謎の彼女Xエロパロ2
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001名無しさん@ピンキー2013/01/02(水) 17:01:47.04ID:3j/JoFmv
age進行sage進行どちらでもかまいませんが作品投下時にはageてください。
恥ずかしい方はageなくても結構です。

【よくある質問】
エロパロ書くの初めてだけど・・・→誰でも初めてはあるもの、まずは書いてみる事が大事
作品投下してもいい?      →あなたの作品が投下されるだけで多くの方が喜びます。
短くて出来が悪いんだけど・・・ →当店は誰でもウェルカム、作品の質に貴賎はありません。
荒らしが来た!          →スルー推奨。
0497 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:12:49.13ID:bWhFjqkG
ありがたや。第二作目です。 椿明×卜部美琴の未来を書いてみました。

【謎の「烟たい」絆】

あれから―10年の月日が流れた
思い出せば胸が痛くなる青春は疾うの昔
一つ屋根の下で俺、椿明と―
椿美琴(旧姓卜部)は、この度所帯を持つこととなった
(白いスーツでドギマギする椿と、黒無垢のウェディングドレスで微笑する美琴、二人にカメラを向け目を輝かせる上野「夫妻」)
結婚当初こそ初々しさは抜けていなかった二人だが……
今は二人きりで静かな時間を過ごし、特に贅沢をするでもなく―

妻、美琴はのんびりと明の帰りを待っている

21時45分過ぎ―
ふと机の上の電話の鳴る音が響き、美琴は観ていたテレビの音量を絞り白い手を伸ばして受話器を取った。

「はい、椿です」
『ああ美琴、悪いな……遅くなったけど、今やっと帰れるよ』
少しくたびれ気味の明の声が受話器越しにホームの喧騒とアナウンスをバックに聞こえてきた。
今からだと、帰りの列車には20分間程揺られる計算だ。
「あなた、今日は帰れないって言ってなかった?」
『それが、どうもお得意様の問題だったらしいからあっさり解決しちゃって』
プシュ、とドアの開く音が受話器越しに聞こえた。
「そう、じゃあ帰りに寄ってきて欲しい所があるんだけど」
『えっと……コンビニ?』
「うん。飲み物はさっき買ってきたから、あとは……えっと、ベーコンかな」
『お前ってベーコン好きだよなぁ』
「後はあなたの好きなものでいいから」
『分かった。待たせてゴメン、美琴』
愛してるよと一言添えられると間もなく電話は切れた。美琴は台所に立つと夕飯を温め、食卓に並べ始めた。
ふと、脳裏に上野―もとい丘歩子の言葉が響く。

--
0498 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:18:00.74ID:bWhFjqkG
「卜部さんって、結婚したらどうするの?」
いつかの酒の席で、唐突に丘はそんな事を訊いてきた。
美琴は暫し、目の前のシードルを眺めたまま答えなかった。
「私ね、思うの。」丘は自分のハイボールを半分程啜ると少し真剣そうな表情で語っていた。
「結局のところ結婚ってゴールじゃないんだな、って」
「え?」突然の結論に美琴は吃驚して目を見開く。
「上野くんが言ってたよ、この先もっと冒険したいけど一人じゃ不安なんだって。人生には誰も当てにせず一人だけで進まないといけない事もあるし―」
丘はそれだけ言うと口を噤み、頬を赤く染めて俯きこう続けた。
「私とね、二人で進まないといけない事だってあるんだ、ってね」
二人で進まないといけない事。その言葉は美琴に一抹の不安を与えた。
この先、美琴が明の伴侶となるにあたっていかなる場合でも進まねばならない事が多々ある事だろう。
先にある道は常に『順調』か『逆境』しかない。後戻りなど不可能である。
その先にある物は何か。終着点は何処になるのか。
「あのね丘さん、私……」
「ん?」
「……何でもない」
その時美琴は、黙り込んだまま微笑していた。
そんな回想を思い浮かべていたその時、玄関のドアが開く音の直後にドタバタと足音が響いた。

--
0499 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:22:19.30ID:bWhFjqkG
「ただいま!」
「あら、おかえりなさい。ご飯出来てるよ。」
やれやれと明は鞄をテーブルの脇に放り投げ、ネクタイを緩めるとコンビニで買ってきたベーコンとつまみを渡した。
勤労者の夫を労う妻の夕食はいつでも黄金の輝きを放っているものだ。
味噌汁、ニラと卵の炒めもの、塩鮭、納豆には七味、そしてホカホカの銀シャリ。
塩鮭は冷凍庫から取り出して焼くだけだが新鮮なまま照っているのは嬉しい。
「いただきます」俺は空腹のあまり飛びつくように箸を進める。
美琴はその様子を暫し微笑いながら眺めていたが、何か閃いたようにベーコンを持って台所へと吸い込まれた。
いつもながら美琴の料理は美味い。家に帰れば当たり前のように待っているのだから当然だ。
ゆっくりまったりと、独りで静かに幸福に箸を進める。気が付くと料理はすべて俺の胃袋に収まっていた。
「ごちそうさま!」
「明くん、今日のお酌よ」
食卓には鶏のベーコン巻きとウヰスキーハイボールが置かれた。
久々に飲む酒はまた格別だ、五臓六腑に染み渡る。
美琴の作ったベーコン巻きも意外にもあっさりとした造りでボリュームもそれなりにある。
ああ、何たる幸せか。明の脳裏にはふとラジオで聴いた「夢のマルティ・グラ」が響く。
明はしばし祭りのような気分でハイボールを一杯飲み干した。

--
0500 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:25:08.60ID:bWhFjqkG
程よく酔いが回った頃にふと辺りを見回すと、美琴はベランダに出ていた。
彼女の口元には長さ7、8センチ程の白い紙巻が咥えられ、美琴は小さなライターで火を灯すとその端から紫煙を燻らせていた。
ふぅ、と軽い溜息に混じり白い煙がもうと立ち昇る。
煙草か、そういや丘……もとい上野歩子の付き合いで始めたと美琴は言ってたな。
美琴の手元に置かれた煙草の箱には「ガラム・シグネチャーマイルド」とある。
箱からも深く重厚な味わいが見て取れそうだが、これは2週間くらい前に美琴がふと立ち寄った葉巻屋で見つけたものらしい。
何やら甘い匂いが漂ってきた。匂いの元はどうやら紫煙から来ているようだ。
「へぇ、変わった煙草なんだね」と俺は感想を漏らした。
「本当はもっと強い煙草も吸ってみたいんだけれど」と、美琴は妖しげに微笑う。
そして俺の目の前でもう一口吸うと、煙の輪っかをぽっぽっと幾つか吹き出した。
何となく、楽しそうだ。美琴に混じって吸ってみたいと興味が湧く。
「俺も一服していいかな?」
「うん」美琴は笑顔で答えた。
「じゃあ、自分のを何かひとつ買ってくるよ」
俺は酔いが覚めてきた身体で近くのコンビニに走って行った。

--
0501 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:29:37.04ID:bWhFjqkG
コンビニの中はガランとして、人の姿は疎らだった。
ふと若い店員の方を見遣ると、カウンターの中には赤や青、緑、黒白と色とりどりの箱が並べられている。
数々の煙草を目で追っていくと、中にひときわ目立つ奇妙なパッケージを見つけた。
「ゴールデンバット」小ぶりで値段も安い。ふと絵柄のコウモリが俺にウィンクした気がする。
『喫みますか? (Y/N)』の言葉が脳裏をよぎった。
一瞬考えて、俺は心の中で『はい』と答えた。
店員に目を合わせると「すいません、168番のゴールデンバットをひとつ」と注文する。
「200円になります」俺は財布から小銭を出そうとしたが、此処で火を灯す道具がない事に気がついた。
電池や生活用品のある棚を見ると小さな燐寸を見つけた俺は、小走りで店員に渡した。
袋は要らないだろうと思ったので、会計を済ませるとそのままシャツのポケットに煙草と燐寸をねじ込んだ。
俺は走って帰り、ベランダで背筋を伸ばしていた美琴の横に座った。

--
0502 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:32:49.47ID:bWhFjqkG
まず封を切りパッケージを開けて気がついたのだがこの煙草にはフィルタがないのだ。
どうやって吸うのだろうかと少し悩んだが、美琴はその煙草を取り上げると慣れた手つきで一本取り出した。
「これは最初に口を潰すのよ」美琴はその紙巻をトントンと軽く床に叩きつけ、潰した先を俺の口にねじ込んだ。
……異性が自分の知らない事を平然とやってのけるって、何だか不思議な気分だ。
俺は少し戸惑いつつ燐寸を擦り、慣れない手で火を灯した。
最初の一口。思っていたより煙が濃い。思わず咽てしまった。
「明くん、それ深く吸っちゃダメよ」
俺は美琴に窘められて一度煙草を口から離すと一呼吸おき、再び咥えてゆっくりと煙を口中に吸い込む。
この香りは……洋酒?辛いというより、深い。
少しパサパサした口当たりだが、慣れてくるとそこそこ美味い。
美琴はじっくりと時間を掛けて喫んでいるが、大分灰が増えているような気がした。
ふと、静かなる溜息のように白い煙がふぅと吐き出され立ち昇る。そして燃える煙草をとんと灰皿に叩きつけ白い灰が落とされた。
その仕草は、少し……艶かしい。
俺も溜まった灰を灰皿へ捨てると、美琴は既に一本吸い終わっていた。
「明くん、私にも一本ちょうだい」どうやらバットに興味があるらしい。
「いいよ」俺はパッケージの口を美琴に向けた。
美琴はそこからもう一本取り出すとトントンと床に叩きつけて咥える。
ところが何を思ったか美琴はライターで火を点けずに、今俺が吸っている煙草の先に咥えている煙草を近づけた。
「じゅっ」と煙草の先が黒ずみ、煌々と赤い炎が灯る。
これって……何かを思い出した次の瞬間、美琴の身体に異変が起こった。

--
0503 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:36:24.74ID:bWhFjqkG
鼻血だ。
どうやら俺達は煙草の煙を媒介して感情を共有してしまったらしい。
「あ、あの……美琴?」俺は怪訝な顔で美琴を覗き込む。
美琴は煙草を口から離して灰皿に置くと、頬を紅く染めていた。
「……明くん、私に欲情しちゃったの?」
「ぎくっ!……う、うん。」俺は仕方なくそうだと答えた。
まさかシガレットキスだけでこんなに通じ合う事になってしまうとは。
暫し二人は沈黙し、美琴はもう一服すると口を開く。
「……私達、これからもっと冒険する事がたくさんあるのね」
美琴は空を見上げて笑う。紫煙に燻されている月が輝いて視界に入る。
確かに俺達はまだ、知らない世界をこれからもっと知る事が多々あるかもしれない。
それが例えどんな世界でも……

『明くんとなら―』
『―美琴となら』

さぞかし、夢見る旅になるだろう。
二人の心の中には、自然と次のステップを踏み出す希望が生まれてきた。
そして、同じ月を眺めて微笑っているのであった。

ふと、美琴が此方に視線を向ける。
「だけど私達、その分もっと不健康になっちゃうかもしれないわ」
「スマン」

【謎の「烟たい」絆 -Fin-】
0504 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:36:41.67ID:bWhFjqkG
【謎の「烟たい」絆 -あとがき-】
この世にシガレットキスという遊びがあると知ったのは18歳頃で当時自分は煙草も酒も独りで嗜むモノだと思っていたのでした。
(しかも知ったの腐モノだし)
そういうわけで今回のSSでは嗜好品にも拘ってみました。
ゴールデンバットもガラムも自分の好きな銘柄ですが、今回美琴に似合いそうだったのはシグネチャーマイルド、ガラムの中では軽い煙草です。
(手持ちはスーリヤマイルド)
個人的にウヰスキーはオンザロックが好きだったりしますが明の場合は下戸が酷そうだと想像してハイボールへ。
マッサンにあやかるワケではありませんが個人的にニッカ推しです。クリアブラック好きなんだもん。
ところで、皆さんは煙草吸ってる女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0505 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 00:37:27.02ID:bWhFjqkG
尚この作品も同じくDropboxにありますのでよければダウンロードしていって下さい。
ttps://www.dropbox.com/s/fknedmwb0ynxv77/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E3%80%8C%E7%83%9F%E3%81%9F%E3%81%84%E3%80%8D%E7%B5%86%E3%80%91.txt?dl=0
0506名無しさん@ピンキー2015/05/05(火) 10:05:10.88ID:/h8qjBMl
>>504
GJ
バットは今もあるんだね
俺は吸わないけど子供の頃に親父が紺色の缶ピースを同じようなしぐさで吸ってたのを懐かしく思い出したよ
くわえたたばこ同士で火をつけるのは単にマッチの節約で普通に良くやってるのを見た覚えがあるw
0507 ◆URBRTbKUxc 2015/05/05(火) 10:28:23.88ID:bWhFjqkG
>>506
少し値上がりしましたが、本作では値上がり前の値段を書いてます。
一時140円だったりしましたね。
無駄にパッケージを取っておいて後々創作のネタにしたり出来ないかと目論んでいます。
あー、だけど警告表示はもう一回り小さくして欲しかったな。
0508名無しさん@ピンキー2015/05/07(木) 01:21:20.24ID:o8dhzzJH
URBRTbKUxc様
乙です。

