その姿は公国屈指の美女のそれではなく、
淫欲に狂った獣の有り様だった。
グロリアナが拳を引き抜こうとすると、レオノーラの肛門は貪欲に、
まだなお咥え込もうと身を窄まらせた。
拳が、腸液と香油にまみれ、ゆっくりと引き出されてくる。
猥雑な響きがそこより奏でられたが、
レオノーラの濁音だらけの嬌声によってかき消されていく。
グロリアナの拳が、レオノーラの体内から抜け落ちる。
レオノーラは断末魔の如き喘ぎとともに、絶頂に達した。
グロリアナもまた、虚脱したかのごとく、床にへたり込み、
ベッドに体を預けた。

うたた寝、否、失神していたのかもしれない。
虚無の境に落ちていたグロリアナの意識が、突如掘り起こされた。
「ひっ!?」
気がつけばグロリアナはベッドの上に俯せに寝かせられていた。
その背の上には、レオノーラが上下を逆さまに、
組み敷くようにして四つん這いに立っていた。
レオノーラは、グロリアナの肛孔の花芯を、
尖らせた爪の先で浅く掘り返したのだった。
「奥様、一体何を!?」
「私だけが愉しんで終わるはずないじゃない?
あなただって、そう、期待していたんでしょ?
ほら、お尻の穴まで蜜でとろとろにしちゃってるじゃない」
「そんな、私は」
その先の言葉は、喉からこみ上げた悲鳴に掻き消された。
レオノーラはグロリアナの中に指を沈み込ませると、
敏感な肉襞に軽く爪を立てたのだった。
鋭痛とも快楽ともつかぬ違和感に身を貫かれ、
グロリアナは涎の筋を引きながら、身を反らせた。
「夜はまだまだ永いわ。攻守交代、第二回戦と行きましょう」
顔は見えなかったがグロリアナには、
レオノーラが凄絶な笑みを浮かべるのが目に浮かぶようだった。
レオノーラは媚薬入りの香油を口に含むと、
グロリアナの生固い双丘を割拡げ、その奥の窄まりに口づけをした。
グロリアナは、己の中にレオノーラの舌が入り込んでくる感覚を覚えた。