トップページ801
136コメント208KB
モララーのビデオ棚in801板71 [転載禁止] [無断転載禁止]©bbspink.com
0001風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:14:42.17ID:6x6p4YSU0
   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板70
http://itest.bbspink.com//test/read.cgi/801/1426866477/l50

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
0002風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:17:53.52ID:6x6p4YSU0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4)一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
  長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
  再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
   また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
   作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。

※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
※ルールを守っている書き手やその作品に対して誹謗中傷・煽り・否定意見の書き込みは禁止
※誹謗中傷・煽り・否定意見に対しての反論は書き手、読み手共に禁止
 レスするあなたも荒らしです。注意する時は簡潔に「>>2を守ってください」で済ませましょう。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://bbs.kazeki.net/morara/
0003風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:18:31.30ID:6x6p4YSU0
■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
0004風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:19:04.38ID:6x6p4YSU0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
0005風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:19:29.70ID:6x6p4YSU0
04
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
0006風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:20:09.48ID:6x6p4YSU0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
0007風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:20:49.17ID:6x6p4YSU0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ
0008風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:21:19.11ID:6x6p4YSU0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0009風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:21:52.85ID:6x6p4YSU0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
0010風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:22:27.70ID:6x6p4YSU0
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
0011風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:23:55.10ID:6x6p4YSU0
いつの間にか落ちていたので立てました
テンプレのコピペミスあったらすまん
0012風と木の名無しさん2018/12/10(月) 08:45:10.71ID:xtbipK6p0
>>1
スレ立て乙です
ありがとう
0013風と木の名無しさん2018/12/10(月) 18:21:40.15ID:WetYEwTA0
前は500KBで落ちてたけど、今はシステム変わって730KBまで容量あるみたいです

約一ヶ月で一スレ消費していた過去の一時期と違い、現状は投下も激減し、
そこまで行くのに何年かかるかわかりませんが、覚えておきましょう
0014風と木の名無しさん2018/12/11(火) 14:57:36.28ID:jfmEB6JC0
投下の途中で前スレ終わったドアラの人、よかったら続き投下して下さいね
0015風と木の名無しさん2018/12/11(火) 18:53:26.18ID:0aIxE2AF0
保管庫の過去スレ一覧の変更できる人いたら頼む
0017風と木の名無しさん2018/12/11(火) 20:57:00.67ID:lFYBi90b0
>>16
正直要らなさそう
私の記憶違いじゃなかったら2レスでかなり残ってたスレあったし…
まあ20レスいけば安泰だろうけども
0018風と木の名無しさん2018/12/13(木) 23:40:39.94ID:bLjIcqMu0
>>1
スレ立て乙でした

前スレの蟻桐の人、続き気になってます
凪差さんが出てきて嬉しかった
0019引退セレモニー 2/32018/12/15(土) 20:00:01.12ID:gWDvMzBz0
スレ立て乙です
前スレ最後で投下途中だったので続きです


しゃちほこの盛野→元ド荒の中の人
(盛野の引退セレモニーより)






「最後の日にあなたに会えて良かった」
昔と変わらぬ人懐っこさで、森乃に握手を求める。求められるまま、握手をした。あの頃と何ら変わらない握手だ。
ド荒の本にコメントを書いたことがある。ド荒、は、ファンにとっては一人だが、盛野にとって彼がド荒だった。
盛野のコメントは、彼が演じるド荒に向けたものだった。

「バク転は、若い子がしますけど…。セレモニーでは一緒に歩きましょう」
足をさすりながら彼は言う。
「ありがとう、来てくれて」
勇気が必要だったろうに、来てくれたことに労いの言葉をかけた。

ド荒は、何人もの役者に脈々と受け継がれている。坊主好き、珍妙なダンス好き、バク転、その他諸々。
設定として引き継がれてはいるが、細かく見るとそれぞれ違うな、と盛野はわかる。

「コーチとしているんですってね」
「ああ」
「後進の指導は大事ですよね。わかります。この球団一筋のあなたらしい選択だ」
そこへ、一人の若者が入室してくる。盛野は、名前も顔も一致しないその若者を訝しげに見つめた。
「今日、バク転してくれる若い子です。僕の教え子」
「教え子?」
「今、何をやってるんだ、って顔ですね。足が悪いので激しい動きはできませんが、育成部の責任者です」
よろしくお願いします、と彼は、頭を下げる。
「盛野コーチ。これからもこのド荒くんをよろしくお願いしますね」


世代交代。
華の選手はいつしか引退し、指導に回る。
彼は野球選手ではないが、彼もまた、己の身体と戦い、力尽き、次の道を選んだのか。
0020引退セレモニー 3/32018/12/15(土) 20:00:51.03ID:gWDvMzBz0
球場全体に、応援歌が響く。昔の応援歌。
球場全体に、「ありがとう盛野!」コールが響く。
球場全体に、ジェット風船が飛ぶ。

盛野はその中で、彼の足音を聞いた。
振り向けば、彼は、左手には、サインボールを入れた箱を抱え、右手にはデジカメを持っている。

ド荒。
俺の大好きなド荒。
一番大好きなド荒。

ボールを投げ込む。一球一球に別れの悲しみと長年の感謝を込めて。

ド荒。
俺の大好きなド荒。
一番大好きなド荒。

カメラも憚らずに、ド荒の抱擁を受け止める。
自分は、今、すごい笑顔なんだろうなあ、と考える。

なあ、お前に会えて良かった。また、飲みに行こうな。また、遊びに行こうな。
盛野は、これからの人生を楽しんでいきたいとようやく感じることができた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0021年賀状 1/22019/01/05(土) 21:23:31.90ID:r7dX4A870
短いですが、オリジナル「年賀状」

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


郵便受けを開けると、ひらりと赤いハガキが落ちた。
「あいつ…もう五日だぞ…」
俺宛ての年賀状。差出人は、幼馴染のあいつだった。
ご近所さんで生まれた時から一緒だったあいつ。正月も、毎年元日から一緒だったから、年賀状なんて出したことなかった。
大学進学のため、あいつが遠くに行ってから初めての新年。付き合い十九年にして、初めてあいつから年賀状をもらった。

電波に乗せて軽く挨拶をするだけで、人と年賀状のやり取りなんて年々少なくなっていっているのに、あいつらしい。
実際すでに元日にあいつには挨拶済みだ。
まあ今日届くってことは、二〜三日ほど前に出したってことだろう。それはそれであいつらしい。
「俺も出してやればよかったかな…」
ハガキのくじ番号を何となく確認し、あいつの文字を目でなぞる。
あいつん家…あいつの実家の住所は、俺の家と番地違い。この住所を書くのに、なんとなく変な心持ちがしたんじゃないだろうか。
ふと、字が思ったより上手い気がして違和感を覚える。あいつの字を見るのも思えば久しぶりだ。
こんな字だったか?
上手くなったのか?俺の知らないところで。
それとも…忘れつつあるのか、あいつを?
チクリとした寂しさを感じて、しかし反射的にそんな思いを振り払いたくて、気持ちを吹き飛ばすようにハガキを裏返す。
0022年賀状 2/22019/01/05(土) 21:24:03.25ID:r7dX4A870
“謹賀新年
あけましておめでとう!”

ペンじゃなく、筆?いや、これは筆ペンだろうか。手書きの毛筆で堂々と筆記してある。
小さい頃、一緒に年賀状を書いていたあいつが無理して謹賀新年と難しい漢字を使い、見事に間違えていたのが脳裏に蘇る。
何とかごまかしていたが、あれはごまかせていなかっただろう。
祖父母へ宛てたものだったから、かわいい孫の書いた年賀状なら誤字も笑ってくれたに違いない。そう思いたい。
昔の思い出に少し笑いながら目線を落としたら、その下に書かれていた字に息を飲んだ。

“彼女できちゃった!”

ヒュッと音がした。と思う。その時の耳は、現実の音を捉えていなかった。
体の内側がドクドク言っている。わけがわからない。
なんで心臓がこんなにうるさい?なんで息が上手くできない?
こんな短い文章を見て、なんで俺はこんなにどうしたらいいかわからなくなっているんだ?
「こんなこと年賀状に書くか普通…」
無意識にこぼれ出ていた言葉。
つぶやいたことさえ自覚がなかった言葉は、なぜこぼれ出たのかわからないほど内心を反映しておらず、ただ人ごとのよう。

“おめでとう!”

何がめでたいもんか。ちっともめでたくなんかない。
この衝撃が意味することは。
この、感情は。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0023風と木の名無しさん2019/02/02(土) 19:04:18.60ID:BqEn2pJa0
いちおつです。新スレ立ってよかったですね。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0024龍は眠らない 前編 1/32019/02/02(土) 19:06:16.37ID:BqEn2pJa0
 遥かな夜空の向こう、大いなる暗黒の彼方から、誰かの囁く声が聞こえる。
 「アドルフ・・・・君は夢を叶えたね。君は確かに、二十世紀の神話になったんだ。ジ
ークフリートではなくてファフニルの方だけれど」

 「グスタフ、悪って何だと思う?」
 その三十過ぎの黒髪の紳士は、優美なオーストリア訛りでそう尋ねた。曰く言い難い光
を放つ碧い双眸が、テーブルの向こうから、ちょっと斜視気味にぼくを捉えた。
 「ぼくはミヒャエルです」
 空腹に料理を詰めこむのに余念がなかったぼくは、急いで嚥下し、一息ついてから注釈
を入れた。
 「失敬。グスタフは幼くして亡くなった私の兄の名前だ。それと、昔大好きだった人の
こともたまにそう呼んでた。本当はアウグストで、普段はみんなグストルと呼んでたんだ
けどね」
 紳士は眉を上げ、片頬でちょっと翳のある笑みを見せた。
 「で、話の続きだが、悪とは何だと思うかね?そもそもこの世に、主として子供向けの
創作物で描かれるような、純粋で普遍的かつ絶対的な善と悪というものは存在すると思う
かね?」
 「『善と悪がある』というのは、それ自体としては信ずるに値する真理だと思います
が・・・・」
 ぼくは少しずつ言葉を発した。元々、あまりそういうことは突きつめて考える方ではな
く、倫理とか修辞学とか、そういう授業も苦手で、落第点すれすれを取ったものだった。
なんで我が国の人々は眉間に皺を寄せて勉強したり、検証したり、議論したりすることが
こんなにも好きなのだろうか。こういう国民がおかしな人物や体制を妄信して間違いを犯
すことなどあり得ないと思うのはぼくだけだろうか。
0025龍は眠らない 前編 2/32019/02/02(土) 19:08:29.46ID:BqEn2pJa0
 「正直、難しくてよくわかりません。ただ『絶対的な善とは何か、絶対的な正義とは何
か』を定義するよりも、『絶対的な悪とは何か』を定義することの方が易しい気はしま
す。その上で、『善』とか『正義』というものを定義するとするなら、恐らく『悪を為さ
ない、為させないこと』なんじゃないでしょうか」
 これ以上喋ったら、自分で何を言っているのかわからなくなりそうだった。そもそも、
紳士の最初の質問に全然答えられていなかった。
 にも関わらず、彼は口髭を生やした厳粛な顔に、さっきよりちょっと柔らかい微笑を浮
かべて頷いた。「上出来とまでは言わないが、まあいいだろう、ミヒャエル」そう言いた
いみたいだった。一番厳しいと噂されている先生の口頭試問を無事パスしたような気持ち
で、ぼくは心底ほっとした。

 「アドルフだ」
 貧しく疲弊しきった哀れな敗戦の街ミュンヘンの片隅で、明るい色のギャバジンのコー
トを着た紳士はぼくに親愛の片手を差し出した。といっても、生まれて十八年間、この街
を出たことなどほとんどなかったのだけれど。
 夕食を奢られた後、埃っぽいローゼンハイマー街を抜けて、アドルフのアパートについ
て行った。簡素そのもの、禁欲そのものという、革命家というより洞窟に起居する修道士
のような住まいだったが、一点だけ、らしからぬ要素があった。
 「絵を描くの?」
 「たまにね。戦前はプロを目指していたが、今ではただの趣味だよ。仕事の方がおもし
ろいし、物理的にも忙しくなってろくに時間を取れないしね」
 持ち主の性格を表すように几帳面に整えられた清潔なベッドに並んで腰を下ろした。彼
はウィーンのことを色々話してくれた。更に、もっと広い世界を求めてミュンヘンに来た
ことや、ドイツとオーストリアを再統一する必要性について情熱的かつ饒舌に語り始め、
そういう政治的諸問題が書いてある書籍や新聞やアジビラを持ってきてくれて、よかった
らあげると言ってくれた。中には、彼自身が執筆した記事もあった。
0026龍は眠らない 前編 3/32019/02/02(土) 19:10:43.39ID:BqEn2pJa0
 話は大戦中ドイツのために勇敢に戦い、受勲したことや、国防軍を再編成すべきである
こと、最近自分が創設した新しい部隊のことに及んだ。アドルフは新興の政党を率いる政
治活動家で、この時代は政党単位で独自の武装組織を持つことがごく当たり前であり、街
中での小競り合いも日常茶飯事だった。普通のドイツ人、普通の男の子であるぼくは、す
っかり彼の話に惹きこまれて、熱心に聞いていた。
 「ドイツと世界は君たち若者のものだ。君のような子が部隊の宣伝をしてくれれば――
いや、いっそのこと入隊してくれれば、とても心強いのだが。レームも喜んで面倒見るだ
ろうし。何しろ、政治や軍事よりも若い男の子の方が好きときてるからな、あいつは」
 「雇っていただけるなら――その、今夜だけじゃなくて、ずっとお側に置いていただけ
るなら、それはほんとに嬉しいです。何ヶ月も失業中で、母も弟たちも飢えに苦しんでい
ますから」
 ぼくは一生懸命言った。アドルフはじっとぼくの顔を見つめ、頷きながら聞いていた。
 「戦争に・・・・戦争にさえ負けなければ・・・・。これじゃあ父さんだって何のため
に死んだのかわからない」
 悔し涙が込み上げそうになるのを辛うじて堪え、膝の上で拳を握り、唇を噛んだ。
 「わかってるよ、君の気持ちや状況は。何より、お母さんや弟さんたちのことが心配だ
よね」
 深い共感と慈愛のこもった声で一言一言、噛みしめるように言うと、アドルフは矢庭
に、ぼくの両肩を掴んでベッドに押し倒した。
0027風と木の名無しさん2019/02/02(土) 19:11:30.91ID:BqEn2pJa0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