ストーリの作り方、文章の書き方、キャラの動かし方、
僕よりうまいと思います。

謎の「烟たい」絆の
煙草の煙りで気持が伝わるという描写は、
素晴らしいと思います。
僕では絶対思いつきません。

ちなみに煙草を吸っている女性は個人的には結構好きです。
0509 ◆URBRTbKUxc 2015/05/07(木) 04:42:44.45ID:9X6zGg5c
>>508
作中では歩子の付き合いで……とありますが、喫煙キャラにしてみるという閃き自体はアニメ版の第2話アイキャッチから来ています。
ジャム入りコッペパンとテトラ牛乳のキャッチですね。

ところで、「夏のせいで」みたいに好きな人の服を視界の中で消してみたくなりませんか?
0511名無しさん@ピンキー2015/05/10(日) 21:27:23.85ID:b+qv7ULn
謎カノ10話見返してるけど、やはりこの回は正視に堪えない
0514 ◆URBRTbKUxc 2015/05/11(月) 17:58:11.28ID:+jfL2fPg
おまいらにちょっと質問あるんで正直に答えてくやさい。

所謂『青田さん』コピペってどうよ?
あのネタが正直ウケるなら執筆する。
ダメでも書くかもしれないけど此処には載せないだろう。(希望者があれば別)
0515名無しさん@ピンキー2015/05/11(月) 22:15:13.40ID:8mdmKuuk
ssがあるってことは良いことだし
いんじゃないかな。

個人的にも興味あるし
0519名無しさん@ピンキー2015/07/24(金) 23:26:30.26ID:dTYOF8Zd
ある日の放課後

「ふう〜 やっと終わった」

重たい溜息が出た

先生に言われて係の私と明君は放課後残って雑務をしていた

「疲れたね亮子」

「うん」

体育の授業もあいまって今日はかなり疲れた

「うーん」

思わず肩をグルグル回し、首も左右に振った
ちょっとスッキリしたけど、全然体は重かった

「肩でも揉んであげようか?」

そんな姿を見かねたのか、明君から意外な提案がでた

「そうね お願いしようかしら」

「おっし 任せろ!」

そういうと明君は席を立ち、私の背後に回った

「浅く座って椅子に背をもたれかかって」

私は椅子にもたれかかった

「痛かったら言ってね」

二本の親指で首筋を挟み骨に沿って圧をかけて動かした
ギューギュー
ギューギュー
ギューギュー
っと何度も上下に往復した

少し強めだけど……気持ちいい……

往復していた指を止め首のくぼみに指を押しこんだ
じわーっと刺激が広がっていき、血液が流れていく感じがした

……思わず あー っと声が出そうになった

「痛くない?」

「大丈夫」

首に押し込んでいた指を抜かれた
体がフワっとした感じがした
0520名無しさん@ピンキー2015/07/24(金) 23:27:01.35ID:dTYOF8Zd
「んっ」

「どうした?」

「なんでもない……」

油断した……思わず声がでた

肩を揉む前の準備だろうか
彼は私の肩と肩口を手のひらでなぞっていた
スッースッー
スッースッー
スッースッー
と何回かなぞってくれた……彼の手は暖かく大きく
これだけでも少し気持ちよかった

肩を手にいい感じに力を込めて揉み始めた
ぐいぐい
ぐいぐい
ぐいぐい
っとゆっくりゆっくり揉みほぐし
体重をかけて手のひらを両肩に圧をかけぐりぐりと筋肉をほぐしてくれた
肩の重さが緩和されていくようだ

はぁー 癒される

「ちょっと前かがみになって」

言われた通り前かがみになった

首筋から指圧をしながら徐々に下に動かし肩甲骨の隙間にも指を差し込み
グイーっと押していった

下まで来たら今度は指で筋肉を押し上げるように上にギュッギュッと動かしていった

うとうとしてきた
0521名無しさん@ピンキー2015/07/24(金) 23:27:15.19ID:dTYOF8Zd
「叩くから強かったら言って」

「……」

「亮子?」

「あっうん わかった」

意識が飛んでた

トントントンと肩や背中を叩いていき
程よい強さが気持ちいい

これは天国に行ってしまいそうだ

最後だろうかスーッスッーと肩をならした

途中からトロンとしてしまった
まさか明君の肩もみがこんなに気持ちいいとは……

「はい終わり お疲れ様」

「ありがとう 気持ちよかったわ」

肩と首が軽くなった

「また 是非お願いしたいわ」

「お安いご用です」

今度は私が彼が喜びそうなマッサージをしてあげよう
0522名無しさん@ピンキー2015/07/24(金) 23:29:11.48ID:dTYOF8Zd
終わりです。

マッサージSSです。
>>518さんが苦戦しているみたいなので、お先に失礼します。

ちなみにこれは前編です、後編はそのうち投稿します。
0524名無しさん@ピンキー2015/09/06(日) 22:35:33.07ID:+Q/zgsIn
過疎がとまらない
0525名無しさん@ピンキー2015/09/07(月) 17:19:10.01ID:zKH7Dr18
進捗……50%くらい

あと一歩のところで行き詰まってる
真心ってなんだろう
それが分かればもう目の前に完成した原稿がある形となる
0526名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:42:50.04ID:mHxnkrp2
ある日の午後

「今日この後大丈夫?」

学校の終わり際に亮子が聞いてきた

「大丈夫だよ」

「OK なら橋のところでまっててね!」

「わかった」

最後のホームルーム適当に聞き流した

大勢の女子に囲まれてどこかに行く亮子を見届けて、
俺はそそくさと橋に向かった

橋に着き10分ほど待っていると亮子が来た

「ごめん ごめん」

「どこに行くの?」

「とりあえず駅まで」

亮子の言う通り、駅まで行くことにした

少し歩き、駅に着いた

「どこで降りるの?」

「うーんと……ここ!」

亮子が指差した駅はあんまり知らない駅だった

「なんかあるの? この駅って?」

「ふふーん ひ・み・つ」

「?」

よくわからないが、言われた通りに切符を買って
ホームに着くと電車はすぐ来た

妙に嬉しそうな亮子と話しながら20分ほど乗り駅に着いた

駅を出て、周りを見ると何もない不便そうな駅だった

「見た感じ何もないけど……?」

「いいから いいから こっち こっち!」

亮子に手を取られ変な道を抜けていくと、公衆便所があった
0527名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:43:24.41ID:mHxnkrp2
「あそこで学ラン脱いできて」

「えっ? なんで?」

「いいから いいから」

質問するとこの返しである、一体なにをたくらんでいるんだが……

「ワイシャツに下にアンダーシャツきてる?」

「うん」

「じゃあ、学ランとワイシャツを脱いでこれ着てきて」

亮子に渡されたのは灰色のカーディガンだった

なんとなくだが、学生が入れないような場所に向かっているのはわかった

「まあ わかったよ」

着替えに便所の個室に向かった

学ランとワイシャツをグルグルに丸めこんで鞄に押しこんだ

でっこれを着ると

少し小さいが着れた

スーハー スーハー

カーディガンからものすごく……いい匂いがする……これはやばい

……
……
……あっやばい

危うく飛ぶとこだった……というか半分飛んでた
意識を入れて外に出た

外に出てみると亮子が待っていた

「なかなか似合うじゃない」

「ありがとう」

亮子も着替えていて、セーラー服を脱ぎシャツの上からカーディガンを着ていた
白の下着がうっすら見えてとても素晴らしいものになっていた……じゃなくて

「亮子 ボタンはしっかり止めてくれ」

「えー」

「えー じゃなくて」

口で言っても聞かないので行動にでた

「いや〜ん えっち〜」

強制的に俺がボタンをした
0528名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:43:44.70ID:mHxnkrp2
「それで どこにいくの?」

「あと少しよ」

また手を取られ、進んでいった

5分ほど歩き

「ここよ」

「ここって……」

ラブホテルだった

「入りましょ」

確かに学生じゃ入りづらい場所ではあるな

受付で会計を済まして鍵を貰ったその際に
1分でも過ぎたら、自動延長になるのでっと言われた

4階に部屋なのでエレベータで部屋に向かった

「えーとここね」

鍵を開け部屋に入った

「うわっしょぼいわねー」

「こんなもんか……まあ安かったしね」

部屋にはベッドが一つと3点ユニットがあるだけのシンプルな部屋だった

俺はソワソワしたままベッドに腰をかけた
何回もしているコトだがやはり緊張する

「さて」

「さて?」

「準備するから シャワー浴びてきて」

「? うん わかった」

一緒に入るかと思ったら違うみたいだ

脱衣所がないのでベッドの横にある、脱いだ服を置いて
バスタオルで下を隠しながら浴室に行こうとしたら

「下隠すの? 何回も見てるわよ」

「いやっ そうだけどそういう問題じゃないでしょ」

「ふーん」
0529名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:49:20.41ID:mHxnkrp2
ドアに前にタオルを置き浴室に入った

トイレ・洗面台・浴槽があって、とても狭いところで
シャワーで適当に体を洗って出た

出てみると部屋が薄暗くなっており、何か甘い匂いがした

腰にタオルを巻いて、亮子の方に行くと
肩まであった髪の毛を髪を結わえて
カーディガンを脱いでベッドに腰をかけて待っていた

ベッドの横の棚にアロマが焚いてあった、甘い匂いはここから出ていた
怪しげな雰囲気に少し動揺した

「なっなにするの?」

「マッサージよ」

「マッサージ!?」

意外な言葉にびっくりした

「さっ うつ伏せになって」

この間のお返しだろうか
言われるがままに枕に顔を埋めて、うつ伏せになった

亮子はオイルを手にのばし、背中に伸ばしていった
背中がポカポカしてきた

「痛かったら言ってね」

肩を親指で押し上げるように揉みほぐした

いい感じだ

首筋を親指で挟みこみ

背骨を指で挟みこみギューっと臀部のあたりまで押していった

足も指一本一本丁寧押しながら揉んでいったzzz

「明くん?」

「zzz」

「明くん!!

「えっあはい?

色んなところをマッサージしてくれたんだろうけど寝てしまっていた

「ちょっと腰を浮かして」

尻を突き出して腰を浮かした、その瞬間オイルでニチャニチャした手が
俺のアレを握った
0530名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:49:45.96ID:mHxnkrp2
「あっん」

「ふふ」

手で玉とあれを刺激し一気に硬くなった

「あっあっあ」

刺激が強くなるとどんどん腰が高くなり
俺の腰と陰部を手で抱え込み
背中を舌で舐めチュッチュッとキスをした

ベッドの上が先走りの液で湿っていた

「もっもう出そう……」

「いいよ」

「あ”っんん」

お尻を手でなぞるように刺激されて……腰がガクガク震えて……いきなり出てしまった

「んんんあ」

出てしまってベッドに倒れこもうと思ったら

「ちょっちょっと」

出した後もしごき続けていて、逃げ出そうとしたら

「まだ残ってる♪」

すごく敏感になっていて耐えきれず逃げ出そうとしている、
俺の腰をがっちり抱え込みギュッと握って一滴残らず絞りだそうとしていた

「もっもう出ないってっあ」

「そうみたいね」

そう言ってゆっくり絞りあげた

「お疲れ様〜」

やっと腰を解放されて、肩で息をしながらベッドに倒れこんだ

「ふう〜私も汗かいちゃった 飲む?」

ペットボトルのお茶を渡されたので、半分ぐらいもらった
お茶を貰ったら少し落ち着いた
0531名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:53:18.38ID:mHxnkrp2
a

「いま、何時?」

「そんなに余裕はないかな……シャワー行きましょう」

「うん」

なんとか体を起こした

「そんなによかった?」

嬉しそうに聞いてきた

「すごかったよ」

二人でシャワー浴びて、急いで着替えてホテルを出た

薄暗くなった曲がりくねった道を進み、地元の駅まで戻った

「またね〜」

「じゃあ」

下半身が変な感じがしたまま帰った
0532名無しさん@ピンキー2015/10/13(火) 00:55:16.31ID:mHxnkrp2
後編です。

終わりました。

構成はだいぶ前からできてたんですけどねー
だいぶかかりました。
0534名無しさん@ピンキー2015/10/15(木) 08:36:54.65ID:gCPZKaws
ディスコミ立ち読みしたいけどこの辺の古本屋に置いてないから読めない
お取り寄せしかないんだけど、なんとか編なんとか編ってなっててどれ読んだらいいのかわからん
0535名無しさん@ピンキー2015/10/15(木) 11:13:18.25ID:zE9INllM
>>532
GJ
そして保存庫の方も更新ご苦労様

