いつの間にか、もう一方の手が
留め金を外していたのだ。
タイル張りの床は浴槽から溢れた湯で水びたしだ。当然落ちた服も……。
「あーあ、濡れちゃったな」
楽しそうにそう言った彼は、わたしが驚いて下を向いている隙に、素早くブラウスを
はだけさせた。
「セドリック様! 駄目、昼日中からふざけないで下さい!」
抵抗しようとするが、脱がされかけた服が腕にまとわりついて上手く動かせない。
その上、あらわになった肩に彼の唇が降りてきてくすぐられる。肩から鎖骨、鎖骨
から首筋、撫でられてぞくりと肌が粟立った。
絡まっていたブラウスをいとも簡単に腕から抜き去ると、彼はそれをポイと後ろに
放り投げた。パシャリと水が跳ねる音が響く。
わたしは下着姿にひん剥かれてしまったのだ。自分より腕力の劣る、半引きこもりの
痩せぎすの青年に。
薄手のスリップの上から背中、腰、と撫で下ろされ、尻をサワサワと手のひらが這う。
わたしは身をよじり私より少しだけ背の高い男の顔をにらみつけた。
「おお恐い」
言葉とは裏腹に、彼は随分と楽しそうだ。
「オーベール様に言いつけますよ」
感情を押し殺した声で、私は答えた。
「兄上に? それは困るな。彼の説教は無駄に長いんだ。」
「ならば──」
わたしが戯れをやめるように言おうとすると、彼は不敵な笑み浮かべつつ遮ってきた。
「告げ口なんてするようなら、君が兄上に対して思っていることをバラしてしまおう」
「ぐ……」
痛いところを突かれて言葉に詰まる。この狡猾な男に知られたのは迂闊だった。もし
誰かににそのことが知れたら、わたしは職を失うだろう。せっかく手に入れた安定を、
久しぶりに手にした寝心地のいい寝台のある暮らしを、しばらくは手離したくは
なかった。もう一度根無し草になるのも悪くはないが、わたしはここが気に入っている
のだ。……この男の存在を除いて。
0404ニート様とわたし 3/102013/03/22(金) 01:28:57.55ID:yqUOCqwt
「一見すると堅物な女騎士が、妻子持ちの中年男に横恋慕。まるでいかがわしい
三流小説のようだな」
お喋りをしながら、手のひらは相変わらず尻を、腰を撫でまわしている。もう片方の
手は、わたしの耳を撫で、耳朶にぶら下がったピアスを弄んでいる。
「僕の言うことを聞いてくれたら、黙っといてあげる」
いつもの脅しだ。しかしわたしは従うしかなかった。
「……仕方が無いですね、何をすれば良いのですか」
答えはわかっている。
「さっきも言ったでしょ、一緒にお風呂に入ろう」
彼はにんまりと笑った。
わたしはまた深いため息をついた。

吐き出したため息を食らうように、彼の唇が塞いできた。ちゅ、と音を立ててわたしの
唇を何度かついばむと、すぐに隙間から舌を差し込まれた。
長い舌はやはり指と同じように器用で、口内をねっとりと這いまわり、私わたしの
舌を誘ってくる。遠慮がちにそれに応えると、すかさず絡みついてきた。
「んん……」
耐えきれず声が漏れた。身体が熱くなり、顔が上気してくるのが自分でもわかった。
ひとしきり口内を味わって満足したのか、最後にわたしの唇をぺろりと舐めて、彼は
顔を離した。
「シビラさん、やらしい顔になったな」
わたしは顔を背けた。性的興奮が表情に出てしまっているのを指摘され、更に頬が
熱くなった気がした。ごまかすためというわけでも無いが、彼に当初の目的を果たす
ように促した。
「湯に浸かるのではなかったのですか」
「そうだったね」
うなずきながら、しかし彼の手はまだわたしの身体をまさぐっていた。一方の手は
薄布ごとゆっくりと乳房を揉みしだき、もう片方はスリップをめくりあげてショーツと
肌の境を指先でなぞっている。これもすぐに剥ぎ取られてしまうに違いなかった。
0405ニート様とわたし 4/102013/03/22(金) 01:33:13.34ID:yqUOCqwt
温かい湯に胸まで浸かり、浴槽の縁に背をゆったりと預け、青年はご機嫌そうに
鼻歌を歌っている。
わたしはその彼の膝の上に座らされ、後ろから腰を抱かれていた。湯の中は心地良く、
身体は内側から温まり、肩が水面から出ていても頭まで血が巡ってぼうっと
してくる。洗い場で汗を流すだけでも清潔にはなるだろうが、この心地良さは湯舟に
浸からなければ味わえないだろう。騎士位を持っていたとは言えど、現在は仕える
側の立場であるわたしには贅沢である。
しかしわたしは一つの疑問があってくつろげずにいた。

「あの……」
「ん?」
鼻歌が途切れる。
「なぜわたしは下着のままなのでしょうか」
下こそ脱がされていたが、スリップだけがそのままであった。
「んー……こっち向いてくれる?」
私は身体をひねり、彼の方を向いた。自然と膝をまたぐ形になる。
「ほう」
目線が私の胸元にある。思わず手で覆い隠した。水面が動き、ちゃぽんと音が立つ。
「濡れて透けたら色っぽいかなーと思ったから……隠さないでよ」
「……変態」
「主人に対してその言い種はなんだ」
「わたしの主君はオーベール様です」
下着の薄い生地はすっかり水を吸って身体に貼りつき、その下の皮膚の色が透けて
見えている。彼がわたしの手首をつかんでやんわりと胸から剥がすと、胸の先の、
先端の突起の色もはっきり見えていた。
おもむろに、彼はわたしを抱き寄せそれに食らいついた。薄い生地ごとちゅうと軽く
吸ったかと思うと、舌で転がし始める。じん、と痺れるような感覚に襲われ、わたしは
じっと耐えた。が──、
「あんっ」
軽く歯をたてられ、電撃を受けたように鋭い快感が走り抜けた。
「ふふ、もっと鳴いていいよ」
彼は一言つぶやくと、また舌を使って弄ぶ。同時にもう一方の乳房をわしづかみにし、
持ち上げた。
「あ、や……ん、あっ、ダメ……」
0406ニート様とわたし 5/102013/03/22(金) 01:36:56.78ID:yqUOCqwt
一度出してしまうと、もう我慢できなかった。彼の舌が動くたびにはしたない声が
漏れてしまう。舐められ、吸われ、噛まれ、甘い刺激が駆け抜け下腹を疼かせた。
「シビラさん腰動いてるよ、エッチだなあ」
「や……そんな、こと、ああん」
否定はしてみたものの、自分でもそれはわかっていた。本当ははやくこっちにも
触れて欲しい。口が裂けてもそんなことは言えないけれど。
そして、それは言葉にせずとも彼に伝わったようだ。わたしの下半身に手を伸ばし、
内腿をゆっくりと撫でた。
それだけでわたしの身体はびくんと跳ねた。
「感じやすいなあ」
薄笑いを浮かべて彼が言う。手のひらは内腿をさすり、脚の付根に向かっていた。
ゆっくり、ゆっくりと、わたしを焦らしているのだ。
「あなたの、せい、です」
「そうだっけ? 初めての時から敏感だったでしょ」
指がたどり着いた。
「ここ、ぬるぬるしてる、これはお湯じゃないよね」
「いや……」
私はぎゅうと彼の首にしがみついた。
「嫌? こんなになってるのに?」
彼は指をくにくにと動かす。湯の中でなければ、淫猥な水音が聞こえていただろう。
「や、あっ」
ぬるり。指が押し込まれた。
「あーあ、簡単に入っちゃった」
言葉でわたしを辱めながら、指もまた中で蠢いてわたしを辱めた。のろのろと往復し、
体内を擦りあげる、それはわたしの敏感な部分を巧妙に避けていた。
それでも気持ちいい、だけどもどかしい。
ああ、そこじゃないのに、もう少しこっちにも……。
どうやら彼はまたもわたしを焦らしているらしい。わたしよりわたしの身体を知り尽くしている
彼だからこそのお遊戯だ。こうやって虐めて、わたしが乱れるのを見て楽しんでいるのだ。
ついこの間まで女性経験が無かったなんて嘘のようだ。
思い通りになるものかと声を堪えてみるも、身体は「いいところ」に指を充てがおうと
自然に揺れる。触って、お願い。
0407ニート様とわたし 6/102013/03/22(金) 01:42:07.04ID:yqUOCqwt
「いやらしい身体だな、君が動くから波が立ってる」
「いじわる……ん…」
「どうして欲しいか言ってくれよ」
「わかってるくせに、ばか……」
彼はふふ、と鼻で笑い、更に焦らしている。わたしは我慢出来ずに彼の首に
しがみついた。黒髪からのぞく耳に噛み付く。
「痛っ」
「おねがい……もっと……」

これ以上言葉に出来なかった。彼が激しくその部分を摩りはじめたからだ。
「んあ、あ、や、あっ、ダメ、ダメぇ!」
「駄目なの? こうして欲しかったんだろう?」
「ちが……ダメじゃない、あ、これ、すき、あっ、ああっ」
「責任取ってずっと相手をしてくれないと困るんだよね、君は僕のはじめてを奪った人
なんだから」
奪った? 違う、奪われたのはわたしだ。わたしがオーベール様によこしまな想いを
抱いていると知ったあなたは、わたしを脅して逃げられないようにしたのでは
なかったか。そのことを餌に、何度も何度もわたしの身体を貪ったのは、こんな淫らな
女にしたのは、あなたではなかったか。

反論しようにも口から出てくるのは喘ぎばかり。身体はますます熱くなり、
意識もどこか別のところへ飛び去って行きそうだった。
ところが、あと少しで昇りつめるというところで、彼は暴れていた指を引き抜いた。
「あん……、なん、で……」
いつの間にか彼の薄笑いは消えて、熱っぽい目でこちらを見上げている。今まで
私の中にあった指先で、わたしの唇を撫でた。
「兄上だったらいいのに、とか思ってるだろ」
その声はほんの少しかすれていて、彼も興奮しているのだとわかった。多少余裕を
失っているようだ。
「だとしたら? もうやめますか?……あ、あん」
固く尖ってスリップの下から主張している乳首を指で弾かれた。
0408ニート様とわたし 7/102013/03/22(金) 01:47:11.28ID:yqUOCqwt
「シビラさんの方が意地悪だ」
そのまま少し強めに抓まれる。
「ひっ」
乱暴な、らしくない愛撫に悲鳴を上げる。
「挿れたい、はやく来てくれ」
もう一方の手でわたしの右手を取ると、彼は二人の身体の間にある屹立へと強引に
引き寄せた。
促されるままにそれに指を絡めると、彼は眉根を寄せて短く息を吐いた。高貴な血を
引く彼の白く美しい顔は紅潮し、耳まで緋に染まっている。青の眼はとろりと潤んで
小窓からの光を返していた。
おかしい、いつもの彼らしくない。
そう感じながら、わたしは握った彼の分身を上下にさすった。
「あ……違う…!」
彼は身体を震わせ、逃げるような素振りを見せた。水面が波立つ。
「シビラ、お願いだ……!」
切なげにこちらを見上げて懇願する彼を見て、わたしはいつになく昂っていた。
いつもなら二人の間の主導権は彼が握っている。身体の位置が上であろうと下で
あろうと、わたしは彼のいいなり、翻弄されるばかりだ。
なのに今の彼は、主のプライドをかなぐり捨てて、自分を犯せと懇願している。
おかしい、こんなのセドリックじゃない。そう頭では思っても、彼が目の前で交合を
ねだる姿に、わたしは胸が高鳴った。かわいそうに、今すぐ気持ち良くしてあげる!
硬く反り返った彼自身に跨り、その先端をわたしのそこに充てがった。体重を一気に
かける。

「あ……!」
「う、ああっ…」
二人分の嬌声が同時に響く。わたしの中が彼によって隙間無く満たされたような
感覚だ。
彼の頭を抱え込み、濡れた髪にキスをすると、わたしは少し腰を浮かせた。そして
すぐまた腰を落とし深く繋がる。ぞわ、と背中に何かがかけ上がる。
彼がわたしの身体にしがみついて来た。苦しそうな表情で短く息を吐いている。
「はっ、あっ、シビ、ラ、すごく、いい」
わたしが更に動くと、途切れ途切れになりながら伝えてきた。ああ、いつもなら
最中でも涼しい顔なのに、本当にどうしたのだろう。でも……

「かわいい」
0409ニート様とわたし 8/102013/03/22(金) 01:51:28.06ID:yqUOCqwt
つい口に出してしまった。男性が喜ぶ言葉ではないだろう。案の定、不快そうに口を
歪めてこちらをにらむ。ただ、その目に力は無く、うっすらと涙すら浮かべていた。
それを見た瞬間、わたしの中に嗜虐心が急激に湧き上がった。いつものお返し
というわけでは無く、ただ単に、もっと彼のみっともなく乱れる姿が見たいと思った。
わたしは彼をよりいっそう強く抱きしめ、単なる上下運動にならぬように、蛇が獲物に
絡みつくように、ゆっくり、ねっとりと、浮き沈んだ。
「あ、ああ……」
「きもちいいのですか?」
野暮だと思いつつも訊かずにはいられなかった。耳にわたしの息が吹きかかり、
身体が跳ねた。水面が大きく揺れる。
「ああ、も、おかしく、なりそう、だ……」
もうおかしくなってますよ、と心の中だけで呟き、徐々に腰の動きを速めていく。
「ダメだ、あ、そんな、激しく、あっ」
「いいんですよ、ん、どうぞ、わたしの中に……」
軽く爪を立てて耳から頬、顎へと指先を滑らせる。くい、と顔を上向かせ、だらしなく
開いた口をわたしの唇で塞いでやった。
彼の喉が上下する。わたしの唾液を飲んでいるのだ。力関係が完全に逆転している、
わたしはその事実に恍惚としながらスパートをかけた。
いっそう波は激しくなる。彼の爪がわたしの背を掻く。中のモノの存在感が増す。
そう、そのまま果てて!
「ん、んんんっ……!」
唇をあわせたまま、彼が呻いた。しがみついていた腕が緩む。
腹の中に放たれた物が熱い。人の身体から出た物が風呂の湯温より高いなど
あり得ないが、確かに熱く感じられた。その熱がわたしのことも押し上げた。
「……はっ、ああっ、イクっ──!」
彼から搾り取りながら、ぷは、と口を離してはしたなく叫んだ。湯の中にいながら、
寒気にも似た震えが背にかけ上がる。そして目の前が真っ白になった。


しばらくの間、わたしは目を閉じたまま余韻に浸っていた。荒い息が徐々に
落ち着いてきた。身体の中の愛しいモノはすっかり萎えて、少し腰を浮かせたら
ずるりと排出されてしまった。
奇妙な名残惜しさを感じながらも、彼に声をかける。
「セドリック様、もう身体を流してあがりま……えっ!!」

やけに静かだと思ったら、彼は湯の中に頭まで沈んでいた。
0410ニート様とわたし 9/102013/03/22(金) 01:56:20.41ID:yqUOCqwt
わたしが身仕度を整えてから彼の部屋へ様子を見に行くと、中から話し声が
聞こえてきた。それは幼い少女のもので、「鈴を鳴らしたような」という表現がぴったり
はまる可愛らしい声である。
「それでね、シビラが叔父様をかかえてね、廊下をものすごい勢いで走ってきたの!
まるでね、お姫様を守る騎士様みたいに格好良かったんだよ」
「ああ、そう……」
低く力無い声で相槌が聞こえる。どうやら彼は無事に目を覚ましたらしい。

半開きの扉を一応ノックして、部屋に入る。
「お加減はいかがですか」
二人がこちらを見る。
「シビラ先生、もう着替えたのですか?」
ええ、とうなずきながら、彼が横になっている寝台に歩み寄った。寝台の傍の椅子に
腰かけた少女──君主と奥様の一人娘であり、セドリックの姪になるフルールは、
彼女の大好きな叔父様を扇ぎ続けてくれていたらしい。
「ありがとうございます、お嬢様。後はわたしが代わります」
「はい!では叔父様にお水を汲んできますね」
元気良く返事をすると扇をポイと放り投げ、少女は小走りで部屋を出て行った。
彼女が通った後の扉は大きく開いたままだ。心優しく素直で聞き分けの良いお嬢様
だが、甘やかされて育ったためか、作法やら言葉遣いやらに多少の難ありだ。

床に落ちた扇を拾い、椅子を持って来て彼の側に腰掛ける。顔をのぞき込むと、
まぶたはまだ重そうだし顔色もあまり良くないようだ。無理もない、なぜなら、
「湯中りを起こして溺れたんですよ」
「ああ」
ばつが悪そうにセドリックは顔を背けた。
「君がここまで運んでくれたのか」
「ええ、下着姿で廊下を走る羽目になりました」
気を失っている彼を浴槽から引きずり出し、水を吐かせ、タオルでくるんでこの部屋
まで運んだ。自分の格好など気にする余裕は無く、濡れた下着一枚に素足で長い
廊下を駆けたのだ。思い出すと冷汗が出そうになる。
「そりゃ見物だったろう」
「そうですね、あなたを抱えていたことも含めて」
「……」
彼は苦虫を噛み潰したような顔で黙りこんだ。
0411ニート様とわたし 10/102013/03/22(金) 02:05:18.73ID:yqUOCqwt
しばらくの沈黙の後、彼がボソボソと疑問を投げかけてきた。
「なんで僕だけのぼせたんだ?」
「あなたは胸まで浸かっていましたが、わたしは腰まででした。他に体力の問題も
あるかもしれません」
「ひ弱で悪うございました」
今になって考えてみると、彼はかなり早い段階でのぼせていたのかもしれない。
それならばあの乱れ様にも納得がいくというものだ。

「館の者たちはわたし達が浴室で何をしていたか、察しているようです。」
「あっそ」
当然と言えば当然だ。若い男女が長時間風呂場に篭っていた挙句、ほぼ全裸で
飛び出してきたのだから。そういうことだと思うのは別段おかしくはない。
「ですが、一応『あなたがあまりにも長風呂なので不審に思ったわたしが様子を
見に行った』ということにしておいてください」
「お姫様の教育に悪いからか」
「その通りです」
はいはい、とぞんざいに返事をすると、彼は寝返りを打って身体ごと向こうを向いて
しまった。しかしその動作は緩慢で、随分とだるそうだ。
「あと、オーベール様の耳に入る前に口止めの方法を考えておいてください。
説教タイムはお嫌でしょう?」
「もう恋仲だって言えばいいじゃない」
「あなたと結婚しろなどと言われたら困ります。そもそも恋人同士ではありません」
「あっそ……嫌われたもんだ。僕はシビラとなら構わないんだがね」
拗ねたような口調でブツブツと文句を言っている。顔は見えずとも口を尖らせている
のが容易に想像できた。わたしと一つしか歳は変わらないのに、なんと子供っぽい
のだろう。
「さあ、水分を取ったらもう少しお休みになってください。わたしは仕事に戻ります」
ああ、と声が返って来るが、相変わらずこちらに背を向けている。わたしは
立ち上がり部屋を出て行きかけたが、ふと思いたって彼の元に踵を返した。
その耳に口を寄せて、そっとささやきかける。
「可愛らしい嬌声でしたよ、セドリック様」
「……っ! なっ、おまっ……!」
勢い良く半身を起こした彼は、耳まで真っ赤にしていた。その様子がおかしくて、
ついにっこりと笑顔になってしまった。わたしはそのまま気分良く部屋を後にした。

「この性悪! 腹黒! ドS! 笑顔が黒いんだよ!」
悔しそうに罵る声が閉じた扉の向こうから聞こえてくる。しかしその言葉がわたしに
ダメージを寄越すことはあり得ない。
だって、それ全部、普段のあなたのことですよ。
0413名無しさん@ピンキー2013/03/22(金) 04:28:37.71ID:t8FWW9RV
>>412
寝る前に何というものをっ…
ごちそうさまでございました。続きがあったら読みたいです
0416名無しさん@ピンキー2013/04/01(月) 21:05:33.23ID:DCdGUCmU
ビッチ淫乱だと思うけど
むしろ褒め言葉だと思うのだが?
0417ニート様とわたしの22013/04/13(土) 23:15:22.86ID:C85BG8Hm
調子に乗ってビッチ淫乱を投下しに来ました

ほんのすこしですが凌辱描写あり
女性の生理現象についての会話あり

苦手な方は回避よろしく
0418ニート様とわたしの2 1/72013/04/13(土) 23:19:34.50ID:C85BG8Hm
「今日は駄目です」
「そんなあ」
わたしのブラウスのリボンを解こうとしていた手を止め、黒髪の青年が顔を上げた。
「何故だ、今日はもう寝るだけだろ? シビラの仕事の邪魔はしていない」

わたしの主な仕事は、主人の一人娘の教師兼世話係だ。先刻、そのお嬢様に絵本を読み
聞かせ、寝かしつけたところである。
「今日は調子が悪いのです」
「ん? 体調が悪いようには見えないが」
彼はわたしの顔をのぞき込む。
「顔色は良い」
わたしの頬を両手で挟み、コツンと額を合わせてきた。
「熱は無い」
右手を頬から滑らせ、首筋に指を添える。
「脈も問題無い……どこが悪いんだ?」
「それは……」
わたしは言いよどんだ。いや、言いよどむフリをした。
「アレです、女性特有の」
彼は一瞬怪訝そうな顔をして見せた。が、すぐに気がついたらしく、くるりと表情を変え、
わざとらしく「ああ」と声を出した。
「なんだ、月経か」
「そんなにはっきり言わないで下さい、セドリック様」

セドリックは、わたしが敬愛する主の、年の離れた弟だ。幼い頃は身体が弱く、家族全員
に甘やかされて育った結果、成長してそこそこ体力が付いた今でも、好き勝手をして
遊んで暮らしている。
わたしはお嬢様の教育係だが、主からはこうも命じられている──弟の話し相手になって
やってくれ、と。
館の外には出たがらない一流の引きこもりのくせに、外への好奇心だけは人一倍強い
らしい。ここに暮らしはじめてすぐの頃は、彼と色々な話をした。彼は本の虫で、知識量
は相当な物だったが、やはり実体験だと現実味が違うらしく、あれは本当だったのか、
そんなこともあるのか、と目を輝かせて聞いてくれたものだった。
しかし程なくして、彼の好奇心の矛先はわたしの身体の方に向いてきた。そして会話の
中からわたしの弱みを巧みに引き出し、半ば脅迫されたような形で関係してしまったのだ。
ただ、初回以外は無理強いしてまで抱こうとはしてこなかった。わたしをゆする材料を
握っていることで余裕があるからなのだろう。その気になれば、いつでも服従させる
ことができるのだ、と。
0419ニート様とわたしの2 2/72013/04/13(土) 23:24:08.17ID:C85BG8Hm
「残念だなあ、でも仕方が無い」
今日も割とあっさり引き下がってくれた。ほっとしたのを顔に出さないように気をつけ
ながら、では失礼します、と部屋を去ろうとする。
「ああ、待ってくれ」
そのわたしの肩をつかみ、セドリックは満面の笑みでこう言った。
「代わりに別のことをお願いしたい」
嫌な予感しかしない、こんな笑顔をわたしに向けるなんて、ろくでもない事に決まって
いる……。

この部屋にはたくさんの本がある。壁一面が本棚なのだからかなりの量だ。
本のジャンルは多岐に渡り、辞典類、各種専門書に始まり、古典文学、三文小説まで、
雑食もいいところである。わたしが見てもどこの国の文字なのかわからない物もある。
「これ、やってみたいんだ」
彼がある一冊の本を開いて見せてくれた。左側のページには小さな文字がぎゅうぎゅうに
詰まっており、右側にはその文章をわかりやすくするための図解が載っていた。
そう、とてもわかりやすい図だ。一目で何を表しているかがわかった。口淫だ。
「これは……なんですかね」
こんな下劣な書物が存在し、尚且つそれを彼が所有していることに驚いた。しかし、
なるべく表情を崩さないように冷静に、わたしは彼に問いかけた。
「あれ? これじゃわかんない? 女の人が男の生殖器を咥えて口唇と舌で愛撫してるんだ」
「それはわかります」
「なんだ、わかってるのか。ならば早速たのむ」
期待のこもった目でわたしを眺めると、今まで本の頁を繰っていた指先でわたしの唇を
なぞった。その瞬間、脳裏に苦い記憶がフラッシュバックする。

 複数人に手足を押さえつけられ、口をこじ開けられ、汚らしいものを無理矢理押し込まれ。
 頭をつかまれて、それを喉に何度も叩きつけられ、えずくと「下手くそ」と罵られた。
 「歯ぁ立てたりしてみろ、殺すぞ」と言われた。こんなことが続くのなら、いっそ殺して
 欲しかった。だから噛みついてやった。しかし殺されはしなかった。「このクソアマぁ!」
 顔を何度も殴られた。「殺せ! わたしを殺せ!」

「どうした? 怒ってるの?」
セドリックの声にハッとした。もう何年も前の事なのに、忘れたつもりだったのに、今は
安全な場所に居るのに、また思い出してしまった。
0420ニート様とわたしの2 3/72013/04/13(土) 23:27:28.28ID:C85BG8Hm
わたしは嫌な思い出を吹き飛ばすように頭を左右に振り、彼に向き直った。
「いいえ」
あまり拒否してばかりだとまた脅されかねないので、ここは大人しく従っておこう。
「そう、良かった」
彼はわたしの頭を撫でると、床に膝立ちになるよう促した。毛足の長いカーペットに膝頭
が沈む。
「初めてなのでどうすればいいのか良くわからないのですが……」
そう、自発的にしたことは無いのだから、初めてで間違ってはいないはずだ。
「わかった。僕が言う通りにしてみて……ああ、いいねその表情」
下から見上げているだけだが、彼には扇情的に見えるらしい。整った顔をだらしなく
にやけさせている。
「まずは脱がせてくれ」
ベルトを外し、衣服を緩める。中のものは既に硬くなっているようだ。
下着をずらすと、それはバネで弾かれたようにグンと上向いた為、わたしは驚いて軽く
のけ反ってしまった。

そういえば、何度も身体を重ねたにもかかわらず、彼のものをこのような至近距離で
見るのは初めてだ。ついつい観察してしまい、ついつい過去に見たものと比べてしまう。
わたしを慰み者にした男共のものは、もっと貧相で不潔であったように記憶している。
清潔なのは良い暮らしをしているから、角度は若さ故に、大きさは天性の物。とにかく、
彼のものの方が随分と御立派なようだ。
くだらない比較の為にくだらない過去に思いを馳せ、あげく勝手に不愉快な気分になり、
わたしはうつむき苦笑した。顔を背けたわたしを見て、恥じらっているとでも勘違いした
のだろう、セドリックは優しく髪を撫で、声をかけてきた。微妙に嬉しそうな声色なのが
むかつく。
「シビラさん可愛いなあ……でもちゃんとこっち見てね。ほら、握ってご覧」
言われた通り、右手で軽く握る。
「もうこんなに硬い……」
「今からこれが君の小さなお口に入ると思うと興奮しちゃって……、さ、裏から舐めて
みて、ゆっくりでいいから」
指示に従い、尖らせた舌先で裏側を根本からゆっくり舐めあげる。上から「おお?」と
上擦った声が聞こえてくる。棒の部分と先端のピンク色の部分との境を舌先が撫でると、
それは脈打つようにびくんと震えた。
「ああ、女の子みたいな声が出ちゃいそうだ。そのまま上の方──ここは亀頭と言うんだ、
これも舐めてみて」
舌を滑らせていくと、小さな割れ目にたどり着いた。透明な液体が少量染み出している。
0421ニート様とわたしの2 4/72013/04/13(土) 23:30:24.56ID:C85BG8Hm
「そこは…尿道口だ、又は鈴口とも言う。液体は、潤滑液、だ。量は、少ないが、女性が
濡れるのと、おな…じ」
ということは、こんな拙い愛撫でも気持ちが良いということか。段々説明が途切れ途切れ
になっているのも、そのことを証明しているようだ。
わたしは、その鈴口とやらに溜まった液を舌ですくい、すすった。
「ひあっ」
情けない声があがった。面白い。
液体は少ししょっぱいが、さほど不味いとも思わなかった。そのまま小さな割れ目を舌先
でちろちろとやっていると、額を手で押さえられて止められた。
「待て、待ってくれ、そこは一番敏感なんだ。君の陰核と同じだ、乱暴にしちゃあ
いけない」
乱暴にしたつもりは無かったが、とにかく刺激が強過ぎたのは理解した。
「思ってたよりずっと気持ちが良いな……腰が抜けそうだ。座っていいかな」

