私は脱出マジックを専門に行うマジシャンだ。始めたのは私の父で、其の娘として生まれた私の進む道は既に1つしかなかったのかもしれない。
物心が付く前に母が亡くなると、父は私をマジシャンにするべく訓練を始めた。マジックの勉強の他に、手錠足枷などで拘束し外せなければ食事をさせてくれなかったり、父のショーの手伝いを強要された。
 学校での時間以外は全てがそれに費やされ、休みの日などはオムツをはかされ、1日中拘束されることも珍しくなかった。
中学生になり、あることが判明するとそれは更に過激になった。それは肩や手足の関節を私が自由に外せることだった。靭帯が異常なほど伸縮力があり、関節を外しても痛みを感じなかったのだ。
 正座をして後ろ手にされた状態で拘束され、水槽に入れられ水中で拘束を解かされたり、逆さ吊りの状態で拘束を解くことなどを強要されるようになった。
更には寝ている時でさえ、何らかの拘束を施された状態で寝ることを強要された。そして私が高校生になって暫くして、私の異変に私自信が気が付いた。