ちょっとageときます。明日の晩また来ますね。
0028風と木の名無しさん2019/02/03(日) 17:35:54.00ID:njo3Lm1q0
毎度お世話になります。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0029龍は眠らない 後編 1/72019/02/03(日) 17:37:45.73ID:njo3Lm1q0
 心臓が高鳴り、喉元から飛び出そうだった。また泣き出しそうになりながら、今や猛禽
の蹴爪にがっちり掴まれた小動物も同然のぼくは、男の顔をまっすぐ見ることができず
に、頬を赤らめて目を逸らした。彼は鮮やかな手つきでぼくがリボンタイ風に結んでいた
スカーフをほどき、襟元から抜き取った。無造作に背後へ放り投げられたそれは蝶のよう
に宙を舞った。
 アドルフは手際よくぼくのカッターシャツの釦を外し、胸をはだけさせた。一応ストー
ブが焚かれているとはいえ、十二月のことであり、しかも彼のアパートはとても寒かっ
た。冷気に晒された乳首が彼の刺すような視線の中でツンと立ち、それを指先でさりげな
く摘ままれ、弾かれて、耳が熱くなるくらいに恥ずかしかった。
 ここに来れば何があるか、もちろん知っていた。男どうしであっても肉体は結ばれる、
しかし、自然の理に基づく男女の結びつきと違って、主に男性を受け入れる側に、相当な
困難が伴うことも知っていた。
 鋭敏に、ぼくの不安を感じ取ったのだろう。彼は手を止めて、冷静に言った。
 「君、男とも女とも経験ないんだろう?怖がらなくても、大事な兵士の体に最初から無
茶はしないよ。嫌ならこれで終わって帰っても全然構わない。それでもここまでつきあわ
せた分の金は払うしね」
 その言葉の後半部だけ、ぼくが眼差しで否定すると、彼はふっと笑って、「ありがと
う」と呟き、染み一つないピローカバーに扇のように広がったぼくの髪に手を絡ませた。
 「素晴らしいブロンドだ。誠にゲルマン民族らしい。将来は君のような金髪碧眼の、美
しく優秀で愛国心に溢れた青少年ばかりを結集した精鋭部隊も組織したいと思っているん
だ。鳥肌立つくらいにスタイリッシュな制服をデザインさせるつもりだよ。まだまだ資金
や権力が圧倒的に及ばないがね」
 その魅惑的な話も、ぼくの耳にはろくに届かなかった。家に帰っても惨めさと窮乏が待
っているだけの戦後の若者であるぼく、今、家族の中で自分だけ、親切な紳士にレストラ
ンに連れて行ってもらって、全く何日ぶりかでおなかいっぱい美味しいものを食べさせて
もらったことへの罪悪感に苛まれているぼく、その男の部屋で、今生まれて初めて体を売
ろうとしているぼくの耳には。
0030龍は眠らない 後編 2/72019/02/03(日) 17:41:21.19ID:njo3Lm1q0
 ぼくが男娼になったなんて知ったら、母はどんなに悲しむだろう。弟たちはどんなに軽
蔑するだろうか。男らしく、名誉の戦死を遂げた父の名にも泥を塗ることになりはしまい
か。
 ふと、さっき食事中に自分が言ったことと、アドルフの問いを思い出した。
 善とは、正義とは、悪を為さない、為させないこと。悪とは一体何だろうか。
 家族を、故国の人々を、敗戦の屈辱と、いつ終わるとも知れない貧困と混乱の中に捨て
置くことこそ、悪ではないだろうか。
 「哲学と道徳と政治は何が違うと思う?」
 アドルフは部屋の照明を落とし、上着を脱ぎ、ぼくに覆い被さってきた。頬に、顎に、
首筋に、胸にと冷たい唇を這わせながら、その口づけよりも危険な毒素に満ちた問いかけ
を発した。ぼくに答えを求めていないのは明らかで、ただ自問自答しているだけだった。
この風変わりな紳士ときたら、ベッドで抱きあってのキスや愛撫の時くらい、その手の命
題を忘れていられないのだろうか。
 乳輪を甘いキャンディのようにしゃぶられて、感じてしまって、こっそりシーツに爪を
立てて堪えた。
 「『善とは何か、悪とは何か』を追究するのが哲学。善を為すよう奨励するのが道徳。
道徳の実践や応用、つまり制度化を担うのが政治。但し、哲学者も道徳家も、時の政治的
権力の影響を全く受けずにはいられない。――気持ちいいの?勃ってるね」
 アドルフは衣服の上からぼくの下半身をまさぐり、くくっと笑った。「いけない子だ」
 ぼくは着せ替え人形みたいにベルトを外され、ズボンとパンツを脱がされるままになっ
た。
 恥じらう間もなく、露になったものを、アドルフがそっと口に含んだ。
 「ひゃっ」
 そんな所を誰かに舐められるなんて、生まれて初めてのことだった。あまりの気持ちよ
さにのけ反り、声が出た。自分の掌やシーツに擦りつける時なんて比べものにもならな
い。勢いよく吸い上げられ、舌が忙しなく伝い降りたり這い上がったりした。亀頭を集中
的に責め立てられて、足の指が引き攣り、気が遠くなりそうになった。
 「アドルフ・・・・出していい?」
0031龍は眠らない 後編 3/72019/02/03(日) 17:44:19.08ID:njo3Lm1q0
 数分、いや数十秒と持たずに、そう囁きかけた。アドルフが目顔で頷いたので、深く息
をついて、彼の口腔に夥しく射精した。アドルフの唇の端から滴り落ち、顎を白く汚すほ
どだった。
 「すぐイッちゃった。舌を使うの巧いんだね」
 しばらくして、アドルフに腕枕してもらって一休みしながら言うと、
 「そりゃ、演説家だから」
 彼は本気とも冗談ともつかないことを言った。
 「実際ね、ウィーンで、この街で、戦場で、数えきれないくらいの男のものを咥えた
よ。もちろん生きるため、絵を売るためだ。戦争に征ってた時なんか、風呂場でしょっち
ゅう、複数の男に取り囲まれて、あらゆることをさせられた。あいつは根っからの淫売
で、自分から喜んでやってるんだって噂まで立てられてね。体目当てなのは変わらないと
はいえ、親身に話を聞いてくれる気のいい上官もいたけど、軍隊っていうのは基本的に、
そういう野蛮な所だからさ」
 ぼくはアドルフの形の良い乳首を弄りつつ、二十代の彼がお風呂でマワされる所をじっ
くり想像して、またおちんちんをカチカチに硬くしながら、顔つきだけは神妙に聞いてい
た。
 「子供の時から、そういう権威主義的なのは嫌いだった。親父もそういう人間で、私が
絵を描くのを嫌って、何か気に入らないことがあれば殴ったしね。学校も合わなくて辞め
て、恋人と山歩きしたり川で泳いだり、屋外でスケッチをしたり、劇場に行ったり、芸術
や音楽や文学の話をしたり、故郷のリンツでは専らそんな風に、のびのび過ごしてた。お
互いの家に誰もいない時や人目につかない自然の中で素っ裸になって愛しあったりね。お
互いまだ今の君より年下の、親元に住んでる子供だったのに、思えば大胆なことをしてた
ものだよ。
 君のような素直でやさしい子を見ると、その人のことを思い出すよ。彼はいつも善良で
あろうとしていた。でも、政治には全く関心がなくて、政治的な問題とはいつも一定の距
離を置きたがる性質だった。そんなこともあって、ウィーンに出てからは一つ屋根の下に
暮らしていたにも関わらず、お互いに心が離れていったのさ。十九で、私が彼の許から行
方をくらます形で別れて、それ以来一度も会っていない。多分、これからもね。
0032龍は眠らない 後編 4/72019/02/03(日) 17:46:25.82ID:njo3Lm1q0
 今言ったように、いつも善であろうとしていた人のように――私よりはよほど善良であ
ったように私には思えるが、政治と道徳にはさっき言ったような形での関連がある。政治
的でないということはとどのつまり、道徳的でないということなのだろうか?そもそも、
政治的でないとはどういうことだろうか?完全に政治や政治的見解と無関係で生きること
など、果たして個人に可能なのだろうか?」
 「その人のこと、本当に好きだったんだね。さっきから話に出てる、レームとかヘスと
かいう人たちよりも好き?その人たちともこういうこと、するんでしょ?」
 鼻にかかった声で言いながら、アドルフの首に両腕を巻きつけ、口元に軽く口づけた。
 「たまに、お互い気が向いたら、ね。でもそれはスポーツとかレジャーみたいなもの
で、そうだな、変な言い方だが、党員どうしの団結力強化のための営みの一環だよ。彼ら
は帝国の――私の夢のために共に闘う同志であり、もっと言えば私の夢の一部だ。
 でも、その人は違うよ。彼は私の、何というか、私の――愛しい人だ」
 苦笑いは言葉の終わりで、屈託のない、はにかんだ笑みへと変わっていた。その後もあ
る程度の期間、つきあいは続いたが、この人のそういう表情を見たのは、多分、この時が
最初で最後だった。
 人類の諸悪がたった一人の個人の上に置かれるとする。彼は極めて観念的で抽象的で、
ある種神秘的ですらある悪の元型(アーキタイプ)として、後世の人間によって定義され憎
悪され断罪され続け、その評価は永遠に覆すことができないとする。それが彼の、善良な
る人々の、世界に対するある種の義務であり、必然でもあるだろう。
 でも、その人だって、ただの人間だ。
 ぼくは彼の生まれたままの裸の体に両腕を回し、そっと抱いた。ドナウの流れのよう
に。
0033龍は眠らない 後編 5/72019/02/03(日) 17:49:14.18ID:njo3Lm1q0
 「あなたの幼馴染みの恋人って、八月生まれの人?」
 胸に頭を押し当てながら囁くと、アドルフはちょっと驚いたように目を見張った。
 「そうだが、どうしてわかったんだね?」
 「夕食の時言ってたじゃない。アウグストって」
 「そうだったか。君は利発な子だな。きっと頼もしい味方になるだろう」
 アドルフは目を細めてぼくの肩を抱き寄せ、髪を掻き撫でた。
 それから彼はぼくに、リラックスして仰向けになるように言った。
 「大丈夫、挿れないから」
 そう言ってぼくを安心させてから、強く抱きしめて口づけした。口中では舌が絡み、腰
の所では、ぼくのと彼のともむくむく動いて触れあって、まるで自分たちの分身どうしも
キスしてるみたいだと思えて、ちょっと微笑ましかった。
 アドルフがぼくの肩を押さえて普通に交わる時みたいに腰を動かすと、溢れ出すお互い
の糖蜜に濡れそぼちながら、重なりあったものどうしが擦れあい、捏ね回され、そのぬめ
る感覚と淫猥な水音がまた新たな興奮を誘った。ぼくもはしたなく腰を揺り、夢中で快楽
を貪りながら、アドルフの足に自分の足をきつく絡みつけ、背中に回した腕に力を込め、
その唇や耳朶や首筋や肩を頻りに噛んだ。
 恥ずかしかったけど、声に出して言ってみた。
 「アドルフのおちんちんと擦れて、ぼくのおちんちん気持ちいい」
 その言葉が耳に届くと、アドルフも顔を上気させて、
 「私もだ・・・・ミヒャエルの体に出していいかな?」
 「うん・・・・いっぱい出して」
 気が付くと、生温かく、ドロッとしたものがおなかの上に広がっていた。アドルフは枕
元から布巾を取ると、優雅な仕草で二人分のそれをきれいに取り除いてくれた。お臍の内
側や太腿まで、丁寧に拭ってくれた。
 その後、ぼくの頬に口づけし、掛布を首の所まで掛けてぎゅっと押さえつけた。
 「疲れたろう。ゆっくりおやすみ。明日の朝早く帰って、午前十時に党の事務所に来て
くれ」
 そのあまり色気のない言葉をぼくは、天使の囁きのように快く聞いた。
 「ちょっと面倒くさいけど、同伴出勤ってわけにもいかないのでね」
 と、彼はきまり悪げに付け加えた。
0034龍は眠らない 後編 6/72019/02/03(日) 17:51:26.45ID:njo3Lm1q0
 夜半過ぎ、ふと目を覚ますと、傍らで眠っているはずの彼はいなかった。
 そっと部屋を見渡し、目を凝らすと、こちらに背を向けて、小さな堅い机に向かってい
る彼の姿が見えた。スタンドの明かりだけを点け、恐らく古典か歴史かの分厚い本を何冊
も広げて、彼は書きものに熱中していた。
 声など上げられるはずもなかった。ぼくは精励する人を見た。果てしのない孤独と静け
さの中で沈思黙考する人を見た。何も見なかったように、再び眠りに就こうと思った。カ
ーテンの隙間から射しこむ月影が無限の距離感を以て、ぼくと彼とのわずか数メートルの
空間を隔てていた。

 「そら、子供にはホットミルクだよ」
 翌朝、一晩ベッドを共にした代価としては破格の支払いを受け、白パンを一かけらとポ
テトサラダだけの質素な朝食を供された。聞く所によると、たとえこの先どんな富と権力
を得ることがあっても、この食生活は変えるつもりがないらしい。美味しいものを食べる
とか、贅沢な暮らしをするということにこの人は本当に関心がないのだ。
 ただ、朝にはものすごーく弱いが、今朝は頑張って起きてくれているらしい。
 「もう子供じゃないよ。夕べあんなに・・・・いやらしいこといっぱいしたくせに」
 追加で差し出された熱いマグカップを手に持ちながらも、ぼくは膨れっ面をした。
 「そうだったね。どんな恋ならしていいかは年齢で決まるもんじゃない。誰かにああい
う形で愛を受けた時からもう大人だ」
 言いながら、澄まし返った表情で自分は白湯を飲んでいる。その顔は涼しげで、憎らし
いくらいに抜け目なく小利口で、昨夜、キャンバスに絵筆でいろんな色を載せていくよう
に、ぼくの体を自在に扱い、目くるめく官能に彩った男と、本当に同じ人かと疑いたくな
る。
0035龍は眠らない 後編 7/72019/02/03(日) 17:53:18.29ID:njo3Lm1q0
 「言い忘れていたけど、向こうでは『アドルフ』は困るぞ。『ヒトラーさん』と呼んで
くれ」
 玄関のドアを開けてくれながら、彼は念を押した。
 ちょっと思いついて、かわいらしく呟いてみた。
 「はい。我が総統」
 彼は目をぱちくりさせた。
 「何、それ?」
 「なんか今、降りてきたんです」
 「へ〜」
 と彼はそっくり返って大袈裟に感心し、にんまりと会心の笑みを浮かべた。
 「いいな」
 権威主義的なの嫌いじゃなかったの、と、ふと思ったけれど、もちろんそんなかわいげ
のないことは口に出さない。
 朝靄煙る街路へとぼくを送り出しながら、アドルフは鷹揚に片手を上げ、ごく平凡に、
日常の挨拶をした。
 「それじゃまた、後でね、君」
 男は、この時まだ、ドイツ史上、いや世界史上空前絶後の現象ではなかった。

Ende


 「世の中で一番の悪党は、間違っているものを見て、それが間違っていると頭でわかっ
ていても目を背ける奴らだ」
(ボブ・ディラン)

 「もし社会が無制限に寛容であるならば、その寛容は最終的には不寛容な人々によって
奪われるか破壊される。寛容な社会を維持するためには、社会は不寛容に不寛容であらね
ばならない」
(カール・ポパー)
0036風と木の名無しさん2019/02/03(日) 17:54:12.78ID:njo3Lm1q0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ロータル・マハタン「ヒトラーの秘密の生活」より。
0037風と木の名無しさん2019/03/13(水) 19:54:01.40ID:QnvMxaix0
蟻霧の蟻さん→霧さんのSFちっくな話。四話目。
『平行世界のステイルメイト-4-』

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「じゃあ、蟻to霧ギリス……なんて、どうですか?」

伊志井さんが言ったのに、事務所の人は「いいね、"間に合わせ"よりはずっといい」と頷いた。
「じゃあ、君たちは今日からコンビってことで。
 二人で頑張って、売れちゃってください」
事務所の人が、俺たちを握手させる。伊志井さんは「よろしく」と笑った。

なんでかな、伊志井さんを見た瞬間思ったんだ。(あ、この人だ)って。
人生を懸けるとか、運命の相手とか、大げさだけど、そんな感じ。
俺はこの人と生きていくんだ、って。

俺の心はたぶん、ずっと変わってない。ただ、過ぎていった昔にはもう戻れない。それだけだ。



朝起きると、パラレルワールドの伊志井さんはまだそこにいた。勝手に俺のパソコンを見ている。
ソファで寝させたのにやや心を痛めていたのが馬鹿らしい。ちょっと薄い後頭部を思い切り叩く。
「いった!……朝から積極的だな君は」
「頭のどこがエラー起こしたら、んな発想すんだよ。勝手に触んな」
「いや、こっちの世界の君はどんな仕事をしてるのかと思って」
俺はため息をついて、スマホを見る。『伊志井政則、映画撮影をドタキャン!関係各所に大迷惑!!』
……さっそくニュースになってた。俺の方もうるさくなるかもしれないので、電源を切っておく。

「僕はこっちでもバツ2か。それに比べて君は正反対だ、ほとんど死んだような感じだね」
「嫌な言い方すんな。元芸人が一人食っていくのは、意外と簡単なんだよ」
「ああ、放送作家とか?」
「そう思っとけばいいだろ」
「全然底を見せないね。ミステリアスだ。向こうの君もそうだよ」
伊志井さんのたわ言は無視して朝食を作る。合鍵も持ってない、話もしない距離感に慣れてたから、
まるで相方みたいに扱われてるのが落ち着かない。
0038風と木の名無しさん2019/03/13(水) 19:54:41.73ID:QnvMxaix0
「それより、いつ帰んの?」
「さあね。寝て起きれば元の世界かと思ったんだけど……さすがにそう簡単にはいかないな。
 でも、僕はしばらくここにいた方がいいかもしれない。
 こっちの僕は、君にずいぶん寂しい想いをさせたんじゃないのか?」
その一言は、俺の胸の『穴』に深く、突き刺さった。
「図星か?」
「……なわけ、ないだろ」
俺はパソコンを持って、コートを羽織った。伊志井さんもぺたぺたとついてくる。
「いいか、絶対外に出るなよ。玄関にも。電話は留守電に」
「分かってるよ。行ってらっしゃい」
「……」
「行ってらっしゃい、伊静くん」
「……行ってきます」
敗北感を噛みしめて家を出る俺を、伊志井さんは笑顔で見送った。



「お前、俺が死んだ世界から来たんやろ」

村太さんの第一声に、僕はコーヒーを吹き出した。村太さんはテーブルに肘をついて、
咳きこむ僕をじっと眺めている。
「ほんまに久しぶりやなあ、伊志井。……この世界、夢やなかったんやな。
 ありがとな、それを教えてくれて」
僕の手に、そっと村太さんの手が重なって、優しく撫でられた。ああ、この人は僕の知っている
村太シ者なんだ。そう思うと、涙が出てきた。



痛い、頭が痛い。これは、あかん頭痛や。目の前がぐるぐる回っとる。
体が冷たくなってく。俺、死ぬんかな。体が全然動かん。病院に行っとけばよかった。痛い。

……走馬灯って、ほんまにあるんやなあ。桶太ァ、お前が音楽やりたい思うた時、俺ほんまは
ちょっと悲しかってん。言えばよかったんかなあ。行かないでくれって、やればよかったんかなあ。
ああ、それより……松岡や。前の相方ともひどい別れ方したんに、ごめんなあ、松岡。
……あかん、松岡を独りにはできひん。まだ死ぬわけには……クソッ、動け、動けや俺の体!!俺はまだ……

どくんっ。
0039風と木の名無しさん2019/03/13(水) 19:55:09.93ID:QnvMxaix0


……

……さん……

………村太……さん……

「村太シ者さーん、起きてくださーい。朝ですよー」

のんびりした声が、俺を揺り起こした。体が怠い……ん、なんや。なんで頭、痛くなくなっとるんや?
俺はゆっくりと目を開けた。視界いっぱいに、松岡のにこにこ顔が見える。せや。ここは松岡の家や。
俺は昨日ネタ合わせをして……ん?ちゃうぞ。俺はラジオの仕事をしたはずで……あれ、なんで
テレビが窓の方にあるんやろ。俺の覚えとる松岡の家と、家具が違うような……いや、前からこんな
部屋やったな。……どっちの記憶がほんまなんや。俺、死んだんとちゃうんか。

「なあ松岡、今日なんやった?」
「休みやのに、ネタ合わせする言うて家に押しかけてきたんは、誰でしたっけ?」
松岡は寝ぼけてはりますね、と笑って立ち上がった。俺は痛みの消えた頭をおさえて、考える。
「あ、明日は仕事ですよ」
「誰と」
「馬鹿リズムと合同ライブやないですか!まさか忘れたとか「いや、覚えとる、覚えとるで!」
 ……あ、そういや明日のフライヤー、松舌が作ったんですよ」
「松舌?あいつ、引退したやろ」
「えっ……?」
「あ、ああ……すまん。また間違えた」
松岡はまた座って、俺の額に手を当てる。
「あの……ほんまに平気ですか?」
俺を気遣ってくれる、その仕草がなぜか悲しくて。
「うわっ、なに!?」
気がつくと、俺は松岡を抱きしめていた。気色悪い!とかドッキリか!?とかうるさい松岡の
肩に鼻先を埋めて、俺は泣いた。これが、死ぬ前の俺が見とる夢でもええ。
今はただ、ここで生きていたいんや――。



いつのまにか降り出した雨が、ガラス窓を濡らす。村太さんは水滴をなぞって、
円を描きながら、次の言葉を探していた。この人は、どういうわけか『死んだ村太シ者』の記憶を
受け継いだ、『この世界の村太シ者』だ。脳の出血を起こさず、実力派漫才師、花エンジンの名を轟かせている。
僕らが何度も(生きていれば)と思い浮かべた姿が、そこにあった。
0040風と木の名無しさん2019/03/13(水) 19:56:06.59ID:QnvMxaix0
「向こうの世界と、なんも違わんように見えるやろ」
村太さんは、窓の向こうを行く人々を指さして言う。
「せやけど、あちこちがちょっとずつ違うねん。……お前、伊静の嫁さんがなんで死んだか、知っとるか」
「……いえ」
「出産ってな。今でも1パーセントくらいは死ぬんや。あいつの嫁さんは、その1に入ってもた。
 血が止まらんでな。夜中にあの子を産んで、明けるころにはもう……」
村太さんは話すだけでも辛いのか、目を伏せる。
「俺は、アホなことを考えてもた。俺が生きる代わりに、嫁さんが死んだんやないかって」
「そんな……!」
「分かっとる。せやけど、俺はそう思って"しもた"んや。こっちの伊静は、俺が遊んでやらんでも
 お前と一緒にちゃんとやっとった。せやけど、代わりに嫁さんは死んだ。
 何かを得るためには、何かをなくさなあかんのやないか……ってな」
村太さんは水を一口飲んで、僕の目をまっすぐに見る。

「お前ら、ただのコンビやないな」
「……!」
「んな、あからさまな反応すんなや。安心せえ、俺以外は誰も知らん。伊静が自分から俺に言うたんや」
「彼は……なんて?」
「ん、ただ"嫌いになれないのは、辛いですよね"って言うたで」

空気が冷たくなった。村太さんはお冷の氷をスプーンでいじりながら「どんなきっかけで始まってんねや」と問う。
しかし僕が知るわけもないので、すぐに顔を上げた。
「なあ、どうせ帰る方法が分からんのやったら、伊静ととことん向き合ってみたらどうや。
 向こうの伊静とは話せんかったこと、話してみたらええやんか」
「……分かりました」
「よし。湿っぽい話はこれで終わりや。戻ろっか」
そこで、コンコンとガラス窓を叩く音。見ると、傘をさした伊静くんが僕たちを見ていた。
その平らな表情は、僕が彼に答えを求めた時、「いいのか」と聞いた時、必ず見た表情だった。
0041風と木の名無しさん2019/03/13(水) 19:56:26.04ID:QnvMxaix0


航空券の予約サイトを見ている俺に、風呂上がりの伊志井さんがのしかかってきた。
「何見てるんだ?……ジュネーヴ?」
「11万か……高いな。伊志井さんに半分出させるか……」
別のタブで見ているCERNの公式サイトで、伊志井さんはやっと理解したらしい。
「おい、やめろ。相方が解剖されてもいいのか」
「帰る方法に一番近そうなのはここなんだけど」
「頼む、本当にやめてくれ」
伊志井さんが必死なので、スイス行きはひとまず諦める。パソコンの電源を切って
ベッドに入ると、なぜか伊志井さんもついてきた。
「お前さ、俺のこと好きなの」
冗談のつもりで額を小突いたのに、伊志井さんは真剣な顔で「好きだよ」と答えた。

「あっそ。……へえ、趣味悪い」
「自分を卑下するな、君のいい所ならいくらでも思いつくよ」
「たとえば?」
伊志井さんは仰向けになって「まず、背が高い」と指を折る。
「それと、前向き。僕はネガティブな性質だから、ありがたかった。
 ああ、僕のトークをすぐ拾ってくれるのも嬉しかったな。あとは……」
「もういい」
「ここからがいい所なのに」
なんとなく分かった。伊志井さんは俺に、向こうの俺を重ねてる。
向こうの俺にできなかったことを、俺にやろうとしている。

「あのさ、向こうの俺は、なんでお前と一緒にいるのかな」
「さあ……仕事のためじゃないか?」
「……好きじゃなかったら、とっくに捨ててると思う」
そう言うと、伊志井さんは「そう考えたことはなかった」と驚いていた。
俺から見れば、なんで分からないのか謎なんだけど。
「嫌われているかもしれないと思う理由なら、あるんだ」
「うん」
「君に、男に犯されたという汚名を着る覚悟があったら、僕は今ごろ芸能界どころか
 社会から追放されている」
「……」
「おまけにその後、君が解散の話を持ち出さないのをいいことに関係を強要しているのは
 僕の責任だ。本当にすまない。いや、向こうの君に謝るべきなんだろうが「死ね」
俺は全力で伊志井をベッドから蹴落とした。
0042風と木の名無しさん2019/03/13(水) 20:00:11.91ID:QnvMxaix0
村太さんと別れて伊静くんに着いていくと、駐車場に入っていく。
ポケットからスマートキーを出した腕をつかんで引き止める。
「危ないだろ、雨が降ってる。視界が悪い」
「それほどじゃないだろ。離せよ」
「嫌だ。君と話さなきゃいけないことがあるんだ」
伊静くんはチッと舌打ちして、僕の手を乱暴に振り払う。助手席に乗りこんでも
蹴落とされたりはしなかった。その代わり、法定速度ギリギリの乱暴な運転で僕の家まで運ばれる。
伊静くんは合鍵を出して、僕の家のドアを蹴り開けた。たぶん娘さんには見せない顔で、僕を
寝室まで引きずっていく。ベッドの上に投げられて、目を白黒させる僕の上に、伊静くんがのしかかる。

