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(私達の学校は、古いから警備とかがガバガバ。警備システムもなきゃ、普段使わない窓の鍵でも開けておくと入り込み放題)
(昼間のうちに仕込んでおけばどうにでもなるから、家族をどう誤魔化すかに尽きている)
(そんなわけで、遥の親が不在の日に、私は遥の家にお泊まりという体で、二人で夜の学校に向かった。)
(普段使わない倉庫の窓から乗り込み、内側から鍵を開けていけば、無人の夜の校舎に入れてしまう。)

「じゃ、ここの奥に荷物入れて」
「戻ってきたらなくなってたら、どうしようか?」
「そうならないために隠すんだろ」
(脅かすようなことを言う遥をあしらい、身につけてるものを外していく。シャツと、ショートパンツと、下着と、サンダル)
(薄手の夏の服でも、着てないと随分心細い)
(ネックストラップをつけたスマホを首に下げれば準備完了だ)
(遥も同じように裸になって、ミニポーチを首に下げる。私ら、揃ってヘンタイだ……)

「普通さ、学校の怪談みたいな、そういう怖さがあって良さそうだけど……全然だね」
「裸でいるほうが不味いもんね」
(お互い自然に手を握る。汗ばんだ手のひらを握りしめる)
(そして、覚悟したみたいに、廊下に歩き出す。リノリウムの床を裸足で踏む。外の虫の声を伴奏に、足音がペタペタ響く。)


「それで、どうするよ」
「えーとね、教室とか見て回ろうか」
(一人なら心細いだろうけど、二人だから、ただドキドキするばかりで)
(月明かりと、非常灯や消火栓のランプだけの廊下を進んで……私達のクラスに着く)