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モララーのビデオ棚in801板71 [転載禁止] [無断転載禁止]©bbspink.com
0001風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:14:42.17ID:6x6p4YSU0
   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板70
http://itest.bbspink.com//test/read.cgi/801/1426866477/l50

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
0002風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:17:53.52ID:6x6p4YSU0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4)一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
  長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
  再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
   また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
   作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。

※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
※ルールを守っている書き手やその作品に対して誹謗中傷・煽り・否定意見の書き込みは禁止
※誹謗中傷・煽り・否定意見に対しての反論は書き手、読み手共に禁止
 レスするあなたも荒らしです。注意する時は簡潔に「>>2を守ってください」で済ませましょう。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://bbs.kazeki.net/morara/
0003風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:18:31.30ID:6x6p4YSU0
■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。
0004風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:19:04.38ID:6x6p4YSU0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
0005風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:19:29.70ID:6x6p4YSU0
04
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
0006風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:20:09.48ID:6x6p4YSU0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
0007風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:20:49.17ID:6x6p4YSU0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ
0008風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:21:19.11ID:6x6p4YSU0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0009風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:21:52.85ID:6x6p4YSU0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
0010風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:22:27.70ID:6x6p4YSU0
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
0011風と木の名無しさん2018/12/09(日) 23:23:55.10ID:6x6p4YSU0
いつの間にか落ちていたので立てました
テンプレのコピペミスあったらすまん
0012風と木の名無しさん2018/12/10(月) 08:45:10.71ID:xtbipK6p0
>>1
スレ立て乙です
ありがとう
0013風と木の名無しさん2018/12/10(月) 18:21:40.15ID:WetYEwTA0
前は500KBで落ちてたけど、今はシステム変わって730KBまで容量あるみたいです

約一ヶ月で一スレ消費していた過去の一時期と違い、現状は投下も激減し、
そこまで行くのに何年かかるかわかりませんが、覚えておきましょう
0014風と木の名無しさん2018/12/11(火) 14:57:36.28ID:jfmEB6JC0
投下の途中で前スレ終わったドアラの人、よかったら続き投下して下さいね
0015風と木の名無しさん2018/12/11(火) 18:53:26.18ID:0aIxE2AF0
保管庫の過去スレ一覧の変更できる人いたら頼む
0017風と木の名無しさん2018/12/11(火) 20:57:00.67ID:lFYBi90b0
>>16
正直要らなさそう
私の記憶違いじゃなかったら2レスでかなり残ってたスレあったし…
まあ20レスいけば安泰だろうけども
0018風と木の名無しさん2018/12/13(木) 23:40:39.94ID:bLjIcqMu0
>>1
スレ立て乙でした

前スレの蟻桐の人、続き気になってます
凪差さんが出てきて嬉しかった
0019引退セレモニー 2/32018/12/15(土) 20:00:01.12ID:gWDvMzBz0
スレ立て乙です
前スレ最後で投下途中だったので続きです


しゃちほこの盛野→元ド荒の中の人
(盛野の引退セレモニーより)






「最後の日にあなたに会えて良かった」
昔と変わらぬ人懐っこさで、森乃に握手を求める。求められるまま、握手をした。あの頃と何ら変わらない握手だ。
ド荒の本にコメントを書いたことがある。ド荒、は、ファンにとっては一人だが、盛野にとって彼がド荒だった。
盛野のコメントは、彼が演じるド荒に向けたものだった。

「バク転は、若い子がしますけど…。セレモニーでは一緒に歩きましょう」
足をさすりながら彼は言う。
「ありがとう、来てくれて」
勇気が必要だったろうに、来てくれたことに労いの言葉をかけた。

ド荒は、何人もの役者に脈々と受け継がれている。坊主好き、珍妙なダンス好き、バク転、その他諸々。
設定として引き継がれてはいるが、細かく見るとそれぞれ違うな、と盛野はわかる。

「コーチとしているんですってね」
「ああ」
「後進の指導は大事ですよね。わかります。この球団一筋のあなたらしい選択だ」
そこへ、一人の若者が入室してくる。盛野は、名前も顔も一致しないその若者を訝しげに見つめた。
「今日、バク転してくれる若い子です。僕の教え子」
「教え子?」
「今、何をやってるんだ、って顔ですね。足が悪いので激しい動きはできませんが、育成部の責任者です」
よろしくお願いします、と彼は、頭を下げる。
「盛野コーチ。これからもこのド荒くんをよろしくお願いしますね」


