>>71
(サラの後ろから、立ち上がったジンが話しかけてきた)
はい…壁も動き始めてますし…
(歩き出したサラに、ジンが背中を支えるように手を添えてくれる)
有難うございます…行きましょう、ジンさん…
(やや疲れているが、まだ元気はあるようだ)
(扉を開けて通路に出ると、そのまま2人で歩いていく)
(そして予想通り、通路の半ばで空間が歪み、2人そろって次の部屋へと転移させられた)

(そこは今までと同じで、がらんとした普通の部屋だった)
(さっきの部屋のように鏡があるのでもなく、何もないただの部屋)
(そしてサラは条件反射のように扉を見て、そのまま動かなくなった)
…あ…う…
(小さく呻くサラ)
(横に立ったジンが、何が書いてあるのか訊いてくる)
み…見え、ないんです、か…?
(首を傾げるジンの様子を見ると、扉の文字はサラにしか見えないらしい)
あ、あの…その…
(文字を凝視したまま、狼狽えるように口ごもるサラ)
お、女…女が…男の…性器、を…
(そこまで言ってから、気持ちを落ち着けるように小さく深呼吸する)
男の性器を…く、口で…口で、綺麗にしないと、出られないって…書いて、あります…
(全部言い切ってから、力が抜けたように大きく息を吐くサラ)
あ、あの…あのっ…あ、あれって…どういう、事なんでしょう…!?
(何をすればいいのか本心では分かってはいるが、それを認めたくないかのように、サラはジンに訊き返した)