>>534
新装版なら冥界→学園→内宇宙→精霊の順だけど
全7巻だから通し番号順に読めばよいかと
ちなみに作者総合スレはまだ漫画板にあるよ
0536名無しさん@ピンキー2015/10/16(金) 08:08:24.06ID:nUTUrVCq
謎カノは古本屋で、セット売りしてるのをたまたま買って読んだらハマった
ディスコミも読んでみたいと思ってるけど古本屋にない(新刊本屋にもない)ので立ち読みができない
amazonか と思ってるけど、いろんなシリーズ
0537名無しさん@ピンキー2015/10/28(水) 16:13:23.42ID:7j/0vvJt
>>535さんの言う通りちゃっかり
保存庫の更新してました。

ただ◆URBRTbKUxcさんの作品は保存しませんでした。
ご自分で公開しているみたいなので、
ちょっと迷ったのですが、しませんでした。
0538 ◆URBRTbKUxc 2015/10/31(土) 18:34:44.35ID:NX60+iWq
>>537
◆URBRTbKUxcです、お久しぶりですね。
保存に関しましては自由です、テキストに変更を加えないことを条件としておりますので。
そもそもデータがナマモノなのでDropboxからコピペして保存して頂けるとありがたい所存であります。
0539 ◆URBRTbKUxc 2015/12/10(木) 23:33:53.84ID:fzdUB8GN
お久しぶりです、また投稿させていただきます。

【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 前編】

ある朝目覚めると、外は真夏日だった。
あまりにも部屋が蒸すので俺は窓を開け放してからそのまま居間へと向かう。
「おはよ、姉さ……」俺はふとテーブルの方を見遣り声を失った。
「おはよお」姉、陽子は酷い寝癖で朝食を整えていた。
居間の時計は6時54分を指している。流石に蒸されて寝苦しかったろう、俺は何も言わずに朝食のトーストに目玉焼きを乗せて口にねじ込んだ。
「あんたは学校もそろそろ休みなんでしょお?」姉はうだうだと愚痴を溢したい一心らしい。
「姉さんの職場にはクーラーがあるだろー?」俺は力なく反論する。
「暑さ寒さも彼岸までって、そんなに待てないわよお」姉は酒でも呷るかのように牛乳を啜っている。
「海行きますかあー?」俺はせめてもの提案をするも、「何もしたくない」と子供のようにごねる姉を見て溜息をつくまでであった。
「明、今日は購買で何か買いなさい」姉は弁当は作りたくないと俺に小銭を渡した。
正直食中毒になっても困る暑さだったので、その選択はありがたかった。
俺はコーヒーをもう一杯飲んでから部屋へ向かい、制服に着替えてリュックを持って学校へ向かう。
よろよろと学校の方へ歩いて行くと、卜部が公園の前で待っていた。
「あ、おはよう」
「……おはよ」卜部も大分蒸されて苦しかったのか、僅かに寝癖がついていた。

--
0540 ◆URBRTbKUxc 2015/12/10(木) 23:42:26.11ID:fzdUB8GN
コピペ規制に引っ掛かったので今日はここまで
0541 ◆URBRTbKUxc 2015/12/11(金) 10:59:51.48ID:+V1O40av
訂正入ります

×公園の前
○いつもの交差点の前
0542 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 02:12:39.57ID:YQlLGB2a
「あついー……」
俺達は学校までの坂をよろよろと登る。
「本当、見上げたしつこさね……」
途中に公園があったので、俺達は一度其処で休憩する事にした。
「……まだ、時間大丈夫だよな」
「そうねぇ……あーもう蒸れちゃう」
汗をかいた卜部からは何処か甘い匂いと、海のような爽やかな匂いが混じって漂っていた。
俺達はベンチに座り、暫し木陰の風を堪能していた。
「……卜部、寝癖ついてるぞ」
「そう……?じゃあ、私の髪直してくれるかしら」
「ん、いいよ」
俺はそっと卜部の頭に両手を添えて、くしゃくしゃと掻き回した。
次第に寝癖もほぐれて、元通りの髪型に近づいたところでそっと手櫛を入れて整える。
「はい、出来たよ」
目の前には元通りの髪型の卜部が居る。
「ありがと、椿くん」
俺達は再び学校への道を進むことにした。
途中、ふと手に何か引っ掛かる違和感がして掌を見る。それは卜部の髪の毛だった。
俺は何故か急にむらむらとした感情になって、その髪を口に含む。
……甘い。卜部の汗が染み付いているせいか、それとも―
「つーばーきーくーん?」
卜部が怪訝そうに此方を覗き込む。
「何食べてるの、もう!ぺっしなさい!」
「あはは、ごっ、ごめん卜部……」
またパンツハサミが舞う事になったら次こそ命は無さそうだ。
俺は仕方なく、道端に卜部の髪の毛を吐き捨てた。

--
0543 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 04:27:13.75ID:YQlLGB2a
真夏の校舎はゆらゆらと蜃気楼に揺れて、白い壁に抑え切れぬ情熱を塗り固めた様であった。
二人は校門を通り、白い建物に吸い込まれていく。
いつもの様に2-Aの教室へ真っ直ぐに進み、いつもの様に扉を開けたその時だった。
シュパッ!と何か冷たいものが顔にかかる。
「っうえっ!」俺は思わずたじろぐ。
「おっはよォーウ椿ィ!」底抜けに明るい声の主は上野だった。
手には何故か霧吹きが握られている。どうやら水を掛けたのは上野らしい。
「ッ何すんだよ上野!」俺は思わず上野に突っかかった。
「なァーにただの熱中症対策だっての!怒んなよ、涼しいだろ?」
心なしか涼しくは感じられるが、教室にはエアコンが掛かっている以上要らぬお世話というものである。
卜部はそそくさと教室に入ると、いつもの机に突っ伏して寝てしまった。

待ちに待った夏季休講がすぐ目の前に近づいていた。
2-Aのクラス中がそわそわとしている中、俺も少しは意気揚々……としている筈だったが、あまりの夏の暑さに僅かに項垂れつつダラダラと一日が過ぎるようで仕方がなかった。
昼になって俺は購買へ向かい、焼きそばパンと菓子パン、それに缶入りのコーラを買ってくると早々に教室へ戻ってきた。
丘は卜部と楽しく弁当を分け合っている。ちらりと見たところおかずに鶏のベーコン巻きとマカロニサラダ、きんぴらごぼう等割と火の通ったモノで腐りにくい献立に仕上がっている様だ。
そのうえ飲み物はシャーベットときた。毎度毎度丘の手作り料理の引き出しの多さには驚かされる。
だが何よりも、驚くことが一つだけあった。
卜部がベーコン巻きを頬張った時に、吐き出された骨が殆ど綺麗に剥かれて出てきたのだ。
つまり、卜部は軟骨を齧った事になる。普段そういったモノを食べない自分からしたら卜部は極めて怪奇極まりない食生活なのだ。
俺は困惑してふと上野に視線を合わせた。
「なあ上野……お前って、鶏の軟骨食うか?」
「いや……俺はあまり食べないな、どうしたいきなり?」
「ああ、いや別に……」俺ははぐらかしながらちらりと卜部が美味しそうに鶏を頬張る様子を横目で眺める。
「コキッポリッ」と軟骨が砕ける音がしたような気がした。

--
0544 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 04:32:51.14ID:YQlLGB2a
今日の授業が全て終わり、後には午後のHRを残すだけになった。
ふと外を見ると先程までピーカン晴れだった天気は黒々しく曇り、何処かぐずついているようだった。
程なくして担任の田中先生が教壇に立つ。
「皆よく聞いてくれ。今年の台風はやたら大型だが、皆が正しい知識をもってすれば大事には至らない事を信じている。それと、くれぐれも事故など無いようにな!」
「はーい!」
一同、礼の後に解散した。
台風、か……道理でやたら曇りがかっていた訳だ。
クラスから疎らに人が居なくなり、俺も慌てて帰路へとついた。
駆け足で帰り道をゆく俺達は公園前の樹の下へ辿り着いた。
幸いにもまだ1時間以内に雨の降る気配はないが、あまりゆっくりもしていられない二人はいつもの日課を済ませる事にした。
甘い、甘い雫。いつもと変わらぬそれは何処か安心感がある。
「さて……私も帰らなきゃ、また明日!」
「おう、またな!」
二人はその場で別れると、真っ直ぐに家路を急いだ。

「ただいま!」
帰宅すると、一家は騒然としていた。台風が近づいている為だろう。
「おかえり!ちょっと大変だから手伝って、荷物まとめるわよ!」
「へいへい!」俺は急いで荷物をまとめに押し入れに走った。着替え、洗面道具、日曜品、救急セット、非常用の電池、懐中電灯、ラジオ、預金通帳、小銭などをまとめてバッグに詰める。
俺も自分の部屋に行くと机の上のラジオのスイッチを捻り、貯金や身の回りの道具類をまとめ始めた。
落ち着いた声でニュースが入る。
『気象庁予報部発表の、7月2X日 天気概況、および天気予報をお知らせ致します……
19日に発生した大型台風XX号は、現在近畿と東海地方を暴風域に巻き込みながら上陸し、関東地方へゆっくりと東北東へおおよそ時速50kmにて進行中、
中心気圧945mBar.(ミリバール)、中心付近の最大風速40m/sec.(メートル毎秒)、今後岐阜県を中心に一部の東海地方で暴風警報、竜巻警報、大雨洪水警報、
沿岸部で波浪注意報が発令される見通しです……関東地方へは、今日昼過ぎ、午後2時頃の上陸となるでしょう……
明日、東京は天気曇一時雷、南東の風、風力4、気圧990mBar.……神奈川は天気曇、南南東の風、風力3、気圧994mBar.……(中略)……
小笠原諸島、天気不明、風の向き定らず、風力4、気圧993mBar.でしょう……』

--
0545 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 04:58:22.14ID:YQlLGB2a
午前2時11分。草木も眠る丑三つ時、と表現する方が正しいだろうか。
俺は外の風が吹く音で中途半端に目が覚めてしまい、二度寝するわけにもいかず苛立っていた。
ふと廊下の小窓から外を眺める。窓の外は曇り空が広がっていたが、雨は降っていない。台風は何の害も与えず去って行ったようだ。
俺は多少ふらつきながら階下へ降りる。居間はしんと静まり返り、時計のセコンドの音だけが響いている。
今テレビのスイッチを捻っても面白い番組はやっていないだろう。仕方なく台所へ身体を向けると冷蔵庫へ歩みを進める。
白い扉を開くと豆球の橙が眩く灯る、中には濃縮還元のオレンジジュース、味付ベーコン、牛乳、佃煮、紅しょうが、明日の食事の具材と去年買い込んだポラロイドフィルム以外は大したものがない。
やれやれとオレンジジュースを取り出して棚から取り出したコップに注ぎ、くいっと飲み干す。
ふと電話が鳴った。こんな時間に誰だろうか、俺は電話口へと向かった。
「はい、椿です」
『……椿くん?あのね、私―』
声の主は卜部だった。すっかり目が覚めてしまったらしく、何処となく寂しさすら感じる。
ビュオビュオと受話器越しに風の音がする。
『私、さっき眠ろうとしたけれど寝付けなくて……椿くん、起こしちゃったかな?』
「いや全然?今さっき起きてきたところだけど、何か用?」
『あのね……神社の方へ来て欲しいの、また例の廃屋で会いましょう』
此処からは少し遠いが歩いて行けるギリギリの距離だ。卜部が眠れなかった事と関係有るのだろうか。
「えっ、と……歩いて40分位の場所だよね?どうして?」
『……ごめんなさい、理由は言えないけど、とにかく今から来て欲しいの』
一瞬の静寂の後に卜部は申し訳無さそうに返す。そして、また静寂が続いた。
窓の外の風の音が悲痛的に響いている。
「分かった卜部、今から行くよ」俺は仕方なく承諾した。
『……じゃあ、待ってるからね』
カチャリと静かに受話器の置かれる音を聴き、俺も受話器を置いた。
俺は足を忍ばせつつ急ぎ足で部屋へ戻りシャツとジーンズ、そしてパーカーを着込んだ。

--
0546 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 05:06:08.59ID:YQlLGB2a
外はやや薄暗く、風が強く吹いていた。
パーカーのジッパーを開けたところから少し肌寒さを感じつつ一直線にいつもの公園前へ、そして神社へとそのままの方角へ歩き続ける。ふと空を見上げると雲は流れ、裂け目から星空がちらほらと視える。
すっかり灯りのない神社の前に着くと、石段が長く待ち構えていた。一歩一歩、踏み外さぬよう足を進め、境内の脇道からバリケードの方へこっそりと忍び寄る。
バリケードをくぐり抜け、老朽し崩れかかったビルの前に白い人影を見た。卜部だった。
俺は声を上げようとしたが、風が強く吹いていたので手を振る事にした。
卜部も此方を見て手を振り返した。俺はすぐに卜部に駆け寄った。卜部は白いワンピースに身を包んでいた。
「椿くん、じゃあ行きましょう」
強風が微かにワンピースを靡かせた。卜部はぐいと俺の手を引いて例の廃屋の中へと入る。