世代交代。
華の選手はいつしか引退し、指導に回る。
彼は野球選手ではないが、彼もまた、己の身体と戦い、力尽き、次の道を選んだのか。
0020引退セレモニー 3/32018/12/15(土) 20:00:51.03ID:gWDvMzBz0
球場全体に、応援歌が響く。昔の応援歌。
球場全体に、「ありがとう盛野!」コールが響く。
球場全体に、ジェット風船が飛ぶ。

盛野はその中で、彼の足音を聞いた。
振り向けば、彼は、左手には、サインボールを入れた箱を抱え、右手にはデジカメを持っている。

ド荒。
俺の大好きなド荒。
一番大好きなド荒。

ボールを投げ込む。一球一球に別れの悲しみと長年の感謝を込めて。

ド荒。
俺の大好きなド荒。
一番大好きなド荒。

カメラも憚らずに、ド荒の抱擁を受け止める。
自分は、今、すごい笑顔なんだろうなあ、と考える。

なあ、お前に会えて良かった。また、飲みに行こうな。また、遊びに行こうな。
盛野は、これからの人生を楽しんでいきたいとようやく感じることができた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0021年賀状 1/22019/01/05(土) 21:23:31.90ID:r7dX4A870
短いですが、オリジナル「年賀状」

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


郵便受けを開けると、ひらりと赤いハガキが落ちた。
「あいつ…もう五日だぞ…」
俺宛ての年賀状。差出人は、幼馴染のあいつだった。
ご近所さんで生まれた時から一緒だったあいつ。正月も、毎年元日から一緒だったから、年賀状なんて出したことなかった。
大学進学のため、あいつが遠くに行ってから初めての新年。付き合い十九年にして、初めてあいつから年賀状をもらった。

電波に乗せて軽く挨拶をするだけで、人と年賀状のやり取りなんて年々少なくなっていっているのに、あいつらしい。
実際すでに元日にあいつには挨拶済みだ。
まあ今日届くってことは、二〜三日ほど前に出したってことだろう。それはそれであいつらしい。
「俺も出してやればよかったかな…」
ハガキのくじ番号を何となく確認し、あいつの文字を目でなぞる。
あいつん家…あいつの実家の住所は、俺の家と番地違い。この住所を書くのに、なんとなく変な心持ちがしたんじゃないだろうか。
ふと、字が思ったより上手い気がして違和感を覚える。あいつの字を見るのも思えば久しぶりだ。
こんな字だったか?
上手くなったのか?俺の知らないところで。
それとも…忘れつつあるのか、あいつを?
チクリとした寂しさを感じて、しかし反射的にそんな思いを振り払いたくて、気持ちを吹き飛ばすようにハガキを裏返す。
0022年賀状 2/22019/01/05(土) 21:24:03.25ID:r7dX4A870
“謹賀新年
あけましておめでとう!”

ペンじゃなく、筆?いや、これは筆ペンだろうか。手書きの毛筆で堂々と筆記してある。
小さい頃、一緒に年賀状を書いていたあいつが無理して謹賀新年と難しい漢字を使い、見事に間違えていたのが脳裏に蘇る。
何とかごまかしていたが、あれはごまかせていなかっただろう。
祖父母へ宛てたものだったから、かわいい孫の書いた年賀状なら誤字も笑ってくれたに違いない。そう思いたい。
昔の思い出に少し笑いながら目線を落としたら、その下に書かれていた字に息を飲んだ。

“彼女できちゃった!”

ヒュッと音がした。と思う。その時の耳は、現実の音を捉えていなかった。
体の内側がドクドク言っている。わけがわからない。
なんで心臓がこんなにうるさい?なんで息が上手くできない?
こんな短い文章を見て、なんで俺はこんなにどうしたらいいかわからなくなっているんだ?
「こんなこと年賀状に書くか普通…」
無意識にこぼれ出ていた言葉。
つぶやいたことさえ自覚がなかった言葉は、なぜこぼれ出たのかわからないほど内心を反映しておらず、ただ人ごとのよう。

“おめでとう!”

