(華々しい騎士団のある城内を颯爽と歩き、多くの人に声を掛けられる)
(一つ一つに丁寧に応えつつ、部下にも指示を出していく)

平民からの陳情は明日、私が直接受けにいく。君たちは街の見回りに行ってくれ。
ははは、民あっての騎士だからね。行けるのであれば私が行くのが誠意だろう?

(朗らかに笑って部下を見送る。そして、周囲に誰も居なくなると表情を消して)

……ふん、クズが調子に乗るもんだな。まあいい、これももうしばらくの辛抱だ。
そのうち姫を手に入れれば直接愚民どもに会う機会も無い……いや、まずは奴の妹か。

(既に姫の結婚相手として名前が挙がり、姫との関係も悪くない。バラ色の未来に唇を歪め)
(そして、自分以上に剣が立ち、人柄の立派だった前団長。その妹を思い出す)
(姫と並ぶほど美しく、それでいてどこか内気な少女。自分のペットには丁度いい、とおぞましい思いを抱いていた)

……だが、どうも最近妙な感じだ。どうも俺を避けているような……まさか、な。

(ヴィゼの目が他の人と違う事には気付いていた。もし気付かれているとなると、今後の自分の汚点になりかねない)
(確かめてみるか、とヴィゼのいる方へと足を向けるのだった)