彼がベッドに腰掛け、わたしは彼の開いた脚の間に跪いた。
「次はどうしますか?」
「うん、咥えてみて。唾液たっぷり溜めてね」
うなずき、陰茎に手を添えた。口を大きく開き、顔を近づけると、彼が唾を飲み込む音が
聞こえてきた。
ぱくり。亀頭全体を包みこむようにして口に頬張る。歯を当てぬように注意しながら
唾液を絡ませていく。舌で塗り広げる。
「わ、わ、すごい」
動揺したような声色。やはり面白い。
一通り唾を塗りたくったので、今度はちゅうっと吸い上げて見た。
「あっ、それ駄目駄目! 吸わなくていいから!」
わたしは咥えたまま上目遣いで彼を見た。顔を紅潮させ、口元を押さえてわたしを
見下ろしている。
「やらしい顔……」
心外だ。必死で大きなものを頬張って涙目になっているのを、そのような一言で片付け
られるなんて。
「……顔を上下させて、出し入れするんだ。歯、当てないようにね」
その通りにしてみる。絡んだ唾液が卑猥な音を立てた。
「そう、舌も動かして」
上下運動を繰り返しながら、舌全体で裏筋を刺激する。難しい。わたしはあまり器用じゃ
無いのに。
「あっ、あ、上手いよ、気持ちいい」
更に硬くなった気がする。終わりが近いのだろうか。この拙い口淫で?
0422ニート様とわたしの2 5/72013/04/13(土) 23:34:19.89ID:C85BG8Hm
「手も、使って、くれ」
更に手淫を追加しろと言うのか。一度にやる事が多過ぎて、わたしの頭はパンクしそうだ。
しかしそろそろ顎も疲れてきた。早く終わらせて休みたい。だから指示通り根本を握って
しごく。ついでに上下動の速度も上げていく。
セドリックの言葉数がかなり減った。もう喘ぐばかりだ。
「も、もう出すぞ!」
しばらくして、絞り出すような苦しげな声が耳に入ってきた。わたしが口を離す間も無く、
熱い物が喉に叩きつけられた。その後も二度、三度と飛び出してくる。生臭いような、
なんとも形容し難い味と匂いが口の中に広がる。
「ふああっ」
背中を反らし、彼のものを吐き出すと、口の端からドロリとしたものがこぼれた。
「ああっ、まだ吐いちゃ駄目だ!」
慌てて彼がわたしの頭を捕まえる。両手で上向きに固定され、口を大きく開かされた。
「口の中見せてね。……うわぁ、沢山出しちゃったね」
口の端から流れた精液を指で拭う。
「君の褐色の肌には白が映えるね。……次は顔にかけたいなあ」
疲れ切った所にもう次回の話をされて、わたしはかなりいらついていた。そして、
「ねえ、それ全部飲んで」
その要望で、いらつきは限界を超えた。
わたしはセドリックの手を振り払い、すっくと立ち上がった。今までと逆にわたしが彼を
見下ろす形になる。驚いている彼の頬を両手で挟み、ぐっと顔を近づけ──口づけた。
逃げようとする彼の首に腕を巻きつけ押さえつけ、唇を唇でこじ開け、舌の上の液体を
唾液と共に流し入れる。苦しそうに呻いたが、まだ許さない、許してやらない。舌を
伸ばして彼の喉までぐいぐいと押し込んでやった。

彼の喉が上下して嚥下したのだろうとわかったので、ゆっくりと唇を離した。
「全部飲み込みましたね、セドリック様が」
わたしは胸がスッとしたあまりに、にっこりと笑顔になってしまった。
「……酷い、シビラさんは酷い人だ、僕にこんな物を飲ませるなんて」
両手で顔を覆い、情けない声で泣き言を述べている。しかし、その「こんな物」を
わたしに飲ませようとしのは彼なのだ。反撃を受けるのも自業自得である。まあいい、
一泡吹かせてやったんだ、このくらいで許してあげよう。
0423ニート様とわたしの2 6/72013/04/13(土) 23:38:15.13ID:C85BG8Hm
ところが、
「なーんて言うと思った?」
「……は?」
「このくらいで僕が泡吹くと思ったのか?」
え?え? 意味がわからない。わたしが彼をギャフンと言わせたと思っていたのに、なんだ
この態度は。少しもへこんでいない、何故?
「自分の精液なんて、もう何度も舐めてるって言ってんの。まあ、こんな大量に飲んだ
のは初めてだけど」
なんですと? わたしは今、彼が自身の精液を既に口にしたことがあるという事実に、
大きな衝撃を受けた。
「前日の食事内容やその日の体調で味が微妙に変わるんだよね。不味いのは共通してる
けど」
つまり一度や二度ではない、恒常的にそれを口にしているのか。あまりの変態ぶりに
呆然としていると、彼は追い打ちをかけてきた。
「ああそうだ、最初は気がつかないふりしてあげたけど、生理はウソでしょ」
なぜ? どうしてそんなことが男のあなたにわかるの? わたしは混乱した。
「わかるさ、毎日君を見てるもの」
意味がわからない。見ていたらなんだと言うのだ。
「例えば義姉さんの場合、普段はあんなに頻繁にお茶会を開いているのに、その時期に
なると全くやらなくなる。メイド達はその時期の子にはきつい仕事が回らないように
お互い気を使っている」
奥方様やメイド達の生理周期を把握しているのか……!
「ところがシビラ、君にはそれが、その不調な期間が無いんだ。僕の見立てでは、
少なくとも三ヶ月は月経が無いだろう」
「ひっ……!」
ひきつるような悲鳴が出てしまった。なぜわかるんだ。なんて気持ちの悪い男なのだ。
「妊娠している風でもない。となると、栄養が足りてないんじゃないか。ちゃんと食事は
摂っているのか? 好き嫌いは?」
畳み掛けるように質問が飛んでくる。
「もしやストレスか? 肌の色が違うからって誰かに嫌がらせでもされてるんじゃない
だろうな」
「ち、違います」
断じてそれは無い! この屋敷の人達は、主はもちろん、奥方様もお嬢様も使用人も全員
良くしてくれている。
もし、万が一わたしの不順の原因がストレスならば、わたしのストレッサーはどう
考えてもセドリック様ではないか!
0424ニート様とわたしの2 7/72013/04/13(土) 23:42:54.29ID:C85BG8Hm
「とにかく、僕にウソをついたんだ。主人の手に噛みつくような真似をしたんだから、
罰として朝まで相手をしてもらうよ、さあ服を脱いで」
「嫌ぁ…、オーベール様、助けて……」
思わず、最愛の主の名を出してしまった。これは失敗だ。わたしがあの方の話をすると、
セドリックはいつも神経を、そして情欲を昂らせる。兄に懸想するわたしを思うままに
することで、その兄に勝った気にでもなるのかもしれない。
つかつかと迫ってくる彼。寛げたままのズボンからは漲りを取り戻した陰茎が突き出して
いる。それから逃れたくて、わたしは後退った。
「残念、兄上は多分今頃は義姉さんに跡継ぎを仕込んでいる最中だ」
「えっ」
「わからないかなあ、義姉さん今日辺りが出来易い日なんだよ」
そこまで把握しているとは、この人は本物の変態だ。
「あの人達のことなんていいじゃない、僕らは僕らで楽しもうよ。さ、どんなお仕置きをされたいかい? シビラ」
じりじりと壁際まで追い詰められた。わたしより貧弱なはずのセドリックが猛獣に見える。
もう逃げられない。
わたしは寒くもないのにぶるりと身体を震わせた。それは恐怖によって、緊張によって。それから、ほんの少しの期待によって。
0426名無しさん@ピンキー2013/04/14(日) 03:12:48.97ID:OSKTbruW
>>425
乙です!
主人公の暗い過去が気になりつつも
「なんて気持ちの悪い男なのだ」「この人は本物の変態だ」
にwww
0428名無しさん@ピンキー2013/04/17(水) 09:44:06.38ID:MmG/Iv0m
シビラさんにそんなハードな過去があったとは。
しかし単に頭でっかち知識偏重なだけと思ってたセドリック
まじもんの変態すぎるw
その観察眼をもっと別の方向に生かせw
0429名無しさん@ピンキー2013/04/17(水) 17:29:09.44ID:8133oB41
まさに才能の無駄遣いの極致であるがエロに掛ける高い意識は称賛に値する

しかし生理不順か
種付け、孕ませ、ボテ腹、悪阻、出産ネタは大好きだが
男側が原因となっての生理不順とか新しいな
新たな萌え、抜きネタを発見出来た気がする
作者は天才だ
0431名無しさん@ピンキー2013/04/21(日) 01:33:33.09ID:tY03Gp/P
おお、淡々としてるのにねっとりしたエロさ!
すごいな・・・

これからの展開があるなら是非読みたい
が、過去に何があったかも気になるところ
0432名無しさん@ピンキー2013/04/21(日) 17:38:36.18ID:TQ/VnDfV
なんていうか粘りつくようなエロさがたまらない
続き期待
0433名無しさん@ピンキー2013/05/09(木) 23:43:46.05ID:l2PLFUoE
現代日本っぽいけど華族様とかが普通に居そうな世界で
色々ひねくれたおっさんな主人と優秀でそんな主人を慕う20代前半な女従者
そんなとこにやってくるこれまた色々事情がり
中学卒業直後におっさんのとこにご奉公にやってくる女の子
ぶっちゃけ売られたけど気弱だけど素直で
仕事をすれば学校にも通わせてくれるって事で主人に感謝して慕う

そんな姿に徐々に絆されていくひねくれたおっさん主人
そんな光景に嫉妬しつつも根が良い人だから
女の子に優しくしちゃう先輩の女従者
なんて電波が
0434名無しさん@ピンキー2013/05/11(土) 01:45:52.95ID:RPXRKebx
三角関係か
もっとハーレムでも良いのよ?
0435名無しさん@ピンキー2013/05/12(日) 14:58:28.23ID:TJRQPeXt
厳つくて中身はエロそうなおっさん主人と若くて見目麗しい美女と美少女……ゴクリ
0437名無しさん@ピンキー2013/05/22(水) 22:47:14.80ID:FEEg4S8y
当人の年齢による
成人した大人と幼児の組み合わせはメルヘンはともかくエロはちょっと苦手

現代物なら理想は2,3歳差かな
同じ高校とか中学にギリギリで入れない、いつも相手が居なくなった後の学校に入るしかない感じ。
小学一年生と六年生とかで、一緒だったのは小学校だけだったとかもいいな

ファンタジーだったら千歳でも二千歳でも違ってて構わない
0438名無しさん@ピンキー2013/05/26(日) 19:48:24.11ID:5mEjeNfy
年下の10代半ばか前半の御主人様と三十路処女メイド長で
他にも女従者と従者候補の女性は出るが
メインヒロインは三十路処女メイド長
0440名無しさん@ピンキー2013/05/29(水) 01:00:59.97ID:/84V1aTe
一回り以上も年下のご主人様の為に処女を大事に死守してきたアラサーメイド長か
内心若い娘に嫉妬したりするんか
0441名無しさん@ピンキー2013/05/31(金) 00:39:28.36ID:fMASyghX
投下期待
0444流れSS書き2013/07/10(水) NY:AN:NY.ANID:8zvQxUe5
まったくの新参者ですが投下します。
感想とかいただけたら嬉しいです。
設定としてはとりあえず主人公はイケメンです。

 1.
「今日も上玉はなし、か」
「すみません」
「仕方ないさ、アイルのせいじゃない」

 ここはS国の首都に置かれた司令室。
 いや、正確には旧S国というべきか。S国などという国はもはやこの世に存在しない。
 旧S国が降伏したのが3ヵ月と少し前。つまり俺がこの地に赴任してから100日ほどが経ったことになる。
 最初の頃は次から次に捕虜獲得の情報が入り、種付けに休む暇が無いほどだった。だが今はどうだ……
 たまに新たな捕虜獲得の情報が入っても、身寄りのない老人や子供がほとんど。
 俺が抱きたくなるような女など皆無に等しい。

「しかし、人工に比して捕獲数が不自然なほどに伸びていないのは確かです」
「俺たちが見つけることができていない隠れ場所なんかがあるのかもしれないな」

 俺の隣にいるのはアイル。俺の右腕と言ってもいい優秀な女だ。
 実際、アイルにはいろいろと助けられている。彼女がいなければ今の俺はなかった…かもしれない。
 まあ、感謝している。

「とにかく開店休業状態だな、これじゃ。」
0445流れSS書き2013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:Vx+6Eb9/
 2.
 言い忘れていたが、俺の仕事は『種付け』をすること。

 優秀な遺伝子を有すると認められた男が多く子孫を残すことで、社会はより発展する……
 誰が考えたか知らないが、それが俺の生まれた国を包む理念だ。
 男は小さい頃から強制的に様々な検査を受けさせられ、特に優秀性を認められた者は否応なく国家の厳しい訓練を受ける。
 そこでもさらに優秀な成績を残した者だけが『種付け師』としての生涯を送ることになる。
 そういうわけで、俺は気がつけば種付け師になってしまっていた。
 まあ、国家の強力な後ろ盾を得て女性を抱けるんだから、悪い仕事ではない。
 女を知らないまま死んでいく男も少なからずいることを考えると、むしろ恵まれているといえるだろう。
 だが断っておくが、決して楽な仕事ではない。
 それこそ寝る間を惜しんで種付けし続けなければならないこともザラにある。
 まず一般人に務まるものではない、ということだけは言わせてもらおう。

「カイト様、何をぶつぶつと…?」
「すまない、あまりに暇だったんでな」

 そう、暇なのだ。
 なにせ種付けする女がいないのだから。

「その…体調のほうは変わりありませんでしょうか?」
「とは?」
「カイト様に仕えて以来、これほど長い期間女性を抱かれなかったことは無い様に思います」
「ああ…確かにそうかもな」

 思えば、これだけ長い間女を抱いていないのは童貞の時以来だ。
 まあ、長いといっても5日ほどだが。
0446流れSS書き2013/07/11(木) NY:AN:NY.ANID:Vx+6Eb9/
  3.
 しかし毎日当たり前のようにやっていたことを5日間も取り上げられるのは意外と苦しいものだ。
 ヘビースモーカーはたった1日タバコを我慢することすら難しいらしいが、それと同じようなものだろう…か。

「体調は大丈夫だ。とはいえ今すぐにでも女を抱きたいというのが正直なところだけどな」
「では、カイト様が一度パスした女性に種付けしてはどうでしょう?」
「うーん…それはなあ…」
「年齢という点ではふさわしい女性なら多くいますが」

 確かに、それは俺の溜まった性欲を吐き出す最も簡単な方法だ。
 だが、俺は好みの女しか抱かない。
 種付け師たるもの女性の選り好みをするなという国の指導など、俺の知ったことではない。
 抱く女は自分で決める。そしてそれはアイルもよく知っている。

「やっぱりそれは俺のポリシーに反するな」
「そうですか…」
「まあ、まだまだ可愛い子がわんさか隠れてることはわかってるんだ」
「その…では……」
 アイルの決意を込めた瞳が俺を見据える。
「わ、私が相手では、だめでしょうか……」
0447流れSS書き2013/07/13(土) NY:AN:NY.ANID:iIAw06d5
  4.
「なに?」
「で、ですから、私でよければ……」

 俺はアイルを見た。
 顔も体も、もちろん申し分ないが…

「やめておけ」
「ど、どうしてですか!それとも、やはり私では不足でしょうか」
「そういうわけじゃない」
「で、ではなぜっ」
「じゃあ聞くが、男性経験は?」
「あ、ありません…」
「だろ。こんな所で安売りするな」
「私はカイト様にお仕えする身、処女を捧げることはむしろ本望ですっ!」
「……」

 俺は無言でアイルに近づき、その腕をつかまえる
「あっ…」
「知っていると思うが、俺の抱き方は少々乱暴だ。それでもいいのか?」
「もちろんです」
 間髪を入れずアイルは答える。決して視線をそらすことなく。
「途中でやめますは認めないからな」
 
0448名無しさん@ピンキー2013/07/14(日) NY:AN:NY.ANID:nncJ4eSn
ん?終わり……じゃないよね

細切れにせずにキリの良い所までちゃんとやって欲しい
せっかく面白そうなのにもったいないよ
0449流れSS書き2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:KlWHHjW/
すみませんでした。
一気にラストまで書き終えましたので全部投下します

  5.
「で、では…」
「ああ」
「う……くっ……」
 アイルがあお向けになった俺の上にまたがり腰を落とそうとする。
 そろそろと腰を動かしていると、ようやく入り口がモノの先端を捉えた。
「ぁ……」
「どうした、ずいぶん焦らすな」
「こ、ここで良いのですか?」
「ああ、そうだ」
 俺の返事を聞くとアイルは一瞬の躊躇の後、その体勢のまま腰を落としていく。
「くうぅっ…うぅぅっ…」
 懸命に接合を果たそうとするが、なかなか穴には入っていかない
 前戯で十分濡らしてやったとはいえ、所詮は処女だ。
 一般人男性の平均よりも一回り、いや二回りは大きい俺のモノがそう簡単に入るわけがない。
(まあ、そうだろうな…)
 俺はアイルの腰をつかまえる
「あっ…なにをっ…」
「そのままにしておけ」
 そう言って、アイルの腰を力づくで落とすと同時に、下から腰を突きこんだ。
「うああああぁぁぁぁっっ!!」
 処女膜から何からを裂きながら俺のモノがアイルの中に潜り込み、あっという間に最奥に到達した。
0450流れSS書き2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:KlWHHjW/
  6.
 アイルは俺の胸に両手をつき、はぁはぁと肩で息をしている。
 ほぼ全体重が俺に乗っかっていることになるが、そんな事もすらも考える余裕はないようだ。
(仕方ないな…)
 俺は上半身だけ起き上がり、アイルの両手を背中にまわすよう導いてやる。
 必然、アイルは俺にしがみつくような格好になった。
「はぁっ……はぁっ……」
 苦しそうな吐息がもれる。
 瞳には涙が浮かんでいた。
「痛いか?」
「はぁっ…はぁっ…だいじょうぶっ…ですっ…」
「泣いてるのか?」
「すみませんっ…無様な姿を…」
「いや、十分かわいいぞ」
「うっ…動きますっ…」
 ぎこちなく腰を動かそうとするアイルを、俺はぐっと制止する。
「あっ…」
「無理するな」
「でっ、でもっ…」
「まあ、お前がアイルでなければ好きにやってるところだけどな」
「すっ、すみませんっ…はぁっ…はぁっ…」
 ホッとしたように、容赦なく俺に体重を預ける。
 しばらくそのままの体勢だったのが地味に俺に体力を消耗させたということは黙っておいてやろう。
0451流れSS書き2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:KlWHHjW/
 7.
「も、もう、だいじょうぶです」
「そうか。じゃあ動け」
 俺は再びあお向けの体勢に戻る。
「は、はいっ…」
 多少の知識はあるのだろう。
 アイルはぎこちなく腰を動かし始めた
「くっ…あっ…ああ…ぅはぁっ…」
 苦痛と甘さの入り混じった声が俺の耳を楽しませる。
「あ、あの…これで良いのですか?」
「アイルはどう感じている?」
「よくわかりませんが…その、痺れてます…」
「そうか」
「あの…こうしていれば…良いのですか?」
「……」
 仕方がないとはいえ、アイルの動きは単調でイマイチだ。
 いい事といえば鍛えられているからか締まりがいい事ぐらいだろうか。
「もう少し早く動けるか?」
「が…頑張ります…」
「それから、リズムも適当に変えろ。不意を突かれたりするほうが気持ちいい」
「は…い…」
 アイルは素直だ。
 不慣れな動きながらも必死に俺のリクエストに答えようとする。
 そんな健気な姿を見ていると俺のほうも少しずつ興奮が高まってくる。
「そろそろ出すぞ」
0452流れSS書き2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:KlWHHjW/
  8.
「は、はい……あ、あの……中にですか」
「中と外とどっちがいい?」
 一応聞いてみるが、もちろん外に出すという選択肢など有り得ない。
 もし外と言ったら、逃げられないよう押し倒して無理やり中出しするつもりだったが…
「な、中に…お願いします」
 できる女だ。
 俺のことをよくわかっている。
「よし、いい覚悟だ」
 アイルの望みにこたえるべく、俺は射精のための動きを始める
「あっ…ああっ…ひあぁっ…!」
「望み通り中に出してやる」
 そして、数十回ほど奥を強く突いてから、アイルの中に大量の精液を流し込んだ
「うあぁぁぁぁぁ……」
 アイルは俺の射精が終わるまで、ずっと俺を抱きしめていた
0453流れSS書き2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:KlWHHjW/
  9.
 そして…
「はぁ…はぁ…あの…これでよろしかったでしょうか?」
「ああ、よく頑張ったな。これからも相手をしてもらう」
「あ、ありがとうございます」
 アイルはやり遂げた顔で俺のモノを抜こうとする
「何をしている?」
「あの、終わったのでは…」
「馬鹿をいうな。俺が1回で満足しないことなどアイルが一番よく知ってるだろ」
 俺は繋がったままアイルをベッドへと押し倒す。
「えっ、あ、あぁぁぁっ!」
 そしてそのまま、激しく腰を前後させた。
「ひいぃぃっ!やあぁぁっ!」
 アイルは先ほどとは比べものにならないほどの大きな喘ぎ、いや悲鳴を上げた
 だがもちろん俺の責め止まらない。
 最初にも言ったが、このところ満足に女を抱けていないのだ。
「さっきは初めてだったから自由にやらせたが、今回からは本番だ。俺の好きにさせてもらうぞ」
「あぁぁ!あぅぅっ!ああぁっぁぁぁぁっ!」
 アイルは力なく、俺の攻めを受け続ける
「ああぁっ!だめっ!止めてくださいぃっ!」
「甘えるな」
 アイルの懇願を無慈悲に却下して。
「最初に言っただろ、俺の抱き方は乱暴だと」
「うううっ…うああああぁっ…ひああぁぁっ!」
 そのままアイルの体を堪能し続け、体位を変えて3度中出しした
0454流れSS書き2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:KlWHHjW/
  10.

   1ヵ月後 −one month later−
「カイト様、お疲れ様です」
「まあ3人ぐらいならなんて事ないさ」
 天気は快晴、気持ちいいほどの青空。
 少し前の状態が嘘のように、最近は次々に女の子が運ばれてきて忙しい限りだ。
 優秀な遺伝子を残すため、今日も俺は身を粉にして種付けする。
「それにしても最近は、獲得捕虜が多すぎて困りますね」
「そうか?多いにこしたことはないじゃないか」
「そ、それはそうですが…」
 アイルは恥ずかしそうに俯いている
「その…最近カイト様に呼ばれることが少なくて…」
「ああ…」
 確かに、最近アイルを抱いていなかったな…
「すまなかった」
「あっ…」
 俺はアイルを抱き寄せる
「今日からまた毎日のように可愛がってやるから許してくれ」
「しかし、それでは種付けのほうに支障が…」
「アイルは別腹だ」
 俺はアイルに優しくキスをする
「んっ…カイト様…」
「ただ、俺の抱き方は少し乱暴だ。覚悟しておけよ」
「っ……はいっ」
                                完


というわけで途中サボってしまいましたが以上です。
感想とか批評とか要望とか頂けたら嬉しいです
0455名無しさん@ピンキー2013/07/15(月) NY:AN:NY.ANID:zZO7tnVv
GJ

しかしあれだな
従者には溢れる可愛げがあるのは良いよね
0456名無しさん@ピンキー2013/07/16(火) NY:AN:NY.ANID:PUDmlgVQ
gjです

アイルちゃん健気かわいい
他の女性に種つけしてる間も彼女はそばに控えてるんだろうか
0457ニート様の32013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
投下します

6レス予定

 本番なし
 微スカ……かもしれない
0458ニート様の3 1/62013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
今日はとても天気が良い。
真っ青な空には綿菓子のような雲がいくつか浮いている。
こんな日に外に出ないのはもったいないことだ。
わたしはフルールお嬢様と散歩をしている。とは言っても屋敷の敷地内ではあるが。
手をつなぎ、他愛のない話をし、歌を歌ったりしながら、春の花が咲き乱れる庭園を進む。
そして、わたしたちの後ろからもう一人。普段はテラスにすら出ようとしない引きこもり
の彼だ。
「叔父様! セドリック叔父様ー! 」
彼女は立ち止まり振り返ると、少し遅れていた彼を手招いた。呼ばれたことに気がついた
セドリックは、少しだけ歩みを速め、かわいい姪の隣へやってきた。
「叔父様も手をつなぎましょう」
差し出された小さな手を見て、彼は頬をゆるめた。いつもとわたしが目にするのとは違い、
裏や下心のある黒い笑顔ではない。
セドリックがお嬢様の手を握り返し、わたしたちはまたゆっくりと歩きはじめた。
「庭師に『おひさしぶりですね』って声かけられちゃったよ。そんなに長く外に出て
なかったっけ」
「わたしが来てからは初めてではないですか?」
えっ、と彼が声をあげる。
「そんなに? もう半年くらい経ってるだろう?」
半年も姿を見なかったのだから、その庭師からしてみれば「おひさしぶり」どころか
「生きていらしたのですか」と言いたいところだったのではないだろうか。
「たまにはこうやってお日様の光を浴びないと駄目ですよ、叔父様」
姪にまで責められている。少しは反省しているのか、それとも適当に聞き流している
のかは知らないが、「わかったよ」と彼はうなずいている。