何がめでたいもんか。ちっともめでたくなんかない。
この衝撃が意味することは。
この、感情は。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
0023風と木の名無しさん2019/02/02(土) 19:04:18.60ID:BqEn2pJa0
いちおつです。新スレ立ってよかったですね。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0024龍は眠らない 前編 1/32019/02/02(土) 19:06:16.37ID:BqEn2pJa0
 遥かな夜空の向こう、大いなる暗黒の彼方から、誰かの囁く声が聞こえる。
 「アドルフ・・・・君は夢を叶えたね。君は確かに、二十世紀の神話になったんだ。ジ
ークフリートではなくてファフニルの方だけれど」

 「グスタフ、悪って何だと思う?」
 その三十過ぎの黒髪の紳士は、優美なオーストリア訛りでそう尋ねた。曰く言い難い光
を放つ碧い双眸が、テーブルの向こうから、ちょっと斜視気味にぼくを捉えた。
 「ぼくはミヒャエルです」
 空腹に料理を詰めこむのに余念がなかったぼくは、急いで嚥下し、一息ついてから注釈
を入れた。
 「失敬。グスタフは幼くして亡くなった私の兄の名前だ。それと、昔大好きだった人の
こともたまにそう呼んでた。本当はアウグストで、普段はみんなグストルと呼んでたんだ
けどね」
 紳士は眉を上げ、片頬でちょっと翳のある笑みを見せた。
 「で、話の続きだが、悪とは何だと思うかね?そもそもこの世に、主として子供向けの
創作物で描かれるような、純粋で普遍的かつ絶対的な善と悪というものは存在すると思う
かね?」
 「『善と悪がある』というのは、それ自体としては信ずるに値する真理だと思います
が・・・・」
 ぼくは少しずつ言葉を発した。元々、あまりそういうことは突きつめて考える方ではな
く、倫理とか修辞学とか、そういう授業も苦手で、落第点すれすれを取ったものだった。
なんで我が国の人々は眉間に皺を寄せて勉強したり、検証したり、議論したりすることが
こんなにも好きなのだろうか。こういう国民がおかしな人物や体制を妄信して間違いを犯
すことなどあり得ないと思うのはぼくだけだろうか。
0025龍は眠らない 前編 2/32019/02/02(土) 19:08:29.46ID:BqEn2pJa0
 「正直、難しくてよくわかりません。ただ『絶対的な善とは何か、絶対的な正義とは何
か』を定義するよりも、『絶対的な悪とは何か』を定義することの方が易しい気はしま
す。その上で、『善』とか『正義』というものを定義するとするなら、恐らく『悪を為さ
ない、為させないこと』なんじゃないでしょうか」
 これ以上喋ったら、自分で何を言っているのかわからなくなりそうだった。そもそも、
紳士の最初の質問に全然答えられていなかった。
 にも関わらず、彼は口髭を生やした厳粛な顔に、さっきよりちょっと柔らかい微笑を浮
かべて頷いた。「上出来とまでは言わないが、まあいいだろう、ミヒャエル」そう言いた
いみたいだった。一番厳しいと噂されている先生の口頭試問を無事パスしたような気持ち
で、ぼくは心底ほっとした。

