【はい、知らないままです】
【内容がわからないのに引き受けちゃって、撮影されるという感じで考えてました】
じゃあ、インタビューで男性経験とか聞いていいのかな?w
(テニス部のPR動画を作るのに協力してほしいと言われて素直に応じたのが一時間くらい前)
(それからテニスウェアに着替えて、インタビュアー兼カメラマンのスタッフさんとテニスをしていた)
いきますよ〜
(持っていたボールを放ってからピンク色のラケットで打つと)
(チェック柄のスカートが翻って、下に着ているアンダースコートがちらっと覗く)
(明るい茶色の髪を大きく靡かせながら、打ち返されたボールを追って左右に走っていく)
えいっ
(両手でしっかりとラケットのグリップを握って、足を踏ん張らせながら打つ)
(それでもあんまり強い力ではボールは飛んでいかなくて、ネットを越えて一回弾んだ後は軽く返されてしまう)
(スタッフさんが手加減してくれているおかげで勝負としては拮抗していたけど力の差は歴然)
(でも体を目いっぱい動かしてテニスをしているのが楽しくて、思わず撮影しているのを忘れるくらい元気に走り回る)
ふぅ……ちょっと汗かいちゃいました〜
こんな感じでよかったですか?
(試合が終わってネットの方に近寄りながらうちわ代わりに手で小さく顔を煽ぐ)
(ノースリーブのトップスから見える細い腕が日差しを浴びて白く光りながら、うっすら滲んだ汗を輝かせて)
(まだ元気な様子ではあるけど少し肩で息をして、頬もほんのり上気したように朱が差している)
(ネットの近くに来たスタッフさんの顔を見上げながらこんな風で大丈夫だったかなと首をかしげて)
【簡単な感じですけど用意してみました〜】
【人数は特に希望無いのでやりやすい数で大丈夫ですよー】
【撮影よろしくお願いします♪】
えー…なになに、お助け部にどうしても助力してほしいことあり…?
そこまで言われたら、お助けしにいくしか無いよね!
【聖櫻の子が先に来てるみたいだし…私も置きで撮影に参加してみようかな!】
失礼します………。
(緊張の面もちで襖を開けると、小規模な宴会室とそこにいる男性達だけの団体客が視界に入る…)
(さかのぼること一週間前、お助け部に少し変わった依頼が舞い込んできた)
(温泉旅館のPRとして1日仲居を体験…今まであまり経験をしたことのないお助けだった)
(仲居の経験がないという不安要素はあるが、旅館の食事と温泉付きというおまけ付き…)
(ほぼ迷うことなく承諾の返事を返したのだった──)
(少し遠い駅を降りて旅館にたどり着くと、出された食事とお茶を楽しみ)
(桜色の仕事着に袖を通して、仕事の内容について女将からレクチャーを受ける)
(終わった頃には日が傾いてきて、身体の違和感を自覚する)
(じっとりと体が熱く、少しの刺激にも反応してしまいそうなほど肌が敏感になっている)
(そんな感覚を誰かに伝える時間もなく、今日宿泊の予定が入っている団体客の対応を任されてしまい……)
ようこそお泊まりくださいました!
お食事のご用意をさせていただきますね。
(指導された歩き方で、食事の配膳を始めていく)
(体調が悪いというわけでもないし、がんばろう!といつもの明るい調子で、てきぱきと食事の準備を進めていく)
【それじゃ、こんな感じでどうかな?】
【あらためてよろしくね!】
え、えぇっ……!?ウチの学園に……その、いかがわしい映像に出演してる人が居るんですか…?