しばらく歩くと、目的の場所に着いた。広い庭園の端に作られた、小さな東屋だ。
四本の白い柱にドーム型の屋根が乗っている。その屋根の下にはテーブルとベンチがあり、
ここで休憩したり庭を眺めたりできるようになっているのだ。
わたしはバスケットを開け、中の物をテーブルの上に並べはじめた。その間、セドリック
とお嬢様は庭を眺めながら楽しそうにお喋りをしたり、しりとりなどをしていたようだ。
「さあ、準備ができましたよ、お茶にしましょう」
二人が同時に振り返る。こうして見ると、この二人は良く似ている。特に目元が、優しげ
に少し下がった目尻とくっきりとした二重まぶたが似ているように思う。これは
オーベール様──二人の兄であり父であり、わたしの主であるあの方の特徴でもある。
血が繋がっているのだから似ているのは当たり前だ。しかし、体格のせいか輪郭のせいか、
あるいは性格のせいか、雰囲気は随分と違って見えた。
もう少しオーベール様を見習ってしっかりと大人の男性らしくしていてくれたなら、
もしかしたら少しくらいは好きになっていたかもしれない……。と、ここまで考えて
馬鹿馬鹿しくなった。たとえそんな感情があっても、わたしとセドリックとでは身分が
違う。彼だってそのことを理解しているから、好きだの結婚しようだの、冗談として
簡単に言えるのだ。大国の大貴族と辺境の小国の平騎士では釣り合うはずも無い。いや、
今は騎士ですらなかった……わたしの国は、故郷はもう……。
0459ニート様の3 2/62013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
「シビラは甘い物が好きなんですね」
スコーンに生クリームを乗せようとしているわたしの手元をじっと見ながら、
フルール様が訊いてきた。その焼菓子には既に蜂蜜がたっぷりとかけられている。
対して、若者と少女の前の皿の上のそれは、自分のより随分と控え目だ。つまり、
よく考えなくてもかけ過ぎだということだ。
「この国は菓子の種類も豊富ですし、乳製品も蜂蜜も美味しいですからね」
恥ずかしさのあまり言い訳じみた返答をしてしまった。表情には出さなかったつもりだが、
セドリックがフッと鼻で笑う音が聞こえてきてムカっときた。青筋が浮いてないだろうか。
「シビラの国ではお茶の時間は何を食べていたの?」
「そもそもお茶の習慣がありませんでしたが……小さい子供たちのおやつには生の果物を
出すことが多かったですね」
「南国だからフルーツは豊富なんだな」
セドリックが補足してくれたので、その通りですとうなずく。
「まあ、毎日フルーツが食べられるなんてうらやましいです」
「でも焼菓子は硬いビスケットしか無かったんですよ、ケーキやタルトももちろん
ありませんでした」
少女は途端に残念そうな顔になった。
「それは困りますね……」
それを見てセドリックが遂に声を出して笑った。
「ははは、自分だって甘い物が無いと駄目なんじゃないか」
「叔父様だって、夕食後のデザートが入らなくなるのは嫌だからなんて言って、食事を
残したりするではないですか!」
今度はわたしが笑う番だった。だって、まだ十にも満たない少女に言い返されて、「そんな
こと言ってないよ」と口を尖らせているのを見てしまっては、笑うしかないだろう。

「そういえばシビラの国のこと、フルールは全然知りません。どんなところですか?
お父様やお母様はどんな方ですか?」
「えっ」
思わず、菓子を口へ運んでいた手を止めてしまった。フルール様がきょとんとして首を
傾げ、こちらを見上げている。
一瞬の後、セドリックが彼女にちょっかいを出した。
「おっ、フルールは食べないのか? 僕が手伝ってやろう」
少女の皿に手を伸ばし、菓子を盗む真似をする。
「違います! 今から食べるから大丈夫です!」
たった今の沈黙が嘘であったかのように賑やかになった。
彼の行動は、かたまってしまったわたしを気遣ってのことだろう。わたしに自国のことを
話させるのは酷だとでも思ったのに違いない。その気遣いは有難いことだった、だけれども。
0460ニート様の3 3/62013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
「眠ってしまったのか」
「はい、かなり歩かれたのでお疲れだったようで」
どこからが敷地内なのかがわからないような広大な庭園をそこそこ長い時間歩き回った
上に、甘い菓子と甘いお茶で満腹だったのだ。子供が眠くならない道理など無かった。
帰りの道中は目をこすり、何度もあくびをしながらだった。
屋敷に帰り着くと、今にもその場で眠りこんでしまいそうだったお嬢様をどうにか着替え
させた。ベッドに寝かせるとあっという間にすやすやと寝息をたてはじめた。
そして今わたしは自分も着替えようと自室に戻って来たところだったのだが、何故か
そこにはセドリックが待っていた。
「今から着替えますので出て行ってもらえますか」
「む、使用人の分際で僕を追い出すのか」
そう言うと、彼は後ろからわたしに抱きついた。
「フルールのお昼寝の間は僕の相手をしてもらうよ」
首筋に唇を這わせながら、囁いてくる。
「やめてください昼間っから」
乳房をつかもうとする右手を払いのけ、尻を撫でていた左手をつねりあげた。
痛いじゃないか、と文句を言う彼を無言でにらみつける。
「そんな態度をとるのか。さっき助けてやったのに」
……あの時彼がお嬢様の気をそらしてくれなければ、わたしは他国との戦争で消えて
しまった故郷の話をしなければならなかった。それはわたしが辛いだけではなく、
フルール様がショックを受けるだろう。地理や歴史の勉強もいつかはしなければならない
が、彼女はまだ幼い。今はまだその時期では無いはずだ。
だからセドリックの機転には感謝している。
わたしは抵抗をやめた。
「いい子だね、良くしてあげるからね」


机に腰を掛けさせられ、脚を開かされ、わたしは到底人には見せられない姿で目の前の
セドリックの行為を眺めていた。
彼はわたしの開いた脚の間に顔を埋め、鼻をすりつけてみたり息を吸い込んでみたり
している。
「そのような不浄な処を嗅いで何が楽しいのですか、高貴な方のなさる行為では
ありませんよ」
彼は目線を上げもせず、答えた。
「自分の身体の一部を不浄だなんて言ってはいけないよ」
「しかし」
窓から見える外は相変わらずいい天気で気温も高めだ。その中をゆっくりとはいえ長時間
歩いていたのだ。背中も脇も、もちろん彼が顔を寄せている箇所も、じっとりと汗を
かいていた。
0461ニート様の3 4/62013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
わたしの言いたいことに気がついたらしく、彼は先回りする。
「汗臭い方がかえって人間らしくて好きだ」
言いながら、脚の付け根を下着との境に沿って、舌先でつう、と撫で上げた。
「……!」
ぞく、と震えが走った。声を出さないために、わたしは口を引き結んだ。
「みんなここから生まれて来たんだ。不浄だなんて言ったら罰があたる」
「わたしは子供を産んだ憶えはありませんが」
彼はちらりと目を上げ、わたしの顔を一瞥した。
「……君のその、生真面目というか糞真面目な言葉の捉え方は嫌いじゃない」
どうやら馬鹿にされている。わたしはこめかみがピクピクとひくつくのを感じた。
そんなわたしの様子など気にも留めない風に、彼は続けた。
「君もそのうち産むんだよ、シビラ」
適当なことを言ってくれる。故郷に暮らしていた頃からそのような縁には恵まれて
いなかったが、今は更に縁遠くなってしまっているだろう。こんな汚れた者など、誰が
もらってくれるものか。
「ああ、大分濡れてきたね」
そうつぶやくと、下着の上から敏感な箇所を刺激し始めた。
「ひゃぁん」
喉から間抜けな声が吐き出され、ネガティブな思考は一瞬にして吹き飛んだ。
「良い反応だ」
それだけ言うと、彼は再び愛撫を始める。薄布ごと突起を唇で挟み、かと思えば舌で
小刻みに突つき、その次にはゆっくり時間をかけて舐りあげた。
「あ、やっ、だめっ」
指が下着の中に侵入してきた。入り口を撫でるように往復し、ぬるぬるとした体液を
その指に絡ませていく。
「駄目? こんなになってるのに。ほら」
浅く出し入れしてくちゅくちゅと音をたてたかと思うと、すぐにその指を引き抜いて手を
ヒラヒラと振った。わたしの目の前に突き出し、濡れて光る指を見せつけてくる。
自分の下半身のだらしなさを目の当たりにして頬が熱くなる。悔しくて顔を背けると、
彼はその反応に満足したのか、愉快そうに笑みを浮かべた。

再び指が入ってくる。
身長はわたしとそれほど変わらないのに、手はひとまわり大きい。もちろん指もその分
長い。
その長い指が、自分では届かない深い所を掻きまわす。激しい動きではなかったが、
弱い部分をじっくりと攻められて、身体が熱くなる。声を出すまいと堪えても、ため息と
共に小さく漏れてしまう。机の上に突いた手がぶるぶると震え、今にも身体を支える
役目を放棄しそうだ。
「んっ……あっ、い、いっ……!」
「もうイってしまいそう?」
わたしは言葉で答えられず、首を激しく左右に振った。でもそれは嘘だ。もう我慢
出来ない。こんなに簡単に達してしまうなんて、彼はどれだけわたしの身体を知り
尽くしていると言うのか。あるいはただ単にわたしが淫乱なだけか。
「あっ、だ、だめ! もう──!」
視界が白く飛んだ。わたしはあっけなく絶頂してしまったのだ。
0462ニート様の3 5/62013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
気が付くと、わたしは先ほどと同じ姿勢で机の上にいた。意識が朦朧としていたのは
ほんの一瞬だったらしい。
「イく時にものすごい力で締め付けてくるね。食いちぎられるかと思ったよ」
下品な冗談に反論する気力も無い。わたしには睨みつけるくらいしか出来ることは
無かった。
「そんな顔されると、もっと虐めたくなる」
入ったままの指が、再び動き出した。同時に口唇での愛撫も再開する。
「や、あああ! いやっ、まだ、あっ」
達したばかりの身体に痺れが走る。中を擦られ、外を吸われ、わたしの身体は
びくんびくんと痙攣した。腰が浮く、脚が震える。
しかしながら、彼は愛撫をやめようとはしない。再び訪れる快感に、わたしは身体を
横たえて休むことも許されない。
目を固く閉じると、目の前にちかちかと星が舞って、身体がふわと浮いたような気がした。
またイってしまう?
しかし、わたしを絶頂へと押し上げようとする波の中に、別の感覚が混じりだした。
この感覚はよく知っている、これは──尿意だ。
「あっ、だめっ、止めて! お願い!」
「ん? どうした」
切迫したようなわたしの喘ぎに、彼は顔を上げた。しかし指の動きは止めない。
「おねが……あっ、行かせて、ねぇ!」
「大丈夫だって何度でもイかせてあげるよ」
掻きまわされる。水音はますます激しくなる。
「ちがうの! ね、御手洗い、行かせて! 」
「!」
彼がほんの一瞬、動きを止めた。

「わかった、いいよ」
良かった。このまま続けられていたら、とんでもない醜態を晒しただろう。ほっとした
わたしが安堵のため息をついたその時だった。
彼が指の抽送を再開したのだ。
「あんっ」
思わず甲高く喘いでしまった。
更にもう片方の手が陰核を捏ねはじめる。それは舌先より乱暴で、痛みを感じる一歩手前
の強い刺激だった。
「あ、なんで!?、や、やめ……!」
抗議をしようにも、まともに喋ることも出来ない。両の手から与えられる刺激によって、
強烈な快感と尿意が押し上げられる。
「いいよ、ここで出して」
「うそっ、なに言って……ああっ」
無茶苦茶な提案を聞いてわたしは震えたが、それが恐怖からなのか怒りからなのかも
わからなかった。あるいはただ単に快感によって身体が震えただけなのかもしれない。
「ゆか、よごれます、やっ、ダメぇ!」
「大丈夫、全部僕が受け止めるから」
うけとめる? 何を? どうやって?
声にならないわたしの疑問をどう察知したのか、彼は小声で、しかしはっきりとこう
答えた。
0463ニート様の3 6/62013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
「君のおしっこを、僕の口で」

頭の中が真っ白になった。
「君のなら汚くないはず」だとか「新しい世界が開けるかも」だとか、意味不明な理由を
述べていた気がするが、わたしはそれどころでは無かった。
抵抗しようにも感じすぎて身体に力が入らない。机のへりをつかんでいる手を緩めたら、
一気に決壊して漏らしてしまいそうだった。
「ああ……! そこ、いやっ、きもちいいのぉ!」
「あー、ここヒクヒクしてる、もう限界かな?」
わたしの両脚の間から楽しそうな声が聞こえてくる。
もう駄目だ。我慢出来ない。
わたしは快楽に抗えず、諦めて羞恥も尊厳も放り出しそうとしていた。
その時だった。
わたしの身体が勝手に動いた。動かしたのは最後に残っていたほんの少しの理性かも
しれない。それとも無防備な姿を見せたくないという本能だろうか。
とにかく全ては無意識だった。
無意識で右足を曲げ伸ばし、無意識で足の裏が彼の肩を押す。無意識でその足を振り上げ、
無意識でかかとを彼の脳天に叩き込んだ。
ドサリと崩れ落ちるセドリック。目を回している彼を見て、わたしは我に返った。
机から飛び降りる瞬間、赤い色がわたしの目の端に映った。多分鼻血だ。なんてことを
してしまったんだ。主(の弟)に暴力を振るうなんて!
しかしわたしには時間が無かった。
「後で手当てします!」
スカートの裾を整えながらそう叫んで部屋を飛び出した。


「申し訳ありません……」
顔やら服やらに付いた血液を拭いながら、わたしは謝罪した。もし打ち所が悪かったら、
鼻血では済まなかっただろう。
「いや、僕も悪かった」
セドリックは大人しく手当てされながら、わたしを見上げた。
「調子に乗り過ぎた。君が悦んでいるのか、それとも本気で嫌がっているのかを見極め
られないなんて……ごめん」
「セドリック様……」
二人の力関係を考えれば、どんな目に合わされても文句は言えないはずなのに……優しい
人だ。わたしが普段生意気な口をきけるのも、優しい彼がそれを許すのが分かっている
からだ。
「ああ、でも」
「はい」
「君の気が変わったら、いつでも飲んであげるからね」
鼻に脱脂綿を詰めたままそう告げる彼の顔には満面の笑み。
「一生変わりませんよ……」
やっとの事でそう返答したが、脱力してしまったわたしの声は、か細く力無いものだった。
0464ニート様の32013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:pXSYolkp
終わります

では皆様おやすみなさい
0466名無しさん@ピンキー2013/07/20(土) NY:AN:NY.ANID:cKOCbGXF
GJ!! シビラさんの過去がだんだん分かってきたねー
この主従なんだかんだで仲いいのに
肝心なところでいい雰囲気をぶち壊すニート様が流石すぎて笑うwでも萌えるww
0467名無しさん@ピンキー2013/07/22(月) NY:AN:NY.ANID:qQqPRgPF
やっぱり女を従える男たるもの真性の変態でなくてはいかんな
0468名無しさん@ピンキー2013/07/27(土) NY:AN:NY.ANID:rcRynChm
優しい人だ・・・とか言い始めるなんて
ヒロインこのままDVの被害者並みに落ちていきそうだなw
0469名無しさん@ピンキー2013/08/10(土) NY:AN:NY.ANID:fX44rF+4
DVの被害者とか適切な表現過ぎでワロタw
だがそういう関係好きよ

女は従順なのが宜しい
0470カイト×アイル22013/08/14(水) NY:AN:NY.ANID:ajxpIdvp
 はじめに、今回は短いです

 1.
「うっ…」
 仰向けになっているカイトの股間からは、凶悪な大きさのモノが隆々とそびえている。
 アイルはその頂点に狙いを定め、ゆっくりと腰を下ろす。
「あっ…いっ…痛っ…」
「無理するな。ゆっくりでいいからな」
 カイトがアイルを抱くのはこれがまだ3回目。
 アイルは痛みに耐え必死に腰を下ろすが、カイトのモノを全て飲み込むことがなかなかできずにいる。
 まあ、そんな姿もカイトの目を楽しませているわけだが。
「んっ……くっ……ま…まだ…?」
 カイトはアイルの手をつながっている部分へと導き、自らの手で余っている部分を確認させる
「う…そ…まだ…こんなに…」
 なおも必死に腰を下ろそうとするアイルをカイトが手でそっと静止する。
「今のアイルならこれだけ挿れることができたら十分だ」
「で…ですが……」
「この前よりも進んでるぞ。まあ無理せず少しずつ頑張れ」
「は、はい…私…頑張ります…だからっ…」
「よし、動くぞ」
「あっ…あああっ!」
 カイトはアイルが言葉を紡ぐ前に勝手に注挿を始める。
0471カイト×アイル22013/08/14(水) NY:AN:NY.ANID:ajxpIdvp
 2・
「んんっ…あっ、ああっ…」
 カイトの動きに合わせて、ベッドのスプリングがギシギシと揺れる。そして、アイルの身体も。
「アイルも自分なりに動いてみろ」
「えっ…ひあっ…」
 カイトの突き上げにアイルはまったく動くことができず、ただマグロ状態となってしまう。
「いいかアイル、いい女の条件にはベッドのテクニックも必要だ」
「テ…テクニック…とはっ…ひあっ!」
「俺を楽しませるように腰を動かすとか、中を締め付けるとか」
「はっ…はいっ…いいいっ…」
 言われたとおりしようとアイルはとりあえず腰を動かしてみるが、残念ながらカイトに快感を与えるものには程遠い。
「そ、そのっ…どうでしょうかっ…くぅっ…!」
「うーん……まあ頑張ってくれてるのはわかるが…」
「ううっ…すみませんっ…どうすればいいのかっ…ああっ…!」
「それはアイルが考えろ」
「ひうっ…すみませんっ…」
「次までの宿題だ、アイルは優秀な女だから期待してるぞ。まあ今日は一方的に気持ちよくしてやる」
「はいっ…ん、あうっ…んっ…んんっ…!」
0472カイト×アイル22013/08/14(水) NY:AN:NY.ANID:ajxpIdvp
 3.
 いつのまにか体位は正常位へと移行し、アイルはカイトの下で責めを受けるだけとなった。
 カイトのモノがおかまいなしにアイルの中を行き来する
「はうっ、うっ、あうぅっ…!」
 ぐりぐりと奥を突くと、アイルは期待通りの大きな声をあげる。
「ああっ…カイト様のっ…きついっ…はうっ…!」
「うむ。俺のモノは凶暴だからな」
「だ、だめっ…ですっ…奥にっ…深すぎっ…てっ…はあぁっ…!」
 アイルは既に息も絶え絶えといった感じだ。
 そんな様子を確認してカイトはスパートに入る
「ああぅっ…だめっ…だめっ…はああっ…!!」
「よし、いくぞ」
 短く宣言して、たっぷりと中に射精した。
0473カイト×アイル22013/08/14(水) NY:AN:NY.ANID:ajxpIdvp
 4.
「あ……」
 目が覚めると、私はカイト様の胸に抱きとめられているのがわかった。カイト様の温かい体温を感じる。
(カイト様…寝てるんだ…)
 キレイに整った寝顔は子供のようで母性本能をくすぐられる。
(カイト様…)
 カイト様のお腹にそっと触れてみる。無駄な脂肪はなく、引き締まった腹筋が寝息に合わせて前後する。
 そして、そのまま手をそっと下方へと移動させる…
(これが…)
 少し前まで、私の中を行き来していたもの。
 今はもちろん力なく萎えた状態だが、それでいて手に余る大きさとどっしりとした重量感。
 すやすやと寝息を立てるキレイな顔からはとても想像できない…
(やっぱり、すごい…)
 改めて感じるカイト様の逞しい体。アイルの手も少しずつ大胆な動きになって……
「…ん……」
(っ…!)
 突然のカイトの声にアイルは慌ててその手をカイトから離す…!
「ん、アイル、起きてたのか…」
「カ、カ、カ、カイト様!?」
 ば、ばれた…?
 心臓ばくばくのアイル。
「んん、何か変な夢見てたなぁ…」
「へ、変な夢ですか?」
「ああ。なんかアイルにべたべた抱きつかれる夢だった」
「な、なるほど…で、でも、カイト様に夢に出られて嬉しいです、あははは…」
「まあ現実とはキャラが違ったけどな」
「そ、そうですよ、あははは…」
「まだ眠いな…おやすみ」
 そう言ってカイト様は再び寝息を立てはじめる。
 完全に寝てしまったことを確認してから、そっとつぶやく。
「好きです、カイト様…」
 そして、再び、その体をカイト様に預けて……
「ずっと、傍に、いさせてください…」


以上です。ありがとうございました。
3の構想もなんとなくできてるので、近いうちに投下します
0475名無しさん@ピンキー2013/09/19(木) 21:00:52.31ID:zvoIASRf
(´-`).。oO(という夢だったのさ
0476名無しさん@ピンキー2013/09/20(金) 12:36:40.31ID:VwPBTnFB
ニート様待ち
0477名無しさん@ピンキー2013/11/01(金) 15:57:53.56ID:WA1Q1MZy
かわいい従者が優しく起こしてくれたらがんばって仕事行く
0478ニート様の42013/11/02(土) 00:46:26.58ID:FzIQ9/o4
投下します

10レス予定
男の娘くずれ注意
0479ニート様の4 1/102013/11/02(土) 00:50:24.49ID:FzIQ9/o4
今日の仕事が終わり、私は自室に向かっていた。
いい一日だった。
だって何も変わったことが起こらなかったんだもの。平穏無事とは素晴らしい言葉だと思う。
いつも私を振り回すあいつも現れなかった。私は彼にペースを乱されることなく一日を
終えたのだ。

とにかく、あとはベッドに潜り込んで眠るだけだ。
軽い足取りで長い廊下を進む。あの角を曲がれば女性の使用人の寝室が並ぶ一画で、
その中に私の部屋──ありがたいことに個室をあてがわれている──がある。

いよいよその角に差し掛かった時、その先から人の気配を感じた。
私はなんとなく嫌な予感がしたので、身を潜めそっと様子をうかがった。私の部屋の前に
メイドが立っている。

この時間、近くの部屋を使っている若いメイドたちはもう休んでいるはずだ。なのに
扉の前の彼女は、寝間着ではなく制服、いわゆるメイド服を着ている。私に何か用が
あるのだろうか。
しかしこのメイド、……誰だっけ? 見覚えが無い。
年は私と同じくらいに見える。色白で整った顔立ちだが、肩までの黒髪が顔の半分を
隠している。年配のメイド長が見たら「髪はきちんと纏めなさい!」と叱られそうだ。
メイドは腰を屈めてドアノブに顔を近づけている。どうやら鍵穴を覗こうとしている
らしい。不審な行動に眉をひそめながら、次は何をするのかと見守る。今度は扉に
耳をくっつけている。聞き耳を立てているのか。
どう考えても怪しい動きだ。使用人に変装して忍び込んだ盗賊だろうか。だが盗みを
働くなら主たちの寝室や宝物庫を狙うのではないだろうか。
ともかく、この不審な女を捕らえよう。女は耳を扉に貼り付けるために向こうを向いている。
私は足音を立てぬようにそろりそろりと彼女に忍び寄った。
間抜けな侵入者は私がすぐそばまで近づいているのに気がつく様子は無い。
騒ぎを起こしてしまうと、昼間の仕事で疲れているであろう本物のメイドたちの眠りを
妨げてしまう。なので女の腕をつかむと同時に、ごく小さな声で話しかけた。

「何者だ」

ひ、と息を飲む音が聞こえた。

「ここで何をしている」

女がゆっくりと振り向いた。

「シ、シビラ……」
「!」
0480ニート様の4 2/102013/11/02(土) 00:52:30.71ID:FzIQ9/o4
私は驚きを隠せなかった。賊が私の名前を知っていたからではない。その発した声に
驚いたのだ。
これはよく知った声だ。サーっと血の気が引いていくのを感じた。私は長い廊下の左右を
見渡して誰にも見られていないことを確認すると、素早く部屋の鍵を開けて、中へ
メイドを押し込んだ。

「いったい何をされているのですか!」

私は小声で彼女……もとい彼を問い詰めた。

「なんでそのような姿なんですか、セドリック様!」


最初こそばつが悪そうにしていたセドリックだったが、すぐに開き直っていつもの横柄な
態度になった。私のベッドに足を組んで腰かけ、長めのスカートからスネ毛の生えた足を
のぞかせている。ああ気持ちが悪い。

「こんな趣味までお持ちとは知りませんでした」
「そりゃ誰にも言ってないから知らないわな」

セドリック曰く、以前から自分の部屋の中だけで時々女装を楽しんでいたそうだ。小さい
頃から色々な人に「女の子みたいに可愛らしい」と言われていたそうで、その結果女の子
の服を着てみたくなったと。10歳頃からということなので結構年季が入っている。私が
ここにやってきてからは退屈しなかったので最近はやっていなかったとも。そのまま
やめてしまえば良かったのに、なぜまた着てしまったんですかねぇ。

「だって……さっき鏡見てたら気がついたんだよ」
「はあ、何にですか」
「なんか最近顔の輪郭がゴツくなってきた」

どこがだ。子供の頃の彼を知らない私にはわからない。

「それに、ヒゲも生え始めた頃より濃くなった気がする」

これもわからない。つるっつるじゃないか。そういえば引きこもりのくせにいつも顔の
手入れを綺麗にしているのは女の格好をするためだったのか。

「だから今のうちに思う存分やっておこうと思ったんだ」
「はあ」
0481ニート様の4 3/102013/11/02(土) 00:55:16.82ID:FzIQ9/o4
間の抜けた返事をしながら私は得心した。
女と見紛うような美少年だったという彼も二十歳近くになっておっさん……もとい大人の
男性らしい外見に変わりつつある。(脳みその方も早く大人になって欲しいものだが、
それはまあ置いておく)
そうなれば女装に無理が生じてくるから卒業しなければならない。彼は決して男色の気が
あるわけではなく、あくまで可愛くて綺麗な自分が好きなだけなのだから。

「このナルシストが……」
「ん? なんか言った?」
「いいえ、何も」

思わず雑言が口をついて出たが、セドリックにはよく聞こえなかったようだ。

「それで、その誰にも見せたことのない姿のまま、何故私の部屋に遊びにいらしたの
ですか? しかもコソコソと」

彼は「あー」と思い出したかのように声をあげると、一瞬口ごもった。

「……怒らないで聞いてくれよ?」

つまり私を怒らせるような理由なのか。当然腹を立てないという確信は持てないので、
私は頷かない。
しかしこの図々しい男は沈黙を肯定だと受け取ったようだ。

「女物の衣装はいくつも持っているんだ。あ、どうやって手に入れたかは秘密だけどね」

別にそんな秘密は知りたくもない。

「だけど、未だ入手できてない物があるんだ。それが無ければ女装は完璧とは言えない。
で、君に借りようと思ったの」

本当は黙って持っていこうと思ってた癖に。

「それとは何なんですか?」
「えっとね、女性用の下着」
「……は?」
0482ニート様の4 4/102013/11/02(土) 00:58:50.91ID:FzIQ9/o4
化粧道具あたりだろうと予想していた私は、その答えを聞いて空いた口が塞がらなかった。
セドリックは呆然としている私を見て、「よかった怒られなかった」などと的外れなことを
ほざき、スッとベッドから立ち上がった。

「では早速物色させていただこう」

言うが早いか、大股で部屋の隅のチェストに向かって歩きだす。彼が引き出しに手を
かけたところで私は我に返った。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」

慌てて後を追って引き止めようとしたが、既に彼の手にはひらひらした何かが数枚
握られていた。そしてそれらを一枚一枚広げて吟味し始めた。

「オーソドックスな白!」
「あっ! やめっ!」
「わあ! 黒のレースだ」
「あわわ、やめてくださいって!」
「これはこの間やった時に履いてたやつか」
「わーっ! 返して、返して!」
「ガーター発見!」
「ぎゃーっ!」

セドリックは私の下着を広げては放り投げ広げては放り投げを繰り返し、私は小声で
悲鳴を上げながら床の上のそれらを拾い集めた。次々に飛んでくる布切れたちを回収する
ので精一杯で、変態の手を止めることが出来ない。

「うーん、どれもこれも魅力的で悩むな」

伸縮性の高い生地でできた膝上の靴下をびよんびよんと伸ばしながら、セドリックは
眉間にシワを寄せた。
待て、それは私のお気に入りのストッキングだ。そんな乱暴に扱われては困る。
焦った私はそれを力ずくで取り返そうと飛びかかった。
0483ニート様の4 5/102013/11/02(土) 01:01:38.60ID:FzIQ9/o4
「それ駄目ですっ、返して!」
「おっ? わっ! 危な!」