「……俺がここでお前を殺したら、どうなるんだろうな」

物騒な言葉に、僕は「嘘だろ」としか言えない。
「こうやってさ」
僕の首に、伊静くんの細い指がかかった。そのまま少しずつ、力がこもる。
「お前を殺したら、ちゃんと耳は削いでやるよ。コントと同じように。それを持って、警察に行く。
 理由?絶対に言わない。蟻霧はいつか都市伝説になって……」
目の前がかすんで、息ができない。と思った瞬間、パッと手が離れた。
丸まって咳きこむ僕を、伊静くんは黙って見下ろしている。

「そんな事、するわけないだろ。俺はさ」

伊志井さんのことが、ずっと昔から好きなんだから。
そう言って縋りついてきた伊静くんを、僕は拒まなかった。
「お前もそうだったんじゃないのかよ。ずっと、ずっと我慢してたのに。
 そばにいられたら、それだけでいいって思って、言わなかったのに」
僕には答えることができない。だからただ、黙って背中を撫でてあげた。彼が本当はそうしてほしかったように。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
たぶん次回で終わります。
0043風と木の名無しさん2019/03/17(日) 00:55:51.79ID:BYySjtuC0
蟻霧の人だ!お待ちしてました
向こうから来た小悪魔な蟻さんに萌えてます
0044風と木の名無しさん2019/03/24(日) 10:46:54.51ID:TL9x5TmI0
投下減ってるからあまり野暮なことは言いたくないけど、テンプレ読んでルールくらい守って欲しいな
0045風と木の名無しさん2019/05/23(木) 01:02:18.25ID:Up9GvEZ10
保守
0046風と木の名無しさん2019/06/06(木) 10:32:48.79ID:v/eSZaFZ0
ほしゅ
0047風と木の名無しさん2019/07/21(日) 03:07:48.38ID:dUG5MdmC0
ほしゅ
0048風と木の名無しさん2019/09/07(土) 02:00:24.69ID:t/BzRgCt0
あげとく
0051風と木の名無しさん2020/06/15(月) 21:04:34.56ID:T5PCpfSk0
まだここ書き込めるのかな?あげた方がいいかもしれないけど……
0052透明な子供たち 1/32020/06/15(月) 23:24:20.97ID:T5PCpfSk0
オリジナル ショタ×お兄さん 暗い
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

手を握る。
僕たちはどちらも手袋をしていなかったから、大きさがよくわかる。僕の手より、大きかった。カコさんのほうが、僕よりも身長が大きい。
お父さんの手とどちらが大きいのだろう、と思って最後に見たのはいつだったかと考えた。弟に聞いてみれば、もしかしたらわかるかもしれない。

いつも歩いているとき、カコさんは歩幅を合わせてくれる。
夜の街灯は、明るいはずなのにどこか心もとなくて怖くなる。なのに、カコさんが隣にいれば楽しい道のりになる。
すごく長い時間塾とかいろんな場所を渡り歩く毎日の中で、この時間が唯一の楽しみだ。けれど、それも今日は違った。
取り留めもないことをたくさん考えてみたけれど、どうしても気になった。
「カコさん、公園いこ」
「門限あるんだろ」
カコさんがちらりと片目でこっちを見る。
「でも、カコさん痛そうだよ」
足が止まる。
街灯の光の下で、浅黒く腫れてる目の周りは、今まで見たことのない程に酷かった。
くっきりと残る傷を僅かに眉を寄せて、そして、口をつぐんだままカコさんは僕の手を引いた。
「カコさん、」
「大したことないから行くぞ」
「カコさん、お願い」
 じっと見る。カコさんから視線をずらさないでいれば、少しの問答の後、近くの公園へ足を向けることになった。
いつだってカコさんはこっちのことを無理矢理言うことを聞かせようとはしない。
その公園は猫の額ほどで、ブランコとベンチと水飲み場以外は何もない。
 自分のハンカチを濡らして、ベンチに座ってくれたカコさんの傷に当てるとじんわりとした熱さだけが取れていく。
もっと綺麗なハンカチだったら良かったのに、と思うとやっぱりちゃんと買わないといけないなと思う。
今のやつは弟が幼稚園の時に使っていたハンカチだから、薄くて端っこが破れている。
公園の水はまだ出てくれたけれど、あと少しできっと閉められてしまう。冬が来る。息をするたびに白い息が出る。
冬が来る。カコさんも僕も暖かい服なんて持っていないから、これまで以上にきっと寒くなる。
僕は弟のお下がりがもらえるけど、カコさんはどうするんだろう。少しだけ不安になった。
0053透明な子供たち 2/32020/06/15(月) 23:27:51.19ID:T5PCpfSk0
「カコさん、」
「……」
手を添える。怖かった。
「カコさん、このままだと死んじゃうよ。逃げようよ、僕も一緒に行くから」
「お前は帰る家があるだろ」
「ないよ、弟がいればうちは大丈夫なんだもん。きっと。僕一人いなくても、きっと気づかないよ」
カコさんは、黙っている。
「お金だって、ちゃんとあるよ。お年玉、だから、それ持って一緒に僕のおじさんところに行こうよ。カコさん」
カコさんがカコさんのお家に帰るたびに、ケガしているのを僕は知っている。
それはどんどん数も量も大きさも多くなってきていて、おんなじぐらいカコさんもおかしくなってきてる。
この間は右の方から話しかけてもちゃんと返事をしてくれたのに、左側へ向いてくれないと話しかけても聞こえなくなった。
なんで、って聞いても答えてくれない。何でもない、ってばっかり言って答えてくれない。
それなのに、みんなはカコさんのことを怖い不良だと言っている。いつも喧嘩なんてして、といっている。
カコさんがいつもけがをしているのは、どうしようもなくておうちに帰るときで。
不良になっちゃったのはカコさんがおうちに帰れないから、どうしようもなくてずっといるしかないんだと言うことを誰も気づいてくれない。
誰も見つけてくれない、僕が夜に一人で歩いていても誰も見てはくれなかったように。
カコさん以外僕のことを見つけてくれる人はいない。なのに、僕はカコさんをさらってどこかに行ってしまえるほど大人じゃなかった。
夜の公園のベンチは腰かけているととても冷たい。そして、周りのおうちは幸せそうな明かりが漏れている。
けれど、その光が僕に降ってくることはないし、カコさんに降ってくることもない。誰も僕たちがいることに気づいてくれない。
「……ああ、それもいいかもな」
「本当!」
だから、カコさんの答えに、僕はとてもうれしくなった。
おじさんは弟も僕もおんなじくらい大切にしてくれるし、こっそり僕にテレホンカードをくれた。
弟はキッズケータイを持っているからいらないらしいけど、これを使えばいつだっておじさんは迎えに来てくれると約束してくれた。
だから、二人でおじさんのところへ逃げちゃおう。
0054透明な子供たち 3/32020/06/15(月) 23:33:09.11ID:T5PCpfSk0
そうすれば、あそこは遠いからカコさんのおうちの人も追いかけては来れない。
お父さんもお母さんも弟がいれば、きっと僕がいなくても気づかないから、誰も悲しくならない。
絵本みたいに全部綺麗に解決してくれる。なんて素晴らしいんだろう。
そんな素敵な発想に少し誇らしくなる。そんな僕に対して、カコさんは、なんだかぼんやりしたように口を開いて。

「でもさ、俺がいないほうがおまえは幸せになれるよ」
どこか夢みたいに呟いた。
その声は消えてしまいそうで、すごく怖かった。怖くて、ぎゅうとカコさんの手を握る。
指先からどんどんこの人はほどけてしまうんだと思った。
生きようって思う力がどんどんほどけて、頑張ろうって気持ちが抜けていって。きっと、近いうちにバラバラになってしまう。
カコさんは少しずつほどけてる。
しゃべってるとボロボロ泣いてしまう時もあるし、何もないところでぶつぶつとしゃべっている時もある。
ぐるぐるしているときもあれば、僕には見えない何かにおびえている。
怖くなってカコさんの手首を掴んだ。思わず見てしまう。
聞き手の方にいっぱい、注射みたいな痕とか、切ったみたいな痕がある。見てはいけないものだ。
びっくりした僕に気づいたカコさんは、上がっていたジャージの袖を伸ばしてそれを隠した。そして、どこか諦めるようにへらりと笑った。
「俺は馬鹿だからこうなったけど、おまえはきっと上手くやれるよ。こんなんなる前にさ、きっと助けてもらえる。おじさんもいるんだろ」
自分を馬鹿だって言ったカコさんは、こっちを見た。そして、僕を見て困った顔をする。
「……泣くなよ」
「泣いてないよぉ……」
僕はまだ子供で、どうしようもなく子供だったから守りたかった人の前でわんわん泣いてしまった。
冷たい指先でカコさんは僕の涙を拭って、頭をポンポンしてくれる。こんなことはカコさんしかしてくれないのに。
この人は僕を置いていってしまうのかもしれないと思うと悲しくて、寂しくて、悔しかった。
なんだか、遠いものを見る目で優しくカコさんは笑ってる。
魔法にかけられたみたいに、幸せそうに笑ってる。
なのに、僕が大人になるまで生きていてね。なんて簡単な約束をカコさんは頷いてくれない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0055風と木の名無しさん2020/06/16(火) 16:58:00.03ID:vDm+k3YH0
せつねえ!!
「少しずつほどけて」いて長生きする約束をしてくれない悲しみ
乙です!!
0056必殺☆収録人2020/06/19(金) 06:29:59.39ID:xNbXKBvN0
投下あったんですね。数日見ていなくて気がつかずすみませんでした。
今日中に保管庫への収録完了しておきます。

>>51
賛成です。時々保守して下さる方が見えるようですが、ageもした方がいいでしょうね。
0057必殺☆収録人2020/06/19(金) 08:24:27.78ID:9HF92Nbd0
作品ページの作成は完了したのですが、
(https://morara.kazeki.net/?71-52)
71巻の目次ページにリンクを貼ろうとすると、エラーになり更新ができません。
(https://morara.kazeki.net/?%E7%AC%AC71%E5%B7%BB)

何が原因かわかりませんが、有志の方、試しにやってみてもらえないでしょうか。
「編集」ボタンを押して編集ページを開いて、作品欄の最新の所に以下のテキスト↓↓を貼りつけて、
「更新」を押して下さい。

-[[オリジナル ショタ×お兄さん 「透明な子供たち」>71-52]]
0059風と木の名無しさん2020/06/19(金) 22:35:23.60ID:ZxczTqp/0
>>57
乙です!
こちらでも編集を押してみましたがエラー出ますね……
0060風と木の名無しさん2020/06/19(金) 22:43:29.95ID:xVX9214E0
>>57
更新ボタンを押すとエラーが出ました

fopen() failed: diff/E7ACAC3731E5B7BB.txt
Maybe permission is not writable or filename is too long

ググると(文字通り)パーミッション関連のエラーぽい
力になれずすまない
0061必殺☆収録人2020/06/20(土) 06:31:03.05ID:KafOY+P90
>>59-60
ありがとうございます。

そうですか、困りましたね・・・・。
私も全く事情が呑みこめないのですが、どこに問い合わせてどう対処したらいいのでしょうか。
0062風と木の名無しさん2020/06/20(土) 17:34:23.04ID:XLt6uKA60
>>61
収録人さんの出たエラーコードでググってPukiWikiのヘルプが出ないかな
0063偽兄弟 1/42020/09/16(水) 23:33:50.29ID:w8iUnoTQ0
とあるアーティストさんのPVを見て滾った勢いで書きました。元ネタあるっちゃあるけどもうオリジナルということで。
殺人・暴行・薬物描写ありでめちゃくちゃバッドエンド注意。兄弟のように生きてきた年上と年下の話。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

──そんなつもりじゃなかったんだ。
お前が傷付いていくのをこれ以上見たくなくて、止めたかったんだ。
助けたかった。
救いたかった。
だから俺は──…

家に帰って来るなり台所に駆け込んで行ったアイツに嫌な予感がした。
後を追うと案の定、シンクに向かって咳き込んでいる。震える手で蛇口を捻り、流れる水を掌で口へ運ぶ。俺は大きく溜息を吐いて彼に駆け寄った。
「おい、しっかりしろ」
「ぅう……うぇっ」
「またアレ飲んだな?水飲んで全部吐け」
「っ、ゲホッ!んぐっ、うぅ」
フラつく身体を支えつつ背中を擦る。何度か水を口に含んではいたが、飲み込めないのか全部吐き出してしまっていた。
「はぁ…はぁ……苦しぃ……っ、気持ち悪いよ…」
「そうなるのはわかってたことだろ!何度やれば気が済むんだ」
「……っ…!ぅ…っ」
「もう止めるって約束したのに……どうしてお前はっ…!」
苦しんでいる最中の弟をつい非難してしまう。弟といっても血の繋がりはない。境遇が似ていたからか出会った時から俺を兄のように慕ってくれ、俺も弟のように可愛がってきた間柄だ。
コイツはあまりにも酷い家庭環境で育ち、自分やお袋さんを虐待していた親父さんを手にかけてしまった過去がある。絶え間ない暴力への恐怖とお袋さんを救えない無力感から精神が歪み始め、ある時糸が切れてしまったらしい。
全身を真っ赤に汚して泣きながら俺のところに辿り着いたコイツを警察になんて突き出せなかった。多分お袋さんも無事ではないような気がして、余計に一人にはさせられないと思った。
でも自分とそんなに歳も変わらない人間の面倒を見きれるほどの力なんて俺にはなかった。彼を一生逃げ続けなければいけない立場に追い込んでおいて、ボロボロになった心に寄り添ったケアもろくにしてやれない。
そんな状況で、彼が一時の快楽に救いを見い出してしまうのを止められるはずがなかった。
0064偽兄弟 2/42020/09/16(水) 23:36:00.93ID:w8iUnoTQ0
昔は愛嬌たっぷりで目を奪われるほど華やかな笑顔をしてたアイツが、今はやつれて澱んだ瞳に絶望を浮かべて毎日泣いている。
俺にできるのは、時々ネジが外れたような笑い声を上げて自分ごと全てを壊そうと暴れ出す弟を必死に抑えることだけだった。
「…どのくらい飲んだ」
「……ぇへへ………兄ちゃんには…あげなーい……全部僕のだ」
「っ!?まさかお前っ……!」
咄嗟に彼の財布をひったくって中身を確認する。今朝生活費にと多少の金を渡していたからだ。そして最悪な予想ほど当たってしまう。
「……全部注ぎ込んだのか…!?」
「全部ちゃんと飲んだもん……怒らないでよ…」
「は!?お前死ぬぞ!早く吐き出せ!!」
「何言ってんの兄ちゃん……飲んだ水は吐き出せないんだよー…知らないの?」
「バカ!!何言ってんだよ!早く吐けって!!」
一気に血の気が引いた俺は無理やりにでも水を飲ませようとしたが、彼は邪魔だというように手でそれを払ってしまう。俺の手から滑り落ちたコップが床に当たって割れてしまい嫌な音を立てた。
「っっ!!」
その音がアイツのトラウマに突き刺さる。
──アル中だった親父さんに酒瓶で殴られる音。
定まっていなかった視線が俺で止まり、恐怖と混乱で見開かれた。
「うわぁああっ!!」
パニックに陥った彼が叫びながら腕を振るい、俺の頬を弾き飛ばした。想像以上の力にバランスを崩しかけたが、彼が死ぬかもしれないという恐ろしさの方が俺の足を踏ん張らせる。
どうにかして腹の中のものを出させたいと考えるあまり、俺は思いっきりみぞおちに拳を叩き込んだ。力加減なんて考えていられない。必死になって二度、三度と殴りつけた。
「うぐっ!っ、がはっ!!」
「っ…すまん、でもこうしないとっ…!!」
「っっ、ぐ、ぇ…っ、ゴホゴホッ!」
彼が俺から逃げるように腹を押さえながらシンクに寄りかかる。激しく咳き込んでいるものの吐き出す様子が見られなくて、焦った俺はもう一度拳を作ろうとした。
「はぁ…っ、許せ……お前のためなんだ…!」
「……ぅ……うぅ…っ、ううぅ…!!」
「…?」
「っうああぁぁああ!!!」
すると次の瞬間、弟が獣のような唸り声を上げながら俺に向かって突進してきた。体当たりをモロに喰らって尻もちをついた俺に彼が覆い被さる。
0065偽兄弟 3/42020/09/16(水) 23:37:46.04ID:w8iUnoTQ0
「うるさい…!消えろ!!」
「!?」
「消えろ消えろ消えろ消えろぉ!!消えろ!!消えろっ、消えろぉおっ!!」
そのまま彼は俺の腹に向かって何度も拳を振り下ろした。
親父さんの影を消そうとしてるように。自分に襲いかかる脅威から逃げるように。
半狂乱になって、悲鳴を上げながら、何度も何度も必死に。
俺は抵抗出来なかった。取り返しのつかないことになったと思った。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……はあ………っ…ぁ……?」
「……っぅ……」
「………あれ…?兄ちゃん……?」
しばらくして動かなくなった俺に気付いたのか、一瞬弟が冷静さを取り戻す。
そして自分の手を見て、自分の身体を見た。
「…ぁ……え?」
「……ごほっ…」
俺の口から咳と一緒に熱い何かが零れた。それは弟の手や身体を染めていたものと同じ。
彼の手にはシンクの横に置いたままだった包丁が握られていた。
「に、ぃ…ちゃん……?」
呆然と俺を見下ろす弟は、自分が何をしたかを悟った。
親父さんにそうしたように、俺をメッタ刺しにしてしまったのだ。
彼の震える手から包丁が床に落ちる。肩を大きく揺らして息をしながら、やがてボロボロと涙を溢れさせた。
──あぁ、泣かせてしまった。
「……ご…めん、な……」
「っ、ごめん……ごめんね、兄ちゃん……あぁ、なんで僕、こんなっ…」
弟は俺に開いた穴を両手で塞ごうとした。だけどズタズタになった身体はもうそれじゃ元には戻らない。
「……俺が、悪か……っ、お前、を……殴る、な……て」
「兄ちゃん……兄ちゃん……っ!!」
「ご……め…っ、ごふっ…」
ちゃんと謝りたかったのに上手く声が出ない。
苦しみ続けた弟に俺は何もしてやれなかった。
いや。しなかったどころか、追い詰めてトドメをさした。
0066偽兄弟 4/42020/09/16(水) 23:39:32.63ID:w8iUnoTQ0
見てみろ。涙で濡れる瞳から感情が消えていく。
後悔も絶望も怒りも全部なくなって、ただの真黒い穴みたいに虚ろな目。
弟は天を仰いで一言、溜息と一緒にか細い声を漏らした。
まるで何かが抜け出ていったように見えて、多分それが、彼が彼だった最期の瞬間だった。
「…………ごめんね兄ちゃん」
もう一度俺に目を向けた彼の口元は不自然に歪んでいた。
そういう風に見えただけかもしれない。だって俺の意識はもう薄れ始めている。
窓から射した月明かりに照らされた弟は、涙と血で彩られてこの世のものではない完璧さで輝いているように映る。
それが彼の本当の姿だったのかもしれないなんて思うのは、きっと俺のエゴだ。
傍観してただけで彼を救えなかった事実から目を背けようとしてる、都合のいい言い訳だ。
「──……っ」
力を振り絞って弟の名を呼んだ。返事はない。
その代わりに唇が降ってくる。
彼が飲んだあの毒々しい甘みと、俺が吐いた血の味。
混じり合わせるように何度も深く重なって、離れていく。
「僕はこれから地獄へ行くから、もう会えないね」
温もりを感じない声が耳元に届く。
「さよなら。兄ちゃん」
そしてのしかかっていた重みが消え、覚束無い足音が遠ざかって行った。
──何言ってるんだ。どこへ行く気だ。何するつもりだ。
バカな真似するんじゃないだろうな。戻ってこい。行っちゃダメだ。
「…………ぃ……く、な……」
──行くな。
行かないでくれ。
俺を独りにしないでくれ。
世界が恐ろしいほど静かになる。
全身を包む冷たさが俺の罪を突き付ける。
弟に家族を殺させ、俺を殺させ、自分を殺させた。
0067偽兄弟 5/42020/09/16(水) 23:42:05.81ID:w8iUnoTQ0
──こんなつもりじゃなかったんだ。
お前が傷付いていくのをこれ以上見たくなくて、止めたかったんだ。
助けたかった。
救いたかった。
だから俺はお前を抱き締めたはずだったのに──
あの時引き留めずに自首させてれば、それより早く手を差し伸べてたら、こんなことは起きなかったかもしれない。
でももう遅い。
俺は何も出来なかった。
悔しくて、情けなくて、哀れで堪らなくて、俺の目から涙が零れる。
自分の返り血が混じって赤く滲んだ涙が目尻を伝って床に落ちる頃には、俺はもう何も感じなくなっていた。
そしてずっと遠くで、何かが潰れる音がする。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