薄暗い廃屋の中の階段を伝って行くと、やがて俺達は最上階に来た。壁に所々赤錆を見せてはいるものの、荒れるに任せていた一階とは違って部屋は今出来たかのように真新しさを保っていた。
風がガラス窓を軽く叩く。部屋の真中に俺と卜部は立っていた。
暫しの静寂。それを裂くかのように卜部は話を切り出す。
「椿くん、あのね……」
ふと差し出した後ろ手には霧吹きが握られていた。何をしようというのか。
俺はその霧吹きを手に取ると、怪訝な顔で卜部を見つめる。
卜部はまた口を開く。
「私に、その水をかけて」

何が始まるのだろう。俺は恐る恐る霧吹きを卜部に向けて、そっとレバーを引いた。
霧が卜部を濡らす。透き通った肌が次第に艶を帯び、白いワンピースが少しずつ透けていく。
すると、どういう事だろうか。透けたワンピースは次第に肌との境界を失い、溶けるかのように濡れた部分から消えてしまった。後に残るは卜部の素肌のみである。
俺は夢中でレバーを引いた。少しずつ卜部の素肌が露わになり、最後には輝くばかりの卜部の裸体のみが残った。
月が、裸の卜部を煌々と照らす。
裸のまま佇む卜部。すると卜部は恥ずかしがる様子もなく、俺にそっと手を差し伸べた。
「椿くん……私を抱いて」
突然の告白に俺はたじろぐ。裸の卜部を前にしてそんな告白、果たして受け取っていいのだろうか。
しかし、俺は決心して一歩前に進むと優しく背中に腕を回して―

卜部を、そっと抱き締めた。

--
0547 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 05:17:50.30ID:YQlLGB2a
気が付くと、これまでの甘く切ない卜部との駆け引きは一睡の夢であった。
周囲を見回すと外はまだ暗いながらも薄明るさのようなものを感じて、俺は不気味に感じつつ時計を見た。
午前4時46分。朝にはまだ早いその時間帯に俺は何もする事すらなく、かといって眠る事すら億劫に感じるのであった。
俺は外に出るとふと家の前から周囲を見回した。
東の空にはまだ太陽は出ていない。しかしそれと対比して西の雲がかった空には月が今沈もうとしていた。
黄昏時の如く沈もうとする月。煌々と丸く灯るその金色の光は何処か寂し気で、暖かそうだった。
暫しボンヤリと眺めていると、背中の方から少しずつ空が白けていくのを感じた。太陽が昇り始めたようだ。
俺は嵐が去った事を実感しながら再び家の中に戻り、安堵の中で再び自室のベッドで眠りについた。

午前10時32分。
陽の光が差して眩しさに目を覚ます。
昨夜の夢のせいかはたまた台風の緊張のせいか、気怠げに目覚めた俺は階下に向かう。
「おはよう姉さん」ぼんやりとしたまま俺は遅い朝食を食べる事にした。
「おはよう。結局何もなかったわねえ……」姉もまだ気怠さが抜けきっていない様だった。
朝食を食べ終わると俺は着替えて図書館へ向かおうと外に出ようとした。その時だった。
「キーンコーン♪」
呼鈴が押された。誰だろうと外へ出て確認すると意外な客だった。
卜部だった。俺は慌てて外に出た。
「どっ、どうしたんだ卜部?」
「昨日台風がすごかったでしょ?心配だったから様子を見に来たの」
卜部の表情は髪に隠れて見えなかったが、口元は笑っている様にも見えた。
「あっ、ありがとう卜部……何事もなく過ぎ去ったみたいだよ」
「……そのようね?」
卜部はそっと口元に指を遣ると、指先を咥えてよだれを少し採り、差し出した。
「はい、今日の分」
卜部は今日の日課のために態々家まで来たのだろうか。
「お、おう」
俺は差し出された指先のよだれを舐め取る。

--
0548 ◆URBRTbKUxc 2015/12/12(土) 05:33:01.04ID:YQlLGB2a
「……それと。話があるの」
「は、話って?」
何やら深刻な話題だろうか。
「今度、お父さんの実家に椿くんも連れて行こうかと思って」
「ああ、なんだそういう……って、ええっ!?」
意外な話題に、俺は動揺を隠せなかった。
宛ら、結婚前夜に父の家へ連れ込まれる新郎の気分であった。
「うちのお祖母ちゃんがどうしてもって言うから、嫌だったら断るけど」
「い、行きます!行かせて貰います!」
卜部とデート、しかも遠く離れた海の地ときた!
これは只ならぬ絶好の機会(チャンス)ではなかろうか!?
「イヤッフゥ!やった!!」
思わず俺は舞い上がる。
「椿くん、海でいっぱい遊ぼうね」
卜部が苦笑しつつも笑いかけた。
「おう!」
「それで、なんだけど……7月31日から6日間、予定は空いてる?」
「7月終わりか、そうだなあ……特にはないよ」
「風見台駅からバスに乗って東京駅に行くでしょ、その後夜行バスに乗るのはどう?」
「バスか、それなら安く済むな!」
「旅費はお祖母ちゃんが出してくれるらしいわ、2人分ちゃんと用意できるから早いうちに予約したいの」
「何か持っていくものはある?」
「そうね、海が綺麗だから水着とかかしら?」
卜部の水着姿、それも綺麗な海ときた!
ほわわん、と頭の中に何時かの夢で観た人魚の卜部が浮かぶ。
「椿くん、それじゃあ私急いで予約するからね!」
「おう、楽しみにしているよ!」
俺は卜部と約束をして、別れた。
0549 ◆URBRTbKUxc 2015/12/13(日) 06:20:28.99ID:iETDD2zD
【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 前編 -あとがき-】
季節はもはや冬、蒸し暑い夏が少し恋しい時期ですが如何お過ごしでしょうか。
さて私◆URBRTbKUxcの最近の趣味は映画鑑賞、そしてサウンドトラック盤なども聴き齧って居ります。
勿論このSS板のことも忘れておりません。煙草を燻らせつつじっくりコトコト鋭意執筆中であります。
今更ながらナゾカノのBDを(中古ですが)入手した私はブルーレイドライブも同時に購入して高画質の卜部を堪能しております。
ところで卜部は映画など観るのでしょうか。原作ではその日は用事があって行けない的な会話がありましたよね。
もし観るのであればやはりSFなどになりそうですが、意外と任侠モノも観てたりして。
それでは後半もどうかご期待下さい!
-TO BE CONTINUED
0553 ◆URBRTbKUxc 2015/12/14(月) 09:59:33.71ID:9albATyl
>>551
文語的にJRの事を国鉄と呼称したりする人もいるだろうという事で敢えてそうしました。
ナゾカノ自体が未来図と見せかけて'80〜'90年代を描いている事からも非SI単位系がしっくりくると思ったのです。
0554 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:10:35.61ID:d44Zpg/V
お待たせしました、後編をお楽しみ下さい。

【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 後編】

待ちに待ったその日がやって来た。卜部と二人きりの旅行の日だ。
その夕方に俺は夕食を食べると自分の部屋に戻り、再び持っていく物を確認した。
着替え、歯磨きセット、水着、ポラロイドカメラ、フィルム、トランプ、ヘッドフォンステレオ、文庫本、菓子等を詰め込んだリュックと旅行カバンが今俺の目の前にある。
用意周到、と言うべきだろうか。俺は肩に2つのカバンを掛けると少しその重みを感じつつ玄関へ向かった。
「姉さん、それじゃあ行ってくるよ」
「大丈夫なの?あまりはしゃいでケガして帰って来ないでよね」
「大丈夫だって、行ってきます!」
俺は風見台駅への足取り軽く、一直線に向かった。

風見台駅に到着すると既に卜部が待っていた。
「よう卜部、待ったか?」
「ううん、今来たところ」
卜部は澄まし顔で笑い、「一緒に行こ」と足を進める。
俺達はバスに乗ると東京駅まで暫しぼんやりと揺られた。
15分ほどで東京駅に辿り着くと、空には月が昇っていた。

「椿君、あのバスだよ」
俺は卜部に手を引かれて高速バス乗り場へと向かう。
海の綺麗な場所と聞くがその美しい予想とは反面に、一抹の不安がよぎった。
自分にとってその地は、何処か暗く淀んだ未開の地でもあったからだ。
先に荷物を荷物室に投げ込み、搭乗手続きを済ませた卜部につられ、俺も旅行カバンを投げ込むとバスに飛び乗った。
ゆっくりと、バスは目的地に向かって進み出す。

--
0555 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:13:12.04ID:d44Zpg/V
バスの中は薄暗く、窓から満天の星空が視える。
これから気の遠くなるような時間を揺られていくのだろう。
ふと隣を見る。相変わらず卜部は何処でもすんなりと眠ってしまうようだ。
俺はリュックからヘッドフォンステレオを取り出すとカセットテープを差し込んでスイッチを入れた。
淡い月の光が、優しく頬を撫でていく。
聴いていた音楽も相俟ってか、いつしか揺られているうちに心地良い気分になった俺は、ゆっくりと眠りへと落ちていった。

明くる日、バスの中で俺は眩い朝陽の光で目を覚ました。
このまま行けばあと1時間程で着くことになる。山間を進むバスは綺麗な海の予感を一層強め、果てしない夢想を一層炙り出す。
やがてバスが到着すると、俺はいつの間にか起きていた卜部に手を引かれて路線バスの乗り場へと足を運んだ。
待つこと大凡30分。その間暇なので、何か話そうと思った俺はイヤフォンを外した。
「卜部、クッキー持ってきたけど食べる?」
「うん」卜部はちょうだいと微笑って答える。
クッキーを食べ、ペットボトルの紅茶を分けあいながら待っているとやがてバスが来た。
俺達はまたまた揺られる。2つ、3つ、4つ……停留所を次々と乗り過ごしてぼんやりと外を眺めると、俺達はやがてトンネルという瞬間の漆黒に包まれた。
そして目の前に碧色の大海原が広がった。
「卜部、海だよ海!すっごく綺麗!」
綺麗な海に俺はずっと見とれていた。
あのサファイアのように輝く紺碧の海こそが卜部の故郷であるのかと思うと、胸が熱く、そして羨ましいような気持ちが昂ってきた。
「椿君、降りるよ」
卜部が降車ボタンを押した。
俺達は、停留場から更に30分ほど歩いた。
卜部の祖父母が暮らす家は、少し山奥の方にあった。

--
0556 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:15:48.56ID:d44Zpg/V
「お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、美琴だよ!」
「あらもう来たの、早かったねぇ」
先に出たのはお祖母さんの方だった。少し腰曲がりなのは兎も角として未だに元気一杯な感じである。
「お祖父ちゃんは?」
「まんだカラオケさ行っとるけん、帰ってくるのは夕方頃じゃ」
「それよりお祖母ちゃん、お腹すいちゃった」
「あらあら、それじゃ早いけど素麺茹でようかね」
俺達は、早めの昼食をいただく事になった。

素麺ができるまで、俺達は荷物を広げる事にした。
俺達は二階奥の広い部屋で寝泊まりする事になった。
卜部のお父さんが使っていた部屋だろうか。小ざっぱりした部屋は必要十分の広さがあった。
ふと窓の外を眺めると、遠くに海が広がっていた。
……いつか、自分もこんな家を持つような時が来るのだろうか。
そんな想いに心を漂わせていると、下からお祖母さんの声がした。
「椿君、素麺できたって」
卜部は元気そうに駆け足で降りてゆく。
俺も一緒に一階の食堂を目指した。
「「いただきまーす!」」
出されたのは素麺に、おかずには焼き豚、胡瓜と茄子の浅漬け、玉子焼き、トマトときた。
素麺は太さも調度良く、ついつい箸が進んでしまう。
ふいにお祖母さんが、俺に尋ねる。
「東京の人は皆素麺なんて食わんでしょ」
「いえ、自分地元は田舎です」俺は間髪入れず答える。
「あら、そうでしたの」お祖母さんは卜部と一緒やねと笑う。
「しかし美琴も可愛うなったねぇ、こんなボーイフレンドまで連れてきて祖母ちゃん嬉しいけん」
暫しそんな会話が続いた。
気がつくとザルの中は空になっていた。

--
0557 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:16:50.00ID:d44Zpg/V
「「ごちそうさま!」」
すっかり昼食を平らげてしまった俺達は再び部屋へと向かう。
「卜部、この後どうする?」
「そうね……海、行こっか」
「そうだな……じゃ、先に着替えるか」
「そうねっ」
卜部は元気そうに続き部屋へと入る。中から布の擦れる音がしてきたので、どうやら着替え始めたようだ。
自分もジーンズの下に水着を着ると荷物を持って待つ。
「お待たせっ」すぐに戸が開いて卜部が出てきた。
「よし、行こう!」
俺達は家を出ると駆け足で海へと向かった。
海は爽やかな風が吹き、波が程良く立っていた。
人の姿も疎らで、殆ど誰もいない海は貸切状態と言っても差し支えない。
「椿君、一緒に泳ごう」
「おう」
卜部は変わった柄のシートを広げるとその上に荷物を置いて服を脱いだ。
卜部の白い肌と黒い水着の対比もさながら、見とれているとビキニパンツにはハサミが挟まれていた。
「オイオイ、こんなところでもハサミかよ」
思わず俺は呆れて笑う。
「大丈夫よ、このハサミはサビないハサミだから」
卜部は笑って答えると海へと駆けて行った。
「……準備体操、要るかな」
俺は軽く腱や関節を伸ばすと卜部の後を追って海へと入った。
滑らかな白い肌に海の泡が絡まり、飛沫が飛び散る。
俺は、西日に照らされて優雅に泳ぐ卜部を見ながら夏を感じていた。