ストッキングを握る手を開かせようとしたが、紙一重でかわされる。ところが、
かわしたはずみで彼はバランスを大きく崩してしまった。あっ、と思った時にはもう
後ろへぐらついていた。

「危ない!」

反射的に彼の方へ手が伸びる。手首をつかみ、服の襟元をつかみ、倒れないように
引き寄せようとした。
が、少し遅かったらしい。
私とセドリックは派手な音を立てて床にひっくり返ってしまったのだった。

「痛たたたた……」
「大丈夫ですか!?」

床にぶつけてしまったらしく、セドリックは後頭部を手で押さえてうなっている。私は
半身を起こして上から彼の顔をのぞきこんだ。

「お怪我はありませんか?!」
「ん……ちょっと痛いけど大丈夫。それよりもシビラ、重い」
「んあっ!」

動転して変な声が出た。
倒れた時に覆いかぶさった状態になったらしい。私は仰向けになっているセドリックの
腰のあたりにまたがっていた。
屈辱的な話だが、身長では彼に少し負けているのに体重では私の方が勝っている──
引きこもりで見るからに運動不足の彼と、元騎士で今も早朝の剣の稽古を欠かさない
私とでは筋肉量が比較にならないから仕方がないけれど──。
とにかく、自分より目方の重い者が上に乗っかっているのだ、さぞ苦しかっただろう……
と心配したのに。

「女性上位か、積極的だな」
「違います!」

このセクハラ発言である。
ムカつきつつ、慌てて飛び退こうとしたのだが、それよりも早く下から腕をつかまれた。
グイっと勢いよく引き寄せられる。
もう一度彼の上にふせた私の耳に、彼の唇が近づいた。
0484ニート様の4 6/102013/11/02(土) 01:04:38.85ID:FzIQ9/o4
「僕があんまり可愛いかったからって押し倒すなんてせっかちだな」
「アホか」
「ん?」

いけない、つい本音が口から飛び出た。
しかしセドリックは意に介することなく次のセリフを放つ。

「照れ隠しとは言え酷い暴言だね。そんな恥ずかしがってるフリなんてしなくていいよ、
僕は積極的な女の子は好きだよ」
「あっ」

私が何か言い返すより早く、舌が耳朶を撫でた。背中側に回された手が腰をすうっと撫でる。
まずい、逃げないと。私は床に手を突き再び体を起こそうとした……のだが、
セドリックはそれを見越していたのか絶妙なタイミングで背骨に沿って指を走らせた。
ぞわっと全身の産毛が逆立つのを感じた。「ひっ」と小さく悲鳴を上げてしまう。

「あ、感じちゃった、かーわいー」
「ち、違います、あ、ひゃああ」

舌が耳に差し込まれた。尖らせた舌先の蠢きが音となって直接聴覚を刺激してくる。
気持ち悪さとくすぐったさと気持ちよさがないまぜになって頭が混乱してきた。
声が出そうになるが、ぐっとこらえる。隣の部屋に私の妙な声が聞こえたら、何事かと
心配して見に来るかもしれない。この状況を見られたら……どうなるのだろうか。
考えたくもない。

耳を犯されながら、いつの間にか体勢
は逆になっていた。セドリックは床に横向きに転がされた私の上にのしかかり、耳朶を
甘噛みし、首筋からうなじへと唇を這わせる。同時に腰をさすっていた手がスカートを
たくし上げて太ももを撫でまわしている。その力加減がまた絶妙で、身体の力が抜けて
逃げることが出来ない。

「んっ、くっ……ダメ、出ちゃう」
「声? 駄目だよ、我慢して」
「んんっ……」
0485ニート様の4 7/102013/11/02(土) 01:08:17.08ID:FzIQ9/o4
顎をつかまれて唇を唇で塞がれた。すぐに熱い舌がぬるりと侵入してきた。私はそれに
自分の舌を絡ませ夢中で貪った。
いくら彼がテクニシャンであろうと、ちょっと触られただけでこうやって快楽に堕ちて
しまうなんて、なんて情けないんだろう。節操無くてだらしなくて、きっと私のような
女を淫乱とか尻軽とか言うのだろう。
弱みを握られて仕方無く、なんて言い訳に過ぎない。迷惑そうなフリをして、でも本当は
振り回されて、おもちゃにされて喜んでいるのだ。

私は彼の背に回した腕に力を込めた。
唇が離れてくちゅりと唾液が鳴る。
ゆっくりとまぶたを開くと、彼と目が合った。
そういえば今のセドリックはメイドだった。元々が色白だから気がつかなかったが、
よく見ると薄く化粧までしている。口紅は剥げてしまっているが。今から女の姿のままの
彼と行為に及ぶのか……、妙な気分だ。しかし倒錯的なこの状況に高揚もしている。頭の
中が蕩けているせいで、彼が妙に色っぽく見えて鼓動が速くなる。

下着に手をかけられた。

「腰を浮かせて」

私は頷いて言う通りにする。
それはするすると下ろされてあっという間に足から抜き取られた。

「あ、もう準備万端。ぐっしょり」
「言わないでくださいよ、そういうの……」
「だって脚なでなでしただけなのに」
「…………馬鹿、あっ」

またひっくり返されて、今度はうつ伏せにされた。彼は私の腰を抱いて引き上げる。
どうやら四つ這いにしたいらしい。何でもいいから早くどうにかして欲しいので大人しく従う。

「上はきっちり着てるのにお尻だけ出てるのって悪くないね」

尻肉をぐっとつかまれる。中から溢れたものが内腿を伝うのがわかった。それに気が
ついたセドリックが生唾を飲み込んだのも。
衣擦れの音が聞こえてきた。ちらりと見ると膝立ちになった彼がメイド服の長いスカート
部をまくりあげている。普通メイドには付いてないであろうモノが現れる。……そっち
だって準備万端じゃないか。
私がそれを見ているのに気がついたセドリックがにやりと口の片側をつりあげた。
0486ニート様の4 8/102013/11/02(土) 01:10:33.28ID:FzIQ9/o4
「そんな物欲しそうな顔で見ないでよ。ちゃんとあげるから」
「……そんな顔してませ、んっ……」

反りかえったモノを入り口に充てがわれた。また溢れる。
すぐにでも挿れて欲しいのに、彼は先端でなぞったり、ひたひたと音をさせたりして遊ぶ。
もどかしくておかしくなりそうだ。

「ね、意地悪しないで……」
「お、やっと本音が出たね。でもおねだりはもっと上手にしないとね。ほらお尻振って」
「……」
「ほら、どうしたの、何て言うの?」
「……ちょうだい」
「何を?」
「セドリック様の……」
「僕のをどうして欲しいの?」

後ろから顎をつかまれ無理矢理振り向かされた。彼も随分と昂っているらしく、目が
血走っている。

「挿れて……」

私はやっとのことで要望を口から絞り出した。言った後で、男性器の名称も口にした方が
良かったかしらと思ったが、セドリックは満足してくれたらしい。
すぐにそれは突き入れられた。

「ひぃっ」

ずん、と腹の奥に衝撃が走る。引きつった悲鳴が口から漏れた。いけない、隣に聞こえる。
こらえなければ。
しかし後ろから激しく突かれ、腰をつかまれて揺さぶられ、喉の奥から喘ぎが押し出され
てくる。

「あっ、やっ、おっきい、こえ、でる、でちゃうぅ」
「我慢して」
「やああ、むり、たすけて」
「仕方が無いなあ」

後ろから彼の手が伸びてきた。床に散らばっていた下着のうちの一枚をつかんでいて、
それを私の口に押し込んできた。

「うぐぅ……、う、うーっ」
「ほら、しばらく、それ、噛んでて」
0487ニート様の4 9/102013/11/02(土) 01:13:38.52ID:FzIQ9/o4
私がうめき声しか出せなくなったのを確認すると、セドリックはより激しく腰を振りはじめた。
肌がぶつかる乾いた音が繰り返され、その間には粘液が絡む濡れた音が聞こえてくる。
一番奥を何度もえぐられ頭が真っ白になる。衝撃に耐えられずに腕と膝の支えが崩れる。
私は床に腹を付け、突っ伏した状態になった。
セドリックは私が潰れてもかまわず腰を打ちつけてくる。尻に跨り上から私を犯し続ける。
私の姿勢が変わったために突き入れられる角度も変わった。初めての体位、初めての
刺激に身体がぞくぞくしている。突かれてはうめき、引き抜かれてはうめく。
気持ちいい、すごい、身体が熱い、目を開けていられない、叫びたい。

「ううーっ、ふううう!」
「いいよ、いって、あ、僕も……!」

私が達したと同時にそれは抜き去られた。尻と腿に熱い物がかかる。

「はあ、は……、いっぱい出た……。君の綺麗なお尻、こんなに汚しちゃったよ」

息を弾ませながら彼は私の尻を撫で、自分の出した精液を塗り広げた。ぬるりとした
感触は心地よいのか気持ち悪いのか、頭がぼうっとしてよくわからなかった。

そのまましばらく、私は快感の余韻に浸っていた。というか、単純に身体を動かす事が
できなかったのだが。
しかしそろそろ後片付けをしなければならない。口から唾液まみれの下着を吐き捨て、
緩慢な動作でなんとか身体を起こす。ちょっと嫌な予感がして吐き捨てた下着を見ると、
それは先程まで私が穿いていたものではなく、チェストから引っ張り出されて投げ捨て
られていたもののうちの一つだったのでホッとした。今まで自分の下半身に身につけて
いたものを口に入れるなんて、彼の下半身に口を寄せるよりも不快だ。
そういえばその彼は? 妙に静かだ。

「セドリック様?」
「あっ」

振り向いた私が目にしたのは、さっき彼に脱がされたばかりの私の下着を身につけた
セドリックの姿だった。
ちょうど穿いてしまったところだったようで、スカートをたくし上げたまま、具合を
確認していたらしい。

「何かが……はみでてますが……」
「うん、今しまおうと思っていた」

いや、私が言いたいのはそんなことでは無い。

「僕はこれが気に入った。しばらく借りる」
「えっ、あっ、ええ?」

待ってくださいと私が言うより早く、彼は部屋の扉を開き、最後に「おやすみ」と一言
残し、颯爽と去って行った。

いくら長いスカートでもスネ毛は処理した方が良いですよ、とか、もう少し小股で
歩かないと女らしく見えませんよ、とか、言いたいことは多々あった。いや、これらは
言う必要の無いことだけれど。
結局、一番言いたかった「パンツ返して」を言うことは出来ず、私は呆然としたまま一人
寒い部屋に取り残された。
0488ニート様の4 10/102013/11/02(土) 01:17:42.08ID:FzIQ9/o4
なんだろう、この悔しさは。
セドリックの最初の目的はチェストの中の下着だったはずだが目ぼしい物が無かったの
だろう、途中でターゲットを脱ぎたてホヤホヤのそれに変えた。そしてそれを得るために
私をその気にさせたのだろう。
つまり性行為は単なるオマケだ。
オマケごときに悦んで、恥ずかしい台詞を言わされたり、下着で口を塞がれたりしたのか
と思うと、ふつふつと怒りが沸いてくる。もちろんセドリックに対してだが、自分に
対してでもある。

そういえば下半身に付けられたぬるぬるをまだ拭き取っていない。ふと床を見ると脱ぎ
捨てられている男性用の下穿き。あの野郎忘れて行きやがった、と小さく悪態をつき
ながらそれを拾い上げ、尻と脚を拭った。
拭って汚れた部分が内側になるように軽く丸め、心の中で「このド変態が!」と叫びつつ
床に叩きつけた。柔らかい布なので大した音は立たなかった。
手放した物の代わりに床にある適当な下着をひっつかみ(ちなみに黒だった)、それを穿いて
ベッドにもぐりこむ。
シーツを頭までかぶりさっさと眠ろうと目を閉じた。が、上を着替えていないことを思い
出し長いため息をついた。
もういいや、明日で……。

この情けない気分を払拭するために別の男性の事でも考えようと、私は私の本当の主
であるオーベール様の顔を思い浮かべた。

「オーベール様……今日も凛々しかった……」

自然と顔がにやける。
しかしだ。
凛々しくて格好良くて男らしいオーベール様の立ち姿を思い出そうとすると、何故か
メイド服姿になった。

「……なんだこりゃ」

これは……何かの後遺症なのだろうか。さっきの出来事が思ったよりも自分にとって
ショッキングだったのかもしれない。
女装趣味というものの存在は知ってはいたが、目の当たりにしたのは当然初めてだったし、
しかもそのようなことをしている者と性行為までしたのである。脳みそに何らかの
ダメージを負っていることも考えられる。

「アホらし、本当に寝よ」

そういえば独り言も疲れが溜まっている時に出やすいのだと誰かから聞いた気がする。
私は堅く目を閉じ、羊を一匹二匹と数え始めた。その羊たちがメイドのヘッドドレスを
頭に載せていても気にしない、気にしてはならないのだ。
0489ニート様の42013/11/02(土) 01:20:03.97ID:FzIQ9/o4
終わりです

それでは皆様、良い週末を
0490名無しさん@ピンキー2013/11/04(月) 01:37:12.41ID:RX2SrANX
夜更かししてよかった。

乙乙乙!
セドリック変態すぎるけど妙に爽やかでキモくないwww
0491名無しさん@ピンキー2013/11/11(月) 22:25:57.60ID:XrXgozwx
>>489
GJです
セドリックがマジキチ変態過ぎて感動したw

>>490
そうか?
むしろ無駄に爽やかなせいで怪しさやらおかしさやらキモさやらがあらぬ方向に大爆発している気がするw

まあ、俺は大好きですがw
0492名無しさん@ピンキー2013/12/20(金) 21:36:30.35ID:p6M9JelK
ピアノにあこがれたメイドがお屋敷のホールの掃除で一人になった時につい触ってしまう
それを旦那様に見られて、触りたいのならその回数のたびに一枚ずつ脱いでいくようにと取引をする
ピアノに夢中なメイドはついに全裸に・・・・
会っている間に旦那様にも夢中になり旦那様も欲しいとかいってピアノも性の知識も教え込まれてゆく
というところまで妄想しててピアノレッスンだなこれとかおもっちゃった
0493名無しさん@ピンキー2014/01/04(土) 20:05:51.88ID:3hELCnPD
妻子ある男主人が如何にも幸薄そうな健気で儚げな女の子を権力を行使して犯すのが良い
0494名無しさん@ピンキー2014/01/16(木) 23:30:38.81ID:9jJDM4jS
保守
0495名無しさん@ピンキー2014/01/24(金) 01:33:48.83ID:G1YRnrOH
主に健気に尽くす薄幸な女従者とか萌える
0496王様×男装従者(1/3)2014/02/19(水) 12:47:22.43ID:9i328Pds
王様×男装従者です
>>317-321の後の時間軸
エロなし幕間
多分3レス頂きます

以下投下


それはずいぶんと唐突な提案だと思った。

いつも通り陛下の夕餉の側に控えて、空になった器を下げようとしていたときのこと。
ここ数日、珍しく上機嫌の続いた陛下から告げられた言葉は、私の心を冷やすものだった。

「そなたは国へ戻れ。早いほうが良い、明日にでも陣を発つように」

「……はい?」

一瞬、言葉の意味をとらえ損ねた。
理解が頭に染み入るにつれ、感情が納得できずに駄々をこねる。

「陛下、何をおっしゃいますっ……私は気付かぬうちに、失態を犯しましたでしょうか」
「そうではない。そなたは覚えているか、財務書記官付きの赤毛を」

挙げられた名は陛下と歳の近い文官で、誠実な青年のもの。
忘れるはずがない、陛下の覚えも良く、生前の兄とも顔なじみだった。

「は、はい、存じあげております。兄ともども、何かと懇意にして頂きました。でもそれが……」
「あの者がそなたを嫁にと望んでいる。城へ戻り婚礼を挙げよ」

それは陛下の気まぐれによる唐突な提案などではなかった。
機を図り周到に根回しされた上での、命令だった。

現在、戦局は友軍に有利に運んでいる。だが周囲の国は同盟を結んでおり、全て敵。
いかんせん数の差が大きすぎる。勝つにせよ負けるにせよ、終戦まではまだ何年もかかるはず。
ここで帰国してしまえば、私は陛下に会うことすらなくなるだろう。

ましてや嫁ぐともなれば、側に仕える機会など二度と無い。


「……承服しかねます」
決死の覚悟で声を絞り出したが、それは情けなく震えていた。
「何?」
陛下の声に含まれた不快げな色におじけつきながらも、私は言葉を続ける。
「せめて今回の会戦が終わるまで、それまでは陛下にお仕えさせてください」

激しやすい陛下の眉間に、深い皺が刻まれた。しかしここで引き下がるわけにはいかない。
私はまだ陛下にとって何の役にも立っていない。これでは兄の墓に会わせる顔がない。

そう言い募ると、単純な怒気に染まっていた陛下の表情が、かすかに苦い色を含んだ。
「そんな願いは聞き入れられない。そなたは支度が整い次第疾く陣を離れよ」
「私は、兄に代わって陛下のお役に……」

さらに食い下がる私を手で制して、陛下が言葉を紡ぐ。
自身の本心を覗かせるようなことは、普段絶対におっしゃらない陛下が。

「男装して、兄の名を名乗り、兵として従い、よくぞ今まで予に仕えた。
 それでも、そなたの兄には成り代われぬ。……そなたは女だ。
 女には女の幸せがあるだろう。
 望まれて嫁ぎ、子を為して、幸せな家庭を築け。それをヴァーリも望んでいるはずだ」
0497王様×男装従者(2/3)2014/02/19(水) 12:49:25.89ID:9i328Pds
陛下はお優しい。私の身のような些末事にまで、こんなにも心を砕いてくださる。
よかれと思って差配してくださったのだ。これは笑顔で受けるべき話だ。

「……それが、陛下のご命令なら。私は謹んで従います」

陛下の表情がふっとほどけた。そこに混じる安堵の色に、やはり胸はひどく痛んだ。


それから陛下と話し合い、後任の人事や帰国の手順など、細かい点を詰めていった。
結局、私は五日後に本隊と別れる北上部隊に一時編入されることになった。
最寄りの都市に着いた時点で、私は軍籍を離れることとなる。
古くから栄える大きな街だ。現在は友軍の支配圏であり、その街を拠点とする常駐の部隊もいる。
そこからなら本国までの馬車を仕立てられる。道のりもさほど危険はない。

着々と、陛下との別れの準備が進んでゆく。

「ではそのように運べ。都にもそう伝えよう」
「陛下のお心のままに。では支度もありますし、今宵は下がらせていただきます」
大まかな段取りも決まり、一礼して下がろうとするのを呼び止められた。
「しばしまて。将棋の相手を務めろ」

……ああ。陛下はやはり優しくて、残酷な方だ。
婚儀を勧めたからにはもはや私に触れないだろうに、習慣を曲げてまで遠ざける気もないのか。

残された数日を変わらず過ごせと、それが陛下の意向なら私は臣下として努力するまでのこと。
でも今は、今すぐにはできない。

「申し訳ございません陛下、今日は……無理です」
早口で言い捨て頭を下げ、私はそのまま天幕を飛び出した。


走って、走って、宿営地を抜ける。やっとの思いで木立の暗がりに飛び込んだ。
緑の匂いに包まれた瞬間視界が波打ち、溶けて流れた。溢れた涙を拭うも止まらない。
寂しくて悲しくて息が詰まりそうだ。引きつれた喉から、10年堪えた嗚咽がこぼれる。

私と陛下の思いは、どこまでいっても平行線なのだろう。
どれほど強く志を立てようと、所詮は女の身。
軍学を修めたわけでも武勲に優れているわけでもない。
私が陛下のお側にいたところで戦局に影響が及ぶはずもない。所詮私は陛下にとって、たいした役には立たないのだ。

それでも。それでも私は、側に仕えていたかった。
けれど陛下は認めてくださらなかった。ひとえに私が女だから。
せめて身をもって陛下の盾となれたらこの思いも昇華されるだろうに、それすら許してはもらえなかった。

「陛下……陛下ぁ」

服の上から胸元を探ると指先に硬い手触りがある。さらしに巻き込んだ翠玉だ。
陛下のためなら何だってすると、この石を賜った日に決めた。
誰にも弱みを見せないと、この石に誓った。
だから陛下の命に従おう。笑顔で陛下に暇を請うて、笑顔で嫁ぎ子を産もう。
そしていつの日か、子孫に囲まれ笑顔でこの世に別れを告げよう。

造作もなくできるはずだ、それが私の望みでなくとも。
陛下の意に従うのは私の喜びなのだから。

ただ、今はこの気持ちを吐き出しきってしまいたかった。
0498王様×男装従者(3/3)2014/02/19(水) 12:50:29.74ID:9i328Pds



あれに断られた瞬間には腹立たしくも思ったが、その夜は思わぬ楽しい時間を過ごした。
定時報告に来た元帥と仕官を相手に指した将棋が、ことのほか興に乗ったからだ。

「やはりヴァーリと違い、私共では陛下のお相手は務まりませんね。申し訳ございません、下手な指し手で」
それは仕方ない。将棋好きの予に付き合って、あれも古今の棋譜をかなり学んでいる。

「いや、目先が変わって面白かった。また誘うことがあれば受けてくれ」

それは本心からの言葉だ。あれと予は昔から将棋を指し合ってきたが、それゆえ互いの筋を知りすぎている。
戦場に出てからはもっぱらあれと指していた。癖の読めない相手は久々で、頭蓋は心地よい疲労を訴えている。

戦争は長引けど先が見えぬ訳でもなく、将棋の差し手には事欠かず、あれはもうすぐ望まれて嫁ぐ。
あれはきっと幸せになる。少なくとも戦場で砂塵と硝煙にまみれているよりは。
安全で安楽な、穏やかな日々を過ごせるはずだ。

だから予の気分は上々だった。士官の口からこぼれた、次の言葉を聞くまでは。

「それは光栄ですが。何かありましたか?ヴァーリの奴、泣いていたようですが」

虚を突かれ、自分の顔がこわばるのがわかる。横に控えていた元帥も、そんな予を見て目を丸くした。

「……それはまことか」
「は、はい。隠れていましたがヴァーリかと」
「どこで」
「その先の木立の陰です。すぐに仕事に戻っていましたが」
「わかった、もうよい。……今宵は付き合わせて済まなかった」

手を振って二人を下がらせ、粗末な椅子に深く座り直す。
耳障りな木のきしみに、繰り返されたあれとの時間が脳裏をよぎった。
膝に崩れる痩躯、手に馴染んだ白い肌、予をまっすぐに見る、潤んだ瞳。
唇を引き喘ぎをかみ殺し、言いつけを必死に守ろうとする従順さは思い出すだけで予の欲望を静かに満たす。

だが耳底に染みついた昔の泣き声が、心の隙間をさらに広げた。
庭園の片隅にうずくまる影の記憶が、腹の底をちりちりと焦がす。

「予に隠れて泣くなど、何も変わっておらぬでないか……」

足りない。何が足りないのか、どうすればこの焦燥が収まるのかも分からないまま欠落感に煽られ、普段自制している強い酒に手を伸ばす。

久々に、酔いに溺れたい気分だった。
0499王様×男装従者(〆)2014/02/19(水) 12:52:10.70ID:9i328Pds
以上です。
最初に書き忘れましたが3レス目だけ王様視点です。
スレ汚し失礼しました。
0500名無しさん@ピンキー2014/02/20(木) 21:42:19.65ID:3WNCc2N5
>>499
その後が気になってあれこれ妄想しておりました〜
続きが読めて嬉しいです!
陛下の誘いはマジ将棋だったんですかそうですか…。
0501名無しさん@ピンキー2014/02/23(日) 11:50:50.82ID:hV9wU94J
久々続き投下キター乙!
また続き投下楽しみにしてる

>>500いやでも本当に指してたら……
違った展開があったかもと想像させてると自分は思ったんだがw
0502名無しさん@ピンキー2014/04/01(火) 13:30:28.99ID:/EG6YwRa
0503王様×男装従者(1/3)2014/04/18(金) 07:34:43.10ID:yT+GcIFo
王様→男装従者
・従者不在
・一部王様×モブ
3レス頂きます
以下投下



食事のたびにスープが熱すぎて舌を焼く、袖襟や手巾の洗い替えがすぐなくなる。
気に入りの馬がよく調子を崩すうえ、先日はあやうく落馬しかけた。これではおちおち早駆けにも出られない。
近頃、それまで気にも留めなかった瑣末事に手を取られることが増え、食欲は無くすし寝覚めも悪い。

原因は分かっている。
危うく落馬をしかけたのは強く引いた際に手綱が切れたから。手綱が切れたのは、手入れの脂を塗り込めるのを怠っていたから。
食事の汁物が熱くて舌を焼くのも、隠しに汚れた布しか入っていないのも、気に入りの馬が調子を崩ししばらく乗れないのも。
たまにならば気にも留めないが重なるとどうにも気に障る。

近頃たびたび起こるそれらの事態を招いたのは、どうやら全てあれの不在のためだ。
予は今まで手近にいたあれに欲望をぶつけることで溜まった鬱屈を晴らしていたと思っていたが、それだけではなかったらしい。
あれが予の身の回りに気を回し、様々を予の気に入るようにあらかじめ取りはからうことで、心身の負担は軽減されていたようだ。
それを自覚して心の据わりが悪い。これではまるで依存ではないか。己の弱さに腹が立つ。

――王たる者、軽々しく喜怒哀楽を露わにするものではない。
幼き頃より父王に仕込まれ、そうあるべく振る舞ってきたが、押さえるのも隠すのも一番の不得手は瞋恚。
一人笑いの癖は手で隠すことを覚えた。哀しみは受け流すことを学んだ。
だが怒りだけはまだもてあましてしまう。他者に対するものも、己に対するものも。
冷たいしこりとなった思いを持て余す、それすら予の未熟を突きつけてくる。


思うに任せぬ事々に酷く気分がささくれ立つので、気晴らしに街に出て女を買った。
かつて城下を遊び歩いた頃好んで抱いた、背が高く肉感的な女を選んで。
肩を、尻を、乳房を。つかんだ指が軟らかな肉に食い込む。くねる肢体を安っぽく派手な褥に押しつけ、胎を奥へ奥へと突き上げる。
恥肉は媚びるように蠢き、肉棒に熱く纏わり付く。突き込む先端が最奥に触れ、そのたび女は嬌声を上げた。
「あ、ああっ、深いっ、良い、良いのっ」
腹の底にわだかまる微かな違和感を払いたくて、深く押し込んだまま豊かな胸元を吸い上げる。
「んっ、いやぁ、動いてぇ……も、頭、おかしくなるぅ」
白くしなやかな腕が伸ばされて、肩に回された。足を絡め腰を揺らし、望むまま貪欲に快楽を求める女。
半ば開いた唇からこぼれるのは、引いた紅よりも赤く熟れた欲望。
「ねぇ、突いて……もっと来て、めちゃくちゃにしてっ」
甘い声でねだられて、脳裏を掠めるのは濃い栗色の髪。押さえられた声に、縋ろうとしない頑なな腕。

途端、頭にかかっていたもやがすっと晴れた。
熱を失った自身を引き抜きしどけない白い身体を引きはがすと、女は熱に浮かされた目をこちらに向けた。
「……気が削がれた。もう良い」
「いやぁ、んっ、こんな生殺しでぇ」
縋る手を振り払い、衣服を纏う。充分な金貨を枕元に置き部屋を出ると、扉の向こうからこちらを呪う言葉が聞こえた。
0504王様×男装従者4(2/3)2014/04/18(金) 07:36:52.01ID:yT+GcIFo
娼館を出て夜の街を歩く。占領下の街は人影もまばらだが、混乱は収束しておりそぞろ歩きに不安もない。
外套の襟を立てても入り込む冷たい風が、冬が間近いことを伝えてくる。
今は晩秋。あれを失ったのは、まだ夏が終わろうかという時期だった。