投稿してるうちにレス数が増えてしまいましたすみません
0068風と木の名無しさん2020/12/02(水) 23:59:29.33ID:invowWst0
>>61
保管庫wikiの中の人です
すみません!今気付いて修正しました!
0071風と木の名無しさん2021/11/19(金) 19:43:11.09ID:j2oIhoWe0
PC向けの改行をしているので、スマホからだと見辛いかも知れません。
スマホの方は保管庫に入ってからの閲覧をお勧めします。
過疎ってるのでageで行きますね。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0072 ◆Vo0G3jORO.ev 2021/11/19(金) 19:45:24.48ID:j2oIhoWe0
 「吉村さん、男はぼくが初めてじゃないですよね」
 歯切れのいい、魅力的な東国の言葉つきで男が言う。遥か昔には「東(あずま)言葉」と呼ば
れた。今は「標準語」などと言うが、元来関西人はそんなスカした言い方はしない。「関東弁」
と言うのである。なんで東言葉が「標準」やねん、である。
 やや廃れた用法だが、「東京弁」とも言う。話者の出身地が茨城でも神奈川でも埼玉でも群
馬栃木でも、ことによると静岡やら山梨でも、いやひどい場合は東北やら愛知、いいやもしか
したら関西以外の西日本でも、とにかくTVでアナウンサーが喋っているのに近い(と関西人が
思う)イントネーションや語法文法で喋ると「東京弁」なのである。
 話をややこしくしてしまったが、もちろん、この男の生まれ故郷であり、新しい芸名の由来
ともなっているあのミッキーマウスと落花生の県でも同様だ。彼は非常に美しい「東京弁」の
ネイティブスピーカー、飄々とした東男(アズマオトコ)である。
 長身の自分よりもまだ上背のある大柄な男の裸の肩に寄りかかりながら、絶大な支持率を誇
る大阪府の若き首長、今を時めく日本維新の会副代表はふと呟いた。
 「『そこら辺が関西人の大雑把な性格をよう表しとる』なんて言うたら他府県の人、特に『じ
ゃない』方の府、とか言うてるお高くとまった人らが怒るやろなあ。『一緒にせんといてー』
とか言うて」
 「え?何か言いました」
 「いやべつに、こっちの話。っていうか、なんでぼくと君がこうナチュラルに事後のピロー
トークする展開になってるん?ぼくら面識ありましたっけ」
 「そういうメタな発言はやめて下さい。ただでさえよくわからない作品の方向性がヤバイく
らいに定まらなくなります。面識があったかどうかは忘れました。ただ吉村さんが新喜劇に出
演したことは嘘みたいですが実際にあります。
 では、さっきの質問です。吉村さん、初めてじゃないですよね。あなたを美味しくいただい
ちゃった最初の男は誰ですか?やっぱり橋下さんですか」
 男はくるっと吉村に向き直り、両手首を掴んで仰向けに押し倒し、でかい図体を伸し掛から
せた。吉村もでかいので二人の絡みは結構な迫力である。
0073♯吉村俺と寝ろ 2/62021/11/19(金) 19:48:51.77ID:j2oIhoWe0
 「教えて下さいよ。橋下さんはあなたのドスケベな体にどんないやらしいことをしていじめ
たの。ここを、こうしたのかな」
 「いや、ちょっと、そんなんしたら・・・・やっ」
 「あなたは橋下さんにこんな所をこういじくられて、どんな声を出したんですか」
 「くっ、公平、あかんて!」
 「ハハハ、大丈夫です、濃厚接触してもイソジンでうがいをすればいいって大阪府で一番偉
い人が言ってましたから」
 「自分、ぼくのことバカにしてるやろ・・・・あーっそこなぶったら」
 「一言言っておきましょう。あなたの関西弁と一人称『ぼく』はあざとい」
 「そんなんゆーたかて、生まれた時からこの言葉喋っとるんやからしょうがないやん・・・・
やんっ。イケメンは関西弁喋らんと思っとるんか!?・・・・あんっ」
 「イケメンって自分で言わないで下さい。見た目を飾って人気を取るように思われては却っ
て逆効果ではないのですか?」
 「あっそこいいッ・・・・何を、票は顔で取るんや!」
 「ほうー、まだそういうこと言います?かわいくないですね、やめちゃおっかなー」
 「いやっ、やめんといてッ」
 「おお、吉村はんよう勃っとる!」
 「イントネーションが違うわ!」
 「じゃあ『吉村はんよう勃っとる』ってネイティブアクセントで言ってみて下さい。でない
としませんよ」
 「堪忍して、お願い」
 「それがあざとい、と言ってるんです。とにもう、うちの猫くらいかわいいんだから」

 「吉村さんの奥さん、元CAでえらく美人なんですって?顔も身長も、何もかも完璧な旦那
が、男に体を弄ばれてあられもない姿できゃんきゃん言ってるなんて知ったらどう思うんでし
ょうねえ。週刊誌やネットにはどんな風に書かれるでしょう」
 二戦目を終えて一息ついた千葉は、法律家の取り澄ました横顔を見やる。
 「顔と身長しか取り柄ないみたいな言い方せんでくれる?」
 「そんな風に聞こえました?」
0074♯吉村俺と寝ろ 3/62021/11/19(金) 19:50:36.93ID:j2oIhoWe0
 千葉は吉村の髪に軽く手を絡ませた。まだ三十代と言っても通るであろうこの男、きれいな
顔して腹の中は真っ黒だ。元は橋下の門下でサラ金の顧問弁護士を務め、法外な相談料を取っ
て立場の弱い相手にスラップ訴訟を仕掛けていた、いわばインテリヤクザだ。金にも汚いし人
も陥れる。極右思想の持ち主であり、計算高く権力志向であるのは言うまでもない。メディア
を駆使したイメージ戦略とは本当に恐ろしいものだ。水で洗えば娼婦も処女とばかりに、より
によってこんな薄汚れたチンピラ上がりを捕まえて、清廉潔白、正義の志士であるかのような
幻想を大衆に抱かせることに成功しているのだから。
 なんでこんな若くていい男が政治家なんだ――うだつの上がらぬ政敵らが臍を噛んで悔やむ
のは容易く想像がつくが、果たして大阪府市民はこのタチの悪い色男に何かいいことをしても
らったのだろうか。千葉は2020年に芸名まで改めて本拠地を東京から大阪に移した身であり、
関西の政情には疎い方だが、そんな彼の目にもあまりそうは見えなかった。
 日本第二の都市でありながら、大阪は貧しい。とても貧しい。千葉の住む西成は特にそうだ。
 それでも、「何か楽しげなこと」「華やかで勢いのありそうなこと」に心を寄せずにはいられ
ない、熱狂せずにはいられないのが大阪人の性なのか。その大らかさに救われる人も多いのか
も知れない。ひょっとしたら千葉自身も含めて。
 「何と書かれようと、ぼくは構へん。妻のことなんか言わんといて。白けるわ。公平、三回
目しよーな」
 西成の慎ましい住まいで一緒に暮らしている雌猫が甘えてじゃれついてくる時のように、同
い年の男が瞳をキラッと光らせて千葉に身をすり寄せてくる。やれやれタフだなと思いながら
も、千葉はその媚態に負け、男を抱き寄せ、賢しらな唇を存分に吸った。
 「君は、巧いで」
 千葉の腕の中でしどけなく、されるままになった後、吉村がふと言った。
 「何がですか。キスがですかフェラチオがですかおっぱい舐めがですか」
 「ちゃうわ。芝居の話。君は才能あるで。おもろいで。『お笑い芸人』なんて呼び方失礼や。
君らみんな、関西が誇る立派な舞台役者や」
0075♯吉村俺と寝ろ 4/62021/11/19(金) 19:52:17.03ID:j2oIhoWe0
 「ありがとうございます」
 「よう来た。ほんまによう来た。大阪に骨埋める気なんか?」
 「ええ、そのつもりです。でも、あなたはいずれ国政に戻るつもりなのでは?」
 吉村は笑み、答えない。今ではそんな機会も激減したが、曾ては千葉も何度も見たことのあ
る、あの繊細な洋菓子のように美しい国会議事堂。春は花、秋はもみじ葉萌え出ずる麗しの帝
都、永田町。千葉は再び、したたかな恋人の細身だが筋肉質な体を強く掻き抱き、その耳朶を
軽く噛み、舌先で嬲った。
 「吉村センセイ、教えて下さい。同性どうしでも法律上の不貞行為になるのですか」
 「だからそういう話やめてって言うてるやんか」
 「なるんですか、どうなんですか」
 「現行法では、厳密に言うとならないと思いますが、グレーですね。裁判官によって判断が
分かれるでしょう。・・・・くくっ」
 「そうなんですか!その規定はどこに書いてあるのですか」
 「民法第七百七十条です。あっ耳めっちゃいいッ」
 千葉はくすっと笑って、吉村の耳から首筋へと舌を這わせた。両手の指で双の乳首を転がし、
引き締まって張りのある胸筋を撫で回しながら何度も舌を行きつ戻りつさせ、たまに肩を甘噛
みすると、おもしろいように吉村が反応する。
 薔薇色に上気した端整な顔を至福の思いで見ながら、腰から下へと手を伸ばした。臍まで反
り返る情熱をそっと掌で包み、何度か上下させる。
 「まだイカせないよ、もうちょっと我慢してね」
 千葉が冷静に囁くと、彼は切なそうに眉根を寄せ、身を捩り、濡れた唇の間から深く、苦し
げな息をついた。その様を見て、千葉の下腹にもまた新たな血流が漲ってくる。
 指先に熱く滴る蜜を舐め、自分の唾液と混ぜ合わせて吉村の秘めやかな部分に塗りこめた。
 千葉は大きく腰を引き、吉村の開かせた足の間に荒ぶる雄を一息に叩きこんだ。吉村の体が
跳ね、二人の巨漢の体重と激しい律動にベッドのスプリングも悲鳴を上げる。
0076♯吉村俺と寝ろ 5/62021/11/19(金) 19:54:18.70ID:j2oIhoWe0
 「世の中が穏やかになるとろくでもない侍がのさばりやがる」
 なんかの時代劇で渡辺謙が言っていたが、本当にその通りだな。吉村の嬌声と肉茎への刺激
を心ゆくまで楽しみつつ、その体の上で腰を揺り動かしながら、千葉はそんなことを考えてい
る。維新だとか、新選組だとか。百五十年も前の無頼に憧れ、自らを準えるとは、何とも安っ
ぽいヒロイズムだ。抜刀して斬り結ぶでもなく、やることといえばツイッターで小競り合い。
いい年こいた男や女が恥ずかしくないんだろうか。
 「吉村さん、きれいだよ。最高。すごく・・・・締まるね」
 枕の脇で千葉が吉村の片手に片手を重ねると、吉村は焦点の定まらぬ目で快感に揺蕩いなが
ら、自分から五本の指を絡みつけ、ひしと握り返した。
 平成が令和と改まり、自分は金成公信(かねなりきみのぶ)という名前を捨ててこの異邦、西
国へとやって来た。穏やかなる世にのさばるのは、ろくでもない侍と、度々名前を変えること
を何とも思わぬ無節操な人々。どれだけ誤解されても決して名前を変えぬ不器用な人々。こん
な連中のために毎日、「彼ら」の神とやらに祝詞を奏上しつつ、ついに嫡嗣を得られぬまま老い
てゆく徳仁。
 そしてそれら全ての時代の情景をどこか他人事のように冷めた目で見ている自分。実際に他
人事だからだ。
 千葉がこの国で生まれた時から感じてきた、途方もない疎外。
 それを権力者、まして今自分に組み敷かれ犯され、えも言われぬ艶な姿で身悶えしよがり狂
っている冷淡で身持ちの悪い男にわかってもらおうなどとは、毛頭、思わない。ただ相手の肉
体を思うがままにあしらい、欲望を捌けさせ、ひと時の快楽を分かちあうだけだ。恋と言える
ほどのものでもない。
 「公平・・・・!」
 千葉が吉村の中で達する瞬間、吉村が目を見開き、千葉の腕に強くしがみついた。すぐ力が
抜けた。荒い息をつきながら千葉が見ると、年若く、勝ち気な政治家は、両者の体液に塗れ、
乱れた白いシーツの上で意識を失っていた。
0077♯吉村俺と寝ろ 6/62021/11/19(金) 19:56:08.59ID:j2oIhoWe0
 「公信」
 シャワーを浴び、身支度して先にホテルの部屋を出ようとした時、まだシャツに腕を通した
だけの姿でベッドにいた吉村から本名で呼ばれた。
 「はい」
 振り向くと、
 「また、NGK(※)行くわな。今度は観客で。もちろん一人で」
 「ありがとう、待ってます。他のお客さんに気づかれて取り囲まれないように気をつけて」
 「わかってる。ええ芝居見せてーな」
 吉村は目まですっかり和ませて笑顔になった。この男にはあまりないことに。

Fin.


 「大衆は女と同じだ」
 「大衆は理性で判断するよりも、感情や情緒で反応する」
 「大衆の多くは無知で愚かである」
 「政策実現の道具とするため、私は大衆を熱狂させるのだ」
(アドルフ・ヒトラー)


※なんばグランド花月。大阪市中央区難波千日前にある吉本興業直営の劇場。
0078風と木の名無しさん2021/11/19(金) 19:57:32.31ID:j2oIhoWe0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

吉村はん、心のチンコは挿れても票は入れしまへんで
0079風と木の名無しさん2021/11/19(金) 19:58:29.62ID:j2oIhoWe0
痛恨のミス。タイトルがトリップになっちゃった
0081風と木の名無しさん2021/12/10(金) 20:33:56.93ID:cxxyxces0
座員×府知事続編です。本番描写なしです。ageで行きますね。
このご時世ですが、マスクの存在は忘れて下さい。
ゲストのあの方は、関西弁喋る所見たことないですが、内輪では喋るという想定で。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0082俺は府知事の胸筋を揉みたい 1/62021/12/10(金) 20:37:00.42ID:cxxyxces0
 「堕ちてゆく憎しみに 息が絶えるまで俺を抱け」
(長渕剛「激愛」)

 「俺、あんたを抱きたいねん。昔みたいに。素っ裸にして、体中なぶり回してねぶり回して、
あんたのケツオメコにチンポぶちこんでよがり泣きさして、汗だくになって、死ぬくらい犯し
たい」
 この男は何という目をしているのだろう。野放図に語る九歳年下の若造のふてぶてしい顔を
冷ややかに見返して、吉村は思う。蛇のような、爬虫類のような目というのだろうか。或いは、
光を照り返す鉱物質の目というのか。己の欲望のありかと狂った信念以外、どこも、何も見て
いない。誰も愛していないし信じていない。そんな禍々しささえ感じさせる魔性の目だ。
 確かに男前とも言えるが、どことなくアンバランスな造りの顔に向かって、吉村は素っ気な
く答えた。
 「相変わらず言うことが下劣やな。酔うとるんか。まだ酒乱は治らんのやな」
 「いいや、素面やで」
 主客の儀礼やらパーソナルスペースやらを大胆に無視して応接用のソファに座った若造は、
更にじりっと吉村との距離を縮めてくる。体格は吉村とほぼ変わらない。
 「やめろ。ぼくはもう君とそういうことをする気はない。そういう用事やったら帰ってくれ。
警備員呼ぶで」
 吉村の明確な拒絶を若造はフンッと鼻で笑い飛ばし、甲高い声で捲し立てた。
 「府知事殿ともなれば偉そうに言えるもんやな、公衆便所のくせに。あんた、その口で維新
や自民や保守論壇のえげつない爺いやおっさんのきったないチンポを一体何本ねぶったんや?
何遍、女に飽きた好きモンの親父のオモチャになって、大股開いて情けないアへ顔であんあん
言うて腰振ったん?何遍そのきれいな顔にくっさいザーメンぶっかけられた?あんたすごいな。
俺でも、あの業突く張りで鉄面皮の橋下でも、そこまでようせんで。ほら、橋下に松井に百田
に、あと誰や?何十人もおるやろ。一人一人名前挙げて、誰とどんな変態プレイしたか、最高
何人にマワされたか言うてみ」
 「なんぼほど抜かしよるんじゃ、ワレ・・・・」
 つい故郷の言葉が口をついて出たものの、その語勢は弱かった。東大出の元経産官僚の猛然
たる悪意の発露に気を殺がれた隙に、若造の左手にネクタイをくいっと掴まれ、唇を吸われた。
0083俺は府知事の胸筋を揉みたい 2/62021/12/10(金) 20:39:03.02ID:cxxyxces0
 「・・・・やるやんか」
 舌を嚙まれそうな気配を察して、若造はいち早く顔を離した。
 ネクタイを直し、手巾で口元を拭いながら、吉村は若造と目を合わせずに答えた。
 「便所で悪かったな。昔の話や。今はしてへん。君とも遊ばへん。帰ってくれ」
 「いつの間にそんなお堅うなったん?誰に操立てとるん?知っとるよ。新喜劇出とる、背の
高い、関東弁のやつやろ?あの算盤ずくでしかものを見いひん、人ともつきあわへん氷の吉村
はんが芸人に惚けるとはな。あ〜貧乏くさ!」
 吉村は驚いて相手の顔を見た。相手は吉村の反応を見てニヤニヤ笑っていた。
 「あんたはあいつに――恐らく生まれて初めて――マジ惚れしかかっとるけど、あいつはあ
んたのこと、時々お小遣いもくれるセフレくらいにしか思てへん、いうのが俺の見立てやけど」
 「ああ。ばり惚れとんで。帰ってくれ」
 若造は悪魔的な笑みを浮かべたまま、片方の眉を上げ、形も色も良い唇の間から腐肉のよう
な言葉を滑り出させた。
 「あいつチョンコ丸出しやん。チョンのくせして生意気に日本人みたいな洒落た芸名名乗り
よって」
 「知らん。興味ないわ。やきもち妬くんやったらもうちょっとかわいげのあること言うたら
どや。あんたの評判落とすだけやで」
 「クソチョンコ野郎のデカマラはそんなにええですか副代表殿」
 「アル中で党を除名になるどうしようもないドアホのお粗末なモノよりかはな」
 「そうか、わかった。ほんならもう今日は帰るわ」
 自称国粋主義者のネトウヨ青年は意外とあっさり引き下がり、立ち上がってちょっと衣服の
乱れを直したが、まだドアに向かって歩き出そうとはしなかった。
 「丸山、ぼくが憎いんか」
 吉村が声をかけると、彼は向き直って、
 「そら、あんたは本来ぼくがおったはずのポジションやからね。ぼくの方が頭もええし弁も
立つし、ルックスかてあんたには負けへん」
 「それはない。君はまだ若いし、君が地位を失うたんは君自身の問題で、ぼくのせいやない。
北方四島返還まであと一歩の所で全部台なしにしたんも、饗宴の儀で小室眞子さんや佳子内親
王殿下に狼藉を働いたんも君やぞ、忘れんとき。とにかく酒の問題は解決することや。自助グ
ループ紹介しよか?」
0084俺は府知事の胸筋を揉みたい 3/62021/12/10(金) 20:41:20.51ID:cxxyxces0
 「そんなもん行ってもしゃない。あんたがオメコさしてくれたら治るわ」
 若造は言い置いて、すたすたとドアに歩み寄り、挨拶もせずに、豪華絢爛たる知事室を退去
した。
 あんなにさせたったけど治らんかったやろ、と吉村は若造に言いたかった一言を呑みこんだ。

