「はいオッケーでーす。じゃ、しばらく声に合わせて目を開けたり閉じたりしてくださいね。」

そしてこれは、そんな瞳孔径、瞳の大きさを立て続けに測る検査をすこし楽にするための機械。

「開けてー、閉じてー」

開け閉めされるまぶたを画面越しに見ながら、手元で狙いを合わせていく。
ちょっと間違いがあれば―――例えば中をかき乱す感覚に急にのけぞったりされたら
インシデントになりかねない作業。ちゃんと安全時間を確認してから、ボタンに手を掛ける

「開けてー、閉じてー、開けてー....」

カチチン―――

「うあああああっ....なにっ、何―――」

まぶたが上がったタイミング、ボタンを押した親指が上瞼側から5本、下瞼側から3本のアームを下ろす。

念入りに狙いをつけたそれの返しの部分はしっかりとまぶたの縁をとらえ、それでいて角膜を傷つけることなく―――

右目のまぶたを見開いた状態で固定してしまう。

涙液の蒸散―――眼の乾きとカメラの曇りを防ための温度と湿度が用意されたゴーグルの中は、
眼を開き続けていても痛みや辛さはあんまりない。

それでも無理やり開かれた目の間近、視点が合うかも怪しい近さに
ライトとカメラを突き付けられる圧迫感と威圧感と
それを感じながらも、目を閉じることができない怖さは相当なはず―――