 「アドルフだ」
 貧しく疲弊しきった哀れな敗戦の街ミュンヘンの片隅で、明るい色のギャバジンのコー
トを着た紳士はぼくに親愛の片手を差し出した。といっても、生まれて十八年間、この街
を出たことなどほとんどなかったのだけれど。
 夕食を奢られた後、埃っぽいローゼンハイマー街を抜けて、アドルフのアパートについ
て行った。簡素そのもの、禁欲そのものという、革命家というより洞窟に起居する修道士
のような住まいだったが、一点だけ、らしからぬ要素があった。
 「絵を描くの?」
 「たまにね。戦前はプロを目指していたが、今ではただの趣味だよ。仕事の方がおもし
ろいし、物理的にも忙しくなってろくに時間を取れないしね」
 持ち主の性格を表すように几帳面に整えられた清潔なベッドに並んで腰を下ろした。彼
はウィーンのことを色々話してくれた。更に、もっと広い世界を求めてミュンヘンに来た
ことや、ドイツとオーストリアを再統一する必要性について情熱的かつ饒舌に語り始め、
そういう政治的諸問題が書いてある書籍や新聞やアジビラを持ってきてくれて、よかった
らあげると言ってくれた。中には、彼自身が執筆した記事もあった。
0026龍は眠らない 前編 3/32019/02/02(土) 19:10:43.39ID:BqEn2pJa0
 話は大戦中ドイツのために勇敢に戦い、受勲したことや、国防軍を再編成すべきである
こと、最近自分が創設した新しい部隊のことに及んだ。アドルフは新興の政党を率いる政
治活動家で、この時代は政党単位で独自の武装組織を持つことがごく当たり前であり、街
中での小競り合いも日常茶飯事だった。普通のドイツ人、普通の男の子であるぼくは、す
っかり彼の話に惹きこまれて、熱心に聞いていた。
 「ドイツと世界は君たち若者のものだ。君のような子が部隊の宣伝をしてくれれば――
いや、いっそのこと入隊してくれれば、とても心強いのだが。レームも喜んで面倒見るだ
ろうし。何しろ、政治や軍事よりも若い男の子の方が好きときてるからな、あいつは」
 「雇っていただけるなら――その、今夜だけじゃなくて、ずっとお側に置いていただけ
るなら、それはほんとに嬉しいです。何ヶ月も失業中で、母も弟たちも飢えに苦しんでい
ますから」
 ぼくは一生懸命言った。アドルフはじっとぼくの顔を見つめ、頷きながら聞いていた。
 「戦争に・・・・戦争にさえ負けなければ・・・・。これじゃあ父さんだって何のため
に死んだのかわからない」
 悔し涙が込み上げそうになるのを辛うじて堪え、膝の上で拳を握り、唇を噛んだ。
 「わかってるよ、君の気持ちや状況は。何より、お母さんや弟さんたちのことが心配だ
よね」
 深い共感と慈愛のこもった声で一言一言、噛みしめるように言うと、アドルフは矢庭
に、ぼくの両肩を掴んでベッドに押し倒した。
0027風と木の名無しさん2019/02/02(土) 19:11:30.91ID:BqEn2pJa0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