 時計の針が午後九時を回った頃、玄関で来客の気配があった。
 膝に抱いた猫を撫でながら、公演の録画を見直して反省点を熟考していた千葉は、やや不審
に思いながら、猫を置いて立ち上がった。
 「はい。吉村さん!?」
 千葉は驚いて吉村を中に招き入れた。
 「どうしたんですか一体。ああ、こんなに冷えて・・・・。上がって下さい。猫が沢山いる
ので汚いですけれど。来るなら前以て知らせて下さいね、この時間なら帰ってないこともある
ので」
 吉村がこの西成の侘しい住まいを訪ねてくるなど、初めてのことだった。所在地は一応伝え
てあるのでその気になれば来ることはできるが、来るにしても事前に連絡を入れるだろうし、
恐らく永遠に来ることはないだろうと思ったのだ。
 やや酒気を帯びた吉村は一言も発せずに、矢庭に千葉の腰を両腕で抱き、粗末な壁に背中を
押し付けて乱暴に口づけを貪った。火のような息をつきながら、吉村は千葉の顎に、首筋にも
噛みつくように唇を這わせた。片手の指先は千葉の着衣の釦を求めてもどかしく彷徨い、唇は
今一度強く唇に押し当てられた。吉村より六センチ背の高い千葉は、戸惑いながらも従順に誠
実に、その求めに応えた後、吉村の頭を片手で抱えて、囁いた。天使の溜め息のように。
 「ベッド行きます?」

 「なあ、公平、こいつ一匹くれへん?」
 事後、二人で寝ているベッドの側にもの珍しげに寄ってきた猫を手を伸ばして撫でながら、
吉村が言う。
 「何言ってるんですか、だめに決まってるでしょ」
 「冗談や」
 吉村は両腕を千葉の首に回し、胸に頭を押し付けて心臓の鼓動に耳を澄ませた。
 「一体どうしたんですか、急に来るなんて。なんか傷つくことがありましたか」
 「べつに。いちいち傷ついとったらこんな商売やっとれへん。君ら芸能人と一緒や」
 千葉が黙っていると、吉村は思い直して話し始めた。
0085俺は府知事の胸筋を揉みたい 4/62021/12/10(金) 20:43:29.82ID:cxxyxces0
 「傷つくとかいうほどのことやないけど、昼間ちょっとアクシデントがあってな。誰のこと
かだいたいわかると思うけど、だいぶ前、調子乗ってあんまり常識のないことばっかり言うた
りしたりするから、党追い出された若手のやつがおって、そいつが今日いきなり府庁に来て、
その・・・・関係を強要されたっていうの?」
 「吉村さん、ヤられちゃったんですか」
 「なんでそう嬉しそうなんや。そんなわけないやろ。断って追い返したわ」
 「だと思いました。今頃振られた心の痛手を酒でも呷って癒してるでしょうね、丸山さん」
 べつに吉村の過去のことなど根掘り葉掘り聞きたいとは思わないが、そういう時、一番先に
顔が見たい、慰めてほしいと思うのは他の誰でもなくて俺なのね、と千葉は内心で悦に入って
いる。
 「『俺は女のおっぱいを揉みたい』ってのはなかなか名言だ」
 何喰わぬ口調で言いながら、千葉は吉村を仰向けにさせ、乳首を吸った。忽ち固くそそり立
つそれを舌先で淫らに舐め回しながら、下半身に手を伸ばして男根を握りしめる。さっきあん
なに出したばかりなのにもう早むくむく大きくなるそれを扱くのに右手を忙しくしながら、次
はもう片方の乳首にしゃぶりつく。
 「揉めるおっぱいのない体にもおじさんこんなに欲情しちゃうのはどうしてなんでしょう。
かわいいですねぇ〜。おっぱい、右と左どっちが感じます?」
 「んっ・・・・その、自分のこと『おじさん』言うのやめてくれる?同い年なんやし、じゃ
あぼくもおじさんってことになるやんか・・・・はぁん、いいッ」
 「おじさんじゃないですか」
 千葉は吉村の濡れた乳首を指先でピンッと弾き、彼の過敏な反応を楽しんだ。
 「あいつはよくも悪くも純粋なんかも知れんな。もしかしたら左転しおるかも知れん。あー
でも、『WiLL』に連載しとるくらいやからそれはないかな」
 「何一人でブツブツ言ってるんですか。ベッドで乳繰りあいながらする話ですか」
 「そうそう、こないだたまたま読んでんけどな、『乳繰りあう』ちゅう言葉は、『男女が戯
れる』ちゅう意味の『茶々くる』から来てるんやて。『茶々を入れる』とかの茶々」
0086俺は府知事の胸筋を揉みたい 5/62021/12/10(金) 20:45:23.19ID:cxxyxces0
 「そうなんだ。おっぱいとは関係ないんですね。ぼく、なんかこうやって乳首を捏ねくり回
すようなニュアンスかと思って、いやらしい言葉だなあと思ってたんだけど」
 「せやて」
 昔「チチクリマンボ」ってあったなあ、と吉村はぼんやり考えている。今は見る影もないが、
90年代当時はチャーミングな若手芸人として人気絶頂だった千葉の大先輩が一世を風靡した
ギャグである。あれも確か両手で自分の乳首を摘まむ仕草だった。子供も観るものとしてはち
ょっときわどい、エロティック&ナンセンスの真骨頂である。今思えば大らかな時代であった。
 「吉村さん、ぼく、感覚がないのか、右か左かってあんまりよくわからないんですけど」
 「え、何?おっぱいが?」
 「違いますよ。何その間を外したボケ。あのね、あの人が左転とかいうやつをしたら、あな
たにとって最大の敵になるでしょうね、って話ですよ」
 「あ、政治思想傾向の右左ね。せやったら、わからん方が幸せかも知れんわ」
 ボケたつもりはなかったが、吉村は千葉の髪に手を絡ませて撫でた。
 「何がええとか悪いとか、誰が好きやとか嫌いやとか、あの金や土地は誰のもんやとか言う
て、とんでもない大騒ぎして、時にはドンパチまでやらかして、それだけで一生終わっていく。
それが政治家いう悲しい生きもんや。日本は今は戦争できへんけどな」
 「誰の人生もパッとしないと思いますよ。だからたまには笑えるお芝居でも観たり、猫でも
飼ったり、ネットで日々のことや思ったこと、想像したことを発信したり、好きな人にやさし
く抱かれたりして、楽しんだらいいんじゃないかな。ぼくはみんなのそういう当たり前の暮ら
しが守られたらいいと思うだけですよ」
 吉村はしばらく黙った後、再び強く千葉の胸にしがみついた。
 「公平は、間寛平さんに芸名付けてもろたんやな。自分の名前から一文字取って」
 「そうです」
 「公平はみんなに愛されとるんやな。そのはずや。ぼくも公平と一緒に仕事ができる人ら、
公平と一緒に楽しい舞台が作れる人らが羨ましい」
 こうして共寝して情を交わす時すら、滅多にここまで本音をさらけ出して甘えてはこない。
今日この時に限って珍しく軟らかい所を見せた吉村の髪や肩や背中を撫でながら、千葉はそっ
と囁いた。
0087俺は府知事の胸筋を揉みたい 6/62021/12/10(金) 20:47:07.99ID:cxxyxces0
 「吉村さん、飲んで来たから電車でしょ。終電行っちゃいますよ。タクシーで帰る?」
 吉村は千葉の胸の中で子供のようにかぶりを振った。
 「吉村さん泊まれるの!?やった!それならお風呂沸かしますから一緒に入りましょう。朝ま
でヤりまくりだー」
 「寝かしてーな。また目にクマつけてTVに映ったらみんなに騒がれる。ハッシュタグ吉村
寝ろ、いうて」
 吉村は顔を上げ、言葉とは裏腹に満更でもなさそうな表情を見せた。
 かくして、我が国第二の「都」になり損ねた、当分なれそうもない街の一夜は更けていく。
善良な府民の皆さんが心配しなくても、彼らが稀代のスーパーヒーローは日本のどん底西成で、
異邦人の舞台俳優に抱かれて安らかに寝ているのであった。しきしまの大和の国は言霊の幸(さ
き)わう国ぞま幸 (さき)くありこそ。「ナントカなやつほどよく眠る」という言業(ことわざ)の
通りである。かしこみかしこみ申す。

Fin.
0088風と木の名無しさん2021/12/10(金) 20:48:08.99ID:cxxyxces0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

腐女子も貴腐人に経年進化すると行為より寝物語(ピロートーク)を書きたくなります。
0089風と木の名無しさん2022/01/10(月) 07:59:17.16ID:Q3SOO8UN0
女体化ってアリなのか?スレあるからOKと判断しましたが、ダメな人はNGかけて下さい。
他板の方が相応しいかとも思ったのですが、他板だと存命の実在人物に取材した創作(つまり生)が禁止だったりするので、ここに置かせて下さいね。

あの人、YouTube観たら普通に関西弁でしたね。思想は好かんがメチャクチャかわいい人です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0090私は副党首のおっぱいを揉みたい 1/62022/01/10(月) 08:02:20.45ID:Q3SOO8UN0
 「日の丸キャットファイト!!美しき日本男児、じゃない、大和撫子が意地とプライドを懸
け、髪の毛もおっぱいも振り乱して激突する熱い戦いの火蓋が今、切って落とされようとして
います!実況及び審判を務めますのはわたくし、吉本新喜劇・千葉公平です。よろしく!!」
 満場の拍手と歓声の中、リングに一人の美少女が進み出た。肩の上で切り揃えたストレート
の黒髪に白いワンピース型の水着という姿で、後方にはパンツ一枚の男を従えている。
 「九百万府民のハートを鷲掴み!すめらぎの令和の御世のザ・クールビューティ!T168・
B78・W59・H85・Acupのスレンダーバディ!ご存じ大阪府知事、こう見えて元極悪サラ金ス
ラッパー!吉村洋美、アーンド、橋下徹!!」
 千葉から紹介を受けた洋美と橋下は、リングの中央に出てきてポーズを取り、観客にアピー
ルした。
 「対するのは、過激な発言とスキャンダル続発で日本列島を震撼させたT166・B92・W60・
H86・Hcup、天照大神も天岩戸から飛び出す爆乳悩殺バディ!前衆議院議員、実は東大卒、元
経産官僚!丸山穂高、アーンド、立花孝志!!」
 挑発的な蛍光色の黄緑のビキニに身を包んだもう一人の美少女は、同じ色のリボンで束ねた
ポニーテールを揺らして、パンツ姿の男と共に中央に進み出た。先程の二人と同じように、し
かしまた違った独自のスタイルでポーズを取ってみせる。
 「えー、では、千葉からルールの説明を致します――勝負は男女一組のタッグマッチ、本番
SEXありとしますが、飽くまで『キャットファイト』、つまり女どうしのエッチでえげつない
取っ組みあいを主に男が観て楽しむものです。男どうしは誰も見たくないので戦わないで下さ
い。『おい待て、801板の前提覆す気か』『それ、ファッキンな、もとい、ステキな極右論客の
皆さんが愛子天皇陛下バンザーイとか言い出すのと同じくらいあり得ないだろ』等の反論が予
想されますが、この私と専ブラNG機能に免じてご容赦下さい」
0091私は副党首のおっぱいを揉みたい 2/62022/01/10(月) 08:04:25.07ID:Q3SOO8UN0
 ゴングが鳴るとまず、洋美と穂高との間でメンチの切りあい、つまり標準語でいう所のガン
の飛ばしあい、睨みあいが始まった。男二人はまだリング外で見ているだけである。
 穂高はしげしげと洋美の顔を見て、フンッと鼻を鳴らし、鈴を振るような声で言った。
 「変な顔!」
 「何やさ・・・・」
 洋美が言い返す隙を与えず、穂高は言い募った。
 「こんな変な顔のやつをカッコイイとか、大阪府民は目ェおかしいわ」
 千葉が近づいて来てこそっと二人に言った。
 「あの、もっとアグレッシブに」
 「は?おまえの方が変な顔やろが。何やこのでかい乳は」
 洋美は穂高のビキニに包まれた大きな乳房を片手で突いた。
 「何すんねんおまえ。自分が乳ないからって僻むなや」
 穂高は巨乳を揺らして洋美に飛びかかると、難なく洋美を突き倒して床に組み敷いた。
 「ほらほら、おまえのおっぱい見せてみって」
 「くっそぉ・・・・おまえなんかに脱がされるか」
 抵抗虚しく、穂高の手によって肩紐を外され、水着をずり降ろされて洋美の胸が露出する。
 「ぷっ。何やこれ。ちっさ!小学生か。ほら、みんな見たって!まな板に干し葡萄付いとる
だけやん」
 穂高は嘲笑しながら、情け容赦なく、胸を露にした洋美を起き上がらせ、後ろから上体を抱
えこんで締め技をかけた。
 「おおっ、洋美ちゃん、のっけから貧乳丸出しで穂高ちゃんにボコられております!穂高ち
ゃん、徐ろに洋美ちゃんの小さなおっぱいを両手で掴んで・・・・揉んだー!揉みました、激
しくもみもみしております!洋美ちゃん、穂高ちゃんに思いっきりおっぱいを揉まれて小鳥の
ような声で喘ぎ、悶えております!ああ、乳揉まれてる時の洋美の顔がいいですね!おっ、か
わいい!おい、一カメ、アップで撮れ、アップ、もっと!」
 千葉が興奮気味にがなり立てる。男性陣は二人ともニヤつきながら見ているだけである。
 「ほら、まだこんなもんじゃ済まへんで」
 穂高は再び、仰向けにした洋美の上に伸し掛かると、体重をかけながら、両手を使って片方
の腕を捩り上げた。
0092私は副党首のおっぱいを揉みたい 3/62022/01/10(月) 08:07:53.16ID:Q3SOO8UN0
 痛みのために悲鳴を上げながらも、洋美は自由な方の手を素早く穂高の背中に回し、ビキニ
の結び目をほどいた。
 「えっ・・・・」
 穂高が一瞬気を取られた隙に、洋美はビキニをずらしてぷりりんっとこぼれ出た巨乳に吸い
ついた。
 「あっ!いやんっ!」
 「おっと、穂高ちゃんもポロリだ!さあさあ、『日本維新の会』副党首(※)、金にがめつい悪
徳弁護士、浪花の黒い天使・吉村洋美、片腕をキメられたまま穂高ちゃんのHカップボインに
しゃぶりついてちゅうちゅう吸っております!どうする!?『NHKと裁判してる党 弁護士法七
十二条違反で』副党首・丸山穂高!」
 「やめろ!」
 穂高は洋美の腕を解放し、髪の毛を引っ掴んで自分の胸から引き離した。そのまま立ち上が
ってリングを引きずり回したかったが、体勢を立て直した洋美に逆転されて組み敷かれた。
 「よくもやってくれたやんか」
 洋美は穂高の上半身に引っ掛かっていたビキニを引き剥がして投げ捨てた。
 「きゃあ!」
 「ほら、おまえも二つとも丸出しや。そのドでかいおっぱい、こんな仰山の男に見られて恥
ずかしいやろ?ほれほれ、お乳揺らしたるからみんなによう見てもろてズリネタにしてもらえ」
 洋美は美しく化粧した顔に凄艶な嗜虐の笑みを浮かべながら、自分の唾液に濡れた穂高の豊
かな乳房を両手で挟み、たゆんたゆん弄んだ。
 「すいませーん、アップで撮ったって下さーい」
 撮影スタッフへの洋美の要望に従って、たわわに実ったぷるんぷるんの巨乳が会場の巨大ス
クリーンいっぱいに映し出されるのだからたまったものではない。花も恥じらう大和撫子がパ
ンツ一枚の裸で、同じく半裸の美少女の小さな手にむちむちの白いおっぱいを揉みしだかれ、
捏ね回され、顔を赤らめて涙ぐむ様に会場総勃ち。千葉も実況を忘れて生唾を呑んで見入って
いる。ヘテロ女性どうしの性的リンチというのは、動機に性欲、つまり愛着がなく、ただ相手
を辱めることだけが目的なので却って残虐であり、そこがまた男からしたらたまらないのであ
る。


【※作中便宜上「副党首」としているが、正確には日本維新の会におけるNo.2の役職の名称は「副代表」である。】
0093私は副党首のおっぱいを揉みたい 4/62022/01/10(月) 08:10:56.16ID:Q3SOO8UN0
 「ここがええん?維新追い出されて悲しかったな、おまえよりずっと人気あって権力もある
お姉ちゃんが慰めたるよ。ちょっとねぶったろか。丸山の好きなおっぱいぺろぺろしたるわ」
 洋美は爪を鮮やかに彩った細い指先で穂高の尖った乳首を摘まんだりつついたりしながら、
もう一方の乳房に顔を寄せて、淫靡な淡いピンク色をした大きめの乳輪に舌を這わせ、紅を差
した唇で歯を立てずにはむっと食んだ。
 「ああんっ!吉村さんやめて・・・・」
 洋美は構わず、穂高の下半身に手を伸ばし、ビキニの端から指を入れて直に触れた。
 「はん・・・・何やおまえ、おっぱいいらわれてオメコぐちょぐちょ、クリびんびんやん」
 洋美は振り返り、相方に呼びかけた。
 「橋下さーん、このドスケベ女があんたのチンポ欲しいって」
 橋下が拍手でリングに迎えられると、穂高は洋美の体の下で猛然と暴れた。
 「ちょっと!嫌やって!やめろ!八人目の子供孕まされたらどうしてくれんねん!」
 「橋下さん、一つよろしゅう頼んますわぁ」
 洋美は穂高の頭側に回って両腕をがっちり押さえつけた。橋下は余裕の笑顔で、抵抗も、娘
盛りの豊満な裸身を隠すこともできない穂高の上に覆い被さり、はちきれそうなボインを遠慮
会釈なく揉みまくり、代わる代わるしゃぶりまくり、双の乳房を中央に寄せて二つの乳首を同
時に舐めたり吸ったりした。
 「ああっ!あんあんああンッ!ちょっと立花さん!何見てるん!?はよ加勢して!もう、役に
立たへんオッサンやな!」
 涎を垂らした下衆な橋下にバター犬の如く乳房や乳首をベロンベロン舐め回されてよがりま
くりながら、穂高が見返って叫んだ。
 「NHKと裁判してる党 弁護士法七十二条違反で」というアナウンサー泣かせの変な名前
の政党の党首・立花は、穂高の両腕を封じていた洋美に襲いかかり、細い首に腕を巻きつけて
二人から引き離した。そのまま、洋美の小ぶりの乳房を両手で鷲掴みにする。
 「くっそ・・・・やめろ、気色悪い触り方すんな!」
0094私は副党首のおっぱいを揉みたい 5/62022/01/10(月) 08:13:28.39ID:Q3SOO8UN0
 「穂高VS橋下、洋美VS立花の組み打ちとなりました!凄絶な内ゲバ、いやこの場合はウヨ
ゲバです!穂高ちゃん、中年のギラギラしたイヤらしさ全開の橋下にビキニの下の方も脱がさ
れかかって、ワンワン泣き喚いております!あ〜脱がされました。まるやまほだかまるはだか、
なんちて。穂高はこのまま女の操を野獣・橋下に奪われてしまうのか!?
 一方の洋美ちゃんは、全身をまさぐり、舐め回しながら水着を全部脱がせようとする変態キ
モ親父・立花に頑強に抵抗しております!出ました!吉村洋美必殺・イソジンエルボー!!し
かし、さすが候補者全員落選、供託金没収の最弱泡沫政党N裁党首・立花孝志!顔面に肘鉄を
喰らわされても挫けません!」
 いまいち存在を忘れられがちな千葉がきれいな標準語でアナウンスを入れる。
 「メチャクチャ濡れてるぞ丸山。おまえ意外とMだろ?やらかさなければおまえも今頃そこ
そこの地位にいられただろうに、勿体ないことしたな。あんな形で維新から切り捨てられて、
今更俺と吉村にレイプまでされる気持ちはどやねん」
 橋下は全裸にした穂高の足を開かせ、書き手泣かせの中途半端な標準語で言葉責めに出る。
 言い返す言葉もない穂高は男の指にクリトリスを摘ままれ、捏ね回される快感に足の指まで
引き攣らせながら、既に化粧も剥げかけた泣きじゃくり顔で、幾筋も目尻を伝う悔し涙を橋下
が素早く吸い取った。唇や左右の乳輪にも口づけながら、溢れるほどに潤った部分に少し指を
入れ、刺激して押し広げる。哀れ穂高、剣道二段の腕前も、高貴な生まれ育ちも、東大卒の頭
脳も雄弁も、こうなっては何の役にも立たない。
 「泣いたら美人が台なしやで、お姫さん」
 橋下は赤銅(あかがね)色に怒張した成り余れる処を穂高の成り合わざる処に押し当て、衆人
環視の中で、灼熱の槍のようにその柔らかな桜色の女陰(ほと)を刺し蓋いだ。ったく、たまに
出てきて美味しい所だけ持っていきやがる男である。
0095私は副党首のおっぱいを揉みたい 6/62022/01/10(月) 08:15:05.22ID:Q3SOO8UN0
 「くくく、国後択捉、歯舞色丹!しこたま突かれて、突かれる度に穂高ちゃんのHカップ爆
乳おっぱいがぶるんぶるん震えとろふ!すみません、わたくしこと千葉、興奮のあまりわけの
わからないことを口走ってしまいました。何ということでしょうか、穂高ちゃんがおマンコに
橋下のチンポをINされてしまいました!子宮まで突かれて感じてるんでしょうか、腰振って
ます、泣きながら橋下の首にしがみついて、両足も橋下の体に絡みつけて腰振ってます!うわ
すげーエロ!二人の結合部分が立てる卑猥な水音がリングにいるわたくしの耳にははっきりと、
どうですか、今マイクを向けてみましたが、皆さんの所にまで聞こえたでしょうか!?両者もう
イキそうでしょうか!?まだまだイカないでしょうか!?
 一方の洋美VS立花、まだ決着がつかないようです!立花のねちっこい攻勢に洋美ちゃん悪
戦苦闘の模様です!」
 膣内を人さし指と中指で掻き回し、親指でクリトリスを刺激しながら、もう一方の手で頭を
抱えこんで顔面を舐め回してくる立花に洋美は辟易している。
 あ〜あかん。このままやとあたしも丸山みたくこのきっしょいオッサンにヤられてまう。て
ゆっか、それより前にクリイキして盛大に潮噴いてまいそう・・・・。せやけど、こいつの舌、
なんかやたらにザラザラしとるなあ・・・・。