あの日。夜明け前に敵の奇襲を受けた。哨戒網を抜け予想外の早さで駆けつけた敵の増援だった。
暗中での乱戦に予が指揮する隊まで壊走しかけた。何とか持ち直し押し返したものの、多くの兵卒を失った。

そして帰らぬ者のなかに、あれがいた。
あれが最後に目撃されたのは混戦のさなか、敵陣深くだった。遺体は出なかったが生還は絶望的だろう。
こうなることだけは避けたかった。だからあれが早く国へ帰るよう計らっていたというのに、予の決断が遅かったせいでこの様だ。
これでは予が死んだとき、あれの兄に会わせる顔がない。


兵舎と定めた建物に帰り着く。元はこの街の夜警の詰め所、質素で守りに堅い造りが少し気に入っている。
警備兵の報告を受けたのか、将軍が慌てて顔を出した。すぐ執務室に戻ろうとする予を引き留めてくる。
「陛下、どちらにお運びでしたか」
「黙れ。予の勝手だ」
「お食事はお済みですか」
「腹は空いておらぬ、先日もいちいち聞くなと言ったであろう」

適度に聞き流しながら追い払おうとする予にそれでも食い下がってくる。
「失礼を。……陛下、実は軍使が」
なるほど、と近従は応対に当たっているのだろう、予の帰営に際して出迎えが少なかったのはそのためか。
「何処からだ、敵か味方か」
「最大の敵国、東の皇帝からの密使です。陛下との謁見を求めております」

使者の用件は簡潔だった。
「これを国王陛下にお返しするように、と言いつかりました」
小箱で捧げ持たれ、今は予の手中にある冷たい石。涙滴型に整えられた翠玉、優美な細い金の鎖。

「……それは、誰からの命か」
「我らの皇帝から、直接」

この細工は間違いなく、幼き日に予があれに与えたもの。――それが彼の者の手にあったということは。
「持ち主は」
「取り返したくば探し出して見せよ、とお伝えするように、とのことです」
生きてはいる、ただし返す気はない、ということか。

「そなたの主は、予がただの雑兵一人にそのような酔狂をすると思っているのか。見くびられたものだな」
「私は主の言葉をお伝えするだけです」

手のひらの翠を握りしめる。その堅さに指先から駆け上がる何かが首裏を通り、頭皮が泡立つ感触がする。
胸に湧く感情そのままに、言葉が口をついて出た。
「探しはしない、とそなたの主に伝えよ」
「左様でございますか」
「探すまでもないのだ。……どうせ貴国は予のものになる、民ごと」

使者も臣下も皆息を呑んだ。凍り付いた広間の空気の中、予と周囲の温度差が心地よい。
「……確かに、主に伝えましょう」

手を振って、使者を下がらせる。謁見に列席した者達も下がらせ、人払いをした。
椅子に深く腰掛け、長い息をつく。ここしばらく腹に据わった感情が、こみ上げる熱で溶けていく。

あれが生きている。どのような状況かもどのような状態かも全くわかりはしないのに、その事実が予を滾らせる。

久々に腹の空く気をおぼえた。
0505王様×男装従者(3/3)2014/04/18(金) 07:38:35.51ID:yT+GcIFo
翌朝、これからの行軍方針を伝えると、軍議の場は一瞬静まり、そして荒れた。

「今後も進軍を続けるなど……無理ですっ、補給線を担保しかねます」
「これから冬です、かの国の冬は我が国よりも厳しいものです、兵が持ちませんっ」

これは決して最善手ではない、それは誰に言われるまでもなくよく分かっている。
それでも予はあれを取り戻したい。
予の懐を荒らした者には相応の報いを与えねばならぬ、それは国も民も女も同じこと。
かの者には身の程を知らしめねばなるまい。

そこまで考えてふと苦笑がこぼれ、手で口元を隠した。
なんということだ。かつては軍議に私情を持ち込むなどあり得ないと思っていたのに。
今、私情で兵に苦難を強いようとする己に、危険を感じつつも止める気にならないとは。

くつくつと胸中で忍び笑う。すっかり弱くなってしまったものだと。
しかし予が弱くなったのは、あれを得てからか、失ってからか……。

そんな物思いを空咳で払い、場を沈める弁明に集中することにした。
0506王様×男装従者(〆)2014/04/18(金) 07:40:04.81ID:yT+GcIFo
2レス目、タイトルに要らない数字が残ってしまいました。
失礼しました。
0507名無しさん@ピンキー2014/04/19(土) 07:25:15.05ID:1nk7hzh3
王様キター!
従者どこいったー!
作者さま、ここまできたら書ききってください…何卒
0508名無しさん@ピンキー2014/04/19(土) 10:13:37.77ID:pNof261+
従者さんどうなってしまうの……

続き楽しみにしてます
0510名無しさん@ピンキー2014/04/20(日) 20:10:20.57ID:Noyu7kAV
ここ、ちょっと過疎ってる?
自分としては一番好きなシチュエーションなんだがなぁ。
0511名無しさん@ピンキー2014/04/24(木) 07:35:48.74ID:ww9p06Ai
基本はまったり進行だよここ

>>506
>これでは予が死んだとき、あれの兄に会わせる顔がない。
って言ってるけど普通は妹性欲処理に使ってる時点で合わせる顔ないから
王様早く責任とって従者を幸せにしてあげてください
0512保守小ネタ2014/07/10(木) 07:35:05.34ID:vJj2b4rE
1レスエロなし保守
台風が絡むので不快な方は回避推奨
若社長と秘書の会話

「台風きちゃったね」
「だから早く帰りましょうと申し上げましたのに」
「いやでもまだ作業が終わってなかったし」
「いくら社にとって重要な施設といえど、社長みずから保守管理点検に最後まつき合われるなどただの酔狂です」
「そうかな、ごめんね」
「天候回復は明日の午後の見込みです。午後一番の飛行機は確保しました。会長にも帰社が遅れる旨連絡済みです」
「手間をかけたね。父さ……会長は何か言ってた?」
「ここからが勝負だ、しっかりやれよ、と……大丈夫ですか?しゃがみ込まれるなんて、顔も赤いですし熱中症でしょうか」
「あ、いや、大丈夫。体調は悪くない」
「そうですか?」
「うん、ちょっとバレバレなのがさすがに堪えたというか」
「?」
「ところで、今夜泊まるところは確保できた?」
「その件ですが、昨日までの部屋は次の予約が入ってしまっているようです」
「夏のリゾートだからねえ」
「他のホテルも満室で。唯一空いていたのが昨日のホテルのロイヤルスイートだけでした」
「ほほう」
「社長はそちらに。私はこの施設に残りますので」
「却下。君も僕と一緒に行こう」
「は?で、ですがスイートといえど寝室は一室ですし、非常時の保守要員として……」
「それこそ秘書の職分じゃないでしょ。当直の担当者もいるんだし餅は餅屋だよ、せっかくのスイートだよ」
「ですが……」
「広いよ快適だよロイヤルスイート。ベッドも一台ずつ使えるはずだし、もちろん君の意に反して何か強要したりはしないよ?」
「!そんな心配をしているのではなくてですね、」
「もちろん君さえその気なら僕は大歓迎だけど」
「!?そ、それも秘書の職分ではありません!」
「今18時を回ったから我が社の規定では終業後だね。プライベートタイムだ。……さあ、君はどうしたい?」
0515エロなし保守ネタ2014/12/11(木) 07:50:05.68ID:mUlu0hDk
紳士と世話人のお嬢さんで1レス


旦那様が小さな樅の鉢植えを買ってきた。なんでもクリスマスツリーを飾りたいのだそうだ。
「家の両親は厳しくてね。異国の祝い事など軽薄だと、一切させてもらえなかったよ」
外套を脱ぐ間も襟巻を外す間も、鉢植えの包みは右に左にと持ち替えながら手放さない。
「大人になってからだと照れくさくてやりだせなくてね。今年は若い君がいるからと思い切ってみたんだ」
いつもは見目の通りに寡黙な紳士である旦那様が、はにかみながらも言葉を絶やさない。
「済まないが飾りを用意してくれないか。僕はこういうのにとんと疎くてね」
とうとう居間まで鉢植えを提げてきてしまった。普段玄関より先には花瓶すら置こうとなさらないのに。
「まずモールと綿の雪は外せないな。千歳飴のようなステッキや金色のベルもかわいいだろう。餅花に似たあの玉は何というのかな」
ソファに寛ぎながら指を折る。疎いという割にお詳しい……昭和の懐かしさは否めませんが。
「ああそれと、あれは絶対に忘れないでおくれよ?天辺に飾る用の、ぴかぴかで銀色のほしゅ!」
ああ、旦那様。旦那様が嬉しそうでなによりです。
淹れたての紅茶にブランデーを、ほんの少しだけいつもより多めに。狼狽える旦那様に特別な一杯を供し、私はいつも通りに頭を下げる。
「かしこまりました、旦那様。きっと素敵な星飾りをご用意致しますわ」
0517名無しさん@ピンキー2015/01/12(月) 02:08:47.35ID:m4Ppnhp/
旦那様可愛いー
昭和臭がっていうけど
雰囲気昭和初期のレトロな感じで想像していたw
世話人のお嬢さんは着物に割烹着的な「ちろり」みたいな感じで
0518王様×男装従者(1/4)2015/03/01(日) 00:54:48.13ID:Wfh2W0Ff
前々回(>>496ー498)と前回(>>503ー505)の間の出来事
・王様不在従者視点
・最終レスのみ敵国将視点
※3レス目にぬるい陵辱描写(敵国将×男装従者)※
多分4レスいただきます NGはタイトルでどうぞ 
以下投下


捕虜になり、陛下の盾にすらなれなかった。陛下に頂いたあの翠玉も奪われ、守れなかった。
初めは激昂のあまりに憤死するかと思った。だがそうはならなかった。己の情けなさに、いっそ死んでしまえたらと思うのに。

捕らわれて早々に私の秘密は発覚することとなった。十把一絡げの捕虜の扱いに身体検査。隠しおおせるはずもなかった。
陛下の紋章が入った手巾を、繕うつもりでたまたま持っていた。そして常に身につけていた翠玉。
それは見るものが見れば瞭然の、身の丈に合わぬ精緻な細工の逸品。
女だと露見したうえ陛下の側近く仕えた者だと知られ、私は他の捕虜と隔離されることになった。
共に囚われた同胞の視線に身が竦む。内容までは聞き取れもしないが、囁き交わされる声が心を裂くようだ。
陛下の兵として過ごした日々、その志に偽りはなくとも、私は彼らを騙していたのだから。
抵抗の手段を奪われ敵地へと引き立てられる道中ずっと、足元ばかりを見て歩いていた。

連れてこられたのは東の国境からさほど離れていない隣国の港町。
幼い頃陛下や兄と眺めた地図では辺境の漁村でしかなかったそこは、初めて目にした今高い市壁に囲まれている。
新型の砲台を敷かれたそれは堅牢にして高い戦略性を感じさせる造り。
戦に際して設けたのであろう、新しい要塞を核とした軍の拠点となっているようだ。
地理的にも戦略的にも悪くない位置。このまま街が発展してゆけば、いずれ陛下にとっての脅威になるかもしれない。
思考が焦りに浮き立ち走るのを、かぶりを振って払い落とす。そう、考えても仕方ない。
捕虜になった私は、生きて陛下にまみえることも再び仕えることも叶わないのだ。

――そして今は昼も夜も分からぬ地下牢にいる。
じめじめと暗いそこは今の私にはいっそ心地よい。
籠められてより幾日経つのか知るすべもなく、パンのかけらを与えられる回数だけを目安に過ごした。
遠くから足音が近づいてくる。8回目の配給だろうか。いや、それにしては足音が多くばらけている。
ほど近い別の牢に籠められている同胞も、違和感を覚えてか息を潜めているようだ。
足音は私を籠めた牢の前で止まったようだった。錠を開ける金属音を聞きながら、膝を抱え顔を伏せたままそのときを待つ。
どうせこれから起こるのは、前を見ていようがいまいが回避できるたぐいの事ではない。
牢に入ってきた足音に警杖で引き倒された。横倒しに開けた視界には手燭の明かりも眩しく、牢の外はよく見えなかった。
「これより尋問を行う。場所を改める故拘束を行う」
重い木の手枷をはめられ引き立てられる。同胞らの牢の前を通るときも、とても顔はあげられなかった。


枷はそのままに引き出された先は広間。大きな卓の上には晩餐会かというような食事が盛られている。
暖炉には火が入り空気は暖められている。床中に敷き詰められた毛皮は白虎、その上に引き倒され押さえつけられた。
食卓には着飾った男女の姿。卓から少し離れて、様々な拷問道具。
この国において、捕虜の尋問は食事中の余興だとでもいうのか。趣味の悪いことだ。
「軍に関する情報を吐け」
「断る」
「吐かねば拷問にかけるぞ、貴様」
「……」
0519王様×男装従者(2/4)2015/03/01(日) 00:57:24.17ID:Wfh2W0Ff
暖炉から取り出されたばかりの、真っ赤に焼けた鉄杭が眼前に突きつけられる。
怖じ気は走るが覚悟はしている。かような身でも私は軍人の末席だ。
ただの従者とはいえ陛下の近くに仕えるため、それなりの訓練も受けていた。
どんな責め苦に遭おうと、手足や命を失うことになろうと、友軍の不利になることを口にするものか。
「ただの脅しだと思うなよ」
「……」
黙り込んで返事をしない私に、広い食卓の向こうから朗々とした声が掛けられた。
「目も逸らさぬか。勇ましいことだな、小兵ながらも狼の名を持つ者よ」
陛下とは違う濃い色の髪をきっちりと整え、陛下よりもさらに大柄な男。
周囲の者が一斉に頭を下げる。そして場に満ちる緊張。それがこの場の主が何者かを物語る。
確かにここは敵の支配する地。しかし、まさかこんな国境近くの拠点にいるとも、眼前に引き出されるとも思わなかった。
喉が震えぬように腹に力を込め、精一杯の気力を振り絞り、嘲るような声と笑顔を作る。
「東の辺境でお山の大将は楽しいか、皇帝の名を僭称する山師が」
「朕の前でも怯まぬか。勘も良いな、面白い」
当たり前だ。誰にも弱みを見せはしない。今は手元にないとしても、私はあの翠玉に誓ったのだから。


「こんな些末事にまで首をつっこむとは。皇帝とやらはよほど暇な職業と見える」
私の軽口に色めき立つ周囲とは逆に、この場の主たる男は片眉を上げて鼻で笑った。
「捕虜の情報には万金の価値がある。真偽は慎重に見極めねばならんがな」
吐き捨てた言葉にいちいち返すのが腹立たしい。
それどころかわざわざ身を乗り出し、面白くてたまらないといったふうにこちらをのぞき込んできた。
「それに知らぬのか、お前実は有名人だぞ。家名なしのヴァーリ、身元も経歴も知れぬ愛らしい随従。
  かつて亡くした乳兄弟に面差しが似ているとか。見た目と裏腹の知略を重用されているとも聞くが」
名を呼ばれたことにさした驚きは無かったが、有名と言われたことに少しひっかかった。
かつて捕虜となった同胞から仕入れた情報だろうか。事実とは異なる所はあれど、側が長いことを知られているのは良くない。
だが、相手が食いついたのはもっと俗っぽい方面だった。
「まあ、驚きはせぬが。潔癖で通しているあの小僧が忠臣と見せて女を侍らしていてもな」
「っ、陛下はそんな方ではないっ」
途端に頭に血が上るのを、大柄な男は面白そうに見下ろしてくる。
「しかしな、お前はあの小僧の手付きであろ。目のある者が見たら分かるぞ。
 そんな形をしていても、色を知った女の気配は隠せんものだ」
「なっ……」
予想外の言葉に衝撃が走る。
まさか友軍の者は皆知っていたのか。もしや性別だけでなく、陛下のお召しも周知の事実だったのか。
頭に血が昇るわ顔面から血の気が引くわ、散々な有様だ。
いつのまにか卓を離れ近くに来た不遜な男は膝を折り、そんな私を間近に眺めてにやついている。まんまと乗せられてしまった。
これではいけない、小さく息をついて気を立て直し相手を睨め付ける。
「残念だったな。先日の戦闘さえなければ、私は即刻国に戻り嫁ぐ予定だった。
 それに陛下が私を手元に置いたのは、ただ身の回りの世話をさせるため。女の私が今後の友軍の動向など知るわけがない」
こちらがまくし立てるのを見やりはて、やがて相手は深々とため息をついた。
「まあ、それが真実かはともかくこれは吐かぬな。
 なんだ、つまらん。面白いおもちゃだと思ったに、暇つぶしにもならないとは」
「ならば早く殺せ、この期に及んでおめおめと生き延びる気などない」
こぼれた言葉は本心。臣下としても駒としても陛下の役に立てないなどと、私自身が耐えられない。
だが。
「愚かな。死ぬことは許さぬ。朕らもあの小僧にはずいぶん煮え湯を飲まされているのでな。
 ……嫁ぐ予定があったと言っていたか。それはあの小僧の命か」
「……ああ」
「なるほど。それはそれは」
胸倉をつかみあげられ、ふたたび床に落とされる。仰向けに倒された、その上にのしかかる男は獰猛な笑みを浮かべていた。
「死ぬことは許さぬ。せめてもの意趣返しに、お前のその強い目を曇らせてやりたくなったのでな」
0520王様×男装従者(3/4)2015/03/01(日) 00:59:27.62ID:Wfh2W0Ff
舌を噛もうとしたが先にあごをとられた。口に詰め物をされ声も出せず、ただ唾液を垂らすだけしかできない。
暴れようにも体躯の差は如何ともしがたい。手枷を頭上に引き上げられ固定される。
「ふん、服を剥いでもやはり薄い身体だな」
軍服の前をはだけられズボンは取り去られ、食卓の足に手枷を掛けられ磔にされ。
のしかかる男の重みに身じろぎすらもままならない。
太い指が喉元をくすぐり、身体の中心をたどり下りていく。その手の熱に背筋が凍る思いがする。
「っ」
野太い指に秘所を割られ思わず息を呑んだ。
「なんだまだ乾いておるではないか、面倒な」
芽や入り口をいじり回され、やがて奥がじわりと潤む。心底嫌な筈なのに、身体は反応してしまう。
見目も体躯も声も、何一つ似ていないのに、荒れた指先の感触だけが陛下に似ていて、それが余計に憎しみを煽る。
つぷり、と。
その指が身体に差し込まれた。絶望に沈む心とは裏腹に、胎は異物を締め上げ、粗野な指に吸い纏わる。
「ふん、大して濡れもせんが良い反応をするではないか。手間はかかるが悪くないな」
「……うっ」
「だが手をかける気もないのでな」
言うなり重みが少し離れ、変わりに冷たい何かが秘所に押しつけられた。肌の熱で緩んだそれを指で伸ばされ塗り込められる。
視界の端でかろうじて捉えた男の手元。繊細な絵を描かれた優美な陶器、小さなそれはさっき食卓にあった――
「粗末なパンでもたっぷりバターを塗ってやれば食べられなくもないだろうよ」
煮えたぎる憎しみが一転、身の毛のよだつ嫌悪へ変わった。いやだ、いやだ、いやだいやだいやだいやだっ
「ふ、あぐっ、ああ゛っ」
侭ならぬ全身で精一杯の抵抗をする。身をよじり足を跳ね上げおぞましい指から何とか逃れようと。だが。
「くそ、朕に逆らうなっ」
いともたやすくうつぶせに返されて、固定されたままの腕がねじれ痛む。頭蓋を掴まれ、骨がきしむほど床に押さえつけられた。
そして首に走る痛み。
「ぐ、ふぁ、うっ」
全身の感覚が首裏に集中する。脈打つような熱と床に垂れた赤に、深く噛まれたのだとやっと気付いた。
そしてそのまま腰を引かれ、一気に奥まで貫かれた。圧迫感はとてつもないが、バターの滑りでさした抵抗もなく押し広げられる。
「う、ぐぅっ」
「く、力を抜け」
深くまで突き入れられるたび、肉のぶつかる音が耳に届くのが耐え難い。中を擦られるたびに胸が痛む。
――ああ、なぜあのとき死ななかったのか。
詰め物をされる前、牢に籠められている間、捕虜として引き立てられる道程、あの会戦の最中。
そうしていたら、少なくともこのような屈辱を味わわずに済んだのに。
表に横に体勢を変えて、胸のとがりを加減なしに捻り上げられ。男の重みと口内の詰め物で息すら思うようにならなくて。
揺さぶられる身体を厭う心が暗いところに落ちていく。遠のく意識の中で否応なしに高められる己を裏切り者と罵り続けた。
怒りと恥辱と絶望と、感情に乱されゆがむ視界で、それでも必死に目に映る全てを睨み付ける。
快感が収縮し弾ける瞬間。暗転する視界と共に私の意識も闇へと沈んだ。
0521王様×男装従者(4/4)2015/03/01(日) 01:01:40.70ID:Wfh2W0Ff
果てるやいなや、くたりと力が抜けた身体から焦りと共に怒張を引き抜く。途端に弾けた白濁が幼さを残す襞を汚す。
なんとか中での吐精は避けられた。肉感は全く足りぬが器の反応は女そのもの。
最前まで全身を強張らせ抗っていた小さな狼は、今や踏みにじられた花の無惨で昏倒している。
「連れて行け。ああ、自害などさせぬよう轡と手枷は外さぬように、な」
手の中には涙滴型の翠玉。大切にされていたのだろう、古びたそれは細い鎖も優美な台座も曇りひとつなく磨かれている。
「ふん。あの小僧がどんな反応をするか。楽しみだ」
身なりを整えるのに邪魔なそれを放りやりざま、そつなく受け止める侍従に保管しておくよう言いつける。
卓に戻ると盛大なため息で迎えられた。
「酷い人。私の前であんな事なさるなんて」
共に食事を取っていた女がぼやく。今回の戦で最高の戦利品。占領した街で召し上げた女だ。
今まで押し黙っていたくせに、すねているのだろうか。気の強いところもふくよかな身体も気に入ってもう手放せない。
「おお、そういじけるでない。朕がそちに夢中なのはよく知っているだろう」
側に行き口づけようとすれば身をよじって顔を背ける。これは相当怒ったかと思えば隠しから布を出し朕の口元を拭った。
そういえばあの小娘を噛んだ血がそのままだった。繰り返し丁寧に拭われ、やっと口づけが許される。
抱え込むと腕に柔らかな弾力。やはり女はこれに限る。
「それもいつまで続く事かしら。あの子はこれからどうなさるの」
「はん、あのような棒きれでも女の端くれだからな。娼窟にでも売りとばして襤褸屑になった頃合いに小僧の前に放り出してやるか」
腕の中の愛しい女は神妙な顔で考え込んでいる。ふと顔を上げ、意味ありげな笑みをうかべ面白い案を献じてきた。
「ねえ、皇帝陛下。盗まれた宝石が無数の傷だらけで戻ってきたならあきらめもつくというものではなくって。
 より深く惜しまれ悔やまれるのは、一つだけ、一つだけ消しようもない大きな傷がある場合ではないかしら」
「……ふむ、一理あるか」
「でしょう、――かの王は珠が手中に戻った時、はたしてその傷一つさえ無ければと願わずにいられるかしら」
婉然と微笑みながらそのようなことを言う。
「恐ろしい女だな、そちは」
「それは皇帝陛下の賜物ですわ。私が二親を亡くしたのも、最初の夫が死んだのも、全部全部戦争が始まったから。
 ひいては皇帝陛下のおかげですもの」
「そちは変わらぬな、やはり朕が憎いか」
「ええ、皇帝陛下。今の私は貴方に夢中でも、かつての私が心の中で叫ぶのだもの。この男は敵だ、って」
腹に一物を抱え凄絶な笑みを浮かべる女を心底美しいと思う。
この女の言葉で喩えるならば、傷だらけで割れた原石が、思わぬ輝きを放つようになったというところか。
「ねえ、皇帝陛下。あの子の差配は私にさせてくださいな」
「よかろう、そちの好きにさせるよう皆に触れを出す」
快楽に晒されながらも溺れず、朕を睨み付ける瞳を思い出す。
あの小さな狼は、今回負った傷でどう変わるか、そのときあの小僧はどのような顔をするのか。
直に見られはしないのが口惜しいが、様々に想像するのもまた一興。
先の愉しみに思いを巡らせつつ、腕の中の我が宝石に笑みを返した。
0523王様×男装従者(1/6)2015/03/01(日) 11:19:42.70ID:Wfh2W0Ff
続けて失礼します
王様→←男装従者
・再会編、従者と王様双方の視点
・駆け足、ぶつ切れ、展開省略
・エロなし、後半に陵辱未遂描写あり

多分6レス頂きます NGはタイトルでお願いします
以下投下




『選ばせてあげる。逃げるか抗うか、あんた次第よ』
東部訛りの母国語で、そう持ちかけられた。逃げるも何も私にはもう戻れる場所も待つ人もない。
『賭けてもいい、あんたはどこでも闘える。どこにいてもきっと、あんたはあんたの陛下の役に立てる』
いくつかの街を提示された。名を、生まれを秘してそこに隠すと。
……それらはこの戦いに直接は関わらないであろうが、要衝である都市。
『あたしは逃げられないけれど、あんたを逃がすことは出来る。だから、できれば生きて、抗って』
愛嬌のある顔で嬉しそうに微笑む、その瞳は底知れぬ暗さで。
『あんたがそうしてくれたなら、それはあたしの復讐になるから。敵を取ってほしいのよ、あたしとあたしの故郷のね』


そうして連れてこられたのは遠い南東の街。大きな交易路が交わる、河の畔の古い都市。
冬の最中。私は市場にほど近い区画の酒場に預けられた。厨房の手伝いや清掃が主になる、裏方の下働きとして。
商人相手の飲み屋であるし、仕入れで市場に行くこともある。噂が四方を飛び交うそこでは、離れた地のことを知るのも容易い。
穀物の、毛皮の、金属の値の変動、交易商人の扱う荷、人の流れ。
軍隊が欲する物資は多岐に渡り、膨大な量になる。物流の読み方さえ知っていれば、どこで何が起こるのかはあらかた分かる。
意外にも友軍は東進を続けるつもりのようだ。進むほど本国から遠ざかり、補給の維持は困難になる。
まさか敵国の首都まで一気呵成に陥落させるつもりではあるまいが。そうまでして落とすべき街があるだろうか。
一を知ると欲がわき、五を、十を知りたくなる。私は聞き及んだ噂を解析するのに夢中になった。
陛下は今、何を考えている。何を欲している。何が陛下の行く手を阻もうとしている。
考えて考えて、そして。それだけでは足りなくなってしまった。
私は、陛下の役に立ちたい。
0524王様×男装従者(2/6)2015/03/01(日) 12:15:11.32ID:Wfh2W0Ff