海と溶け合い、波に乗って進む俺の彼女は、人魚のようであった。

--
0558 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:20:39.46ID:d44Zpg/V
日が暮れる頃に俺と卜部は帰路についた。
家に着くと、お祖母さんは夕食を切り盛りしていた。
「お祖母ちゃん、今日のご飯何?」
「美琴の好きなものじゃけん、も少しで出来るよ」
何だろうかと夢を抱きつつ俺も食卓でじっと待つ。
暫くして皿の上に盛られた料理が運ばれた。
鯵の姿鮨、鯖鮨、味噌汁とお新香。豪華な魚づくしの料理に思わずよだれが出そうになった。
卜部は……少し口角から漏らしてしまったようだ。余程心待ちにしていたのだろうか。
「「いただきます!」」
二人威勢良く豪快に食べ始めた。
酢の甘さと鯖のしまりの良さ、鯵の肉から滲み出る美味さが食欲を掻き立てる。
「卜部、この鮨美味しいね」
「お祖母ちゃんの手作りなの、いつも作ってくれたから久々に食べられて嬉しいわ」
「へぇ……」
卜部の故郷ではいつもこんな美味いモノを誰もが食べられるのだろうか。
ふと、玄関の開く音がして誰かが入ってきた。
「ただいま」声の主はお祖父さんのようだ。
「お祖父ちゃん、おかえり!」
程なくしてお祖父さんも食卓へ向かう。
「美琴や、東京はどうや」
どっこいせと座ったお祖父さんは何処か貫禄のある人だった。
「おもっしょい(楽しい)よ、最初こそオジクソ(弱気)じゃったけど毎日ええもんやけん」
まさかの方言である。俺はビックリして卜部をじっと見つめていた。
「彼氏さんもスマンのぉ、美琴がかいらしくて(ぶりっ子などで可愛くない事、皮肉る時の言葉)くわる(疲れる)じゃろ」
「い、いえ!」俺はなんとなく文脈から意味を理解するとそんなことはない、と否定した。
「もう、彼氏にじゃらこい(しょうもない)事言わんといて!」卜部は口を尖らせた。

--
0559 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:24:12.70ID:d44Zpg/V
夕食を終える頃に、お祖母さんが今日の晩酌を持ってきた。焼酎の水割りがお祖父さんの好物らしい。
お祖父さんが焼酎を一杯飲み干すと、卜部に「ちいと飲むか」と酒を勧めた。
オイオイ、未成年なのにいいのかと思っていると卜部は「うん!」と笑顔で答えた。
卜部は自分のコップに氷を転がし焼酎を注ぐと、水割りを作って一口啜ってしまった。
「かーッ、美味い美味い!」
傍から見たら女子高生の皮を被ったおっさんである。
お祖父さんももう一杯口を付けると、突拍子もなくこんなことを尋ねた。
「美琴はもう、彼氏君とはオチャコ(XXX)したんか」
俺は思わず飲んでいたコーラを噴き出しそうになった。
「じゃらこい事訊かんと!」間髪無くお祖母さんから怒号が入る。
俺はどうしたらいいのか分からず口をモゴモゴさせるまでである。
その時だった。
「もう寝ました!」
卜部はイントネーションこそ方言のそれだったが、標準語で突っ撥ねて答えた。
お、オイオイ。酒の冗談ではなさそうだ。俺は危うく貞操の危機を感じる。
卜部は焼酎を一気に飲み干すと突如、ふぁぁとだらしない声を上げて机に突っ伏してしまった。
どうしたものかと困惑していると、豹変した卜部はどんと焼酎の瓶を目の前に置いた。
「明ァ、オメーもオジクソちゃうンなら一杯(イッペー)飲めェや」
うぐ。これは拙いぞ。どうにかして目を覚まさせなくては。
しかしお祖父さんも調子に乗って「おッええトコ見せてくれるんか」などと言う始末である。
仕方なく俺はコップを卜部に渡して水割りを作って貰った。そして手渡されたそれを一杯グイッと飲み干す。
ガツン!と頭を揺さぶられたような刺激がきた。喉が灼けそうだ。
一杯飲み終える頃には既にいい気分になってベロンベロンの卜部に寄り添う事にした。
「あッハッハ、オメーおもっしょい奴っちゃなァ!」
流石に卜部はハサミを使うことはないが、俺の耳許でゲラゲラと大怪笑を響かせていた。
「卜部、もう寝よう」
俺は頭痛に耐えながらよっこらせと卜部を持ち上げた。
「あいあい」
卜部もなんとか起き上がって寝室へと向かった。

--
0560 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:28:09.62ID:d44Zpg/V
『此処は、何処だろう』

俺は真昼の太陽の照り付ける白い砂浜の上に立ち尽くしていた。

目の前に卜部がいた。
パンツとハサミだけを身につけて殆ど裸の彼女は、目の前で立ちながらこっちを見つめていた。
俺は何かを確信すると一歩歩み寄り、そっと卜部の肩を抱いて……

卜部の唇に、そっと接吻を重ねた。

すると、どうした事か。
彼女のハサミは急に錆びてボロボロになり、真白な砂浜の上に赤黒く錆びた粉となって落ちてしまった。

俺は彼女からそっと離れると、卜部が口を開いた。
「私達、やっと始まるのね……」
始まる。その予感に一抹の不安と期待を感じ、じっと卜部を見つめていると―

気がつくと、俺は部屋の中で目を覚ました。
月の光が、優しく俺を照らしている。
「夢、か……」
がっかりしたような気持ちと奇妙な雰囲気の中、眠ることも億劫になってきた俺はゆっくり起き上がる。酔いは覚めたようだ。
俺は階下へ降りると誰にも気づかれぬようそっと家の外に出て、海へと向かった。

--
0561 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:31:28.15ID:d44Zpg/V
銀の砂を月の光が青々と照らす。
月に照らされる海は黒々しくうねり、昼間とは違った顔を見せる。
その対比をぼんやりと眺めていると、卜部がすぐ横にやって来た。
「起こしちゃった?」俺は卜部にそっと尋ねる。
「ううん、変な夢で目が覚めちゃったから」
暫し、二人の間に静寂が走る。
そして、その静寂を切り裂いたのは卜部からだった。
「さっきは、ごめんね」
「え?」
「椿君と寝たなんて嘘ついちゃった」
「ああ、その事か……」
「私達、キスもまだなのになんでだろうね」
俺達は貞操という概念で強く繋がり、深い絆で結ばれている関係だ。
しかし、俺達はその「一線」を超えられずにいる。怖いのだろうか。それとも……。
卜部が再び口を開く。
「椿君……私達、まだ始まってもいないのね」
始まってもいない。果たしてそうだろうか。
俺達が奇妙な縁で結ばれた以上、何かが変わりつつあるのは確かなのに。
あれこれ悩み抜いた末に、俺は大体こんな事を口走っていた。
「あのな……卜部、俺達は確かに始まろうとしているんだ」
「えっ?」
「始まるとか始まってないとかそういう事が大切じゃないと思うんだよね、一つの通過点を超すために今登り続けている……なんかそういう感じがするんだよ」
俺はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「だから焦る必要なんて無いんだ、俺達は今のままでいい……今を大切に生きたいんだ」
やっと紡がれた言葉の後に、俺はゆっくりと深呼吸して海を見つめていた。
「……そうね、そんな気がするわ」
卜部は静かに答えて、笑った。
その時だった。
青天の霹靂。突如として月は雲に遮られ、翳る。
雷の直後に大雨に降られた俺達は走って家路を急ぐ。
しかし雨足は強く、とてもではないが帰れそうにない。
「椿君、こっち」卜部が俺の手を引いた。
卜部に手を引かれて辿り着いた先はバス停だった。確かに此処なら雨宿りには丁度良さそうだ。
バス停の中、卜部はじっと此方を見つめていた。俺も卜部をじっと見つめていた。
すると突然、卜部は濡れたシャツを脱いで上半身を露わにした。
「平気で胸さらけ出すのもどうかと思うけどな」俺は思わず苦笑した。
「椿君になら見られても構わないわ」卜部は微笑いながら答える。
卜部と俺は顔を見合わせて、笑った。

--
0562 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:35:17.08ID:d44Zpg/V
楽しみに楽しんだ六日間はあっという間に過ぎ去り、俺達は東京へ帰ることになった。
「ほんじゃ帰りは送っていくけん」
「ありがとうございます」
お祖母さんが車を出してくれたおかげで帰りは多少楽する事ができた。
車で揺られる事20分。俺達は来週の予定なんかを話し合っていた。
窓の外に見える赤、緑、青、色とりどりのネオンは何処かもの寂しく、家路につく俺達を見送っている様だった。
「来週から宿題やらないとな」
「私は半分済ませたけどね」卜部は鼻高々だ。
「最終日また何処か行くか?」
「それは椿君に任せるわ」
果たして目の前に駅が見えた。
「では、気いつけてな」
「ありがとうございました」
「お祖母ちゃん、また来年もよろしくね!」
高速バス乗り場へ辿り着いた俺達は深々と礼をした。
暫くして到着したバスに俺達は荷物を投げ込み、搭乗手続きを済ませてバスに乗った。

隣同士の席に座った俺達は、少しだけ話をしてからいつもの日課を済ませようとした。
「今日は、椿君のも舐めていい?」
「え?あ、ああ……」
俺は卜部の口にそっと人差し指を挿し入れて、卜部は自分の人差し指を俺の口にそっと入れる。
そして、互いの口に自分の指を入れてよだれを舐める。
しゅわわ、と海の泡が弾け飛ぶ感触がする。心なしか甘くて、それでいて少し酸っぱい。
卜部も俺も、微かに頬を染めて笑った。
「椿君、また来年も連れてってあげる」
「おう、楽しみにしてるよ」
この夏、六日間は二人にとって最高の旅行になりそうだった。

【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 後編 -Fin-】
0563 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:39:48.60ID:d44Zpg/V
【謎の夏の小奏鳴曲(ソナチネ) 後編 -あとがき-】
取り急ぎ、報告をば。前編執筆中に◆URBRTbKUxcのPCのHDDがぶっ壊れました。
幸いデータ側ドライブではなくOS側ドライブの不調なので助かりましたが、現在慣れぬLinuxにて執筆中であります。
現在使用しているのはMint LinuxですがWineの互換性がまぁまぁイイので助かっております。
さて話を戻して本作ですが、つい最近観た映画が基になっております。
北野作品の中でも白眉と呼ばれるに相応しい「Sonatine(ソナチネ)」、これがまた感動の名作なのですが北野武氏の死生観が綺麗に出ているとても素晴らしい作品なのであります。
(雨宿り中にヒロインが脱ぎ出すシーンもまんまソナチネですね)
今回方言を使う場面がありましたが、◆URBRTbKUxcの本籍地である徳島県を舞台にしたため徳島弁を入れました。
本当なら阿波踊りの描写も入れたかったのですが、あまりに冗長になるのと取材する時間が無かったため、削りました。
ところで、皆さんは方言で喋る女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0564 ◆URBRTbKUxc 2015/12/18(金) 22:51:58.40ID:d44Zpg/V
sage進行のまま進めてしまい申し訳ございませんでした。
此方の作品もDropboxに用意させていただきました。
保管庫の方も引き続きよろしくお願いします。

https://www.dropbox.com/s/dhxsjtzwie13h6o/%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%BD%BC%E5%A5%B3X_SS%E3%80%90%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%A4%8F%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%A5%8F%E9%B3%B4%E6%9B%B2%28%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%8D%29_%E5%BE%8C%E7%B7%A8%E3%80%91.txt?dl=0
0566 ◆URBRTbKUxc 2016/01/06(水) 14:13:57.93ID:Zy30YB/f
ちょっとしたショートショートを書きたくてやってみました。

