血反吐がでそうな精神状態の俺とは正反対に、麻奈実は天然丸出しの、のんびり声で俺に話しかけてくる。
「ふーん。あの繁殖女畜って、すぐに種付けなんだね」
麻奈実がもう【あやせ】という名前すら使っていないのに俺は打ちのめされた気がした。
「多分このあとで、繁殖室で公開種付けするんだと思うよ。ほら、もう料金表が出てる」
麻奈実はタブレット端末を操作して、あやせがレイプ同然に犯されるであろう【種付け料金表】を画面に表示した。
ステージ上の特権階級である落札者――繁殖女畜のオーナーも、満面の笑みを浮かべて勝ち誇り宣言しはじめた。
「ぐはは……この元JC女畜の処女マンコと中出し権は120万から売り出すぞ。ヤリたい奴はワシに声をかけてくれ」
「今ならケツマンコは30万、一晩レンタルなら200万からだ。じゃんじゃん種付けしてくれ」
その言葉どおりならば、落札者の初老の男は、金儲けが目的でオーナーとなったようだ。
「あの人、たぶんペットにする気は無いみたい。出産を重ねて産めなくなったら、また売りに出すかもしれないね」
何気なくつぶやいた麻奈実の一言も俺の予想を裏付けている。
この平世日本で繁殖女畜となれば人権は無い。
今から行われる種付け――つまり処女を奪われ純潔を散らす様子も、この牧場で妊娠・出産する様子も完全公開の上で飼われるのだという。

隣で入札に参加していたヲタっぽい男たちも、ぞろぞろとあやせが連行された【公開繁殖室】に向かって歩いて行く。
「あのオッサン、利殖目的かぁ」
「ちっ……ハメ料金も結構いい値段するなぁ。オーナー権が欲しかったなー。やっぱ読者モデルのJCとか高ぇーわ」
「でも、処女のJCをヤれると思えば、まぁまぁ安くね?オレ今なら株でそこそこカネあるし。ちょっくら買ってくる」
「おれはそんなカネ無ぇな。中古の払い下げになったら買うかもなー。何年後かわかんねーけど。ゲラゲラ」
ガラス張りの【公開繁殖室】で初体験を迎えるあやせを買うのは、この連中のうち、どの男なのだろうか。
一方の麻奈実は、まるでモノか動物を見るような目で繁殖室へ連れていかれるあやせを見送っている。
「きょーちゃんどうする?あの繁殖女畜の種付け権を買うの?それとも種付け見学する?」
この世界の住人である麻奈実には、人権を失ったあやせに対する慈悲や情けはないようだ。