「キムタクくん、やめなさい。考え直すんだ」

時空転送装置の中からオヂサンの声がする。この装置でキムタクとオヂサンは様々な世界を旅した。そして行く先々でキムタクは望まぬ肛門拡張を受けた。

「早くおじさんをここから出すんだ。行き先を入力せず装置を使えば、中の人間は時空の歪みに消える。前に説明したはずだよ?」

装置の外のキムタクは無言で電力を入れる。こんなことならもっと早くこうすれば良かった。
ーーいつかはおじさんにも情が通じ真人間になってくれるーー
そう思っていた時期が某にもありました。

「プリーズ…キムタクくん…。おじさんはもう二度と君を辱しめない。約束…大人の男は約束を守る…おじさんも三十路の立派な大人だ。…だから…お願い…」

安全装置を外す。行き先の指定、ブランクを入力。

「ふざけるなよ?ガキが。会社を辞めて惨めなリタイア組と化していたお前に、色んな意味で世界の広さを教えてやった恩を仇で返すんか。
お前の代わりなんて世の中にはいくらでもいるわボケ。にも関わらず、お前をケツアナ奴隷ペットに選んでやった俺を殺すのか。
とんだ恥知らずだな?おい」

装置の中から恫喝するオヂサン、その声はあきらかに震えていた。後は実行ボタンを押すだけ。

「イヤダアアアアア!!ジニタクナイ、ジニタクナイ!!!ウエアアアアアアアアアアアアア!!!!」

もはや人間離れした奇声を張り上げるオヂサン。一方、キムタクの動きも止まっていた。
ーーなぜ?このボタンさえ押せば、もう惨めな過去は永遠に封じ込められる。今更、何をためらっているのだ某はーー


……

オヂサンとの初めての出会いは、とある秋の夕暮れだった。
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