「ああ、そうだったね。
具体的に説明するとインナーパンツは消失してしまって修復は不可能だったよ。
ユニットを構成するナノマテリアルが完全に消滅してしまっているんだ。」

「は…!?」

予想外の言葉にまるでハンマーで頭を殴られた様な衝撃を受けるドミナント。
百地の直前の表情や言葉からは真逆の絶望的な宣告であった。

(修復不能って…
それってまさかこれからずっとノーパンで戦わなければならないって事!?
この、私が…ずっと…年下のチームメイトの前で…)

予想もしていなかった状況に思考が追い付かず、
呆然とした表情のままフリーズしてしまう。
そんなドミナントに構わず百地が言葉を続ける。

「でも大丈夫…君もそれを心配していたのだろうけど
スーツの各種機能に影響は無いみたいだ!」

「は…はあ…」

百地のとんでもなくズレた発言に辛うじて先程と同様の気の抜けた返事を返す。
ここでも再び人間と妖精の感覚のズレを突き付けられてしまった。

(そう言えば…百地司令って、妖精のモモチーの時は服着て無いのよね…)

普段どんなにイケメンの姿をしていても本質は被服を着用する習慣も無い
ぬいぐるみの様な妖精なのである。
『服』というものに対する認識が根本的に違うのも無理は無いのかもしれない。

「取り敢えず、君達も疲れているだろうし今日の所はこれで解散して
明日になったら本日の戦闘で採れたデータを詳しく分析しようと思う。
ミーティングルームで待機している他の二人にも今日はこれで解散すると
伝えておいてくれ。」