1レス小説シリーズ【謎の「むにゅ」】

「卜部の胸を好き勝手してみよう」ふと俺、椿明はそんな事を考えた。
そんな悶々を抑えつつ、ある日の放課後の教室。
偶然にも用事を済ませた矢先に卜部はいつもの机の上で居眠りをしていた。今なら卜部の胸を好き勝手出来る。絶好の好機(チャンス)だ!
俺はそっと卜部の背後に回ると静かに胸へと手を伸ばし、そっと胸に触れた。
その時である。
「……んっ、ふ……ぅぅん……ぅ…………」
卜部は悶えたような声を出してふるふると小刻みに震えた。
俺は慌てて手を引っ込めると卜部の前に回って、その様子をじっと眺めていた。
程なくして卜部はそっと首をもたげる。口角から僅かによだれを垂らして起き上がった彼女は頬を染め、あどけない表情で此方を見ていた。
「……なに……?」卜部はふにゃふにゃの声で此方に問いかける。心なしか可愛い、そう感じてしまった。
「う、卜部……もう下校時間だぞ」俺は慌てて卜部の垂れたよだれを拭い取った。
「……みたい、ね……じゃ、一緒に帰ろ?」卜部はほんのり恥ずかしげな笑顔を見せた。
帰り道、二人は何時もの日課を済ませると卜部は足早に帰路へとついた。
卜部のマンション。その一室に果たして着いた彼女は自分の部屋のベッドに倒れこみ、ゆっくりと呼吸を整える。
「……私、なんて夢を観てたのかしら……だけどあの夢は嫌いじゃないわ、何処か甘くて切ない夢……」
暫くして卜部はベッドの上に寝転がり、か細く呟いた。
「椿君もえっちだけど……私も相当えっちなのね……」

ちなみに後程机に零れたよだれを発見したのは保険委員会の帰りだった丘だったが、そのよだれを舐めてしまい鼻血を出して倒れたところを上野に発見されたのは言うまでもない……。

【謎の「むにゅ」 -Fin-】

【謎の「むにゅ」 あとがき】
今日も元気だの人からインスパイアされた短文小説(ショートショート)です。
短い中にいかに沢山の情景を詰め込めるかの実験で、単なる思いつきでもあります。
ところで、居眠りしながらエッチな夢を観る女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0568 ◆URBRTbKUxc 2016/01/06(水) 17:52:27.06ID:Zy30YB/f
>>567
30行が大体ブラウザで読むのに適当かと思い、30行前後で内容を濃厚に盛り込む所謂「1画面ショート」に挑戦したかったので作りました。
構想含めてほぼ1日で書き上げたので多少アラはあるかもしれませんが概ね満足しております。
0569名も無きヤンデラー2016/01/09(土) 00:15:14.80ID:GL7sUpLI
※キャラ崩壊注意
※駄文注意
ヤンデレ卜部さん

唐突なのだが、俺こと、椿明は今、自分の彼女である卜部美琴によって監禁されている。何でこんなことになっているのか見当もつかない。
「なあ、卜部」
さっきから、正確には俺の眼が覚めた時からずっと俺の事を見つめている卜部に声をかけた。
「なあに?椿くん」
心なしか嬉しそうな声が返ってきた。
「何でこんなことをするんだよ、今の卜部はちょっとおかしいぞ!?」
いつもの卜部も普通とは言いがたいけど。
「何でって、椿くんを独り占めにしたいからだけど?」
「へ?」
自分の予想の斜め上の返答に思わず変な声がでてしまった。
「だ、だからってこんなことする必要ないだろ!」
じゃら、と俺の首に巻き付いている首輪の鎖が音をならす。この首輪のおかげで逃げることができない。
「そうかなぁ?」
「そうだよ!とにかく、これをはやく外してくれよ」
「それはダメ」
「何で!?」
「だって、そんなことをしたら椿くんがどこかに行っちゃうじゃない」
「は、はぁ?」
「椿くんは、これからずーっと私と一緒にここで暮らすのよ」
「こ、ここで!?」
「そうよ」
「食事とかトイレとかはどうするんだよ!?」
「食事は私が持ってくるし、トイレは椿くんのオムツを取り替えれば問題ないわ」
「へ?オムツ?俺はそんなのはいてないけど?」
「それじゃあ、ズボンを脱いでみて?」
う、卜部の前でズボンを!?
「無理無理無理無理!絶対無理だって!」
「つべこべ言ってないでさっさと脱いで。それとも、ハサミで切り刻んで欲しい?」
「わかりました!脱ぎます!脱がせてください!」
いつの間にか取り出していたハサミを突きつけられ、慌てて言った。
「うう、何でこんなことをしなくちゃ・・・ってあれ!?俺、パンツを履いてたはずなのに!?」
何で俺、オムツなんか履いてるんだよ!?
「椿くんが寝てる間に変えておいたのよ」
「うぇ!?ってことはつまり」
「ええ。バッチリ見たわ」
「さ、最悪だ・・・」
「別にそのくらい良いじゃない。今からもっと不謹慎な事をするんだもの」
そう言い、服を脱ぎながら近づいてくる卜部。
「ちょ、ちょっと待てよ卜部!よせ!早まるな!」
「本当はうれしいくせに」
まあ、そうなんですが。
「大体、キスもまだだっていうのにいきなりそういうことをするというのはどうなんだ!?」
そう言った途端、卜部はこっちに近づいてくるのをやめた。
「・・・そうね。さすがに急すぎるわよね。ごめんなさい」
「謝ってくれるのはうれしいんだけど、ついでにこの首輪も外s「それはダメ」・・・そうですか」
「なら、どうすれば外してくれるんだよ?」
「外して欲しいの?」
「も、もちろん」
0570名も無きヤンデラー2016/01/09(土) 00:16:18.24ID:GL7sUpLI
言い終わるや否や卜部の指が俺の口の中に差し込まれた。口の中に物が入ったことによって反射的によだれがでてくる。
やがて俺の口から俺のよだれがたっぷりとついた卜部の指が抜き出された。そしてその指がそのまま卜部の口に吸い込まれるように入っていった。そして、俺のよだれをクチュクチュと音をたてて吟味していた。
やがて俺のよだれを飲み込み、開口一番
「嘘つき」
と言った。はい。嘘です。
「椿くんも、私の事を独り占めにしたいんでしょ?」
「そ、それはそうだけど」
「なら良いじゃない。それとも、そんなに首輪が嫌なの?それなら手錠にする?」
「そういう問題じゃないと思うんだけど・・・」
「でもこうでもしなきゃ椿くんが私をおいて何処かに行っちゃう。絆があるのに椿くんが盗られちゃう」
「卜部?」
「早川さんといい、今井百夏といい、諏訪野さんといい、私の椿くんを盗ろうとしてる人ばかり。でも、そんなことさせない。させるもんですか。絶対に椿くんはわたさない」
「お、おい?卜部?」
「ねえ、椿くん。私ね、今家出してるんだ」
「初耳だよ!というかさっきから話の脈絡がなさすぎ!」
「少し静かにしててくれない?椿くん」
素早くハサミを取り出し、僕に突きつける卜部。
「はい。すいません」
「親に、また引っ越しをするって言われたの。ほら、私って元々転校生だったでしょ」
「そういえば、そうだね」
「私は嫌だって言ってるのに、お父さんもお母さんも私を連れていこうとしてるの。お父さんもお母さんも私達の仲を引き裂こうとしているの」
「それは言い過ぎなんじゃない?」
「ううん。私は、引っ越しは嫌だって、1人でもここに残るって言ってるのにちっともやめてくれないの」
「それで、こんなことを・・・」
「ごめんなさい。でもこうでもしなきゃ愛し合う二人が離ればなれになってしまうから。それに」
「それに?」
「これなら椿くんを他の女に盗られる心配もないでしょ?」
「確かにそうかもしれないけど、そんなに俺って信用ないの?」
「信用していないわけではないのだけれど、私がいるのに早川さんの1日彼氏になったり、今井百夏とキスしそうになったり、諏訪野さんとよく2人きりになっていたりしているから、どうしても不安になっちゃうのよ」
「それは・・・ごめん」
「反省の意も込めてこのゴールデンウィークの間はずっとここで暮らしてもらうからね」
「ずっと!?」
ああ、俺は一体どうなってしまうんだろう。
0571名も無きヤンデラー2016/01/09(土) 00:18:56.51ID:GL7sUpLI
謎の彼女xへの溢れる想いを形にしようと思っていたらいつの間にかこうなっていました。後悔はしていませんが気分を害してしまったようでしたら、お詫び申し上げます。
0572 ◆URBRTbKUxc 2016/01/09(土) 00:34:12.37ID:olQV76sA
>>571 もといヤンデラー様
乙であります。
こういうヤンデレな卜部も見たいと思っていてもなかなか見られないもので大変感激しております。
遠慮なさらずドンドン書いちゃって下さい。
0574名も無きヤンデラー2016/01/11(月) 12:56:20.54ID:QttNztmS
※キャラ崩壊注意
※駄文注意
謎の彼女Y誕生秘話

きっかけは映画研究部の新入生歓迎会だった。椿さんは自己紹介の時、『図書館大爆破』が、最近感動した映画だと言っていた。
『図書館大爆破』は文字通り図書館を爆破する映画なのだが、図書館の思い出、図書館だけが自分の居場所だと信じて図書館を守ろうとする人など、有名な俳優こそでていないが凄く良い映画だと私は思っている。
その事を友達に話したら、変な映画が好きなんだね、と笑われてしまった。凄く面白いのに何でわかってくれないのか不思議だった。
椿さんは私と同じような感性を持っているに違いない。そして、その事を裏付ける事実が判明した。
映研の会合の後、たまたま二人きりになることができた。いつかこんな日がくるんじゃないかと思って密かに鞄にしまっていた映画の本が本当に役に立った。
その時話題にあがったのは『FROG RETURNS』だった。RETURNSなのに1作品しか無いという少し不思議な作品である。
『FROG RETURNS』という映画は、自身の前世が蛙だという主人公が、本当に蛙になってしまうという作品だ。
作中に蛙になった主人公がヒロインに飼われるシーンがあって、私はそのシーンが好きだ。
そのシーンの中に、ヒロインが主人公の前で着替えだすシーンがある。その時、蛙となった主人公は、口を開けて驚き、目を両手で隠し、その状態で後ろへピョンピョンと跳んでいくのだ。
そして、その仕草を見ていたヒロインは、意味深に微笑む。私は、この時には既にこの蛙が主人公だと気付いていたのではないかと思う。
奇しくも、椿さんもこのシーンが好きなのだそうだった。他にも好きなシーンがあったのだが、そのほとんどが椿さんも好きなシーンだった。
0575名も無きヤンデラー2016/01/11(月) 12:58:42.35ID:QttNztmS
椿さんと一緒にいると楽しい。手を握ると頬をちょっと赤らめるところがかわいい。
椿さんと付き合えたら、どんなに楽しいだろう。でも、それはもう叶わない幻。只の夢物語になってしまった。卜部美琴のせいで。
言ってしまえば、私は椿さんのストーカーだ。映研の会合の時からずっと見ていた。 見ているだけで良かった。
ある日、椿さんのクラスに転校生がやってきた。その人は椿さんの隣の席にいた。それだけでも羨ましかった。ところが、それだけに留まらず椿さんに机に残ったよだれを舐められていた。
悔しかったし、羨ましかった。しかも卜部美琴を起こした時、椿さんがドキッとしていた。それからしばらく経った頃、椿さんは暫く風邪をこじらせてしまい、会うことが出来なくなっていた。
その後、椿さんにある日課ができた。それは、卜部美琴のよだれを舐める事である。やがて二人は付き合うようになり、彼氏と彼女になった。
それなのに、何故かはわからないけれど、二人は付き合っていることは隠しているようだ。
二人の間には『よだれ』の絆があるという。だが、付き合っていることを隠したのが裏目にでて、椿さんは諏訪野亮子が好きなのではないかと他の男子には思われているらしい。
これはある意味チャンスかもしれない。あの二人の絆を映画にしてみよう。そして、ヒロイン役を諏訪野亮子に、主人公を椿さんに演じてもらおう。そうだ!題名を

『謎の彼女Y』

にしよう!

そして、紆余曲折して映画は完成した。私のよだれ入りスポーツドリンクは甘かったかな。そうだと良いな。やっぱり、椿さんのことは諦められなかった。
遂に私は、私だけの椿さんを手に入れた。
「俺はお前が大好きだぞ、穂」
私も大好きです。椿さん。ううん。明さん。
このキスは画面越しだけど、想いはきっと繋がってる。そうですよね、明さん。
0576名も無きヤンデラー2016/01/11(月) 13:05:51.35ID:QttNztmS
またまた調子にのってお目汚しすいません。
懲りずに今度は松沢です。松沢の本名は松沢穂です。
謎の彼女Xでフルネームが出ているにも関わらず出番が少ないのは彼女くらいのものだと思います。悔しいね。
そういえば、2巻で初登場した時は、二人きりの時は『椿さん』と呼んでいたのに、9巻で再登場した際には終始『椿先輩』でしたね。
本当は好みの異性アンケートの話も入れようと思ったのですが、無理でした。誰かやってくれないかなぁ(ちらっ
0577 ◆URBRTbKUxc 2016/01/11(月) 19:36:01.82ID:CkRBW1MD
>>576
またまたゴチになりました。
異性アンケート云々は卜部にハサミでアンケート票を切り刻まれるオチが見えました。
0578名も無きヤンデラー2016/01/17(日) 10:28:35.34ID:xxz3CoGZ
※キャラ崩壊注意
※駄文注意
〜理想の異性アンケート〜

「〜理想の異性アンケート〜」とは
謎の彼女X謎の小説版の謎の体操着において、新聞部がだしたアンケートである。
松沢が新聞部の友人(人見知り)の手伝いで椿に手渡した。
以下はアンケートの問である。
問1:異性のどこが好きか?
問2:異性のどんな仕草がグッとくるか?
問3:理想の異性のタイプは?
問4(切り取り可能な投票券):貴方の思う理想の相手の名前は?

