>>8
(鉄格子を抜けた先は少し広くなった水路がまっすぐ伸びていた)
(天井はかなり高くなり、ウェリアの両隣には水面より高くなった脇道が正面方向へと伸びている)
(脇道に立ったとして天井までの高さは十分あり、頭上に関しては特にぶつかる心配はないだろう)
(そしてその天井には明かりがつけられており、水路を照らしていた)

(その脇道のうちウェリアの左の方、そこの壁に貼り付けられるように一人の青年が囚われていた)
(立った状態で磔されているように腕を広げた姿勢だが、樹液を固めたような鉛色のもので胴体と腕を壁に固定されているようだ)
(その男は鉄格子を抜けてきたウェリアを見ていた)
(いや、正確にはウェリアが鉄格子を抜ける最中も見ていた)

(男はつい先程目が覚めたのだが、気を失う前のことはほとんど覚えていなかった)
(そして気がついたら、この水路で磔にされていたのだ)
(だれもいない見たことのない水路で拘束されたことで不安を感じはしたものの、直接淫魔に出会い、何かされたわけではない)
(そんな状況で鉄格子の先から聞こえてきた声)
(それに続き、ウェリアの鉄格子を抜ける際の喘ぎと悶え)
(不安は消え、むしろウェリアの痴態をみた喜びのほうが勝っていた)
(そして男の身体は、妙に興奮していた)
(それは淫魔の淫気に軽く汚染され、興奮していたのも原因の一つだった)

大丈夫かい?

(そして男は鉄格子を抜けたウェリアへと話しかける)
(ただそこに気遣う感情はでていない)
(顔は自然に緩み、にやにやとしたいやらしい笑みが勝手に浮かんでいた)

(この男に近づくべきだろうか?)
(だがそのためには水中から上がるしか無い)
(しかし、そうなれば淫気に軽度の汚染され、性的に興奮している男に粘液で透け、さんざん嬲られた身体を晒すことになるだろう)
(しかも天井に明かりがあるので、その状態はひと目でわかってしまうだろう)

(そしてもう一つ)
(この男も知らずウェリアもまだ気が付かないが、この水路には一体の淫魔が潜んでいた)
(それはウェリアが入ってきたことに気がついて入るが、今はまだ動かずに様子を伺っている)
(だが、その淫魔の中では、ウェリアを襲うことは確定していた)
(どのタイミングでどのようにあの豊満な身体を嬲るか)
(どんな反応をするか)
(それは考えながら、淫魔はウェリアを観察していた)

【おまたせしました】
【潜んでいる淫魔に関しては動き出したときにどんな姿なのか、どこに潜んでいるのか書きたいと思います】