季節が変わる頃には酒場の手伝いにも慣れてきた。
市場へ行くため川沿いの道を歩く。風をはらんだ帆をふくらませ、滑るように走る船々。
停泊する船の周りにも人は絶えない。積み荷を積む人足、修理にかかる職人。
着いたばかりの船には出迎える人、出港が迫る船には見送る人の輪ができる。
「今度は南に行くんだ。最近流行りの花があるらしい。首尾良く手に入ったら、お前さんに贈らせてくれや」
「ああ、いいねえ。あたしも一度はよその街を見てみたいよ」
そんな会話を聞きながら行きつけの八百屋に向かう。
交易の盛んな街のこと、船便だけでなく、乗り合いの駅馬車も隊商も多い。
あれらに乗り込めば、本国に帰れる。だがそうしたところで私には先がない。
兄はもうおらず、父母とて傷物の娘が戻ってきたところで持て余すだけだろう。
なにより出奔した時点で、戻らぬ覚悟だったのだ。倒れるのは戦場と、そう思っていた。
かつてはそれらの交通手段を見るたびに、行き所のない思いに胸が痛む心地がしたが、今は違う。
どんなに小さくとも、ほとんど影響が無くてもいい。私はここから、陛下の役に立つと決めたのだ。
「おじさん、こんにちは。蕪と葱ください。あとおすすめはありますか」
「ああ、嬢ちゃん。今日はいい甘藍が入っているよ。葉物も種類が増えた」
「うん、丸くておいしそう。これも一箱ください。この辺りも暖かくなりましたものね」
「そうだなあ、そろそろ蕪はお終いだ。塩漬け豚ともおさらばかな。あ、そうだ嬢ちゃん、時間はあるかい」
「娘さんからのお手紙ですか?うーん、今日は他にも約束があるから、短くてもいいなら」
「助かるよ、あとで野菜と一緒に持っていくからさ、ついでに返事も一緒に考えとくれよ、お代もまけとくしさ」
「いいんですか?こちらこそ助かります。じゃあ、またあとで」
いくつかの言葉の読み書きが出来る。幼い頃、陛下や兄について回り、講義を聞かせてもらえたのはありがたかった。
おかげで今、街の片隅で代書屋の真似事をしている。家族や恋人とのやりとりの手伝いをひっそりとする程度。
酒場の手伝いの片手間に、役人に目を付けられない規模で。それでも情報のやりとりに関われるのは都合が良かった。
手紙に潜ませた、噂の種。それがいつか陛下の役に立てばいいと、そう思う。


季節が巡り、この街で過ごす二度目の秋。街は不穏な空気に包まれていた。
北の大きな街が、西の国に落とされた。次に狙われるのは、ここだ。
街角で、酒場で、人々が集まるとその話になる。小さな酒場のこと、調理場にいても店内の喧噪は筒抜け。
湯を沸かし皿を洗い、仕事の合間にも注意深く耳を傾ける。
多方面で展開されているこの戦で、近隣に来ている部隊は誰の指揮か。新しい噂を求めて私は耳を澄ませる。
「駐留軍はやはり籠城戦に持ち込むつもりだな。物資の売買に制限をかける触れを役人が持ってきた」
「女子どもは逃がした方がいいだろうか」
「頼る当てなんてないぞ、うちは」
「西の国の軍は、森向こうの村まで来ているらしい。旅の商人共、ありったけかき集めて売りに行ったぞ」
「本当か。いくら何でも早すぎないか」
確信と共に脳髄から背筋を駆け下りる快感。身震いする自身を抱きしめる。
陛下だ。この進軍速度は陛下の部隊だ。陛下と私は今再び、この街を盤に将棋を指そうとしている。
陛下の思考が手に取るように分かる。拙速を尊び停滞を嫌う陛下は、包囲戦を嫌って相手をおびき出そうとする。
籠城戦に持ち込まれて不利なのは友軍。長い行軍で兵は疲弊し、兵糧もけして満足ではない。短期決戦でこの街を落としたいはず。
ただ、この街の駐留軍が考えているより友軍の兵糧は少し多いはず。この夏、麦も豆も、西では値が下がった。
商人筋に流した噂が上手く形になりほっとした。少し考えを整理したい。
「芋の皮を剥いてきます」
「おう、頼む」
0525王様×男装従者(3/6)2015/03/01(日) 12:17:31.13ID:Wfh2W0Ff
桶いっぱいの芋を抱え裏口に陣取り、小さな木箱に腰掛け皮むきにとりかかる。
駐留軍が籠城を選ぶのは避けられまい。ただ、短期決戦に乗ってくるような餌があれば。
手は休みなく動かしながら、街の地理を頭に浮かべる。市壁の高さ、市民の数、兵糧の量、近隣の街の兵力分布。
街の側を流れる川、少し下流にたしか要塞があった。それを利用できないか。
どこに何の噂を蒔き、どの噂を刈り取るか。今こそそれが陛下の利益に直結するのだと思うと、誇らしかった。



機会を見つけては部隊を見て回るのは昔から好きだった。
兵の士気を高めるため陣営を視察するのも王の努め。なにより民と話すことが楽しかった。
ただ近年は、これが民からの予への訴えだと思いながら陣中を巡っている。
数年前に比べると、目につく兵士の疲労。部隊の覇気の薄さ。
わかっている。軍は疲弊している。働き手の世代を戦に取られ、国元の経済もまた。
だが予はどうしても諦めきれない。
予にとってあれは幼少期の記憶と直結している。まだ長く生きぬ人生の少なからぬ時間、あれは予と共にあった。
あれを失って戻ったところで、それはもはや予の故郷ではない。
不甲斐ない王だと自覚している。だからこそ、兵等の姿を胸に刻む覚悟で巡視を続けた。



都市の包囲開始前夜。大筋を詰め終わり、軍議は解散。念のため再度他方面の戦況を確認する。
「南と東の戦況は」
「南進した部隊は先日平定した街で条約の締結に取り組んでおります。東進した部隊は……」
「焦土戦術か」
「はい。敵は村を焼きつつ後退。これから冬も深まります、これ以上の進軍は傷を深めるだけかと」
一進一退の戦況に焦れても仕方がない。予を若年と侮り、周りの国はほぼ手を結び敵に回っている。
個々の戦場で勝利を収めても大勢へ与える影響は微々たるもの。
一番の問題を時が解決するまで、小さな勝利を重ねながらしのぐしかない。
「引き所が難しいが、将軍は老練な指揮者だ。うまく部隊を下げるだろう。予の部隊もこの街が落ちれば冬営だな」
「落ち着いた冬になるとよいですね」
手を振って了承の意を伝え、全ての将を下がらせる。
現時点で、この戦場は予の読み通りの展開で端を開き、閉じるだろう。ただこの一年ほど、微かな違和感があった。
物資の調達が厳しいことに変わりはないが、想定よりは易い。友軍に有利になるよう情報操作があるようだが、意図が掴めない。
罠かとも思ったがその様子でもなく、近隣にこちらに味方したいという領主がいるわけでもない。
どうにも読み切れず落ち着かない気分は、この包囲戦でますます強くなっている。
相手の戦術が読める。読めすぎるのだ。まるで馴れた相手と指す将棋のように。
この河の下流には新造の要塞がある。予の進軍方向から見ればこの街の先。
相手はそこに主力部隊を隠しているだろう。都市側と要塞側で挟み撃ちに。包囲が続き、疲弊した予等の背後を突く作戦。
他方面の戦況が、近郊の村の噂が、物流が、天候が、土地の相が、捕らえた伝令の証言が。状況の全てがそう伝えている。
相手の腹が読めさえすれば、あとは予の策が為るか否か。そこは将兵の働きに期待するのみ。
だが、本当に読みは当たっているのか。予の進む道はこれで正しいのか。
服の上から胸元を押さえる。微かな不安を宥めるように。時が流れ、いつしか馴染んだ翠玉の硬さを確かめる。
はたして予は、あれに近づいているのだろうか。



戦端は開かれ、そして閉じた。細かい差異はあれ、大筋は予想から外れず、読み通りに事は運んだ。
0526王様×男装従者(4/6)2015/03/01(日) 12:19:08.28ID:Wfh2W0Ff


解放直後の都市は混乱に満ちている。特にこの街は古い時代より発展を重ね、路地は酷く入り組んでいる。
騒ぎに乗じて盗みをはたらこうとするもの。街から逃げ出そうとする役人。形勢逆転を望み予を狙う兵士。
様々な者が潜みやすく、それだけ制圧には時間がかかりそうだ。
「陛下、南門の制圧完了です。北門から大聖堂までの安全も確認済み」
「市庁舎と古城の確保は」
「古城はすでに放棄されていましたが、規模が大きく内部調査に時間がかかるかと。市庁舎は残存勢力の確認と役人の確保を進めています」
「では確認が済み次第、市庁舎を本営と定める。予が到着したら疾く余剰人員を古城に回すように。
 全部隊に軍規の徹底を改めて指示しろ。我々は無法者ではない。万が一、略奪暴行を働いた者がいれば予の前に引きずり出せ」
「は、いつも通り」
やりとりの合間にも視線は四方に散らし、不意の事態に身構える。
もしここで予の身に何か起これば、この街の制圧は失敗する。それだけはなんとしても避けねばならない。
四方に目を配り、ひとつの異変もみすごさまいとする。
だが、横目で通り過ぎた路地裏に、一瞬で意識を奪われた。
視界を掠めた懐かしい色。あれは。あの豊かに波打つ濃い栗色は。
予が見間違うはずがない。すぐに馬首を返して路地に駆け込む。栗色の影はすでにない。
「待て、――っ」
名を呼ぼうとして一瞬ためらう。あれは。あれの名は。
どちらの名で呼べば、あれは予の元に戻ってくるのか。予が取り戻したいのは――。



一瞬目があった気がして血の気が引いた。慌てて路地をさらに奥へ進む。
失敗だった。やはり残るべきではなかったのだ。策の成否にこだわらず、開戦前の混乱に乗じて別の街に向かえば良かった。
細い道を選び、何度も角を曲がる。離れなくては。陛下から離れなくては。その一心で迷路のような下町を走る。
そのとき、懐かしい声が耳に届いた。

「……リア、出てこいリーリア!」

途端に足がこわばり、つんのめって転んだ。栄えた街のこと、裏路地といえ石畳が敷かれている。
勢いよく身体を打ち付け、痛みと衝撃で視界に星が飛ぶ。
のろのろと身を起こす間にも蹄の音と声が近づいてくる。
「リーリア、予から逃げるなど許さぬぞ!」
呼ばれたのは、私の名。もうずっと名乗っていなかった、私自身の名。
兄の名で呼ばれたならばきっと逃げられたのに。その名で呼ばれては逃げられない。
あきらめて立ち上がり、せめて衣服の土埃を払う。すりむいた膝の痛みは無視し、跪いて陛下を待った。
0527王様×男装従者(5/6)2015/03/01(日) 12:22:50.06ID:Wfh2W0Ff


目の前で跪く女、……そう女。
緩く束ねた栗色の髪。伏せた顔は白く、動作は仕込まれた典雅さはそのままに、柔らかさを増して。
面差しは変わらないままに趣を変えていた。背が、髪が伸びただけでこれほど雰囲気が変わるものだろうか。
あれから2年。もはや髪を切っても少年には見えそうになかった。
「……リーリア、か?」
「はい。陛下におかれましてはお変わりなく」
顔は伏せたまま淀みなく答える。その声も記憶よりわずかに低い。
「そなた、なぜ逃げた」
「…………」
沈黙が、癪に障る。従うにしろ意見するにしろ、黙り込む性分ではなかったはず。
2年は長すぎた、ということか。臣従の心が薄れるには、充分なほどに。
「陛下、陛下!どこにおわします」
予を探す声が近づいてくる。麾下の者が来たらしい。だが予はまだ答えを得ていない。
外套を外し上着を脱ぎ、顔を伏せる女に掛けてその全身を覆い隠す。
「何をなさいます、陛下っ」
「逃げるな、暴れるな、声を立てるな。これは予の命令だ」
もがこうとするのを抱え上げ、馬上に引き上げ耳元で命じる。おとなしくなったのを確認し、馬首を返して隊へ合流した。
「陛下、探しましたぞ!いったいどちらに……おや、それは何です」
「僭越であるぞ。……暇つぶしだ」
一瞬、腕の中の荷はびくりと震えた。



占領した市庁舎を本営とし、入営した。
奥まった続き部屋を執務室と定めた。しばらく誰も通すなと申しつけ、奥の部屋に進む。
ずっと抱えたままだった荷を無造作に床に落とす。布から転がり出た女は肩を打ち付けたか、鈍く呻く。
膝を折り、床に這う女のあごをつかみあげる。逸らそうとする目線を無理矢理合わせ、最前の問いを今一度繰り返した。
「答えよ、なぜ逃げた」
「……私は一度捕虜になりました。もう、お側に仕えることは出来ませんでしょう」
「それはそなたの認識であろう。予がそう申したか」
「敵の手に落ちた者に再度側仕えを許すほど、陛下の周囲は愚かではないと存じます。
 ……以前お計らい頂いたようにも、もはや」
それは答えになっていない。側仕えが出来ぬとしても、暇乞いすらせず予から逃げる理由を、予は聞いているというのに。
苛立ちに任せに女の顎をたたき落とすと、後ろから押さえ込み床に押しつける。栗色の豊かな髪が流れ、広がった。
「あっ」
「予に逆らうなと言ったであろう。……いっそこのまま躾直してやろうか」
細い首を覆う襟元をつかみ引き下げる。安い布地は頑丈だが、留め具が、もろい縫合部がちぎれはじけ、肌が覗く。
「お許しを……っ」
「許すものか。予への忠誠を捨てた者に慈悲など与えぬ」
露わになった肩口に噛みつき胸部をまさぐる。相変わらず肉は薄いが、以前よりは女らしさを増していた。
「そうか、以前とは違うか」
「へいっ……」
胸のとがりを捏ね、押しつぶす。必死に声を押し殺し、震える女の耳元に嘯いてやる。
「予と離れていた間に新しい主人でも出来たか。そやつの方が良かったか」
「そんなっ」
悲痛な声で言いさすのが、心底耳に障った。
「黙れ。……聞きたくもない」
0528王様×男装従者(6/6)2015/03/01(日) 12:25:44.79ID:Wfh2W0Ff
隠しから布を出し片手で丸める。身体を弄ぶ手は止めぬまま、女の口にそれを押し込む。
途端。
「や、いやぁっっ」
押し込もうとした指を噛み、暴れ、叫び出す。
「大人しくしろ。予に逆らうなっ」
首の根をつかみさらに床に押しつけ、もがく身体を押さえ込もうとするも。
「いやあ、やっ、ああっ」
身も世もなくがたがたと震える様にやっと頭から血が引いた。そして乱れる栗色の波間から眼に入った、首筋の古傷。
歯形。
「そなた……何が、あった」
「やっ、いや……いやぁ、陛下、へいかっ」
予に組み敷かれたまま予を呼び、戦慄く手を虚空へ伸べる。それはまるで助けを求める幼子のようで。
「落ち着け、リーリア。予はここだ」
引き起こしこちらを向かせる。何度も揺すりやっと目が予をとらえた。
「へいか、陛下……申し訳ございません、御前で取り乱すなど」
自分で自分の身体を抱きしめ顔を伏せる。怯えて予を呼ばわったのに決して縋ってこぬその姿が、予の罪を断じる。
(すまぬ、ヴァーリ。予はそなたの妹にむごいことを強いていたのだろう、ずっと)
「リーリア。話せ。何があった」
「いえ、すべて私のわがままが招いたことです。お伝えしても詮無きことです」
「話せ。全てだ」
ぽつりぽつりと、耐えるように、薄い唇から言葉がこぼれる。
「捕虜に……なったとき。尋問されました。東の、僭帝に。そのとき、あいつは、戯れにっ……」
自らを抱きしめる腕に力がこもり、細い指先から血の気が失せる。
引きつる指を解いてやりたいが、伸ばした手は続く言葉に遮られた。
「首は、そのとき噛まれました。髪が伸びて痕は隠せるようになりましたが、それからずっと、殿方が怖くて……」
一度は落ち着いた声色が、徐々に大きく震え、湿る。
「会話は普通に出来るのです。でも背後に立たれるのは恐ろしいですし、触れられると震えが止まりません」
すすり泣く女に声を掛けようとして口を開き、言葉が見つからずまた噤む。
「たった一度の事で、大げさなと、自分でも思うのです。先程も耐えようとしたのですが……詰め物、で、思い出し」
「もうよい、無理をするな」
結局、話を遮ることしかできなかった。己の無力に打ちのめされる。
涙声を飲み込んで深く息をつき。健気に話を続けようとする女に、理不尽にも苛立ちを覚える。
「このような始末では嫁ぐことも出来ません。そして私は、陛下のご厚意を無にした自分を許せません」
なによりこちらと目を合わせようとしないのが、無性に腹立たしかった。
「ですからもうお仕えできません。帰ることも出来ません。一人でも暮らしていけますし、私は大丈夫です、陛下」
頭に血が上る。意識が瞋恚に煮え立ち、視界が赤く染まるようだ。
無事で済まぬのは分かっていたこと。命があっただけで、予の元に取り戻せただけで僥倖だと思った。
しかしこれほど心に痕を残すとは。
「……そなたに命ずる。この部屋から一歩も出るな。予がいいと言うまでだ」
労りの気持ちとは裏腹に、口をついて出たのは硬い言葉だった。
「いやです、陛下っ。去ることをお許しください、それもかなわぬのなら、どうか死をっ」
「許さぬ。去ることも死ぬこともだっ」
0529王様×男装従者(〆)2015/03/01(日) 12:28:38.75ID:Wfh2W0Ff
以上です。
途中計算間違いで手間取り、その調整でただでさえ多い視点転換の切りが悪くなりました。申し訳ございません。
0530名無しさん@ピンキー2015/03/02(月) 03:23:19.55ID:peGkv2mQ
続き来てたー!と思って読んでたら更に続きがあって幸せだ
幸せだけどもっと続きが読みたい衝動に…
0531名無しさん@ピンキー2015/03/02(月) 06:53:12.50ID:SaJaWep5
ありがとうございますありがとうございます
ああもう続きが気になって仕方がないよ従者ちゃん
0532王様×男装従者(1/4)2015/03/02(月) 12:53:30.66ID:LmyBh3Df
王様→←男装従者
・従者視点の軟禁生活
・エロなし共同生活
※途中月経描写あり※
多分4レス頂きます NGはタイトルでお願いします
以下投下



「そなたはこの奥の間から一歩も出るな」
それが私に下された命令だった。
あの後陛下は私が落ち着くのを待って部屋の設えを整えさせた。
奥の間には大きなベッドと長椅子、その他細々した生活用品。手前の間には広い机や書架。
「続き間は予の執務室だ。そちらに顔を出すことも許さぬ。世話の者もこの部屋には一切立ち入らぬよう申しつけてある」
こちらに手を伸べようとした陛下に思わず身構える。陛下は少し目を見張った後、こともなげな風に言葉をつなげた。
「気を抜け、触れはせぬ。この部屋にそなたを害するものはない、辛いなら予も隣の間で休んでも良い」
「そのようなことをなさらずとも、私がいなくなれば」
言いさした途端に陛下の気配が険しくなる。
「そのようなことは二度と言うな。実行するのも認めぬ」
口調は静かだが声音は深い怒りを伝えてくる。私は黙って頷くしかなかった。



陛下に連れ戻されて数日。
あまりの己の惨めさに食事を摂る気も起きなかったのだが、ついに陛下がしびれを切らした。
「食事は摂れ」
「……」
「食欲がないなら仕方ない。だがそなたが食べぬなら予も食べぬが良いか」
「っ!」
「知っておろうが、予はこうと決めたら曲げたりせぬぞ」
「……ずるい、です」
「……。そうだな。予は狡い」
「そうおっしゃられて、私が背けるはず、ないじゃないですか……」
仕方なしにとった食事は、薄いスープだけで、それでも身体に染みる心地がするのがどうしようもなく悲しかった。



食事の件で言葉を交わしてからというもの、もう一つ変化があった。
長椅子で眠りについても、朝には寝台で目覚める。かわりに陛下が長椅子で寝ていた。
今までこのようなことは無かったのだから、これは陛下が意図的に、私が寝入るのを見計らい寝台に移しているのだろう。
一晩中起きて阻止しようかとも考えたが、陛下の睡眠を阻害しかねない。
陛下に十分な睡眠を取って頂きたいのだから、それでは本末転倒だ。
そのような逡巡が十日も繰り返されるにいたり、ついに私は音を上げた。
「お願いです陛下、どうか寝台でお休みください」
「そなたから話しかけられるのは何年ぶりだろうな」
「茶化さないでください。陛下は国の要、無二の御方なのですから、どうか御身を労ってくださいませ」
「そうはいってもな。そなたが予と共に寝台を使うというなら話は別だが」
「そんっ……」
反発の言葉は、あまりの驚きに途中で途切れた。上掛にくるまれるようにして、そのまま抱え上げられてしまったから。
0533王様×男装従者(2/4)2015/03/02(月) 12:55:09.77ID:LmyBh3Df
「へ、へいっ、なに」
「落ち着け。なにもせぬ」
短い距離を運ばれ大きな寝台の端におろされた。飛び退こうにも手足はシーツに絡めとられ、思うように動かない。
そうこうするうちに反対の端で横になった陛下が、こちらに腕を投げ出して見せた。
「そら、届くまい」
大柄な陛下が手を伸ばしても、私との間には肘から先ほどのゆとりがある。
「だからそのまま眠るが良い」
伸ばした腕をそのままに、寝台を敲いて手拍子をとる。そのゆったりとした音が、暴れていた私の脈拍を落ち着かせてくれた。
「……わかりました」
それからは毎晩、同じ寝台の端と端とで眠った。



ゆっくりと日々が流れてゆく。
私がいない間に、陛下の小間物はずいぶん汚れたり痛んだりしてしまったようだ。
なにげなく指摘すると大喜びで裁縫道具や洗濯道具を用意された。
馬具用の油で汚れた袖や上着を暖炉で煮たり、ほつれたレースを繕ったり。傷んだ革製品を手入れしたり。
一人で雑事をこなしながら、この街の現状についてとりとめもなく考えた。
確かにこの街は開放された。しかし反勢力が一掃されたわけではない。
周辺の都市もまだ混乱しているし情勢は予断を許さない。度重なる強行軍に友軍も消耗している。
補給線も最大に伸びきっている状態ですぐさまの進軍など出来るはずもなく、確実な足場が無いと部隊の回復もままならない。
周辺の都市ににらみを効かせ、安定した拠点を作る。一帯を確実に勢力内へと収めるために。
なにより今は冬の盛り。この街での営巣が長くなるのは必然だった。



日中は隣部屋で執務する陛下。そこには臣下が訪れて、長く話し合うこともある。
彼らはかつての同僚。合わせる顔などとうに無くした。なるべくなら私の存在を知られずにいたい。
しかし隠れきることなど出来なかった。なにせ陛下に担ぎ上げられ運ばれるのを見ていた者もいるのだ。
中にはそれがかつての同僚に似ていたと気付く者もいただろう。
はたして数週間のうちには、扉越しに誰何されることとなった。
「ヴァーリ、いや、ヴァーリの妹御、だよな」
「っ、」
正確に素性を言い当てた声に胸が痛む。耳に懐かしいそれは、王宮時代からの陛下のご友人のもの。
生前の兄とも親しくしてくださっていた方だ。
当時は直接顔を合わせる機会が少なかったので、軍役について会話しても正体が知れることはなかったのだけれど。
「挨拶も返答も不要だよ。今陛下は視察に出ているけどすぐに戻られるし、伝えたいことがあるだけだから」
「……はい」
「嬢、陛下を頼むよ。嬢が戻らなかった後、陛下は気が立って大変だったんだ」
「え、はあ」
「しかしまあ、確かに面影はあったかな。他人のそら似だと思っていたが、まさかヴァーリの妹御とはなあ」
「似てましたか、兄に」
「うん。弟はいなかったはずだし、陛下はよくヴァーリに似た少年を見つけてきたなと思っていたよ」
少年。素性が知れ渡っていたわけではないようで、ほっとした。
「嬢なら幼馴染みだものな、失って荒れるのも当然か。髪を落として戦場まで来て、よく陛下に仕えていたものだよ」
「っ、あのっ」
「うん」
やさしい声に心を励まし、ずっと気になっていたことを問いかける。
「以前の私は、ちゃんと軍の役に立てていたでしょうか」
0534王様×男装従者(3/4)2015/03/02(月) 12:56:46.08ID:LmyBh3Df
扉越しの返答はなぜだか少し笑いを含んでいた。
「陛下は強い。戦も心も。でも陛下は神経質な一面もお持ちだから、戦に集中するためには環境整備も必要になる」
「はい」
「軍には歩兵や竜騎兵や砲兵だけでなく、兵站部隊も従軍司祭も必要だと言うことだね。
 嬢が姿を消したあと、随従はなかなか定まらなかった。
 それだけ陛下は日々のあれこれを嬢に頼っていたわけだ。その点では確かに得難い兵士だったよ」

「……ありがとうございます」
「そろそろ戻るよ。機会があれば、また」



月の物が、来た。下腹に痛みを覚えて嫌な予感はしたのだ。
もともと不順な質であるし、二年前は止まっていたので、数ヶ月ならば何とかなるかとも思ったのだけれど、甘かったようだ。
手持ちの布で手当をしたが、それ以上のことも出来ず途方に暮れる。
困った。このままだとすぐ気付かれてしまう。部屋から出るなと命じられているため、陛下を避けることすら出来ない。
せめて換気して匂いを消そうと窓を開けてみたが、室内が冷えると痛みが強くなってしまった。
必死の思いで窓を閉める。冷えが良くないと分かっているのに、動くことすらできず、窓辺にうずくまってしまう。
這うようにして長椅子までたどり着き、やっとの思いで俯せる。悪寒と脂汗に耐えながら、痛みが治まるのを待った。

「リーリア、おい、リーリア」
陛下に呼ばれて目が覚める。どうやらあのまま寝入ってしまったようだ。慌てて体を起こし非礼を詫びる。
「申し訳ございません陛下。このような姿をお見せして」
街に出ていたのであろう、帽子を外し重い外套を脱ぎながら、陛下は少し表情を緩める。
「いや、何事もないならよい。起こすのも忍びないかと思ったが、顔色が悪いように……」
陛下の言葉が途切れる。脱ぎかけた外套をそのままに、ものすごい勢いでこちらにやってくる。
「その血はどうしたっ」
言われて己を見下ろすと、スカートの前部に血が滲んでいた。かなりの量で、これは長椅子も汚してしまったかもしれない。
「え、あの」
「血を吐いたのか、まさか手首を切ったのではあるまいな、自害など認めぬとあれほどっ」
確かに大けがをしたようにもみえる。陛下は血の気が引いてしまっている。これではごまかしようがない。
「つ、月の物ですっ」
流れる曰く言い難い空気。
「あ、ああ。そうか、月の……なるほど」
陛下は安心したようだが私は恥ずかしさのあまりどうにかなってしまいそうだ。
ともあれ知られてしまったのだから、と開き直り、脱脂綿や匂い消しの香水を所望した。

私にとってはただ羞恥に悶えるだけの記憶だが、それ以降、なぜか陛下の纏う雰囲気が少しだけ穏やかになったように思う。
0535王様×男装従者(4/4)2015/03/02(月) 12:58:19.57ID:LmyBh3Df