ちょっとageときます。明日の晩また来ますね。
0028風と木の名無しさん2019/02/03(日) 17:35:54.00ID:njo3Lm1q0
毎度お世話になります。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
0029龍は眠らない 後編 1/72019/02/03(日) 17:37:45.73ID:njo3Lm1q0
 心臓が高鳴り、喉元から飛び出そうだった。また泣き出しそうになりながら、今や猛禽
の蹴爪にがっちり掴まれた小動物も同然のぼくは、男の顔をまっすぐ見ることができず
に、頬を赤らめて目を逸らした。彼は鮮やかな手つきでぼくがリボンタイ風に結んでいた
スカーフをほどき、襟元から抜き取った。無造作に背後へ放り投げられたそれは蝶のよう
に宙を舞った。
 アドルフは手際よくぼくのカッターシャツの釦を外し、胸をはだけさせた。一応ストー
ブが焚かれているとはいえ、十二月のことであり、しかも彼のアパートはとても寒かっ
た。冷気に晒された乳首が彼の刺すような視線の中でツンと立ち、それを指先でさりげな
く摘ままれ、弾かれて、耳が熱くなるくらいに恥ずかしかった。
 ここに来れば何があるか、もちろん知っていた。男どうしであっても肉体は結ばれる、
しかし、自然の理に基づく男女の結びつきと違って、主に男性を受け入れる側に、相当な
困難が伴うことも知っていた。
 鋭敏に、ぼくの不安を感じ取ったのだろう。彼は手を止めて、冷静に言った。
 「君、男とも女とも経験ないんだろう?怖がらなくても、大事な兵士の体に最初から無
茶はしないよ。嫌ならこれで終わって帰っても全然構わない。それでもここまでつきあわ
せた分の金は払うしね」
 その言葉の後半部だけ、ぼくが眼差しで否定すると、彼はふっと笑って、「ありがと
う」と呟き、染み一つないピローカバーに扇のように広がったぼくの髪に手を絡ませた。
 「素晴らしいブロンドだ。誠にゲルマン民族らしい。将来は君のような金髪碧眼の、美
しく優秀で愛国心に溢れた青少年ばかりを結集した精鋭部隊も組織したいと思っているん
だ。鳥肌立つくらいにスタイリッシュな制服をデザインさせるつもりだよ。まだまだ資金
や権力が圧倒的に及ばないがね」
 その魅惑的な話も、ぼくの耳にはろくに届かなかった。家に帰っても惨めさと窮乏が待
っているだけの戦後の若者であるぼく、今、家族の中で自分だけ、親切な紳士にレストラ
ンに連れて行ってもらって、全く何日ぶりかでおなかいっぱい美味しいものを食べさせて
もらったことへの罪悪感に苛まれているぼく、その男の部屋で、今生まれて初めて体を売
ろうとしているぼくの耳には。
0030龍は眠らない 後編 2/72019/02/03(日) 17:41:21.19ID:njo3Lm1q0
 ぼくが男娼になったなんて知ったら、母はどんなに悲しむだろう。弟たちはどんなに軽
蔑するだろうか。男らしく、名誉の戦死を遂げた父の名にも泥を塗ることになりはしまい
か。
 ふと、さっき食事中に自分が言ったことと、アドルフの問いを思い出した。
 善とは、正義とは、悪を為さない、為させないこと。悪とは一体何だろうか。
 家族を、故国の人々を、敗戦の屈辱と、いつ終わるとも知れない貧困と混乱の中に捨て
置くことこそ、悪ではないだろうか。
 「哲学と道徳と政治は何が違うと思う?」
 アドルフは部屋の照明を落とし、上着を脱ぎ、ぼくに覆い被さってきた。頬に、顎に、
首筋に、胸にと冷たい唇を這わせながら、その口づけよりも危険な毒素に満ちた問いかけ
を発した。ぼくに答えを求めていないのは明らかで、ただ自問自答しているだけだった。
この風変わりな紳士ときたら、ベッドで抱きあってのキスや愛撫の時くらい、その手の命
題を忘れていられないのだろうか。
 乳輪を甘いキャンディのようにしゃぶられて、感じてしまって、こっそりシーツに爪を
立てて堪えた。
 「『善とは何か、悪とは何か』を追究するのが哲学。善を為すよう奨励するのが道徳。
道徳の実践や応用、つまり制度化を担うのが政治。但し、哲学者も道徳家も、時の政治的
権力の影響を全く受けずにはいられない。――気持ちいいの?勃ってるね」
 アドルフは衣服の上からぼくの下半身をまさぐり、くくっと笑った。「いけない子だ」
 ぼくは着せ替え人形みたいにベルトを外され、ズボンとパンツを脱がされるままになっ
た。
 恥じらう間もなく、露になったものを、アドルフがそっと口に含んだ。
 「ひゃっ」
 そんな所を誰かに舐められるなんて、生まれて初めてのことだった。あまりの気持ちよ
さにのけ反り、声が出た。自分の掌やシーツに擦りつける時なんて比べものにもならな
い。勢いよく吸い上げられ、舌が忙しなく伝い降りたり這い上がったりした。亀頭を集中
的に責め立てられて、足の指が引き攣り、気が遠くなりそうになった。
 「アドルフ・・・・出していい?」
0031龍は眠らない 後編 3/72019/02/03(日) 17:44:19.08ID:njo3Lm1q0
 数分、いや数十秒と持たずに、そう囁きかけた。アドルフが目顔で頷いたので、深く息
をついて、彼の口腔に夥しく射精した。アドルフの唇の端から滴り落ち、顎を白く汚すほ
どだった。
 「すぐイッちゃった。舌を使うの巧いんだね」
 しばらくして、アドルフに腕枕してもらって一休みしながら言うと、
 「そりゃ、演説家だから」
 彼は本気とも冗談ともつかないことを言った。
 「実際ね、ウィーンで、この街で、戦場で、数えきれないくらいの男のものを咥えた
よ。もちろん生きるため、絵を売るためだ。戦争に征ってた時なんか、風呂場でしょっち
ゅう、複数の男に取り囲まれて、あらゆることをさせられた。あいつは根っからの淫売
で、自分から喜んでやってるんだって噂まで立てられてね。体目当てなのは変わらないと
はいえ、親身に話を聞いてくれる気のいい上官もいたけど、軍隊っていうのは基本的に、
そういう野蛮な所だからさ」
 ぼくはアドルフの形の良い乳首を弄りつつ、二十代の彼がお風呂でマワされる所をじっ
