「いつから、気づいてました?」

「ばあちゃるさんが私を見て顔を顰めた所からです」

最初から、だ。
分かっていて頑なに断っていた俺を家へと招き入れている。
目的が全く掴めない。

「なにが、目的なんすか?」

「んー、言って逃げない?」

「逃げるにしても扉は塞がれてて、さらにばあちゃるくんと扉の間にはたまた……貴女がいるじゃないっすか」

「栞桜って呼んで?」

「し、しおしお……がいるのに逃げらんないじゃないっすか」

「………んー、まっいいか、それにしてもばあちゃるさんはワープ出来るんじゃないの?」

顔を合わせているだけで心臓が握りつぶされそうだ。
だがそんな選択肢忘れていた。
やはりこういう危機的局面に追い詰められると考えが浅くなってしまうのは悪い癖だ、急いでワープしようと力を入れようとした瞬間に肩を掴まれる。

「なにを、しようとしてるの?」

「す、すいません…」

「別に謝って欲しいわけじゃないんだけどー?」

「わかりました、逃げませんから…」

「もう一度しかけた時点で信用ないよ」

ばあちゃるくんのワープは体に触れば一緒に付いていける、それを利用して止めるのは流石としかいいようがない。
なんというか、捕食者の目とでも言えばいいだろうか…。
視線を向けられるだけで動けない。

だがここまできたら腹は括った。
彼女にはいい感情を持たれていないのはわかっている、どんな事をされても彼女の気がそれで済むのならと…。