窓から見える街は白一色になって、本格的な冬が始まったと知る。
私は相変わらず部屋の中だけで、細々した用事をこなしながら過ごしている。
「陛下、手の具合はいかかですか」
「よく分かったな、この通りだ」
掲げてみせる手にはあかぎれがいくつも走っている。
「先日の視察時、手袋をせずに馬で駆けたでしょう。袖を見ればわかります。馬の世話もされたでしょうし、荒れて当然です」
戸棚から準備していた膏薬を出す。
「陛下、どうぞ。手荒れの薬です」
小さな壷のふたを取った陛下が、ふと表情を和ませる。
「懐かしいな。母上の膏薬と同じ香りだ。しかしどうした、売っていたのか」
「外に出ないのにどうやって買いますか。先日お願いした油や香料がありましたでしょう。調合しました」
「そなた器用だな」
上機嫌で膏薬を塗っていた陛下がふとこちらに目を留め、顔をしかめる。
「そなたの手の方が荒れているではないか」
「そうですね、水仕事もしておりますし、繕い物は意外と手が荒れますし」
「そなたこそ膏薬が必要なのではないか」
「いえ、結構です」
「いや、使え」
押し問答をしているうちにしびれを切らした陛下に手を捕まえられた。
「いいから、塗れっ」
驚いた。手を掴まれても、怖くなかった。
あまりに驚いた私に気付いて、陛下もやっと冷静になる。
「すまぬ、怖かったか」
「いえ、……いいえ、陛下。怖くありません」
二人で呆然としたあと、おもむろに陛下に抱きすくめられる。途端に背筋を走る悪寒。
「すみませんそれは怖いですっ」
「すまぬっ」

それからは寝る前、とりとめのない話をしながらお互いの手に膏薬を塗りあうことが日課になった。



冬も深まったある朝。目が覚めると目の前に陛下の寝顔があった。
どうやらお互い寝返りを打つうちに、陛下に抱え込まれてしまったらしい。
一瞬ぎょっとしたが、すぐに落ち着いた。回された腕も足も緩いし、陛下は熟睡している。何が起こるはずもない。
寝間着越しの陛下の体温は暖かくて。寝息は緩やかで、合わさった胸から伝わる鼓動が優しくて。
緩く身体に回された腕の重みが、ざわめく心をがっちりと押さえ込んでくれた。

今ここに、怖いものなど、ひとつもなかった。

ふいに鼻の奥がつんと痛み、視界が涙ににじむ。
(ごめんなさい、ごめんなさい、陛下、ごめんなさい……)
陛下は、やさしい。私はとても、大切にされている。
それが幼馴染みへの情けだろうが臣下への温情だろうが、このぬくもりに変わりはない。
この2年、陛下はどんな気持ちだったのだろう。ほっとして、ありがたくて、申し訳なくて。涙は止まらずこぼれ続ける。
(ごめんなさい、陛下。ごめんなさい)
やがて陛下の身じろぎを感じ、私は慌てて目を閉じ寝たふりをする。
果たして目を覚ました陛下はまず腕中の私に驚き、そして涙に驚いたようだった。
無心に寝たふりを続ける私。陛下はやがて深く息をつくと、そろそろと腕を抜き身を起こしたようだった。
額をかすめる指先の感触。前髪を払われたようだ。そして目尻に感じる感触、おそらく寝台のシーツ。
「……やはり予に隠れて泣くのか、そなたは」
その、胸に迫る声音に、私は寝たふりを続けるしかなかった。
0538王様×男装従者(1/7)2015/03/09(月) 22:55:10.80ID:4l4PBHy6
・王様×男装従者
・従者視点多め 中盤のみ王様視点 
・最終話 
多分7レス頂きます NGはタイトルかIDでお願いします
以下投下


日が少しずつ長くなり、長かった冬も終わりに近づきつつあると感じられるようになった、ある夕べ。
いつものように寝台でお互いの手に膏薬を塗り合っていると、陛下に改めて尋ねられた。
「そなた、この街で何をしていた」
「……なんのことでしょう、酒場の話なら以前いたしましたが」
「とぼけるな。物流や人心、包囲網で駐留軍の取った戦術。全ての展開がそなたの将棋の筋とそっくりだ。
 この街を煽るように情報操作をしたのはそなただろう。どの程度戦局を計算していた」
これ以上心配をかけたくなかったので黙っていたのだけれど。少し機嫌を損ねたような声で重ねて問われ、観念する。

「計算など……私に出来たのは噂を流すことだけです。でも私の仕込みを駐留軍が拾えば、勝つのは陛下だと思いました」
「何故」
「将棋と同じです。相手が私なら、陛下はいつも勝たれるでしょう」
陛下は天井を仰ぐと深い深いため息をついた。
「そなたは、どこまで予を甘やかすのか。随従だけでなく参謀まで任せたくなる」
「何をおっしゃいますやら。ただの浅知恵に過ぎたお言葉、痛み入ります」
軽口に軽口で返す。今はもう、こんなことも出来るようになっていた。まるで二年前に戻ったように。
「だが、そなた何故そのようなことをした。囚われの軛から脱したのなら、自由に生きれば良かったではないか」
「それは……祖国や陛下の為に出来ることがあるならば、すべきだと思いましたから」
「それはそうだろう、臣下であれば。だがそなたは予に仕えたとはいえ女だ、己の身をもっと大切にしろ」

陛下のこの口調は。
「……やはり怒っておいでですか」
わがままを言ってついてきて、わがままを言って捕虜となって。全て自業自得なのに陛下にすら怯えて。
「ああ、やはり戦場での側仕えなど許すのではなかったと後悔している」
私が思っていたのとはどうやら怒りの方向が異なっていた。
「私がついてきたことではなく、ですか」
「予が許さなければ良かっただろう。その後もすぐ親元に返せば良かったのに、ずるずると側に留め置いた。
 そなたは己を責めていたが、本来そなたが責めるべきは予だ」
なにやら怒ってほしいようだが、陛下が悔いていることは私の望みだったので、陛下に対して怒りを抱くはずがない。
「そなたの両親も両親だ。息子が予の盾となり命を落とし、娘まで戦場に行くと言い出せば止めるべきだろう。
 文でそなたが消えたことを伝えたときも予に謝罪してきたし、見つかったことを伝えても謝罪してきたし」
まあ自国の王を怒りとばせるような人はそうそういるまいし、私の両親はそういう身分でも性格でもない。

と、軽く聞き流した中にさらりと大事が混じっていたように思う。
「両親に伝えたのですか、私がここにいることを」
「あたりまえだろう」
この日々が長く続くわけではない。春が来れば行軍も再開され、私は陛下とここでお別れ。
そう理解していたはずだったのに、それでも声は少し震えた。
「では、私は国元に帰されるのですか」
「……いや、そうしようと思っていたのだが」
陛下は何故か、少し口ごもった。
「戻されても困ると言ってきましたか」
「そんなこと言うわけないだろう。……そうではなく、予がそなたを手放しがたいのだ」
0539王様×男装従者(1/7)2015/03/09(月) 22:58:51.90ID:4l4PBHy6
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・最終話 
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日が少しずつ長くなり、長かった冬も終わりに近づきつつあると感じられるようになった、ある夕べ。
いつものように寝台でお互いの手に膏薬を塗り合っていると、陛下に改めて尋ねられた。
「そなた、この街で何をしていた」
「……なんのことでしょう、酒場の話なら以前いたしましたが」
「とぼけるな。物流や人心、包囲網で駐留軍の取った戦術。全ての展開がそなたの将棋の筋とそっくりだ。
 この街を煽るように情報操作をしたのはそなただろう。どの程度戦局を計算していた」
これ以上心配をかけたくなかったので黙っていたのだけれど。少し機嫌を損ねたような声で重ねて問われ、観念する。

「計算など……私に出来たのは噂を流すことだけです。でも私の仕込みを駐留軍が拾えば、勝つのは陛下だと思いました」
「何故」
「将棋と同じです。相手が私なら、陛下はいつも勝たれるでしょう」
陛下は天井を仰ぐと深い深いため息をついた。
「そなたは、どこまで予を甘やかすのか。随従だけでなく参謀まで任せたくなる」
「何をおっしゃいますやら。ただの浅知恵に過ぎたお言葉、痛み入ります」
軽口に軽口で返す。今はもう、こんなことも出来るようになっていた。まるで二年前に戻ったように。
「だが、そなた何故そのようなことをした。囚われの軛から脱したのなら、自由に生きれば良かったではないか」
「それは……祖国や陛下の為に出来ることがあるならば、すべきだと思いましたから」
「それはそうだろう、臣下であれば。だがそなたは予に仕えたとはいえ女だ、己の身をもっと大切にしろ」

陛下のこの口調は。
「……やはり怒っておいでですか」
わがままを言ってついてきて、わがままを言って捕虜となって。全て自業自得なのに陛下にすら怯えて。
「ああ、やはり戦場での側仕えなど許すのではなかったと後悔している」
私が思っていたのとはどうやら怒りの方向が異なっていた。
「私がついてきたことではなく、ですか」
「予が許さなければ良かっただろう。その後もすぐ親元に返せば良かったのに、ずるずると側に留め置いた。
 そなたは己を責めていたが、本来そなたが責めるべきは予だ」
なにやら怒ってほしいようだが、陛下が悔いていることは私の望みだったので、陛下に対して怒りを抱くはずがない。
「そなたの両親も両親だ。息子が予の盾となり命を落とし、娘まで戦場に行くと言い出せば止めるべきだろう。
 文でそなたが消えたことを伝えたときも予に謝罪してきたし、見つかったことを伝えても謝罪してきたし」
まあ自国の王を怒りとばせるような人はそうそういるまいし、私の両親はそういう身分でも性格でもない。

と、軽く聞き流した中にさらりと大事が混じっていたように思う。
「両親に伝えたのですか、私がここにいることを」
「あたりまえだろう」
この日々が長く続くわけではない。春が来れば行軍も再開され、私は陛下とここでお別れ。
そう理解していたはずだったのに、それでも声は少し震えた。
「では、私は国元に帰されるのですか」
「……いや、そうしようと思っていたのだが」
陛下は何故か、少し口ごもった。
「戻されても困ると言ってきましたか」
「そんなこと言うわけないだろう。……そうではなく、予がそなたを手放しがたいのだ」
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・最終話 
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日が少しずつ長くなり、長かった冬も終わりに近づきつつあると感じられるようになった、ある夕べ。
いつものように寝台でお互いの手に膏薬を塗り合っていると、陛下に改めて尋ねられた。
「そなた、この街で何をしていた」
「……なんのことでしょう、酒場の話なら以前いたしましたが」
「とぼけるな。物流や人心、包囲網で駐留軍の取った戦術。全ての展開がそなたの将棋の筋とそっくりだ。
 この街を煽るように情報操作をしたのはそなただろう。どの程度戦局を計算していた」
これ以上心配をかけたくなかったので黙っていたのだけれど。
少し機嫌を損ねたような声で重ねて問われ観念する。

「計算など……私に出来たのは噂を流すことだけです。
 でも私の仕込みを駐留軍が拾えば、勝つのは陛下だと思いました」
「何故」
「将棋と同じです。相手が私なら、陛下はいつも勝たれるでしょう」
陛下は天井を仰ぐと深い深いため息をついた。
「そなたは、どこまで予を甘やかすのか。随従だけでなく参謀まで任せたくなる」
「何をおっしゃいますやら。ただの浅知恵に過ぎたお言葉、痛み入ります」
軽口に軽口で返す。今はもう、こんなことも出来るようになっていた。まるで二年前に戻ったように。
「だが、何故そのようなことをした。囚われの軛から脱したのなら、自由に生きれば良かったではないか」
「それは……祖国や陛下の為に出来ることがあるならば、すべきだと思いましたから」
「それはそうだろう、臣下であれば。だがそなたは予に仕えたとはいえ女だ、己の身をもっと大切にしろ」

陛下のこの口調は。
「……やはり怒っておいでですか」
わがままを言ってついてきて、わがままを言って捕虜となって。全て自業自得なのに陛下にすら怯えて。
「ああ、やはり戦場での側仕えなど許すのではなかったと後悔している」
私が思っていたのとはどうやら怒りの方向が異なっていた。
「私がついてきたことではなく、ですか」
「予が許さなければ良かっただろう。その後もすぐ親元に返せば良かったのに、ずるずると側に留め置いた。
 そなたは己を責めていたが、本来そなたが責めるべきは予だ」
なにやら怒ってほしいようだが、陛下が悔いていることは私の望み。私が陛下に怒りを抱くはずがない。
「そなたの両親も両親だ。息子が予の盾となり命を落とし、娘まで戦場に行くと言い出せば止めるべきだろう。
 文でそなたが消えたことを伝えたときも予に謝罪してきたし、見つかったことを伝えても謝罪してきたし」
まあ自国の王を怒りとばせるような人はそうそういるまいし、私の両親はそういう身分でも性格でもない。

と、軽く聞き流した中にさらりと大事が混じっていたように思う。
「両親に伝えたのですか、私がここにいることを」
「あたりまえだろう」
この日々が長く続くわけではない。春が来れば行軍も再開され、私は陛下とここでお別れ。
そう理解していたはずだったのに、それでも声は少し震えた。
「では、私は国元に帰されるのですか」
「……いや、そうしようと思っていたのだが」
陛下は何故か、少し口ごもった。
「戻されても困ると言ってきましたか」
「そんなこと言うわけないだろう。……そうではなく、予がそなたを手放しがたいのだ」
0541王様×男装従者(2/7)2015/03/09(月) 23:08:59.26ID:4l4PBHy6
陛下に触れたままだった手は、いつのまにか握り込まれていた。遊ぶように絡められた指は軽いのに、手を引くことが出来ない。
「予は戦場に出ていつも規範となるべく高みを目指しているつもりだった。
 幼い頃に憧れた古今の名将知将、英雄や騎士にこれから己がなるのだと。
 兵と共に過ごし共に苦境を耐えることでそうならねばと思っていた」
「陛下はまさにそう有られましたよ」
私の言葉に陛下はゆるくかぶりを振る。
「いや。そなたが予の前から消えて初めて気付いたのだ。それまで気にも留めなかった些細なことが気に障る。
 食事の温度が合わない、袖襟の洗い替えが見つからない、馬がよく調子を崩す。それだけで予は容易く集中を欠く。
 ……なにくれとなく世話を焼くそなたのおかげで、予はずいぶん助けられ救われていたのだと」

目の奥がつんと痛む。私は、役に立てていたのか。力も頭も足りなくて、それでも陛下と共に闘えていたのか。
ぐずぐずと鼻をすする私をあやすように、陛下は絡めた手を軽く振った。
「兄を亡くして、戦争が始まって、そなたはあやつの代わりに為ろうとしていただろう。
 あまつさえあやつと同じく、有事の際には予の盾となって散るつもりだった。違うか」
「兄の望みは、私の望みです。陛下の道半ばで兄が倒れたのなら、次は……私だと思いました」
「そなたはあやつにはなれはしないが、あやつもそなたではない。予はそなた自身の献身に救われていたのだ」
絡めた指を少し強く握り、離される。その手で陛下は自身の首元をくつろげ、細い鎖を引き出した。
優美な台座。繊細な銀の鎖。涙滴型に研磨され、光を湛える深い緑。
東の地で奪われ、無くしたと思っていたあの翠玉だった。

「陛下、それは……」
「東の王が送りつけてきた。そなたが戻ってすぐ返しても良かったのだが、少し思うところがあってな」
首から外した翠玉を弄びながら、陛下はゆっくり言葉を紡ぐ。
「予はそなたに救われていた、だが予はそなたを救えなかった。この翠玉の為に要らぬ束縛をしてしまったな」
「陛下、そんなことは」
言いさしたところを手で制される。
「これは予の懺悔なのだ。聞いて欲しい」
私が口をつぐんだのを確認し、陛下はさらに言葉を重ねた。
「そなたは昔、悪童共に言い負かされてよく泣いていた。幼い予は、そなたの口が達者になれば泣かずに済むと思ったのだな。
 涙の原因もそなたの心情も埒外だった。今にして思えば、単純で傲慢なことだ」
昔を懐かしむように、目を細めて陛下は語る。私の脳裏にも、幼き日に隠れた庭園の木々が鮮やかに映る。
「涙が減れば、そなたは笑顔になると思ったのだ。だがそなたが目の前で泣かなくなったら、予は忘れてしまったのだな。
 そなたが年少の、傷つきやすい少女だということを。
 忘れてそなたの優しさに甘えた。忠義を尽くそうとするのをいいことに、……その、ずいぶんな無体をしたと、思う」
言いよどむ陛下につられ、私まで顔が火照ってしまう。確かに無体ではあったけれど。でも。

「そなたはずっと、予やあやつを頼らず一人で泣いていたのであろう。
 予は卑怯にも自身の弱さを侍るそなたにぶつけ、一人で己を律している気になっていた……度し難いな、心は」
自嘲に口を歪め顔を伏せ、陛下は手にした翠玉を握り込む。
「あやつが予の次に大切にしていたそなたを泣かせ、二年前は奪われ傷を付けられた。今も予を恐れるそなたを手放せずにいる。
 そなたの為を思えば手元に置くべきではないと分かっているのに、予のわがままで」
陛下には珍しい、気弱な声。
「これではあの世であやつに合わせる顔がない。予は愚かだ」
陛下が膝で硬く握った手を見て、とっさに手が伸びる。手に手を重ね、それからやっと不遜なことをしていると思い至った。
自ら進んで王に触れるなど不敬きわまりない。けれどこの手を離してはいけないと、強く思った。
「陛下、私は確かに翠玉に救われていました。手元に無いときも、あの幼い日のことを思えば、私は強くあれました」
うつむく陛下を見上げるようにのぞき込む。間近く絡んだ視線。ああ、陛下と目を合わせたのはいつ以来だろう。
「陛下だからです、陛下の言葉でなければ従いません。
 たとえ陛下が今の身分でなかったとしても、きっと私は貴方自身に抗えません」
0542王様×男装従者(3/7)2015/03/09(月) 23:11:54.86ID:4l4PBHy6
一瞬の浮遊感。切り替わった視界に、何が起こったかとっさには分からなかった。
目の前には陛下。背中には寝台。陛下の向こうには幾何学模様の豪奢な天井。組み敷かれていると気付くまでしばらくかかった。
何度もその腕に抱かれていながら、陛下の肩越しに天井を見るのはこれが初めてで。
「陛下……」
陛下は少しの逡巡の後、私の頬に手を添えた。少し竦んだものの、怯えるそぶりはないと見て取ったかそのまま顎を掬われる。
「どうすればそなたが手に入る、リーリア。予が欲しいのはそなたの全てだ。
 忠誠や知謀だけでなく、欲も涙も微笑みも。弱さも含め全てが欲しい」
陛下の視線が熱い。その熱に引き寄せられるように、精一杯の思いを込めて、陛下の喉元にくちづけた。
陛下も私に唇を落とす。まぶたに、鼻先に、……そして初めて唇に。
「予に侍れ。予にはそなたが、そなた自身が必要だ、リーリア」
「……はい、陛下。仰せのままに」


予の腕の中に閉じこめた細い肢体。纏う衣を一枚ずつ、己の手で脱がせてゆく。
この街で再開した日には手荒くはぎ取ったことをなるべく思い出させぬよう、ゆっくりと。
この幾月かで見慣れたものの、故郷とは異なる意匠のそれら。取り除くたびに面影が昔のものに近づいてゆく。
「予が怖いか」
「いいえ」
一糸まとわぬ姿になった身体を返し俯せにさせ、重ねて問う。
「怖くは、ないか」
「今のところは」

頭に手をやり数度撫でる。波打つ栗色をそのまま撫で下ろし、おもむろに指を忍ばせ素の肌に触れた。
「んっ……」
背の細さも撫でると震えるのも変わらない。ただ後ろから見た背から腰にかけての線は趣を変えていた。
「ああ、そなたももう十八か。さすがに身体も変わるな」
尻の肉は薄いままだが、くびれた腰の細さには正直そそるものがある。
抱え込んでめちゃくちゃに突いてしまいたい気持ちを抑え込み、ただ手を伸べて肌に触れた。
久々に触れた背はしっとりと汗ばみ、吸い付くような感触で迎える。
指先で、手のひらで、甲を返して。何度も何度も撫で回す。そのたびに悶え、反応するのは昔通り。
「だが肌は変わらぬか」
背骨をたどり、なだらかな尻を下り、脚を撫で、手を内股に滑らせる。
秘所をまさぐる頃には快楽の悶えに、怯えの震えが加わっていた。
「やっ……」
指先には濡れた感触。これは今、感じること自体に罪悪を感じているのだろう。
震える肩を抱くように覆い被さり、耳元でささやいた。
「怯えてもいい。耐えられなければすぐに言え。……その恐怖、予が上書きしよう」

髪を分けうなじに口づける。位置をずらしながら幾度も吸い上げ、白い背中に朱を散らし下りてゆく。
しかとシーツを握りしめた手に手を重ね、指を絡めシーツから引きはがすと、女は嫌々をするように首を振った。
「陛下、陛下……」
「どうした、リーリア」
動きを止めて尋ねると、シーツに顔を埋めてなにやらもごもご言っている。
「言ってみろ、ほら」
「やはり少し、怖くて。……お顔が、見たいです」
乱れた髪から覗く耳まで赤く染め、そんなことを言う。確かにこれはもったいない。
引き起こし腕に抱え込む。赤い顔で泣きそうになっている女の鼻先に口づけ、額を合わせる。
「そうだな。予もそなたの顔を見たい」
0543王様×男装従者(4/7)2015/03/09(月) 23:13:37.43ID:4l4PBHy6
薄暗い寝室に水音が響く。もうどのくらい経つだろう、横様に抱え込んだ左手は胸に、右手は秘所に。
立ち上がった胸の尖りを微かに掠め、摘み上げ、時に唇を落とし歯を立て強く吸う。
そのたび細いからだが震え、恥丘を、芽を撫でるだけの指先に感じる水気は増す。
「んっ……」
快楽に染まりきっている癖に、唇を噛んで必死に声を抑える女が小憎たらしい。
噛みつくように口づけると、舌を使い食いしばった歯をこじ開ける。左手の指をねじ込み、口を閉じられないようにする。
「思う様啼け、存分に喘げ。声が聞きたい。そなたの全てを予に寄越せ」
蜜を湛える隧道にそっと中指を差し入れる。途端に感じる熱と締め付け。指一本、充分濡れているのにこの狭さ。
「ひっ」
「痛むか」
「痛くは、ないです。ただちょっと、圧迫感が」
二年、触れられずにいた場所。丁寧に慣らすべきかと思い、ゆっくりと中を撫でるように指を引く。
相手の表情を量りつつ指を抜き差しし、望む反応を引き出してゆく。
「あ、あ、やっ……あぁっ」
奥の壁を擦った途端、腕の中の身体が強張り、腰が跳ねた。
「やはりここか。変わらぬなそなた」
「あ、やだ、そこっ」
激しくしすぎぬよう注意しつつ、思い出せる限りの善いところを刺激する。
物欲しげに口を開けひくつく媚肉、その動きに合わせてそっと指を増やす。
ほぐれ具合を確かめながら、動かす範囲を広げていった。


指二本が不自由なく動かせるようになった頃には、口を開かせておかなくとも声を抑えなくなっていた。
じらすように浅いところを掻き回すと、指の動きにあわせて薄いからだが揺れる。
そのたびに、影に沈んでいた肌が薄明かりに照らされて、その白さを露わになる。
せつなげにくねる腰もこぼれる声も、全てが予を高ぶらせることを、これは自覚してはいないのだろう。
「ふ、やぁっ、もう……」
「もう、どうした。足りぬか、逝きたいか」
恥辱で耳まで赤く染め上げ、泣きそうな顔で頷く。ああ、これはもうこちらも我慢が効かない。
一気に指を深く差し込み、最奥を天井をこすり上げる。逃げようとする身体を押しとどめる左腕。その指先で胸の蕾を押しつぶす。
「我慢などするな、逝ってしまえ。予の腕の中で果てる様を見せてくれ」
耳元でたたみかけるその間にも、右手は奥を穿ち外の芽を捏ね丘を撫で、全ての指をバラバラに動かしつづける。
「あっ、あぁ、ひあっ」
目を合わせたまま、ひときわ高い声を上げ、予の指をきつく締め上げて。身体を強張らせた一瞬後にはくたりと腕中に沈み込む。
視覚も聴覚も触覚も、満たされた気はしたがまだまだ足りない。
力の抜けた身体を寝台に横たえる。纏う衣をもどかしく脱ぎ捨て、まだ息の整わぬ細身に覆い被さる。
「……あ」
女は快楽に溶けた瞳を瞬かせ、ほんのり嬉しそうな声をあげた。
「どうした、リーリア」
「陛下の肌が、熱くて。はじめて、衣越しでなく、陛下と肌を合わせた気がします」
……やさしく、優しく抱こうと思っていたのに。どうしてこうも予を煽るのか。
白い脚を性急に押し開き濡れそぼる襞に自身をあてがい、一言だけ詫びた。
「すまない、やはり無体をする」
0544王様×男装従者(5/7)2015/03/09(月) 23:15:07.52ID:4l4PBHy6

果てたばかりの胎をぐっと押し広げられる。指とは違う圧倒的な質量に身体が強張り息が詰まる。
「 っは」
「辛いか」
一気に奥まで入ったところで陛下はいったん動きを止め、すまなそうに声を掛けられた。
昔はそんなことありえなかった。陛下自身を収めたらすぐ動くように言われていたのに。
今は私の様子を窺いながら、緊張をほぐそうとしてか髪を撫で額に唇を落としてくる。
手ずから衣服を剥がれたり、声を出せとか、果てろとか。されたこと、言われたことのないことずくめで。
以前とは何もかもが違う行為に目が回りそう。

「……陛下、私は大丈夫です。どうぞお好きに」
「だが、リーリア」
きゅ、と。名を呼ばれた途端、胎が陛下を締め上げる。
「あ」
慌てて陛下を見たが時すでに遅し。陛下はねっとりとした笑みを浮かべて覆い被さってきた。
「リーリア……リーリア」
顔の両脇に肘を突き、頭を抱え込むようにして耳元でささやかれる。そのたびに奥底が疼き、物欲しげに陛下自身にまとわりつく。
「やっ……だ、陛下、」
「何故、リーリア」
「だって、こんな、浅ましい」
「予は嬉しいが。こんなにも求められて冥利に尽きるというものだろう」

首筋を吸い上げられ耳朶を舌で嬲られ、合間に何度も名をささやかれ。
いつのまにか陛下が動いていた。ゆっくりとした抽送は、次第に大きく激しいものへと変化する。
「あ、あぁ、ひぁっ」
身体が上にずり上がるのを、陛下が腕を捕らえて留める。そのまま背に腕を回すよう促され、必死で陛下にしがみついた。
「リーリア、……リーリア、愛している」
「あ、やぁっ、あぁあっ、あああぁっ」
途端、私は再び快楽の果てに投げ落とされる。全身が硬直し視界が白く霞み、全ての感情が大きな波に浚われる。
それでも胎で締め付けた陛下の剣がまだ硬度を保ったままなのは分かっていた。
背に回したままの手に少しだけ力を込めて、身体を離そうとする陛下を引き留める。
「あの、陛下」
「……疲れただろう。無理はさせたくない」
陛下は私を諭そうとする。目尻に唇を落とし、髪を撫で、幼子に言い聞かせるように。
でも、私だって、ずっと私を待ってくださった陛下に気持ちを返したいのだ。
背に回したままだった手をほどき、陛下の首に回す。
柔らかな赤金の髪を指で梳き、しばしの逡巡の後、陛下の鎖骨に口づけした。
「リーリア」
硬い骨をたどるように、数度。首筋をたどろうとしたところで引きはがされ、深く深く口づけられた。
「そなたな、もうやめろと言っても聞かぬからな」