 吉村が目を開けると、猫が自分の顔を舐め回していた。
 「吉村さん、起きた?もういい時間ですよ。登庁しなくていいんですか」
 朝の光の中、既に服を着ていた千葉が隣の部屋から顔を覗かせる。思い出した。昨日の昼間、
突然来庁した丸山に襲われかけて、仕事が終わると急に矢も楯もたまらず、この恋人に会いた
くなった。一杯ひっかけてから、予告すらせずこの西成の家に来て、ここに泊まり、一晩中千
葉とベッドで、風呂で、互いの体を貪りあい、しっぽりと睦みあったのだった。
 「朝ご飯できてますよ、あなた」
 千葉が色っぽく微笑む。食欲をそそるいい香りがする。
 「誰が『あなた』や」
 いつも通りクールに呟いて、吉村は千葉の飼い猫をちょっと撫でてから、丁重に脇へ退いて
いただいた。一応、臍下に手をやって、ちゃんと「ついてる」ことを確認してから、ベッドの
上に身を起こした。

おしまい。
0096風と木の名無しさん2022/01/10(月) 08:16:25.18ID:Q3SOO8UN0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

夢オチしか思いつかなかった

ハッピーバースデイ.穂高
0097風と木の名無しさん2022/01/15(土) 07:46:20.61ID:8w4Gz0Ts0
あの人、すっかりレギュラーになってしまいました。
府知事攻に転じますので、リバ苦手な人、注意して下さい。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0098ハローバイバイ 1/82022/01/15(土) 07:48:32.63ID:8w4Gz0Ts0
 スーツジャケットとシャツの釦を全て外し、胸と腹を露にベッドに仰臥する吉村の素肌に、
ジョニーウォーカー黒ラベルが滴り落ちる。
 吉村と同じく、シャツに腕を通しただけの上半身半裸の男は、左手に酒瓶を持ったまま、鉱
物質の目を悪戯っぽくきらめかせて、吉村の肩に顔を寄せ、芳醇な液体を旨そうに啜った。ま
た酒瓶を傾け、今度は鍛えられた胸筋や腹筋にウィスキーを少しずつ垂らしては唇を這わせる。
男の舌がねっとりと乳輪を舐り、そこに付着した酒精を丹念に絡め取る。ツンと立った乳首を
唇がチュッと吸い、ジョニ黒を味わう。
 「酒は控えろ、言うたはずや」
 男の唇と舌に嬲られる快感に少し息を乱しながらも、吉村は言った。
 丸山は琥珀色の雫を残らず舐め取ると、起き上がり、何がおかしいのか黙ってにやっと笑っ
てみせた。喇叭飲みでもう一口呷ると、酒瓶をサイドテーブルに置いた。
 「ぼくの体はグラスやないんやで」
 「へえ?俺にねぶらしてくれるために鍛えとるんか思たわ、そのおっぱい」
 丸山はわきわきと不思議なやらしい手つきで、吉村の胸筋を揉む真似だけしてみせる。
 「アホ」
 「どっかの府知事のインスタ筋トレ写真まで読売の記事になるとか、なんかおもろい国にな
ってきたな。左翼の連中発狂してて笑けるわ。ほらあの、レイシストしばき隊の弁護士、何て
いうたっけ、そうそう、神原なんかもさ。『端的に言ってファシズム』『真剣に批判しないとと
んでもないことになる』やて!ギャハハ」
 丸山は上機嫌で、今度は子供じみた小さな身振りをしてみせた。謎の仕草が多い男である。
 吉村はふと、この男をグレーの猫にして赤いリボンを結んでみたいと思った。そして、そん
な突飛な思いつきをするようになった自分を些か不可解に思った。自他共に認める所だが、あ
まり詩的であったり空想的であったりする質ではないのだ。そもそも彼の属する日本維新の会
や、彼が一緒に仕事をしてきた法律家仲間の中にそんなタイプの男はいない。誰もが金とシス
テムとパワーゲーム、つまり打算的な人間関係のことしか頭にない。薔薇の花束や、泡風呂や、
ミルフィーユや、文学や映画や演劇なんかとは縁のない世界だ。
0099ハローバイバイ 2/82022/01/15(土) 07:50:12.69ID:8w4Gz0Ts0
 自分が変わったのはやはり、あの男に抱かれる譬えようもない歓びを知ったせいなのだろう
か。異邦の地にルーツを持ち、今日もなんばグランド花月で笑いと人情の舞台に立っている、
愛しい恋しいあの男に。
 「あいつのこと考えてるんやろ?」
 丸山が一転、燃えるような目で問うた。
 あいつって誰や、と問い返そうとした吉村の唇は丸山の打突のような口づけによって塞がれ
た。彼は一旦身を起こしてまた酒を口に含むと、自分の唇を杯に今度は吉村にも飲ませた。
 丸山は吉村の伸ばした左腕を枕に、吉村の腰から下に手をやり、スラックスから一物を引っ
張り出して扱き上げた。
 「これ、あいつにもいらわしてるんやろ。あんたのこのいい体があいつの腕の中で、裸で身
悶えするんやろ。むかつくわ〜。今度、俺と乳繰りあってる時にあいつのこと考えたらひどい
からな」
 ぎゅっと握りしめる丸山の手つきに若干阿部定チックなものを感じつつ、できるだけ平静な
口調で、吉村は問う。
 「どうするんや」
 「嫁はんに何もかもチクったるわ。週刊誌にもネットにもあることないことみんな言い広め
たる。デマやゴシップがどんだけ怖いか、あんたにも身を以て知ってもらうわ」
 吉村は思わず笑ったが、この男にすれば本気なのだろう。世間ではこの男が日本維新の会所
属の国会議員であった頃、国後島滞在中に泥酔して、「女を買いに行きたい」「女のおっぱいを
揉みたい」と口走ったという話がまことしやかに伝わっている。
 だが、少なくとも本人は「『おっぱいを揉みたい』とは言っていない」と主張している。酔っ
払って記憶が飛んでいるだけだとも考えられるが、本当に言っていないのだとしたら実に恐ろ
しい話である。もう前世紀のことになるが、かのコメディアン出身の大阪府知事が永遠に表舞
台から追放された大醜聞、それに続く法廷闘争と違って、被害や被害者が存在しないわけだか
ら(実際におっぱいを揉まれたと証言する誰かがいるわけではないから)、彼を陥れようとする
人間がいれば、いくらでも捏造話ができるということだ。
0100ハローバイバイ 3/82022/01/15(土) 07:51:44.78ID:8w4Gz0Ts0
 「こないだ俺が府庁にあんた訪ねて行った時さ、俺とも誰とも金輪際寝ん、言うてたやん」
 「金輪際」という表現を使った記憶はなかったが、そういうニュアンスのことは確かに言っ
たので、吉村は肯定した。
 「『金輪際』って仏教用語なん知ってた?」
 豊富なボキャブラリーの持ち主である東大卒の若造は、ベッドの上でも学のある所を見せて
くる。「穂高」なんて名前からしてペダンチックである。今時の東大在学・卒業者がほとんどそ
うであるように、両親も高い教育を受けている知識階級なのだろう。
 「いや、知らんかった」
 「そら、あんたは知らんやろ。暇があったら調べてみ、なかなか壮大な話でおもろいから。
ま、維新やら自民やらのあんな脂ぎったギトギトのオッサンやら死にかけのよぼよぼ爺いやら
に舐め回されるのとか誰かて嫌やけどな。俺かてもう金輪際嫌やわ。でも、なんで俺とはして
もええって気になったん?もう維新の人間やないから?やっぱり若うてかわいいから?」
 「自分で言うな。言うてもおまえも三十八や、ええオッサンやないか」
 その先は言葉では伝えない。ただ若くて顔立ちのいい男ならいくらでもいる。「何となく、か
わいそうやったから」「拗ねた野良猫みたいやったから」そんな感傷的な言葉、気障な言葉は巧
く伝える自信がない。吉村は二十代で衆議院選挙に初当選した男の細い体に回した腕にそっと
力を込めつつ、微妙に話を逸らせた。この狡猾な政治家が論敵に追及された時によく打つ手で
ある。
 「『一期一会』とかは知ってるけど」
 「あ、それ、仏教由来やと思いがちやけどちゃうねん。茶道由来」
 「NHKと裁判してる党 弁護士法七十二条違反で」副党首は、熱い抱擁を受けながらクー
ルに訂正した。吉村は気まずくなって黙った。
0101ハローバイバイ 4/82022/01/15(土) 07:53:01.86ID:8w4Gz0Ts0
 「弁護士の割に口下手、ディベート力がない」と評価されることがたまにあるのだが、ボー
ッと生きている日本国民の皆さんは恐らくTVの観すぎで勘違いをしている。裁判というのは
ほとんど書面でやり取りをするものなので、舌戦、即ち口頭での応酬やアドリブトークが弱く
ても問題ないのだ。ましてや弁護士だからロマンティックに異性や同性を口説くのも得意など
ということがあるはずはない。法律家に要求されるのは当然の如く法律の知識と、もう一つは
資料を読みこむ力である。これはいつか橋下徹もTV番組で言っていたことだ。
 「橋下のオッサンとかなんかもう、色々あり得へんし。ベッドでは独り善りやししつこいし
さ〜。あんたの方がよう知っとるか。あの人マジ変態やろ?一遍俺に、今度吉村くんと3Pし
ようとか言ってきたことあんねんで。実現せんでよかったけど、俺とあんたがあいつの両側に
寝かされるとか、ほんまどんな趣味やねん。勘弁してほしいわ、あのスケベ親父。あ〜俺、も
う、出世のために好きでもないオッサンのチンポねぶらんなんとか、自分の思い通りにならん
とか、いろんな人にいろんなことで気ィ遣わなあかんとか、大勢の人に誤解されてボロカス言
われるとか、全部嫌やし。議員なんか辞めてほんまに清々したわ」
 「誰でも嫌や」
 吉村は深い共感を込めて、丸山の頭を撫でた。
 しかしそれが「生きる」ということそのものでもある。いや、好きでもないオッサンの何某
云々はともかく、丸山の挙げた後ろの三つに関して言えば、確かにその通りである。
 「やろ〜?釈尊曰く、『一切皆苦』。この世の全ては『苦しみ』いうこと。『苦』いうんは、『思
い通りにならへんこと』いう意味なんやて。『四苦八苦』いうのも仏教用語。『四苦八苦』なん
か普通に日常で使うやろ?我が国は神道の国やのに外国の宗教である仏教用語の方が日本語の
語彙、つまり日本人の精神性に深く浸透してるんやな。神嘗祭と新嘗祭の違いなんかみんな知
らんのに、『四苦八苦』は誰でも知ってるなんて、考えてみたらおかしないか?
0102ハローバイバイ 5/82022/01/15(土) 07:55:10.57ID:8w4Gz0Ts0
 釈尊の指摘した『八苦』の中には、愛する者と別れる苦しみ『愛別離苦』、憎い者と出会う苦
しみ『怨憎会苦』いうのがあるんやな。人を愛することも憎むことも、人との出会いも別れも、
何一つ思い通りにはならへん、いうこと。『会者定離』いうて、『出会った者は必ず別れる』い
う意味の四字熟語も仏教用語や。悲しいな。何ちゅう悲しい言葉やろう。俺は仏教では人は救
われへん思うわ。日本人はやっぱり天皇陛下と皇室やないとな。なあ?『出会った人は必ず別
れる』言うて、それが何の救いになるん?夫婦も恋人もコンビ芸人も、どんな情熱を共有した
仲間も、最後は絶対悲しいお別れして、別れたらそれでしまいや。誰も救われへん。絶望の教
えや」
 酔っているのだろうか。丸山は饒舌に要らん知識を披露しつつ自分の政治的見解も織り交ぜ
ながら、体勢を変え、吉村の上に体を重ねた。湿った胸の上で腕を組み、これに顎を載せ、こ
ちらの顔をじっと覗きこむ。
 「なあ、吉村さん。どうせ救われんのやったら、二人で大阪湾に飛びこまへん?」
 吉村が返答する前に、いや、ほとんど何を言われたのか理解する前に、彼は笑い出した。
 「あかんな。吉村さんにはあいつがいるんやから。吉村さんあいつのことほんまに愛してる
から」
 その発言に被せるように、吉村は小声で、早口に言った。
 「体の関係はあるけど、ぼくの片思いやって、自分もこないだ指摘してたやんか」
 「え、何を指摘したって?」
 「何でもない。忘れて」
 吉村は微笑んで、続けた。
 「ぼくはあんまりそういうことは考えたことないからようわからんけど、もしかしたら、『誰
もが同じ痛みを経験する』いうことが救いになるんかも知れん。お釈迦さんが言いたかったん
はそういうことと違うかな」
 丸山は珍しく、意表を衝かれたような顔をして黙った。「シャクソン」ってお釈迦さんでええ
んやな、どっかの青い目の欧米人と違うよな、とちょっと不安になりつつ、吉村は続けた。
 「いつか別れるから、一緒にいる時を大事にするんやろ。誰とでも『一期一会』やからな。
もちろんぼくと君もそうや。お茶の先生はええこと言わはるな」
0103ハローバイバイ 6/82022/01/15(土) 07:56:34.50ID:8w4Gz0Ts0
 吉村は丸山の肩を掴んで体勢を逆転させると、彼のベルトを外して下半身から衣服を脱がせ
た。勢いよく飛び出してきた懐かしい一物をそっと掌に包み、上下に愛撫する。
 「さっきのお返しや」
と呟いて、指先を潤す透明な先走りを丸山の乳首に左右とも塗りつけ、濡れた乳首を代わる
代わる口に含み、塩味がしなくなるまで舐め、吸い、甘噛みした。丸山の美しい顔が愉悦に歪
み、爪がシーツに喰いこみ、吉村の手の中で一物がびくっ、と反応する。
 「今日、ぼくが先に挿れさしてもらうで。後で交代しよ」
 吉村はジャケットとシャツを脱いで上半身裸になると、丸山の返事を待たずに、スラックス
から引き出した雄を彼の内腿に当て、少し擦りつけた。
 丸山は片膝を立て、吉村が挿入しやすいように、深く息をしつつ体の力を抜いた。後から後
から滴り落ちる二人の先走りを、吉村の指がきらめく銀の糸を引きながら掬い取り、丸山の後
孔に塗りこめる。
 「あ・・・・きっつ。チンポ深っ」
 数年ぶりの感覚に思わず身震いし、声が出た。丸山とは特別に体の相性がよかったのだった。
彼の中に納まったまま、吉村はしばらく動かず、恋人でもなく、政敵でもなく、友や同志や同
僚という存在でもない男の温かい肉鞘に絡みつかれ圧迫される感触に、陶然と身を委ねていた。
 「穂高のチンポもええよ。いやん。吉村さんの体に押さわって、先にミルクぴゅぴゅって出
たらごめんな」
 丸山が目を瞑ったり開いたりしながら、掠れ声でアンニュイに囁く。彼は時々、幼子や若い
女のように自分のことを名前で呼んでみせる。それが実に様になるのだから不思議だ。
 仄かな照明がホテルの部屋の壁に大きく映し出す人影が激しく躍る。丸山の両肩を押さえて
力の限り突き上げ、引き落とし、快楽を貪りながら、吉村は下からじっと自分の顔を見上げて
くる彼の黒目勝ちの目を見つめ返す。その目の中にあるのが愛なのか、憎しみなのか、どちら
でもないのか、どちらも入り混じった何かなのか、わからない。
0104ハローバイバイ 7/82022/01/15(土) 07:58:27.17ID:8w4Gz0Ts0
 「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」
 汗だくになって息を弾ませつつ、ふとそんな言葉が頭に浮かんだ。口に出したら、体の下の
生意気な小僧から間髪を入れず、「フリードリヒ・ニーチェ、『善悪の彼岸』」と注釈されるに違
いない。
 確かなことは、あの男の胸に抱かれる時のような安らぎはこの嵐のような一時にはないこと
だ。吉村はもう一度大きく腰を引き、夜の獣のように咆哮しながら最奥まで叩きつけた。
 達し、丸山の隣に身を横たえて、その髪に手を絡めて引き寄せ、頬に額に唇に、喉に肩に胸
に両の乳首に、口づけの雨を降らせた。この男とよくベッドを共にしていた頃から、あまり後
戯を好む質ではなかった吉村にしては珍しい。
 「スケベ親父」
 と丸山が呟く。
 「そうか?」
 吉村としては実に心外だった。
 「酒が飲みたいわ」
 「もう今日はあかんて」
 「ほな、俺が挿れる番の前になんか食べたいわ。イッたら腹減った」
 丸山は枕元の端末に手を伸ばしてルームサービスを物色し始めた。
 「牡蛎のイカ墨パスタ・・・・ああ旨そう。でも、お歯黒状態になるしなあ。エッチの時ヤ
バイくらい白けるからなあ。でも、牡蛎いいなあ、牡蛎。るんるん。暴徒と化したアレクサン
ドリアのクリスチャンがヒュパティアを殺した道具だわん」
 吉村には何のことかわからないが、本人にはわかっているのであろう何やら物騒な独り言を
口走りながら、左手でタッチペンをピッピッやっている。
 「よし、これに決めた。牡蛎とトリュフのホイル焼き」
 「それ、酒のアテやがな。そんなもん食べたらまた飲みたなるで」
 吉村の小言など馬耳東風。また、当然の如く高いホテル代を負担している吉村に全く気兼ね
する風もなく、若造は鼻歌を歌いながら、メニューの中で恐らく最も「コスパの悪い」贅沢な
一品の注文を送信した。

Fin.
0105ハローバイバイ 8/82022/01/15(土) 07:59:55.32ID:8w4Gz0Ts0
 「春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳を手にさぐらせぬ」
(与謝野晶子)