くり想像して、またおちんちんをカチカチに硬くしながら、顔つきだけは神妙に聞いてい
た。
 「子供の時から、そういう権威主義的なのは嫌いだった。親父もそういう人間で、私が
絵を描くのを嫌って、何か気に入らないことがあれば殴ったしね。学校も合わなくて辞め
て、恋人と山歩きしたり川で泳いだり、屋外でスケッチをしたり、劇場に行ったり、芸術
や音楽や文学の話をしたり、故郷のリンツでは専らそんな風に、のびのび過ごしてた。お
互いの家に誰もいない時や人目につかない自然の中で素っ裸になって愛しあったりね。お
互いまだ今の君より年下の、親元に住んでる子供だったのに、思えば大胆なことをしてた
ものだよ。
 君のような素直でやさしい子を見ると、その人のことを思い出すよ。彼はいつも善良で
あろうとしていた。でも、政治には全く関心がなくて、政治的な問題とはいつも一定の距
離を置きたがる性質だった。そんなこともあって、ウィーンに出てからは一つ屋根の下に
暮らしていたにも関わらず、お互いに心が離れていったのさ。十九で、私が彼の許から行
方をくらます形で別れて、それ以来一度も会っていない。多分、これからもね。
0032龍は眠らない 後編 4/72019/02/03(日) 17:46:25.82ID:njo3Lm1q0
 今言ったように、いつも善であろうとしていた人のように――私よりはよほど善良であ
ったように私には思えるが、政治と道徳にはさっき言ったような形での関連がある。政治
的でないということはとどのつまり、道徳的でないということなのだろうか?そもそも、
政治的でないとはどういうことだろうか?完全に政治や政治的見解と無関係で生きること
など、果たして個人に可能なのだろうか?」
 「その人のこと、本当に好きだったんだね。さっきから話に出てる、レームとかヘスと
かいう人たちよりも好き?その人たちともこういうこと、するんでしょ?」
 鼻にかかった声で言いながら、アドルフの首に両腕を巻きつけ、口元に軽く口づけた。
 「たまに、お互い気が向いたら、ね。でもそれはスポーツとかレジャーみたいなもの
で、そうだな、変な言い方だが、党員どうしの団結力強化のための営みの一環だよ。彼ら
は帝国の――私の夢のために共に闘う同志であり、もっと言えば私の夢の一部だ。
 でも、その人は違うよ。彼は私の、何というか、私の――愛しい人だ」
 苦笑いは言葉の終わりで、屈託のない、はにかんだ笑みへと変わっていた。その後もあ
る程度の期間、つきあいは続いたが、この人のそういう表情を見たのは、多分、この時が
最初で最後だった。
 人類の諸悪がたった一人の個人の上に置かれるとする。彼は極めて観念的で抽象的で、
ある種神秘的ですらある悪の元型(アーキタイプ)として、後世の人間によって定義され憎
悪され断罪され続け、その評価は永遠に覆すことができないとする。それが彼の、善良な
る人々の、世界に対するある種の義務であり、必然でもあるだろう。
 でも、その人だって、ただの人間だ。
 ぼくは彼の生まれたままの裸の体に両腕を回し、そっと抱いた。ドナウの流れのよう
に。
0033龍は眠らない 後編 5/72019/02/03(日) 17:49:14.18ID:njo3Lm1q0
 「あなたの幼馴染みの恋人って、八月生まれの人?」
 胸に頭を押し当てながら囁くと、アドルフはちょっと驚いたように目を見張った。
 「そうだが、どうしてわかったんだね?」
 「夕食の時言ってたじゃない。アウグストって」
 「そうだったか。君は利発な子だな。きっと頼もしい味方になるだろう」
 アドルフは目を細めてぼくの肩を抱き寄せ、髪を掻き撫でた。
 それから彼はぼくに、リラックスして仰向けになるように言った。
 「大丈夫、挿れないから」
 そう言ってぼくを安心させてから、強く抱きしめて口づけした。口中では舌が絡み、腰
の所では、ぼくのと彼のともむくむく動いて触れあって、まるで自分たちの分身どうしも
キスしてるみたいだと思えて、ちょっと微笑ましかった。
 アドルフがぼくの肩を押さえて普通に交わる時みたいに腰を動かすと、溢れ出すお互い
の糖蜜に濡れそぼちながら、重なりあったものどうしが擦れあい、捏ね回され、そのぬめ
る感覚と淫猥な水音がまた新たな興奮を誘った。ぼくもはしたなく腰を揺り、夢中で快楽
を貪りながら、アドルフの足に自分の足をきつく絡みつけ、背中に回した腕に力を込め、
その唇や耳朶や首筋や肩を頻りに噛んだ。
 恥ずかしかったけど、声に出して言ってみた。
 「アドルフのおちんちんと擦れて、ぼくのおちんちん気持ちいい」
 その言葉が耳に届くと、アドルフも顔を上気させて、
 「私もだ・・・・ミヒャエルの体に出していいかな?」
 「うん・・・・いっぱい出して」
 気が付くと、生温かく、ドロッとしたものがおなかの上に広がっていた。アドルフは枕
元から布巾を取ると、優雅な仕草で二人分のそれをきれいに取り除いてくれた。お臍の内
側や太腿まで、丁寧に拭ってくれた。
 その後、ぼくの頬に口づけし、掛布を首の所まで掛けてぎゅっと押さえつけた。
 「疲れたろう。ゆっくりおやすみ。明日の朝早く帰って、午前十時に党の事務所に来て
くれ」
 そのあまり色気のない言葉をぼくは、天使の囁きのように快く聞いた。
 「ちょっと面倒くさいけど、同伴出勤ってわけにもいかないのでね」
 と、彼はきまり悪げに付け加えた。
0034龍は眠らない 後編 6/72019/02/03(日) 17:51:26.45ID:njo3Lm1q0
 夜半過ぎ、ふと目を覚ますと、傍らで眠っているはずの彼はいなかった。
 そっと部屋を見渡し、目を凝らすと、こちらに背を向けて、小さな堅い机に向かってい
る彼の姿が見えた。スタンドの明かりだけを点け、恐らく古典か歴史かの分厚い本を何冊
も広げて、彼は書きものに熱中していた。
 声など上げられるはずもなかった。ぼくは精励する人を見た。果てしのない孤独と静け
さの中で沈思黙考する人を見た。何も見なかったように、再び眠りに就こうと思った。カ
ーテンの隙間から射しこむ月影が無限の距離感を以て、ぼくと彼とのわずか数メートルの
空間を隔てていた。

