試合が15分近くになり、満員の観客によってエアコンの利きが悪い館内の気温が上昇を続けている。
リング上で激しい動きを続けている聖来の身体からも多くの汗がにじみ出ていた。
本来ならあまりの暑さで観客からクレームが出るところだが、なぜか今回は全く出ていない。
言うまでもなく、汗にまみれた聖来の身体を多くの観客が堪能できていることで、温度に対する不満が抑えられていたからであった。

「レイラの太もも、筋肉が汗で濡れていてたまんねえな」
「膝サポーターも相当汗を吸い込んでるぞ」
「白のハイソックス見てみ、汗で濡れてエロティックだよ」
「レイラさん、シューズを脱がして匂いを嗅ぎたいです」

変態チックな言葉が聞こえてくるが、聖来はそうしたスケベな声を楽しむように、立ち上がってから指でお尻の割れ目部分を直し始める。
そしてチャンピオンが立ち上がったタイミングでロープに飛び、跳ね返ってから高い打点でヒップアタックを放った。

「モロに入ったな」
「すげーうらやましい。俺もレイラさんにヒップアタックされたい」
歓声をよそに、聖来の動きが暑さによって悪くなってきていることを和三夫は感じ取っている。
実の母親を見て毒がたまり始めるという、本来あってはならないことが和三夫の下腹部で起きているが、意外と頭は冷静だ。
しかし、さすがに聖来も暑さが限界を超えたのか、手を挙げて観客にアピールしてからブルマに手をかけ、そのまま脱ぎ捨てた。

「うそっ!」
先ほどまで頭は冷静であった和三夫だったが、ブルマを脱ぎ、大きめの黒のハイレグビキニで覆われたヒップを見て、身体中がほてるのを感じ始めている。
観客もまた、大歓声・聖来コールで応援を始めていた。

聖来コールにこたえるかのように、聖来は助走をつけてからギロチンドロップを見舞ってフォールに入るが、これはカウント2.8で返されてしまう。
間髪を入れずにチャンピオンを抱えてパワーボムに行こうとするが、チャンピオンも必死にこらえ、逆にリバースで聖来を投げ飛ばす。
チャンピオンが起き上がった聖来にラリアットを放とうとするが寸前のところでかわし、そのままチャンピオンは場外に転落してしまう。

和三夫のすぐ近くにチャンピオンが転がり落ちてきたが、リング上を見ると既に聖来が助走する態勢に入っていた。