「あっ、くぅ....もういっ....う、うぅあ....」

「なんだ、せっかく遊んでやってるのに」

実際のところ、河合主人はアンナさんで遊んでるわけじゃなく、これも下準備の一つ。
検査の最中にオーガズムを跨いで―――つまりイかれでもして、
そこから先の測定値がずれたりしないようにあらかじめ落ち着かせておく。

「たすけ、あひっ、あひ―――」

そう、そうわかってはいても、
私の目の前でそれを貪り、あまつさえもういいと言い放つアンナさんを前にして

私はすこし、優しくなくなっていたかもしれない。



焦茶色のスーツと下腹部のプロテクターの下、機械の一部のような感じさえするそこに
ぽっかりとあいた穴からのぞく肌と粘膜が、本当にこの中にメリアさんが閉じ込められてるんだと思い出させる。

改めてそう思ってしまうぐらいには、首から下をゴムと器具に覆われたメリアさん、奴隷は人間らしさを感じられないというか
ごはん、トイレ、お風呂―――チューブをつなぐとかバルブを開けるとか、
まるで機械かなにかにそうするように行われる日々の介助に、私が人間らしさを感じ続けることができなかったというか

「Lが1から14、rがー12分割、pーはー....5で。」

そんな声に我に返った私が目を落とした手元には、びっしりとマス目が書き込まれた用紙
L0のまるまる1行、L15から下、残ったところのr13から先、それから―――
今の言葉からわかる、今回は使わない箇所に予め斜線を入れていく。