 「出会って別れて 出会って別れて た・い・へ・ん」
(荒川稔久「でてこいとびきりZENKAIパワー!」)
0106風と木の名無しさん2022/01/15(土) 08:01:59.73ID:8w4Gz0Ts0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

生を書いてておもしろいのは自分でも思ってみなかった方向に話が転がって行く時です。

ageますね。
0107風と木の名無しさん2022/06/17(金) 00:04:15.08ID:HO702tDZ0
座員と府知事と前衆院議員の話、一応これで完結編とします。
まだ続くようなら別の所で、別の形でやろうかと思います。
ageますね。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0108サランウィポンソン―愛の本性、やで。1/82022/06/17(金) 00:09:54.53ID:HO702tDZ0
 三島木綿(ゆう) 肩に取り掛け われ韓神(からかみ)の 韓招祷(からをぎ)せむや 韓招祷
韓招祷せむや


 「フィリピンで銃の練習場に通っています。拳銃はやっと卒業してこの間からライフル撃っ
てます。小生、乗馬の心得もあるので、馬に乗りながら撃ちたいな。最終的には自動小銃くら
い扱えるようになるのと、ヘリの操縦免許取得と、宇宙に行くのが目標です。差し当たっては
もう少しアジア周遊を楽しむ予定です。夏には一旦日本に帰るかな?でも、会いません。今年
の後半からはアメリカに行きます。大学院進学も考えてるので、数年は帰ってこないつもりで
す。参院選頑張りや。ほな」

 ぼくは出えへんけどな、と心の中で独りごちて、吉村はLINEのトーク画面を閉じた。
 仄聞する所だと、この間まで電話で立花にだいぶ口説かれたようだが、結局あいつも出ない
ことにしたらしい。東大出て官僚と代議士を経験して、潤沢な資産を元手に道楽半分、投資や
カジノで稼ぎながら三十代で悠々自適の海外ホテル暮らしとは結構なご身分だ。そりゃ日本の
選挙なんか出てお馴染みの連中のくそおもしろくもない面を拝むより、今の小説の登場人物み
たいな生活の方がよほど刺激的で楽しかろう。自分のように妻も、三人もの子もいる身では、
仮に全ての役職を解かれたとしても、とてもそうはいかない。
 色々書いてあるが、「でも、会いません」の一言だけが重く心に響く。これはもしかして振
られたってことか?LINE一つであいつはもうぼくや維新の男たちとのあれやこれやをすっぱ
りと断ち切って、立つ鳥跡を濁さずアメリカに赴く決意をしたってことか?結局この前の冬の、
イギリスから帰国したあいつと一度だけ肌を重ねた、あれが最後の逢瀬だったのか。
 衆議院議員会館で隣の部屋だった時、当たり前だが国会期間中は毎日のように顔を合わせた。
もちろんお互い素知らぬふりをしていたし、衣服で隠れてわかるわけないが、あの頃はよくあ
いつのが太腿やら臍にこびりついていたものだ。若い男の性欲はほんまに種牛並みやった。
0109サランウィポンソン―愛の本性、やで。2/82022/06/17(金) 00:11:54.11ID:HO702tDZ0
 「吉村さん、お待たせしました。舞台から見えましたよ。来てくれてありがとう」
 声をかけられて目を上げると、長身の待ち人が立っている。
 「お疲れ。よかったで」
 吉村は笑顔になって、客席から観覧していた今日の恋人の演技を労い、買っておいたポカリ
スウェットのペットボトルを放った。
 「なかなか来てやれんでごめんな。どこ行く?」
 「ちょっと、この近くのペット用品店つきあってくれます?」
 千葉の言うことには基本的に逆らわない吉村は、言われるがままに、劇場付近の店舗へと足
を向けた。ペットの生体展示販売は行っていない店である。
 「これ、いいなあ。こんなのあったらうちの子たち、大喜びで遊ぶだろうなあ」
 千葉が憧れの溜め息をつきながら見つめる先にあるのは、インテリアにもなる高級キャット
タワーとその値札だった。
 「買うたろか?」
 吉村が微笑むと、
 「ほんとですか!?やったあ!」
 千葉は全然遠慮しなかった。

 「二十一万七千四百三十円、頂戴します」
 機嫌のいい店員を前に支払いを済ませ、店を出ると、千葉が優るとも劣らぬ満面の笑みで待
っている。
 「ありがとうございまあす。届くの楽しみだな」
 「どう致しまして」
 涼しい初夏の夕風の中を肩を並べてしばらく歩いた。ふと千葉が天気の話でもするような何
気ない口調で、しかし唐突に言った。
 「吉村さん、あの人と寝たでしょ」
0110サランウィポンソン―愛の本性、やで。3/82022/06/17(金) 00:13:51.06ID:HO702tDZ0
 吉村は思わず立ち止まった。千葉も合わせて足を止め、吉村を見返して穏やかに言葉を継い
だ。
 「ぼく、全然気にしませんよ。あの人のYouTubeチラッと見たけど、アイドルみたいにか
わいい人だから、吉村さんのことが好きなら寧ろ思いを遂げさせてあげてほしいと思ったくら
いで」
 吉村は依然として立ち尽くし、ただ絶句している。
 「怒ってほしかった?やきもち妬いてほしかったですか?」
 真に愛されている者の余裕の笑みを見せながら、男は広い背中を向けて先に歩き出した。
 この期に及んでぼくの乙女心を弄ぶやなんて・・・・自分の浮気を棚に上げ、吉村の内心の
恨み言である。それも男の寛大さを逆恨みしているので尚更質が悪い。
 「・・・・してへん」
 吉村は足を速めて男に追いつき、心に疚しいのが丸バレの高速まばたきを繰り出しながら、
躍起になって主張した。
 「絶対してへんから。それと、後ろめたいからやないから」
 「え?何がですか」
 あまり言いたくなかったが、仕方なく吉村は答えた。
 「さっきの」
 「あ〜」
 千葉は思い当たったようだ。ちなみにこちらは吉村の本心である。まさか千葉が感づいてい
るとは思わなかったものの、いずれにしても罪滅ぼしのつもりなど更々なかった。
 「ぼくだって、吉村さんに買わせようと思って連れて行ったんじゃないですよ。あのタワー
見たの今日が初めてですし、あんなの滅多に入荷しませんからね」
 「とにかく、ぼくは公平以外の男とそんなことはしてへん」
 高速まばたき。
 「わかりました、そういうことにしといてあげます」
 ホテル街へと抜ける人通りの少ない路地の暗がりに差し掛かったのをいいことに、男はふわ
っと吉村の肩を抱く。吉村は素直に寄りかかる。ぼくが女やったら、こんな時、「ジュンと濡
れる」んかな、なんて思いが頭を過る。
0111サランウィポンソン―愛の本性、やで。4/82022/06/17(金) 00:15:55.22ID:HO702tDZ0
 「おまえは女みたいに、乳首ねぶられて、いらわれてよがる」
 そう言ったのは松井だったか。誰だったかもう思い出せない。
 そうだ。やっぱり松井だった。ベッドで千葉に両手を重ねられて乳を吸われ、聖母のような
眼差しでその顔を見つめながら、吉村はあの粗野を絵に描いたような男の嗜虐的な行為、ねち
っこい言葉責めを一つ一つ思い返している。縛られたり、羽毛や筆でくすぐられたり、精液を
顔にかけられたり、飲まされたりはしょっちゅうだった。いつぞやは、両腕の自由を奪われて
散々体を嬲り回され、こっちが射精する寸前で相手はベッドから降りて新聞を読み出したこと
もある。
 「おまえは下手な女よりええ、ってみんな言うとる。オメコの具合もせやし、器量もええし、
あの時の声も、反応も、腰つきもええ。尺八も手コキも巧い。男を歓ばす手練手管をよう心得
とる。男に抱かれるために生まれてきたような男、根っからの男娼や。なんしか、男は女相手
にはあんまり無体なことはできへんし、本音で話されへんからな」
 吉村は松井の言葉を振り払うように、千葉の背に腕を回し、強く抱きしめた。千葉にだけは
知られたくも、思い浮かべられたくもなかった。下衆な男たちに玩具にされ、彼らの体の下で
あられもなく身悶えし、何度となく啜り泣いた浅ましい自分の姿を。その過去を。
 「何考えてるんですか」
 吉村の濡れた感じやすい乳首を両手の親指と中指でやさしく摘まみ、人さし指で押さえたり
撫でたりしながら、千葉が問う。吉村はやや曖昧な笑みを浮かべる。
 「公平のことしか考えてへんよ。あんっ乳首何遍もつつかんといてよ。あ・・・・いい」
 「おっぱいでイッちゃう?」
0112サランウィポンソン―愛の本性、やで。5/82022/06/17(金) 00:17:32.15ID:HO702tDZ0
 六本の指に双の乳首を弄ばれ、妖しく悩ましげな愉楽の色を滲ませる吉村の顔を見ながら、
千葉も淫靡に笑って、身を起こした。
 「はしたないおっぱいだ、こうしてやる」
 そそり立つ男根の先端を乳輪に押し当て、汁を滴らせながら、くりくりと捏ね回して辱める。
吉村は婀娜っぽく裸身を捩って嬌笑し、甘えた声でねだる。
 「こっちのおっぱいもして」
 求められるままにもう片方にもしながら、千葉は涼しい顔で言う。
 「ぼくは、さっき吉村さんのおっぱいぺろぺろちゅっちゅしながら、大阪万博のキャラクタ
ーはなんであんなに気味の悪いデザインなんだろう、って考えてました」
 「ん・・・・何それ。ぼくのこと考えてよ」
 吉村は姿勢を変えると、今自分の両の乳首を代わる代わる犯した千葉の鈴口に口づけた。そ
のまま、唇を開いて喉の奥まで咥えこみ、指で根元を刺激しながら舌を絡ませる。口腔内で前
後に転がすようにしながら掌で袋の部分を軽く撫でると、千葉が身震いし、吐息混じりの声を
洩らした。
 「まだイッたらあかん。下の口に、ぼくのスケベオメコに挿れて」
 吉村が寸止めで口を離し、上目遣いで娼婦のように艶めかしく囁く。
 「いけない知事だね。そんなものの言い方、誰に教わったの」
 千葉は微かに笑って、吉村を仰向けにさせると、濡れそぼつ自分の一物を彼の言う箇所や彼
自身のものに擦りつけた。ふんだんに、喜ばしそうに溢れ出す吉村の先走りが千葉のそれと混
じりあい、千葉の指も介して、今や遅しと彼の侵入を待っている後ろの秘めやかな部分を潤す。
0113サランウィポンソン―愛の本性、やで。6/82022/06/17(金) 00:19:06.52ID:HO702tDZ0
 千葉はベッドに両膝をついたまま、吉村の両脚を取って肩に掛けた。二人は四十八手でいう
「深山」の体勢で交わった。連なる山々の更に奥にある山のように深く挿入できるので、この
雅な名がある。
 「気持ちいい?」
 吉村の太腿を両腕で抱えこみ、激しく腰を打ちつけながら、千葉が問う。
 千葉の首の後ろで足首を交差させ、目をゆっくりと閉じたり開いたりしながら、吉村は陶然
と答える。
 「うん。公平の大っきい」
 千葉の律動に身を委ね、体の芯を内から突かれる快感だけに集中しながら、吉村は思う。そ
の昔、自分の体をただの快楽を得るための道具として思うままにした男たちを軽蔑する資格な
どは自分にはない。権力に取り憑かれているのは自分も同じだ。
 でも、一つだけ違うことがある。こちらの両脚を曲げ、自分の上に覆い被さって果てようと
する千葉の愛しい腕に縋り、「イク・・・・」という坂東訛りの呟きを至福の内に聞きながら、
吉村は心の底から思う。「愛」という言葉の意味を、今の自分は知っている。たとえそれが丸
山の言うように、一方通行のものだとしても。その本性が、聖人の口から清らかに、まことし
やかに語られるものでも、聖歌隊が手を打ち鳴らしながら、喜びに溢れて褒め称えるものでも
なく、ただひたすらに愚かで、不公平で、それがために全てを――国家も、地位も、思想も、
道徳も、およそ男が後生大事にしたがるありとあらゆる積み重ねを――無価値としてしまうよ
うな曲がったものに過ぎないとしても。
0114サランウィポンソン―愛の本性、やで。7/82022/06/17(金) 00:20:56.06ID:HO702tDZ0
 「かわいいと思うけど」
 終わり、千葉の腕を枕に、彼の乳首を指先で軽く弾きながら、吉村が思い出したように呟く。
 「何がですか」
 「大阪万博のキャラクター」
 「えー」
 不賛成らしい千葉の唇を吉村は自分の唇で塞いだ。
 「もう一回せーへん?」
 一頻り、小鳥が啄むような口づけを交わした後、小首を傾げて誘う。
 「えーっ、もう!?ちょっと休憩させて下さいよ。お互いの年考えましょうよ」
 「言うほどか?そら青年の時のようにはいかんけど、まだ五十にはちょっと間があるわ。ほ
ら、もうビンビンでドクドクやん」
 真顔で言いながら、千葉の臍下に手を伸ばし、がっちり掴んで扱き抜く。
 「ああ、なんて手つきだ・・・・だとしてもですね、一日舞台に立った後で、あなたみたい
な大男を相手にアクロバティックな体位で、どれだけ体力使ったと思ってるんですか・・・・
うっ」
 「失礼やな。自分の方がデカいやん」
 それでも吉村は、最大限の恋人への思いやりを発揮して(いるつもりで)、花のように微笑む。
 「今度はぼくが上になるから。な?」

Fin.
0115サランウィポンソン―愛の本性、やで。8/82022/06/17(金) 00:22:37.54ID:HO702tDZ0
 在日韓国・朝鮮籍者の自殺率は「日本全体」や他の国籍の人たちより際立って高い。
【参考:金泰泳(キムテヨン)によるレポート。東洋大学教授、定住外国籍者参政権活動家。2009
年に日本国籍を取得。2022年参議院選挙比例区れいわ新選組予定候補】


 神功皇后の系図を辿れば、『古事記』ではその先祖は新羅国王の子「天之日矛」(アメノヒボ
コ)【『日本書紀』では「天日槍」または大伽羅国の王子「都怒我阿羅斯等」(ツヌガアラシト)】
であり、現天皇家に繋がる第二十六代継体天皇は渡来人である可能性が高い。
 また、第五十代桓武天皇の母、高野新笠(たかのにいがさ)は百済武寧王家の出身である。勅
撰の歴史書で、いわば公式の歴史記録である『続日本紀』によれば、その子桓武は父光仁天皇
の葬儀に際し、「天皇哀号咽不能自止」【哀号(アイゴー)と咽びて自ら止むる能わず】。
 更には『古事類苑』によれば、天皇家では平安時代を通して平安京宮内省北部に朝鮮渡来の
神である「韓神」を守護神として祭り、公式祭祀として天皇、大臣、神祇官列席の下、祝詞を
上げ、歌舞が行われる神事が存在したという。
 戦前、皮肉にも「日鮮同祖論」が「日韓併合」の思想的学問的裏付け、理論的支柱として、
その正当化に大いに利用された事実も忘れてはならない。
 現在、日本政府及び宮内庁は、天皇家のルーツが明るみに出されることを極度に恐れている
のか、天皇陵古墳の発掘と本格的な学術調査を頑なに不許可としている。
【参考:南(ナン)信廣「レイシストへの論告―徴用工、日本軍慰安婦問題の嘘と真実―」】
0116風と木の名無しさん2022/06/17(金) 00:23:45.88ID:HO702tDZ0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ご愛読ありがとうございました。
ペット用品店は実在しない(と思う)ので、探さないで下さい。