陛下の本気は、手荒かった。
0545王様×男装従者(6/7)2015/03/09(月) 23:17:09.08ID:4l4PBHy6
もう何度目か分からぬ絶頂。陛下が身震るいするのと同時に、胎の内に熱いものが広がった。
脈動を繰り返す陛下自身から、身体の中に注がれる熱。それを飲み干そうと収縮を繰り返す私の子宮。
初めての感覚にまた達してしまう。涙でかすんだ視界の向こうで、息を荒げた陛下が薄く笑ったのを感じた。
「……はっ。そなた、気持ち良かったのか」
「〜〜っ」
喘ぎに嗄れた喉からは、もはや空気の通る音しかしない。
応えを返さなくてはとの一心で何度も頷くと、息を呑む音の後に強く抱きすくめられた。
「全くそなたは……。そんな顔をするから、収まりがつかなくなる」
その言葉とともに、私を貫いたままだった陛下自身が、硬さを取り戻して。
「……ひっ。ぁ……あ、」
入り口までゆるゆると引き戻したかと思うと、一気に奥まで押し込まれた。
「あぁっ……は、やぁっ」
嗄れた喉から掠れた声が押し出される。
最奥が疼くたび跳ねる脚。絡めるように腕をかけられ寝台に磔にされ、腰が高く持ち上がる。
「はは……そら、見るが良い」
陛下の手が伸びて、目を塞いでいた涙を掬われる。開けた視界に映ったのは、陛下と私のつながっている部分。
激しくかき混ぜられた体液が泡立つ様に、目を覆いたくなるほどの羞恥を覚えた。
「すごいな。そなたの蜜と予の子種とが、交じり合って溢れてくるぞ」
「へい、か、だめ、です。もう……」
何度も唾を飲み息を整え、絶え絶えに諌める言葉も鼻で笑われる。
「感じておいて何を言う。それにここはまだ予を放そうとしておらぬでは無いか」
「だ、て……もし、孕ん、だ、ら」
そう、孕んだら。
それだけはあってはならないことで、だからいつも、精を胎に受けることなどなかったのに。
だから続く陛下の言葉に、血の気が引く思いがした。
「子が出来るならそれはそれで良い。いっそ孕んでしまえば良いのだ」
「そっ……」
捨て鉢な言葉と捉え強張る私に、陛下は太い笑みを浮かべて言葉を続ける。
動きを止めて、私の手のひらにひとつ口付けて。手を取ったまま、ひたと目を合わせて。

「そうだな。リーリア、そなた孕め。予の血を引く者を産み育てよ。
 その子が国を継ぐことはあるまいが……予の胤が、そなたの心を継ぐと思うと、楽しみですらある」

その意味が、ゆっくりと降ってくる。
「へ、いか」
呆然とする私を見て陛下は、珍しく、本当に珍しく声を立てて笑った。
「正式に迎えることは出来ずとも、そなたと子を守るくらいは予にも出来よう。
 ……あきらめろ。こうと決めたら予は譲らぬぞ」
「……知ってます」
そんなこと昔から知っている。
「ならば、返事は?」
そんなものあの日から決まっている。
「……何もかも陛下のお心のままに。私の全ては、すでに陛下に捧げておりますれば」
「全て、か?」
「忠誠も親愛も恋情も。……幼き頃より、ずっとお慕いしておりました」

それからはもう嵐のようだった。何度も達して、そのたび陛下に引き戻されて。
水を所望すれば口移しにされ、睡眠を求めればすっぽりと腕に抱き込まれ。目が覚めれば嵐の続き。
昼も夜も分からぬまま、全身で陛下だけを感じ続けた。
0546王様×男装従者(7/7)2015/03/09(月) 23:20:13.94ID:4l4PBHy6
「本当に良いのか、落としてしまって」
「かまいません。それが私の望みなのです」
陛下の居室。盥で湯を使い体中を清めた後のこと。大きな寝台の上に敷物を広げて、陛下と私は座り込んでいる。
陛下は私の髪をまとめて握っている。逆の手には鋏。
これから陛下に髪を落としてもらうのだ。
これからも陛下の側近く仕える為に。常に陛下の傍らに控えて、陛下の役に立つ為に。
「しかし、せっかく伸びたものを……」
よく話し合って決めたはずなのに躊躇する様が、不敬なことにとてもかわいらしく思えた。
「何を笑う」
「あはは、すみません。ただ、東の王と似たことをおっしゃると思って」
「……なんだと」
「彼の愛妾曰く、彼の人は豊かな髪と肉感的な腕がお好みなのだそうですよ。陛下の好みは……」
「もう黙れ、落とすぞ」
ざくざくと勢いよい音とともに、頭がふっと軽くなる。続いて鋏を細かく動かし少し形を整えてくれた。
「ありがとうございます」
「よし、前の姿に近くなったな」
ほんの少し、満足げな声音。大きな手で私の髪をかき混ぜ、くつくつと笑う。
「長い髪が腕に絡むのも良いが、この感触は悪くない」
さらけ出された首元に湿った息がかかる。続いて暖かい、乾いた感触。
顔だけで振り向くと、額にも口づけが落とされた。続いてまぶた。頬をたどって、唇に。
お終いは肩越しに伸ばした手で攫った翠玉に。そのまま後ろから抱きすくめられ、耳元でささやかれる。
「予についてこい」
「はい」
「常に予に侍り、予の支えとなれ」
「はい」
「泣きたいときには、ちゃんと予を頼れ」
「はい」
「……このような姿を見せるのは、予の前だけでいい」
「はい、って、陛下ったら」
隙を見て不埒な動きを見せる手を押さえ、私は慌てて言いつのる。
「だめです、陛下。このあと軍議だっておっしゃってたじゃないですか。そこで私の復帰を図ってくださると……」
しかし陛下は深い口づけで私の言葉を遮ると、屈託無く笑って言ってのけた。
「気が変わった。今日一日はそなたは、まだ予だけの物だ」
長い指が、温かい舌が、むき出しの首筋を這い回る。
「そなたが軍務に復帰するのは予がこのうなじを堪能してからだな」





昔々。大陸の北で大きな戦争があった。
大国に即位した年若い王は人生の半分を戦場で暮らし、国に戻ることなく戦場で倒れた。
生涯婚姻をせず跡継ぎを設けなかったと王家の史書には記録されている。
が、民草の間には伝説が残った。

男を装い王の側近くに仕え侍り、いつしか戦場の王妃と敬されるようになった一人の女性がいた、と。
低い身分ながらも知恵を持ち、良く王を助けたというが、王の戦死後は姿を消したという。
王の後を追い命を絶ったのだとも、王の子を宿しており世に隠れて子を育てたのだとも、様々に云われている。

しかし名も伝えられずどのような書物にも記録がなく、あくまでも口承民話の類である。
実在の人物か定かではない。が、ある村には王を亡くした女が身を投げたという崖に石碑がある。
またある村にはその女と王の子孫だと伝えられている家系が今も存在する。
王の劇的な人生と併せて、語り継がれるお伽噺のひとつである。
0547王様×男装従者(〆)2015/03/09(月) 23:25:05.64ID:4l4PBHy6
以上です。
最後にもかかわらずまさかの重複書き込み、大変失礼いたしました。
長らくお付き合い頂きましてありがとうございました。
0549名無しさん@ピンキー2015/03/13(金) 03:27:12.18ID:umNtnLYJ
>>547
あああ、王様はあんまり長生きしてくれなかったのか…
創作なのはわかってるけど、リーリアと陛下の人生が幸せなものであったことを願いたい
GJでした

ちょっと最初からもう一度読んでくる…
0551名無しさん@ピンキー2015/04/19(日) 15:18:02.01ID:d4CvAqXw
フェイトの擦れた女魔術師(サーバント)とその枯れたような主人が良かったw
アニメしか見てないんで細かい事分らないんだけど
女魔術師が歴代の主人にその強大な力故契約反故されて裏切られてきてて
虚しくなっていたところに何もかも無気力っぽい主人に拾われ〜
外見が色っぽいただのイカれたねーちゃんだと思っていただけに
今はこの主人命です!的な回想だけで萌えたw
0552名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:20:01.86ID:nZPPxn9M
作ったのは間違いなく◆FxF.OK.oSOew だがね
こいつが百合ゲースレで8なめた真似をしなければ被害が拡散することはなかった
艦これスレも実私スレもごんぼスレもトリガーのなったのはなめyた真似をしたチクリマンに他ならない
今回の百合板の災禍のトリガーのなったのは ◆FxF.OK.oSOe原因だと言っておくjo
こいつが素直に避難所に篭いもっていればエロパロのほい
うに集中して百合板ではここまでする気はなかったがな
矛先そらそうとしても無駄だぞ?にきびおいしいです タッパーに540粒くらい貯まってます
ふたを開けると にきびのすっぱいニオイがして
はゆっくりと彼女の顔を見ながらホカホカの生レバーを味わい食べました。
ズルッと喉を通りました。「ストローおじさん」って知ってる?
昔、映画館とかに置いてあったタン壺(みんながカ〜ッペ!とタンを吐く壺)に
うに食べるそうです。 ごはんの上にハナクソとか鼻毛が丸え!
汁はご飯の隙間を通って下に溜まるけど、全部飲み干すそうです。ゴクゴク
ツンと何かつけられるような衝撃が走るとともに、俺はリッカを抱き寄せた。
「ごめん 下着を脱がせ、生まれた時の姿になるリッカ。 可愛い。いほっぺにキス。 彼が感じろは、全部知ってる。僕の方を見てい
誇るニオイ最強品といっても過言ではない
舌苔…パサパサした中に若干の潤いあり(口内の状況により様々)薄い粘土の味がする。手を使うことなく口でモゴモゴしながら食えるので外出時にオススメ
カサブタ…乾燥具合によって質が決まる。特に乾燥後期段階のモノは歯応え良。食べ頃は自然に皮膚から剥がれ落ちる前後
鼻の毛穴の細長いカス…油っ懇願するような悲痛な叫び。 俺にこんな綺 
 きちんと、愛し合いたかった。われたら、もう、我慢できないじゃん……」
ぁ、俺ももう――我慢できない」 テッテレー、と効果音でも付きそうな勢いで、
「むね、さわらないで」「小さいとかそんなん関係なしに可愛って、リッカ」0
わしながら、リがあって美味 。緑色が高品質とされる 。空腹時の定番。
耳垢…苦い。細かい毛が混じっていて、粉っぽい。水分が多いとニオイはトップクラスに分類される
目ヤニ…塩味。とにかく堅くて、小さい。歯応えが萎びた納豆に似ている
爪の垢…薄い塩味。もさっとしている。意外に量が多く、食べごたえあり。通は足の親指のモノを好む
ニキビ芯…味なし。ゴマみたい。ヘソのゴマ…味なし。歯応えは体調によってまちまち。香りは独特
フケ…粉っぽい。1か所に大量に集めて食うのがベター 。まれにさいカサブタが付いてくる事があるが、こ
れはまぎくプレミア物。まさにダブルネームの価値を再認識されられる程の希少品。
他の毛よりコシがあり歯触りも良い。うどんで例えると讃岐のような位置付け。希少性はやや高い
皮…通常は足の裏の皮を食用とする。厚ああ1首の薄皮は数年に一度しかとれないマニア垂涎品
ぽい。如何にきれいな形で取れるかが肝心。サイドの溝が好漁場
今日ひとりで、いつも行く喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、 一 中に」で」る。れないから……実力行使で、と思って。あはは」
 ストロー突っ込んで全部飲み干すらしいよ。ゴックンゴックン!
ストローが透明だから飲んでるのが丸見え! たまにハナクソが詰まるらしいけど、思いっきり吸って食べるらしい。スッポン!
ちなみにストローは絶対に洗わない方針だそうです。
「どんぶりおじさん」もいるようです。 タン壺を熱いご飯にぶっかけてジュルジュル流しこむよにこんな綺麗事を言う資格
「ん、感聞かせてね」つ前の席にOL風の女性が座っていて、それが超美人!
僕はボーと見惚れていると、彼女がハンドバックを持ったままトイレへ行きました。
5分位して帰って来たので、もしやウンチでもしたのか? 今行けば彼女の
便臭が嗅げるかもと思い、僕もトイレに入りました。
ちなみにトイレは男女兼用です。 初恋ドリンクというシールが貼られた瓶の蓋をけ、ぐいっと一気に飲み干す。
 これで味が初恋ジュースのそれだったらどうしようかと考えなくもなかったが、味は普通の栄vンクと同gu7じだよ……あれ、にゃんうyちhぐいゃんとしっく」
 入ると香水の香だけでしyた。
失敗かと.rft、念のたghyhめ汚物入れを開ける7りました温もの残る
感激しc信じら位の量の生レバーがた。tihihh8
その場でt僕はまだ暖かyjhバーを全部口に入れてしまい8ました。
こんなに大量のレバーを一度に口に入れた事はあ
彼女は会社かうfyutttgら帰るy途中ナプキンを取り替えr6tru8yらfitgれ5yなかtuhっhたのiで溜hまっfhuioていた分が出たのかy、tjうdu9
半端な量ではありません。ス8。 彼の閉じたキあああああいいういいbgtyttitiyy9
0553名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:20:41.43ID:nZPPxn9M
fjgtjtt8y作ったのは間違いなく◆FxF.OK.oSOew だがね
こいつが百合ゲースレで8なめた真似をしなければ被害が拡散することはなかった
艦これスレも実私スレもごんぼスレもトリガーのなったのはなめyた真似をしたチクリマンに他ならない
今回の百合板の災禍のトリガーのなったのは ◆FxF.OK.oSOe原因だと言っておくjo
こいつが素直に避難所に篭いもっていればエロパロのほい
うに集中して百合板ではここまでする気はなかったがな
矛先そらそうとしても無駄だぞ?にきびおいしいです タッパーに540粒くらい貯まってます
ふたを開けると にきびのすっぱいニオイがして
はゆっくりと彼女の顔を見ながらホカホカの生レバーを味わい食べました。
ズルッと喉を通りました。「ストローおじさん」って知ってる?
昔、映画館とかに置いてあったタン壺(みんながカ〜ッペ!とタンを吐く壺)に
うに食べるそうです。 ごはんの上にハナクソとか鼻毛が丸え!
汁はご飯の隙間を通って下に溜まるけど、全部飲み干すそうです。ゴクゴク
ツンと何かつけられるような衝撃が走るとともに、俺はリッカを抱き寄せた。
「ごめん 下着を脱がせ、生まれた時の姿になるリッカ。 可愛い。いほっぺにキス。 彼が感じろは、全部知ってる。僕の方を見てい
誇るニオイ最強品といっても過言ではない
舌苔…パサパサした中に若干の潤いあり(口内の状況により様々)薄い粘土の味がする。手を使うことなく口でモゴモゴしながら食えるので外出時にオススメ
カサブタ…乾燥具合によって質が決まる。特に乾燥後期段階のモノは歯応え良。食べ頃は自然に皮膚から剥がれ落ちる前後
鼻の毛穴の細長いカス…油っ懇願するような悲痛な叫び。 俺にこんな綺 
 きちんと、愛し合いたかった。われたら、もう、我慢できないじゃん……」
ぁ、俺ももう――我慢できない」 テッテレー、と効果音でも付きそうな勢いで、
「むね、さわらないで」「小さいとかそんなん関係なしに可愛って、リッカ」0
わしながら、リがあって美味 。緑色が高品質とされる 。空腹時の定番。
耳垢…苦い。細かい毛が混じっていて、粉っぽい。水分が多いとニオイはトップクラスに分類される
目ヤニ…塩味。とにかく堅くて、小さい。歯応えが萎びた納豆に似ている
爪の垢…薄い塩味。もさっとしている。意外に量が多く、食べごたえあり。通は足の親指のモノを好む
ニキビ芯…味なし。ゴマみたい。ヘソのゴマ…味なし。歯応えは体調によってまちまち。香りは独特
フケ…粉っぽい。1か所に大量に集めて食うのがベター 。まれにさいカサブタが付いてくる事があるが、こ
れはまぎくプレミア物。まさにダブルネームの価値を再認識されられる程の希少品。
他の毛よりコシがあり歯触りも良い。うどんで例えると讃岐のような位置付け。希少性はやや高い
皮…通常は足の裏の皮を食用とする。厚ああ1首の薄皮は数年に一度しかとれないマニア垂涎品
ぽい。如何にきれいな形で取れるかが肝心。サイドの溝が好漁場
今日ひとりで、いつも行く喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、 一 中に」で」る。れないから……実力行使で、と思って。あはは」
 ストロー突っ込んで全部飲み干すらしいよ。ゴックンゴックン!
ストローが透明だから飲んでるのが丸見え! たまにハナクソが詰まるらしいけど、思いっきり吸って食べるらしい。スッポン!
ちなみにストローは絶対に洗わない方針だそうです。
「どんぶりおじさん」もいるようです。 タン壺を熱いご飯にぶっかけてジュルジュル流しこむよにこんな綺麗事を言う資格
「ん、感聞かせてね」つ前の席にOL風の女性が座っていて、それが超美人!
僕はボーと見惚れていると、彼女がハンドバックを持ったままトイレへ行きました。
5分位して帰って来たので、もしやウンチでもしたのか? 今行けば彼女の
便臭が嗅げるかもと思い、僕もトイレに入りました。
ちなみにトイレは男女兼用です。 初恋ドリンクというシールが貼られた瓶の蓋をけ、ぐいっと一気に飲み干す。
 これで味が初恋ジュースのそれだったらどうしようかと考えなくもなかったが、味は普通の栄vンクと同gu7じだよ……あれ、にゃんうyちhぐいゃんとしっく」
 入ると香水の香だけでしyた。
失敗かと.rft、念のたghyhめ汚物入れを開ける7りました温もの残る
感激しc信じら位の量の生レバーがた。tihihh8
その場でt僕はまだ暖かyjhバーを全部口に入れてしまい8ました。
こんなに大量のレバーを一度に口に入れた事はあ
彼女は会社かうfyutttgら帰るy途中ナプキンを取り替えr6tru8yらfitgれ5yなかtuhっhたのiで溜hまっfhuioていた分が出たのかy、tjうdu9
半端な量ではありません。ス8。 彼の閉じたキあああああいいういいbgtyt
0554名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:21:03.67ID:nZPPxn9M
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カサブタ…乾燥具合によって質が決まる。特に乾燥後期段階のモノは歯応え良。食べ頃は自然に皮膚から剥がれ落ちる前後
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 きちんと、愛し合いたかった。われたら、もう、我慢できないじゃん……」
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5分位して帰って来たので、もしやウンチでもしたのか? 今行けば彼女の
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0555名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:22:42.36ID:nZPPxn9M
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0556名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:23:06.39ID:nZPPxn9M
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その場でt僕はまだ暖かyjhバーを全部口に入れてしまい8ました。
こんなに大量のレバーを一度に口に入れた事はあ
彼女は会社かうfyutttgら帰るy途中ナプキンを取り替えr6tru8yらfitgれ5yなかtuhっhたのiで溜hまっfhuioていた分が出たのかy、tjうdu9
半端な量ではありません。ス8。 彼の閉じたキあああああいいういいbgtytghiy8y9
0559名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:24:24.26ID:nZPPxn9M
fjgug8作ったのは間違いなく◆FxF.OK.oSOew だがね
こいつが百合ゲースレで8なめた真似をしなければ被害が拡散することはなかった
艦これスレも実私スレもごんぼスレもトリガーのなったのはなめyた真似をしたチクリマンに他ならない
今回の百合板の災禍のトリガーのなったのは ◆FxF.OK.oSOe原因だと言っておくjo
こいつが素直に避難所に篭いもっていればエロパロのほい
うに集中して百合板ではここまでする気はなかったがな
矛先そらそうとしても無駄だぞ?にきびおいしいです タッパーに540粒くらい貯まってます
ふたを開けると にきびのすっぱいニオイがして
はゆっくりと彼女の顔を見ながらホカホカの生レバーを味わい食べました。
ズルッと喉を通りました。「ストローおじさん」って知ってる?
昔、映画館とかに置いてあったタン壺(みんながカ〜ッペ!とタンを吐く壺)に
うに食べるそうです。 ごはんの上にハナクソとか鼻毛が丸え!
汁はご飯の隙間を通って下に溜まるけど、全部飲み干すそうです。ゴクゴク
ツンと何かつけられるような衝撃が走るとともに、俺はリッカを抱き寄せた。
「ごめん 下着を脱がせ、生まれた時の姿になるリッカ。 可愛い。いほっぺにキス。 彼が感じろは、全部知ってる。僕の方を見てい
誇るニオイ最強品といっても過言ではない
舌苔…パサパサした中に若干の潤いあり(口内の状況により様々)薄い粘土の味がする。手を使うことなく口でモゴモゴしながら食えるので外出時にオススメ
カサブタ…乾燥具合によって質が決まる。特に乾燥後期段階のモノは歯応え良。食べ頃は自然に皮膚から剥がれ落ちる前後
鼻の毛穴の細長いカス…油っ懇願するような悲痛な叫び。 俺にこんな綺 
 きちんと、愛し合いたかった。われたら、もう、我慢できないじゃん……」
ぁ、俺ももう――我慢できない」 テッテレー、と効果音でも付きそうな勢いで、
「むね、さわらないで」「小さいとかそんなん関係なしに可愛って、リッカ」0
わしながら、リがあって美味 。緑色が高品質とされる 。空腹時の定番。
耳垢…苦い。細かい毛が混じっていて、粉っぽい。水分が多いとニオイはトップクラスに分類される
目ヤニ…塩味。とにかく堅くて、小さい。歯応えが萎びた納豆に似ている
爪の垢…薄い塩味。もさっとしている。意外に量が多く、食べごたえあり。通は足の親指のモノを好む
ニキビ芯…味なし。ゴマみたい。ヘソのゴマ…味なし。歯応えは体調によってまちまち。香りは独特
フケ…粉っぽい。1か所に大量に集めて食うのがベター 。まれにさいカサブタが付いてくる事があるが、こ
れはまぎくプレミア物。まさにダブルネームの価値を再認識されられる程の希少品。
他の毛よりコシがあり歯触りも良い。うどんで例えると讃岐のような位置付け。希少性はやや高い
皮…通常は足の裏の皮を食用とする。厚ああ1首の薄皮は数年に一度しかとれないマニア垂涎品
ぽい。如何にきれいな形で取れるかが肝心。サイドの溝が好漁場
今日ひとりで、いつも行く喫茶店でコーヒーを飲んでいたら、 一 中に」で」る。れないから……実力行使で、と思って。あはは」
 ストロー突っ込んで全部飲み干すらしいよ。ゴックンゴックン!
ストローが透明だから飲んでるのが丸見え! たまにハナクソが詰まるらしいけど、思いっきり吸って食べるらしい。スッポン!
ちなみにストローは絶対に洗わない方針だそうです。
「どんぶりおじさん」もいるようです。 タン壺を熱いご飯にぶっかけてジュルジュル流しこむよにこんな綺麗事を言う資格
「ん、感聞かせてね」つ前の席にOL風の女性が座っていて、それが超美人!
僕はボーと見惚れていると、彼女がハンドバックを持ったままトイレへ行きました。
5分位して帰って来たので、もしやウンチでもしたのか? 今行けば彼女の
便臭が嗅げるかもと思い、僕もトイレに入りました。
ちなみにトイレは男女兼用です。 初恋ドリンクというシールが貼られた瓶の蓋をけ、ぐいっと一気に飲み干す。
 これで味が初恋ジュースのそれだったらどうしようかと考えなくもなかったが、味は普通の栄vンクと同gu7じだよ……あれ、にゃんうyちhぐいゃんとしっく」
 入ると香水の香だけでしyた。
失敗かと.rft、念のたghyhめ汚物入れを開ける7りました温もの残る
感激しc信じら位の量の生レバーがた。tihihh8
その場でt僕はまだ暖かyjhバーを全部口に入れてしまい8ました。
こんなに大量のレバーを一度に口に入れた事はあ
彼女は会社かうfyutttgら帰るy途中ナプキンを取り替えr6tru8yらfitgれ5yなかtuhっhたのiで溜hまっfhuioていた分が出たのかy、tjうdu9
半端な量ではありません。ス8。 彼の閉じたキあああああいいういいbgtyt
0560名無しさん@ピンキー2016/08/02(火) 12:24:48.24ID:nZPPxn9M
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こいつが百合ゲースレで8なめた真似をしなければ被害が拡散することはなかった
艦これスレも実私スレもごんぼスレもトリガーのなったのはなめyた真似をしたチクリマンに他ならない
今回の百合板の災禍のトリガーのなったのは ◆FxF.OK.oSOe原因だと言っておくjo
こいつが素直に避難所に篭いもっていればエロパロのほい
うに集中して百合板ではここまでする気はなかったがな
矛先そらそうとしても無駄だぞ?にきびおいしいです タッパーに540粒くらい貯まってます
ふたを開けると にきびのすっぱいニオイがして
はゆっくりと彼女の顔を見ながらホカホカの生レバーを味わい食べました。
ズルッと喉を通りました。「ストローおじさん」って知ってる?
昔、映画館とかに置いてあったタン壺(みんながカ〜ッペ!とタンを吐く壺)に
うに食べるそうです。 ごはんの上にハナクソとか鼻毛が丸え!
汁はご飯の隙間を通って下に溜まるけど、全部飲み干すそうです。ゴクゴク
ツンと何かつけられるような衝撃が走るとともに、俺はリッカを抱き寄せた。
「ごめん 下着を脱がせ、生まれた時の姿になるリッカ。 可愛い。いほっぺにキス。 彼が感じろは、全部知ってる。僕の方を見てい
誇るニオイ最強品といっても過言ではない
舌苔…パサパサした中に若干の潤いあり(口内の状況により様々)薄い粘土の味がする。手を使うことなく口でモゴモゴしながら食えるので外出時にオススメ
カサブタ…乾燥具合によって質が決まる。特に乾燥後期段階のモノは歯応え良。食べ頃は自然に皮膚から剥がれ落ちる前後
鼻の毛穴の細長いカス…油っ懇願するような悲痛な叫び。 俺にこんな綺 
 きちんと、愛し合いたかった。われたら、もう、我慢できないじゃん……」
ぁ、俺ももう――我慢できない」 テッテレー、と効果音でも付きそうな勢いで、
「むね、さわらないで」「小さいとかそんなん関係なしに可愛って、リッカ」0
わしながら、リがあって美味 。緑色が高品質とされる 。空腹時の定番。
耳垢…苦い。細かい毛が混じっていて、粉っぽい。水分が多いとニオイはトップクラスに分類される
目ヤニ…塩味。とにかく堅くて、小さい。歯応えが萎びた納豆に似ている
爪の垢…薄い塩味。もさっとしている。意外に量が多く、食べごたえあり。通は足の親指のモノを好む
ニキビ芯…味なし。ゴマみたい。ヘソのゴマ…味なし。歯応えは体調によってまちまち。香りは独特
フケ…粉っぽい。1か所に大量に集めて食うのがベター 。まれにさいカサブタが付いてくる事があるが、こ
れはまぎくプレミア物。まさにダブルネームの価値を再認識されられる程の希少品。
他の毛よりコシがあり歯触りも良い。うどんで例えると讃岐のような位置付け。希少性はやや高い
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 ストロー突っ込んで全部飲み干すらしいよ。ゴックンゴックン!
ストローが透明だから飲んでるのが丸見え! たまにハナクソが詰まるらしいけど、思いっきり吸って食べるらしい。スッポン!
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僕はボーと見惚れていると、彼女がハンドバックを持ったままトイレへ行きました。
5分位して帰って来たので、もしやウンチでもしたのか? 今行けば彼女の
便臭が嗅げるかもと思い、僕もトイレに入りました。
ちなみにトイレは男女兼用です。 初恋ドリンクというシールが貼られた瓶の蓋をけ、ぐいっと一気に飲み干す。
 これで味が初恋ジュースのそれだったらどうしようかと考えなくもなかったが、味は普通の栄vンクと同gu7じだよ……あれ、にゃんうyちhぐいゃんとしっく」
 入ると香水の香だけでしyた。
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0562名無しさん@ピンキー2016/10/30(日) 12:13:07.33ID:IA3wBWsn
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