 「そら、子供にはホットミルクだよ」
 翌朝、一晩ベッドを共にした代価としては破格の支払いを受け、白パンを一かけらとポ
テトサラダだけの質素な朝食を供された。聞く所によると、たとえこの先どんな富と権力
を得ることがあっても、この食生活は変えるつもりがないらしい。美味しいものを食べる
とか、贅沢な暮らしをするということにこの人は本当に関心がないのだ。
 ただ、朝にはものすごーく弱いが、今朝は頑張って起きてくれているらしい。
 「もう子供じゃないよ。夕べあんなに・・・・いやらしいこといっぱいしたくせに」
 追加で差し出された熱いマグカップを手に持ちながらも、ぼくは膨れっ面をした。
 「そうだったね。どんな恋ならしていいかは年齢で決まるもんじゃない。誰かにああい
う形で愛を受けた時からもう大人だ」
 言いながら、澄まし返った表情で自分は白湯を飲んでいる。その顔は涼しげで、憎らし
いくらいに抜け目なく小利口で、昨夜、キャンバスに絵筆でいろんな色を載せていくよう
に、ぼくの体を自在に扱い、目くるめく官能に彩った男と、本当に同じ人かと疑いたくな
る。
0035龍は眠らない 後編 7/72019/02/03(日) 17:53:18.29ID:njo3Lm1q0
 「言い忘れていたけど、向こうでは『アドルフ』は困るぞ。『ヒトラーさん』と呼んで
くれ」
 玄関のドアを開けてくれながら、彼は念を押した。
 ちょっと思いついて、かわいらしく呟いてみた。
 「はい。我が総統」
 彼は目をぱちくりさせた。
 「何、それ?」
 「なんか今、降りてきたんです」
 「へ〜」
 と彼はそっくり返って大袈裟に感心し、にんまりと会心の笑みを浮かべた。
 「いいな」
 権威主義的なの嫌いじゃなかったの、と、ふと思ったけれど、もちろんそんなかわいげ
のないことは口に出さない。
 朝靄煙る街路へとぼくを送り出しながら、アドルフは鷹揚に片手を上げ、ごく平凡に、
日常の挨拶をした。
 「それじゃまた、後でね、君」
 男は、この時まだ、ドイツ史上、いや世界史上空前絶後の現象ではなかった。

Ende


 「世の中で一番の悪党は、間違っているものを見て、それが間違っていると頭でわかっ
ていても目を背ける奴らだ」
(ボブ・ディラン)

 「もし社会が無制限に寛容であるならば、その寛容は最終的には不寛容な人々によって
奪われるか破壊される。寛容な社会を維持するためには、社会は不寛容に不寛容であらね
ばならない」
(カール・ポパー)
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