吉村さんお誕生日おめでとう。入れねえけどな。
0117風と木の名無しさん2022/09/03(土) 09:57:52.07ID:Z6ewOTK+0
終わると言いましたが番外編書けたので置いときます。
すみません、これでほんとに終わると思います。
誰かさん射殺後の話が書きたかったのと、ヲチしてたらこの二人が仲よさそうに絡んでたので、つい萌えた。
あの人も基本標準語ですが内輪では関西弁という想定で。ageますね。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0118衆道アホばか列伝 1/42022/09/03(土) 09:59:46.68ID:Z6ewOTK+0
 プロジェクターで天井に映写された画像の中で、金髪の美女が艶めかしい仕草と表情でオレ
ンジ色のビキニブラを自ら外し、豊満な乳房をプルンと曝け出す。
 妖しげな音楽が流れる中、仰向けで両手首をベッドの支柱に結わえつけられた青年は、腰か
ら下だけを丸出しにした恥ずかしい姿で、非常に苦しげに黒目勝ちの目を閉じたり開いたりし
ている。薄暗い部屋の中で、着衣のまま椅子に座った観察者の向けるスマホの明かりが、衣服
をすっかり剥ぎ取られた青年の下半身を冷徹に照らす。小さな画面の中で、そそり立つ彼の分
身がひくひくと戦慄き、透明な液体を先端から止め処なく滴らせ続ける。
 「・・・・お願いします。ねえ・・・・お願い」
 天井に展開される映像からわずかに顔を背け、こちらに眼差しを投げて、青年がか細い声で
懇願する。
 「何をどうしてほしい?」
 観察者は笑いを含んだ声で尋ねる。
 「ぼくのチンポを・・・・触るか咥えるかして下さい」
 「何?聞こえへん。もっと大きい声で」
 「ぼくのチンポを、触るか咥えるかして下さい!」
 「検討します」
 誰かの口真似をして、男は立ち上がった。冷蔵庫の方へ行くと、そこから目当てのものを取
り出し、また踵を返してベッドに歩み寄った。プロジェクターのスイッチを切り、照明を調節
する。
 「よしよし、ええ子やええ子や」
 静かになった部屋の中で、彼は青年の上に跨り、黒い半袖シャツの釦を片手でプチプチッと
外して、胸と腹を露にした。彼の企てを悟った相手が思わず声を上げる。
 「ちょっと待って下さい!それは変態すぎますよ」
 「せや。俺は変態で気違いや。誰でも知っとるこっちゃ」
 平然と言いながら、男はプッチンプリンの蓋を剥がし、スプーンで掬って、ひんやりぷるる
んとした美味しいおやつを青年の乳首の上に載せた。
 「きゃあ、冷たっ」
 身を捩る青年の悲鳴を満足そうに聞きながら、男はもう片方の乳首にも一掬いのプリンを盛
った。
 身を屈めて青年の胸に唇を寄せ、ちゅるんっとプリンを啜り、甘味の残る乳輪をぴちゃぴち
ゃしゃぶり、固くなった乳首をペロペロ舐め回した。「あ・・・・気持ちいいっ」両手首を縛ら
れたまま、悶える相手の片方の肩を軽く押さえながら、反対側のプリンと乳首も賞味する。
0119衆道アホばか列伝 2/52022/09/03(土) 10:06:56.56ID:Z6ewOTK+0
 「美味しかったよ、まるちゃん。はい、あーん」
 男は笑って、スプーンでまたプリンを掬い、相手の口元に近づけた。
 甘いものは好きではないので本当はあまり嬉しくなかったが、丸山は仕方なく口を開け、プ
リンを呑みこんだ。
 男は嬉しそうに、丸山が舐ったスプーンで、残ったプリンを全部食べた。「つんつん」と声に
出して言いながら、卑猥な悪戯に濡れた乳首をスプーンの先で弄んで更に辱める。
 「ああんっ、感じちゃう・・・・もう!ねとねとして気持ち悪いです。ありんこたかってき
そう」
 「拭いたるわ」
 男は枕元からレモンの香り付きのウェットティッシュを取り、丸山の胸を丹念に拭った。丸
山は力を抜き、艶な溜め息をついて男の手に任せた。
 「これ、外してくれません?あなたを抱けへんし、手でご奉仕もできへん」
 「ええやろ」
 男の手によって縛めを解かれた丸山は、シャツに腕を通しただけのほとんど裸というあられ
もない姿で、男に飛びかかるようにしてその体にきつく四肢を絡みつけ、自分から激しく口づ
けを貪った。
 「アメリカはどや?」
 生きもののような舌が大胆かつ繊細にしばし口腔内を暴れ回った後、抱きあったままで男が
問う。
 「どこ行っても大して変わりませんね」
 高校の国語教諭で山岳愛好家の父から日本第三の高峰の名を授けられた男は、気のなさそう
に答えた。ちなみに自身も山岳愛好家で、「山の日」制定議員連盟に名を連ねたこともある。た
まにはいいこともしているのである。
 「それでも、しばらくは海外飛び回るんやろ?お忍びで帰国までして、なんで俺に抱かれに
来た?俺と一緒に新党作る気でもあるまいし、今更俺と寝たかて何のメリットもないやろ。俺
が当選するわけないことは誰でもわかっとったことや」
 「だったらなんで出たんですか。誰が維新の代表になろうが、どうせ何も変わらへん。あの
人が死んだ――殺されたくらいじゃ、何も変わらないですよ」
 丸山はキューピーのような顔を顰めて、不貞腐れたように言った。
0120衆道アホばか列伝 3/52022/09/03(土) 10:09:44.77ID:Z6ewOTK+0
 「自分のYouTube時々観てるけど、よう、そういう風に言うてるな。本気かどうか知らん
けど、俺はそうは思わんで。みんな、よくも悪くも、戦後最大の政変の中に生きてることを自
覚することや。俺は結構この状況、楽しんどるで」
 男は気怠げな丸山の頭を引き寄せて、茹で卵のような頬にちゅっと口づけた。
 「何にせよ俺は、未だにまるちゃんとこういう時間を持てるのは嬉しいわ。やっぱり若い子
はええしな」
 三十代の男の張りのある胸を撫で回し、両の乳首をクリクリ摘まみ、人さし指でツンツンつ
つきながら囁きかける。
 「いや〜ん、いくぅ〜ん」
 腕の中で身をくねらせる丸山の媚態に見とれ、鼻にかかった甘い声に聞き惚れながらも、男
は更に続けた。
 「でも、気紛れでこうやって俺のオモチャになるんも、誰かに相手にされへん腹いせやろ?
君の好きな人は、吉本の芸人に惚けてなんばやら祇園の花月に通いつめとるって聞いたで。今
頃、西成の朝鮮部落の奴のきったない猫屋敷で、素っ裸でひっくり返した蛙みたいになって白
目剥いてアヘアへ言うて腰振っとるで」
 その悪意たっぷりの弁舌に、丸山の顔から笑みが消えた。
 「なんでそんな詳しいのか知らんけど、それ以上言わんといて下さい」
 「俺のこと自分と一緒でハブられもんや思とるやろ?俺の情報収集・処理能力はすごいんや
ぞ。知っとるか?学部だけでも、ほんまは東大より京大の方が頭がええんやで」
 この高慢な青年の泣き所を打ったと悟った男は、文字通り泣き出しそうな顔をしている丸山
とは裏腹に、ますますニヤニヤ笑いながら、突如として脈絡のないことを言い出した。指の背
で自分の額と丸山の額を軽く叩いてみせる。
 「それ、こないだツイッタースペースでも何回も言うてはりましたね」
 丸山は顔と声を強張らせたまま、男の目をまっすぐ見つめながら、彼の下半身に手を伸ばし、
スラックスの上から握りしめた。
 「股間を固うしもってマウンティングせんといて下さい」
 「馬場なんざは操り人形に過ぎへん。なんかの間違いで俺が代表にならん限り、君の復党の
目もあらへん。松井はんの目の黒い内はな」
0121衆道アホばか列伝 4/52022/09/03(土) 10:13:06.79ID:Z6ewOTK+0
 丸山は男のファスナーを下げ、いきり立つ一物を引っ張り出し、直に擦り上げた。
 「ほれ、このすけべ、もうこないなって。はよ、穂高のぬくい、きつきつのケツオメコにブ
チこみとうてたまらんでしょ?」
 「ふふっ・・・・松井はん、あの人も父子二代で笹川はんのチンポねぶってケツ掘られた口
や。若い時分は今よりかわいかったか知らんけど、あんな顔してるのにようやるわ。そんなま
ずそうな親子丼、俺やったら願い下げやわ。笹川はんももの好きな」
 「ぼくが新宿のエステに通ってケツ毛抜いたんは、あなたをおもてなしするためなんですか
ら。永久脱毛ってメチャクチャ痛いんですよ。さあ、早う試して。足立さんのチンポ、奥まで
挿れて」
 男の忍び笑い以外には何一つ嚙みあわない会話を続けながら、シャツを脱いで全裸になった
丸山はベッドの上に四つん這いになり、振り返って悩ましげな視線で男を誘った。男は息を乱
しながら、スーツの上着だけを脱ぐと、白い尻を突き出した丸山の上に背後から伸し掛かり、
猫科の動物が交わる時のようにうなじを噛んで、一息に貫いた。
 「あっ・・・・あああっ、足立さん、すごぉいっっ!!もっと・・・・!!」
 五十六歳という年齢を全く感じさせない、それどころか三月ウサギ並みに荒々しく速い腰の
動きは、男女共にそれなりに経験豊富な丸山の理性も、年に似合わぬ冷静さもふてぶてしさも、
他に類を見ない強情さも、羽毛のように軽々と吹き飛ばした。部屋には二人の男の肉体がぶつ
かりあう音とベッドの軋る音が響き、丸山のよがり泣く声と、男の手に扱き抜かれて立てる淫
猥な水音と、男の激しい息遣いがそれに重なった。
 「ああっ、イクッ、足立さんイクッ」
 手の爪がシーツに喰いこみ、足の指が引き攣った。全身の産毛がパリパリに逆立ち、一瞬、
目の前が暗く、意識が遠くなった。
 男が静止して深く息をつき、自分から離れるのを感じた。生温い、ドロッとした馴染みの感
触が内腿を伝い落ちた。手足が震え、力が抜けて横倒しに崩れ落ちる所を、極めて紳士的な身
ごなしで抱き抱えられた。こうして獣のやり方で交わり終えた時にはいつも、尻でも蹴飛ばし
そうな邪険さで放置されるのに。
0122衆道アホばか列伝 5/52022/09/03(土) 10:14:55.49ID:Z6ewOTK+0
 あまりの快楽にしばらくぐったりとなった素裸の丸山を、男は敷布の上に仰向けに横たえた。
あらゆる体液に塗れた顔や体を慇懃な手つきで拭いた後、そっとタオルケットを着せかけた。
 「どうしたんですか。今日の足立さん、やさしい」
 丸山が枕の上で目を開け、掠れた声で問いかける。
 「アホ、俺はいつでも、維新で一番インテリでエレガントでやさしい男や」
 見ようによっては割と男前な顔を特徴付けているくっきりした二重瞼の目をひん剥いて、維
新一の奇人と言われる工学修士は答えた。

Fin.


五黄の寅年
 三十六年に一度訪れ、時代が大きく動く転機となり得ると言われる。
 我が国では元々、寅・巳・申・亥の年に参議院選挙が行われるので、これらの年は時代の転
機となりやすい。従って、「五黄の寅年だから変事が起こるのだ」などと考えるのはアホでばか
であり、そんなアホばかは簡単にカルト宗教に騙されて全財産を巻き上げられ、子供たちはと
てつもなく苦労するだろう、と予想することもできる。
 これと同じくらいアホでばか、ウルトラアホばかなのは東大や京大に行って反共思想になる
奴である。
【誰に読まれることもなかった記事】
0123風と木の名無しさん2022/09/03(土) 10:16:25.73ID:Z6ewOTK+0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

「何や公平、もう終わりか?」
「早く帰らないと、瑠美子に梢枝にNaomiに、最近友だちになったハチワレちゃんが待ってますからね」
「何や、ぼくと猫とどっちが大事なんや」
「猫ですよ。ぼくが餌をやらないとあの子たち、自分じゃ何も食べられませんからね」
(くっそ〜。今度家行ったら、こいつの見てへんとこであの憎ったらしい雌猫ども、蹴飛ばしたろ)

※動物虐待は犯罪です。絶対にやめましょう。
0124風と木の名無しさん2023/08/11(金) 07:55:35.18ID:0qh5Dwcs0
某凸凹刑事コンビシリーズ、上司×部下。
一応半生ですが、設定やエピソードは中の人のを使ってます。
限りなく生に近い半生ってこんなのか。ageますね。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0125太陽の塔にほえろ! 1/52023/08/11(金) 07:57:31.33ID:0qh5Dwcs0
 ビルの陰から覗く十三夜の月が、男の野性的でエキゾチックな横顔に青紫の深い影を落とし
ている。
 「まだ、出てきませんね」
 身長百八十四センチ、半島の血を思わせる魁偉な容貌と天使のような声を備えた部下は、少
し身を屈めて、自分より二十六センチ背の低い胡麻塩頭の上司に囁きかけた。
 「アン、耳に息吹きかけんといて。う、感じる!」
 「何勘違いしてるんですか。張りこみの最中でしょ」
 身をくねらせる上司に、部下は関東弁のイントネーションでぴしゃっと正論を叩きつけた。
 2023年八月、五十五年ぶりの万博開催を二年後に控えて活気づく大阪。府知事が行方不明に
なり、その直後、「ただいま、パパだよ。ミャクミャクくんになっちゃった」という手紙と一緒
に、内臓と眼球がクール宅急便で北区の自宅に送りつけられるという事件が発生した。
 幸い、内臓と眼球は食肉処理場から払い下げられた動物のものであると判明し、府知事本人
はその後、たこ焼きを食べながら無事に姿を現したからよかったものの、悪質な悪戯というこ
とで直ちに大阪府警花月署の捜査が始まった。
 容疑者の見当はついたものの、逮捕状や家宅捜索令状を取れるほどの決定的な証拠がない。
とりあえず物陰からマンションの入り口を見張り、本人が出てきた所を挟み撃ちして任意同行
を求めよう、逃走を企てれば転び公妨で現行犯逮捕しようという算段である。
 「転び公妨って、みんな何か知っとるか。知らん人、知りたかったらググってくれ」
 「須知山田さん、誰に喋ってるんですか」
 上司は部下に向き直り、甲高い声で元気よく宣言した。
 「千葉くん、さっき耳にフゥッてやられてその気になった。チューしよう」
 「はあ!?何言ってるんですか。勤務中、しかも張りこみ中ですよ」
 部下は驚き呆れて上司の顔を見たが、上司が大真面目に瞳をキラキラさせて自分を見上げて
いるので、思わず相好を崩した。
 「須知山田さん、目を瞑って」
 「ああ」
0126太陽の塔にほえろ! 2/52023/08/11(金) 07:59:11.47ID:0qh5Dwcs0
 上司が無邪気な期待に満ちた表情で軽く瞼を閉じ、顔をやや上向けにすると、部下は上司の
腰に両腕を回し、背中をビルの外壁に押しつけながら柔らかく唇を重ねた。
 短く、しかし慇懃に口づけを貪った後、部下は恍惚としている上司からそっと体を離しなが
ら、色っぽく呟いた。
 「こういうことはホシを確保してから、ゆっくり、ね。あ、いけない!ホシが出てきた!」

 「須知山田さんがあんな所で誘うからもう少しでホシを取り逃がす所だったじゃないですか
〜」
 などと車中で言いながら、二人がやって来たのはうらぶれたモーテルである。どうでもいい
が、「モーテル」というそれ自体が何となく安っぽい響きを伴う単語も最近使われなくなった気
がする。
 「ま、無事確保できたんやからええやないか」
 須知山田は涼しい顔で言ってのける。二人とも勤務時間が終わったので、後の調書作成は同
僚の署員に任せて、自分たちはいつも情事のために使う行きつけの宿でしっぽり楽しもうとい
う肚だ。
 部屋のドアを閉めると、須知山田はいきなり鞄を投げ出し、子どもが大人相手に相撲を挑む
時のように、千葉に組み付いてきた。色気も何もない。ほんとはカッコよく千葉を肩から抱き
寄せて唇を奪いたい、お姫様抱っこしてベッドへと運びたいのだが、この体格差だとどう頑張
っても逆にしかならないのである。
 「はよ。はよエッチなことしよ」
 千葉の胸に顔を押しつけて、強面の腕利きデカが甘えたように呟く。千葉は、俗に八時二十
分眉とかアイズとか言われる愛らしいパーツのせいで普段から困ったように見える顔をますま
す困惑で曇らせて、囁きかける。
 「須知山田さん、シャワーを浴びないと汚いですよ」
 「俺はきたなない」
 「いや、私が」
 「千葉もきたなないよ」
 「わかりました」
 巨漢の部下は苦笑いして、上司の華奢な体を軽々と横抱きに抱えると、ベッドへと運び、そ
っと横たえた。
0127太陽の塔にほえろ! 3/52023/08/11(金) 08:07:33.30ID:0qh5Dwcs0
 千葉は煙草をポケットから取り出して枕元に置き、靴下とスーツのジャケットだけ脱いで、
後は着衣のまま、須知山田の隣に長々と仰臥した。
 須知山田はそそくさと身を起こして上半身だけ裸になり、千葉の上にちょこんと跨った。ネ
クタイをほどいて放り投げ、カッターシャツの釦を一つ一つ外しにかかった。
 「『カッターシャツ』って関西しか言わんらしいな。それを知らん書き手がおって、読み手は
『カッターシャツ』って何?ってなったり、これ書いてる人は関西出身なんやな、て思わぬ所
でバレたりするとか」
 「須知山田さん、一体何の話ですか。ぼくも関西に来てもう三年になりますからカッターシ
ャツくらいわかりますよ。ワイシャツのことでしょ」
 須知山田は無言でニヤニヤしながら、千葉のワイシャツではなくてカッターシャツの胸をは
だけて、露になった乳首を両手の指でつついたり摘まんだりした。更に悪乗りして、自分のフ
ァスナーを下げてスラックスから一物を引き出し、透明な雫の滴る亀頭を乳首にぐりぐりと押
しつける。
 「ああっ・・・・乳首をそんなモノでそんなされると、須知山田さんがおかっぱ頭で眼鏡掛
けて赤いカーディガン着たおっぱいの大きいおばさんに見えます」
 「君こそ、何の話しとるんや。おばさんには君の乳首こんなんするモノはないよ」
 悶え、息を弾ませてあらぬことを口走る千葉の半裸姿に見とれながら、須知山田は更に下へ
と好色な手を忍ばせた。
 充血して猛り立つ部下の一物をスラックスの上から握りしめ、撫で回しながら呟く。
 「自分、デカいな。いや、モノもええけどガタイがね。スポーツ何やってたんやっけ?」
 「バスケットです。・・・・ああ、いい」
 「成程、バスケ部の先輩に体育倉庫で裸にされて、おめこされたんやな」
 「違いますよ!処女なら須知山田さんにあげたじゃないですか!初めてだったの、もう覚え
てるくせに」
 千葉が快感のために足指を引き攣らせながら、顔を赤らめて叫ぶ。
0128太陽の塔にほえろ! 4/52023/08/11(金) 08:09:20.43ID:0qh5Dwcs0
 「せやった〜?」
 須知山田は油断のならない黒い目をキラッと光らせ、小狡そうに笑いながら、素早く千葉の
両の乳首に口づけ、蜥蜴のように舌先で嬲った。千葉が切なそうな溜め息をついて脱力すると、
須知山田は彼のベルトを外して、蜘蛛のように長い脚からスラックスを脱がせにかかった。惚
れ惚れするほど美しい、つるつるの素足が目に入る。遺伝子故なのか、千葉は体毛が薄く、胸
や腹はもちろん、脛にも腋にもほとんど毛が生えていない。
 恐らくは、祖国の言葉を忘れてしまった異邦人。かの情熱的で、誇り高い、唐辛子と不屈の
精神を糧とする民の純血の末裔であろうが、いずれかのタイミングで日本国籍は取得したのだ
ろう。そうでなければ警察官、つまり公務員にはなれないからだ。
 「ボクサーパンツやめてトランクスにしたん」
 「はい。その方が金玉が喜びますので」
 「こういう時はいいけど、普段からあんまり金玉金玉言わないようにしましょうね」
 「何の話ですか。言ってませんよ」
 須知山田は口も使って千葉のトランクスを徐ろに剥ぎ取り、現れた愛しいものを両手で受け、
扱いた。溢れ出す先走りで指先を潤し、鈴口を軽く咥えながらじっくりと後孔に塗りこめ、ほ
ぐして拡張させた。
 「ああ、須知山田さん・・・・もう・・・・イキそうです」
 「まだまだ」
 須知山田は笑って亀頭から口を離し、焦らすように丹念に、袋の部分や太腿や臍の周囲に唇
と舌を這わせた。千葉がシーツを掴んでやりきれなさそうに裸身を捩る。
 「俺のも触って」
 短く囁いて、自分の一物を千葉の手に握らせた。小さく呻きながら腰を揺すって千葉の掌に
一物を擦りつけ、全体を充分に湿らせてから亀頭を後孔に当て、勢いをつけて押し入った。千
葉の巨体が跳ね、濡れた唇から女のようによがる声が洩れる。
 しばらく、千葉の啜り泣きと、ベッドの軋む音と、静かな空調の音だけが聞こえている。
 「須知山田さん、ヤニ入れていいですか?」
 終わり、二人して少し息を整え、汗だくになった体の火照りを冷ましてから、千葉が問う。
 「だめっ。下のお口におじさんのモノを挿れたばかりでしょう」
 千葉は上司の言を完全に無視して起き上がり、枕元からアメリカンスピリットの緑箱を取り
上げ、一本咥えて火を点けた。
0129太陽の塔にほえろ! 5/52023/08/11(金) 08:10:59.64ID:0qh5Dwcs0
 「須知山田さん、俺、西成の戸建てに雌猫三匹と住んでるんですけど」
 灰皿に灰を落としながら、千葉がぽつりと語り始める。須知山田は裸で仰向けになったまま
答える。
 「うん、それくらい知っとるよ。行ったことはないけどな」
 「石段の途中にあるボロっちいけど素敵な家で、屋上があって、そこに庭造ってるんです。
空中庭園ですね。出勤前とか退勤後とか、非番の日なんかにそこでヤニ入れてカフィー飲むの
が最高なんですよね」
 「そうか、ええ趣味やな。庭って何作ってるんや」
 「盆栽ですね。東京にいた時からの趣味なんです。最近はビカクシダに凝ってて。あ、須知
山田さんわかんないですよね」
 「うん、全然わからん」
 べつに愛していないわけではないが、須知山田は適当に答える。こういう男なのである。毒
舌だが、どこか憎めない。千葉はそれがわかっているのか、構わず話し続ける。
 「夕べね、屋上でうとうとしてて、夢見たんですよ。須知山田さんとぼくが大衆演劇の一座
で、全国を旅してる夢」
 「へー。うちは代々デカでそんなん考えたこともないけどな」
 「それがね、変なんです。お芝居って普通白粉を顔全体に塗るじゃないですか。なのにぼく
も須知山田さんも、口の周りだけ白くしてたんです」
 「ほんまか。そらアホな座長やな」
 須知山田は勢いよく起き上がって言う。
 「夢の話はなんか怖いからもうええわ。二回戦行く前に、一緒にシャワーせーへん?千葉の
金玉、やさしく包みこむように洗たろ。金玉だけとちごて、チンチンもケツもおっぱいも泡塗
れにしてな。さて、どこから洗おうかな」
 千葉は煙をプカッと吹いて須知山田の顔を凝視し、非常に改まった表情と口調で言った。
 「光栄であります。本官は須知山田さんに金玉だけでなく、チンチンやケツやおっぱいを泡
塗れにして洗ってもらって、夥しい精液をいつ果てるともなく発射し続けるでしょう。しか
し・・・・」
 「しかし?」
 「本官は体が大きいですから、須知山田さんは手が届かなくて大変でしょう」
 「んなあるわけあるかい!」

Fin.
0130風と木の名無しさん2023/08/11(金) 08:11:55.13ID:0qh5Dwcs0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

吉本新喜劇総選挙一位の前祝
正直、こんなに人気出るとは思わなかった
0131風と木の名無しさん2024/04/29(月) 04:22:56.98ID:tRk4iOGa0
乱立荒らし対抗age
0132風と木の名無しさん2024/04/29(月) 17:19:18.99ID:6DcZCCp60
age
0133風と木の名無しさん2024/04/29(月) 21:39:43.63ID:Kfzvifgv0
age
0134風と木の名無しさん2024/04/29(月) 21:45:33.21ID:8FioFnNW0
(´∀`∩)↑age↑
0135風と木の名無しさん2024/04/29(月) 22:24:14.63ID:wjfVrl6o0
age
0136風と木の名無しさん2024/05/01(水) 13:39:08.58ID:quXupfS70
age
レスを投稿する


ニューススポーツなんでも実況