そのうち、さすがにきつくなってきたのか、つぶっていた目を開けて、前を向いたり、上を向いて首を左右に振ったりしたけど、
苦しさに負けて、息を大量に吐き出す事はしなかった。
でも、身体は正直で、横隔膜はひくひく動きはじめていた。
いつまで潜っているのだろう?

表情が急に険しくなり、首を左右に振りながらけっこう大量に息を出し、そのまま底を蹴って浮上したけど、
さすがにきつかったか、視線は宙を泳ぎ、ボーッとしている感じがしたけど、
何回か肩で息をしたかと思いきや、そのまま思いっきり息を吸って、プールサイドの壁を蹴って普通の平泳ぎで潜水を始めた。
その時はビックリしたけど、長く潜り過ぎた後に頭痛が出るのを防ぐための潜水だった訳で、相当な訓練をしてきた人だとは後で解りました。

潜水といっても、脱力したままのゆったり潜水で、自由遊泳で上を向いたり下を向いたりクルクルとやっていたのが印象的でした。
それでも息は鼻から細い息を時々短く出すだけで、完璧にコントロールしているのをうっとりしてみていました。

脱力潜水で25メートル向こう側のプールサイドへ上がり、そのままシャワールームの方へ消えてしまいました。

その後、お姿を拝見することは一回もありませんでした。

恐るべしスキルでしたけど、その後どうしているのでしょうか?

これは創作ではなくて、本当の思い出ですので、念のため。