本編版(?)
問1 描写なし
問2 描写なし
問3 体操着が似合う女子
問4 卜部美琴
椿「これが……俺の本当の気持ち……だから!」
卜部「…ばか」
しかし、彼女はぎゅうとアンケートを抱きしめた。

ヤンデレ卜部版
問1 全部
問2 人を指差す時の仕草
問3 独占欲の強い女子
問4 卜部美琴
椿「これが……俺の本当の気持ち……だから!」
卜部「…ばか」
そう言って、彼女はパンツに仕込んでいたハサミを取り出し、目にも留まらぬ早業でアンケートを切り刻んだ。
卜部「私達には絆があるのだから、わざわざこんなことをする必要はないと思うわ。それに、他の女からもらったアンケートに答える必要も無いわ」
椿「卜部、そんなことまで知ってるのか!?」
卜部「当然でしょう。だって私達には、絆があるもの」
そして、彼女はぎゅうと椿を抱きしめた。

おまけ 松沢版
問1 明るいところ
問2 物を抱きしめて持つところ
問3 映画好きな女子
問4 松沢穂
椿「これが……俺の本当の気持ち……だから、俺と付き合ってくれない?松沢が俺の彼女になってくれたら……おれ松沢の彼氏になるから……って当たり前か!は、ははは…」
松沢「良いですよ。私、その言葉をずっとずっと待ってました」
椿「ま、松沢」
松沢「穂って呼んでくださいよ、明さん」
そう言いながら、彼女はアンケートをぎゅうと抱きしめ、椿に微笑んだ。
0579名も無きヤンデラー2016/01/17(日) 10:37:28.48ID:xxz3CoGZ
またまた調子にのってお目汚しすいません。これで3つですね。少しも成長がみられない(苦笑)。
俺の力では、これが限界です。今井百夏バージョン、早川愛香バージョン、諏訪野亮子バージョン、逆に椿がもらうバージョン等はする他の方に任せます。次は、謎の彼女Xロボに挑戦したいなぁ。
0580 ◆URBRTbKUxc 2016/01/17(日) 14:43:42.71ID:/n9Pgf2X
乙乙
そのうち長編も見てみたいなぁ
0581 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:14:10.96ID:+G+JmdQx
久々でもないけど投下します。酔っ払いハサミにあやかってみました。

【謎の酔っ払いハサミ partV】

「明ー?これから買い物へ行くけど何か要る物ある?」
日曜の昼、昼食を食べ終えて漫画を読んでいた俺、椿明は明日の家庭科の授業の事を思いだして階下の姉に叫んだ。
「適当に酒買っておいてよ、明日の調理実習で使うんだよーう」
「はいはい、日本酒でいい?」
「もっと強いヤツだって、菓子作りに使うんだから」
「りょうかーい」
俺は姉さんが買い物へ出掛けた事を確認すると、レシピを開いて軽くメモをとった。
俺達の班はジェラートを作る予定だったので、何らかの蒸留酒が必要だったのだ。
暫くして姉が帰って来たので、俺は1階へと降りた。
「明、買ってきたものはこれでいいかしら?」
姉さんが手渡した酒はホワイトラムの小瓶だった。
「うん、これでいいよ」
「そう、ならよかった」
俺はラム酒を受け取ると自分の部屋へ向かい、リュックサックにメモと一緒に詰め込んだ。

--
0582 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:16:13.62ID:+G+JmdQx
今日の授業は早く終わった。
放課後、いつもの白いコンクリ橋で待っていると程なくして卜部が来た。
「椿君、一緒に帰ろ」
「おう」
二人はいつものルートで家路についた。

「もう九月なのに暑いな、卜部……」
「本当、見上げたしつこさね……」
俺達は公園に寄っていき、少し木陰のベンチで休む事にした。
蝉の音はもう聞こえないが、まだまだ陽射しが眩しい。
「……椿君の班はジェラートだったわね」
先に静寂を破ったのは卜部だった。
「卜部の班は……確かスコーンだっけ」
「丘さんの提案なの」
成程、丘らしい提案だな……しかも紅茶まで淹れてしまうのだから本格的だな。
「……喉乾いちゃった」
「へ?」
「椿君、何か持ってない?」
突然、卜部は俺のリュックサックをひったくるとガサゴソと中身を探り、酒瓶を取り出すと口をつけようとした。
「う、卜部!それはマズい!」
「大丈夫よ、これくらい……」
目の前で卜部は半分程残ったラム酒を一気に飲み干してしまった。
後に残ったのは空瓶ひとつ。卜部は暫くぼんやりと何かを眺めていた。
「……卜部、卜部?」
何の反応もない。再び暫しの静寂が訪れた。
「……ぷっ……くくっ…………」
え?
「……はははっ、あはははははははは!」
まさかの大怪笑である。また変な声でも聞こえたのだろうか。
「お、おい!卜部大丈夫か!?」
「あはははははっ、おい椿ィ、これから一杯やるぞ!」
またかよ。どうやら卜部は酒には強いが酒乱気味らしい。
一度スイッチが入ってしまうと彼女が倒れるまで切れる事はないだろう。
「……卜部、帰るぞ」
「なァーに言ってンだよ、これからだろォーがよ!」
俺は卜部に無理矢理引き摺られて近くの繁華街へと向かう。

「お、おい!何処まで行くんだよ!?」
卜部に訊いても答えない。暫く歩くと一軒の地下にある洒落たバーに着いた。
看板には「洋風居酒屋 Pannonica」とある。

--
0583 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:20:00.63ID:+G+JmdQx
カウンター席に座らされた俺は異質な空気に包まれた。
厨房の中で燃え盛る炎の音、回転するジャズのレコード、疎らに聞こえる人声。
此処が大人の空間であるという事実に、一抹の不安が薄らよぎる。
しかし酒乱の卜部はそのような事意に介せず、渡されたお通しをバクバクと食べてしまい、挙句ピザまで注文してしまった。
……正直な所、卜部の胃袋は一体どうなっているのか不思議であるのだが。
俺はジンジャーエールを注文してチマチマと啜っていると、不意にすぐ横に座っていた気のよさ気なお兄さんが卜部に声を掛けた。
「いい食いっぷりだね、お隣さんは彼氏?」
「アハハ、こんなんでも私の彼氏だよーん」
卜部は相変わらずの上機嫌である。流石にこれ以上飲むつもりではなさそうだが。
すると突然、隣のお兄さんがマスターらしき女性に声を掛けた。
「隣の元気いっぱいなお嬢さんにシャーリー・テンプルを」
「かしこまりました」マスターのお姉さんはニコリと笑って応えた。
何やら、生姜のツンと鼻を刺す匂いがカウンター越しに伝わり、更に何やら赤いシロップがステイされた。
出来上がったカクテルがカウンターに置かれると、卜部は美味しそうにグビグビと飲んでいる。
「お、おいおい!そんなに飲んだら悪酔いするって!」俺は慌てて制止をかける。
「あら、大丈夫ですよ」マスターから一声が掛かる。
「このカクテルはアルコールが入ってないんです」
次いでマスターが俺に耳打ちした。成程、それで隣のお兄さんはあれを注文したワケだ。
「それよりも彼氏君、お腹空いてない?一杯料理もあるからお好きなモノをどうぞ?」
マスターは、少し上機嫌そうだ。卜部の事を気に入ったのだろうか。
俺はほうれん草とベーコンの和風おろしパスタを注文すると、ジンジャーエールをくいっと飲み干した。
「あはは、ははっ……」次第に卜部も酔いが回ってきたのか、今度はカウンターに突っ伏して寝てしまった。

--
0584 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:21:31.16ID:+G+JmdQx
「……卜部?おーい、うーらーべー?」
俺は卜部に話しかけるが、何の反応もない。すっかり眠ってしまったようだ。
肩を揺すってみるが、卜部が起きる気配もない。
万事休す、か……そう思っていると突然、隣に座っていた紳士な老人がすっくとカウンター席から立ち上がった。
暫しその老人はマスターと料理長らしき人に話し掛けると、ピアノの前に座って蓋を開いた。
レコードの音量が絞られ、暫しの静寂が俺達を包む。
老人は静かにピアノのキイに触れ、そっと一小節を弾いた。
すると卜部はむくりと半身を起こし、伴奏に併せて口ずさんだ。
此処には英語が読めない自分が、後々適当に訳した意訳を記す事にしよう。

    あなたって気まぐれね
    夏の夕立のようにいきなりね
    どうしてそうなのかしら
    時々甘酸っぱくて 不意に優しくて
    私はあなたの言いなりね

    男の人には夢があるの
    でもそれは秘密の内
    誰かに打ち明けるまで
    全てが内緒の話
    かくれんぼにはちょっと
    私はついていけないわ

卜部、歌うの上手いなぁ……
カラオケに入っているような曲以外にも、卜部は色んな曲を知っているのか。
それにしても、バーの雰囲気にピッタリだ。歌詞の意味まではよく分からなかったが。

--
0585 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:22:15.47ID:+G+JmdQx
彼女の唄に夢中になって聴いていると、料理長が俺のすぐ真横に来ていた。
「君が彼氏さんかい?」
「あ、はい」俺はそうだと答えた。
「歌が上手くて元気一杯の彼女さんが居るって、とても羨ましいよ」
「本当ですか?」確かに卜部は万能型と言っても差し支えないのだが。
「この曲は、きっと君に宛てた曲だと思うんだ」
「えっ?」
「あ、いや……少しばかり羨ましくってね、しかしこれ以上君の彼女に言及すると僕の家内にカミナリを落とされそうだなぁ」
料理長は苦笑しながら、俺の座っているカウンターに小さなショットグラスを置いて厨房に戻った。
置かれたグラスの匂いをそっと嗅ぐと、それは高級品の白ワインだった。
俺は人の優しさを痛感しながらくいっと飲み干す。
うん、美味い。甘酸っぱい恋の味だ。

    あなたって気まぐれね
    他の女(ひと)に目移りしてるんじゃないかしら
    どうしてそうなのかしら
    急に躍起になったり イタズラしたり
    まだあなたは子供じみてるわ

    僕達は常にかくれんぼして
    次第にうまいこと考えなくちゃね
    そして女の子について感じて
    手籠めにしたがっているのさ
    愛はそういうものだって、ヘンな話だけど
    間違った道に行っちゃったら、って臆病なんだよ

--
0586 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:24:30.24ID:+G+JmdQx
すっかり酔いから覚めた卜部はお冷を啜りながら、会計を済ませていた。
俺は電話を借りて、「友達の家にいるからもう暫くしたら帰る」と姉さんに連絡を入れた。
帰り道、繁華街を抜けると漸くいつもの帰り道に差し掛かった。
「なあ卜部、さっき歌ってた曲って……」
「ああ、あの曲?お父さんのレコードで聴いた曲なんだけどね」
「それ、どういう曲?」
「そうね……」
急に卜部は立ち止まると目を瞑って何かを空想するような仕草をとるとその場で自分のよだれを口から掻き取り、俺に差し出した。
「……舐めて?」
彼女のお願いに応じて俺はそっと指先の雫を口に含んだ。
すると、どうだろうか。
マーマレードのように甘くて仄かに酸っぱいよだれの味と共に突然俺達二人が一面の花畑に包まれている情景が脳裏に浮かんだのだった。
「う、卜部!何だよこの情景は!?」
「……あなたにも視えたのね?」
卜部は澄まし顔をしていたが次第に顔を綻ばせて笑顔になった。
……どうやら、あの情景は俺達二人が追いかけっこしていた様子を描写したものだったらしい。
不意に、卜部が此方に寄り掛かってきたので、俺はそっと両腕で彼女を包み込んだ。
……そうか、こういう意味だったんだ。
二人の鼓動がドキドキと大きく速くなる。俺達はこんなに甘い絆で結ばれていたんだ。
いつも何を考えているのか分からない彼女だけれど、こういうアプローチをしてくれた卜部を、もっともっと好きになった気がする。
「……卜部、俺いつかは―」
「いつかじゃダメよ……」不意に卜部が言葉を遮った。
「私は今か今かとずっと待ってるんだから、ね?」
卜部は顔を上げると、また赤面しつつも笑顔で俺にもう一歩をねだった。
「……分かったよ、美琴」
その一言を告げただけで、ニコリと笑った卜部の口角からは甘い雫が滴り落ちた。

    あなたって気まぐれね
    夕立のように激しくて
    でもあなたって不思議で好きよ
    時折魅せる優しさで胸がいっぱいなの

【謎の酔っ払いハサミ partV -Fin-】
0587 ◆URBRTbKUxc 2016/01/27(水) 20:24:54.59ID:+G+JmdQx
【謎の酔っ払いハサミ partV あとがき】
どうしても皆様の酔っ払いハサミネタに便乗したくて作ってみました。
今回は、現在◆URBRTbKUxcが通っている洋風居酒屋、もといジャズバーの宣伝のために実際の店名を入れてみました。場所は岐阜県岐阜市の徹明町通りにありますのでお近くの方は是非お越し下さいませ。
原作で卜部はかなり歌が上手いそうなので、敢えて私の好きなアーティストのナンバーから一つ歌わせてみようと考えて誰も知らないが隠れた名曲を挙げてみました。
THE STYLISTICSより"You're as right as rain"です。
ttps://youtu.be/3euaLp_H9kw
意訳は◆URBRTbKUxcのオリジナルです。もし原文を知りたいのであれば検索して頂ければ出るかもしれません。(少し長いので此処には載せないでおきます)
皆様はジャズやシャンソンはお好きですか?もし聴いたことないという方でもこういう楽しみ方もあると一つ頭の片隅にでも留めて頂ければ幸いです。
ところで、恋人に振り回し振り回される関係の二人も可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0589名も無きヤンデラー2016/01/27(水) 22:42:19.25ID:F/PR6kqw
>>587
乙です!よし、俺も執筆活動(笑)を頑張ろう!(笑)がとれるようになるまで!
ジャズかぁ、あんまり馴染みがないけど聞かず嫌いや敬遠せずに聴いてみようかな
0590 ◆URBRTbKUxc 2016/01/28(木) 00:02:15.88ID:j4XoSXb4
>>589
重鎮だとハービー・ハンコック、軽いモノだとボブ・ジェームス辺りがツボだったりします。
You're as right as rainもボブ・ジェームスによってアレンジされてます。
実はこの曲も"Bob James: Two"というアルバムから知りました。
0591 ◆URBRTbKUxc 2016/02/02(火) 14:45:52.81ID:pFQdU4LL
思いつきでショートショート第二弾です、御笑納下さい。
【謎の「血の」絆】
俺、椿明は今眠れぬ夜を過ごしている。
あろうことに数日前の晩から奇妙な夢を観るのである。
卜部の裸体を好き勝手する夢を。
今夜もそんな夢で目覚めた俺はなす術もなく、途方に暮れていた。
「……そうだ」俺はある事を思いついて行動に移した。多少睡眠時間を犠牲にしつつ。
二時間とかからず、それは完成した。

あくる日の夕方、いつものようにコンクリ橋の上で俺は卜部と一緒に出会って帰路につく。
その途中、不意に卜部が声を掛けた。
「……どうしたの?椿君顔赤いよ」
「ええっ?ああ、実は……」また変な夢のせいでもあるのだが、今回はまたちょっと違う。
俺は勇気を出して口の中を指で軽く掻き回し、よだれをそっと差し出した。
「え?こ、これ……」卜部は一瞬戸惑いつつも差し出されたよだれを舐める。
その直後、ヌルッとした生暖かい真紅の雫が滴り落ち、俺の手の甲に伝う。
「椿君……これって」
「あ、ああ……実は昨晩、どうしても寝付けなくて……」
俺はリュックサックから一冊のノートを取り出すと卜部に見せた。その一ページにはお世辞にも上手くないが卜部がアッカンベーをしたまま座っているヌードが描かれていた。
それを見た卜部は顔を赤く染めて、モゾモゾとスカートの中のハサミを取り出そうとした。
が、ハサミは地面に落ちてしまい卜部はその場所にへたり込んでしまった。
「あのね椿君……いくら私の夢を見たからって、そういうモノを描くのは彼氏としてどうかとは思うわ……」
座ったまま固まってしまった卜部の口からは、トロリと一筋のよだれが溢れていた。
「う、卜部……でも……」俺は手に付いた卜部の鼻血をそっと舐め取った。心なしか甘く、ヌルッと……って俺まで鼻血が出てきたじゃないか!?
「っっていうか卜部!夢とはいえ彼氏でそういう妄想してるのは彼女としてどうかと思うんだが!?」おまけにそういう事をしているシーンが一瞬脳裏をよぎった。
「どうって、言われても私……私はそういう人だから!」
卜部は立ち上がると駆け足で一目散に逃げてしまった。
「卜部、どうして逃げるんだよーう!?」
俺は走って卜部の後を追いかける。
とまあ、今日も明日も、ずっと素性の知れない卜部は……謎の彼女、である。
【謎の「血の」絆 -fin-】

【謎の「血の」絆 あとがき】
ショートショート第二弾は鼻血ネタをやりたくて今日も元気ださんにあやかってみました。
本来なら椿はどエロチックなイタズラはあまりしないだろうと思いながらも時にはこういう二人も良いかなと思いついた結果こうなりました。
卜部の鼻血ネタで印象深いのはアニメ化された「謎の絆」ですが、頭に人形括り付けてするプレイは正直自分も羨ましいなどと思っていたり。
ところで、あらぬ妄想をしてる女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
追伸: 鼻風邪からの副鼻腔炎にはくれぐれもお気を付け下さい……

https://www.dropbox.com/s/zwmil095j3a3egm/URBRTbKUxc__Urabe_nude.png?dl=0

--
0593 ◆URBRTbKUxc 2016/02/26(金) 22:41:43.94ID:J20fLR7s
第三弾!3のつく数字だけにアホ丸出しで書いてみました。

【なぞのかのぢょ×(ペケ)】
「……どうしたの?椿くん目にクマができてるよ」
帰り道。俺、椿明は彼女である卜部に寝不足を指摘される。
それもその筈だ。如何せん最近観る夢といえばすぐ真横の彼女とああいう事をする夢ばかりなのだから。
「最近夢見が悪くてさあ……卜部は寝る時そういう夢って観る?」
「私は夢観なくなっちゃった……でも少しなら手伝ってあげられるかも」
「そ、それって特効薬か何か?」俺は思わず言い寄った。
「みたいなモノね」卜部は鞄から試験管を取り出すと暫く口を閉じてからその中へよだれを流しこんだ。
「はいこれ、また寝る前に舐めてね……それと、寝る前に枕元に漫画かゲームでも置いておくといいかもしれないわ」
「サンキュ、卜部」俺は礼を言うと卜部は帰っていった。

その日の晩、俺は押入れの中を探るととあるゲームを取り出して枕元に置いた。懐かしいな、中学の頃に全クリして以来ずっと遊んでなかったっけ。
そしてそのソフトを枕元に置いて言われた通りに卜部のよだれを舐めた。
さあて、どんな夢が観れるだろうか……。

暗い背景に謎の街が見えた。何処からか不気味な音楽も聞こえる。暫しそんな状況が続いた後に何やらタイトルらしきものが見えた。
「なぞのかのぢょ……×(ペケ)?」
曲調がファンシーになる。目が慣れてくると、其処に少し長い道とサブタイトルが視えた。
『彼氏の欲望は パンツ・ハサミでしか断てない』
「……なんじゃこりゃぁあ!!(CV:松田優作)」怪しさ爆発であったが、取り敢えず前に進む事にした。
暫く前に進んでいると前方から何かがやってきた。ゾンビだ、やたらデフォルメされているがゾンビのようだ。
「取り敢えず殴ってみるか」俺は普通に右ストレートを繰り出した。ポカッとな。お、倒れた。取り敢えずはこれで進めそうだ。
更に進んでいくと何やら看板らしきモノが視えた。真っ黒な看板だ。その前に立つと、突然上の方から卜部がスピンしながら降りてきた。
「う、卜部!?」
ジャキジャキジャキッ!!卜部は落下しながらパンツハサミを発動させた。そして切り裂かれた看板は上の方から次々と崩れ、その看板の下から何やら文字が……。
『ざんねんでした☆
 夢の中でも椿くんは
 私のモノだからねっ!』
ええ〜〜っ!?俺は永遠に囚われの身ってワケかよ?しかも卜部のフキダシからは「ゴメンネ」の一言って……。
それにしても、卜部って独占欲強いよな。そんな事を想いつつ、目が覚めた俺は……今夜も、眠れぬ夜を過ごしている。

【なぞのかのぢょ×(ペケ) -fin-】

【なぞのかのぢょ×(ペケ) あとがき】
ショートショート第三弾はファンシー路線です。元ネタはかの有名な「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」から「あくまぢょおどらきゅらペケ」のパロディに挑戦してみました。
「なぞのかのぢょ」だけにファンシーな路線を目指したかったのですが、如何だったでしょうか。
ところで、夢の中にまで出てくる女の子って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0595 ◆URBRTbKUxc 2016/03/09(水) 04:08:58.00ID:isDXyPQY
とある事情で作りました。短いのはご勘弁を。

【謎の失恋】

俺、椿明は今絶望の最中に居る。
早川の誘いに乗って文化祭に来たはいいが、早川には既に意中の人が居たのだ。
あろうことに卜部まで巻き込んで。最悪だ、俺って。
あの日から数日経った尚も、俺は早川の想い出と卜部への罪悪感の板挟みにされ、苛まれていた。
夢にすら、早川の泣き顔がハッキリと視え、そして消える―そんな日が続いた。
そんなある日の帰り道。
「……椿君、椿君?」
「……っ、な、何?」
「椿君の顔、すごく青ざめてるよ?」
「お、俺……?そうかな……」まあ、心当たりがない訳じゃないが。
暫し歩いていると、公園の前で卜部が立ち止まる。
「……椿君、今日の分―」
「待ってくれ、卜部!」俺は制止をかける。
「今、俺に卜部のよだれを舐める権利はないと思うんだ、だって―」
「……早川さんの事で胸が痛いの?」
完璧に見透かされていた。俺は仕方なくそうだ、と答える。
「……椿君、あなたの両目は前を見る為にあるのよ?」
卜部は言葉を矢継ぎ早に紡ぎ出す。
「私もそう、私は今の椿君が好きだし、過去に何があったかを咎める権利は私にはないわ」
「卜部……」
「だから、気にしないで……今日までの椿君も、これからの椿君も、ずっと大好きだよ!」
う、卜部……俺の為に……。ふと涙が溢れる。
「何も、泣かなくったっていいのに……」
卜部はそっと俺を抱き締めた。優しく背中を撫でて、卜部は笑っている。
「さ、もう泣かないで」卜部はそっとハンカチで涙を拭う。
何時しか、卜部がずっと大人に見えた。
胸に抱かれる感触は、卜部のよだれよりも、ずっとずっと甘かった。

【謎の失恋 -Fin-】

【謎の失恋 あとがき】
仮に早川にまだ恋していたら、というネタで作りたかったのでショートショートにしてみました。
つい最近◆URBRTbKUxcが彼女と別れたので例の洋風居酒屋で酒を飲みつつ閃いたネタでもあります。
思い出せば胸が痛いあの日をお持ちの方は、どうかあの日に帰るのではなく前を向いて歩いて欲しかったり。
そんな想いで軽く筆を執りました。
ところで、大人な彼女って可愛いと思いませんか?
とまあ今回はそういうお話でした。
0597名無しさん@ピンキー2016/04/05(火) 14:41:59.95ID:jKJ7wlTu
謎の心情

担任の先生に促され、教室に入る。
ガヤガヤしていた生徒たちは次第に静かになり、視線をわたしに向けた。
先生は私の名前を黒板に書くと、さざめく生徒たちにわたしの名前を告げた。
「今日からこのクラスに転校してきた、卜部美琴君、だ。…じゃあ卜部、クラスのみんなに、何かひとこと!」
先生が何を言っているのか理解するのに、ほんの少しの時間を要した。
わたしは、自然とほほえみ、目の前の新しいクラスメイト達に向かって、挨拶を述べた。
「よろしく」

わたしは、両親の仕事の都合でこの学校に転校してきた。
新しい学校、新しいクラスメイト。
学校は勉強のために必要だし、クラスメイトも別にいてもいい。
でも、友達はいらないと思っている。
仲良く振る舞うことはできても、それは表面的なものだ。
真にわたしを理解できるわけではないし、そんな関係には意味がない。
わたしのことを理解してくれるのは、わたしのことを好きになってくれて、かつ私と特別な繋がり、「絆」がある人だけだ。
そんな人、今までわたしにいたことはないけれど…。
でも、それはクラスメイトが悪いわけではない。
誰も悪くない。
きっとわたしも。
さっきもクラスメイトの女子数人が、一緒にお昼を食べようと誘ってくれた。
彼女達には悪いとは思ったが、眠いから、と言って断った。
これでもう誘ってはこないだろう。
友達はいらないのだ。
でも、とわたしは思った。
隣の席の、椿くんと言ったっけ。
先生に促されて席に着くとき、自分の名前を名乗り彼は私に言った。
「何かわかんないことがあったら、なんでもきいてくれよ」
思いがけず話しかけられわたしはどきりとし、
「はあ…」
おぼつかない返事をした。
そして、なぜか、少し安心した。
実際にそうすることはないにしても、何かあれば彼にきけば、彼はわたしを助けてくれるのか。
自分では自覚してはいなかったけれど、新しい環境に緊張していたのかも知れない。
彼の言葉をまた反芻しながら、私は真昼のまどろみに身を委ねた。
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況